JP2001351524A - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents
プラズマディスプレイパネルの製造方法Info
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- JP2001351524A JP2001351524A JP2001110702A JP2001110702A JP2001351524A JP 2001351524 A JP2001351524 A JP 2001351524A JP 2001110702 A JP2001110702 A JP 2001110702A JP 2001110702 A JP2001110702 A JP 2001110702A JP 2001351524 A JP2001351524 A JP 2001351524A
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- Joining Of Glass To Other Materials (AREA)
- Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)
- Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 高い発光効率で動作し色再現性の良好なPD
Pを提供する。また、PDPを製造する上で、仮焼工
程、封着工程、排気工程を、短い作業時間及び低い消費
エネルギーで行うことが可能な方法を提供する。 【解決手段】 PDPを製造する工程の中で、蛍光体焼
成工程、封着材仮焼工程、封着工程、排気工程などを、
乾燥ガス雰囲気中、もしくは減圧で乾燥ガスが流れる雰
囲気中で行う。或は、前面基板及び背面基板を対向面が
開放された状態で仮焼したり、前面基板及び背面基板を
内部空間に乾燥ガスを流しながら封着したり、前面基板
及び背面基板を、対向面が開放された状態で予備加熱し
た後、両基板を重ね合わせて封着する。或は、前面パネ
ル基板と背面パネル基板を重ね合わせて封着工程を行っ
た後、室温まで降下させることなく排気工程を開始す
る。或は、封着材仮焼工程の後、基板を室温まで降下さ
せることなく封着工程を開始する。
Pを提供する。また、PDPを製造する上で、仮焼工
程、封着工程、排気工程を、短い作業時間及び低い消費
エネルギーで行うことが可能な方法を提供する。 【解決手段】 PDPを製造する工程の中で、蛍光体焼
成工程、封着材仮焼工程、封着工程、排気工程などを、
乾燥ガス雰囲気中、もしくは減圧で乾燥ガスが流れる雰
囲気中で行う。或は、前面基板及び背面基板を対向面が
開放された状態で仮焼したり、前面基板及び背面基板を
内部空間に乾燥ガスを流しながら封着したり、前面基板
及び背面基板を、対向面が開放された状態で予備加熱し
た後、両基板を重ね合わせて封着する。或は、前面パネ
ル基板と背面パネル基板を重ね合わせて封着工程を行っ
た後、室温まで降下させることなく排気工程を開始す
る。或は、封着材仮焼工程の後、基板を室温まで降下さ
せることなく封着工程を開始する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラーテレビジョ
ン受像機のディスプレイ等に使用するプラズマディスプ
レイパネルの製造方法に関するものである。
ン受像機のディスプレイ等に使用するプラズマディスプ
レイパネルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータやテレビ等に用いら
れているディスプレイ装置において、プラズマディスプ
レイパネル(Plasma Display Panel,以下PDPと記載
する)は、大型で薄型軽量を実現することのできるもの
として注目されており、高精細なPDPに対する要望も
高まっている。
れているディスプレイ装置において、プラズマディスプ
レイパネル(Plasma Display Panel,以下PDPと記載
する)は、大型で薄型軽量を実現することのできるもの
として注目されており、高精細なPDPに対する要望も
高まっている。
【0003】図29は、一般的な交流型(AC型)PD
Pの一例を示す概略断面図である。本図において、前面
ガラス基板101上に表示電極102が形成され、この
表示電極102は誘電体ガラス層103及び酸化マグネ
シウム(MgO)からなる誘電体保護層104で覆われ
ている(例えば特開平5−342991号公報参照)。
Pの一例を示す概略断面図である。本図において、前面
ガラス基板101上に表示電極102が形成され、この
表示電極102は誘電体ガラス層103及び酸化マグネ
シウム(MgO)からなる誘電体保護層104で覆われ
ている(例えば特開平5−342991号公報参照)。
【0004】また、背面ガラス基板105上には、アド
レス電極106および隔壁107が設けられ、隔壁10
7どうしの間隙に各色(赤、緑、青)の蛍光体層110
〜112が設けられている。前面ガラス基板101は背
面ガラス基板105の隔壁107上に配設され、両基板
101・105間に放電ガスが封入されて放電空間10
9が形成されている。
レス電極106および隔壁107が設けられ、隔壁10
7どうしの間隙に各色(赤、緑、青)の蛍光体層110
〜112が設けられている。前面ガラス基板101は背
面ガラス基板105の隔壁107上に配設され、両基板
101・105間に放電ガスが封入されて放電空間10
9が形成されている。
【0005】このPDPにおいて、放電空間109で
は、放電に伴って真空紫外線(主に波長147nm)が
発生し、各色蛍光体層110〜112が励起発光される
ことによってカラー表示がなされる。上記PDPは、次
のように製造することができる。前面ガラス基板101
に、銀ペーストを塗布・焼成して表示電極102を形成
し、誘電体ガラスペーストを塗布し焼成して誘電体ガラ
ス層103を形成し、その上に保護層104を形成す
る。
は、放電に伴って真空紫外線(主に波長147nm)が
発生し、各色蛍光体層110〜112が励起発光される
ことによってカラー表示がなされる。上記PDPは、次
のように製造することができる。前面ガラス基板101
に、銀ペーストを塗布・焼成して表示電極102を形成
し、誘電体ガラスペーストを塗布し焼成して誘電体ガラ
ス層103を形成し、その上に保護層104を形成す
る。
【0006】背面ガラス基板105上に、銀ペーストを
塗布・焼成してアドレス電極106を形成し、ガラスペ
ーストを所定のピッチで塗布し焼成して隔壁107を形
成する。そして隔壁107の間に、各色蛍光体ペースト
を塗布し、500℃程度で焼成してペースト内の樹脂成
分等を除去することにより蛍光体層110〜112を形
成する。
塗布・焼成してアドレス電極106を形成し、ガラスペ
ーストを所定のピッチで塗布し焼成して隔壁107を形
成する。そして隔壁107の間に、各色蛍光体ペースト
を塗布し、500℃程度で焼成してペースト内の樹脂成
分等を除去することにより蛍光体層110〜112を形
成する。
【0007】蛍光体焼成後、背面ガラス基板105の周
囲に封着用ガラスフリットを塗布し、形成された封着ガ
ラス層内の樹脂成分等を除去するために350℃程度で
仮焼する(フリット仮焼工程)。その後、上記の前面ガ
ラス基板101と背面ガラス基板105とを、表示電極
102とアドレス電極106とが直交して対向するよう
積み重ねる。そして、これを封着用ガラスの軟化温度よ
りも高い温度(450℃程度)に加熱することによって
封着する(封着工程)。
囲に封着用ガラスフリットを塗布し、形成された封着ガ
ラス層内の樹脂成分等を除去するために350℃程度で
仮焼する(フリット仮焼工程)。その後、上記の前面ガ
ラス基板101と背面ガラス基板105とを、表示電極
102とアドレス電極106とが直交して対向するよう
積み重ねる。そして、これを封着用ガラスの軟化温度よ
りも高い温度(450℃程度)に加熱することによって
封着する(封着工程)。
【0008】その後、封着したパネルを350℃程度ま
で加熱しながら、両基板間に形成される内部空間(前面
板と背面板との間に形成され蛍光体が臨んでいる空間)
から排気し(排気工程)、排気終了後に放電ガスを所定
圧力(通常300〜500Torr)となるように導入
する。
で加熱しながら、両基板間に形成される内部空間(前面
板と背面板との間に形成され蛍光体が臨んでいる空間)
から排気し(排気工程)、排気終了後に放電ガスを所定
圧力(通常300〜500Torr)となるように導入
する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このようにして製造さ
れるPDPにおいて、輝度向上をはじめとして如何に発
光特性の優れたものとするかが課題となっている。その
ために例えば蛍光体自体の発光特性の改良もなされてき
ているが、更に、発光特性の優れたPDPとすることが
望まれる。
れるPDPにおいて、輝度向上をはじめとして如何に発
光特性の優れたものとするかが課題となっている。その
ために例えば蛍光体自体の発光特性の改良もなされてき
ているが、更に、発光特性の優れたPDPとすることが
望まれる。
【0010】また、上記のような製造方法を用いて、P
DPが量産化されつつあるが、現状ではCRTと比べる
とPDPはかなり製造コストが高いため、これを下げる
ことが望まれている。PDPを製造する上で、コストを
低減するには、いろいろな面から可能性が考えられる
が、例えば、上記のように加熱を必要とするいくつかの
工程において要する消費エネルギーや労力(作業時間)
が大きいことを考慮すると、これらを低減することが一
つの解決方法として望まれる。
DPが量産化されつつあるが、現状ではCRTと比べる
とPDPはかなり製造コストが高いため、これを下げる
ことが望まれている。PDPを製造する上で、コストを
低減するには、いろいろな面から可能性が考えられる
が、例えば、上記のように加熱を必要とするいくつかの
工程において要する消費エネルギーや労力(作業時間)
が大きいことを考慮すると、これらを低減することが一
つの解決方法として望まれる。
【0011】本発明は、高い発光効率で動作し色再現性
の良好なPDPを提供することを第1の目的とし、PD
Pを製造する上で、仮焼工程、封着工程、排気工程を、
短い作業時間及び低い消費エネルギーで行うことが可能
な方法を提供することによって製造コストを低減するこ
とを第2の目的とする。
の良好なPDPを提供することを第1の目的とし、PD
Pを製造する上で、仮焼工程、封着工程、排気工程を、
短い作業時間及び低い消費エネルギーで行うことが可能
な方法を提供することによって製造コストを低減するこ
とを第2の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的は、PD
Pにおいて、すべてのセルを同一電力条件で点灯させた
ときの発光色の色温度が7000K以上、好ましくは、
8000K以上,9000K以上,10000K以上と
なるようにすることによって達成できる。このように白
バランスにおける色温度を高くするためには、青色蛍光
体層の発光色度を向上させることが重要であって、青色
セルのみを点灯させたときの発光色の色度座標y(CI
E表色系)または青色蛍光体層を真空紫外線で励起した
ときに放出される光の色度座標yが、0.08以下、好
ましくは0.07以下,0.06以下となるようにすれ
ばよい。或は、青色セルのみを点灯させたときの発光ス
ペクトルにおけるピーク波長が455nm以下、好まし
くは453nm以下,451nm以下となるようにすれ
ばよい。
Pにおいて、すべてのセルを同一電力条件で点灯させた
ときの発光色の色温度が7000K以上、好ましくは、
8000K以上,9000K以上,10000K以上と
なるようにすることによって達成できる。このように白
バランスにおける色温度を高くするためには、青色蛍光
体層の発光色度を向上させることが重要であって、青色
セルのみを点灯させたときの発光色の色度座標y(CI
E表色系)または青色蛍光体層を真空紫外線で励起した
ときに放出される光の色度座標yが、0.08以下、好
ましくは0.07以下,0.06以下となるようにすれ
ばよい。或は、青色セルのみを点灯させたときの発光ス
ペクトルにおけるピーク波長が455nm以下、好まし
くは453nm以下,451nm以下となるようにすれ
ばよい。
【0013】また、上記のように青色蛍光体層の発光色
度を向上させれば、色再現性も向上される。上記のよう
に青色蛍光体層の発光色度が優れたPDPは、PDPを
製造する工程の中で、配設された蛍光体が加熱される工
程(蛍光体焼成工程、封着材仮焼工程、封着工程、排気
工程など)を、乾燥ガス雰囲気中、もしくは減圧で乾燥
ガスが流れる雰囲気中で行うことによって製造すること
ができる。
度を向上させれば、色再現性も向上される。上記のよう
に青色蛍光体層の発光色度が優れたPDPは、PDPを
製造する工程の中で、配設された蛍光体が加熱される工
程(蛍光体焼成工程、封着材仮焼工程、封着工程、排気
工程など)を、乾燥ガス雰囲気中、もしくは減圧で乾燥
ガスが流れる雰囲気中で行うことによって製造すること
ができる。
【0014】即ち、本発明者等は、従来のPDPの製造
方法において、蛍光体層が加熱される工程において、青
色蛍光体が熱劣化してその発光強度や発光色度が低下す
ることを見出し、上記製造方法を用いることによって、
この熱劣化を防止することを可能としたのである。ここ
で「乾燥ガス」というのは、通常より水蒸気分圧の小さ
いガスのことであって、乾燥処理された空気(乾燥空
気)を用いることが好ましい。
方法において、蛍光体層が加熱される工程において、青
色蛍光体が熱劣化してその発光強度や発光色度が低下す
ることを見出し、上記製造方法を用いることによって、
この熱劣化を防止することを可能としたのである。ここ
で「乾燥ガス」というのは、通常より水蒸気分圧の小さ
いガスのことであって、乾燥処理された空気(乾燥空
気)を用いることが好ましい。
【0015】乾燥ガスの雰囲気中での水蒸気分圧は、1
5Torr以下とすることが好ましく、更に、10To
rr以下,5Torr以下,1Torr以下,0.5T
orr以下とすることが好ましい。乾燥ガスの露点温度
は、20℃以下が好ましく、更に、10℃以下,0℃以
下,−20℃以下,−40℃以下とすることが好ましい
ということも言える。
5Torr以下とすることが好ましく、更に、10To
rr以下,5Torr以下,1Torr以下,0.5T
orr以下とすることが好ましい。乾燥ガスの露点温度
は、20℃以下が好ましく、更に、10℃以下,0℃以
下,−20℃以下,−40℃以下とすることが好ましい
ということも言える。
【0016】また、上記のように青色蛍光体層の発光色
度が優れたPDPは、前面基板及び背面基板を対向面が
開放された状態で仮焼する方法、前面基板及び背面基板
を内部空間に乾燥ガスを流しながら封着する方法、ある
いは、前面基板及び背面基板を、対向面が開放された状
態で予備加熱した後、両基板を重ね合わせて封着する方
法を用いることによっても製造することができる。
度が優れたPDPは、前面基板及び背面基板を対向面が
開放された状態で仮焼する方法、前面基板及び背面基板
を内部空間に乾燥ガスを流しながら封着する方法、ある
いは、前面基板及び背面基板を、対向面が開放された状
態で予備加熱した後、両基板を重ね合わせて封着する方
法を用いることによっても製造することができる。
【0017】また、前面パネル基板と背面パネル基板を
重ね合わせた状態で封着材を封着温度に保って封着する
封着工程を行った後、室温まで降下させることなく、封
着された両基板間の内部空間の気体を排気する排気工程
を開始すること、或は、封着材が配設された基板を仮焼
温度に保って仮焼する封着材仮焼工程の後、当該基板を
室温まで降下させることなく封着工程を開始することに
よって、上記第1の目的と共に第2の目的を達成でき
る。
重ね合わせた状態で封着材を封着温度に保って封着する
封着工程を行った後、室温まで降下させることなく、封
着された両基板間の内部空間の気体を排気する排気工程
を開始すること、或は、封着材が配設された基板を仮焼
温度に保って仮焼する封着材仮焼工程の後、当該基板を
室温まで降下させることなく封着工程を開始することに
よって、上記第1の目的と共に第2の目的を達成でき
る。
【0018】即ち、実際の製造工程において、このよう
な各工程は加熱炉を用いて行うが、従来は一般的に、封
着材仮焼工程、封着工程、排気工程が別々に行われ、工
程と工程との間では基板が室温まで冷却されていたた
め、後の工程で再び加熱昇温するのに、それだけ長い時
間と多くのエネルギーが消費されるが、これに対して、
上記のように工程と工程との間で基板を室温まで降温す
ることなく行えば、加熱に要する時間及び消費エネルギ
ーを低減することができる。
な各工程は加熱炉を用いて行うが、従来は一般的に、封
着材仮焼工程、封着工程、排気工程が別々に行われ、工
程と工程との間では基板が室温まで冷却されていたた
め、後の工程で再び加熱昇温するのに、それだけ長い時
間と多くのエネルギーが消費されるが、これに対して、
上記のように工程と工程との間で基板を室温まで降温す
ることなく行えば、加熱に要する時間及び消費エネルギ
ーを低減することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】[実施の形態1]図1は、実施の
形態に係る交流面放電型PDPを示す要部斜視図であっ
て、本図ではPDPの中央部にある表示領域を部分的に
示している。このPDPは、前面ガラス基板11上に表
示電極12(走査電極12a,維持電極12b)、誘電
体層13、保護層14が配されてなる前面パネル基板1
0と、背面ガラス基板21上にアドレス電極22、誘電
体層23が配された背面パネル基板20とが、表示電極
12a,12bとアドレス電極22とを対向させた状態
で互いに平行に間隔をおいて配されて構成されている。
そして、前面パネル基板10と背面パネル基板20との
間隙は、ストライプ状の隔壁24で仕切られることによ
って放電空間30が形成され、当該放電空間30内には
放電ガスが封入されている。
形態に係る交流面放電型PDPを示す要部斜視図であっ
て、本図ではPDPの中央部にある表示領域を部分的に
示している。このPDPは、前面ガラス基板11上に表
示電極12(走査電極12a,維持電極12b)、誘電
体層13、保護層14が配されてなる前面パネル基板1
0と、背面ガラス基板21上にアドレス電極22、誘電
体層23が配された背面パネル基板20とが、表示電極
12a,12bとアドレス電極22とを対向させた状態
で互いに平行に間隔をおいて配されて構成されている。
そして、前面パネル基板10と背面パネル基板20との
間隙は、ストライプ状の隔壁24で仕切られることによ
って放電空間30が形成され、当該放電空間30内には
放電ガスが封入されている。
【0020】また、この放電空間30内において、背面
パネル基板20側には、蛍光体層25が配設されてい
る。なお、蛍光体層25は、赤,緑,青の順で繰返し並
べられている。表示電極12及びアドレス電極22は、
共にストライプ状であって、表示電極12は隔壁24と
直交する方向に、アドレス電極22は隔壁24と平行に
配されている。そして、表示電極12とアドレス電極2
2が交差するところに、赤,緑,青の各色を発光するセ
ルが形成されたパネル構成となっている。
パネル基板20側には、蛍光体層25が配設されてい
る。なお、蛍光体層25は、赤,緑,青の順で繰返し並
べられている。表示電極12及びアドレス電極22は、
共にストライプ状であって、表示電極12は隔壁24と
直交する方向に、アドレス電極22は隔壁24と平行に
配されている。そして、表示電極12とアドレス電極2
2が交差するところに、赤,緑,青の各色を発光するセ
ルが形成されたパネル構成となっている。
【0021】そして、このPDPを駆動する時には、駆
動回路(不図示)によって、走査電極12aとアドレス
電極22とにアドレス放電パルスを印加することによっ
て、発光させようとするセルに壁電荷を蓄積し、その
後、表示電極対12a,12bに維持放電パルスを印加
することによって壁電荷が蓄積されたセルで維持放電を
行うという動作を繰り返すことによって発光表示を行
う。
動回路(不図示)によって、走査電極12aとアドレス
電極22とにアドレス放電パルスを印加することによっ
て、発光させようとするセルに壁電荷を蓄積し、その
後、表示電極対12a,12bに維持放電パルスを印加
することによって壁電荷が蓄積されたセルで維持放電を
行うという動作を繰り返すことによって発光表示を行
う。
【0022】アドレス電極22は、金属電極(例えば、
銀電極あるいはCr−Cu−Cr電極)である。表示電
極12は、ITO,SnO2,ZnO等の導電性金属酸
化物からなる幅広の透明電極の上に、細い幅のバス電極
(銀電極,Cr−Cu−Cr電極)を積層させた電極構
成とするのが、表示電極の抵抗を低く且つセル内の放電
面積を広く確保する上で好ましいが、アドレス電極22
と同様に銀電極とすることもできる。
銀電極あるいはCr−Cu−Cr電極)である。表示電
極12は、ITO,SnO2,ZnO等の導電性金属酸
化物からなる幅広の透明電極の上に、細い幅のバス電極
(銀電極,Cr−Cu−Cr電極)を積層させた電極構
成とするのが、表示電極の抵抗を低く且つセル内の放電
面積を広く確保する上で好ましいが、アドレス電極22
と同様に銀電極とすることもできる。
【0023】誘電体層13は、前面ガラス基板11の表
示電極12が配された表面全体を覆って配設された誘電
物質からなる層であって、一般的に、鉛系低融点ガラス
が用いられているが、ビスマス系低融点ガラス、或は鉛
系低融点ガラスとビスマス系低融点ガラスの積層物で形
成しても良い。保護層14は、酸化マグネシウム(Mg
O)からなる薄層であって、誘電体層13の表面全体を
覆っている。
示電極12が配された表面全体を覆って配設された誘電
物質からなる層であって、一般的に、鉛系低融点ガラス
が用いられているが、ビスマス系低融点ガラス、或は鉛
系低融点ガラスとビスマス系低融点ガラスの積層物で形
成しても良い。保護層14は、酸化マグネシウム(Mg
O)からなる薄層であって、誘電体層13の表面全体を
覆っている。
【0024】誘電体層23は、誘電体層13と同様のも
のであるが、可視光反射層としての働きも兼ねるように
TiO2粒子が混合されている。隔壁24は、ガラス材
料からなり、背面パネル基板20の誘電体層23の表面
上に突設されている。蛍光体層25を構成する蛍光体材
料として、ここでは、 青色蛍光体: BaMgAl10O17:Eu 緑色蛍光体: Zn2SiO4:Mn 赤色蛍光体: Y2O3:Eu を用いることとする。
のであるが、可視光反射層としての働きも兼ねるように
TiO2粒子が混合されている。隔壁24は、ガラス材
料からなり、背面パネル基板20の誘電体層23の表面
上に突設されている。蛍光体層25を構成する蛍光体材
料として、ここでは、 青色蛍光体: BaMgAl10O17:Eu 緑色蛍光体: Zn2SiO4:Mn 赤色蛍光体: Y2O3:Eu を用いることとする。
【0025】これらの蛍光体材料の組成は、従来からP
DPに用いられているものと基本的には同じであるが、
従来のPDPにおける蛍光体層と比べて、製造工程で蛍
光体が受けた熱劣化の度合が少ないため、発光色がより
良好である。ここで、発光色が良好であるというのは、
青色セルが発光する光の色度座標y値が小さく(青色発
光のピーク波長が短い)、青色付近における色再現域が
広くなっている。
DPに用いられているものと基本的には同じであるが、
従来のPDPにおける蛍光体層と比べて、製造工程で蛍
光体が受けた熱劣化の度合が少ないため、発光色がより
良好である。ここで、発光色が良好であるというのは、
青色セルが発光する光の色度座標y値が小さく(青色発
光のピーク波長が短い)、青色付近における色再現域が
広くなっている。
【0026】従来の一般的なPDPでは、青色セルのみ
を点灯させたときの発光色の色度座標y(CIE表色
系)が0.085以上(発光スペクトルのピーク波長が
456nm以上)であって、色補正なしの白バランスで
色温度が6000K程度である。この白バランスでの色
温度を向上させる技術として、例えば、青色セルの幅
(隔壁ピッチ)だけを大きく設定し、青色セルの面積を
緑色セルや赤色セルの面積よりも大きくする技術も知ら
れているが、この方法で色温度7000K以上とするに
は、青色セルの面積を緑色セルや赤色セルの面積と比べ
て1.3倍程度以上に設定しなければならない。
を点灯させたときの発光色の色度座標y(CIE表色
系)が0.085以上(発光スペクトルのピーク波長が
456nm以上)であって、色補正なしの白バランスで
色温度が6000K程度である。この白バランスでの色
温度を向上させる技術として、例えば、青色セルの幅
(隔壁ピッチ)だけを大きく設定し、青色セルの面積を
緑色セルや赤色セルの面積よりも大きくする技術も知ら
れているが、この方法で色温度7000K以上とするに
は、青色セルの面積を緑色セルや赤色セルの面積と比べ
て1.3倍程度以上に設定しなければならない。
【0027】これに対し、本実施の形態のPDPでは、
青色セルのみを点灯させたときの発光色の色度座標yが
0.08以下、発光スペクトルのピーク波長が455n
m以下であって、これにより、特に青色セルの面積を大
きく設定しなくても、色補正なしの白バランスで色温度
を7000K以上にすることが可能となっている。ま
た、製造時の条件によっては、色度座標yをもっと低く
するができ、色補正なしの白バランスで色温度も100
00K程度とすることが可能でなる。
青色セルのみを点灯させたときの発光色の色度座標yが
0.08以下、発光スペクトルのピーク波長が455n
m以下であって、これにより、特に青色セルの面積を大
きく設定しなくても、色補正なしの白バランスで色温度
を7000K以上にすることが可能となっている。ま
た、製造時の条件によっては、色度座標yをもっと低く
するができ、色補正なしの白バランスで色温度も100
00K程度とすることが可能でなる。
【0028】なお、青色セルの色度座標yの値が小さい
ことと、青色発光のピーク波長が短いこととが同等の意
味を持つことは、実施の形態3並びに実施の形態5で説
明する。また、青色セルの色度座標yの値が小さいほど
色再現域が広くなることや、青色セルが発光する光の色
度座標y値と、色補正なしの白バランスでの色温度との
関係については、後の実施例のところで詳述する。
ことと、青色発光のピーク波長が短いこととが同等の意
味を持つことは、実施の形態3並びに実施の形態5で説
明する。また、青色セルの色度座標yの値が小さいほど
色再現域が広くなることや、青色セルが発光する光の色
度座標y値と、色補正なしの白バランスでの色温度との
関係については、後の実施例のところで詳述する。
【0029】なお、本実施の形態では、40インチクラ
スのハイビジョンテレビに合わせて、誘電体層13の膜
厚は20μm程度、保護層14の膜厚は0.5μm程度
とする。また、隔壁24の高さは0.1〜0.15m
m、隔壁ピッチは0.15〜0.3mm、蛍光体層25
の膜厚は5〜50μmとする。また、封入する放電ガス
は、Ne−Xe系で、Xeの含有量は5体積%とし、封
入圧力は500〜800Torrの範囲に設定する。
スのハイビジョンテレビに合わせて、誘電体層13の膜
厚は20μm程度、保護層14の膜厚は0.5μm程度
とする。また、隔壁24の高さは0.1〜0.15m
m、隔壁ピッチは0.15〜0.3mm、蛍光体層25
の膜厚は5〜50μmとする。また、封入する放電ガス
は、Ne−Xe系で、Xeの含有量は5体積%とし、封
入圧力は500〜800Torrの範囲に設定する。
【0030】PDPの駆動時には、図2に示すように、
PDPに各ドライバ及びパネル駆動回路100を接続し
て、点灯させようとするセルの走査電極12aとアドレ
ス電極22間に印加してアドレス放電を行った後に、表
示電極12a,12b間にパルス電圧を印加して維持放
電を行う。そして、当該セルで放電に伴って紫外線を発
光し、蛍光体層25で可視光に変換する。このようにし
てセルが点灯することによって、画像が表示される。 〔PDPの作製方法について〕以下、上記構成のPDP
を製造する方法について説明する。
PDPに各ドライバ及びパネル駆動回路100を接続し
て、点灯させようとするセルの走査電極12aとアドレ
ス電極22間に印加してアドレス放電を行った後に、表
示電極12a,12b間にパルス電圧を印加して維持放
電を行う。そして、当該セルで放電に伴って紫外線を発
光し、蛍光体層25で可視光に変換する。このようにし
てセルが点灯することによって、画像が表示される。 〔PDPの作製方法について〕以下、上記構成のPDP
を製造する方法について説明する。
【0031】(前面パネル基板の作製)前面パネル基板
10は、前面ガラス基板11上に、銀電極用のペースト
をスクリーン印刷で塗布した後に焼成することにより表
示電極12を形成し、その上を覆うように、鉛系のガラ
ス材料(その組成は、例えば、酸化鉛[PbO]70重
量%,酸化硼素[B2O3]15重量%,酸化硅素[Si
O2]15重量%。)を含むペーストをスクリーン印刷
法で塗布し焼成することによって、誘電体層13を形成
し、更に誘電体層13の表面に真空蒸着法などで酸化マ
グネシウム(MgO)からなる保護層14を形成するこ
とによって作製する。
10は、前面ガラス基板11上に、銀電極用のペースト
をスクリーン印刷で塗布した後に焼成することにより表
示電極12を形成し、その上を覆うように、鉛系のガラ
ス材料(その組成は、例えば、酸化鉛[PbO]70重
量%,酸化硼素[B2O3]15重量%,酸化硅素[Si
O2]15重量%。)を含むペーストをスクリーン印刷
法で塗布し焼成することによって、誘電体層13を形成
し、更に誘電体層13の表面に真空蒸着法などで酸化マ
グネシウム(MgO)からなる保護層14を形成するこ
とによって作製する。
【0032】(背面パネル基板の作製)背面パネル基板
は、背面ガラス基板21上に、銀電極用のペーストをス
クリーン印刷しその後焼成する方法によってアドレス電
極22を形成し、その上に、TiO2粒子と誘電体ガラス
粒子とを含むペーストをスクリーン印刷法で塗布して焼
成することによって誘電体層23を形成し、同じくガラ
ス粒子を含むペーストをスクリーン印刷法を用いて所定
のピッチで繰返し塗布した後、焼成することによって隔
壁24を形成する。
は、背面ガラス基板21上に、銀電極用のペーストをス
クリーン印刷しその後焼成する方法によってアドレス電
極22を形成し、その上に、TiO2粒子と誘電体ガラス
粒子とを含むペーストをスクリーン印刷法で塗布して焼
成することによって誘電体層23を形成し、同じくガラ
ス粒子を含むペーストをスクリーン印刷法を用いて所定
のピッチで繰返し塗布した後、焼成することによって隔
壁24を形成する。
【0033】そして、赤色,緑色,青色の各色蛍光体ペ
ーストを作製し、これを隔壁24どうしの間隙にスクリ
ーン印刷法で塗布し、後で詳述するように空気中で焼成
することによって各色蛍光体層25を形成する。ここで
用いる各色蛍光体ペーストは、以下のようにして作製す
ることができる。
ーストを作製し、これを隔壁24どうしの間隙にスクリ
ーン印刷法で塗布し、後で詳述するように空気中で焼成
することによって各色蛍光体層25を形成する。ここで
用いる各色蛍光体ペーストは、以下のようにして作製す
ることができる。
【0034】青色蛍光体(BaMgAl10O17:Eu)
は、原料として、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸マ
グネシウム(MgCO3)、酸化アルミニウム(α−A
l2O3)をBa,Mg,Alの原子比で1対1対10に
なるように配合する。次に、この混合物に対して所定量
の酸化ユーロピウム(Eu203)を添加する。そして、
適量のフラックス(AlF2,BaCl2)と共にボール
ミルで混合し、還元雰囲気(H2,N2中)下、所定時間
(例えば、0.5時間)、温度1400℃〜1650℃
で焼成することによって得られる。
は、原料として、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸マ
グネシウム(MgCO3)、酸化アルミニウム(α−A
l2O3)をBa,Mg,Alの原子比で1対1対10に
なるように配合する。次に、この混合物に対して所定量
の酸化ユーロピウム(Eu203)を添加する。そして、
適量のフラックス(AlF2,BaCl2)と共にボール
ミルで混合し、還元雰囲気(H2,N2中)下、所定時間
(例えば、0.5時間)、温度1400℃〜1650℃
で焼成することによって得られる。
【0035】赤色蛍光体(Y2O3:Eu)は、原料とし
ての水酸化イットリウムY2(OH)3に、所定量の酸化ユ
ーロピウム(Eu2O3)を添加する。そして、適量のフ
ラックスと共にボールミルで混合し、空気中で、所定時
間(例えば1時間)、温度1200℃〜1450℃で焼
成することによって得られる。緑色蛍光体(Zn2Si
O4:Mn)は、原料として、酸化亜鉛(ZnO)、酸
化珪素(Si02)をZn,Siの原子比2対1になるよ
うに配合する。次に、この混合物に所定量の酸化マンガ
ン(Mn2O3)を添加する。そして、ボールミルで混合
後、空気中で、所定時間(例えば0.5時間)、温度1
200℃〜1350℃で焼成することによって得られ
る。
ての水酸化イットリウムY2(OH)3に、所定量の酸化ユ
ーロピウム(Eu2O3)を添加する。そして、適量のフ
ラックスと共にボールミルで混合し、空気中で、所定時
間(例えば1時間)、温度1200℃〜1450℃で焼
成することによって得られる。緑色蛍光体(Zn2Si
O4:Mn)は、原料として、酸化亜鉛(ZnO)、酸
化珪素(Si02)をZn,Siの原子比2対1になるよ
うに配合する。次に、この混合物に所定量の酸化マンガ
ン(Mn2O3)を添加する。そして、ボールミルで混合
後、空気中で、所定時間(例えば0.5時間)、温度1
200℃〜1350℃で焼成することによって得られ
る。
【0036】このように作製された各色蛍光体を、粉砕
後ふるい分けすることによって、所定の粒径分布を有す
る各色蛍光体粒子が得られる。この各色蛍光体粒子をバ
インダ及び溶剤と混合することによって、各色蛍光体ペ
ーストが得られる。なお、蛍光体層25を形成する際に
は、上記のスクリーン印刷法による方法以外に、蛍光体
インキをノズルから吐出させながら走査する方法、ある
いは、各色の蛍光体材料を含有する感光性樹脂のシート
を作製し、これを背面ガラス基板21の隔壁24を配し
た側の面に貼り付け、フォトリソグラフィでパターニン
グし現像することにより不要な部分を除去する方法によ
っても形成することができる。
後ふるい分けすることによって、所定の粒径分布を有す
る各色蛍光体粒子が得られる。この各色蛍光体粒子をバ
インダ及び溶剤と混合することによって、各色蛍光体ペ
ーストが得られる。なお、蛍光体層25を形成する際に
は、上記のスクリーン印刷法による方法以外に、蛍光体
インキをノズルから吐出させながら走査する方法、ある
いは、各色の蛍光体材料を含有する感光性樹脂のシート
を作製し、これを背面ガラス基板21の隔壁24を配し
た側の面に貼り付け、フォトリソグラフィでパターニン
グし現像することにより不要な部分を除去する方法によ
っても形成することができる。
【0037】(前面パネル基板と背面パネル基板の封
着、真空排気、放電ガス封入)このように作製した前面
パネル基板10及び背面パネル基板20のどちらか一方
または両方に封着用ガラスフリットを塗布して封着ガラ
ス層を形成し、後で詳述するように、ガラスフリット内
の樹脂成分等を除去するために仮焼し、前面パネル基板
10の表示電極12と背面パネル基板20のアドレス電
極22とが直交して対向するように重ね合わせ、重ね合
わせた両基板10,20を、後で詳述するように加熱し
て封着ガラス層を軟化させることによって封着する。
着、真空排気、放電ガス封入)このように作製した前面
パネル基板10及び背面パネル基板20のどちらか一方
または両方に封着用ガラスフリットを塗布して封着ガラ
ス層を形成し、後で詳述するように、ガラスフリット内
の樹脂成分等を除去するために仮焼し、前面パネル基板
10の表示電極12と背面パネル基板20のアドレス電
極22とが直交して対向するように重ね合わせ、重ね合
わせた両基板10,20を、後で詳述するように加熱し
て封着ガラス層を軟化させることによって封着する。
【0038】そして、封着したパネル基板の内部空間を
真空排気しながらパネルを焼成する(350℃で3時
間)。その後、上記組成の放電ガスを所定の圧力で封入
することによってPDPが作製される。 (蛍光体焼成工程、フリット仮焼工程、封着工程につい
ての詳細)蛍光体の焼成工程、フリット仮焼工程、封着
工程について以下に詳細に説明する。
真空排気しながらパネルを焼成する(350℃で3時
間)。その後、上記組成の放電ガスを所定の圧力で封入
することによってPDPが作製される。 (蛍光体焼成工程、フリット仮焼工程、封着工程につい
ての詳細)蛍光体の焼成工程、フリット仮焼工程、封着
工程について以下に詳細に説明する。
【0039】図3は、本実施の形態で、蛍光体の焼成時
及び仮焼時に使用するベルト式加熱装置の構成を模式的
に示す図である。この加熱装置40は、基板を加熱する
加熱炉41、加熱炉41内を通過するようパネル基板を
搬送する搬送ベルト42、加熱炉41内に雰囲気ガスを
導入するガス導入パイプ43などから構成されており、
加熱炉41内には、搬送方向に沿って複数のヒータ(不
図示)が設置されている。
及び仮焼時に使用するベルト式加熱装置の構成を模式的
に示す図である。この加熱装置40は、基板を加熱する
加熱炉41、加熱炉41内を通過するようパネル基板を
搬送する搬送ベルト42、加熱炉41内に雰囲気ガスを
導入するガス導入パイプ43などから構成されており、
加熱炉41内には、搬送方向に沿って複数のヒータ(不
図示)が設置されている。
【0040】そして、各ヒータで加熱炉41の入口44
から出口45に至るまでの各箇所の温度を設定すること
によって、任意の温度プロファイルで基板を焼成するこ
とができ、また、ガス導入パイプ43から雰囲気ガスを
導入することによって、加熱炉41内を雰囲気ガスで満
たすことができるようになっている。雰囲気ガスとして
乾燥空気を送り込む場合、空気を低温(マイナス数十
度)に冷却して水分を凝結させるガス乾燥器(不図示)
を経由させ、空気中の水蒸気量(水蒸気分圧)を低減す
ることによって、乾燥空気を生成することができる。
から出口45に至るまでの各箇所の温度を設定すること
によって、任意の温度プロファイルで基板を焼成するこ
とができ、また、ガス導入パイプ43から雰囲気ガスを
導入することによって、加熱炉41内を雰囲気ガスで満
たすことができるようになっている。雰囲気ガスとして
乾燥空気を送り込む場合、空気を低温(マイナス数十
度)に冷却して水分を凝結させるガス乾燥器(不図示)
を経由させ、空気中の水蒸気量(水蒸気分圧)を低減す
ることによって、乾燥空気を生成することができる。
【0041】蛍光体焼成時には、この加熱装置40を用
いて、蛍光体層25を形成した背面ガラス基板21を、
乾燥空気中で焼成する(ピーク温度520℃、10分
間)。このように、蛍光体焼成時に乾燥ガスを流しなが
ら焼成することによって、蛍光体焼成時における雰囲気
中の水蒸気による熱劣化を抑えることができる。このと
き用いる乾燥空気中の水蒸気分圧は、低く設定するほど
蛍光体の熱劣化を抑える効果は大きい。即ち、水蒸気分
圧は、15Torr以下とすることが望ましく、更に、
10Torr以下、5Torr以下、1Torr、0.
1Torr以下と低くするにしたがって効果が顕著にな
る。
いて、蛍光体層25を形成した背面ガラス基板21を、
乾燥空気中で焼成する(ピーク温度520℃、10分
間)。このように、蛍光体焼成時に乾燥ガスを流しなが
ら焼成することによって、蛍光体焼成時における雰囲気
中の水蒸気による熱劣化を抑えることができる。このと
き用いる乾燥空気中の水蒸気分圧は、低く設定するほど
蛍光体の熱劣化を抑える効果は大きい。即ち、水蒸気分
圧は、15Torr以下とすることが望ましく、更に、
10Torr以下、5Torr以下、1Torr、0.
1Torr以下と低くするにしたがって効果が顕著にな
る。
【0042】なお、水蒸気分圧と露点温度とは一定の関
係があるので、乾燥空気中の水分について「露点温度」
を用いて言い換えると、露点温度を低く設定するほど、
蛍光体焼成時の熱劣化を抑えるのに好ましく、乾燥ガス
の露点温度としては20℃以下が好ましく、0℃以下、
−20℃以下、−40℃以下とするのがより好ましいと
言える。
係があるので、乾燥空気中の水分について「露点温度」
を用いて言い換えると、露点温度を低く設定するほど、
蛍光体焼成時の熱劣化を抑えるのに好ましく、乾燥ガス
の露点温度としては20℃以下が好ましく、0℃以下、
−20℃以下、−40℃以下とするのがより好ましいと
言える。
【0043】フリット仮焼時には、この加熱装置40を
用いて、封着ガラス層を形成した前面ガラス基板11あ
るいは背面ガラス基板21を、乾燥空気中で焼成する
(ピーク温度350℃、30分間)。この仮焼工程にお
いても、上記蛍光体焼成工程と同様に、加熱炉41内に
導入する乾燥空気は、水蒸気分圧を15Torr以下と
することが望ましく、さらに水蒸気分圧を、10Tor
r以下、5Torr以下、1Torr、0.1Torr
以下と低く設定するほど蛍光体の熱劣化を抑えることが
できる。即ち、乾燥空気の露点温度を20℃以下とする
のが好ましく、0℃以下、−20℃以下、−40℃以下
とするのがより好ましい。
用いて、封着ガラス層を形成した前面ガラス基板11あ
るいは背面ガラス基板21を、乾燥空気中で焼成する
(ピーク温度350℃、30分間)。この仮焼工程にお
いても、上記蛍光体焼成工程と同様に、加熱炉41内に
導入する乾燥空気は、水蒸気分圧を15Torr以下と
することが望ましく、さらに水蒸気分圧を、10Tor
r以下、5Torr以下、1Torr、0.1Torr
以下と低く設定するほど蛍光体の熱劣化を抑えることが
できる。即ち、乾燥空気の露点温度を20℃以下とする
のが好ましく、0℃以下、−20℃以下、−40℃以下
とするのがより好ましい。
【0044】図4は、封着用加熱装置の構成を模式的に
示す図である。この封着用加熱装置50は、内部に収納
される基板(ここでは重ね合わせられた前面パネル基板
10及び背面パネル基板20)を加熱する加熱炉51
と、加熱炉51の外部から両パネル基板10,20間の
内部空間に雰囲気ガスを送り込む配管52a、この内部
空間から加熱炉51の外部に雰囲気ガスを排出する配管
52bとから構成されている。配管52aには、雰囲気
ガスとしての乾燥空気を送り込むガス供給源53が接続
され、配管52bには真空ポンプ54が接続されてい
る。また、配管52a及び配管52bには、これを通過
するガスの流量を調整する調整バルブ55a及び調整バ
ルブ55bが設けられている。
示す図である。この封着用加熱装置50は、内部に収納
される基板(ここでは重ね合わせられた前面パネル基板
10及び背面パネル基板20)を加熱する加熱炉51
と、加熱炉51の外部から両パネル基板10,20間の
内部空間に雰囲気ガスを送り込む配管52a、この内部
空間から加熱炉51の外部に雰囲気ガスを排出する配管
52bとから構成されている。配管52aには、雰囲気
ガスとしての乾燥空気を送り込むガス供給源53が接続
され、配管52bには真空ポンプ54が接続されてい
る。また、配管52a及び配管52bには、これを通過
するガスの流量を調整する調整バルブ55a及び調整バ
ルブ55bが設けられている。
【0045】この封着用加熱装置50を用いて、以下の
ように封着工程を行う。背面パネル基板20には、表示
領域より外側の外周部に、通気口21a及び通気口21
bが設けられており、これらの通気口21a・21bに
はガラス管26a・26bが取り付けられている。な
お、図4では、背面パネル基板20における隔壁や蛍光
体は省略してある。
ように封着工程を行う。背面パネル基板20には、表示
領域より外側の外周部に、通気口21a及び通気口21
bが設けられており、これらの通気口21a・21bに
はガラス管26a・26bが取り付けられている。な
お、図4では、背面パネル基板20における隔壁や蛍光
体は省略してある。
【0046】前面パネル基板10と背面パネル基板20
とを、位置合わせしながら、封着ガラス層15が両基板
の間に介挿されるように重ね合わせ、加熱炉51の中に
入れる。ここで位置合わせされた前面パネル基板10と
背面パネル基板20とが位置ずれしないようにクランプ
等によって締め付けておくのが好ましい。そして、ガラ
ス管26a・26bに、加熱炉51の外部から挿設され
た配管52a・52bを連結し、配管52bから真空ポ
ンプ54で排気することによって内部空間を一旦真空に
した後、真空ポンプ54は使わずに配管52aから一定
の流量で乾燥空気を送り込む。これによって、両パネル
基板10・20間の内部空間に乾燥空気が流通し、配管
52bから排出される。
とを、位置合わせしながら、封着ガラス層15が両基板
の間に介挿されるように重ね合わせ、加熱炉51の中に
入れる。ここで位置合わせされた前面パネル基板10と
背面パネル基板20とが位置ずれしないようにクランプ
等によって締め付けておくのが好ましい。そして、ガラ
ス管26a・26bに、加熱炉51の外部から挿設され
た配管52a・52bを連結し、配管52bから真空ポ
ンプ54で排気することによって内部空間を一旦真空に
した後、真空ポンプ54は使わずに配管52aから一定
の流量で乾燥空気を送り込む。これによって、両パネル
基板10・20間の内部空間に乾燥空気が流通し、配管
52bから排出される。
【0047】このように乾燥空気を流しながら、両パネ
ル基板10・20を加熱する(ピーク温度450℃で3
0分間加熱)ことによって、封着ガラス層15を軟化さ
せて両パネル基板10・20を封着する。封着が完了す
れば、ガラス管26a・26bのどちらか一つを密栓
し、次の真空排気工程では、残りのガラス管に真空ポン
プを連結して行う。次に、放電ガスの封入工程では、残
りのガラス管に、放電ガスが入っているボンベを連結し
て、排気装置を作動させながら内部空間に放電ガスを封
入する。
ル基板10・20を加熱する(ピーク温度450℃で3
0分間加熱)ことによって、封着ガラス層15を軟化さ
せて両パネル基板10・20を封着する。封着が完了す
れば、ガラス管26a・26bのどちらか一つを密栓
し、次の真空排気工程では、残りのガラス管に真空ポン
プを連結して行う。次に、放電ガスの封入工程では、残
りのガラス管に、放電ガスが入っているボンベを連結し
て、排気装置を作動させながら内部空間に放電ガスを封
入する。
【0048】(本実施の形態の製造方法による効果)本
実施形態の封着方法によれば、従来の封着方法と比べ
て、次のような効果を奏する。通常、前面パネル基板や
背面パネル基板には、水蒸気などのガスが吸着されてい
るが、これらの基板を加熱昇温すると、吸着されている
ガスが放出される。
実施形態の封着方法によれば、従来の封着方法と比べ
て、次のような効果を奏する。通常、前面パネル基板や
背面パネル基板には、水蒸気などのガスが吸着されてい
るが、これらの基板を加熱昇温すると、吸着されている
ガスが放出される。
【0049】従来の一般的な製造方法では、仮焼工程の
後、封着工程では、前面パネル基板と背面パネル基板と
を室温で重ね合わせてから加熱昇温して封着するので、
この封着工程時に、前面パネル基板と背面パネル基板に
吸着されているガスが放出される。仮焼工程において、
基板に吸着されているガスがある程度抜けても、その
後、封着工程開始時まで大気中で室温にすることによっ
て再びガスが吸着されるので、封着工程においてガスの
放出は生じる。そして、放出されたガスが狭い内部空間
内に閉じ込められる。このとき、内部空間における水蒸
気分圧は、通常20Torr以上になることが測定の結
果わかっている。
後、封着工程では、前面パネル基板と背面パネル基板と
を室温で重ね合わせてから加熱昇温して封着するので、
この封着工程時に、前面パネル基板と背面パネル基板に
吸着されているガスが放出される。仮焼工程において、
基板に吸着されているガスがある程度抜けても、その
後、封着工程開始時まで大気中で室温にすることによっ
て再びガスが吸着されるので、封着工程においてガスの
放出は生じる。そして、放出されたガスが狭い内部空間
内に閉じ込められる。このとき、内部空間における水蒸
気分圧は、通常20Torr以上になることが測定の結
果わかっている。
【0050】そのため、内部空間に臨んでいる蛍光体層
25がガスの影響(特に保護層14から放出される水蒸
気の影響)で熱劣化しやすい。そして、蛍光体層(特に
青色蛍光体層)が熱劣化すると発光強度が低下する。こ
れに対して、本実施の形態のように、加熱時に内部空間
に乾燥空気を流通させて、内部空間内に発生する水蒸気
を外部に排出し続けることによって、水蒸気による蛍光
体層の熱劣化が抑えられる。
25がガスの影響(特に保護層14から放出される水蒸
気の影響)で熱劣化しやすい。そして、蛍光体層(特に
青色蛍光体層)が熱劣化すると発光強度が低下する。こ
れに対して、本実施の形態のように、加熱時に内部空間
に乾燥空気を流通させて、内部空間内に発生する水蒸気
を外部に排出し続けることによって、水蒸気による蛍光
体層の熱劣化が抑えられる。
【0051】この封着工程においても、上記蛍光体焼成
工程と同様に、内部空間を流す乾燥空気は、水蒸気分圧
を15Torr以下とすることが望ましく、さらに水蒸
気分圧を、10Torr以下、5Torr以下、1To
rr、0.1Torr以下と低く設定するほど蛍光体の
熱劣化を抑えることができる。即ち、乾燥空気の露点温
度を20℃以下とするのが好ましく、0℃以下、−20
℃以下、−40℃以下とするのがより好ましい。
工程と同様に、内部空間を流す乾燥空気は、水蒸気分圧
を15Torr以下とすることが望ましく、さらに水蒸
気分圧を、10Torr以下、5Torr以下、1To
rr、0.1Torr以下と低く設定するほど蛍光体の
熱劣化を抑えることができる。即ち、乾燥空気の露点温
度を20℃以下とするのが好ましく、0℃以下、−20
℃以下、−40℃以下とするのがより好ましい。
【0052】(雰囲気ガス中の水蒸気分圧についての考
察)雰囲気ガス中の水蒸気分圧を減少させることによっ
て、青色蛍光体の加熱による熱劣化を防止することが可
能であることについて、以下のように実験に基づいて考
察した:図5,6は、水蒸気分圧をいろいろと変えた空
気中で、青色蛍光体(BaMgAl10O17:Eu)を焼
成したときの相対発光強度及び色度座標yの測定結果で
ある。焼成条件として、ピーク温度は450℃とし、ピ
ーク温度で維持する時間は20分とした。
察)雰囲気ガス中の水蒸気分圧を減少させることによっ
て、青色蛍光体の加熱による熱劣化を防止することが可
能であることについて、以下のように実験に基づいて考
察した:図5,6は、水蒸気分圧をいろいろと変えた空
気中で、青色蛍光体(BaMgAl10O17:Eu)を焼
成したときの相対発光強度及び色度座標yの測定結果で
ある。焼成条件として、ピーク温度は450℃とし、ピ
ーク温度で維持する時間は20分とした。
【0053】図5に示す相対発光強度は、発光強度測定
値を、焼成前の青色蛍光体の発光強度測定値を基準値1
00としたときの相対値で表わしたものである。発光強
度は、分光光度計を用いて蛍光体層からの発光スペクト
ルを測定し、この測定値から色度座標y値を算出し、こ
の色度座標y値と、輝度計で予め測定した輝度値とか
ら、式(発光強度=輝度/色度座標y値)で算出した値
である。
値を、焼成前の青色蛍光体の発光強度測定値を基準値1
00としたときの相対値で表わしたものである。発光強
度は、分光光度計を用いて蛍光体層からの発光スペクト
ルを測定し、この測定値から色度座標y値を算出し、こ
の色度座標y値と、輝度計で予め測定した輝度値とか
ら、式(発光強度=輝度/色度座標y値)で算出した値
である。
【0054】なお、焼成前の青色蛍光体の色度座標y
は、0.052であった。図5,6の結果より、水蒸気
分圧が0Torr付近では、加熱に伴う発光強度の低下
並びに色度変化は全く見られないが、水蒸気分圧が増加
するに従って、青色の相対発光強度は低下し、青色の色
度座標yは大きくなっていることがわかる。
は、0.052であった。図5,6の結果より、水蒸気
分圧が0Torr付近では、加熱に伴う発光強度の低下
並びに色度変化は全く見られないが、水蒸気分圧が増加
するに従って、青色の相対発光強度は低下し、青色の色
度座標yは大きくなっていることがわかる。
【0055】ところで、青色蛍光体(BaMgAl10O
17:Eu)を加熱するときに発光強度が劣化したり色度
座標y値が大きくなったりするのは、付活剤Eu2+イオ
ンが加熱により酸化されEu3+イオンになることが原因
であると従来から考えられているが(J.Electr
ochem. Soc.Vol.145,No.11,
November 1998 参照)、上記の青色蛍光
体の色度座標y値が雰囲気中の水蒸気分圧に依存すると
いう結果とを組み合わせて考察すると、Eu2+イオンが
ガス雰囲気(例えば空気)中の酸素と直接反応するので
はなく、ガス雰囲気中の水蒸気によって劣化に係る反応
が促進されるものと考えられる。
17:Eu)を加熱するときに発光強度が劣化したり色度
座標y値が大きくなったりするのは、付活剤Eu2+イオ
ンが加熱により酸化されEu3+イオンになることが原因
であると従来から考えられているが(J.Electr
ochem. Soc.Vol.145,No.11,
November 1998 参照)、上記の青色蛍光
体の色度座標y値が雰囲気中の水蒸気分圧に依存すると
いう結果とを組み合わせて考察すると、Eu2+イオンが
ガス雰囲気(例えば空気)中の酸素と直接反応するので
はなく、ガス雰囲気中の水蒸気によって劣化に係る反応
が促進されるものと考えられる。
【0056】ちなみに、加熱温度をいろいろと変化させ
て、上記と同様にして青色蛍光体(BaMgAl
10O17:Eu)の熱による発光強度の低下度合や色度座
標yの変化を調べてみたところ、加熱温度が300℃か
ら600℃の範囲では、加熱温度が高いほど熱による発
光強度の低下は大きくなり、いずれの加熱温度でも水蒸
気分圧が高いほど発光強度の低下が大きくなるという傾
向が見られた。一方、水蒸気分圧が高いほど熱による色
度座標yの変化が大きくなるという傾向は見られたが、
色度座標yの変化度合が加熱温度に依存するという傾向
は見られなかった。
て、上記と同様にして青色蛍光体(BaMgAl
10O17:Eu)の熱による発光強度の低下度合や色度座
標yの変化を調べてみたところ、加熱温度が300℃か
ら600℃の範囲では、加熱温度が高いほど熱による発
光強度の低下は大きくなり、いずれの加熱温度でも水蒸
気分圧が高いほど発光強度の低下が大きくなるという傾
向が見られた。一方、水蒸気分圧が高いほど熱による色
度座標yの変化が大きくなるという傾向は見られたが、
色度座標yの変化度合が加熱温度に依存するという傾向
は見られなかった。
【0057】また、前面ガラス基板11、表示電極1
2、誘電体層13、保護層14、背面ガラス基板21、
アドレス電極22、誘電体層23、隔壁24、蛍光体層
25を形成する各部材を加熱したとき水蒸気放出量を測
定したところ、保護層14の材料であるMgOからの水
蒸気放出量が最も多かった。これより、封着時に蛍光体
層25の熱劣化を引き起こす主要な原因は、保護層14
(MgO)から水蒸気が放出されることにあると推測さ
れる。
2、誘電体層13、保護層14、背面ガラス基板21、
アドレス電極22、誘電体層23、隔壁24、蛍光体層
25を形成する各部材を加熱したとき水蒸気放出量を測
定したところ、保護層14の材料であるMgOからの水
蒸気放出量が最も多かった。これより、封着時に蛍光体
層25の熱劣化を引き起こす主要な原因は、保護層14
(MgO)から水蒸気が放出されることにあると推測さ
れる。
【0058】(本実施形態の変形例)なお、本実施の形
態では、封着工程において、内部空間に乾燥空気を一定
量流すようにしたが、内部空間を真空排気した後に乾燥
空気を導入する操作を交互に繰り返すことによっても、
内部空間に発生する水蒸気を効率的に排出することがで
き、蛍光体層の熱劣化を抑えることができる。
態では、封着工程において、内部空間に乾燥空気を一定
量流すようにしたが、内部空間を真空排気した後に乾燥
空気を導入する操作を交互に繰り返すことによっても、
内部空間に発生する水蒸気を効率的に排出することがで
き、蛍光体層の熱劣化を抑えることができる。
【0059】また、必ずしも、蛍光体焼成工程、仮焼工
程、封着工程の全てを乾燥ガス乾燥ガス雰囲気中で行わ
なくても、この中の1工程あるいは2工程だけを乾燥ガ
ス雰囲気中で行うことによっても、ある程度の効果を得
ることができる。また本実施形態では、封着工程におい
て、内部空間に雰囲気ガスとして乾燥空気を流したが、
蛍光体層と反応を起こさない窒素等の不活性ガスであっ
て水蒸気分圧の低いものを流しても、同様の効果が得ら
れる。
程、封着工程の全てを乾燥ガス乾燥ガス雰囲気中で行わ
なくても、この中の1工程あるいは2工程だけを乾燥ガ
ス雰囲気中で行うことによっても、ある程度の効果を得
ることができる。また本実施形態では、封着工程におい
て、内部空間に雰囲気ガスとして乾燥空気を流したが、
蛍光体層と反応を起こさない窒素等の不活性ガスであっ
て水蒸気分圧の低いものを流しても、同様の効果が得ら
れる。
【0060】また本実施形態では、封着工程において両
パネル基板10・20間の内部空間にガラス管26aか
ら乾燥空気を強制的に送り込みながら封着するようにし
たが、このように強制的に乾燥空気を送り込まなくて
も、例えば、図3に示した加熱装置40を用いて、乾燥
空気雰囲気中で両パネル基板10・20を封着しても、
乾燥ガスが通気口21a・21bから多少内部空間に流
入するので、ある程度の効果が得られる。
パネル基板10・20間の内部空間にガラス管26aか
ら乾燥空気を強制的に送り込みながら封着するようにし
たが、このように強制的に乾燥空気を送り込まなくて
も、例えば、図3に示した加熱装置40を用いて、乾燥
空気雰囲気中で両パネル基板10・20を封着しても、
乾燥ガスが通気口21a・21bから多少内部空間に流
入するので、ある程度の効果が得られる。
【0061】また、本実施形態では説明しなかったが、
この他に、保護層14が形成された前面パネル基板10
を乾燥ガス雰囲気中で焼成することによっても、保護層
14に吸着されている水分量が少なくなるので、これだ
けでも、封着工程における青色蛍光体層の熱劣化はある
程度抑制される。また、このような乾燥ガス雰囲気中に
おける前面パネル基板10の焼成を、本実施形態の製造
方法と組み合わせれば、更なる効果が期待できる。
この他に、保護層14が形成された前面パネル基板10
を乾燥ガス雰囲気中で焼成することによっても、保護層
14に吸着されている水分量が少なくなるので、これだ
けでも、封着工程における青色蛍光体層の熱劣化はある
程度抑制される。また、このような乾燥ガス雰囲気中に
おける前面パネル基板10の焼成を、本実施形態の製造
方法と組み合わせれば、更なる効果が期待できる。
【0062】また、本実施形態の製法で作成されたPD
Pは、蛍光体層に含有されている水分も少ないため、P
DP駆動時における異常放電が少ないという効果も得ら
れる。 (実施例1)
Pは、蛍光体層に含有されている水分も少ないため、P
DP駆動時における異常放電が少ないという効果も得ら
れる。 (実施例1)
【0063】
【表1】
【0064】パネルNo.1〜4は、本実施の形態に基
づいて作製した実施例に係るPDPであって、蛍光体焼
成工程、フリット仮焼工程、封着工程で流す乾燥空気の
水蒸気分圧を、0〜12Torrの範囲内でいろいろな
値に変化させたものである。また、パネルNo.5は、
比較例に係るPDPであって、蛍光体焼成工程、フリッ
ト仮焼工程、封着工程を、未乾燥の空気(水蒸気分圧2
0Torr)中で行ったものである。
づいて作製した実施例に係るPDPであって、蛍光体焼
成工程、フリット仮焼工程、封着工程で流す乾燥空気の
水蒸気分圧を、0〜12Torrの範囲内でいろいろな
値に変化させたものである。また、パネルNo.5は、
比較例に係るPDPであって、蛍光体焼成工程、フリッ
ト仮焼工程、封着工程を、未乾燥の空気(水蒸気分圧2
0Torr)中で行ったものである。
【0065】これらの各PDPにおいて、蛍光体層の膜
厚は30μmとし、放電ガスはNe(95%)−Xe
(5%)を500Torrで封入した。 〈発光特性試験〉 試験方法及び結果:これらの各PDPについて、発光特
性として、色補正なしで白バランスでのパネル輝度及び
色温度(青色セル,赤色セル,緑色セルを同じ電力で発
光させたときのパネル輝度及び色温度)、青色セル及び
緑色セルを同じ電力で発光させたときの発光スペクトル
のピーク強度比を測定した。
厚は30μmとし、放電ガスはNe(95%)−Xe
(5%)を500Torrで封入した。 〈発光特性試験〉 試験方法及び結果:これらの各PDPについて、発光特
性として、色補正なしで白バランスでのパネル輝度及び
色温度(青色セル,赤色セル,緑色セルを同じ電力で発
光させたときのパネル輝度及び色温度)、青色セル及び
緑色セルを同じ電力で発光させたときの発光スペクトル
のピーク強度比を測定した。
【0066】これらの測定結果は、表1に示す通りであ
る。なお、作製した各PDPを分解し、背面パネル基板
にクリプトンエキシマランプを用いて真空紫外線(中心
波長146nm)を照射し、青色,緑色,赤色の全色を
発光させたときの色温度、並びに、青色及び緑色を発光
させたときの発光スペクトルのピーク強度比を測定した
ところ、作製した前面パネル基板に色フィルタなどを設
けていないため、上記点灯による結果と同等の結果が得
られた。
る。なお、作製した各PDPを分解し、背面パネル基板
にクリプトンエキシマランプを用いて真空紫外線(中心
波長146nm)を照射し、青色,緑色,赤色の全色を
発光させたときの色温度、並びに、青色及び緑色を発光
させたときの発光スペクトルのピーク強度比を測定した
ところ、作製した前面パネル基板に色フィルタなどを設
けていないため、上記点灯による結果と同等の結果が得
られた。
【0067】更に、パネルから青色蛍光体を取り出し、
TDS分析法(昇温脱離ガス質量分析法)で、青色蛍光
体1g当りから脱離するH2Oガス分子数を測定した。
また、X線回折によって青色蛍光体結晶のa軸長及びc
軸長も測定した。TDS分析では、日本真空技術(株)
製の赤外線加熱型昇温脱離ガス質量分析装置を用いて次
のように測定した。
TDS分析法(昇温脱離ガス質量分析法)で、青色蛍光
体1g当りから脱離するH2Oガス分子数を測定した。
また、X線回折によって青色蛍光体結晶のa軸長及びc
軸長も測定した。TDS分析では、日本真空技術(株)
製の赤外線加熱型昇温脱離ガス質量分析装置を用いて次
のように測定した。
【0068】Ta製皿に詰めた蛍光体資料を予備排気室
で10-4Paオーダまで排気した後、測定室へ挿入し、
10-7Paオーダまで排気した。その後、赤外線ヒータ
を用いて、室温から1100℃まで、昇温速度10℃/
minで昇温しながら、蛍光体から脱離するH2O分子
(質量数18)の分子数を、測定間隔15秒のスキャン
モードで測定した。図7(a),(b),(c)は、パネ
ルNo.2,4,5から取り出した青色蛍光体について
測定した結果を示すチャートである。
で10-4Paオーダまで排気した後、測定室へ挿入し、
10-7Paオーダまで排気した。その後、赤外線ヒータ
を用いて、室温から1100℃まで、昇温速度10℃/
minで昇温しながら、蛍光体から脱離するH2O分子
(質量数18)の分子数を、測定間隔15秒のスキャン
モードで測定した。図7(a),(b),(c)は、パネ
ルNo.2,4,5から取り出した青色蛍光体について
測定した結果を示すチャートである。
【0069】図7のチャートにおいて、青色蛍光体から
脱離するH2O分子数のピークは、100〜200℃付
近と400〜600℃付近で見られる。100〜200
℃付近のピークは物理吸着ガスが脱離したもの、400
〜600℃付近のピークは化学吸着ガスが脱離したもの
によると考えられる。表1には、200℃以上の領域で
現れる脱離H2Oの分子数のピーク値、即ち、400〜
600℃付近の脱離H2Oの分子数のピーク値、及び青
色蛍光体結晶のa軸長に対するc軸長の比の測定結果も
示されている。
脱離するH2O分子数のピークは、100〜200℃付
近と400〜600℃付近で見られる。100〜200
℃付近のピークは物理吸着ガスが脱離したもの、400
〜600℃付近のピークは化学吸着ガスが脱離したもの
によると考えられる。表1には、200℃以上の領域で
現れる脱離H2Oの分子数のピーク値、即ち、400〜
600℃付近の脱離H2Oの分子数のピーク値、及び青
色蛍光体結晶のa軸長に対するc軸長の比の測定結果も
示されている。
【0070】考察:表1の測定結果において、実施例
(パネルNo.1〜4)と、比較例(パネルNo.5)
とについて、発光特性を比較すると、実施例は比較例よ
り発光特性が優れている(パネル輝度が高く、色温度が
高い。)。パネルNo.1〜4について発光特性を比較
すると、パネルNo.1,2,3,4の順で発光特性が
向上している。
(パネルNo.1〜4)と、比較例(パネルNo.5)
とについて、発光特性を比較すると、実施例は比較例よ
り発光特性が優れている(パネル輝度が高く、色温度が
高い。)。パネルNo.1〜4について発光特性を比較
すると、パネルNo.1,2,3,4の順で発光特性が
向上している。
【0071】この結果から、蛍光体焼成工程、フリット
仮焼工程、封着工程における水蒸気分圧が低いほど、発
光特性(パネル輝度、色温度)が優れていることがわか
る。このように水蒸気分圧を低減すると発光特性が向上
するのは、青色蛍光体層(BaMgAl10O17:Eu)
の熱劣化が防止され、色度座標yの値が小さくなるため
と考えられる。
仮焼工程、封着工程における水蒸気分圧が低いほど、発
光特性(パネル輝度、色温度)が優れていることがわか
る。このように水蒸気分圧を低減すると発光特性が向上
するのは、青色蛍光体層(BaMgAl10O17:Eu)
の熱劣化が防止され、色度座標yの値が小さくなるため
と考えられる。
【0072】また、本実施例の青色蛍光体では、昇温脱
離ガス質量分析における200℃以上の領域で現れる脱
離H2Oの分子数のピーク値が1×1016個/g以下で
あり、a軸長に対するc軸長の比が4.0218以下で
あるのに対して、比較例の青色蛍光体では、上記各値よ
り大きい値を示している。 [実施の形態2]本実施形態のPDPは、図1に示す実
施の形態1のPDPと同様の構成である。
離ガス質量分析における200℃以上の領域で現れる脱
離H2Oの分子数のピーク値が1×1016個/g以下で
あり、a軸長に対するc軸長の比が4.0218以下で
あるのに対して、比較例の青色蛍光体では、上記各値よ
り大きい値を示している。 [実施の形態2]本実施形態のPDPは、図1に示す実
施の形態1のPDPと同様の構成である。
【0073】また、PDPの製造方法についても上記実
施の形態1と同様であるが、背面ガラス基板21の外周
部における通気口の開設位置や、封着ガラスフリットを
塗布する形態などに違いがある。即ち、PDPの製造工
程の中でも、封着工程においては、蛍光体焼成工程やフ
リット仮焼工程と比べて、加熱時に前面板上の保護層、
蛍光体層、封着用ガラスなどから発生する水蒸気を含む
ガスが、隔壁で仕切られた狭い内部空間に閉じ込められ
ることによって、蛍光体層が熱劣化をより大きく受けや
すいことを考慮し、本実施形態では、封着工程におい
て、内部空間に導入された乾燥空気が、隔壁間の空間を
安定して流れるように工夫を施し、隔壁間の空間に発生
するガスを効率よく排出して、蛍光体層の熱劣化を防止
する効果を高めるようにしている。
施の形態1と同様であるが、背面ガラス基板21の外周
部における通気口の開設位置や、封着ガラスフリットを
塗布する形態などに違いがある。即ち、PDPの製造工
程の中でも、封着工程においては、蛍光体焼成工程やフ
リット仮焼工程と比べて、加熱時に前面板上の保護層、
蛍光体層、封着用ガラスなどから発生する水蒸気を含む
ガスが、隔壁で仕切られた狭い内部空間に閉じ込められ
ることによって、蛍光体層が熱劣化をより大きく受けや
すいことを考慮し、本実施形態では、封着工程におい
て、内部空間に導入された乾燥空気が、隔壁間の空間を
安定して流れるように工夫を施し、隔壁間の空間に発生
するガスを効率よく排出して、蛍光体層の熱劣化を防止
する効果を高めるようにしている。
【0074】図8〜図16は、背面ガラス基板21の外
周部における通気口の開設位置や、封着ガラスフリット
を塗布する形態の具体例を示す図である。なお、背面パ
ネル基板20には、画像表示領域全体にわたってストラ
イプ状の隔壁24が設けられているが、図8〜図16に
おいては、両サイドの数本の隔壁24だけを表示してお
り、中央部の隔壁24は図示を省略している。
周部における通気口の開設位置や、封着ガラスフリット
を塗布する形態の具体例を示す図である。なお、背面パ
ネル基板20には、画像表示領域全体にわたってストラ
イプ状の隔壁24が設けられているが、図8〜図16に
おいては、両サイドの数本の隔壁24だけを表示してお
り、中央部の隔壁24は図示を省略している。
【0075】これらの図に示すように、背面ガラス基板
21の外周部において、枠状の封着ガラス領域60(封
着ガラス層15が配される領域)が設定されている。こ
の封着ガラス領域60は、最も外側に配列された隔壁2
4に沿って延びる一対の縦封着領域61と、隔壁24の
幅方向に延びる一対の横封着領域62とからなる。そし
て、封着時において、隔壁24間の各間隙65を乾燥空
気が流れる。
21の外周部において、枠状の封着ガラス領域60(封
着ガラス層15が配される領域)が設定されている。こ
の封着ガラス領域60は、最も外側に配列された隔壁2
4に沿って延びる一対の縦封着領域61と、隔壁24の
幅方向に延びる一対の横封着領域62とからなる。そし
て、封着時において、隔壁24間の各間隙65を乾燥空
気が流れる。
【0076】以下、各図に示した例の特徴について説明
する。図8〜図12に示す例では、封着ガラス領域60
の内側における対角位置に通気口21a及び通気口21
bが開設されており、封着時において、上記図4のよう
に通気口21aから導入される乾燥空気は、隔壁端部2
4aと横封着領域62との間の間隙63aを通過し、隔
壁24間の各間隙65に分配されこれを流れた後に、隔
壁端部24bと横封着領域62との間の間隙63bを通
過して、通気口21bから排出される。
する。図8〜図12に示す例では、封着ガラス領域60
の内側における対角位置に通気口21a及び通気口21
bが開設されており、封着時において、上記図4のよう
に通気口21aから導入される乾燥空気は、隔壁端部2
4aと横封着領域62との間の間隙63aを通過し、隔
壁24間の各間隙65に分配されこれを流れた後に、隔
壁端部24bと横封着領域62との間の間隙63bを通
過して、通気口21bから排出される。
【0077】図8に示す例では、横封着領域62と隔壁
端部24aとの間隙63a及び横封着領域62と隔壁端
部24bとの間隙63bが、縦封着領域61とそれに隣
接する隔壁24との間隙64a及び間隙64bよりも広
く設定されている(間隙63aの最小幅をD1及び間隙
63bの最小幅をD2、間隙64a最小幅をd1、間隙6
4bの最小幅をd2とするとD1,D2>d1,d2に設定
されている)。
端部24aとの間隙63a及び横封着領域62と隔壁端
部24bとの間隙63bが、縦封着領域61とそれに隣
接する隔壁24との間隙64a及び間隙64bよりも広
く設定されている(間隙63aの最小幅をD1及び間隙
63bの最小幅をD2、間隙64a最小幅をd1、間隙6
4bの最小幅をd2とするとD1,D2>d1,d2に設定
されている)。
【0078】この構成によって、通気口21aから導入
される乾燥空気が隔壁24間の間隙65を流通するとき
のガス流通抵抗が、間隙64a及び間隙64bを流通す
るときのガス流通抵抗と比べて小さくなるので、乾燥空
気が間隙63a及び63bに広がりやすく、乾燥空気
は、安定して各間隙65に分配されこれを流通する。従
って、各間隙65内に発生するガスは、効率良く排出さ
れるため、封着工程における蛍光体層の熱劣化を防止す
る効果が高められる。
される乾燥空気が隔壁24間の間隙65を流通するとき
のガス流通抵抗が、間隙64a及び間隙64bを流通す
るときのガス流通抵抗と比べて小さくなるので、乾燥空
気が間隙63a及び63bに広がりやすく、乾燥空気
は、安定して各間隙65に分配されこれを流通する。従
って、各間隙65内に発生するガスは、効率良く排出さ
れるため、封着工程における蛍光体層の熱劣化を防止す
る効果が高められる。
【0079】そして、間隙63aの最小幅D1及び間隙
63bの最小幅D2を、間隙64aの最小幅d1及び間隙
64bの最小幅d2と比べて、2倍あるいは3倍と大き
くすればするほど、隔壁24間の間隙65を流通すると
きのガス流通抵抗が小さくなり、乾燥空気がより安定に
各間隙65を流れるので、効果も大きくなる。、図9に
示す例では縦封着領域61は、それに隣接する隔壁24
と、中央部において接触しており、間隙64aの最小幅
d1及び間隙64bの最小幅d2は0である。この場合、
間隙64a及び間隙64bには乾燥空気が流れないの
で、乾燥空気が更に安定して各間隙65に分配される。
63bの最小幅D2を、間隙64aの最小幅d1及び間隙
64bの最小幅d2と比べて、2倍あるいは3倍と大き
くすればするほど、隔壁24間の間隙65を流通すると
きのガス流通抵抗が小さくなり、乾燥空気がより安定に
各間隙65を流れるので、効果も大きくなる。、図9に
示す例では縦封着領域61は、それに隣接する隔壁24
と、中央部において接触しており、間隙64aの最小幅
d1及び間隙64bの最小幅d2は0である。この場合、
間隙64a及び間隙64bには乾燥空気が流れないの
で、乾燥空気が更に安定して各間隙65に分配される。
【0080】図10〜図16に示す例では、封着ガラス
領域60の内周に沿って、流止隔壁70が設けられてい
る。この流止隔壁70は、縦封着領域61に沿った縦隔
壁71と横封着領域62に沿った横隔壁72とからなる
枠状であって、通気口21a,21bはこの流止隔壁7
0の内側に隣接している(但し、図12に示す例では、
縦隔壁71はなく、横隔壁72だけ設けられてい
る。)。
領域60の内周に沿って、流止隔壁70が設けられてい
る。この流止隔壁70は、縦封着領域61に沿った縦隔
壁71と横封着領域62に沿った横隔壁72とからなる
枠状であって、通気口21a,21bはこの流止隔壁7
0の内側に隣接している(但し、図12に示す例では、
縦隔壁71はなく、横隔壁72だけ設けられてい
る。)。
【0081】このような流止隔壁70は、隔壁24と同
様の形状及び材料で形成されたものであって、隔壁24
を形成するときに流止隔壁70も一緒に形成することが
できる。この流止隔壁70は、封着ガラス領域60に配
設される封着ガラスが、加熱されて軟化したときに、パ
ネル中央の表示領域に流れ込むのを防止する。
様の形状及び材料で形成されたものであって、隔壁24
を形成するときに流止隔壁70も一緒に形成することが
できる。この流止隔壁70は、封着ガラス領域60に配
設される封着ガラスが、加熱されて軟化したときに、パ
ネル中央の表示領域に流れ込むのを防止する。
【0082】図10に示す例では、上記図8の場合と同
様、横隔壁72と隔壁端部24aとの間隙63a及び横
隔壁72と隔壁端部24bとの間隙63bが、縦隔壁7
1とそれに隣接する隔壁24との間隙64a及び間隙6
4bよりも広く設定されており(D1,D2>d1,d
2)、図8の場合と同様の効果を奏する。図11に示す
例では、更に、縦隔壁71とそれに隣接する隔壁24と
の間隙64a及び間隙64bを仕切る仕切隔壁73a及
び仕切隔壁73bが設けられている。この仕切隔壁73
a及び73bによって、縦隔壁71とそれに隣接する隔
壁24とが、中央部において仕切られているため、図9
の場合と同様に、間隙64aの最小幅d1及び間隙64
bの最小幅d2は0である。よって、図9の場合と同様
の効果を奏する。
様、横隔壁72と隔壁端部24aとの間隙63a及び横
隔壁72と隔壁端部24bとの間隙63bが、縦隔壁7
1とそれに隣接する隔壁24との間隙64a及び間隙6
4bよりも広く設定されており(D1,D2>d1,d
2)、図8の場合と同様の効果を奏する。図11に示す
例では、更に、縦隔壁71とそれに隣接する隔壁24と
の間隙64a及び間隙64bを仕切る仕切隔壁73a及
び仕切隔壁73bが設けられている。この仕切隔壁73
a及び73bによって、縦隔壁71とそれに隣接する隔
壁24とが、中央部において仕切られているため、図9
の場合と同様に、間隙64aの最小幅d1及び間隙64
bの最小幅d2は0である。よって、図9の場合と同様
の効果を奏する。
【0083】図12に示す例では、図9の場合と同様
に、縦封着領域61は、それに隣接する隔壁24と、中
央部において接触しており、間隙64aの最小幅d1及
び間隙64bの最小幅d2は0であるので、図9の場合
と同様の効果を奏する。図13に示す例では、流止隔壁
70内側における通気口21a、21bの位置が、対角
位置ではなく、縦隔壁71の中央付近に隣接して設けら
れていると共に、間隙64a及び間隙64bの端部にお
いて当該間隙を仕切る仕切隔壁73a及び仕切隔壁73
bが設けられている。この場合、乾燥空気は、図11の
場合と同様に流通し、図11の場合と同様の効果を奏す
る。
に、縦封着領域61は、それに隣接する隔壁24と、中
央部において接触しており、間隙64aの最小幅d1及
び間隙64bの最小幅d2は0であるので、図9の場合
と同様の効果を奏する。図13に示す例では、流止隔壁
70内側における通気口21a、21bの位置が、対角
位置ではなく、縦隔壁71の中央付近に隣接して設けら
れていると共に、間隙64a及び間隙64bの端部にお
いて当該間隙を仕切る仕切隔壁73a及び仕切隔壁73
bが設けられている。この場合、乾燥空気は、図11の
場合と同様に流通し、図11の場合と同様の効果を奏す
る。
【0084】図14に示す例は、図11の例と略同様で
あるが、ガス入口となる通気口21a及びガス出口にな
る通気口21bが、2ヶ所づつに形成されていると共
に、ストライプ状に並設されている複数の隔壁24の中
で、真ん中に位置する中央隔壁27は横隔壁72につな
がるよう延設されている。この場合、中央隔壁27で分
割された2つの領域ごとに、乾燥空気が別々に流通する
ことになるが、間隙63a及び間隙63bが、間隙64
a及び間隙64bよりも広く設定されているので、図1
1の場合と同様の効果を奏する。また、この図14の例
では、2つの領域ごとに乾燥空気の流通量を調整するこ
とも可能である。
あるが、ガス入口となる通気口21a及びガス出口にな
る通気口21bが、2ヶ所づつに形成されていると共
に、ストライプ状に並設されている複数の隔壁24の中
で、真ん中に位置する中央隔壁27は横隔壁72につな
がるよう延設されている。この場合、中央隔壁27で分
割された2つの領域ごとに、乾燥空気が別々に流通する
ことになるが、間隙63a及び間隙63bが、間隙64
a及び間隙64bよりも広く設定されているので、図1
1の場合と同様の効果を奏する。また、この図14の例
では、2つの領域ごとに乾燥空気の流通量を調整するこ
とも可能である。
【0085】(本実施形態の変形例)なお、本実施の形
態において、封着工程で内部空間に流す乾燥空気は、水
蒸気分圧を15Torr以下(または露点温度が20℃
以下)とするのが好ましい点や、封着工程で流すガス
は、乾燥空気に限られず、蛍光体層と反応を起こさない
窒素等の不活性ガスであって水蒸気分圧の低いものを流
しても、同様の効果が得られる点などについては、実施
の形態1で説明した通りである。
態において、封着工程で内部空間に流す乾燥空気は、水
蒸気分圧を15Torr以下(または露点温度が20℃
以下)とするのが好ましい点や、封着工程で流すガス
は、乾燥空気に限られず、蛍光体層と反応を起こさない
窒素等の不活性ガスであって水蒸気分圧の低いものを流
しても、同様の効果が得られる点などについては、実施
の形態1で説明した通りである。
【0086】また、本実施形態においては、背面パネル
基板側に隔壁が設けられる場合について説明したが、前
面パネル基板側に隔壁が設けられる場合においても、同
様に実施することができ、同様の効果を奏する。 (実施例2)
基板側に隔壁が設けられる場合について説明したが、前
面パネル基板側に隔壁が設けられる場合においても、同
様に実施することができ、同様の効果を奏する。 (実施例2)
【0087】
【表2】
【0088】パネルNo.6のPDPは、本実施の形態
における図10の例に基づいて作製したPDPであっ
て、封着工程で流す乾燥空気の水蒸気分圧は2Torr
(露点温度−10℃)とした。パネルNo.7のPDP
は、背面パネル基板20が、図15に示すように、横隔
壁72と隔壁端部24aとの間隙63a及び横隔壁72
と隔壁端部24bとの間隙63bが、縦隔壁71とそれ
に隣接する隔壁24との間隙64a及び間隙64bより
も狭く設定されている(D1,D2<d1,d2)が、それ
以外は図10に示す例と同様である。このパネルNo.
7は、パネルNo.6と同様の条件で封着を行うことに
よって作製したPDPである。
における図10の例に基づいて作製したPDPであっ
て、封着工程で流す乾燥空気の水蒸気分圧は2Torr
(露点温度−10℃)とした。パネルNo.7のPDP
は、背面パネル基板20が、図15に示すように、横隔
壁72と隔壁端部24aとの間隙63a及び横隔壁72
と隔壁端部24bとの間隙63bが、縦隔壁71とそれ
に隣接する隔壁24との間隙64a及び間隙64bより
も狭く設定されている(D1,D2<d1,d2)が、それ
以外は図10に示す例と同様である。このパネルNo.
7は、パネルNo.6と同様の条件で封着を行うことに
よって作製したPDPである。
【0089】パネルNo.8のPDPは、図16に示す
ように、背面パネル基板20に通気口21aが1カ所だ
け設けられている。このパネルNo.8は、比較例に係
るものであって、封着工程において、前面パネル基板1
0と背面パネル基板20とを重ね合わせた後に内部空間
に乾燥空気を流すことなく加熱昇温して封着したもので
ある。
ように、背面パネル基板20に通気口21aが1カ所だ
け設けられている。このパネルNo.8は、比較例に係
るものであって、封着工程において、前面パネル基板1
0と背面パネル基板20とを重ね合わせた後に内部空間
に乾燥空気を流すことなく加熱昇温して封着したもので
ある。
【0090】これらのパネルNo.6〜8のPDPにお
いて、封着工程以外の製造過程は同じ条件とした。ま
た、パネル構成も、通気口と流れ止め用隔壁以外は同じ
構成とし、蛍光体膜厚は30μmとし、放電ガスはNe
(95%)−Xe(5%)を500Torrで封入し
た。 〈発光特性試験〉 試験方法及び結果:これらの各PDPについて、発光特
性として、色補正なしで白バランスでのパネル輝度及び
色温度、青色セル及び緑色セルを同じ電力で発光させた
ときの発光スペクトルのピーク強度比を測定した。
いて、封着工程以外の製造過程は同じ条件とした。ま
た、パネル構成も、通気口と流れ止め用隔壁以外は同じ
構成とし、蛍光体膜厚は30μmとし、放電ガスはNe
(95%)−Xe(5%)を500Torrで封入し
た。 〈発光特性試験〉 試験方法及び結果:これらの各PDPについて、発光特
性として、色補正なしで白バランスでのパネル輝度及び
色温度、青色セル及び緑色セルを同じ電力で発光させた
ときの発光スペクトルのピーク強度比を測定した。
【0091】これらの測定結果は、表2に示す通りであ
る。また、作製した各PDPを分解し、背面パネル基板
にクリプトンエキシマランプを用いて真空紫外線を照射
し、全色を発光させたときの色温度、並びに、青色及び
緑色を発光させたときの発光スペクトルのピーク強度比
を測定したところ、上記点灯による結果と同等の結果が
得られた。
る。また、作製した各PDPを分解し、背面パネル基板
にクリプトンエキシマランプを用いて真空紫外線を照射
し、全色を発光させたときの色温度、並びに、青色及び
緑色を発光させたときの発光スペクトルのピーク強度比
を測定したところ、上記点灯による結果と同等の結果が
得られた。
【0092】更に、パネルから青色蛍光体を取り出し、
TDS分析法で青色蛍光体1g当りから200℃以上で
脱離するH2Oガス分子数を測定した。また、X線回折
により、青色蛍光体結晶のa軸長に対するc軸長の比も
測定した。表2には、これらの結果も示されている。 考察:表2の測定結果において、パネルNo.6が最も
良好な発光特性を示している。
TDS分析法で青色蛍光体1g当りから200℃以上で
脱離するH2Oガス分子数を測定した。また、X線回折
により、青色蛍光体結晶のa軸長に対するc軸長の比も
測定した。表2には、これらの結果も示されている。 考察:表2の測定結果において、パネルNo.6が最も
良好な発光特性を示している。
【0093】パネルNo.6の発光特性がパネルNo.
7の発光特性よりも良かったのは、パネルNo.6では
封着工程で、隔壁間の空間を乾燥空気が安定に流れ、内
部で発生したガスを効率良く排出できたのに対し、パネ
ルNo.7は、通気口21aから導入された乾燥空気の
ほとんどが、間隙63a及び間隙63bを通って通気口
21bから排出され、隔壁間の間隙65にはあまり流れ
なかったため、間隙65に発生したガスを効率良く排出
できなかったことが理由と考えられる。
7の発光特性よりも良かったのは、パネルNo.6では
封着工程で、隔壁間の空間を乾燥空気が安定に流れ、内
部で発生したガスを効率良く排出できたのに対し、パネ
ルNo.7は、通気口21aから導入された乾燥空気の
ほとんどが、間隙63a及び間隙63bを通って通気口
21bから排出され、隔壁間の間隙65にはあまり流れ
なかったため、間隙65に発生したガスを効率良く排出
できなかったことが理由と考えられる。
【0094】また、パネルNo.8の発光特性が悪いの
は、乾燥ガスが間隙65に流れないため、間隙65に発
生したガスが排出されないためと考えられる。なお、本
実施例では、図10に基づくPDPについて述べたが、
図10〜図16のいずれに基づくPDPにおいても、ほ
ぼ同等に良好な発光特性が得られた。 [実施の形態3]本実施形態のPDPは、図1に示す実
施の形態1のPDPと同様の構成である。
は、乾燥ガスが間隙65に流れないため、間隙65に発
生したガスが排出されないためと考えられる。なお、本
実施例では、図10に基づくPDPについて述べたが、
図10〜図16のいずれに基づくPDPにおいても、ほ
ぼ同等に良好な発光特性が得られた。 [実施の形態3]本実施形態のPDPは、図1に示す実
施の形態1のPDPと同様の構成である。
【0095】また、PDPの製造方法においても上記実
施の形態1と同様であるが、封着工程において、前面パ
ネル基板10と背面パネル基板20とを封着する際に、
内部空間が大気圧より低い圧力になるよう調整しつつ乾
燥空気を流しながら、加熱を行う。即ち、前面パネル基
板10及び背面パネル基板20の少なくとも一方に封着
用ガラスフリットを塗布して封着ガラス層を形成して、
仮焼する。仮焼した後、両基板10,20を重ね合わ
せ、重ね合わせた両基板10,20を、上記図4に示す
封着用加熱装置50の加熱炉51内に入れ、ガラス管2
6a・26bに配管52a・52bを連結し、配管52
bから真空ポンプ54で排気することにより内部空間を
減圧状態にしながら、ガス供給源53からの乾燥空気を
配管52aを通して一定の流量で送り込む。このとき、
内部空間が大気圧より低い所定圧力に維持されるよう
に、調整バルブ55a,55bを調整する。
施の形態1と同様であるが、封着工程において、前面パ
ネル基板10と背面パネル基板20とを封着する際に、
内部空間が大気圧より低い圧力になるよう調整しつつ乾
燥空気を流しながら、加熱を行う。即ち、前面パネル基
板10及び背面パネル基板20の少なくとも一方に封着
用ガラスフリットを塗布して封着ガラス層を形成して、
仮焼する。仮焼した後、両基板10,20を重ね合わ
せ、重ね合わせた両基板10,20を、上記図4に示す
封着用加熱装置50の加熱炉51内に入れ、ガラス管2
6a・26bに配管52a・52bを連結し、配管52
bから真空ポンプ54で排気することにより内部空間を
減圧状態にしながら、ガス供給源53からの乾燥空気を
配管52aを通して一定の流量で送り込む。このとき、
内部空間が大気圧より低い所定圧力に維持されるよう
に、調整バルブ55a,55bを調整する。
【0096】このように内部空間に減圧状態で乾燥空気
を流しながら、両パネル基板10・20を加熱昇温し、
封着温度(ピーク温度450℃)で30分間加熱するこ
とによって、封着ガラス層15を軟化させて両パネル基
板10・20を封着する。そして、付着したパネル基板
の内部空間を真空排気しながらパネルを焼成する(35
0℃で3時間)。その後、上記組成の放電ガスを所定の
圧力で封入することによってPDPが作製される。
を流しながら、両パネル基板10・20を加熱昇温し、
封着温度(ピーク温度450℃)で30分間加熱するこ
とによって、封着ガラス層15を軟化させて両パネル基
板10・20を封着する。そして、付着したパネル基板
の内部空間を真空排気しながらパネルを焼成する(35
0℃で3時間)。その後、上記組成の放電ガスを所定の
圧力で封入することによってPDPが作製される。
【0097】(本実施の形態における効果)本実施形態
の封着工程においては、実施の形態1と同様、内部空間
に乾燥ガスを流しながら封着を行うので、上記したよう
に蛍光体が水蒸気と接触することによる熱劣化が抑えら
れる。内部空間に流通している乾燥空気の水蒸気分圧に
ついては、実施の形態1と同様、15Torr以下とす
ることが望ましく、さらに水蒸気分圧を、10Torr
以下、5Torr以下、1Torr、0.1Torr以
下と低く設定するほど蛍光体の熱劣化を抑えることがで
き、乾燥空気の露点温度としては、これを20℃以下と
するのが好ましく、0℃以下、−20℃以下、−40℃
以下とするのがより好ましい。
の封着工程においては、実施の形態1と同様、内部空間
に乾燥ガスを流しながら封着を行うので、上記したよう
に蛍光体が水蒸気と接触することによる熱劣化が抑えら
れる。内部空間に流通している乾燥空気の水蒸気分圧に
ついては、実施の形態1と同様、15Torr以下とす
ることが望ましく、さらに水蒸気分圧を、10Torr
以下、5Torr以下、1Torr、0.1Torr以
下と低く設定するほど蛍光体の熱劣化を抑えることがで
き、乾燥空気の露点温度としては、これを20℃以下と
するのが好ましく、0℃以下、−20℃以下、−40℃
以下とするのがより好ましい。
【0098】更に、本実施の形態では、内部空間を大気
圧より低い圧力に保ちつつ封着を行うので、内部空間で
発生した水蒸気が、実施の形態1と比べて、より効率よ
く外部へ排出される。また、内部空間を大気圧以下に維
持しながら乾燥空気を導入しているので、封着時に内部
空間が膨らむことなく、前面パネル基板10と背面パネ
ル基板20とを密着性よく封着できる。
圧より低い圧力に保ちつつ封着を行うので、内部空間で
発生した水蒸気が、実施の形態1と比べて、より効率よ
く外部へ排出される。また、内部空間を大気圧以下に維
持しながら乾燥空気を導入しているので、封着時に内部
空間が膨らむことなく、前面パネル基板10と背面パネ
ル基板20とを密着性よく封着できる。
【0099】封着時における内部空間の圧力を低く設定
するほど、水蒸気分圧を低くしやすく、密着性よく封着
できる点で好ましい。この点で、内部空間の圧力は、5
00Torr以下に設定することが好ましく、300T
orr以下に設定することがより好ましい。一方、乾燥
空気を流す場合、あまり圧力を低くし過ぎると、雰囲気
ガスの酸素分圧が低くなる。そのため、PDPで多用さ
れているBaMgAl10O17:Eu、Zn2SiO4:M
nやY2O3:Eu等の酸化物系の蛍光体は、無酸素の雰
囲気中で加熱すると、酸素欠陥等の欠陥が形成され、発
光効率が低下起こりやすくなる。従って、この点から見
ると、圧力を300Torr以上に設定することが好ま
しいということが言える。
するほど、水蒸気分圧を低くしやすく、密着性よく封着
できる点で好ましい。この点で、内部空間の圧力は、5
00Torr以下に設定することが好ましく、300T
orr以下に設定することがより好ましい。一方、乾燥
空気を流す場合、あまり圧力を低くし過ぎると、雰囲気
ガスの酸素分圧が低くなる。そのため、PDPで多用さ
れているBaMgAl10O17:Eu、Zn2SiO4:M
nやY2O3:Eu等の酸化物系の蛍光体は、無酸素の雰
囲気中で加熱すると、酸素欠陥等の欠陥が形成され、発
光効率が低下起こりやすくなる。従って、この点から見
ると、圧力を300Torr以上に設定することが好ま
しいということが言える。
【0100】(本実施形態の変形例)なお、本実施の形
態では、封着工程において、内部空間に雰囲気ガスとし
て乾燥空気を流したが、蛍光体層と反応を起こさない酸
素、窒素等の不活性ガスであって水蒸気分圧の低いもの
を流しても、同様の効果が得られる。ただし、酸素を含
む雰囲気ガスを流す方が、輝度劣化が抑えられる点で好
ましい。
態では、封着工程において、内部空間に雰囲気ガスとし
て乾燥空気を流したが、蛍光体層と反応を起こさない酸
素、窒素等の不活性ガスであって水蒸気分圧の低いもの
を流しても、同様の効果が得られる。ただし、酸素を含
む雰囲気ガスを流す方が、輝度劣化が抑えられる点で好
ましい。
【0101】また、本実施の形態では、封着用ガラスが
軟化していない低温時から、内部空間を減圧状態にした
が、この場合、前面パネル基板10と背面パネル基板2
0との隙間から、加熱炉51内のガスが内部空間に流入
することもあり得るので、加熱炉51内にも乾燥空気を
充填したり流すようにすることが好ましい。また、封着
工程において、加熱炉51内のガスが内部空間に流入し
ないようにするため、封着用ガラスが軟化していない低
温時には、内部空間から乾燥ガスを強制的に排出せず
に、大気圧近くに保っておき、ある程度に温度が上昇し
てから強制的に排出して内部空間を大気圧より低くする
ようにしてもよい。この場合、排気を開始する温度は、
封着用ガラスが軟化し始める温度以上とすることが望ま
しい。この点から、排気を開始する温度は、300℃以
上とすることが好ましく、より好ましくは350℃以
上、更に400℃以上とすることが好ましい。
軟化していない低温時から、内部空間を減圧状態にした
が、この場合、前面パネル基板10と背面パネル基板2
0との隙間から、加熱炉51内のガスが内部空間に流入
することもあり得るので、加熱炉51内にも乾燥空気を
充填したり流すようにすることが好ましい。また、封着
工程において、加熱炉51内のガスが内部空間に流入し
ないようにするため、封着用ガラスが軟化していない低
温時には、内部空間から乾燥ガスを強制的に排出せず
に、大気圧近くに保っておき、ある程度に温度が上昇し
てから強制的に排出して内部空間を大気圧より低くする
ようにしてもよい。この場合、排気を開始する温度は、
封着用ガラスが軟化し始める温度以上とすることが望ま
しい。この点から、排気を開始する温度は、300℃以
上とすることが好ましく、より好ましくは350℃以
上、更に400℃以上とすることが好ましい。
【0102】また、本実施形態では、封着工程を、内部
空間を減圧状態にしつつ乾燥空気を流しながら行うこと
について説明したが、蛍光体焼成工程、仮焼工程につい
ても、減圧状態で乾燥空気を流した雰囲気中で行うこと
も可能であって、同様の効果を奏する。また、本実施形
態においても、上記実施の形態2で説明したようなパネ
ル構造を適用すればより効果的である。 (実施例3)
空間を減圧状態にしつつ乾燥空気を流しながら行うこと
について説明したが、蛍光体焼成工程、仮焼工程につい
ても、減圧状態で乾燥空気を流した雰囲気中で行うこと
も可能であって、同様の効果を奏する。また、本実施形
態においても、上記実施の形態2で説明したようなパネ
ル構造を適用すればより効果的である。 (実施例3)
【0103】
【表3】
【0104】表3に、本実施の形態及び実施形態1に基
づいて作製した実施例に係るPDP、及び比較例に係る
PDPについて、作製条件を示す。パネルNo.11〜
21のPDPは、本実施形態に基づくPDPであって、
封着工程でパネル内部に流す乾燥ガスの水蒸気分圧、パ
ネル内部空間のガス圧、パネル内部空間を大気圧以下に
し始める温度、および乾燥ガスの種類を変化させたもの
である。
づいて作製した実施例に係るPDP、及び比較例に係る
PDPについて、作製条件を示す。パネルNo.11〜
21のPDPは、本実施形態に基づくPDPであって、
封着工程でパネル内部に流す乾燥ガスの水蒸気分圧、パ
ネル内部空間のガス圧、パネル内部空間を大気圧以下に
し始める温度、および乾燥ガスの種類を変化させたもの
である。
【0105】パネルNo.22のPDPは、実施の形態
1に基づくPDPであって、封着工程において、内部空
間に乾燥空気を導入したが、強制的に排気を行わなかっ
たものである。パネルNo.23のPDPは、比較例に
係るPDPであって、封着工程において内部空間に乾燥
ガスを導入することなく従来通りの方法で行ったもので
ある。
1に基づくPDPであって、封着工程において、内部空
間に乾燥空気を導入したが、強制的に排気を行わなかっ
たものである。パネルNo.23のPDPは、比較例に
係るPDPであって、封着工程において内部空間に乾燥
ガスを導入することなく従来通りの方法で行ったもので
ある。
【0106】これらの各PDPにおいて、蛍光体層の膜
厚は30μmとし、放電ガスはNe(95%)−Xe
(5%)を500Torrで封入した。 〈発光特性試験〉 試験方法及び結果 これらの各PDPについて、発光特性として、青色発光
の相対発光強度、青色発光の色度座標yの値、青色発光
のピーク波長、白色表示(色補正なし)の色温度、青色
セル及び緑色セルを同じ電力で発光させたときの発光ス
ペクトルのピーク強度比を測定した。
厚は30μmとし、放電ガスはNe(95%)−Xe
(5%)を500Torrで封入した。 〈発光特性試験〉 試験方法及び結果 これらの各PDPについて、発光特性として、青色発光
の相対発光強度、青色発光の色度座標yの値、青色発光
のピーク波長、白色表示(色補正なし)の色温度、青色
セル及び緑色セルを同じ電力で発光させたときの発光ス
ペクトルのピーク強度比を測定した。
【0107】青色発光強度、青色発光の色度座標yの
値、白色表示(色補正なし)の色温度については、実施
の形態1で説明した方法で測定した。青色発光のピーク
波長については、青色セルのみを点灯させ、その発光ス
ペクトルを測定することによって求めた。 これらの測
定結果は、表3に示す通りである。なお、表3に示す青
色発光の相対発光強度は、発光強度測定値を、比較例に
係るパネルNo.23についての発光強度測定値を基準
値100としたときの相対値で表わしたものである。
値、白色表示(色補正なし)の色温度については、実施
の形態1で説明した方法で測定した。青色発光のピーク
波長については、青色セルのみを点灯させ、その発光ス
ペクトルを測定することによって求めた。 これらの測
定結果は、表3に示す通りである。なお、表3に示す青
色発光の相対発光強度は、発光強度測定値を、比較例に
係るパネルNo.23についての発光強度測定値を基準
値100としたときの相対値で表わしたものである。
【0108】また、作製した各PDPを分解し、背面パ
ネル基板にクリプトンエキシマランプを用いて真空紫外
線を照射し、青色発光時の色度座標y、全色を発光させ
たときの色温度、並びに、青色及び緑色を発光させたと
きの発光スペクトルのピーク強度比を測定したところ、
上記点灯による結果と同等の結果が得られた。更に、パ
ネルから青色蛍光体を取り出し、TDS分析法で青色蛍
光体1g当りから200℃以上で脱離するH2Oガス分
子数を測定した。また、X線回折により、青色蛍光体結
晶のa軸長に対するc軸長の比も測定した。表3には、
これらの結果も示されている。
ネル基板にクリプトンエキシマランプを用いて真空紫外
線を照射し、青色発光時の色度座標y、全色を発光させ
たときの色温度、並びに、青色及び緑色を発光させたと
きの発光スペクトルのピーク強度比を測定したところ、
上記点灯による結果と同等の結果が得られた。更に、パ
ネルから青色蛍光体を取り出し、TDS分析法で青色蛍
光体1g当りから200℃以上で脱離するH2Oガス分
子数を測定した。また、X線回折により、青色蛍光体結
晶のa軸長に対するc軸長の比も測定した。表3には、
これらの結果も示されている。
【0109】考察:実施例(パネルNo.11〜21)
と、比較例(パネルNo.23)とで、発光特性を比較
すると、実施例は比較例より発光特性が優れている(青
色発光の発光強度が高く、白色表示の色温度が高
い。)。パネルNo.14及びパネルNo.22の発光特
性を比べると、同等の値を示している。これは、内部空
間に流れる乾燥空気の水蒸気分圧が同等であるなら、内
部空間が大気圧状態であっても、減圧状態であっても同
等の効果(発光特性)が得られることを示している。
と、比較例(パネルNo.23)とで、発光特性を比較
すると、実施例は比較例より発光特性が優れている(青
色発光の発光強度が高く、白色表示の色温度が高
い。)。パネルNo.14及びパネルNo.22の発光特
性を比べると、同等の値を示している。これは、内部空
間に流れる乾燥空気の水蒸気分圧が同等であるなら、内
部空間が大気圧状態であっても、減圧状態であっても同
等の効果(発光特性)が得られることを示している。
【0110】但し、パネルNo.22の中で、隔壁と前
面パネル基板との間に隙間が見られたものもあった。こ
れは、パネルNo.22においては、封着中に導入する
乾燥ガスで内部空間が多少膨らんだためと考えられる。
パネルNo.11〜14の発光特性を比較すると、No.
11〜14の順で青色発光強度が高く、また青色発光の
色度座標yも小さくなっていることがわかる。これよ
り、乾燥空気の水蒸気分圧が低いほど、青色発光強度が
高くなり、青色発光の色度座標yも小さくなることがわ
かる。これは、青色蛍光体の熱劣化が、水蒸気分圧を低
減することによって防止されたためと考えられる。
面パネル基板との間に隙間が見られたものもあった。こ
れは、パネルNo.22においては、封着中に導入する
乾燥ガスで内部空間が多少膨らんだためと考えられる。
パネルNo.11〜14の発光特性を比較すると、No.
11〜14の順で青色発光強度が高く、また青色発光の
色度座標yも小さくなっていることがわかる。これよ
り、乾燥空気の水蒸気分圧が低いほど、青色発光強度が
高くなり、青色発光の色度座標yも小さくなることがわ
かる。これは、青色蛍光体の熱劣化が、水蒸気分圧を低
減することによって防止されたためと考えられる。
【0111】パネルNo.14〜16の発光特性を比較
すると、青色発光の色度座標yについては同等であっ
て、青色発光の色度座標yが内部空間の圧力に影響され
ないことを示している。一方、青色発光の相対発光強度
については、パネルNo.14〜16の順で低下してい
る。これは、雰囲気ガスの酸素分圧が低くなると、蛍光
体に酸素欠陥等の欠陥が発生し、青色発光の発光強度が
低下することを示している。
すると、青色発光の色度座標yについては同等であっ
て、青色発光の色度座標yが内部空間の圧力に影響され
ないことを示している。一方、青色発光の相対発光強度
については、パネルNo.14〜16の順で低下してい
る。これは、雰囲気ガスの酸素分圧が低くなると、蛍光
体に酸素欠陥等の欠陥が発生し、青色発光の発光強度が
低下することを示している。
【0112】パネルNo.14及びパネルNo.20,2
1の発光特性を比べると、青色発光の色度座標yについ
ては同等であって、青色発光の色度座標yが内部空間に
流す乾燥ガスの種類に影響されないことを示している。
一方、青色発光の相対発光強度については、パネルN
o.20,21では、パネルNo.14と比べて低くなっ
ている。これは、乾燥ガスとして窒素やNe(95%)
−Xe(5%)のような酸素が含まれないガスを用いた
場合、蛍光体に酸素欠陥等の欠陥が発生し、発光強度が
低下することを示している。
1の発光特性を比べると、青色発光の色度座標yについ
ては同等であって、青色発光の色度座標yが内部空間に
流す乾燥ガスの種類に影響されないことを示している。
一方、青色発光の相対発光強度については、パネルN
o.20,21では、パネルNo.14と比べて低くなっ
ている。これは、乾燥ガスとして窒素やNe(95%)
−Xe(5%)のような酸素が含まれないガスを用いた
場合、蛍光体に酸素欠陥等の欠陥が発生し、発光強度が
低下することを示している。
【0113】パネルNo.14及びパネルNo.17〜1
9の発光特性を比べると、パネルNo.17、18、1
4、19の順で、青色発光強度が向上し、色度座標yも
小さくなっている。これは、内部空間を真空排気して大
気圧より低くし始める温度が高いほど、青色発光強度が
高く、色度座標yも小さくなることを示しており、内部
空間の排気開始温度を高くすることで、パネル周囲の雰
囲気ガスがパネル内部空間に流入することを防げたため
と考えられる。
9の発光特性を比べると、パネルNo.17、18、1
4、19の順で、青色発光強度が向上し、色度座標yも
小さくなっている。これは、内部空間を真空排気して大
気圧より低くし始める温度が高いほど、青色発光強度が
高く、色度座標yも小さくなることを示しており、内部
空間の排気開始温度を高くすることで、パネル周囲の雰
囲気ガスがパネル内部空間に流入することを防げたため
と考えられる。
【0114】また、表3に示した各パネルNo.におけ
る青色発光の色度座標yと青色発光のピーク波長との関
係を見ると、青色発光の色度座標yの値が小さいほど、
青色発光のピーク波長は短いことがわかる。これは、青
色発光の色度座標y値が小さいことと、青色発光のピー
ク波長が短いこととが同等であることを示している。 [実施の形態4]本実施形態のPDPは、図1に示す実
施の形態1のPDPと同様の構成である。
る青色発光の色度座標yと青色発光のピーク波長との関
係を見ると、青色発光の色度座標yの値が小さいほど、
青色発光のピーク波長は短いことがわかる。これは、青
色発光の色度座標y値が小さいことと、青色発光のピー
ク波長が短いこととが同等であることを示している。 [実施の形態4]本実施形態のPDPは、図1に示す実
施の形態1のPDPと同様の構成である。
【0115】本実施形態のPDPの製造方法において
は、前面パネル基板10と背面パネル基板20とを封着
する封着工程までは、従来と同様の方法で行うが(即
ち、封着工程では、前面パネル基板10と背面パネル基
板20とを重ね合わせた後に内部空間に乾燥空気を流す
ことなく加熱昇温する。)、排気工程において、真空排
気を開始する前に、乾燥ガスを内部空間に流しながら加
熱する処理を行う点が異なっており、これによって、封
着工程までに熱劣化した青色蛍光体層の発光特性を回復
させることができる。
は、前面パネル基板10と背面パネル基板20とを封着
する封着工程までは、従来と同様の方法で行うが(即
ち、封着工程では、前面パネル基板10と背面パネル基
板20とを重ね合わせた後に内部空間に乾燥空気を流す
ことなく加熱昇温する。)、排気工程において、真空排
気を開始する前に、乾燥ガスを内部空間に流しながら加
熱する処理を行う点が異なっており、これによって、封
着工程までに熱劣化した青色蛍光体層の発光特性を回復
させることができる。
【0116】以下、本実施の形態における排気工程につ
いて、詳述説明する。本実施の形態の排気工程では、図
4に示す封着用加熱装置と同じものを用いるので、図4
を参照しながら説明する。背面パネル基板20の通気口
21a、21bには、予めガラス管26a・26bが取
り付けられている。ガラス管26a・26bに配管52
a・52bを連結し、配管52bから真空ポンプ54で
排気することによって内部空間を一旦真空にした後、真
空ポンプ54は使わずに配管52aから一定の流量で乾
燥空気を送り込む。これによって、両パネル基板10・
20間の内部空間に乾燥空気が流通し、配管52bから
排出される。
いて、詳述説明する。本実施の形態の排気工程では、図
4に示す封着用加熱装置と同じものを用いるので、図4
を参照しながら説明する。背面パネル基板20の通気口
21a、21bには、予めガラス管26a・26bが取
り付けられている。ガラス管26a・26bに配管52
a・52bを連結し、配管52bから真空ポンプ54で
排気することによって内部空間を一旦真空にした後、真
空ポンプ54は使わずに配管52aから一定の流量で乾
燥空気を送り込む。これによって、両パネル基板10・
20間の内部空間に乾燥空気が流通し、配管52bから
排出される。
【0117】このように内部空間に乾燥空気を流しなが
ら、両パネル基板10・20を所定の温度になるまで加
熱昇温する。その後、乾燥空気の供給を停止し、今度
は、真空ポンプ54を用いて排気を行いながら、所定の
排気温度に保つことによって、パネル基板10・20の
内部に吸着されているガスを排出する。
ら、両パネル基板10・20を所定の温度になるまで加
熱昇温する。その後、乾燥空気の供給を停止し、今度
は、真空ポンプ54を用いて排気を行いながら、所定の
排気温度に保つことによって、パネル基板10・20の
内部に吸着されているガスを排出する。
【0118】このように排気工程が終了した後、放電ガ
スを封入することによってPDPが作製される。 (本実施形態の効果について)本実施形態の排気工程に
よれば、排気工程における蛍光体層の熱劣化を防止する
効果がある。
スを封入することによってPDPが作製される。 (本実施形態の効果について)本実施形態の排気工程に
よれば、排気工程における蛍光体層の熱劣化を防止する
効果がある。
【0119】また、PDPの製造工程の中で、蛍光体を
塗布し蛍光体層を形成した後でこれを焼成する蛍光体焼
成工程、封着用ガラスフリットを塗布した後でこれを仮
焼する仮焼工程、並びに前面パネル基板と背面パネル基
板を重ね合わせて封着する封着工程において、蛍光体層
(特に青色蛍光体)に熱劣化が生じやすいが、仮に排気
工程を行う前の封着工程などで蛍光体層が熱劣化して発
光特性が低下していたとしても、蛍光体層の発光特性を
回復させることが可能である。
塗布し蛍光体層を形成した後でこれを焼成する蛍光体焼
成工程、封着用ガラスフリットを塗布した後でこれを仮
焼する仮焼工程、並びに前面パネル基板と背面パネル基
板を重ね合わせて封着する封着工程において、蛍光体層
(特に青色蛍光体)に熱劣化が生じやすいが、仮に排気
工程を行う前の封着工程などで蛍光体層が熱劣化して発
光特性が低下していたとしても、蛍光体層の発光特性を
回復させることが可能である。
【0120】この理由は、次のように考えられる。封着
工程によって封着されたパネル基板を加熱昇温すると、
内部空間にはガス(特に水蒸気)が放出される。例え
ば、封着されたパネル基板を大気中に放置しておくと内
部にも水分等が吸着されるので、これを加熱すると水蒸
気などが放出されることになる。ここで、本実施形態の
排気工程によれば、真空排気を開始する前に、内部空間
に乾燥空気を流通させながらパネル基板を加熱昇温させ
るという乾燥ガス処理で水蒸気等が放出され効率よくパ
ネル外部に排出される。従って、乾燥ガス処理を行わず
単純に真空排気を行う従来の排気工程と比べて、熱劣化
は少なくなる。
工程によって封着されたパネル基板を加熱昇温すると、
内部空間にはガス(特に水蒸気)が放出される。例え
ば、封着されたパネル基板を大気中に放置しておくと内
部にも水分等が吸着されるので、これを加熱すると水蒸
気などが放出されることになる。ここで、本実施形態の
排気工程によれば、真空排気を開始する前に、内部空間
に乾燥空気を流通させながらパネル基板を加熱昇温させ
るという乾燥ガス処理で水蒸気等が放出され効率よくパ
ネル外部に排出される。従って、乾燥ガス処理を行わず
単純に真空排気を行う従来の排気工程と比べて、熱劣化
は少なくなる。
【0121】また、乾燥ガス処理によるガス排出作用に
よって、蛍光体層が熱劣化する時とは逆の反応が起こっ
てガスが排出され、発光特性が回復されると考えられ
る。このように本実施形態では、一旦熱劣化した青色蛍
光体の発光特性を、最後の熱プロセスとなる排気工程で
回復させることができるため、実用的効果も大きい。
よって、蛍光体層が熱劣化する時とは逆の反応が起こっ
てガスが排出され、発光特性が回復されると考えられ
る。このように本実施形態では、一旦熱劣化した青色蛍
光体の発光特性を、最後の熱プロセスとなる排気工程で
回復させることができるため、実用的効果も大きい。
【0122】本排気工程における青色蛍光体の発光特性
を回復させる効果をより高めるために、以下のように条
件を設定することが好ましい。排気工程におけるピーク
温度(即ち、乾燥ガスを流しながら加熱するときの温度
及び真空排気を行うときの温度の温度の中で高い方の温
度)は、高く設定する程、青色蛍光体の発光特性回復効
果は大きくなる。
を回復させる効果をより高めるために、以下のように条
件を設定することが好ましい。排気工程におけるピーク
温度(即ち、乾燥ガスを流しながら加熱するときの温度
及び真空排気を行うときの温度の温度の中で高い方の温
度)は、高く設定する程、青色蛍光体の発光特性回復効
果は大きくなる。
【0123】十分な発光特性の回復効果を得るために、
ピーク温度(乾燥ガス処理時の温度及び排気温度に中で
高い方の温度)は300℃以上に設定することが好まし
く、更に、360℃、380℃、400℃とより高く設
定するのが好ましい。但し、封着用ガラスが軟化して流
れ出すほど温度を高くしないようにする必要がある。ま
た、乾燥ガス処理において加熱昇温する温度は、真空排
気を行うときの排気温度よりも高く設定する方が好まし
い。これは、真空排気時の排気温度が乾燥ガス処理にお
ける加熱温度より高いと、真空排気時において基板から
内部空間に放出されるガス(特に水蒸気)によって効果
が低減するのに対して、乾燥ガス処理時の加熱温度の方
を高くすると、真空排気時において内部空間に放出され
るガスが少なくなるためと考えられる。
ピーク温度(乾燥ガス処理時の温度及び排気温度に中で
高い方の温度)は300℃以上に設定することが好まし
く、更に、360℃、380℃、400℃とより高く設
定するのが好ましい。但し、封着用ガラスが軟化して流
れ出すほど温度を高くしないようにする必要がある。ま
た、乾燥ガス処理において加熱昇温する温度は、真空排
気を行うときの排気温度よりも高く設定する方が好まし
い。これは、真空排気時の排気温度が乾燥ガス処理にお
ける加熱温度より高いと、真空排気時において基板から
内部空間に放出されるガス(特に水蒸気)によって効果
が低減するのに対して、乾燥ガス処理時の加熱温度の方
を高くすると、真空排気時において内部空間に放出され
るガスが少なくなるためと考えられる。
【0124】乾燥ガス処理において流通させる乾燥ガス
の水蒸気分圧は、低く設定するほど好ましい。即ち、青
色蛍光体の発光特性が回復する効果は、乾燥ガスの水蒸
気分圧が低いほど向上するが、従来の真空排気工程と比
較して顕著な効果が現れるのは、水蒸気分圧が15To
rr以下の範囲である。熱劣化した青色蛍光体の発光特
性を回復できることは、以下の実験からもわかる。
の水蒸気分圧は、低く設定するほど好ましい。即ち、青
色蛍光体の発光特性が回復する効果は、乾燥ガスの水蒸
気分圧が低いほど向上するが、従来の真空排気工程と比
較して顕著な効果が現れるのは、水蒸気分圧が15To
rr以下の範囲である。熱劣化した青色蛍光体の発光特
性を回復できることは、以下の実験からもわかる。
【0125】図17及び図18は、青色蛍光体(BaM
gAl10O17:Eu)を一旦熱劣化させた後、空気中で
再焼成して発光特性を回復させる効果の水蒸気分圧依存
性を示す特性図であって、以下のように測定したもので
ある。先ず、青色蛍光体(色度座標y値は、0.05
2)を、水蒸気分圧30Torrの空気中で焼成(ピー
ク温度450℃で20分)することによって熱劣化させ
た。この熱劣化した青色蛍光体は、色度座標y値は0.
092、相対発光強度(全く未焼成の青色蛍光体の発光
強度を100としたときの発光強度の指標)は85であ
った。
gAl10O17:Eu)を一旦熱劣化させた後、空気中で
再焼成して発光特性を回復させる効果の水蒸気分圧依存
性を示す特性図であって、以下のように測定したもので
ある。先ず、青色蛍光体(色度座標y値は、0.05
2)を、水蒸気分圧30Torrの空気中で焼成(ピー
ク温度450℃で20分)することによって熱劣化させ
た。この熱劣化した青色蛍光体は、色度座標y値は0.
092、相対発光強度(全く未焼成の青色蛍光体の発光
強度を100としたときの発光強度の指標)は85であ
った。
【0126】そして、この熱劣化した青色蛍光体を、水
蒸気分圧の値をいろいろに変えた空気中で所定のピーク
温度で再焼成した後、相対発光強度並びに色度座標y値
を測定した。なお、再焼成時に、ピーク温度は350℃
および450℃に設定し、ピーク温度維持時間は30分
とした。図17は、再焼成時における空気中の水蒸気分
圧と測定した相対発光強度との関係を示し、図18は、
再焼成時における空気中の水蒸気分圧と測定した色度座
標y値との関係を示している。
蒸気分圧の値をいろいろに変えた空気中で所定のピーク
温度で再焼成した後、相対発光強度並びに色度座標y値
を測定した。なお、再焼成時に、ピーク温度は350℃
および450℃に設定し、ピーク温度維持時間は30分
とした。図17は、再焼成時における空気中の水蒸気分
圧と測定した相対発光強度との関係を示し、図18は、
再焼成時における空気中の水蒸気分圧と測定した色度座
標y値との関係を示している。
【0127】図17,18の特性図から、再焼成の温度
が350℃,450℃のいずれの場合でも、再焼成時に
おける空気中の水蒸気分圧が0〜30Torrの範囲に
おいて、青色相対発光強度は高く、青色色度座標y値は
小さくなっていることがわかる。これは、青色蛍光体
が、水蒸気が多く含まれる雰囲気で焼成することによっ
て熱劣化し発光特性が低下しても、より水蒸気分圧の低
い雰囲気中で再焼成することによって、発光特性が回復
すること、即ち、青色蛍光体の熱劣化が可逆的反応であ
ることを示している。
が350℃,450℃のいずれの場合でも、再焼成時に
おける空気中の水蒸気分圧が0〜30Torrの範囲に
おいて、青色相対発光強度は高く、青色色度座標y値は
小さくなっていることがわかる。これは、青色蛍光体
が、水蒸気が多く含まれる雰囲気で焼成することによっ
て熱劣化し発光特性が低下しても、より水蒸気分圧の低
い雰囲気中で再焼成することによって、発光特性が回復
すること、即ち、青色蛍光体の熱劣化が可逆的反応であ
ることを示している。
【0128】また、図17,18の特性図から、再焼成
時における空気中の水蒸気分圧が低いほど、そして再焼
成温度が高いほど、発光特性の回復効果が大きいことも
わかる。なお詳しい説明は省略するが、この他に、ピー
ク温度で維持する時間を変えて同様の測定を行った。そ
の結果、ピーク温度で維持する時間が長いほど、発光特
性の回復効果は大きいことがわかった。
時における空気中の水蒸気分圧が低いほど、そして再焼
成温度が高いほど、発光特性の回復効果が大きいことも
わかる。なお詳しい説明は省略するが、この他に、ピー
ク温度で維持する時間を変えて同様の測定を行った。そ
の結果、ピーク温度で維持する時間が長いほど、発光特
性の回復効果は大きいことがわかった。
【0129】(本実施形態の変形例)本実施形態の排気
工程では、乾燥ガス処理を行うのに乾燥空気を用いた
が、窒素やアルゴン等の不活性ガスを用いても同様に実
施でき、同様の効果が得られる。また、本実施形態の排
気工程では、真空排気を開始する前に、乾燥空気を流通
させながらパネル基板を加熱昇温させる乾燥ガス処理を
行ったが、乾燥ガス処理を行わず単純に真空排気を行う
場合でも、排気温度を従来の一般的な排気温度よりも高
めの排気温度(360℃以上)に設定することによっ
て、蛍光体層の発光特性をある程度回復することはでき
る。そして、この場合も、排気温度を高く設定する程、
大きい発光特性回復効果が得られる。
工程では、乾燥ガス処理を行うのに乾燥空気を用いた
が、窒素やアルゴン等の不活性ガスを用いても同様に実
施でき、同様の効果が得られる。また、本実施形態の排
気工程では、真空排気を開始する前に、乾燥空気を流通
させながらパネル基板を加熱昇温させる乾燥ガス処理を
行ったが、乾燥ガス処理を行わず単純に真空排気を行う
場合でも、排気温度を従来の一般的な排気温度よりも高
めの排気温度(360℃以上)に設定することによっ
て、蛍光体層の発光特性をある程度回復することはでき
る。そして、この場合も、排気温度を高く設定する程、
大きい発光特性回復効果が得られる。
【0130】但し、乾燥ガス処理を行う方が、蛍光体層
の発光特性回復効果は大きい。これは、内部空間が狭い
ために、乾燥ガス処理を行わないと、真空排気時に放出
される水蒸気がパネル外部へ十分に排気されにくいため
と考えられる。また、本実施形態においても、上記実施
の形態2で説明したようなパネル構造を適用すれば、乾
燥ガス処理時においてより大きなガス排出効果が期待で
きる。
の発光特性回復効果は大きい。これは、内部空間が狭い
ために、乾燥ガス処理を行わないと、真空排気時に放出
される水蒸気がパネル外部へ十分に排気されにくいため
と考えられる。また、本実施形態においても、上記実施
の形態2で説明したようなパネル構造を適用すれば、乾
燥ガス処理時においてより大きなガス排出効果が期待で
きる。
【0131】(実施例4)
【0132】
【表4】
【0133】パネルNo.21〜29は、本実施の形態
に基づいて、乾燥ガス処理を行った後、真空排気して作
製した実施例のPDPであって、乾燥ガス処理時の加熱
温度および排気温度とを、いろいろな温度に変えて作製
した。乾燥ガス処理では、乾燥空気を流しながら所定の
加熱温度で30分間維持し、真空排気時には、所定の排
気温度で2時間維持した。
に基づいて、乾燥ガス処理を行った後、真空排気して作
製した実施例のPDPであって、乾燥ガス処理時の加熱
温度および排気温度とを、いろいろな温度に変えて作製
した。乾燥ガス処理では、乾燥空気を流しながら所定の
加熱温度で30分間維持し、真空排気時には、所定の排
気温度で2時間維持した。
【0134】パネルNo.30〜32は、上記変形例に
基づいて、乾燥ガス処理は行わず、360℃以上の排気
温度で真空排気して作製した実施例のPDPである。パ
ネルNo.33は、従来と同様に、乾燥ガス処理を行う
ことなく350℃で加熱しながら2時間真空排気して作
製した比較例に係るPDPである。これらの各PDPに
おいて、パネル構成は同じとし、蛍光体層の膜厚は30
μmとし、放電ガスはNe(95%)−Xe(5%)を
500Torrで封入した。
基づいて、乾燥ガス処理は行わず、360℃以上の排気
温度で真空排気して作製した実施例のPDPである。パ
ネルNo.33は、従来と同様に、乾燥ガス処理を行う
ことなく350℃で加熱しながら2時間真空排気して作
製した比較例に係るPDPである。これらの各PDPに
おいて、パネル構成は同じとし、蛍光体層の膜厚は30
μmとし、放電ガスはNe(95%)−Xe(5%)を
500Torrで封入した。
【0135】〈発光特性試験〉これらの各PDPについ
て、発光特性として、青色発光の相対発光強度、青色発
光の色度座標y値を測定した。 試験結果と考察:これらの測定結果は、表4に示す通り
である。なお、発光強度は、比較例のパネルNo.33
の発光強度を100とし、相対発光強度で示している。
て、発光特性として、青色発光の相対発光強度、青色発
光の色度座標y値を測定した。 試験結果と考察:これらの測定結果は、表4に示す通り
である。なお、発光強度は、比較例のパネルNo.33
の発光強度を100とし、相対発光強度で示している。
【0136】パネルNo.21〜28は、いずれもパネ
ルNo.33と比べて、発光強度が高く青色発光の色度
座標y値が小さい。これは、本実施の形態の排気工程を
用いてPDPを製造することによって、従来よりPDP
の発光特性が向上することを示している。パネルNo.
21〜24の間で発光特性を比べると、パネルNo.2
1,22,23,24の順で発光特性が向上している
(相対発光強度が高くなり、色度座標y値が小さくなっ
ている)。これは、乾燥ガス処理時における加熱温度を
高く設定する程、青色蛍光体層の発光特性回復効果が向
上することを示している。
ルNo.33と比べて、発光強度が高く青色発光の色度
座標y値が小さい。これは、本実施の形態の排気工程を
用いてPDPを製造することによって、従来よりPDP
の発光特性が向上することを示している。パネルNo.
21〜24の間で発光特性を比べると、パネルNo.2
1,22,23,24の順で発光特性が向上している
(相対発光強度が高くなり、色度座標y値が小さくなっ
ている)。これは、乾燥ガス処理時における加熱温度を
高く設定する程、青色蛍光体層の発光特性回復効果が向
上することを示している。
【0137】また、パネルNo.24,25,26の間
で発光特性を比較すると、パネルNo.26,25,2
4の順で発光特性が向上している。これは、乾燥ガス処
理時における加熱温度を、真空排気時の排気温度よりも
高く設定する方が、青色蛍光体層の発光特性回復効果が
向上することを示している。また、パネルNo.24,
27〜29の間で発光特性を比べると、パネルNo.2
7,28,24,29の順で発光特性が向上している。
これは、乾燥ガス処理時の水蒸気分圧を小さく設定する
ほど、青色蛍光体層の発光特性回復効果が向上すること
を示している。
で発光特性を比較すると、パネルNo.26,25,2
4の順で発光特性が向上している。これは、乾燥ガス処
理時における加熱温度を、真空排気時の排気温度よりも
高く設定する方が、青色蛍光体層の発光特性回復効果が
向上することを示している。また、パネルNo.24,
27〜29の間で発光特性を比べると、パネルNo.2
7,28,24,29の順で発光特性が向上している。
これは、乾燥ガス処理時の水蒸気分圧を小さく設定する
ほど、青色蛍光体層の発光特性回復効果が向上すること
を示している。
【0138】また、パネルNo.30〜32は、パネル
No.33と比べて、いずれも発光強度が高く青色発光
の色度座標y値が小さい。これは、上記変形例の排気工
程を用いてPDPを製造することによっても、従来より
PDPの発光特性が向上することを示している。ただ
し、パネルNo.30〜32は、パネルNo.21等と
比べると発光特性は劣っている。これは、乾燥ガス処理
を行う方が、青色蛍光体層の発光特性の回復効果が大き
いことを示している。
No.33と比べて、いずれも発光強度が高く青色発光
の色度座標y値が小さい。これは、上記変形例の排気工
程を用いてPDPを製造することによっても、従来より
PDPの発光特性が向上することを示している。ただ
し、パネルNo.30〜32は、パネルNo.21等と
比べると発光特性は劣っている。これは、乾燥ガス処理
を行う方が、青色蛍光体層の発光特性の回復効果が大き
いことを示している。
【0139】[実施の形態5]本実施形態のPDPは、
図1に示す実施の形態1のPDPと同様の構成である。
PDPの製造方法においても、仮焼工程までは上記実施
の形態1と同様であるが、前面パネル基板10と背面パ
ネル基板20とを封着する際に、前面パネル基板10と
背面パネル基板20の対向面を開放した状態で予備加熱
し、加熱された状態で重ね合わせて封着する点が異なっ
ている。
図1に示す実施の形態1のPDPと同様の構成である。
PDPの製造方法においても、仮焼工程までは上記実施
の形態1と同様であるが、前面パネル基板10と背面パ
ネル基板20とを封着する際に、前面パネル基板10と
背面パネル基板20の対向面を開放した状態で予備加熱
し、加熱された状態で重ね合わせて封着する点が異なっ
ている。
【0140】本実施形態のPDPは、青色セルのみを点
灯させたときの発光色の色度座標yが0.08以下、発
光スペクトルのピーク波長が455nm以下であって、
色補正なしの白バランスで色温度を7000K以上とす
ることができる。更に製造条件によっては青色発光の色
度座標yを0.06以下とすることにより、色補正なし
の白バランスで色温度を11000K程度とすることも
可能となる。
灯させたときの発光色の色度座標yが0.08以下、発
光スペクトルのピーク波長が455nm以下であって、
色補正なしの白バランスで色温度を7000K以上とす
ることができる。更に製造条件によっては青色発光の色
度座標yを0.06以下とすることにより、色補正なし
の白バランスで色温度を11000K程度とすることも
可能となる。
【0141】以下、本実施形態における封着工程につい
て詳細に説明する。図19は、封着工程に用いる封着装
置の構成を模式的に示す図である。この封着装置80
は、前面パネル基板10及び背面パネル基板20を加熱
する加熱炉81に、加熱炉81内ヘ導入する雰囲気ガス
の導入量を調整するガス導入弁82、加熱炉81から排
出するガスの排出量を調整するガス排出弁83等が取り
付けられて構成されている。
て詳細に説明する。図19は、封着工程に用いる封着装
置の構成を模式的に示す図である。この封着装置80
は、前面パネル基板10及び背面パネル基板20を加熱
する加熱炉81に、加熱炉81内ヘ導入する雰囲気ガス
の導入量を調整するガス導入弁82、加熱炉81から排
出するガスの排出量を調整するガス排出弁83等が取り
付けられて構成されている。
【0142】加熱炉81内は、ヒータ(不図示)によっ
て高温に加熱できるようになっている。また、加熱炉8
1内には、前面パネル基板及び背面パネル基板が加熱さ
れる雰囲気を形成する雰囲気ガス(例えば乾燥空気)
を、ガス導入弁82から導入することができ、ガス排出
弁83から真空ポンプ(不図示)で排気して加熱炉81
内を高真空にできるようにもなっている。そして、この
ガス導入弁82及びガス排出弁83で加熱炉81内の真
空度を調整することができる。なお、雰囲気ガス供給源
から加熱炉81への間には、雰囲気ガスを低温(マイナ
ス数十度)に冷却して水分を凝結させることによって除
去するガス乾燥器(不図示)が設けられており、このガ
ス乾燥器を経由することによって、雰囲気ガス中の水蒸
気量(水蒸気分圧)が低減される。
て高温に加熱できるようになっている。また、加熱炉8
1内には、前面パネル基板及び背面パネル基板が加熱さ
れる雰囲気を形成する雰囲気ガス(例えば乾燥空気)
を、ガス導入弁82から導入することができ、ガス排出
弁83から真空ポンプ(不図示)で排気して加熱炉81
内を高真空にできるようにもなっている。そして、この
ガス導入弁82及びガス排出弁83で加熱炉81内の真
空度を調整することができる。なお、雰囲気ガス供給源
から加熱炉81への間には、雰囲気ガスを低温(マイナ
ス数十度)に冷却して水分を凝結させることによって除
去するガス乾燥器(不図示)が設けられており、このガ
ス乾燥器を経由することによって、雰囲気ガス中の水蒸
気量(水蒸気分圧)が低減される。
【0143】加熱炉81の中には、前面パネル基板10
と背面パネル基板20を重ね合わせて載置する載置台8
4が設けられ、この載置台84の上部には、背面パネル
基板20を平行移動させる移動ピン85が設置されてい
る。また載置台84の上方には、背面パネル基板20を
下方に押圧するための押圧機構86が設置されている。
と背面パネル基板20を重ね合わせて載置する載置台8
4が設けられ、この載置台84の上部には、背面パネル
基板20を平行移動させる移動ピン85が設置されてい
る。また載置台84の上方には、背面パネル基板20を
下方に押圧するための押圧機構86が設置されている。
【0144】図20は、加熱炉81の内部の構成を示す
斜視図である。図19,20において、背面パネル基板
20は、隔壁の長手方向が図面横方向に沿うように配置
されている。図19,20に示すように、隔壁の長手方
向(図面横方向)において、背面パネル基板20は、前
面パネル基板10よりも若干長く設定されており、背面
パネル基板20の両端部が前面パネル基板10の両端部
より外方にはみ出している。なお、このはみ出し部分に
は、アドレス電極22を駆動回路に接続するための引出
し線が配設されている。そして、移動ピン85及び押圧
機構86は、載置台84上に載置される背面パネル基板
20のはみ出し部分を、背面パネル基板20の4角付近
において上下から挟みこむように配置されている。
斜視図である。図19,20において、背面パネル基板
20は、隔壁の長手方向が図面横方向に沿うように配置
されている。図19,20に示すように、隔壁の長手方
向(図面横方向)において、背面パネル基板20は、前
面パネル基板10よりも若干長く設定されており、背面
パネル基板20の両端部が前面パネル基板10の両端部
より外方にはみ出している。なお、このはみ出し部分に
は、アドレス電極22を駆動回路に接続するための引出
し線が配設されている。そして、移動ピン85及び押圧
機構86は、載置台84上に載置される背面パネル基板
20のはみ出し部分を、背面パネル基板20の4角付近
において上下から挟みこむように配置されている。
【0145】4つの移動ピン85は、ピン上端が載置台
84の上面から上方に突き出ており、載置台84の内部
に設けられたピン昇降機構(不図示)によって同時に昇
降できるようになっている。4つの押圧機構86の各々
は、加熱炉81の上部に固着されている円筒状の支持部
86aと、支持部86aの内側を上下移動可能な状態で
支持されているスライド棒86bと、支持部86aの内
部にあってスライド棒86bを下方に付勢するバネ86
cとから構成され、バネ86cの付勢力によりスライド
棒86bの下端が背面パネル基板20を押圧するように
なっている。
84の上面から上方に突き出ており、載置台84の内部
に設けられたピン昇降機構(不図示)によって同時に昇
降できるようになっている。4つの押圧機構86の各々
は、加熱炉81の上部に固着されている円筒状の支持部
86aと、支持部86aの内側を上下移動可能な状態で
支持されているスライド棒86bと、支持部86aの内
部にあってスライド棒86bを下方に付勢するバネ86
cとから構成され、バネ86cの付勢力によりスライド
棒86bの下端が背面パネル基板20を押圧するように
なっている。
【0146】図21は、この封着装置を用いて予備加熱
工程及び封着工程を行う際の動作を示す図である。本図
を参照しながら、仮焼・予備加熱・封着工程について説
明する。 仮焼工程:予め、前面パネル基板10の対向面(背面パ
ネル基板20と対向する面)の外周部、あるいは背面パ
ネル基板20の対向面(前面パネル基板10と対向する
面)の外周部、あるいは前面パネル基板10及び背面パ
ネル基板20両方の対向面の外周部に、封着用ガラス
(ガラスフリット)からなるペーストを塗布し、350
℃程度で10〜30分間、仮焼成することによって封着
ガラス層15を形成しておく(なお、図では、封着ガラ
ス層15は前面パネル基板10の対向面に形成されてい
る。)。
工程及び封着工程を行う際の動作を示す図である。本図
を参照しながら、仮焼・予備加熱・封着工程について説
明する。 仮焼工程:予め、前面パネル基板10の対向面(背面パ
ネル基板20と対向する面)の外周部、あるいは背面パ
ネル基板20の対向面(前面パネル基板10と対向する
面)の外周部、あるいは前面パネル基板10及び背面パ
ネル基板20両方の対向面の外周部に、封着用ガラス
(ガラスフリット)からなるペーストを塗布し、350
℃程度で10〜30分間、仮焼成することによって封着
ガラス層15を形成しておく(なお、図では、封着ガラ
ス層15は前面パネル基板10の対向面に形成されてい
る。)。
【0147】予備加熱工程:そして、前面パネル基板1
0及び背面パネル基板20を位置合わせして重ね合わせ
た状態で、載置台84上の定位置に載置し、押圧機構8
6をセットして背面パネル基板20を押える(図21
(a)参照)。次に、加熱炉81内に雰囲気ガス(乾燥
空気)を流通させながら(もしくはガス排出弁83から
の真空排気を併用しながら)、以下の操作を行う。
0及び背面パネル基板20を位置合わせして重ね合わせ
た状態で、載置台84上の定位置に載置し、押圧機構8
6をセットして背面パネル基板20を押える(図21
(a)参照)。次に、加熱炉81内に雰囲気ガス(乾燥
空気)を流通させながら(もしくはガス排出弁83から
の真空排気を併用しながら)、以下の操作を行う。
【0148】移動ピン85を上昇させ、背面パネル基板
20を上方に押し上げて平行移動させる(図21(b)
参照)。これによって前面パネル基板10及び背面パネ
ル基板20の対向面の間隙が広がり、背面パネル基板2
0の蛍光体層25が配された面は、加熱炉81内の広い
空間に開放されることになる。この状態で加熱炉81内
を加熱昇温することによってパネル基板10,20から
ガスを放出する。そして、所定の温度(例えば400
℃)に達したら、予備加熱工程を終える。
20を上方に押し上げて平行移動させる(図21(b)
参照)。これによって前面パネル基板10及び背面パネ
ル基板20の対向面の間隙が広がり、背面パネル基板2
0の蛍光体層25が配された面は、加熱炉81内の広い
空間に開放されることになる。この状態で加熱炉81内
を加熱昇温することによってパネル基板10,20から
ガスを放出する。そして、所定の温度(例えば400
℃)に達したら、予備加熱工程を終える。
【0149】封着工程:続いて、移動ピン85を降下さ
せて、背面パネル基板20を前面パネル基板10に再度
重ね合わせる。このとき、背面パネル基板20は、もと
のように位置合わせした状態で重ね合わせられる(図2
1(c)参照)。そして、加熱炉81内が、封着ガラス
層15の軟化点より高い所定の封着温度(450℃前
後)に達したら、10〜20分間その封着温度に維持す
る。このとき、軟化した封着用ガラスによって、前面パ
ネル基板10と背面パネル基板20の外周部が封止され
る。この間、押圧機構86によって背面パネル基板20
は前面パネル基板10に押えつけられているので、安定
した封着が行える。
せて、背面パネル基板20を前面パネル基板10に再度
重ね合わせる。このとき、背面パネル基板20は、もと
のように位置合わせした状態で重ね合わせられる(図2
1(c)参照)。そして、加熱炉81内が、封着ガラス
層15の軟化点より高い所定の封着温度(450℃前
後)に達したら、10〜20分間その封着温度に維持す
る。このとき、軟化した封着用ガラスによって、前面パ
ネル基板10と背面パネル基板20の外周部が封止され
る。この間、押圧機構86によって背面パネル基板20
は前面パネル基板10に押えつけられているので、安定
した封着が行える。
【0150】そして、封着が完了したら、押圧機構86
を解除して、封着された基板を取り出す。このように封
着工程を行った後、排気工程を行う。本実施形態では、
図19,20に示すように、背面パネル基板20外周部
に通気口21aが1つだけ設けられており、当該通気口
21aに取り付けられたガラス管26に真空ポンプ(不
図示)を連結して排気を行う。そして、この排気工程の
後、ガラス管26から内部空間に放電ガスを封入し、通
気口21aを封止してガラス管26を切り取ることによ
って、PDPが作製される。
を解除して、封着された基板を取り出す。このように封
着工程を行った後、排気工程を行う。本実施形態では、
図19,20に示すように、背面パネル基板20外周部
に通気口21aが1つだけ設けられており、当該通気口
21aに取り付けられたガラス管26に真空ポンプ(不
図示)を連結して排気を行う。そして、この排気工程の
後、ガラス管26から内部空間に放電ガスを封入し、通
気口21aを封止してガラス管26を切り取ることによ
って、PDPが作製される。
【0151】(本実施形態の製造方法の効果について)
本実施形態の製造方法は、従来の製造方法と比べて、以
下のような効果を奏する。実施の形態1で説明したよう
に、従来の一般的な製造方法では、封着工程において、
放出ガスが狭い内部空間内に閉じ込められるため、内部
空間に臨んでいる蛍光体層25がガスの影響(特に保護
層14から放出される水蒸気の影響)で熱劣化しやす
い。そして、蛍光体層(特に青色蛍光体層)が熱劣化す
ると発光強度が低下する。
本実施形態の製造方法は、従来の製造方法と比べて、以
下のような効果を奏する。実施の形態1で説明したよう
に、従来の一般的な製造方法では、封着工程において、
放出ガスが狭い内部空間内に閉じ込められるため、内部
空間に臨んでいる蛍光体層25がガスの影響(特に保護
層14から放出される水蒸気の影響)で熱劣化しやす
い。そして、蛍光体層(特に青色蛍光体層)が熱劣化す
ると発光強度が低下する。
【0152】これに対して、本実施形態の製造方法によ
れば、予備加熱によって前面パネル基板10及び背面パ
ネル基板20に吸着されている水蒸気などのガスが放出
されるが、このとき両パネル基板10・20間に広い間
隙が形成されているため、発生するガスが内部空間に閉
じ込められることはない。そして、予備加熱後、両パネ
ル基板10・20が加熱された状態で封着されるため、
予備加熱の後で両パネル基板10・20に水分などが吸
着することもない。よって、封着時に両パネル基板10
・20から発生するガスは少なくなり、蛍光体層25の
熱劣化が防止されることになる。
れば、予備加熱によって前面パネル基板10及び背面パ
ネル基板20に吸着されている水蒸気などのガスが放出
されるが、このとき両パネル基板10・20間に広い間
隙が形成されているため、発生するガスが内部空間に閉
じ込められることはない。そして、予備加熱後、両パネ
ル基板10・20が加熱された状態で封着されるため、
予備加熱の後で両パネル基板10・20に水分などが吸
着することもない。よって、封着時に両パネル基板10
・20から発生するガスは少なくなり、蛍光体層25の
熱劣化が防止されることになる。
【0153】更に、本実施の形態では、予備加熱工程か
ら封着工程までを、乾燥空気が流通する雰囲気で行って
いるので、雰囲気ガス中の水蒸気によって蛍光体層25
の熱劣化が生じることもない。また、上記のように封着
装置80を用いることにより、予備加熱工程と封着工程
を、同じ加熱炉81内で連続して行うことができるの
で、これらの工程を迅速に且つ少ない消費エネルギーで
行うことができる。
ら封着工程までを、乾燥空気が流通する雰囲気で行って
いるので、雰囲気ガス中の水蒸気によって蛍光体層25
の熱劣化が生じることもない。また、上記のように封着
装置80を用いることにより、予備加熱工程と封着工程
を、同じ加熱炉81内で連続して行うことができるの
で、これらの工程を迅速に且つ少ない消費エネルギーで
行うことができる。
【0154】また、上記のように封着装置80を用い
て、最初に前面パネル基板10と背面パネル基板20を
位置合わせして載置すれば、位置合せされた状態で封着
がなされる。 (予備加熱で昇温させる温度、並びに前面パネル基板と
背面パネル基板とを重ね合わせるタイミングについての
考察)封着時に基板から発生するガス(保護層14から
放出される水蒸気)によって蛍光体層25が熱劣化する
のを防止する観点から、できるだけ高い温度まで加熱し
た後に重ね合わせる方がよいと言える。
て、最初に前面パネル基板10と背面パネル基板20を
位置合わせして載置すれば、位置合せされた状態で封着
がなされる。 (予備加熱で昇温させる温度、並びに前面パネル基板と
背面パネル基板とを重ね合わせるタイミングについての
考察)封着時に基板から発生するガス(保護層14から
放出される水蒸気)によって蛍光体層25が熱劣化する
のを防止する観点から、できるだけ高い温度まで加熱し
た後に重ね合わせる方がよいと言える。
【0155】この点について更に詳細に調べるために、
以下の実験を行った。前面パネル基板10と同様にMg
O層が形成されたガラス基板を、一定の昇温速度で徐々
に加熱昇温しながら、昇温脱離ガス質量分析計を用い
て、MgO層から放出される水蒸気量を経時的に測定し
た。図22は、その測定結果であって、700℃までの
各加熱温度における放出水蒸気量が示されている。
以下の実験を行った。前面パネル基板10と同様にMg
O層が形成されたガラス基板を、一定の昇温速度で徐々
に加熱昇温しながら、昇温脱離ガス質量分析計を用い
て、MgO層から放出される水蒸気量を経時的に測定し
た。図22は、その測定結果であって、700℃までの
各加熱温度における放出水蒸気量が示されている。
【0156】図22のグラフでは、200℃〜300℃
付近に第1のピークが見られ、450℃〜500℃付近
で第2のピークが見られる。図22の結果から、保護層
14を加熱昇温していくと、第1のピークに相当する2
00℃〜300℃付近で水蒸気がかなり放出され、更に
保護層14を加熱昇温していくと、第2のピークに相当
する450℃〜500℃付近でも水蒸気がかなり放出さ
れることが推測される。
付近に第1のピークが見られ、450℃〜500℃付近
で第2のピークが見られる。図22の結果から、保護層
14を加熱昇温していくと、第1のピークに相当する2
00℃〜300℃付近で水蒸気がかなり放出され、更に
保護層14を加熱昇温していくと、第2のピークに相当
する450℃〜500℃付近でも水蒸気がかなり放出さ
れることが推測される。
【0157】従って、封着工程における加熱昇温時に、
保護層14から放出される水蒸気が内部空間に閉じ込め
られるのを避けるためには、少なくとも200℃程度の
温度まで、好ましくは300℃〜400℃程度まで、前
面パネル基板10と背面パネル基板20とを離した状態
で加熱昇温するべきであると考えられる。また、前面パ
ネル基板10と背面パネル基板20とを離した状態で、
450℃程度以上の高い温度まで昇温させてから重ね合
わせれば、重ね合わせた後においてパネルからガスが放
出されるのはほぼ完全に抑えられると考えられる。そし
て、この場合、封着時に蛍光体が熱劣化をほとんど受け
ない状態で封着でき、PDP完成後においても、パネル
内に吸着されている水蒸気が放電中に徐々に放出される
可能性も極めて少なくなるので、パネル完成後の経時変
化等を抑えることもできる。
保護層14から放出される水蒸気が内部空間に閉じ込め
られるのを避けるためには、少なくとも200℃程度の
温度まで、好ましくは300℃〜400℃程度まで、前
面パネル基板10と背面パネル基板20とを離した状態
で加熱昇温するべきであると考えられる。また、前面パ
ネル基板10と背面パネル基板20とを離した状態で、
450℃程度以上の高い温度まで昇温させてから重ね合
わせれば、重ね合わせた後においてパネルからガスが放
出されるのはほぼ完全に抑えられると考えられる。そし
て、この場合、封着時に蛍光体が熱劣化をほとんど受け
ない状態で封着でき、PDP完成後においても、パネル
内に吸着されている水蒸気が放電中に徐々に放出される
可能性も極めて少なくなるので、パネル完成後の経時変
化等を抑えることもできる。
【0158】ただし、蛍光体層やMgO保護層を形成す
るときの焼成温度は一般的に520℃程度であるので、
この温度を越えることは好ましくない。従って、450
℃〜520℃程度の高温度に昇温させてから重ね合わせ
るのが更に好ましいということが言える。一方、前面パ
ネル基板と背面パネル基板が離された状態で、封着用ガ
ラスの軟化点以上に加熱すると封着用ガラスが本来の位
置から流れ出し、安定に封止できなくなる可能性があ
る。
るときの焼成温度は一般的に520℃程度であるので、
この温度を越えることは好ましくない。従って、450
℃〜520℃程度の高温度に昇温させてから重ね合わせ
るのが更に好ましいということが言える。一方、前面パ
ネル基板と背面パネル基板が離された状態で、封着用ガ
ラスの軟化点以上に加熱すると封着用ガラスが本来の位
置から流れ出し、安定に封止できなくなる可能性があ
る。
【0159】よって、発生するガスによる蛍光体層の劣
化を防止することと、安定に封止することとを両立する
観点に立つと、次の(1),(2),(3)のように考
察することができる。 (1)前面パネル基板と背面パネル基板を離した状態
で、用いる封着用ガラスの軟化点以下のできるだけ高い
温度まで加熱昇温した後、重ね合わせて、封着するのが
よいと考察できる。
化を防止することと、安定に封止することとを両立する
観点に立つと、次の(1),(2),(3)のように考
察することができる。 (1)前面パネル基板と背面パネル基板を離した状態
で、用いる封着用ガラスの軟化点以下のできるだけ高い
温度まで加熱昇温した後、重ね合わせて、封着するのが
よいと考察できる。
【0160】従って、例えば従来から一般的に使用され
ている軟化点が400℃程度の封着用ガラスを用いる場
合、封止の安定を保ちつつ、ガスによる蛍光体への影響
をできるだけ少なくするために、前面パネル基板と背面
パネル基板を離した状態で400℃近くまで加熱昇温し
て、その後、前面パネル基板と背面パネル基板を重ね合
わせて、更に軟化点以上に加熱して封着するのがよいと
考えられる。
ている軟化点が400℃程度の封着用ガラスを用いる場
合、封止の安定を保ちつつ、ガスによる蛍光体への影響
をできるだけ少なくするために、前面パネル基板と背面
パネル基板を離した状態で400℃近くまで加熱昇温し
て、その後、前面パネル基板と背面パネル基板を重ね合
わせて、更に軟化点以上に加熱して封着するのがよいと
考えられる。
【0161】(2)ここで、もっと軟化点の高い封着用
ガラスを用いるようにすれば、それだけ高い温度まで前
面パネル基板と背面パネル基板を離した状態で加熱昇温
しても安定した封着ができることになる。従って、この
ように高軟化点の封着用ガラスを用いて、その軟化点近
くまで加熱昇温し、その後、前面パネル基板と背面パネ
ル基板を重ね合わせて、更に軟化点以上に加熱して封着
すれば、封止の安定を保ちつつ、ガスによる蛍光体への
影響を更に少なくすることができる。
ガラスを用いるようにすれば、それだけ高い温度まで前
面パネル基板と背面パネル基板を離した状態で加熱昇温
しても安定した封着ができることになる。従って、この
ように高軟化点の封着用ガラスを用いて、その軟化点近
くまで加熱昇温し、その後、前面パネル基板と背面パネ
ル基板を重ね合わせて、更に軟化点以上に加熱して封着
すれば、封止の安定を保ちつつ、ガスによる蛍光体への
影響を更に少なくすることができる。
【0162】(3)一方、前面パネル基板あるいは背面
パネル基板において、外周部に形成した封着ガラス層が
軟化しても流れないような工夫をすれば、前面パネル基
板と背面パネル基板を離した状態で封着用ガラスの軟化
点以上の高温度まで加熱しても、安定した封止をするこ
とができる。例えば、前面パネル基板あるいは背面パネ
ル基板の外周部において、封着用ガラスを塗布する領域
と表示領域との間に流れ止め用の隔壁を形成しておけ
ば、封着用ガラスが軟化したときに表示領域に流れ出る
のを防止することができる。
パネル基板において、外周部に形成した封着ガラス層が
軟化しても流れないような工夫をすれば、前面パネル基
板と背面パネル基板を離した状態で封着用ガラスの軟化
点以上の高温度まで加熱しても、安定した封止をするこ
とができる。例えば、前面パネル基板あるいは背面パネ
ル基板の外周部において、封着用ガラスを塗布する領域
と表示領域との間に流れ止め用の隔壁を形成しておけ
ば、封着用ガラスが軟化したときに表示領域に流れ出る
のを防止することができる。
【0163】従って、このような封着用ガラス流出防止
の工夫をした上で、前面パネル基板と背面パネル基板を
離した状態で封着用ガラスの軟化点以上の高温度まで加
熱昇温し、前面パネル基板と背面パネル基板を重ね合わ
せて封着すれば、封止の安定を保ちつつ、ガスによる蛍
光体への影響を更に少なくすることができる。即ち、こ
の場合、前面パネル基板と背面パネル基板を重ね合わせ
た後に加熱昇温しなくても封着できるので、重ね合わせ
後におけるパネルからのガス放出をほぼ完全に抑えられ
る。よって、蛍光体が熱劣化をほとんど受けない状態で
封着が可能となる。
の工夫をした上で、前面パネル基板と背面パネル基板を
離した状態で封着用ガラスの軟化点以上の高温度まで加
熱昇温し、前面パネル基板と背面パネル基板を重ね合わ
せて封着すれば、封止の安定を保ちつつ、ガスによる蛍
光体への影響を更に少なくすることができる。即ち、こ
の場合、前面パネル基板と背面パネル基板を重ね合わせ
た後に加熱昇温しなくても封着できるので、重ね合わせ
後におけるパネルからのガス放出をほぼ完全に抑えられ
る。よって、蛍光体が熱劣化をほとんど受けない状態で
封着が可能となる。
【0164】(雰囲気ガス及び圧力についての考察)封
着時に加熱炉81内を流通させる雰囲気ガスとしては、
酸素を含有しないガスよりも、空気のように酸素を含有
するガスを用いることが望ましい。これは、実施の形態
1で説明したように、PDPで多用されている酸化物系
の蛍光体は、無酸素の雰囲気中で加熱すると発光効率が
低下する傾向があるためである。
着時に加熱炉81内を流通させる雰囲気ガスとしては、
酸素を含有しないガスよりも、空気のように酸素を含有
するガスを用いることが望ましい。これは、実施の形態
1で説明したように、PDPで多用されている酸化物系
の蛍光体は、無酸素の雰囲気中で加熱すると発光効率が
低下する傾向があるためである。
【0165】また、雰囲気ガスとして外気を常圧で送り
込んでもある程度の効果を奏するが、蛍光体層の劣化を
防止する効果を高めるために、加熱炉81内に乾燥空気
をはじめとする乾燥ガスを流通させたり、加熱炉81内
を真空排気しながら行うことが望ましい。乾燥ガスを流
通させるのが好ましいのは、雰囲気ガスに含まれている
水蒸気によって蛍光体層の熱劣化が引起こされることが
ないためである。また、加熱炉81内を真空排気するの
が望ましいのは、加熱に伴ってパネル基板10・20か
ら放出されるガス(水蒸気等)が効率よく排出されるた
めである。
込んでもある程度の効果を奏するが、蛍光体層の劣化を
防止する効果を高めるために、加熱炉81内に乾燥空気
をはじめとする乾燥ガスを流通させたり、加熱炉81内
を真空排気しながら行うことが望ましい。乾燥ガスを流
通させるのが好ましいのは、雰囲気ガスに含まれている
水蒸気によって蛍光体層の熱劣化が引起こされることが
ないためである。また、加熱炉81内を真空排気するの
が望ましいのは、加熱に伴ってパネル基板10・20か
ら放出されるガス(水蒸気等)が効率よく排出されるた
めである。
【0166】雰囲気ガスとして乾燥ガスを流通させる場
合、その水蒸気分圧が低いほど青色蛍光体層の熱劣化が
抑えられる(実施形態1で説明した図5,6の実験結果
参照)。十分な効果を得るために、水蒸気分圧は、15
Torr以下に設定するのが望ましく、更に、10To
rr、5Torr、1Torr、0.1Torrと低く
設定するほどより効果が期待できる。
合、その水蒸気分圧が低いほど青色蛍光体層の熱劣化が
抑えられる(実施形態1で説明した図5,6の実験結果
参照)。十分な効果を得るために、水蒸気分圧は、15
Torr以下に設定するのが望ましく、更に、10To
rr、5Torr、1Torr、0.1Torrと低く
設定するほどより効果が期待できる。
【0167】(封着用ガラスの塗布について)PDPの
封着時において、一方の基板にのみ(一般的には背面基
板側のみ)に封着用ガラスを塗布して、両基板を重ね合
わせて封着するのが一般的である。ところで、本実施の
形態では、封着装置80内で、押圧機構86によって背
面パネル基板20を前面パネル基板10に押圧するよう
にしているので、クランプで締め付けるように強い圧力
で押さえつけることは難しい。
封着時において、一方の基板にのみ(一般的には背面基
板側のみ)に封着用ガラスを塗布して、両基板を重ね合
わせて封着するのが一般的である。ところで、本実施の
形態では、封着装置80内で、押圧機構86によって背
面パネル基板20を前面パネル基板10に押圧するよう
にしているので、クランプで締め付けるように強い圧力
で押さえつけることは難しい。
【0168】そのため、背面ガラス基板側だけに封着ガ
ラス層を形成して封着すると、封着用ガラスと前面ガラ
ス板との塗れ性が悪い場合、封着用ガラスによる封着が
完全になされないこともあり得るが、前面ガラス基板と
背面ガラス基板の両方に封着ガラス層を形成しておけ
ば、封着後に前面ガラス基板と背面ガラス基板が完全に
接着されるので、歩留まり良くPDPを製造することが
できる。
ラス層を形成して封着すると、封着用ガラスと前面ガラ
ス板との塗れ性が悪い場合、封着用ガラスによる封着が
完全になされないこともあり得るが、前面ガラス基板と
背面ガラス基板の両方に封着ガラス層を形成しておけ
ば、封着後に前面ガラス基板と背面ガラス基板が完全に
接着されるので、歩留まり良くPDPを製造することが
できる。
【0169】なお、このように前面ガラス基板と背面ガ
ラス基板の両方に封着ガラス層を形成して封着する方法
は、本実施の形態の場合に限らず、一般的なPDP製造
の封着工程において、歩留まりよく封着を行うのに有効
である。 (本実施形態の変形例)なお、上記封着装置80におい
ては、加熱前に前面パネル基板10と背面パネル基板2
0とを重ね合わせて位置合わせした後、移動ピン85で
背面パネル基板20を押し上げることによって背面パネ
ル基板20を前面パネル基板10から引き離すようにし
たが、背面パネル基板20を前面パネル基板10から引
き離す方法はこれに限らない。
ラス基板の両方に封着ガラス層を形成して封着する方法
は、本実施の形態の場合に限らず、一般的なPDP製造
の封着工程において、歩留まりよく封着を行うのに有効
である。 (本実施形態の変形例)なお、上記封着装置80におい
ては、加熱前に前面パネル基板10と背面パネル基板2
0とを重ね合わせて位置合わせした後、移動ピン85で
背面パネル基板20を押し上げることによって背面パネ
ル基板20を前面パネル基板10から引き離すようにし
たが、背面パネル基板20を前面パネル基板10から引
き離す方法はこれに限らない。
【0170】例えば、図23に示す例では、前面パネル
基板10の外周の外側に填まるような枠体87を、上下
にスライド駆動する吊下げ棒88で加熱炉の上方から吊
下げており、背面パネル基板20のはみ出し部分を枠体
87上に載せて背面パネル基板20を上下に平行移動す
ることができるようになっている。即ち、枠体87を上
方に引き上げることによって背面パネル基板20を前面
パネル基板10から引き離し、枠体87を下方に下げる
ことによって、背面パネル基板20を前面パネル基板1
0に重ね合わせることができる。
基板10の外周の外側に填まるような枠体87を、上下
にスライド駆動する吊下げ棒88で加熱炉の上方から吊
下げており、背面パネル基板20のはみ出し部分を枠体
87上に載せて背面パネル基板20を上下に平行移動す
ることができるようになっている。即ち、枠体87を上
方に引き上げることによって背面パネル基板20を前面
パネル基板10から引き離し、枠体87を下方に下げる
ことによって、背面パネル基板20を前面パネル基板1
0に重ね合わせることができる。
【0171】また、上記封着装置80では、押圧機構8
6で背面パネル基板20を前面パネル基板10に押圧す
るようにしたが、図23に示す例では、押圧機構86を
設ける代わりに背面パネル基板20上に重り89を載せ
てある。この場合、枠体87を下に降ろしたときに、重
り89にかかる重力で背面パネル基板20が前面パネル
基板10に押えつけられる。
6で背面パネル基板20を前面パネル基板10に押圧す
るようにしたが、図23に示す例では、押圧機構86を
設ける代わりに背面パネル基板20上に重り89を載せ
てある。この場合、枠体87を下に降ろしたときに、重
り89にかかる重力で背面パネル基板20が前面パネル
基板10に押えつけられる。
【0172】図24は、別の変形例における封着工程の
動作を示す図である。この図24の例では、封着工程に
おいて、背面パネル基板20を部分的に接近させた状態
で回転させることによって、前面パネル基板10から引
き離したり、重ね合わせたりするようになっている。即
ち、載置台84の上部には、図20の場合と同様に、背
面パネル基板20の4角付近に合計4つのピン85a・
85bが設けられているが、一方側(図24で左側)に
ある1対のピン85aは、その先端で、背面パネル基板
20の一定位置を支持しており(例えば、ピン85aの
先端部を球面状に形成すると共に、背面パネル基板20
にも球面状の凹みを形成して填め込むようにする。)、
他方側(図24で右側)にある1対のピン85bは、上
下に駆動できるようになっている。
動作を示す図である。この図24の例では、封着工程に
おいて、背面パネル基板20を部分的に接近させた状態
で回転させることによって、前面パネル基板10から引
き離したり、重ね合わせたりするようになっている。即
ち、載置台84の上部には、図20の場合と同様に、背
面パネル基板20の4角付近に合計4つのピン85a・
85bが設けられているが、一方側(図24で左側)に
ある1対のピン85aは、その先端で、背面パネル基板
20の一定位置を支持しており(例えば、ピン85aの
先端部を球面状に形成すると共に、背面パネル基板20
にも球面状の凹みを形成して填め込むようにする。)、
他方側(図24で右側)にある1対のピン85bは、上
下に駆動できるようになっている。
【0173】この場合、図24(a)に示すように、前
面パネル基板10と背面パネル基板20を重ね合わせた
状態で載置台84に載置し、図24(b)に示すよう
に、一対のピン85bを上方に動かすことによって、一
対のピン85aの先端を中心にして背面パネル基板20
を回転させ、前面パネル基板10から引き離すことがで
きる。また、図24(c)に示すように、一対のピン8
5bを下方に動かすことによって、背面パネル基板20
を同じ経路で逆方向に回転させ、前面パネル基板10に
位置合わせされた状態で重ね合わせることもできる。
面パネル基板10と背面パネル基板20を重ね合わせた
状態で載置台84に載置し、図24(b)に示すよう
に、一対のピン85bを上方に動かすことによって、一
対のピン85aの先端を中心にして背面パネル基板20
を回転させ、前面パネル基板10から引き離すことがで
きる。また、図24(c)に示すように、一対のピン8
5bを下方に動かすことによって、背面パネル基板20
を同じ経路で逆方向に回転させ、前面パネル基板10に
位置合わせされた状態で重ね合わせることもできる。
【0174】なお、図24(b)の状態では、一対のピ
ン85a側で、前面パネル基板10と背面パネル基板2
0とが接触状態にあるが、背面パネル基板20の蛍光体
層が配設された対向面は開放されているので、ガスが発
生しても内部空間に閉じこめられることはない。 (実施例5)
ン85a側で、前面パネル基板10と背面パネル基板2
0とが接触状態にあるが、背面パネル基板20の蛍光体
層が配設された対向面は開放されているので、ガスが発
生しても内部空間に閉じこめられることはない。 (実施例5)
【0175】
【表5】
【0176】パネルNo.41〜50のPDPは、本実
施の形態に基づいて、前面パネル基板と背面パネル基板
を加熱するときの雰囲気ガス、圧力、重ね合わせるとき
の温度やタイミングをいろいろ変えて封着工程を行い、
作製した実施例である。仮焼成は、いずれも350℃で
行った。雰囲気ガスとして、パネルNo.41〜46,
48,49,50では、水蒸気分圧を0〜12Torr
の範囲内でいろいろな値に設定した乾燥空気を用いた。
また、パネルNo.47では、真空排気しながら加熱を
行った。
施の形態に基づいて、前面パネル基板と背面パネル基板
を加熱するときの雰囲気ガス、圧力、重ね合わせるとき
の温度やタイミングをいろいろ変えて封着工程を行い、
作製した実施例である。仮焼成は、いずれも350℃で
行った。雰囲気ガスとして、パネルNo.41〜46,
48,49,50では、水蒸気分圧を0〜12Torr
の範囲内でいろいろな値に設定した乾燥空気を用いた。
また、パネルNo.47では、真空排気しながら加熱を
行った。
【0177】パネルNo.43〜47においては、封着
工程で、パネル基板を室温から加熱昇温して400℃
(封着用ガラスの軟化点より低い温度)に達したとき
に、両パネル基板を重ね合わせた。そして、更に加熱昇
温して封着温度450℃(封着用ガラスの軟化点以上の
温度)に達したら、10分間以上保持し、その後、排気
温度350℃に降温し、この排気温度に維持しながら排
気工程を行った。
工程で、パネル基板を室温から加熱昇温して400℃
(封着用ガラスの軟化点より低い温度)に達したとき
に、両パネル基板を重ね合わせた。そして、更に加熱昇
温して封着温度450℃(封着用ガラスの軟化点以上の
温度)に達したら、10分間以上保持し、その後、排気
温度350℃に降温し、この排気温度に維持しながら排
気工程を行った。
【0178】これに対して、パネルNo.41,42で
は、封着工程において、少し低めの温度250℃,35
0℃で、両パネル基板を重ね合わせた。また、パネルN
o.48では、封着工程において、封着温度450℃ま
で昇温した後に、両パネル基板を重ね合わせ、パネルN
o.49では、封着工程において、封着温度(ピーク温
度)500℃まで昇温した後に、両パネル基板を重ね合
わせた。
は、封着工程において、少し低めの温度250℃,35
0℃で、両パネル基板を重ね合わせた。また、パネルN
o.48では、封着工程において、封着温度450℃ま
で昇温した後に、両パネル基板を重ね合わせ、パネルN
o.49では、封着工程において、封着温度(ピーク温
度)500℃まで昇温した後に、両パネル基板を重ね合
わせた。
【0179】また、パネルNo.50では、封着工程に
おいて、ピーク温度480℃まで昇温した後、封着温度
450℃まで降温してから両パネル基板を重ね合わせて
封着した。パネルNo.51のPDPは、本実施の形態
5の図24に示す変形例に基づいて、封着温度(ピーク
温度)450℃まで昇温した後に、両パネル基板を重ね
合わせて封着したものである。
おいて、ピーク温度480℃まで昇温した後、封着温度
450℃まで降温してから両パネル基板を重ね合わせて
封着した。パネルNo.51のPDPは、本実施の形態
5の図24に示す変形例に基づいて、封着温度(ピーク
温度)450℃まで昇温した後に、両パネル基板を重ね
合わせて封着したものである。
【0180】パネルNo.52のPDPは、先ず、室温
で前面パネル基板と背面パネル基板を重ね合わせてお
き、大気圧の乾燥空気中で450℃まで加熱昇温して封
着することによって作製した比較例である。なお、上記
パネルNo.41〜52のPDPにおいて、蛍光体膜厚
は30μm、放電ガスはNe(95%)−Xe(5
%)、その封入圧力は500Torrとし、パネル構成
が同一となるようにした。
で前面パネル基板と背面パネル基板を重ね合わせてお
き、大気圧の乾燥空気中で450℃まで加熱昇温して封
着することによって作製した比較例である。なお、上記
パネルNo.41〜52のPDPにおいて、蛍光体膜厚
は30μm、放電ガスはNe(95%)−Xe(5
%)、その封入圧力は500Torrとし、パネル構成
が同一となるようにした。
【0181】〈発光特性試験〉 試験方法及び結果:上記パネルNo.41〜52の各P
DPについて、発光特性として、青色セルのみを点灯さ
せたときの発光強度と色度座標yと発光スペクトルのピ
ーク波長、及び色補正なしで白バランスでのパネル輝度
及び色温度、青色セル及び緑色セルを同じ電力で発光さ
せたときの発光スペクトルのピーク強度比を測定した。
DPについて、発光特性として、青色セルのみを点灯さ
せたときの発光強度と色度座標yと発光スペクトルのピ
ーク波長、及び色補正なしで白バランスでのパネル輝度
及び色温度、青色セル及び緑色セルを同じ電力で発光さ
せたときの発光スペクトルのピーク強度比を測定した。
【0182】更に、作製した各PDPを分解し、背面パ
ネル基板の青色蛍光体層にクリプトンエキシマランプを
用いて真空紫外線(中心波長146nm)を照射し、発
光光の色度座標yを測定した。これらの測定結果は、表
5に示す通りである。なお、表5に示す青色セルの発光
強度は、パネルNo.52(比較例)の発光強度を10
0とした相対発光強度である。
ネル基板の青色蛍光体層にクリプトンエキシマランプを
用いて真空紫外線(中心波長146nm)を照射し、発
光光の色度座標yを測定した。これらの測定結果は、表
5に示す通りである。なお、表5に示す青色セルの発光
強度は、パネルNo.52(比較例)の発光強度を10
0とした相対発光強度である。
【0183】また、作製した各PDPを分解し、背面パ
ネル基板にクリプトンエキシマランプを用いて真空紫外
線を照射し、全色発光時の色温度、並びに、青色及び緑
色を発光させたときの発光スペクトルのピーク強度比を
測定したところ、上記点灯による結果と同等の結果が得
られた。また図25は、パネルNo.45,50,52
のPDPについて、青色セルのみを点灯させたときの発
光スペクトルである。
ネル基板にクリプトンエキシマランプを用いて真空紫外
線を照射し、全色発光時の色温度、並びに、青色及び緑
色を発光させたときの発光スペクトルのピーク強度比を
測定したところ、上記点灯による結果と同等の結果が得
られた。また図25は、パネルNo.45,50,52
のPDPについて、青色セルのみを点灯させたときの発
光スペクトルである。
【0184】なお、表5には示していないが、赤色セル
及び緑色セルの発光色の色度座標x、yについては、パ
ネルNo.41〜53のいずれも略同じ値であり、赤色
が(0.636,0.350)、緑色が(0.251,
0.692)であった。比較例のPDPでは、青色セル
発光色の色度座標が(0.170,0.090)、発光
スペクトルのピーク波長が458nmであった。
及び緑色セルの発光色の色度座標x、yについては、パ
ネルNo.41〜53のいずれも略同じ値であり、赤色
が(0.636,0.350)、緑色が(0.251,
0.692)であった。比較例のPDPでは、青色セル
発光色の色度座標が(0.170,0.090)、発光
スペクトルのピーク波長が458nmであった。
【0185】更に、パネルから青色蛍光体を取り出し、
TDS分析法で青色蛍光体1g当りから200℃以上で
脱離するH2Oガス分子数を測定した。また、X線回折
により、青色蛍光体結晶のa軸長に対するc軸長の比も
測定した。表5には、これらの結果も示されている。 考察:パネルNo.41〜51と、パネルNo.52と
について発光特性を比較すると、パネルNo.41〜5
1のいずれにおいても、パネルNo.52より発光特性
が優れている(相対発光強度が高く、色度座標yが小さ
い)。これは、上記実施例の封着方法によれば、比較例
の封着方法と比べて、両パネル基板を重ね合わせた後に
内部空間に放出されるガスが少なくなるからと考えられ
る。
TDS分析法で青色蛍光体1g当りから200℃以上で
脱離するH2Oガス分子数を測定した。また、X線回折
により、青色蛍光体結晶のa軸長に対するc軸長の比も
測定した。表5には、これらの結果も示されている。 考察:パネルNo.41〜51と、パネルNo.52と
について発光特性を比較すると、パネルNo.41〜5
1のいずれにおいても、パネルNo.52より発光特性
が優れている(相対発光強度が高く、色度座標yが小さ
い)。これは、上記実施例の封着方法によれば、比較例
の封着方法と比べて、両パネル基板を重ね合わせた後に
内部空間に放出されるガスが少なくなるからと考えられ
る。
【0186】パネルNo.52のPDPでは、青色発光
の色度座標yが0.088であって、この場合、色補正
なしで白バランスでの色温度は5800Kであるのに対
して、パネルNo.41〜51では、青色発光の色度座
標yが0.08以下で、色補正なしで白バランスでの色
温度は6500K以上である。特に、パネルNo.4
8,49,50,51のように青色の色度座標yが低い
PDPでは、色補正なしで白バランスで11000K程
度の高い色温度が実現されている。
の色度座標yが0.088であって、この場合、色補正
なしで白バランスでの色温度は5800Kであるのに対
して、パネルNo.41〜51では、青色発光の色度座
標yが0.08以下で、色補正なしで白バランスでの色
温度は6500K以上である。特に、パネルNo.4
8,49,50,51のように青色の色度座標yが低い
PDPでは、色補正なしで白バランスで11000K程
度の高い色温度が実現されている。
【0187】図26は、実施例と比較例のPDPについ
て、青色付近の色再現域をCIE色度図上に示したもの
である。図中の領域(a)は青色発光の色度座標yが
0.09(発光スペクトルのピーク波長が458nm)
程度の場合(パネルNo.52相当)について、領域
(b)は青色発光の色度座標yが0.08(発光スペク
トルのピーク波長が455nm)程度の場合(パネルN
o.41相当)について、領域(c)は青色発光の色度
座標yが0.052(発光スペクトルのピーク波長が4
48nm)程度の場合(パネルNo.50相当)につい
て、青色付近における色再現域を示している。
て、青色付近の色再現域をCIE色度図上に示したもの
である。図中の領域(a)は青色発光の色度座標yが
0.09(発光スペクトルのピーク波長が458nm)
程度の場合(パネルNo.52相当)について、領域
(b)は青色発光の色度座標yが0.08(発光スペク
トルのピーク波長が455nm)程度の場合(パネルN
o.41相当)について、領域(c)は青色発光の色度
座標yが0.052(発光スペクトルのピーク波長が4
48nm)程度の場合(パネルNo.50相当)につい
て、青色付近における色再現域を示している。
【0188】本図から、青色付近における色再現域が、
(a)と比べて、(b)では広くなり、(c)では更に
広くなっていることがわかる。これは、青色セル発光の
色度座標yが小さくなる(発光スペクトルのピーク波長
が短くなる)に従って、青色付近における色再現域の広
いPDPを実現できることを示している。次に、パネル
No.41,42,45,48(いずれも乾燥空気の水
蒸気分圧は2Torr)の間で発光特性を比較すると、
パネルNo.41,42,45,48の順で発光特性が
向上している(相対発光強度が高く、色度座標yが小さ
くなっている)。この結果から、前面パネル基板10と
背面パネル基板20とを重ね合わせるときの温度を高く
設定するほど、PDPの発光特性が向上することがわか
る。
(a)と比べて、(b)では広くなり、(c)では更に
広くなっていることがわかる。これは、青色セル発光の
色度座標yが小さくなる(発光スペクトルのピーク波長
が短くなる)に従って、青色付近における色再現域の広
いPDPを実現できることを示している。次に、パネル
No.41,42,45,48(いずれも乾燥空気の水
蒸気分圧は2Torr)の間で発光特性を比較すると、
パネルNo.41,42,45,48の順で発光特性が
向上している(相対発光強度が高く、色度座標yが小さ
くなっている)。この結果から、前面パネル基板10と
背面パネル基板20とを重ね合わせるときの温度を高く
設定するほど、PDPの発光特性が向上することがわか
る。
【0189】これは、前面パネル基板10と背面パネル
基板20を離した状態で高い温度まで予備加熱する程、
各パネル基板から放出されるガスを十分に排気できるた
め、両パネル基板を重ね合わせた後に内部空間に放出さ
れるガスが少なくなるからと考えられる。また、パネル
No.43,44,45,46(封着工程での温度プロ
ファイルが同じ)の間で発光特性を比較すると、パネル
No.43,44,45,46の順で発光特性が向上し
ている(色度座標yが小さい)。この結果から、雰囲気
ガス中の水蒸気分圧が低いほど発光特性が向上すること
がわかる。
基板20を離した状態で高い温度まで予備加熱する程、
各パネル基板から放出されるガスを十分に排気できるた
め、両パネル基板を重ね合わせた後に内部空間に放出さ
れるガスが少なくなるからと考えられる。また、パネル
No.43,44,45,46(封着工程での温度プロ
ファイルが同じ)の間で発光特性を比較すると、パネル
No.43,44,45,46の順で発光特性が向上し
ている(色度座標yが小さい)。この結果から、雰囲気
ガス中の水蒸気分圧が低いほど発光特性が向上すること
がわかる。
【0190】また、パネルNo.46及びパネルNo.
47(封着工程での温度プロファイルが同じ)について
発光特性を比較すると、パネルNo.46の方がPDP
の発光特性が若干優れている。これは、パネルNo.4
6では酸素が含まれる雰囲気ガス中で予備加熱されてい
るのに対して、パネルNo.47では無酸素雰囲気中で
予備加熱されているので、酸化物である蛍光体の酸素が
一部が抜けて酸素欠陥が形成されたためと考えられる。
47(封着工程での温度プロファイルが同じ)について
発光特性を比較すると、パネルNo.46の方がPDP
の発光特性が若干優れている。これは、パネルNo.4
6では酸素が含まれる雰囲気ガス中で予備加熱されてい
るのに対して、パネルNo.47では無酸素雰囲気中で
予備加熱されているので、酸化物である蛍光体の酸素が
一部が抜けて酸素欠陥が形成されたためと考えられる。
【0191】また、パネルNo.48及びパネルNo.
51について発光特性を比較すると、発光特性はほとん
ど同じであることがわかる。これは予備加熱する際に、
前面パネル基板10と背面パネル基板20の対向面を完
全に引き離して開放した場合と、一部を接触させた状態
で開放した場合とで、PDPの発光特性にほとんど差が
ないことを示している。
51について発光特性を比較すると、発光特性はほとん
ど同じであることがわかる。これは予備加熱する際に、
前面パネル基板10と背面パネル基板20の対向面を完
全に引き離して開放した場合と、一部を接触させた状態
で開放した場合とで、PDPの発光特性にほとんど差が
ないことを示している。
【0192】また、表5に示した各パネルNo.におい
て、青色蛍光体層を真空紫外線で励起したときに放出さ
れる光の色度座標yと、青色セルのみを点灯させたとき
の色度座標yとは、ほぼ同じ値を示している。また、表
5に示した各パネルNo.における青色発光の色度座標
yと青色発光のピーク波長との関係を見ると、青色発光
の色度座標yの値が小さいほど、青色発光のピーク波長
は短いことがわかる。これは、青色発光の色度座標y値
が小さいことと青色発光のピーク波長が短いこととが同
等の意味を持つことを示している。 [実施の形態6]本実施形態のPDPは、図1に示す実
施の形態1のPDPと同様の構成である。
て、青色蛍光体層を真空紫外線で励起したときに放出さ
れる光の色度座標yと、青色セルのみを点灯させたとき
の色度座標yとは、ほぼ同じ値を示している。また、表
5に示した各パネルNo.における青色発光の色度座標
yと青色発光のピーク波長との関係を見ると、青色発光
の色度座標yの値が小さいほど、青色発光のピーク波長
は短いことがわかる。これは、青色発光の色度座標y値
が小さいことと青色発光のピーク波長が短いこととが同
等の意味を持つことを示している。 [実施の形態6]本実施形態のPDPは、図1に示す実
施の形態1のPDPと同様の構成である。
【0193】またPDPの製造方法については、上記実
施の形態5とほぼ同様であるが、前面パネル基板10お
よび背面パネル基板20の少なくとも一方に封着用ガラ
スを塗布した後、封着装置80の加熱炉81内で、仮焼
工程・封着工程・排気工程を、連続して行う点が異なっ
ている。以下、本実施形態における仮焼・封着・排気工
程について以下に詳細に説明する。
施の形態5とほぼ同様であるが、前面パネル基板10お
よび背面パネル基板20の少なくとも一方に封着用ガラ
スを塗布した後、封着装置80の加熱炉81内で、仮焼
工程・封着工程・排気工程を、連続して行う点が異なっ
ている。以下、本実施形態における仮焼・封着・排気工
程について以下に詳細に説明する。
【0194】本実施形態の仮焼工程・封着工程・排気工
程は、上記実施形態5の図18,19に示す封着装置を
用いて行う。但し本実施形態では、図27に示すよう
に、背面パネル基板20の通気口21aに取り付けられ
ているガラス管26には、加熱炉81の外部から挿設さ
れた配管90が接続されている。図27は、この封着装
置を用いて仮焼工程から排気工程までを行う際の動作を
示す図である。
程は、上記実施形態5の図18,19に示す封着装置を
用いて行う。但し本実施形態では、図27に示すよう
に、背面パネル基板20の通気口21aに取り付けられ
ているガラス管26には、加熱炉81の外部から挿設さ
れた配管90が接続されている。図27は、この封着装
置を用いて仮焼工程から排気工程までを行う際の動作を
示す図である。
【0195】本図を参照しながら、仮焼・予備加熱・封
着・排気工程について説明する。 仮焼工程:予め、前面パネル基板10の対向面(背面パ
ネル基板20と対向する面)の外周部、あるいは背面パ
ネル基板20の対向面(前面パネル基板10と対向する
面)の外周部、あるいは前面パネル基板10及び背面パ
ネル基板20両方の対向面の外周部に、封着用ガラスペ
ーストを塗布することによって封着ガラス層15を形成
しておく(なお、図では、封着ガラス層15は前面パネ
ル基板10の対向面に形成されている。)。
着・排気工程について説明する。 仮焼工程:予め、前面パネル基板10の対向面(背面パ
ネル基板20と対向する面)の外周部、あるいは背面パ
ネル基板20の対向面(前面パネル基板10と対向する
面)の外周部、あるいは前面パネル基板10及び背面パ
ネル基板20両方の対向面の外周部に、封着用ガラスペ
ーストを塗布することによって封着ガラス層15を形成
しておく(なお、図では、封着ガラス層15は前面パネ
ル基板10の対向面に形成されている。)。
【0196】そして、前面パネル基板10及び背面パネ
ル基板20を位置合わせして重ね合わせた状態で、載置
台84上の定位置に載置し、押圧機構86をセットして
背面パネル基板20を押える(図27(a)参照)。次
に、加熱炉81内に雰囲気ガス(乾燥空気)を流通させ
ながら(もしくはガス排出弁83からの真空排気を併用
しながら)、以下の操作を行う。
ル基板20を位置合わせして重ね合わせた状態で、載置
台84上の定位置に載置し、押圧機構86をセットして
背面パネル基板20を押える(図27(a)参照)。次
に、加熱炉81内に雰囲気ガス(乾燥空気)を流通させ
ながら(もしくはガス排出弁83からの真空排気を併用
しながら)、以下の操作を行う。
【0197】移動ピン85を上昇させ、背面パネル基板
20を上方に押し上げて平行移動させる(図27(b)
参照)。これによって前面パネル基板10及び背面パネ
ル基板20の対向面の間隙が広がり、背面パネル基板2
0の蛍光体層25が配された面は、加熱炉81内の広い
空間に開放されることになる。この状態で加熱炉81内
を仮焼温度(350℃程度)まで加熱昇温し、この仮焼
温度で10〜30分間程度保持することによって仮焼す
る。
20を上方に押し上げて平行移動させる(図27(b)
参照)。これによって前面パネル基板10及び背面パネ
ル基板20の対向面の間隙が広がり、背面パネル基板2
0の蛍光体層25が配された面は、加熱炉81内の広い
空間に開放されることになる。この状態で加熱炉81内
を仮焼温度(350℃程度)まで加熱昇温し、この仮焼
温度で10〜30分間程度保持することによって仮焼す
る。
【0198】予備加熱工程:パネル基板10,20を更
に加熱昇温して、パネル基板10,20に吸着されてい
るガスを放出させる。そして、所定の温度(例えば40
0℃)に達したら、予備加熱工程を終える。 封着工程:続いて、移動ピン85を降下させて、背面パ
ネル基板20を前面パネル基板10に再度重ね合わせ
る。このとき、背面パネル基板20は、もとのように位
置合わせした状態で重ね合わせられる(図27(c)参
照)。
に加熱昇温して、パネル基板10,20に吸着されてい
るガスを放出させる。そして、所定の温度(例えば40
0℃)に達したら、予備加熱工程を終える。 封着工程:続いて、移動ピン85を降下させて、背面パ
ネル基板20を前面パネル基板10に再度重ね合わせ
る。このとき、背面パネル基板20は、もとのように位
置合わせした状態で重ね合わせられる(図27(c)参
照)。
【0199】そして、加熱炉81内の温度が、封着ガラ
ス層15の軟化点より高い封着温度(450℃前後)に
達したら、10〜20分間その封着温度に維持する。こ
のとき、軟化した封着用ガラスによって、前面パネル基
板10と背面パネル基板20の外周部が封止される。こ
の間、押圧機構86によって背面パネル基板20は前面
パネル基板10に押えつけられているので、安定した封
着が行える。
ス層15の軟化点より高い封着温度(450℃前後)に
達したら、10〜20分間その封着温度に維持する。こ
のとき、軟化した封着用ガラスによって、前面パネル基
板10と背面パネル基板20の外周部が封止される。こ
の間、押圧機構86によって背面パネル基板20は前面
パネル基板10に押えつけられているので、安定した封
着が行える。
【0200】排気工程:加熱炉81内を封着用ガラスの
軟化点より低い排気温度に下げ、その排気温度に維持し
て焼成しながら(例えば、350℃程度で1時間)、封
着した両パネル基板の内部空間を高真空(8×10-7T
orr)に排気することによって、内部空間のガス抜き
を行う。この排気工程は、配管90に真空ポンプ(不図
示)を連結して行う。
軟化点より低い排気温度に下げ、その排気温度に維持し
て焼成しながら(例えば、350℃程度で1時間)、封
着した両パネル基板の内部空間を高真空(8×10-7T
orr)に排気することによって、内部空間のガス抜き
を行う。この排気工程は、配管90に真空ポンプ(不図
示)を連結して行う。
【0201】そして、この排気工程の後、内部空間を真
空に保ったままパネル基板を室温まで冷却し、ガラス管
26から内部空間に放電ガスを封入し、通気口21aを
封止してガラス管26切り取ることによって、PDPが
作製される。 (本実施形態の封着方法の効果について)従来は、仮焼
工程、封着工程、排気工程は、加熱炉を用いて別々に行
われ、工程と工程では基板が室温まで冷却されていたた
め、後の工程で加熱昇温するのに、長い時間が必要で消
費エネルギーも多くなるが、本実施の形態では、仮焼工
程、予備加熱工程、封着工程、排気工程を、室温まで降
温することなく、同じ封着装置の中で連続して行ってい
るので、これら一連の工程を速く行い且つ加熱のための
エネルギー消費も低くすることができる。
空に保ったままパネル基板を室温まで冷却し、ガラス管
26から内部空間に放電ガスを封入し、通気口21aを
封止してガラス管26切り取ることによって、PDPが
作製される。 (本実施形態の封着方法の効果について)従来は、仮焼
工程、封着工程、排気工程は、加熱炉を用いて別々に行
われ、工程と工程では基板が室温まで冷却されていたた
め、後の工程で加熱昇温するのに、長い時間が必要で消
費エネルギーも多くなるが、本実施の形態では、仮焼工
程、予備加熱工程、封着工程、排気工程を、室温まで降
温することなく、同じ封着装置の中で連続して行ってい
るので、これら一連の工程を速く行い且つ加熱のための
エネルギー消費も低くすることができる。
【0202】更に、本実施形態では、加熱炉81内を封
着工程を行う封着温度まで昇温させる途中で、仮焼工
程、予備加熱工程を行っているので、仮焼工程から封着
工程までをより迅速に且つ低い消費エネルギーで行うこ
とができ、更に、封着工程の後、封着された基板を室温
まで降温させる途中で排気工程を行っているので、封着
工程から排気工程までをより迅速に且つ低い消費エネル
ギーで行うことができる。
着工程を行う封着温度まで昇温させる途中で、仮焼工
程、予備加熱工程を行っているので、仮焼工程から封着
工程までをより迅速に且つ低い消費エネルギーで行うこ
とができ、更に、封着工程の後、封着された基板を室温
まで降温させる途中で排気工程を行っているので、封着
工程から排気工程までをより迅速に且つ低い消費エネル
ギーで行うことができる。
【0203】更に、本実施形態の封着方法によれば、従
来の封着方法と比べて、以下に説明するように、上記実
施の形態5と同様の効果を奏する。通常、前面パネル基
板や背面パネル基板には、水蒸気などのガスが吸着され
ているが、これらの基板を加熱昇温すると、吸着されて
いるガスが放出される。従来の一般的な製造方法では、
仮焼工程の後、封着工程では、前面パネル基板と背面パ
ネル基板とを室温で重ね合わせてから加熱昇温して封着
するので、この封着工程時に、前面パネル基板と背面パ
ネル基板に吸着されているガスが放出される。仮焼工程
において、基板に吸着されているガスがある程度抜けて
も、その後、封着工程開始時まで大気中で室温にするこ
とによって再びガスが吸着されるので、封着工程におい
てガスの放出は生じる。ここで、放出されたガスが狭い
内部空間内に閉じ込められるため、特に保護層14から
放出される水蒸気の影響で蛍光体層が熱劣化し、その発
光強度が低下しやすい。
来の封着方法と比べて、以下に説明するように、上記実
施の形態5と同様の効果を奏する。通常、前面パネル基
板や背面パネル基板には、水蒸気などのガスが吸着され
ているが、これらの基板を加熱昇温すると、吸着されて
いるガスが放出される。従来の一般的な製造方法では、
仮焼工程の後、封着工程では、前面パネル基板と背面パ
ネル基板とを室温で重ね合わせてから加熱昇温して封着
するので、この封着工程時に、前面パネル基板と背面パ
ネル基板に吸着されているガスが放出される。仮焼工程
において、基板に吸着されているガスがある程度抜けて
も、その後、封着工程開始時まで大気中で室温にするこ
とによって再びガスが吸着されるので、封着工程におい
てガスの放出は生じる。ここで、放出されたガスが狭い
内部空間内に閉じ込められるため、特に保護層14から
放出される水蒸気の影響で蛍光体層が熱劣化し、その発
光強度が低下しやすい。
【0204】これに対して、本実施形態の製造方法によ
れば、封着工程や予備加熱工程によって前面パネル基板
10及び背面パネル基板20に吸着されている水蒸気な
どのガスが放出されるが、このとき両パネル基板10・
20間に広い間隙が形成されているため、発生するガス
が内部空間に閉じ込められることはない。そして、予備
加熱後、両パネル基板10・20が加熱された状態で封
着されるため、予備加熱の後で両パネル基板10・20
に水分などが吸着することもない。よって、封着時に両
パネル基板10・20から発生するガスは少なくなり、
蛍光体層25の熱劣化が防止されることになる。
れば、封着工程や予備加熱工程によって前面パネル基板
10及び背面パネル基板20に吸着されている水蒸気な
どのガスが放出されるが、このとき両パネル基板10・
20間に広い間隙が形成されているため、発生するガス
が内部空間に閉じ込められることはない。そして、予備
加熱後、両パネル基板10・20が加熱された状態で封
着されるため、予備加熱の後で両パネル基板10・20
に水分などが吸着することもない。よって、封着時に両
パネル基板10・20から発生するガスは少なくなり、
蛍光体層25の熱劣化が防止されることになる。
【0205】また、上記のように封着装置80を用いる
ことにより、最初に前面パネル基板10と背面パネル基
板20を位置合わせしておけば、位置合せされた状態で
封着がなされる。更に、本実施の形態では、予備加熱工
程から封着工程までを、乾燥空気が流通する雰囲気で行
っているので、雰囲気ガス中の水蒸気によって蛍光体層
25の熱劣化が生じることもない。
ことにより、最初に前面パネル基板10と背面パネル基
板20を位置合わせしておけば、位置合せされた状態で
封着がなされる。更に、本実施の形態では、予備加熱工
程から封着工程までを、乾燥空気が流通する雰囲気で行
っているので、雰囲気ガス中の水蒸気によって蛍光体層
25の熱劣化が生じることもない。
【0206】なお、予備加熱で昇温させる温度、前面パ
ネル基板と背面パネル基板とを重ね合わせるタイミング
の好ましい条件、並びに、雰囲気ガスの種類、圧力、水
蒸気分圧の好ましい条件については、上記実施の形態5
で説明した通りである。 (本実施形態の変形例)なお、本実施の形態では、上述
したように仮焼工程−予備加熱工程−封着工程−排気工
程を、同じ装置の中で連続的に行ったが、予備加熱工程
を省略することもでき、その場合でも同様の効果がある
程度得られる。また、仮焼工程−封着工程だけを同じ装
置の中で連続的に行ったり、封着工程−排気工程だけを
同じ装置の中で連続的に行うことによっても、ある程度
の効果を得ることはできる。
ネル基板と背面パネル基板とを重ね合わせるタイミング
の好ましい条件、並びに、雰囲気ガスの種類、圧力、水
蒸気分圧の好ましい条件については、上記実施の形態5
で説明した通りである。 (本実施形態の変形例)なお、本実施の形態では、上述
したように仮焼工程−予備加熱工程−封着工程−排気工
程を、同じ装置の中で連続的に行ったが、予備加熱工程
を省略することもでき、その場合でも同様の効果がある
程度得られる。また、仮焼工程−封着工程だけを同じ装
置の中で連続的に行ったり、封着工程−排気工程だけを
同じ装置の中で連続的に行うことによっても、ある程度
の効果を得ることはできる。
【0207】また、本実施形態において、封着工程の後
に、加熱炉81内を封着用ガラスの軟化点より低い排気
温度(350℃)に下げてから排気工程を行ったが、封
着工程における封着温度と同程度の高い温度のまま排気
工程を行うようにすれば、短時間で十分に排気すること
が可能である。但し、この場合、封着用ガラス流出防止
に対する工夫(例えば、図10〜16に示した流止隔
壁)を施すことが必要と考えられる。
に、加熱炉81内を封着用ガラスの軟化点より低い排気
温度(350℃)に下げてから排気工程を行ったが、封
着工程における封着温度と同程度の高い温度のまま排気
工程を行うようにすれば、短時間で十分に排気すること
が可能である。但し、この場合、封着用ガラス流出防止
に対する工夫(例えば、図10〜16に示した流止隔
壁)を施すことが必要と考えられる。
【0208】また、本実施の形態では、封着に際して、
前面パネル基板10と背面パネル基板20の対向面を開
放した状態で、仮焼工程・予備加熱工程を行ったが、上
記実施の形態3のように、前面パネル基板10と背面パ
ネル基板20を位置合わせして重ね合わせて、そのまま
内部空間を減圧にしつつ乾燥空気を流しながら加熱昇温
して封着を行う場合でも、以下のようにして、仮焼工程
−封着工程−排気工程を同じ装置の中で連続的に行うこ
とは可能である。
前面パネル基板10と背面パネル基板20の対向面を開
放した状態で、仮焼工程・予備加熱工程を行ったが、上
記実施の形態3のように、前面パネル基板10と背面パ
ネル基板20を位置合わせして重ね合わせて、そのまま
内部空間を減圧にしつつ乾燥空気を流しながら加熱昇温
して封着を行う場合でも、以下のようにして、仮焼工程
−封着工程−排気工程を同じ装置の中で連続的に行うこ
とは可能である。
【0209】即ち、図4の封着用加熱装置50を用い、
前面パネル基板10及び背面パネル基板20の少なくと
も一方の対向面に、封着用ガラスを塗布し、封着ガラス
層15を形成し、仮焼は行わずに位置合わせしながら重
ね合わせ、加熱炉51の中に入れる。そして、背面パネ
ル基板20の通気口21aに付けられたガラス管26a
に配管52aを連結し、配管52aから真空ポンプ(不
図示)で排気する。それと共に、背面パネル基板20の
通気口21bに付けられたガラス管26bに配管52b
を連結し、乾燥空気を送り込むことによって、両パネル
基板10・20間の内部空間を、減圧にしつつ乾燥空気
が流れる状態にする。
前面パネル基板10及び背面パネル基板20の少なくと
も一方の対向面に、封着用ガラスを塗布し、封着ガラス
層15を形成し、仮焼は行わずに位置合わせしながら重
ね合わせ、加熱炉51の中に入れる。そして、背面パネ
ル基板20の通気口21aに付けられたガラス管26a
に配管52aを連結し、配管52aから真空ポンプ(不
図示)で排気する。それと共に、背面パネル基板20の
通気口21bに付けられたガラス管26bに配管52b
を連結し、乾燥空気を送り込むことによって、両パネル
基板10・20間の内部空間を、減圧にしつつ乾燥空気
が流れる状態にする。
【0210】そして、両パネル基板10・20間の内部
空間をこの状態に保ちながら、加熱炉51の内部を、仮
焼温度まで昇温して仮焼する(350℃、10〜30分
保持)。このとき、単に前面パネル基板10と背面パネ
ル基板とを重ね合わせた状態でパネルを加熱昇温するだ
けでは、封着ガラス層に酸素が供給されにくいので仮焼
が十分にできないが、上記のようにパネル内部に乾燥空
気を流しながら加熱すれば、十分に仮焼を行うことが可
能である。
空間をこの状態に保ちながら、加熱炉51の内部を、仮
焼温度まで昇温して仮焼する(350℃、10〜30分
保持)。このとき、単に前面パネル基板10と背面パネ
ル基板とを重ね合わせた状態でパネルを加熱昇温するだ
けでは、封着ガラス層に酸素が供給されにくいので仮焼
が十分にできないが、上記のようにパネル内部に乾燥空
気を流しながら加熱すれば、十分に仮焼を行うことが可
能である。
【0211】次に、更に、封着ガラスの軟化点以上の封
着温度まで加熱昇温して保持する(例えば、ピーク温度
が450℃、30分保持)ことによって封着を行う。そ
して、加熱炉51内を封着用ガラスの軟化点より低い排
気温度に下げ、その排気温度に維持しながら、封着した
両パネル基板の内部空間から高真空で排気を行うことに
よって、内部空間からガス抜きを行い、排気工程の後、
パネル基板を室温まで冷却し、ガラス管26から内部空
間に放電ガスを封入し、通気口21aを封止してガラス
管26を切り取ることによって、PDPを作製する。
着温度まで加熱昇温して保持する(例えば、ピーク温度
が450℃、30分保持)ことによって封着を行う。そ
して、加熱炉51内を封着用ガラスの軟化点より低い排
気温度に下げ、その排気温度に維持しながら、封着した
両パネル基板の内部空間から高真空で排気を行うことに
よって、内部空間からガス抜きを行い、排気工程の後、
パネル基板を室温まで冷却し、ガラス管26から内部空
間に放電ガスを封入し、通気口21aを封止してガラス
管26を切り取ることによって、PDPを作製する。
【0212】この変形例の場合も、本実施の形態と同様
に、仮焼工程、封着工程、排気工程を、同じ封着装置の
中で、室温まで降温することなく連続的に行っているの
で、これら一連の工程を速く行い且つ加熱のためのエネ
ルギー消費も低くすることができる。なお、この変形例
において、加熱炉51内で、仮焼工程−封着工程だけ、
或は封着工程−排気工程だけを連続して行うことも可能
である。 (実施例6)
に、仮焼工程、封着工程、排気工程を、同じ封着装置の
中で、室温まで降温することなく連続的に行っているの
で、これら一連の工程を速く行い且つ加熱のためのエネ
ルギー消費も低くすることができる。なお、この変形例
において、加熱炉51内で、仮焼工程−封着工程だけ、
或は封着工程−排気工程だけを連続して行うことも可能
である。 (実施例6)
【0213】
【表6】
【0214】パネルNo.61〜69は本実施形態に基
づいて作製した実施例にかかるPDPであって、前面パ
ネル基板と背面パネル基板を加熱するときの雰囲気ガ
ス、圧力、重ね合わせるときの温度やタイミングをいろ
いろ変えて封着工程を行った。図28は、パネルNo.
63〜67のPDPを製造する際に、仮焼工程−封着工
程−排気工程で用いた温度プロファイルである。
づいて作製した実施例にかかるPDPであって、前面パ
ネル基板と背面パネル基板を加熱するときの雰囲気ガ
ス、圧力、重ね合わせるときの温度やタイミングをいろ
いろ変えて封着工程を行った。図28は、パネルNo.
63〜67のPDPを製造する際に、仮焼工程−封着工
程−排気工程で用いた温度プロファイルである。
【0215】雰囲気ガスとして、パネルNo.61〜6
6,68,69では、水蒸気分圧を0〜12Torrの
範囲内でいろいろな値に設定した乾燥空気を用い、パネ
ルNo.70では未乾燥の空気を用いた。また、パネル
No.67では、真空排気しながら加熱を行った。パネ
ルNo.63〜67では、パネル基板を室温から加熱昇
温して、350℃に達したら350℃で10分間保持し
て仮焼を行い、更に加熱昇温して400℃(封着用ガラ
スの軟化点より低い温度)に達したときに、両パネル基
板を重ね合わせた。そして、更に加熱昇温して封着温度
450℃(封着用ガラスの軟化点以上の温度)に達した
ら、10分間以上保持し、その後、炉内を350℃まで
下降させ、350℃に維持しながら排気工程を行った。
6,68,69では、水蒸気分圧を0〜12Torrの
範囲内でいろいろな値に設定した乾燥空気を用い、パネ
ルNo.70では未乾燥の空気を用いた。また、パネル
No.67では、真空排気しながら加熱を行った。パネ
ルNo.63〜67では、パネル基板を室温から加熱昇
温して、350℃に達したら350℃で10分間保持し
て仮焼を行い、更に加熱昇温して400℃(封着用ガラ
スの軟化点より低い温度)に達したときに、両パネル基
板を重ね合わせた。そして、更に加熱昇温して封着温度
450℃(封着用ガラスの軟化点以上の温度)に達した
ら、10分間以上保持し、その後、炉内を350℃まで
下降させ、350℃に維持しながら排気工程を行った。
【0216】これに対して、パネルNo.61,62の
封着工程では、少し低めの温度250℃並びに350℃
で、両パネル基板を重ね合わせた。また、パネルNo.
68の封着工程では、封着温度450℃まで昇温した後
に、両パネル基板を重ね合わせ、パネルNo.69の封
着工程では、ピーク温度480℃まで昇温した後、封着
温度450℃まで降温してから両パネル基板を重ね合わ
せて封着した。
封着工程では、少し低めの温度250℃並びに350℃
で、両パネル基板を重ね合わせた。また、パネルNo.
68の封着工程では、封着温度450℃まで昇温した後
に、両パネル基板を重ね合わせ、パネルNo.69の封
着工程では、ピーク温度480℃まで昇温した後、封着
温度450℃まで降温してから両パネル基板を重ね合わ
せて封着した。
【0217】パネルNo.70は比較例にかかるPDP
であって、従来の封着工程通り、仮焼の後、室温で前面
パネル基板と背面パネル基板を重ね合わせて、大気圧の
空気中で封着温度450℃まで加熱昇温して封着し、一
旦室温まで降温させた。そして、再び加熱炉で排気温度
350℃まで加熱し、この排気温度350℃に維持しな
がら排気工程を行った。
であって、従来の封着工程通り、仮焼の後、室温で前面
パネル基板と背面パネル基板を重ね合わせて、大気圧の
空気中で封着温度450℃まで加熱昇温して封着し、一
旦室温まで降温させた。そして、再び加熱炉で排気温度
350℃まで加熱し、この排気温度350℃に維持しな
がら排気工程を行った。
【0218】なお、上記パネルNo.61〜70におい
て、蛍光体層の膜厚は30μm、放電ガスはNe(95
%)−Xe(5%)、その封入圧力は500Torrと
し、パネル構成が同一となるようにした。 〈発光特性試験〉 試験方法及び結果:上記パネルNo.61〜70の各P
DPについて、発光特性として、青色セルのみを点灯さ
せたときの発光強度と色度座標yと発光スペクトルのピ
ーク波長、及び色補正なしで白バランスでの色温度、青
色セル及び緑色セルを同じ電力で発光させたときの発光
スペクトルのピーク強度比を測定した。
て、蛍光体層の膜厚は30μm、放電ガスはNe(95
%)−Xe(5%)、その封入圧力は500Torrと
し、パネル構成が同一となるようにした。 〈発光特性試験〉 試験方法及び結果:上記パネルNo.61〜70の各P
DPについて、発光特性として、青色セルのみを点灯さ
せたときの発光強度と色度座標yと発光スペクトルのピ
ーク波長、及び色補正なしで白バランスでの色温度、青
色セル及び緑色セルを同じ電力で発光させたときの発光
スペクトルのピーク強度比を測定した。
【0219】これらの測定結果は、表6に示す通りであ
る。なお、表6に示す青色セルの発光強度は、パネルN
o.70の発光強度を100とした相対発光強度であ
る。また、作製した各PDPを分解し、背面パネル基板
にクリプトンエキシマランプを用いて真空紫外線を照射
し、青色発光の色度座標y、全色発光時の色温度、並び
に、青色及び緑色を発光させたときの発光スペクトルの
ピーク強度比を測定したところ、上記点灯による結果と
同等の結果が得られた。
る。なお、表6に示す青色セルの発光強度は、パネルN
o.70の発光強度を100とした相対発光強度であ
る。また、作製した各PDPを分解し、背面パネル基板
にクリプトンエキシマランプを用いて真空紫外線を照射
し、青色発光の色度座標y、全色発光時の色温度、並び
に、青色及び緑色を発光させたときの発光スペクトルの
ピーク強度比を測定したところ、上記点灯による結果と
同等の結果が得られた。
【0220】更に、パネルから青色蛍光体を取り出し、
TDS分析法で青色蛍光体1g当りから200℃以上で
脱離するH2Oガス分子数を測定した。また、X線回折
により、青色蛍光体結晶のa軸長に対するc軸長の比も
測定した。表6には、これらの結果も示されている。 考察:パネルNo.61〜69と、パネルNo.70と
について発光特性を比較すると、パネルNo.61〜6
9のいずれにおいても、パネルNo.70より発光特性
が優れている(相対発光強度が高く、色度座標yが小さ
い)。これは、パネルNo.61〜69で用いた封着方
法によれば、パネルNo.70で用いた封着方法と比べ
て、両パネル基板を重ね合わせた後に内部空間に放出さ
れるガスが少なくなるからと考えられる。
TDS分析法で青色蛍光体1g当りから200℃以上で
脱離するH2Oガス分子数を測定した。また、X線回折
により、青色蛍光体結晶のa軸長に対するc軸長の比も
測定した。表6には、これらの結果も示されている。 考察:パネルNo.61〜69と、パネルNo.70と
について発光特性を比較すると、パネルNo.61〜6
9のいずれにおいても、パネルNo.70より発光特性
が優れている(相対発光強度が高く、色度座標yが小さ
い)。これは、パネルNo.61〜69で用いた封着方
法によれば、パネルNo.70で用いた封着方法と比べ
て、両パネル基板を重ね合わせた後に内部空間に放出さ
れるガスが少なくなるからと考えられる。
【0221】パネルNo.70のPDPでは、青色発光
の色度座標yが0.090であって、色温度補正なしの
白バランスでの色温度は5800Kであるのに対して、
パネルNo.61〜69では、青色発光の色度座標yが
0.08以下で、色温度補正なしの白バランスでの色温
度は6500K以上である。特に、パネルNo.68,
69のように青色の色度座標yが低いPDPでは、色補
正なしの白バランスで11000K程度の高い色温度が
実現されている。
の色度座標yが0.090であって、色温度補正なしの
白バランスでの色温度は5800Kであるのに対して、
パネルNo.61〜69では、青色発光の色度座標yが
0.08以下で、色温度補正なしの白バランスでの色温
度は6500K以上である。特に、パネルNo.68,
69のように青色の色度座標yが低いPDPでは、色補
正なしの白バランスで11000K程度の高い色温度が
実現されている。
【0222】次に、パネルNo.61,62,65,6
8,69(いずれも乾燥空気の水蒸気分圧は2Tor
r)の間で発光特性を比較すると、パネルNo.61,
62,65,68,69の順で発光特性が向上(相対発
光強度が高く、色度座標yが小さく)している。この結
果から、前面パネル基板10と背面パネル基板20とを
重ね合わせるときの温度を高く設定するほど、発光特性
が向上することがわかる。
8,69(いずれも乾燥空気の水蒸気分圧は2Tor
r)の間で発光特性を比較すると、パネルNo.61,
62,65,68,69の順で発光特性が向上(相対発
光強度が高く、色度座標yが小さく)している。この結
果から、前面パネル基板10と背面パネル基板20とを
重ね合わせるときの温度を高く設定するほど、発光特性
が向上することがわかる。
【0223】また、パネルNo.63,64,65,6
6(封着工程での温度プロファイルが同じ)の間で発光
特性を比較すると、パネルNo.63,64,65,6
6の順で発光特性が向上している(色度座標yが小さ
い)。この結果から、雰囲気ガス中の水蒸気分圧が低い
ほど発光特性が向上することがわかる。また、パネルN
o.66及びパネルNo.67(封着工程での温度プロ
ファイルが同じ)について発光特性を比較すると、パネ
ルNo.66の方が発光特性が若干優れている。
6(封着工程での温度プロファイルが同じ)の間で発光
特性を比較すると、パネルNo.63,64,65,6
6の順で発光特性が向上している(色度座標yが小さ
い)。この結果から、雰囲気ガス中の水蒸気分圧が低い
ほど発光特性が向上することがわかる。また、パネルN
o.66及びパネルNo.67(封着工程での温度プロ
ファイルが同じ)について発光特性を比較すると、パネ
ルNo.66の方が発光特性が若干優れている。
【0224】これは、パネルNo.66では酸素が含ま
れる雰囲気ガス中で加熱されているのに対して、パネル
No.67では無酸素雰囲気中で加熱されており、無酸
素雰囲気で蛍光体層を加熱すると、酸化物である蛍光体
の酸素が一部が抜けて酸素欠陥が形成されるためと考え
られる。 (その他の事項)以上の実施の形態1〜6においては、
面放電型のPDPを製造する場合について説明したが、
本発明は、対向放電型のPDPを製造する場合にも適用
することができる。
れる雰囲気ガス中で加熱されているのに対して、パネル
No.67では無酸素雰囲気中で加熱されており、無酸
素雰囲気で蛍光体層を加熱すると、酸化物である蛍光体
の酸素が一部が抜けて酸素欠陥が形成されるためと考え
られる。 (その他の事項)以上の実施の形態1〜6においては、
面放電型のPDPを製造する場合について説明したが、
本発明は、対向放電型のPDPを製造する場合にも適用
することができる。
【0225】また、蛍光体層を形成する蛍光体の組成と
しては、上で示したもの以外に、一般的にPDPの蛍光
体層に使用されているものを用いても、同様に実施する
ことができる。また、上記実施の形態1〜6に示したよ
うに、蛍光体層を形成した後に、封着用ガラスを塗布す
るのが一般的であるが、この順序を入れ換えて行うこと
も可能と考えられる。
しては、上で示したもの以外に、一般的にPDPの蛍光
体層に使用されているものを用いても、同様に実施する
ことができる。また、上記実施の形態1〜6に示したよ
うに、蛍光体層を形成した後に、封着用ガラスを塗布す
るのが一般的であるが、この順序を入れ換えて行うこと
も可能と考えられる。
【0226】
【発明の効果】以上のように、本発明のPDPの製造方
法によれば、配設された蛍光体が加熱される工程(蛍光
体焼成工程、封着材仮焼工程、封着工程、排気工程な
ど)を、乾燥ガス雰囲気中、もしくは減圧で乾燥ガスが
流れる雰囲気中で行うことによって、青色セルのみを点
灯させたときの発光色の色度座標y(CIE表色系)ま
たは青色蛍光体層を真空紫外線で励起したときに放出さ
れる光の色度座標yが、0.08以下となるような発光
色度が優れたPDPを製造することができる。
法によれば、配設された蛍光体が加熱される工程(蛍光
体焼成工程、封着材仮焼工程、封着工程、排気工程な
ど)を、乾燥ガス雰囲気中、もしくは減圧で乾燥ガスが
流れる雰囲気中で行うことによって、青色セルのみを点
灯させたときの発光色の色度座標y(CIE表色系)ま
たは青色蛍光体層を真空紫外線で励起したときに放出さ
れる光の色度座標yが、0.08以下となるような発光
色度が優れたPDPを製造することができる。
【0227】このようなPDPは、白バランスにおける
色温度を7000K以上とすることができ、更に800
0K以上,9000K以上,10000K以上とするこ
とも可能である。また、青色蛍光体層の発光色度が向上
すれば、色再現性も向上される。また、上記のように青
色蛍光体層の発光色度が優れたPDPは、前面基板及び
背面基板を対向面が開放された状態で仮焼する方法、前
面基板及び背面基板を内部空間に乾燥ガスを流しながら
封着する方法、あるいは、前面基板及び背面基板を、対
向面が開放された状態で予備加熱した後、両基板を重ね
合わせて封着する方法を用いることによっても製造する
ことができる。
色温度を7000K以上とすることができ、更に800
0K以上,9000K以上,10000K以上とするこ
とも可能である。また、青色蛍光体層の発光色度が向上
すれば、色再現性も向上される。また、上記のように青
色蛍光体層の発光色度が優れたPDPは、前面基板及び
背面基板を対向面が開放された状態で仮焼する方法、前
面基板及び背面基板を内部空間に乾燥ガスを流しながら
封着する方法、あるいは、前面基板及び背面基板を、対
向面が開放された状態で予備加熱した後、両基板を重ね
合わせて封着する方法を用いることによっても製造する
ことができる。
【0228】また、前面パネル基板と背面パネル基板を
重ね合わせた状態で封着材を封着温度に保って封着する
封着工程を行った後、室温まで降下させることなく、封
着された両基板間の内部空間の気体を排気する排気工程
を開始すること、或は、封着材が配設された基板を仮焼
温度に保って仮焼する封着材仮焼工程の後、当該基板を
室温まで降下させることなく封着工程を開始することに
よっても製造でき、この場合、加熱に要する時間及び消
費エネルギーを低減することもできる。
重ね合わせた状態で封着材を封着温度に保って封着する
封着工程を行った後、室温まで降下させることなく、封
着された両基板間の内部空間の気体を排気する排気工程
を開始すること、或は、封着材が配設された基板を仮焼
温度に保って仮焼する封着材仮焼工程の後、当該基板を
室温まで降下させることなく封着工程を開始することに
よっても製造でき、この場合、加熱に要する時間及び消
費エネルギーを低減することもできる。
【図1】実施の形態1に係る交流面放電型PDPを示す
要部斜視図である。
要部斜視図である。
【図2】上記PDPに駆動回路を接続したPDP表示装
置を示す図である。
置を示す図である。
【図3】実施の形態1で用いるベルト式加熱装置の構成
を示す図である。
を示す図である。
【図4】実施の形態1で用いる封着用加熱装置の構成を
示す図である。
示す図である。
【図5】水蒸気分圧を変えた空気中で青色蛍光体を焼成
したときの相対発光強度測定結果である。
したときの相対発光強度測定結果である。
【図6】水蒸気分圧を変えた空気中で青色蛍光体を焼成
したときの色度座標yの測定結果である。
したときの色度座標yの測定結果である。
【図7】青色蛍光体から脱離するH2O分子数を測定し
た測定結果の一例である。
た測定結果の一例である。
【図8】実施の形態2における背面ガラス基板の具体例
を示す図である。
を示す図である。
【図9】実施の形態2における背面ガラス基板の具体例
を示す図である。
を示す図である。
【図10】実施の形態2における背面ガラス基板の具体
例を示す図である。
例を示す図である。
【図11】実施の形態2における背面ガラス基板の具体
例を示す図である。
例を示す図である。
【図12】実施の形態2における背面ガラス基板の具体
例を示す図である。
例を示す図である。
【図13】実施の形態2における背面ガラス基板の具体
例を示す図である。
例を示す図である。
【図14】実施の形態2における背面ガラス基板の具体
例を示す図である。
例を示す図である。
【図15】実施の形態2における背面ガラス基板の具体
例を示す図である。
例を示す図である。
【図16】実施の形態2における背面ガラス基板の具体
例を示す図である。
例を示す図である。
【図17】青色蛍光体を一旦熱劣化させた後、空気中で
再焼成して発光特性を回復させる効果の水蒸気分圧依存
性を示す特性図である。
再焼成して発光特性を回復させる効果の水蒸気分圧依存
性を示す特性図である。
【図18】青色蛍光体を一旦熱劣化させた後、空気中で
再焼成して発光特性を回復させる効果の水蒸気分圧依存
性を示す特性図である。
再焼成して発光特性を回復させる効果の水蒸気分圧依存
性を示す特性図である。
【図19】実施の形態5で封着工程に用いる封着装置の
構成を示す図である。
構成を示す図である。
【図20】上記封着装置における加熱炉の内部の構成を
示す斜視図である。
示す斜視図である。
【図21】上記封着装置を用いて予備加熱工程及び封着
工程を行う際の動作を示す図である。
工程を行う際の動作を示す図である。
【図22】実施の形態5に係る実験で、MgO層から放
出される水蒸気量を経時的に測定した結果を示す図であ
る。
出される水蒸気量を経時的に測定した結果を示す図であ
る。
【図23】実施の形態5にかかる封着装置の一変形例を
示す図である。
示す図である。
【図24】実施の形態5にかかる封着装置の別の変形例
の動作を示す図である。
の動作を示す図である。
【図25】実施例5PDPについて、青色セルのみを点
灯させたときの発光スペクトルである。
灯させたときの発光スペクトルである。
【図26】実施例5と比較例のPDPについて、青色付
近の色再現域をCIE色度図上に示したものである。
近の色再現域をCIE色度図上に示したものである。
【図27】実施の形態6において、封着装置を用いて仮
焼工程から排気工程までを行う際の動作を示す図であ
る。
焼工程から排気工程までを行う際の動作を示す図であ
る。
【図28】実施例6で、PDPを製造する際に、仮焼工
程−封着工程−排気工程で用いた温度プロファイルであ
る。
程−封着工程−排気工程で用いた温度プロファイルであ
る。
【図29】一般的な交流型(AC型)PDPの一例を示
す概略断面図である。
す概略断面図である。
10 前面パネル基板 11 前面ガラス基板 12a,12b 表示電極 13 誘電体層 14 保護層 15 封着ガラス層 20 背面パネル基板 21 背面ガラス基板 21a,21b 通気口 22 アドレス電極 23 誘電体層 24 隔壁 25 蛍光体層 26 ガラス管 30 放電空間 40 加熱装置 41 加熱炉 42 搬送ベルト 43 ガス導入パイプ 50 封着用加熱装置 51 加熱炉 53 ガス供給源 54 真空ポンプ 60 封着ガラス領域 70 流止隔壁 80 封着装置
フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平10−222987 (32)優先日 平成10年8月6日(1998.8.6) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平11−39280 (32)優先日 平成11年2月17日(1999.2.17) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平11−137764 (32)優先日 平成11年5月18日(1999.5.18) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平11−137763 (32)優先日 平成11年5月18日(1999.5.18) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 大谷 光弘 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 青木 正樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4G061 AA02 BA11 CC02 CD21 DA26 DA28 DA67 5C012 AA09 BC03 PP08 5C040 FA01 GB03 GB14 GG09 HA01 JA21 MA02 MA12 MA26
Claims (15)
- 【請求項1】 前面基板及び背面基板の対向面の少なく
とも一方に蛍光体及び封着材を配設した後、 蛍光体及び封着材が配設された基板を封着材仮焼温度で
仮焼する封着材仮焼ステップを備えるプラズマディスプ
レイパネルの製造方法において、 前記封着材仮焼ステップは、 前記蛍光体に乾燥ガスを
接触させた状態で乾燥ガスを流しながらなされることを
特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 【請求項2】 前面基板及び背面基板の対向面の一方に
蛍光体を配設する蛍光体配設ステップと、 前記前面基板及び背面基板の対向面の他方に封着材を配
設する封着材配設ステップと、 前記前面基板及び背面基板を封着材の仮焼温度に保つこ
とにより仮焼する封着材仮焼ステップとを備え、 前記封着材仮焼ステップにおいて,前記配設された蛍光
体に乾燥ガスを接触させた状態で乾燥ガスを流しながら
されることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの
製造方法。 - 【請求項3】 前面基板及び背面基板の対向面の少なく
とも一方に蛍光体層を形成する蛍光体層形成ステップ
と、 前記前面基板及び背面基板の対向面の少なくとも一方に
封着材を配設する封着材配設ステップと、 前記封着材が配設された基板を仮焼温度に保つことによ
り仮焼する封着材仮焼ステップと、 前記蛍光体層形成ステップ及び封着材仮焼ステップの後
に、前記前面基板及び背面基板を、両基板の間に内部空
間が形成されるよう重ね合わせた状態で、前記封着材が
軟化する温度以上の封着温度に保つことにより封着する
封着ステップとを有するプラズマディスプレイパネルの
製造方法において、 前記封着材仮焼ステップは,前記前面基板及び背面基板
を、両基板の間に内部空間が形成されるよう重ね合わせ
た状態で、内部空間に乾燥ガスを流しながら行われ,前
記封着材仮焼ステップで加熱された基板を室温まで降温
させることなく前記封着ステップを開始することを特徴
とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 【請求項4】 前面基板及び背面基板の対向面の少なく
とも一方に蛍光体層を形成する蛍光体層形成ステップ
と、 前記前面基板及び背面基板の対向面の少なくとも一方に
封着材を配設する封着材配設ステップと、 前記封着材が配設された基板を仮焼温度に保つことによ
り仮焼する封着材仮焼ステップと、 前記蛍光体層形成ステップ及び封着材仮焼ステップの後
に、前記前面基板及び背面基板を、両基板の間に内部空
間が形成されるよう重ね合わせた状態で、前記封着材が
軟化する温度以上の封着温度に保つことにより封着する
封着ステップと、 封着された両基板を室温より高い排気温度に保ちながら
両基板間の内部空間の気体を排気する排気ステップとを
有するプラズマディスプレイパネルの製造方法におい
て、 前記仮焼ステップは,前記前面基板及び背面基板を、両
基板の間に内部空間が形成されるよう重ね合わせた状態
で、内部空間に乾燥ガスを流しながら行われ,前記封着
材仮焼ステップから封着ステップを経て排気ステップに
到るまで、前記前面基板及び背面基板が室温より高い温
度に保たれた状態でなされることを特徴とするプラズマ
ディスプレイパネルの製造方法。 - 【請求項5】 前記仮焼ステップの後、仮焼温度に加熱
されている基板を更に封着温度まで加熱昇温して前記封
着ステップを開始することを特徴とする請求項3〜4の
何れかに記載のプラズマディスプレイパネルの製造方
法。 - 【請求項6】 前記封着ステップの後、封着された両基
板の温度を排気温度まで降下させてから排気ステップを
開始することを特徴とする請求項4記載のプラズマディ
スプレイパネルの製造方法。 - 【請求項7】 前記封着ステップの後、封着された両基
板の温度を封着温度と同等の温度に維持したまま排気ス
テップを開始することを特徴とする請求項4記載のプラ
ズマディスプレイパネルの製造方法。 - 【請求項8】 前記仮焼ステップは、封着材が配された
基板の対向面が開放された状態で行われ、 前記仮焼ステップと封着ステップとの間に、乾燥ガス雰
囲気の中で,前記前面基板と背面基板とを、対向面が開
放された状態で加熱する予備加熱ステップを備えること
を特徴とする請求項3〜4の何れかに記載のプラズマデ
ィスプレイパネルの製造方法。 - 【請求項9】 前記予備加熱ステップでは、 前記前面基板と背面基板とを、仮焼温度よりも高い温度
まで加熱することを特徴とする請求項8記載のプラズマ
ディスプレイパネルの製造方法。 - 【請求項10】 前記予備加熱ステップでは、 前記前面基板と背面基板とを、封着温度よりも高い温度
まで加熱し、その後、前記前面基板と背面基板を封着温
度まで降温してから封着ステップを開始することを特徴
とする請求項8記載のプラズマディスプレイパネルの製
造方法。 - 【請求項11】 前記予備加熱ステップは、 減圧雰囲気中で行われることを特徴とする請求項8記載
のプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 【請求項12】 前記乾燥ガスは、 それが使用される雰囲気における水蒸気分圧が15To
rr以下であることを特徴とする請求項1〜4又は8の
いずれかに記載のプラズマディスプレイパネルの製造方
法。 - 【請求項13】 前記乾燥ガスの露点温度が20℃以下
であることを特徴とする請求項1〜4又は8のいずれか
に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 【請求項14】 前記乾燥ガスには、酸素が含まれてい
ることを特徴とする請求項1〜4又は8のいずれかに記
載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 【請求項15】 前記乾燥ガスは、乾燥空気であること
を特徴とする請求項1〜4又は8のいずれかに記載のプ
ラズマディスプレイパネルの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001110702A JP3420218B2 (ja) | 1998-06-15 | 2001-04-09 | プラズマディスプレイパネルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (15)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10-166620 | 1998-06-15 | ||
JP16662098 | 1998-06-15 | ||
JP10-183758 | 1998-06-30 | ||
JP18375898 | 1998-06-30 | ||
JP10-217260 | 1998-07-31 | ||
JP21726098 | 1998-07-31 | ||
JP22298798 | 1998-08-06 | ||
JP10-222987 | 1998-08-06 | ||
JP3928099 | 1999-02-17 | ||
JP11-39280 | 1999-05-18 | ||
JP13776399 | 1999-05-18 | ||
JP11-137763 | 1999-05-18 | ||
JP13776499 | 1999-05-18 | ||
JP11-137764 | 1999-05-18 | ||
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---|---|---|---|
JP16899599A Division JP3372028B2 (ja) | 1998-06-15 | 1999-06-15 | プラズマディスプレイパネル、その製造方法及び製造装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001351524A true JP2001351524A (ja) | 2001-12-21 |
JP3420218B2 JP3420218B2 (ja) | 2003-06-23 |
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---|---|---|---|
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Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP3420218B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010082269A1 (ja) * | 2009-01-14 | 2010-07-22 | パナソニック株式会社 | プラズマディスプレイパネルの製造方法 |
JP2010267436A (ja) * | 2009-05-13 | 2010-11-25 | Panasonic Corp | プラズマディスプレイパネルの製造方法 |
WO2011118162A1 (ja) * | 2010-03-26 | 2011-09-29 | パナソニック株式会社 | プラズマディスプレイパネルの製造方法 |
-
2001
- 2001-04-09 JP JP2001110702A patent/JP3420218B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2010082269A1 (ja) * | 2009-01-14 | 2010-07-22 | パナソニック株式会社 | プラズマディスプレイパネルの製造方法 |
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