JP2001351573A - 放電ランプおよび放電ランプ用電極 - Google Patents

放電ランプおよび放電ランプ用電極

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Abstract

(57)【要約】 【課題】長時間にわたるランニング中における電極先端
部の変形または照度特性の不安定性を防止するショート
アークランプ等の放電ランプおよびその電極を提供する
こと。 【解決手段】円柱状の本体部21の一端に、広角(約50
°〜90°)かつ略円錐台形の第1先端部22および鋭角
(約約20°〜40°)かつ略円錐形の第2先端部23を
有する電極20を陰極とし、略ドーム状の先端部を有する
陽極と一定間隔で放電管内に対向して配置してショート
アーク型ランプを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は放電ランプ、特に放
電空間内に1対の放電電極を一定間隔で対向配置し、電
極間に放電電圧を印加して、アーク放電させる放電ラン
プおよび特に小型ショートアークランプの陰極に好適な
電極に関する。
【0002】
【従来の技術】放電ランプは、種々の波長の強力な発光
を生じるので照明用のみならず、半導体集積回路(I
C)製造工程の露光用、殺菌/殺虫用等の種々の用途に
実用されている。このような放電ランプの従来技術は、
例えば、特開平11-102662号公報の「ショートアーク型
放電ランプ」、特開昭63-298957号公報の「ショートア
ークキセノンランプ」および特開平8-153487号公報の
「ショートアークメタルハライドランプ」等に開示され
ている。
【0003】例えば、上記特開平11-102662号公報に開
示される放電ランプの構成を、図3および図4に示す。
図3は、全体構成を示す断面図であり、図4は、その放
電電極部の拡大図である。放電(アーク)ランプは、図
3に示すように、発光部(または放電領域)10および発
光部10の両側の封止部13よりなるガラス等の光透過性材
料による放電管1を有する。この放電管1の発光部10内
に対向して配置された1対の電極、即ち陰極11および陽
極12を有する。陰極11および陽極12は、それぞれ金属箔
14を介して外部リード15に接続される。これら1対の外
部リード15を介して放電電流を供給する。陰極11の先端
から少し離れた位置の外周に、例えばコイルLが設けら
れ、放電の開始を容易にする。
【0004】図4に示すように、陽極12の先端は、例え
ばドーム状または円錐台形(切頭円錐形)状に加工され
ている。また、例えば0.6mmの細い陰極11の先端11
aは、陽極12の先端11aから所定寸法、例えば2.0m
m離間して配置している。この陰極11の先端から少し離
れた位置には、上述したコイルLに代わって、ピッチ11
c、外径11d示すような突起部11bを例えばNC旋盤等
で加工形成している。このような電極11、12は、一般
に、動作時に高温になるので、タングステンまたは特開
平9-76092号公報の「タングステン電極材料」等に開示
するように少量の硼化ランタン等を含むタングステンに
より製造される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の放電
ランプにおいては、陰極先端形状を例えば図2(D)の
断面図に示すように、約50°〜70°の円錐形状にす
ると、所定時間のランニング(放電動作)後に、点灯中
の再結晶時の結晶場所にばらつきがあるために、図2
(E)に示すように陰極11の先端に複数の「こぶ」また
は「割れ」が生じる。このように電極先端部に変形が生
じる原因は、先端部の温度分布の高温点が比較的広範に
に及ぶためと考えられる。その結果、放電点が移動し
て、発光時間に対する発光照度特性は、図2(F)に示
すように不安定になる(またはデジタル的に変化する)
という課題を有していた。一方、陰極11の先端を図2
(G)に示すように約30°の鋭角の円錐状に加工形成
すると、所定時間のランニング後でも、図2(H)に示
すように、実質的に変形を生じない。その理由は、温度
分布の高温点が最先端部のみであるためと考えられる。
しかし、図2(I)の照度特性に示すように、5〜10
分間に照度が徐々に低下し、その後突然に照度が増加
し、その後、徐々に一定値に落ち着くという好ましくな
い照度特性を呈するという課題を有している。
【0006】そこで、本発明は、ランニング中の電極先
端形状および放電点が安定し、照度特性(経時変化)が
安定している放電ランプおよびその電極を提供すること
を目的として考えられたものである。
【0007】
【課題解決のための手段】本発明の放電ランプは、放電
管内に一定間隔で配置された1対の電極を有し、この1
対の電極に放電電流を供給して放電させるものであっ
て、1対の電極の一方は、他方の電極に対向する円柱状
本体部の一端に形成された略円錐台形の第1先端部と、
この第1先端部の先端から突出する円錐形の第2先端部
とを備えることを特徴とする。本発明の好適な実施形態
によると、第2先端部の円錐形の角度を第1先端部の円
錐形の角度より十分に小さく選定することを特徴とす
る。第1先端部の円錐台形の角度を約50°乃至90°
に選定することを特徴とする。第2先端部の円錐形の角
度を約20°乃至40°に選定することを特徴とする。
電極は、重量比約2%の酸化ランタンを含むタングステ
ン合金より形成することを特徴とする。電極の本体部の
外周に重量比約2%の酸化トリウムを含むタングステン
合金の細線を巻回したコイルを有することを特徴とす
る。また、一方の電極は陰極であり、陽極はドーム状の
先端を有することを特徴とする。
【0008】また、本発明の放電ランプ用電極は、略円
柱状の本体部と、この本体部の放電端側に形成された略
円錐台形の第1先端部と、この第1先端部の先端から突
出する略円錐形の第2先端部とを備えることを特徴とす
る。好適な実施形態によると、この電極は、重量比約2
%の酸化ランタンを含むタングステン合金を加工して形
成することを特徴とする。本体部の外周にタングステン
またはタングステン合金の細線を巻介して形成したコイ
ルを備えることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明による放電ランプお
よびその電極の好適な実施形態の構成および動作を、添
付図面を参照して詳細に説明する。
【0010】図1は、本発明による放電ランプ用電極の
好適な実施形態の構成を示す。図1(A)は電極の正面
図であり、(B)は(A)に示す電極の縦断面図であ
る。この電極20は、例えば、ショートアーク型放電ラン
プを構成する1対の電極の一方(例えば、陰極)であ
る。この電極20は、例えば重量比で約2%の酸化ランタ
ンを含むタングステン合金(La23:W)の棒状体
を、例えばNC旋盤を使用して機械加工により製造され
る。
【0011】この電極20は、比較的大径の円柱状の本体
部21、その一端の広角かつ略円錐台形の第1先端部22、
この第1先端部22の先端に突出形成された鋭角かつ略円
錐状の第2先端部23、本体部21の他端側の比較的小径部
24およびこの小径部24からさらに他方に延びる薄く加工
された板状部25により構成される。この板状部25の自由
端26は、例えば約30°のテーパ26とされている。な
お、図示せずも、この板状部25の他端には外部ブリード
が形成または溶接等で接続されてもよい。また、本体部
21の外周には、例えば約2%の酸化トリウムを含むタン
グステン合金(ThO2:W)の細線(直径約0.4m
m)によるコイル27が、複数回(例えば約15回)巻回
され、放電ランプ用電極(陰極)に使用されるとき、放
電開始を容易にしている。
【0012】本発明の好適な実施形態では、本体部21の
直径は3.0mm、第2先端部23の長さは約2.0mmで
ある。この第2先端部23を含む本体部21の長さは約15
mmである。小径部24の直径は約2.5mmである。板
状部25の厚さは、約1.0mmである。また、電極20の
全長は、約27mmである。電極20の第1先端部22の円
錐台形をなす角度αは、例えば約50°〜90°(好ま
しくは約70°)の広角である。一方、第2先端部23の
なす角度βは、角度αより十分小さい鋭角であり、例え
ば約30°であり、その基部の直径は本体部21より十分
小さいこと勿論である。
【0013】本発明の放電ランプまたは小型ショートア
ークランプは、例えば図3に示すような形状の放電管内
に図1に示すような特定形状である電極20(特に、広角
かつ円錐台形の第1先端部22および鋭角の第2先端部23
を有する)を陰極とし、これと対向させた陽極を封止す
ることにより構成可能である。陽極の先端形状は、ドー
ム状または円錐台形となし得る。なお、放電管は、特に
この特定形状に限定するものではないこと勿論である。
このような構成の放電ランプによると、図2(A)に示
すような電極(陰極)は、例えば1000時間のランニング
後にあっても図2(B)に示すようにその形状を維持す
る。そして、その照度特性は、図2(C)に示すよう
に、十分長いランニング中において極めて安定している
ことが実験により確認された。
【0014】本発明による放電ランプおよびその電極に
より、上述のような良好な特性が得られる理由は、次の
通りであると考えられる。即ち、ランニング中の温度分
布の高温点は、第2先端部23の最先端部に集中する。次
先端部の動作温度は、比較的低温であり最先端部の冷却
効果を高める。さらに、第2先端部23における先端、中
間および末端に温度差を発生させる。これにより、第2
先端部23の先端が最高温度点となり、ここに放電点が集
中するのでビームが安定し、揺らぎ等の不安定要因が効
果的に抑えられる。
【0015】以上、本発明による放電ランプおよびその
電極の好適な実施形態の構成および動作を詳述した。し
かし、このような実施形態は、本発明の単なる例示に過
ぎず、何ら本発明を限定するものではない。本発明の要
旨を逸脱することなく、特定用途に応じて、上述した実
施形態から種々の変形変更が可能であること当業者には
容易に理解できよう。
【0016】
【発明の効果】以上の説明から理解されるように、本発
明の放電ランプによると、特定形状の電極を使用するこ
とにより、長時間にわたり照度が安定しているという実
用上顕著な効果を奏することができる。また、本発明の
電極によると、略円錐台形の第1先端部および略円錐形
の第2先端部とを有するのでタングステンまたはタング
ステン合金の棒状体をNC旋盤等の従来の加工技術を使
用して、比較的簡単かつ安価に製造可能であり、特に小
型ショートアークランプの陰極として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による放電ランプ用電極の好適な実施形
態を示し、(A)は平面図であり、(B)はその縦断面
図である。
【図2】本発明の放電ランプおよび電極の特性を従来の
放電ランプおよび電極の特性と対比して示し、(A)〜
(C)は本発明であり、(D)〜(I)は従来技術であ
る。
【図3】従来の放電ランプの1例を示す全体構成であ
る。
【図4】従来の放電ランプの対向する電極部の拡大図で
ある。
【符号の説明】
1 放電管 10 発光部 11、20 電極(陰極) 12 電極(陽極) 21 本体部 22 第1先端部 23 第2先端部 27 コイル

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放電管内に一定間隔で配置された1対の
    電極を有し、該1対の電極間に放電電流を供給して放電
    させる放電ランプにおいて、 前記1対の電極の一方は、他方の電極に対向する円柱棒
    状電極本体部の一端に形成された略円錐台形の第1先端
    部と、該第1先端部の先端から突出する略円錐状の第2
    先端部とを備えることを特徴とする放電ランプ。
  2. 【請求項2】 前記第2先端部の前記円錐形の角度を前
    記第1先端部の前記円錐台形の角度より十分小さく選定
    することを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ。
  3. 【請求項3】 前記第1先端部の前記円錐台形の角度を
    約50°乃至約90°に選定することを特徴とする請求
    項1または2に記載の放電ランプ。
  4. 【請求項4】 前記第2先端部の前記円錐形の角度を約
    20°乃至約40°に選定することを特徴とする請求項
    3に記載の放電ランプ。
  5. 【請求項5】 前記電極は、重量比約2%の酸化ランタ
    ンを含むタングステン合金により形成することを特徴と
    する請求1乃至4の何れかに記載の放電ランプ。
  6. 【請求項6】 前記電極の前記本体部の外周に重量比約
    2%の酸化トリウムを含むタングステン合金の細線を巻
    回したコイルを有することを特徴とする請求項1乃至5
    の何れかに記載の放電ランプ。
  7. 【請求項7】 略円柱状の本体部と、該本体部の放電端
    側に形成された略円錐台形の第1先端部と、該第1先端
    部の先端から突出する略円錐形の第2先端部とを備える
    ことを特徴とする放電ランプ用電極。
  8. 【請求項8】 重量比約2%の酸化ランタンを含むタン
    グステン合金を加工して形成することを特徴とする請求
    項7に記載の放電ランプ用電極。
  9. 【請求項9】 前記本体部の外周にタングステンまたは
    タングステン合金の細線を巻回して形成したコイルを備
    えることを特徴とする請求項7または8に記載の放電ラ
    ンプ用電極。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6768263B2 (en) 2001-10-30 2004-07-27 Ushio Denki Kabushiki Kaisya Short arc type mercury lamp
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