JP2001356298A - 立体映像表示装置 - Google Patents

立体映像表示装置

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JP2001356298A
JP2001356298A JP2000175151A JP2000175151A JP2001356298A JP 2001356298 A JP2001356298 A JP 2001356298A JP 2000175151 A JP2000175151 A JP 2000175151A JP 2000175151 A JP2000175151 A JP 2000175151A JP 2001356298 A JP2001356298 A JP 2001356298A
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projection
lens
field lens
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Naoki Fukaya
直樹 深谷
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Denso Corp
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Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】簡易な構成にて光線の投射方向を好適に制御し
且つ、観察者が疲労感を伴うことなく立体映像を観察す
ることができる立体映像表示装置を提供する。 【解決手段】2組の投影光学系2,3は左右隣接する位
置に設けられており、それぞれに液晶パネル4,5と光
源6,7と投影レンズ8,9とからなる。投影光学系
2,3の結像位置にはフィールドレンズ12が配置さ
れ、左右2組の投影光学系2,3は、それぞれの投影レ
ンズ8,9の光軸X2,X3がフィールドレンズ12の
主面上で交差するように配置されている。投影光学系
2,3から出射された光束がフィールドレンズ12を透
過することで、左右両眼の視域A1,A2が空間上に形
成され、その視域A1,A2に左右の各眼EL,ERを
正しく位置させ、更に投影光学系2,3により左右両眼
に視差を含んだ画像を各々提示することで、両眼視差に
より所望の立体像が観察される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、眼鏡などの特殊な
装置を必要せずに立体映像が観察できる方式の立体映像
表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、眼鏡などの特殊な装置を使わ
ずに立体映像を観察する立体映像表示装置として、映像
投影系の結像位置にレンチキュラスクリーンを配置し、
両眼視差を含んだ画像をそれぞれ左右の眼に空間的に分
離して提示する装置が知られている。その一例として、
特開平7−13105号公報や特開平8−322068
号公報の立体表示装置がある。
【0003】詳しくは、上記立体表示装置では、縦長の
シリンドリカルレンズを多数並べて構成されたレンチキ
ュラスクリーンを光束の投射方向制御素子として用い、
各シリンドリカルレンズの焦点面を画像面とし、視差を
含んだ2枚の画像を投影する。各シリンドリカルレンズ
はその光軸に対して、入射する画像の入射角に応じた屈
折角を持つため、左右の眼に提示する画像を切り分ける
ことができる。
【0004】レンチキュラスクリーンを用いる場合、左
眼画像が観察される多数の領域と右眼画像が観察される
多数の領域が空間上交互に現れるため、観察者が左右方
向に移動しそれぞれの眼に提示すべき画像の組み合わせ
が不適切になると、立体像の凹凸が反転した、いわゆる
シュードスコピックな像(逆立体視像)が観察されてし
まう。それ故、再生像を観察すると極端な疲労感を覚え
るといった問題が生じる。
【0005】一方、レンチキュラスクリーンを用いる上
記装置以外に、例えば特開平8−160356号公報の
立体映像表示装置が他の従来技術として存在する。この
立体映像表示装置では、立体映像を出力するための大型
凸レンズと、その後方に配設されたバックライト光源
と、観察者と大型凸レンズとの間に配設され、該観察者
が観察すべきステレオ像を時分割で表示可能な液晶パネ
ルとを要件とし、観察者の映像を大型凸レンズを通して
撮像し、得られた観察者像の変調像をバックライト光源
に表示するようにしている。つまり、上記公報の装置で
は、大型凸レンズにより焦立する観察者像に幾何学的に
およそ一致するように、時分割でステレオ像を左右それ
ぞれの眼に分配し、それにより、特殊な装置を使わずに
複数の観察者がステレオ像を観察できるように構成して
いた。
【0006】しかしながら、当該公報の装置では、大型
凸レンズ面にはバックライト光源から発した光が入射さ
れ、観察者はこの光によって照明された液晶パネル上の
表示画像を直視することとなる。この場合、観察される
再生像サイズは液晶パネルのサイズそのものに依存する
ため、大画面画像を観察したいという要望の下では、液
晶パネルの大型化が強いられる。それ故、コストアップ
が不可避となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題に
着目してなされたものであって、その目的とするところ
は、簡易な構成にて光線の投射方向を好適に制御し且
つ、観察者が疲労感を伴うことなく立体映像を観察する
ことができる立体映像表示装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、2組の投影光学系は、観察者の頭の向きに合わ
せてその左右隣接する位置に配設されており、各投影光
学系の液晶パネル及び投影レンズで提示される画像がフ
ィールドレンズの主面上若しくはその付近で互いに交わ
り、観察者の左右の眼に投射される。フィールドレンズ
により画像の光線投射方向が好適に制御され、このフィ
ールドレンズを透過した光束により、空間上に左右各眼
用の映像を観察するための2つの視域が形成される。そ
して、その視域に左右の両眼を正しく位置させることに
より、眼鏡等の特殊な装置を必要せずに所望の立体像が
観察される。
【0009】かかる場合、左右各眼用の2つの視域は、
空間上で左右横方向に隣接する状態で形成されるので、
例えばレンチキュラをスクリーンとして用いる従来技術
(特開平7−13105号公報など)とは異なり、それ
ぞれの眼とそれに提示すべき画像との組み合わせがずれ
てしまいシュードスコピックな像(逆立体視像)が観察
されるといった不都合が生じることがなく、観察者の疲
労感が緩和できる。また仮に観察者が左右何れかの方向
に移動し、左右の各眼が左右2つの視域のうち何れか一
方に共に配置される場合を想定しても、観察者は単に平
面像を認識するだけなので、観察者の疲労感を伴うこと
はない。
【0010】また併せて、液晶パネルに表示される画像
は、投影レンズ及びフィールドレンズを介して観察者に
提供されるので、液晶パネルを直視する従来技術(特開
平8−160356号公報など)と比較して液晶パネル
の小型化が可能となり、ひいてはコストダウンが実現で
きる。なお、本明細書において、「左」又は「右」と記
載する方向は、特に注記する場合を除き、観察者を基準
にその方向を示すものとする。
【0011】請求項2に記載の発明では、フィールドレ
ンズの主面上でそれぞれの投影レンズの光軸が交差する
よう2組の投影光学系を配置した構成において、該2組
の投影光学系に対し左右の眼の視差を含んだ画像を各々
提示する。かかる場合、それぞれの眼に対応した視域で
の両眼視差により、立体像が観察できるようになる。
【0012】また、観察者の左右各々の眼に視差を含ん
だ画像を提示しなくても、各眼に提示する映像の位置を
左右にずらすだけで、擬似的に立体感が感じられること
が知られている。そこで、請求項3に記載の発明では、
フィールドレンズの物体空間でそれぞれの投影レンズの
光軸が交差するよう2組の投影光学系を配置すること
で、各々の投影光学系で投影される画像のフィールドレ
ンズ上での結像位置を左右方向に若干ずらし、更にその
構成において、該2組の投影光学系に対し同一の画像を
各々提示する。この構成によれば、2組の投影光学系に
各々提示する画像情報が同一のもの、すなわち両眼視差
を含まないものであっても擬似的に立体像が観察できる
ようになる。また、上記構成では、2組の投影光学系に
対して同一の画像を提示すれば良いので、通常のテレビ
用画像信号(NTSC信号)等を用いることが可能とな
り、構成が簡素化できるという効果が併せて得られる。
【0013】上述した2組の投影光学系は、フィールド
レンズの主面上、若しくはその付近で投影レンズの光軸
が交差するよう互いに角度をもって配置されているた
め、投影レンズ上の各点でフィールドレンズ面までの光
学距離に微妙な差が生じる。故に、フィールドレンズ面
に結像する像は、観察者の左端と右端とで垂直方向の大
きさが異なる台形形状となり、いわゆるキーストン歪み
を生じることとなる。かかる場合において、請求項4に
記載したように、前記2組の投影光学系によるフィール
ドレンズ上の各々の画像の端が一致するよう、投影レン
ズの光軸に対して映像表示用液晶パネルを所定の角度傾
斜させて配置すれば、再生像のキーストン歪みの影響を
減らすことができる。
【0014】また、請求項5に記載の発明では、投影レ
ンズはその外径が四角形であるので、例えば投影レンズ
の外径が円形である構成と比較して、フィールドレンズ
による結像位置において該フィールドレンズに対向する
視域の面積が拡がる(立体空間においては視域の体積が
増える)。それ故、実用上優れた立体映像表示装置が提
供できる。
【0015】また、請求項6に記載の発明では、前記フ
ィールドレンズをフレネルレンズで構成しており、この
場合、フレネルレンズは軽い、安い、量産向きである等
の利点が知られていることから量産に適した立体映像表
示装置が提供できる。
【0016】一方、請求項7に記載の発明では、観察者
の顔の位置を検出し(位置検出手段)、前記検出した観
察者の顔の位置に基づき、フィールドレンズに対して立
体視の視域と各投影レンズとが共役な関係となるよう、
該フィールドレンズを移動させる(移動手段)。なおこ
のとき、2組の投影レンズ間の中心点と観察者の顔の中
心(左右両眼間の中心)を結んだ線上に、フィールドレ
ンズの主点がくるように、当該フィールドレンズを左右
方向に移動させると良い。これにより、観察者の顔の位
置に追従して立体視の視域(その設定領域)が移動し、
ひいては常に所望の立体映像を観察者に提示することが
可能となる。
【0017】上記請求項7の発明は、下記の請求項8又
は請求項9のように実現できる。請求項8の構成によれ
ば、観察者の顔画像がフィールドレンズを透過しビーム
スプリッタで反射して光位置検出系で結像する。かかる
場合において、光位置検出系で結像した観察者の顔画像
の位置に基づいてフィールドレンズを移動させる。より
具体的には、観察者の顔画像が光位置検出系の所定位置
(例えば中央)にくるように、フィールドレンズを移動
させると良い。これにより、観察者の眼に追従して立体
視の視域が移動し、ひいては常に所望の立体映像を観察
者に提示することが可能となる。
【0018】また、請求項9の構成によれば、観察者の
顔画像が観察者画像結像用レンズを透過し、光位置検出
系で結像する。かかる場合において、光位置検出系で結
像した観察者の顔画像の位置に基づいてフィールドレン
ズ及び観察者画像結像用レンズよりなる系を移動させ
る。より具体的には、観察者の顔画像が光位置検出系の
所定位置(例えば中央)にくるように、フィールドレン
ズ及び観察者画像結像用レンズよりなる系を移動させる
と良い。これにより、観察者の眼に追従して立体視の視
域が移動し、ひいては常に所望の立体映像を観察者に提
示することが可能となる。
【0019】上記の如く、観察者追従の構成を持つ立体
映像表示装置では、以下の構成を適宜設けることで、そ
の観察者追従の機能が好適に実施できる。すなわち、 ・請求項10の発明では、観察者を照明するための赤外
光光源を備え、光位置検出系が赤外光に強い感度を持つ
系であるとする。 ・請求項11の発明では、光位置検出系が半導体光位置
検出素子であるとする。 ・請求項12の発明では、光位置検出系が拡散スクリー
ンと、該スクリーン上の画像を撮影する撮像系とよりな
るとする。 ・請求項13の発明では、光位置検出系がフォトダイオ
ードをアレイ状に配列したものであり、適当なスレッシ
ョルド値により出力を2値化する構成であるとする。
【0020】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、この
発明を具体化した実施の形態を図面に従って説明する。
【0021】図1は、本実施の形態における立体映像表
示装置についてその基本構成を示す平面図である。図1
は、本表示装置とその前方に位置する観察者(但し両眼
のみ)とを上方から見た概略平面図であり、図の上側が
観察者にとって右側となり、図の下側が観察者にとって
左側となる。なお因みに、図1の基本構成は、観察者追
従による立体視の視域変更制御を行う機能を持つもので
はなく、観察者追従の機能を持つ構成については後述す
る。
【0022】図1において、筐体1には、観察者の左右
それぞれの眼EL,ERに映像を提示すべく2組の投影
光学系2,3が左右隣接する位置に設けられている。投
影光学系2,3はそれぞれ、液晶パネル4,5と、その
背後に設けられた光源6,7と、液晶パネル4,5の表
示像を拡大投影するための投影レンズ8,9とからな
る。
【0023】液晶パネル4,5にはそれぞれ、液晶駆動
回路10,11が接続されており、一方の液晶駆動回路
10には図示しない外部装置から左眼用映像信号が入力
され、他方の液晶駆動回路11には同じく外部装置から
右眼用映像信号が入力される。これら左眼用及び右眼用
の映像信号は左右両眼の視差を含むものであり、外部装
置としてのマイクロコンピュータやビデオテープレコー
ダ等より出力される信号である。
【0024】また、液晶パネル4,5は、投影レンズ
8,9の物体焦点f1,f2より遠方に配置されること
で、像面に拡大された実像を生じる。投影レンズ8,9
の口径は、後述するように映像を観察できる視域に関係
し、焦点距離は拡大される実像サイズに関係する。な
お、投影レンズ8,9は、後述する視域の体積を大きく
する観点からその外径を四角形にして構成されると良
い。
【0025】2組の投影光学系2,3の結像位置には、
透過光の投射方向を制御するためのレンズ、いわゆるフ
ィールドレンズ12が配置されている。フィールドレン
ズ12の光軸X1に対し、2組の投影光学系2,3は対
称に配置される。各投影レンズ8,9の像焦点f3,f
4は、フィールドレンズ12の物体焦点f5より外側に
位置するように設計される(なお、図のf6はフィール
ドレンズ12の像焦点である)。また、左右2組の投影
光学系2,3は、それぞれの投影レンズ8,9の光軸X
2,X3がフィールドレンズ12の主面上で交差するよ
うに配置されている。
【0026】フィールドレンズ12は、比較的安価に実
現するにはモールドレンズを用いれば良く、特に再生像
の見栄えをあまり問題にしないならば軽量、安価、量産
に適するといったフレネルレンズで構成しても良い。
【0027】左眼用及び右眼用の投影光学系2,3から
出射された光束がフィールドレンズ12を透過すること
で、左右各眼EL,ERに応じた映像を観察するための
左眼用映像視域A1と右眼用映像視域A2とが空間上に
形成される。
【0028】ここで、空間上に左右の各視域A1,A2
が形成される原理について、図2を用いて説明する。但
し、図2では便宜上、左眼用の投影光学系2とそれによ
り形成される左眼用の視域A1とを抽出して示す。
【0029】例えば、液晶パネル4の上端部S1の表示
像は、図中○印及び●印を付与した光路を通り、投影レ
ンズ8及びフィールドレンズ12を経由して左眼ELに
投射される。また、液晶パネル4の下端部S2の表示像
は、図中□印及び■印を付与した光路を通り、投影レン
ズ8及びフィールドレンズ12を経由して左眼ELに投
射される。かかる場合、「○、●、□、■印」の光路に
より規定される図の斜線領域が左眼映像を認識するため
の視域A1となり、この視域A1内では、液晶パネル4
で表示される画像情報が全て認識できるようになる。
【0030】またこのとき、視域A1は図示の通り菱形
のような平面形状をなし、この菱形の左右横方向(図の
上下方向)の最大幅の位置は、フィールドレンズ12に
よる各投影レンズ8の共役面に対応する。また、視域A
1の奥行き方向(図の左右方向)の長さは、再生像のサ
イズ及び観察距離に反比例する。従って、本表示装置の
観察仕様、すなわち再生像サイズ、立体像の設計観察距
離(フィールドレンズ12から菱形形状の視域の最大横
幅位置までの距離)、視域幅(菱形形状視域の最大横
幅)、液晶パネル4のサイズが決まれば、フィールドレ
ンズ12の焦点距離及び必要口径、投影レンズ8の焦点
距離及び必要口径、各素子の配置と互いになすべき角度
は一意的に決まる。勿論、右眼側の構成についても同様
である。
【0031】要するに、上記図1の構成の立体映像表示
装置では、2組の投影光学系2,3(液晶パネル4,5
及び投影レンズ8,9)から提示される画像がフィール
ドレンズ12の主面上で互いに交わり、観察者の左右の
眼EL,ERに投射される。画像の光線投射方向はフィ
ールドレンズ12により好適に制御され、その際、左右
2つの視域A1,A2に左右の両眼EL,ERを正しく
位置させ、更に2組の投影光学系2,3により左右両眼
に視差を含んだ画像を各々提示することで、各視域A
1,A2での両眼視差により眼鏡等の特殊な装置を使わ
ずに所望の立体像が観察されるようになる。つまり、フ
ィールドレンズ12の正面付近に観察者が位置すること
により、正しく立体像が観察される。
【0032】また仮に、観察者が左右何れかの方向(図
1の上下方向)に移動し、左右の各眼EL,ERが左右
2つの視域A1,A2のうち何れか一方に共に配置され
る場合には、左右各眼EL,ERで同一の映像が観察さ
れ、観察者は単に平面像を認識する。
【0033】なお、それぞれの液晶パネル4,5に表示
すべき画像は、観察されるべき再生像に対して上下左右
が反転した画像を表示する必要がある。これは液晶パネ
ル4,5を上下左右反転して配置することにより容易に
実現できる。
【0034】以上詳述した本実施の形態によれば、以下
に示す効果が得られる。左右各眼用の2つの視域A1,
A2は、空間上で左右横方向に隣接する状態で形成され
るので、例えばレンチキュラをスクリーンとして用い左
右各眼用の多数の視域が交互に配置される従来技術(特
開平7−13105号公報など)とは異なり、それぞれ
の眼とそれに提示すべき画像との組み合わせがずれてし
まいシュードスコピックな像(逆立体視像)が観察され
るといった不都合が生じることがなく、観察者の疲労感
が緩和できる。また、観察者が左右何れかの方向に移動
した場合、単に平面像が認識されるだけであってシュー
ドスコピックな像が観察されることがないので、やはり
観察者の疲労感を伴うことはない。
【0035】また併せて、液晶パネル4,5に表示され
る画像は、投影レンズ8,9及びフィールドレンズ12
を介して観察者に提供されるので、液晶パネルを直視す
る従来技術(特開平8−160356号公報など)と比
較して液晶パネル4,5の小型化が可能となり、ひいて
はコストダウンが実現できる。
【0036】更に、投影レンズ8,9はその外径が四角
形であるので、例えば投影レンズの外径が円形である構
成と比較して、フィールドレンズ12による結像位置に
おいて該フィールドレンズ12に対向する視域の面積が
拡がる(立体空間においては視域A1,A2の体積が増
える)。それ故、実用上優れた立体映像表示装置が提供
できる。
【0037】その他に、本表示装置では、従来技術の以
下の問題点が解消される。すなわち、 ・レンチキュラスクリーンを用いる従来技術では、再生
像の幾何学歪みやクロストークを軽減するために周辺部
ほどピッチを細かくする等の複雑で且つ厳密な加工を必
要とする。 ・1枚の液晶パネルにステレオ像を時分割に提示する従
来技術では、画像の高速切り換えを実現すべく光源に偏
光性を持たせた上で液晶パネルにも垂直方向の行毎に透
過光の偏光性を選択するような機能を持たせる必要があ
り、その光学素子の加工に非常に多大なコスト増を必要
とする。といった問題が解消され、総合的に見ても従来
装置に比べて格段に安価な装置が実現できる。また言い
加えれば、本実施の形態の装置では、各光学系の位置合
わせの要求精度は、観察される再生像に大きな生理的矛
盾を生じない範囲で許容されて比較的緩やかなものとな
り、その分コストダウンが可能となる。
【0038】(第2の実施の形態)観察者の左右各眼に
視差を含んだ画像を提示しなくても、各眼に提示する映
像の位置を左右にずらすだけで、擬似的に立体感が感じ
られることが知られている。そこで、以下の第2の実施
の形態では、その手法を用いて擬似的な立体映像を提示
する立体映像表示装置の基本構成について説明する。但
し、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同
等であるものは説明を簡略化し、第1の実施の形態との
相違点を中心に説明する。
【0039】図3は、第2の実施の形態における立体映
像表示装置の概略を示す平面図である。この図3の構成
は、前記図1の一部を変更したものであり、共通の構成
要素については共通の部材番号を付し、重複する説明は
割愛する。
【0040】図3では前記図1との相違点として、左右
2組の投影光学系2,3は、それぞれの投影レンズ8,
9の光軸X2,X3がフィールドレンズ12の物体空間
で交差するように配置されている。かかる場合、2組の
投影光学系2,3で投影される画像はフィールドレンズ
12上での結像位置が左右(図の上下)に若干ずれるこ
ととなる。
【0041】2組の投影光学系2,3に対し各々提示す
る映像信号は左右同一のものでよく、通常のテレビ用N
TSC信号や、ビデオデッキから提示されるビデオ映像
で構わない。なおこの場合も、液晶パネル4,5に表示
する画像は、上下左右が反転した画像であることは言う
までもない。
【0042】上記構成によれば、2組の投影光学系2,
3に各々提示する画像情報が同一のもの、すなわち両眼
視差を含まないものであっても、眼鏡等の特殊な装置を
使わずに擬似的に立体像が観察できるようになる。ま
た、上記構成では、2組の投影光学系2,3に対して同
一の画像を提示すれば良いので、通常のテレビ又はビデ
オ映像を用いることが可能となり、構成が簡素化できる
という効果が併せて得られる。
【0043】本願発明者は本表示装置を試作し、投影光
学系として市販の小型プロジェクタ2台を用いると共
に、フィールドレンズとしてフレネルレンズを用い、ビ
デオデッキから各々の小型プロジェクタに対して同一の
ビデオ映像を提示する構成としてみた。その結果、装置
正面の左右の視域に正しく両眼を位置させることによ
り、普通のビデオ映像よりずっと立体感のある映像が観
察できた。
【0044】因みに、上記図3の装置では、フィールド
レンズ12の物体空間でそれぞれの投影レンズ8,9の
光軸X2,X3が交差するよう投影光学系2,3を配置
すると共に、該投影光学系2,3に対し同一の画像を各
々提示する構成としたが、この構成を以下のように変更
してもよい。つまり、フィールドレンズ12の物体空間
でそれぞれの投影レンズ8,9の光軸X2,X3が交差
するよう投影光学系2,3を配置すると共に、該投影光
学系2,3に対し左右の視差を含んだ画像を各々提示す
る構成とする。この場合、左右各画像のフィールドレン
ズ12上での結像位置のズレ具合を考慮して、左右各画
像の視差が付与されると良い。かかる場合にも、好適に
立体像が観察できる。
【0045】ところで、上記図1又は図3の立体映像表
示装置では、2組の投影光学系2,3が互いに角度をも
って配置されているため、投影レンズ8,9上の各点で
フィールドレンズ面までの光学距離に微妙な差が生じ
る。故に、フィールドレンズ面に結像する像は、観察者
の左端と右端とで垂直方向の大きさが異なる台形形状と
なる。つまり、図4に示すように、左右の投影光学系
2,3で結像させる像の中心が一致するように投影光学
系2,3を調整した場合、フィールドレンズ12上で画
像の端が一致せずこれに起因して、再生像のサイズが大
きくなると、いわゆるキーストン歪みが観察される。
【0046】かかる場合において、図5に示すように、
2組の投影光学系2,3によるフィールドレンズ12上
の各々の画像の端が一致するよう、投影レンズ8,9の
光軸X2,X3に対して液晶パネル4,5を所定の角度
傾斜させて配置する。具体的には、それぞれの液晶パネ
ル4,5の内側(フィールドレンズ12の光軸X1に近
い側)が投影レンズ8,9に近くなるように傾けて配置
する。これにより、再生像のキーストン歪みの影響を減
らすことができる。
【0047】(第3の実施の形態)次に、上述した立体
映像表示装置の基本構成(図1又は図3の構成)に対し
て観察者追従の機能を付加した構成について説明する。
つまり、本実施の形態では、観察者の顔の位置に追従し
て立体視の視域を変更することができる構成を例示す
る。
【0048】前述のように立体視の視域A1,A2と各
投影レンズ8,9の関係は、フィールドレンズ12に対
して共役関係にある。従って、観察者が左右方向に移動
した場合にも常にこの共役関係が成立するように、フィ
ールドレンズ12を左右方向に移動させ、これにより立
体視の視域A1,A2を観察者に追従させる。すなわ
ち、図6に示すように、固定された2組の投影レンズ
8,9間の中心点と観察者の顔の中心(左右両眼間の中
心)を結んだ線上に、フィールドレンズ12の主点がく
るように、フィールドレンズ12を左右方向(図の上下
方向)に移動させる。
【0049】より具体的な構成を図7を用いて説明す
る。図7は、立体映像表示装置とその前方の観察者Pと
を側面から見た概略図である。なお、同図では便宜上、
2組の投影光学系2,3のうち、左眼用の投影光学系2
のみを示す。
【0050】図7では、フィールドレンズ12の物体空
間にビームスプリッタ21が配設されると共に、光位置
検出系としての半導体受光素子22が配設されている。
このとき、半導体受光素子22は、ビームスプリッタ2
1を含んだ系でフィールドレンズ12と投影レンズ8と
の光学距離に等しい位置に配設される。ビームスプリッ
タ21及び半導体受光素子22は、位置検出手段として
設けられるものであり、赤外光光源23により照明され
た観察者Pの顔画像がフィールドレンズ12を透過し、
ビームスプリッタ21で反射して半導体受光素子22で
結像する。
【0051】要するに、観察者Pの顔面の位置、すなわ
ち立体視の視域の位置は、フィールドレンズ12に対す
る投影レンズ8,9の共役面でもある。換言すれば、フ
ィールドレンズ12に対する投影レンズ8,9の位置
は、観察者Pの顔画像が結像される関係にある。故に、
上記図7の構成により観察者Pの顔の位置(顔画像)が
検出できる。
【0052】半導体受光素子22の出力(顔画像の出力
パターン)は、マイクロコンピュータ24に入力され、
マイクロコンピュータ24はその入力データに基づいて
モータ等のアクチュエータ25を駆動し、フィールドレ
ンズ12を左右方向(図7の紙面直交方向)に移動させ
る。より詳しくは、顔画像の出力パターンが常に半導体
受光素子22の中心に一致するように、フィールドレン
ズ12を移動させる。これにより、観察者Pの顔(眼)
の位置に追従して立体視の視域が移動し、ひいては常に
所望の立体映像を観察者Pに提示することが可能とな
る。また、本構成では、フィールドレンズ12だけを移
動させる構成としたので、小型モータ等の簡易な構成で
アクチュエータ25を実現することが可能となる。なお
ここで、マイクロコンピュータ24及びアクチュエータ
25が移動手段に相当する。
【0053】半導体受光素子22として、例えばPSD
(半導体光位置検出素子)を用いれば、顔画像の中心位
置が出力されるため、その後の信号処理を容易に行うこ
とができる。
【0054】観察者追従の別の構成として、以下の図8
や図9の構成が適用できる。図8では、前記図7の半導
体受光素子22の代わりに拡散スクリーン31を配置
し、拡散スクリーン31上の画像をCCDカメラ等の撮
像系32により撮影する。ここで、拡散スクリーン31
及び撮像系32が光位置検出系に相当する。
【0055】撮像系32の出力(顔画像の出力パター
ン)は、マイクロコンピュータ24に入力され、マイク
ロコンピュータ24はその入力データに基づいてアクチ
ュエータ25を駆動し、フィールドレンズ12を左右方
向(図8の紙面直交方向)に移動させる。より詳しく
は、顔画像の出力パターンが常に拡散スクリーン31の
中心に一致するように、フィールドレンズ12を移動さ
せる。これにより、観察者の顔(眼)の位置に追従して
立体視の視域が移動し、ひいては常に所望の立体映像を
観察者Pに提示することが可能となる。
【0056】また、図9では、フィールドレンズ12に
一体化して、該フィールドレンズ12と同じ焦点距離を
有する観察者画像結像用レンズ41が設けられる。つま
り、観察者画像結像用レンズ41は、フィールドレンズ
12と同一面上で且つ同レンズ12の中心を通る垂直線
上の図の上方(又は下方でも可)に配置され、この両レ
ンズ12,41は左右方向(図9の紙面直交方向)に一
体的に移動する。
【0057】また、観察者画像結像用レンズ41に対し
てフィールドレンズ12中心と2組の投影レンズ8,9
間隔中心との間の光学距離に等しい位置に、光位置検出
系としての半導体受光素子(半導体光位置検出素子)4
2が配設されている。ここで、観察者画像結像用レンズ
41及び半導体受光素子42が位置検出手段が相当す
る。なお、半導体受光素子42に代えて、拡散スクリー
ンと撮像系(CCDカメラ)からなる光位置検出系を用
いて具体化しても良い。
【0058】そして、半導体受光素子42の中心に観察
者Pの顔面像中心がくるように、フィールドレンズ12
及び観察者画像結像用レンズ41よりなる系を移動させ
る。これにより、観察者Pの顔(眼)の位置に追従して
立体視の視域が移動し、ひいては常に所望の立体映像を
観察者Pに提示することが可能となる。
【0059】上記図7〜図9の構成において、光位置検
出系としてフォトダイオードをアレイ状に配列したもの
を用い、適当なしきい値により出力を2値化する構成を
採用しても良い。この場合にも、その後の信号処理が容
易となる。なお、赤外光光源を用いる場合、光位置検出
系として赤外光に強い感度を持つ系を用いれば良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における立体映像表示装置の
概要を示す平面図。
【図2】立体視の視域が形成される原理を説明するため
の平面図。
【図3】第2の実施の形態における立体映像表示装置の
概要を示す平面図。
【図4】キーストン歪みが生じる要因を説明するための
平面図。
【図5】液晶パネルを傾けて配置する様子を示す平面
図。
【図6】第3の実施の形態における立体映像表示装置の
概要を示す平面図。
【図7】観察者追従の機構を示す概略側面図。
【図8】観察者追従の機構を示す概略側面図。
【図9】観察者追従の機構を示す概略側面図。
【符号の説明】 2,3…投影光学系、4,5…液晶パネル、6,7…光
源、8,9…投影レンズ、12…フィールドレンズ、2
1…ビームスプリッタ、22…半導体受光素子、23…
赤外光光源、24…マイクロコンピュータ、25…アク
チュエータ、31…拡散スクリーン、32…撮像系、4
1…観察者画像結像用レンズ、42…半導体受光素子。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】映像表示用液晶パネルとそれを背後から照
    明する光源、及び液晶パネルに表示された映像を前方に
    投影する投影レンズよりなる2組の投影光学系と、 前記2組の投影光学系による結像位置に配設されたフィ
    ールドレンズとを備え、 該フィールドレンズの主面上、若しくはその付近でそれ
    ぞれの投影レンズの光軸が交差するようにして、観察者
    の頭の向きに合わせてその左右隣接する位置に前記2組
    の投影光学系を配設したことを特徴とする立体映像表示
    装置。
  2. 【請求項2】フィールドレンズの主面上でそれぞれの投
    影レンズの光軸が交差するよう前記2組の投影光学系を
    配置し、該2組の投影光学系に対し左右の眼の視差を含
    んだ画像を各々提示する請求項1に記載の立体映像表示
    装置。
  3. 【請求項3】フィールドレンズの物体空間でそれぞれの
    投影レンズの光軸が交差するよう前記2組の投影光学系
    を配置し、該2組の投影光学系に対し同一の画像を各々
    提示する請求項1に記載の立体映像表示装置。
  4. 【請求項4】前記2組の投影光学系によるフィールドレ
    ンズ上の個々の画像の端が一致するよう、投影レンズの
    光軸に対して映像表示用液晶パネルを所定の角度傾斜さ
    せて配置した請求項1〜3の何れかに記載の立体映像表
    示装置。
  5. 【請求項5】前記投影レンズはその外径が四角形である
    請求項1〜4の何れかに記載の立体映像表示装置。
  6. 【請求項6】前記フィールドレンズがフレネルレンズで
    ある請求項1〜5の何れかに記載の立体映像表示装置。
  7. 【請求項7】観察者の顔の位置を検出する位置検出手段
    と、 前記検出した観察者の顔の位置に基づき、フィールドレ
    ンズに対して立体視の視域と各投影レンズとが共役な関
    係となるよう、該フィールドレンズを移動させる移動手
    段と、を備える請求項1〜6の何れかに記載の立体映像
    表示装置。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の立体映像表示装置におい
    て、 前記位置検出手段は、フィールドレンズと投影レンズの
    間に傾けて配置されたビームスプリッタと、このビーム
    スプリッタを含んだ系でフィールドレンズと投影レンズ
    との光学距離に等しい位置に配設された光位置検出系と
    により構成され、 前記移動手段は、光位置検出系で結像した観察者の顔画
    像の位置に基づいてフィールドレンズを移動させる立体
    映像表示装置。
  9. 【請求項9】請求項7に記載の立体映像表示装置におい
    て、 前記位置検出手段は、フィールドレンズに一体化され、
    該フィールドレンズと同一焦点距離を有する観察者画像
    結像用レンズと、この観察者画像結像用レンズに対して
    フィールドレンズと投影レンズとの光学距離に等しい位
    置に配設された光位置検出系とにより構成され、 前記移動手段は、光位置検出系で結像した観察者の顔画
    像の位置に基づいてフィールドレンズ及び観察者画像結
    像用レンズよりなる系を移動させる立体映像表示装置。
  10. 【請求項10】請求項8又は9に記載の立体映像表示装
    置において、 観察者を照明するための赤外光光源を備え、前記光位置
    検出系が赤外光に強い感度を持つ系である立体映像表示
    装置。
  11. 【請求項11】請求項8〜10の何れかに記載の立体映
    像表示装置において、 前記光位置検出系が半導体光位置検出素子である立体映
    像表示装置。
  12. 【請求項12】請求項8〜10の何れかに記載の立体映
    像表示装置において、 前記光位置検出系が拡散スクリーンと、該スクリーン上
    の画像を撮影する撮像系とよりなる立体映像表示装置。
  13. 【請求項13】請求項8〜10の何れかに記載の立体映
    像表示装置において、 前記光位置検出系がフォトダイオードをアレイ状に配列
    したものであり、適当なスレッショルド値により出力を
    2値化する構成である立体映像表示装置。
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