JP2001357724A

JP2001357724A - 防食架空電線

Info

Publication number: JP2001357724A
Application number: JP2000180432A
Authority: JP
Inventors: Takashi Edo; 崇司江戸; Akira Yoshino; 明吉野; Shinji Katayama; 慎司片山; Shoji Mimura; 彰治味村; Yuji Asano; 祐二浅野
Original assignee: Fujikura Ltd
Current assignee: Fujikura Ltd
Priority date: 2000-06-15
Filing date: 2000-06-15
Publication date: 2001-12-26

Abstract

(57)【要約】【課題】高温になっても高い防食性が長期わたって持
続する架空送電線などの架空電線を得る。【解決手段】シリコーングリースを架空送電線の素線
の撚り合せ部分の空隙に充填するかあるいは表面に塗布
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、架空送電線，架
空地線，光ファイバ複合架空地線などの架空電線に関
し、高温での防食性を向上したものである。

【０００２】

【従来の技術】この種の架空電線には、亜鉛メッキ鋼
線，アルミニウム覆鋼線の単線あるいは撚線の周囲に同
心円状に複数本のアルミニウム線，アルミニウム合金線
の素線を撚り合せた複合撚線（ＡＣＳＲ）が主に用いら
れている。このものは、軽量で高強度であり、耐食性も
良好であるなどの利点がある。

【０００３】ところが、このような複合撚線の架空電線
であっても、海に近い地域に敷設した場合には、大気中
の塩素イオンの濃度が高いことから、腐食が進行するこ
とがある。このような腐食性が高い環境下で使用する場
合には、その腐食を防止するために、架空電線の表面に
グリースを塗布することが行われている。

【０００４】このグリースには、鉱油を基油とし、これ
に増チョウ（稠）剤として、シリカ微粉末，ベントナイ
ト微粉末，各種金属セッケンなどを配合したものが用い
られている。しかしながら、このようなグリースはその
耐熱性が劣るため、架空電線の使用温度が１５０〜３０
０℃と高温となると、グリースの基油の鉱油あるいは増
チョウ剤が熱劣化して、グリースが架空電線から垂れ落
ちたり、剥げ落ちたりして、十分な防食性を長期にわた
って発揮できない欠点があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】よって、本発明におけ
る課題は、高温の使用状態に置かれても高い防食性を長
期にわたって発揮できる防食架空電線を得ることにあ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】かかる課題は、グリース
として、シリコーンオイルを基油とするシリコーングリ
スを用いることで解決できる。基油としては、特に耐熱
性の良好なメチルフェニルシリコーンオイルが好まし
い。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明で用いられるシリコーングリースは、その基油
（ベースオイル）としてシリコーンオイルを用いたもの
である。ここでのシリコーンオイルとしては、比較的低
重合度の直鎖状のジメチルシリコーンオイル，メチルハ
イドロジエンシリコーンオイル，メチルフェニルシリコ
ーンオイルなどの油状のものが用いられるが、なかでも
耐熱性の高いメチルフェニルシリコーンオイルが好まし
い。

【０００８】また、増チョウ剤としては、シリカ微粉
末，ベントナイト微粉末，リチウム，カルシウム，アル
ミニウム，バリウムなどの金属とステアリン酸などの高
級脂肪酸との塩である金属石センなどが用いられるが、
得られるシリコーングリースの耐熱性を考慮すると、シ
リカ微粉末が好ましい。この増チョウ剤の使用量は３〜
５０重量％程度とされるが、シリコーングリースに求め
られるチョウ度によって決められる。

【０００９】このような基油としてシリコーンオイルを
用い、増チョウ剤を添加して得られたシリコーングリー
スの溶融温度は３５０℃以上とすることが望ましい。こ
のシリコーングリースには、必要に応じてカーボンなど
の耐候剤や、ハイドロタルサイト，水酸化マグネシウム
などの受酸剤を適宜添加してもよく、これによりシリコ
ーングリース自体の寿命が延び、これを塗布，充填した
架空電線の防食性も長持ちする。

【００１０】シリコーングリースの塗布は、架空電線の
表面に適宜の塗布手段を用いて塗布することで行われ、
その塗布厚みを平均４〜５ｍｍとすれば十分である。ま
た、シリコーングリースの充填は、アルミニウム線，ア
ルミニウム合金線などの素線を撚り合せる際に、各素線
間の空隙にシリコーングリースを充填しながら、撚り合
せることで行われ、表面に溢れ出た余分のシリコーング
リースは表面全体に塗布するようにすればよい。

【００１１】このような架空電線にあっては、その表面
あるいは素線撚り合せ部分の空隙にシリコーングリース
が存在するので、防食性，耐腐食性が高いものとなる。
また、シリコーングリースはその耐熱性が優れているの
で、架空電線の温度が３００℃程度にまでなっても、シ
リコーングリース自体が劣化することがなく、高温での
耐用年数が延び、これにより架空電線自体の耐用年数も
延長される。

【００１２】また、シリコーングリースは、鉱油を基油
とする通常のグリースに比べて撥水性が格段に優れてい
るので、雨の水滴が大きく成長する前に架空電線の表面
から脱落し、水滴の付着量が減少し、付着水滴に起因す
るコロナ放電が減少し、コロナ放電ノイズが減少する。

【００１３】シリコーングリースは、耐熱性，潤滑性に
優れ、精密部品などの潤滑剤として広く用いられている
が、防食材料として使用された例はなく、特に架空送電
線などの架空電線の防食材料として用いられた例はな
い。

【００１４】以下、具体例を示すが、本発明はこれに限
定されるものではない。表１および表２に示すグリース
を用意し、その諸特性を評価した。表１，表２におい
て、シリコーングリースはメチルフェニルシリコーンオ
イルを基油としたものを用い、受酸剤にはハイドロタル
サイトを用い、耐候剤にはカーボンを用いた。また、ア
ルミ複合グリースには市販汎用グレードのものを用い、
リチウム系グリースには市販品を用いた。

【００１５】評価方法としては、「紫外線変色」は、出
力１００Ｗの水銀灯を５０ｃｍの距離で１００時間直接
グリース塗布面に照射し、グリース自体の変色がないも
のを○、変色があるものを×とした。「耐熱性」は、ア
ルミニウム板にグリースを塗布し、このものを１Ｍ塩酸
中に１時間放置し、アルミニウム板の重量減少が０．１
以下のものを◎、１％以下のものを○、５％以下のもの
を△、５％を越えるものを×とした。

【００１６】また、「耐熱性」は、グリースを３００℃
で２４時間放置して、変化がないものを○、溶融また硬
化したものを×とした。「毒性」は、燃焼時における有
害ガスの発生のないものを○とし、発生のあるものを×
とした。なお、メチルフェニルシリコーンオイル自体の
ラット急性毒性が３０ｇ／ｋｇ以上とされている。さら
に、「ＪＣＳ３９９」は、架空送電線用グリースを評
価する電線工業会規格である。結果を表１，表２に示
す。

【００１７】

【表１】

【００１８】

【表２】

【００１９】表１，表２から、従来のグリースでは、耐
熱性を満たすものはないが、シリコーングリースでは耐
熱性が高いため、高温で使用される架空電線の防食に最
適であることがわかる。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の防食架空
電線は、シリコーングリースが塗布もしくは充填された
ものであるので、優れた防食性が与えられるとともに、
架空電線が３００℃程度にまで高温となっても、グリー
スが垂れ落ちたり、あるいは熱劣化したりすることがな
く、高温状態においても高い防食性が長期にわたって持
続される。また、雨水の付着によるコロナ雑音レベルも
低下するなどの効果が得られるものである。

フロントページの続き (72)発明者片山慎司東京都江東区木場１丁目５番１号株式会社フジクラ内 (72)発明者味村彰治東京都江東区木場１丁目５番１号株式会社フジクラ内 (72)発明者浅野祐二東京都江東区木場１丁目５番１号株式会社フジクラ内Ｆターム(参考） 5G307 EC02 EF02 5G313 FA05 FB02 FC04 FD06 5G367 BA01 BB14

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】シリコーングリスが塗布もしくは充填
されてなる防食架空電線。
【請求項２】シリコーングリスが、メチルフェニル
シリコーンオイルを基油とするものである請求項１記載
の防食架空電線。