JP2001349788A - パルス光伝播時間計測装置 - Google Patents

パルス光伝播時間計測装置

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JP2001349788A
JP2001349788A JP2000174628A JP2000174628A JP2001349788A JP 2001349788 A JP2001349788 A JP 2001349788A JP 2000174628 A JP2000174628 A JP 2000174628A JP 2000174628 A JP2000174628 A JP 2000174628A JP 2001349788 A JP2001349788 A JP 2001349788A
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Daisei Yagami
大生 矢上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高精度で安価なパルス光伝播時間計測装置
を実現する。 【解決手段】所定周期でパルス光を発する発光部12
と、受光の有無に基づいてパルス信号Bpを生成する受
光部13と、パルス信号Bpに基づいて周波数の高い正
弦波状発振信号Bsを生成するフェーズロックループ回
路30と、位相状態を維持する信号処理を行って正弦波
状発振信号Bsから周波数の低い正弦波状発振信号Cs
を生成する周波数変換回路24と、正弦波状発振信号C
sと周波数の等しい基準信号Dsを生成する基準信号発
生回路40と、基準信号Dsと正弦波状発振信号Csと
の位相差Eを検出する位相差検出手段50とを備える。
フェーズロックループの介在により、パルス送光と位相
差検出とが両立する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、パルス光の送受
を行ってその伝播時間またはそれに相当する物理量を計
測するパルス光伝播時間計測装置に関し、詳しくは、測
定精度の向上や原価の低減に寄与する改良技術に関す
る。パルス光伝播時間計測装置は、直截的にはパルス光
の伝播時間を計測するものであるが、それに相当する物
理量、すなわち処理内容の確定している適宜な信号処理
や演算等を施すことでパルス光の伝播時間と一義的に対
応させうる物理量、かかる物理量を計測するものも該当
する。また、パルス光の伝播状態に関して、発光部から
発したパルス光が直進して受光部に達する直接的な伝播
が計測対象であるのは勿論、屈折や、反射、他の受発光
部による再生などを伴った間接的な伝播も計測対象に含
まれる。応用装置としては、距離計や、変位計、速度計
の他、二次元または三次元の座標位置を求める位置計測
装置やポインティングデバイスなど、種々のものが挙げ
られる。
【0002】
【従来の技術】図16(a)に示したパルス光伝播時間
計測装置は、発振回路11等から供給されたパルス信号
Ap(第2パルス信号)に従って所定周期でパルス光を
発する発光部12と、受光の有無に基づいてパルス信号
Bp(第1パルス信号)を生成する受光部13と、両パ
ルス信号Ap,Bpを受けて両者の到達するまでの時間
差Gを計測する時間差検出回路14とを具えたものであ
る。パルス信号Apには、上記の所定周期のパルス列す
なわち一定の等しい時間間隔で繰り返すパルス列が含め
られる。このパルス信号Apの周波数f1は、それに対
応して生成されるパルス光やパルス信号Bpの周波数f
1と共に、上記所定周期の逆数となっている。
【0003】このようなパルス光伝播時間計測装置は、
例えば長距離用のレーザ計測器等に用いられるもので、
光を搬送波として送受光部10における伝播時間を計測
する。すなわち、発光部12と受光部13とに亘る直接
的・間接的な光の伝搬遅延時間を計測する。そのため、
従来の一般的なパルス光伝播時間計測方式では、送受光
部10にてパルス光の送受が繰り返し行われるともに、
その送受の度に、送受光部10での光伝播に影響される
パルス信号Bpと送受光部10での光伝播に影響されな
いパルス信号Apとの到達時刻の差Gが光伝播時間相当
物理量として時間差検出回路14にて計測されるが、そ
の際、時間差検出は、例えば両パルス信号Ap,Bpの
リーディングエッジ間の時間をカウンタ等で計数すると
いった直接的な手法で行われる。
【0004】これに対し、図16(b)に示した光伝播
時間計測装置は、発振回路21等から供給された正弦波
状発振信号Asに従ってアナログ的に発光強度が変化す
る発光部22と、受光量に応じてアナログ的に変化する
正弦波状発振信号Bsを生成する受光部23と、位相状
態を維持する信号処理を行って正弦波状発振信号Bsか
らそれより周波数の低い正弦波状発振信号Csを生成す
る周波数変換回路24と、分周等の信号処理を行って周
波数f2の正弦波状発振信号Asから周波数f3の基準
信号Dsを生成する周波数変換回路25と、基準信号D
sと正弦波状発振信号Csとの位相差Eを検出する位相
差検出回路26とを具えたものである。基準信号Dsの
生成に際してその周波数f3は正弦波状発振信号Csの
周波数f3と同じにされる。
【0005】このような光伝播時間計測装置は、例えば
短距離用のレーザ距離計等に良く用いられるもので、や
はり光を搬送波として送受光部20における即ち発光部
22と受光部23とに亘る伝播時間を計測するものであ
るが、パルス送光ではなく正弦波状送光を行う。そし
て、送受光部20での光伝播に影響される正弦波状発振
信号Bsと送受光部20での光伝播に影響されない正弦
波状発振信号Asとの位相差Eを光伝播時間相当物理量
として計測するが、その際、位相状態を維持しながら正
弦波状発振信号Bs,Asから正弦波状発振信号Cs,
Dsへ周波数を低下させることで、信号波形を時間軸上
で引き延ばしておいてから、位相差Eの検出が行われ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような光伝播時間
計測装置のうち前者のパルス光伝播時間計測装置では、
上述したようにパルス送光を行うとともにパルス信号間
の時間間隔を電子回路で直接計測することから、送受光
部が比較的簡素で安価なもので足りるという長所がある
一方、高分解能・高精度な時間間隔計測を行おうとする
と、そのためには高速かつ高精度な電子回路が必要にな
り、非常に高価なものになってしまう。そのような高精
度化の際に問題となる事例を具体的に挙げると、例えば
mmオーダーの分解能が要求されるような場合、一般に
数ns〜数十nsのパルス幅と数百kHzの最大繰り返
し周波数を持つような高繰り返しパルスレーザ光のパル
ス信号の時間間隔を100ps以下の高い精度で計測す
るということになり、その場合、100MHz以上の高
速アナログ電子回路と10GHz以上に相当する超高速
カウンタが必要となるが、このような超高速な電子回路
は電子デバイスの性能限界により実現が困難である。
【0007】これに対し、上述した光伝播時間計測装置
のうち後者では、周波数低減を伴った位相差検出が採用
され、これによって信号波形が引き延ばされて、時間間
隔の計測が制約条件の緩和された間接的手法によってな
されるので、後半部分の電子回路が比較的低速で安価な
もので足りるという長所がある一方、前半部分の送受光
部に関しては、パルス送光でなく正弦波状送光を行うこ
とが前提とされることから、発光や光電変換さらには随
伴する信号増幅等にまで高いリニアリティ等の精度や感
度が必要となる。このため、時間間隔計測を高精度に行
うことはできても、原価の低減は困難である。
【0008】このように両者には一長一短があり、計測
条件等に応じて使い分けられている。ところが、このよ
うな従来の光伝播時間計測装置では、適用や応用が困難
なため、使用や利用が躊躇される分野もある。例えば、
パソコン(パーソナルコンピュータ)に三次元位置情報
を入力するのに、非接触なので手軽であり電磁障害も無
い光伝播時間計測装置を利用・応用しようとした場合、
高い精度が要求されるばかりか、送受光部の増設も必要
なため、コストが合わない。
【0009】このため、両者の長所を兼ね備えた高精度
で安価な光伝播時間計測装置装置の実現が望まれる。具
体的には、前者のパルス光伝播時間計測装置の送受光部
と、後者の光伝播時間計測装置の位相差検出回路とを備
えたパルス光伝播時間計測装置が想定される。しかも、
かかる装置は、上例のような新規応用分野だけでなく、
既に使用されているところでも、有用であり、有益であ
る。
【0010】しかしながら、パルス信号に関しては位相
状態を維持しながら周波数を低減させる手法が確立され
ていないため、単に両者を切り張りしただけでは適切な
計測結果は得られない。そこで、パルス送光と位相差検
出とが両立するよう、電子回路の構成に工夫を凝らすこ
とが技術的な課題となる。この発明は、このような課題
を解決するためになされたものであり、高精度で安価な
パルス光伝播時間計測装置を実現することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために発明された第1乃至第3の解決手段について、
その構成および作用効果を以下に説明する。
【0012】[第1の解決手段]第1の解決手段のパル
ス光伝播時間計測装置は、出願当初の請求項1に記載の
如く、所定周期でパルス光を発する発光部と、受光の有
無に基づいて第1パルス信号を生成する受光部と、前記
第1パルス信号に基づいて(後記第2正弦波状発振信号
の周波数よりも周波数が高く且つ必須ではないが望まし
くは前記所定周期の逆数である所定周波数よりも)周波
数の高い第1正弦波状発振信号を生成する第1フェーズ
ロックループ回路と、位相状態を維持する信号処理を行
って前記第1正弦波状発振信号から(前記第1正弦波状
発振信号の周波数よりも)周波数の低い第2正弦波状発
振信号を生成する第1周波数変換回路と、前記第2正弦
波状発振信号と周波数の等しい基準信号を生成する基準
信号発生回路と、前記基準信号と前記第2正弦波状発振
信号とから両者の位相差を検出する位相差検出手段とを
備えたものである。
【0013】このような第1の解決手段のパルス光伝播
時間計測装置にあっては、パルス送光が発光部および受
光部によって繰り返し行われるとともに、そのパルス送
光に対応したパルス信号に基づきフェーズロックループ
回路によって第1正弦波状発振信号が生成される。これ
により、パルス光の伝播時間に対応したパルス信号のタ
イミング変化状態が第1正弦波状発振信号にその位相状
態として引き継がれる。そして、その第1正弦波状発振
信号に対して、第1周波数変換回路により、位相状態を
維持した周波数低減の信号処理が施されるとともに、そ
の処理によって信号波形の引き延ばされた第2正弦波状
発振信号と、基準信号発生回路からの基準信号とから、
位相差検出手段によって、光伝播時間相当物理量である
位相差が検出される。
【0014】このように受光部と周波数変換回路との間
にフェーズロックループ回路を導入したことにより、パ
ルス送光と位相差検出とが両立することとなり、その結
果、前半部分の送受光部が時間差直接計測方式のパルス
光伝播時間計測装置のそれと同等で、後半部分の電子回
路が位相差検出方式の光伝播時間計測装置のそれと同等
でも、適切な計測値が得られる。したがって、この発明
によれば、高精度で安価なパルス光伝播時間計測装置を
実現することができる。
【0015】[第2の解決手段]第2の解決手段のパル
ス光伝播時間計測装置は、出願当初の請求項2に記載の
如く、上記の第1の解決手段のパルス光伝播時間計測装
置であって、前記受光部が複数設けられるとともに、そ
れらと前記第1フェーズロックループ回路との間に多入
力一出力の(すなわち信号入力が二個以上の複数であり
信号出力が単一である)信号選択回路が介挿して設けら
れ、さらに、その選択切替に伴って(逐次に前記位相差
検出手段で)検出される複数の位相差に基づいて位置・
距離・変位・速度などの位置情報等(すなわち空間的物
理変量または時空的物理変量)を算出する位置情報算出
手段が前記位相差検出手段の後に付加して設けられてい
る、というものである。
【0016】このような第2の解決手段のパルス光伝播
時間計測装置にあっては、光路の複数化や位置情報算出
手段の導入等に基づいて多次元の位置情報等が得られる
が、受光部は別としてもその他の送光部や位相差検出回
路等については、信号選択回路の導入によって複数化が
回避される。これにより、高精度で安価な計測方式を基
礎として、回路規模の増大を抑制しつつ、多次元の位置
情報等を得ることが可能となるので、例えばパソコン向
けの位置計測装置やポインティングデバイス等も高精度
で安価なものとなる。したがって、この発明によれば、
多次元で高精度なパルス光伝播時間計測装置を安価に実
現することができる。
【0017】[第3の解決手段]第3の解決手段のパル
ス光伝播時間計測装置は、出願当初の請求項3に記載の
如く、上記の第1,第2の解決手段のパルス光伝播時間
計測装置であって、前記所定周期での発光を駆動・制御
するために前記発光部に供給される前記所定周波数の第
2パルス信号に基づいて周波数が前記第1正弦波状発振
信号の周波数に等しい第3正弦波状発振信号を生成する
第2フェーズロックループ回路と、前記第1周波数変換
回路と同じ信号処理を行って前記第3正弦波状発振信号
から前記基準信号を生成する第2周波数変換回路とが、
前記基準信号発生回路に具えられている、というもので
ある。
【0018】このような第3の解決手段のパルス光伝播
時間計測装置にあっては、第2正弦波状発振信号との対
比に用いられる基準信号が、第2正弦波状発振信号と同
様に第2パルス信号に基づいて生成されるばかりか、そ
の生成に際して、フェーズロックループによるパルス信
号から正弦波状発振信号への同様な変換処理や、周波数
変換回路による同一信号処理も、施される。すなわち、
送受光部は別としてそれ以外での信号処理の内容が、送
受光部での光伝播に影響されるパルス信号および正弦波
状発振信号と、送受光部での光伝播に影響されない基準
信号とで、同じになる。
【0019】これにより、両信号に関する動作特性が揃
うことから、使用環境や動作状態が変動するような状況
下であっても、位相の相対関係等が保存されるので、何
時でも正確な計測結果が得られることとなる。したがっ
て、この発明によれば、安定して高精度なパルス光伝播
時間計測装置を安価に実現することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】このような解決手段で達成された
本発明のパルス光伝播時間計測装置について、これを実
施するための具体的な形態を、以下の第1〜第14実施
例により説明する。図1に示した第1実施例は、上述し
た第1の解決手段を具現化したものであり、図2の第2
実施例、図3の第3実施例、図4の第4実施例は、その
変形例であり、図5の第5実施例は、三次元座標位置計
測への応用例である。また、図6に示した第6実施例
は、上述した第1,第2の解決手段を具現化したもので
あり、図7の第7実施例は、上述した第1〜第3の解決
手段を具現化したものである。さらに、図8の第8実施
例や、図9の第9実施例、図10の第10実施例は、改
良例や応用例である。また、図11及び図12に示した
第11実施例は、他の受発光部による再生などを伴った
パルス光の間接的な伝播を計測対象としたものであり、
図13の第12実施例は、その変形例である。また、図
14の第13実施例は、他の改良例であり、図15の第
14実施例は、その変形例である。なお、それらの図示
に際し同様の構成要素には同一の符号を付して示した。
【0021】
【第1実施例】本発明のパルス光伝播時間計測装置の第
1実施例について、その具体的な構成を、図面を引用し
て説明する。図1(a)は、その電子回路構造を示すブ
ロック図である。
【0022】このパルス光伝播時間計測装置は、既述し
た図16(a)のパルス光伝播時間計測装置の送受光部
10と、図16(b)の光伝播時間計測装置の周波数変
換回路24等とを、フェーズロックループ回路30を介
在させて、繋いだものである。すなわち、発振回路11
から発光を駆動・制御するために周波数f1のパルス信
号Ap(第2パルス信号)を受けて所定周期(1/f
1)でパルス光を発する発光部12と、受光の有無に基
づいてパルス信号Bp(第1パルス信号)を生成する受
光部13と、周波数f1のパルス信号Bpを入力して周
波数f2の正弦波状発振信号Bs(第1正弦波状発振信
号)を生成するフェーズロックループ回路30(第1フ
ェーズロックループ回路)と、位相状態を維持する信号
処理を行って周波数f2の正弦波状発振信号Bsからそ
れより周波数の低い周波数f3の正弦波状発振信号Cs
(第2正弦波状発振信号)を生成する周波数変換回路2
4と、周波数f3の基準信号Dsを生成する基準信号発
生回路40と、基準信号Dsと正弦波状発振信号Csと
の位相差Eを検出する位相差検出回路26同様の位相差
検出回路50とが設けられている。
【0023】フェーズロックループ回路30には、正弦
波状発振信号Bsの位相をパルス信号Bpにおけるパル
ス列のタイミングに固定させるとともにその際に周波数
の逓倍も行うものが採用され、これによって、正弦波状
発振信号Bsの周波数f2はパルス信号Bpの周波数f
1より高くなる。また、その倍率は、離散的ではあるが
選択可能な範囲が広いので、周波数f1,f2は、設計
上の制約をほとんど感じることなく設定・決定すること
が可能なものである。さらに、正弦波状発振信号Bs,
Csの周波数f2,f3の比は、従来の位相差検出方式
の光伝播時間計測装置の場合と同様、信号波形の引き延
ばし率に対応している。また、基準信号発生回路40
は、従来例の周波数変換回路25のようにパルス信号A
pに同期した基準信号Dsを生成するものでも良いが、
後述する第10実施例のように同期を採らないものでも
良い。
【0024】この第1実施例のパルス光伝播時間計測装
置について、その使用態様及び動作を、図面を引用して
説明する。図1(b)〜(f)は、何れも信号波形例で
あり、典型的な動作状態を示している。
【0025】パルス信号Apの周波数f1は例えば数百
Hz程度に設計されるが(図1(b)参照)、これが発
振回路11から発光部12に供給されると、そのパルス
に対応して発光部12からパルス光が発せられる。その
パルス幅は例えば数ns〜数十nsにされる。そして、
そのパルス光が直接に又は反射光や再生光に変わってか
ら受光部13に到達する度に、光電変換により受光部1
3からパルス信号Bpのパルスが出力される(図1
(c)参照)。このパルス信号Bpはパルス信号Apよ
りも時間差Gだけ遅延しており(図1(b),(c)参
照)、その時間差Gには送受光部10におけるパルス光
の伝播時間も含まれている。
【0026】パルス信号Bpはフェーズロックループ回
路30に入力され、フェーズロックループ回路30では
パルス信号Bpから正弦波状発振信号Bsが生成される
が(図1(d)参照)、その際、波形の変更に加え、周
波数の逓倍も行われて、正弦波状発振信号Bsの周波数
f2は例えば数MHz〜数GHz程度になる。これは通
常のマイクロ波用電子回路で処理できる周波数である。
また、その際、正弦波状発振信号Bsの位相がパルス信
号Bpにおけるパルス列のタイミングに固定させられる
(図1(c),(d)参照)。
【0027】その正弦波状発振信号Bsは周波数変換回
路24へ送出され、そこで周波数低減処理が施されて正
弦波状発振信号Csとなる(図1(e)参照)。これに
より正弦波状発振信号Csの周波数f3は一般的な電子
回路で処理可能な周波数たとえば数百kHzにされる
が、その際、周波数は変わっても位相状態は維持され
る。具体的には、正弦波状発振信号Bsの位相角が正弦
波状発振信号Csの位相角に引き継がれる。そして、パ
ルス信号Apのパルス列に対するパルス信号Bpのパル
ス列のタイミングが進退し、これに対応して同じだけ正
弦波状発振信号Bsの位相が進退してその位相角が増減
すると、正弦波状発振信号Csの位相角も同じく増減す
る。
【0028】一方、基準信号Dsも、基準信号発生回路
40によって、正弦波状発振信号Csと同じ周波数f3
の正弦波状波形を付与されるが(図1(f)参照)、位
相状態は異なる。すなわち、基準信号Dsの位相は、正
弦波状発振信号Csのようにパルス信号Bpや正弦波状
発振信号Bsの位相に連動して変化するもので無く、パ
ルス信号Apのパルス列のタイミングに対して又は基準
信号発生回路40独自の基準タイミングに対して固定さ
れている。そして、この基準信号Dsと正弦波状発振信
号Csとが位相差検出回路50に入力され、そこで両者
の位相差Eが検出される(図1(e),(f)参照)。
この位相差Eは、時間軸上で時間差Gを引き延ばしたも
のとなっており、一般的な処理速度の電子回路でも充分
に高い分解能で精度良く計測することができる。
【0029】さらに具体的な数値例を挙げて詳述する。
例えば、パルス信号Apにおいて、周期1.5μsで即
ち周波数666.66kHzで、幅10nsのパルス
が、繰り返される場合、パルス光も同じ周期・周波数で
発光部12から受光部13へ送信される。そのときの送
受光部10における光の伝播距離が1.5mmでありそ
こでのパルス光の伝播遅延時間Δtを5psとすると、
さらに発光部12及び受光部13内部での遅れや信号配
線での遅れは一定なので簡単のため無視すると光伝播時
間Δtはパルス信号Apとパルス信号Bpとの時間差G
に一致するが、この光伝播時間Δtによる正弦波状発振
信号Bsの位相角の変化量すなわち位相差Δθxは、周
波数f1が例えば2GHzの場合、対応する周期T1が
500psなので、所定の計算式に代入してΔθx=3
60×(Δt/T1)=3.6゜となる。
【0030】この位相状態が維持されたまま正弦波状発
振信号Bsから正弦波状発振信号Csへの周波数変換が
なされ、その周波数f3が例えば333.33KHzに
低下したとすると、対応する時間差ΔTxは、Δt×f
2/f3=30nsに引き延ばされる。この時間差ΔT
xは、基準信号Dsがパルス信号Apに対して同期して
いるとき、位相差Eを時間単位に換算したものとなる。
それから、応用目的により要求される出力形態等に応じ
て、必要であれば、光伝播時間Δtが式[Δt=ΔTx
×f3/f2]や[Δt=Δθx/(f1×360)]
にて算出され、さらに光伝播距離Δrは光速をcとして
式[Δr=c×Δt]にて算出される。したがって、こ
の数値例では、パルス光の伝播時間5psが30nsと
して計測されるので、時間軸を6000倍(=f2/f
3)に拡大して計測したのと等価になり、その結果、1
00MHz程度の応答速度を持った一般的で簡便な電子
回路を採用しても、光の伝播時間や伝播距離をpsやm
mオーダーで計算することが出来る。
【0031】
【第2実施例】図2に電子回路のブロック構成を示した
本発明のパルス光伝播時間計測装置は、上述の第1実施
例における基準信号発生回路40を同期方式で具体化し
たものである。この基準信号発生回路40は、周波数f
1のパルス信号Apを入力して周波数f2の正弦波状発
振信号Asを生成するフェーズロックループ回路31
と、その正弦波状発振信号Asから分周等の信号処理を
行って周波数f3の基準信号Dsを生成する周波数変換
回路25とを具えている。フェーズロックループ回路3
1は、フェーズロックループ回路30と同様に、正弦波
状発振信号Asの位相をパルス信号Apにおけるパルス
列のタイミングに固定させるとともにその際に周波数の
逓倍も行うものであり、その倍率も同じになっている。
【0032】この場合、周波数変換回路24の前だけで
なく周波数変換回路25の前にもフェーズロックループ
回路31が導入されているので、基準信号Dsの生成に
関しても、従来同様の周波数変換回路25を用いること
ができる。
【0033】
【第3実施例】図3に電子回路のブロック構成を示した
本発明のパルス光伝播時間計測装置が上述した第2実施
例のものと相違するのは、基準信号発生回路40が正弦
波状の基準信号Dsに代えて同一周波数f3のパルス信
号である基準信号Dpを生成する点と、位相差検出回路
50が二値化回路51と時間差検出回路52とで具現化
されている点である。二値化回路51は、正弦波状発振
信号Csを適宜な閾値で二値化して同一周波数f3のパ
ルス信号Cpを生成するようになっている。時間差検出
回路52は、パルス信号Cpと基準信号Dpとの時間差
を検出するものであるが、時間差G,Δtを直接計測す
る代わりに、時間軸上で引き延ばされた位相差E等を計
測するようになっている。
【0034】この場合、基準信号発生回路40は、パル
ス信号同士での周波数変換を行えば足りるので、周波数
f1,f3に整数倍等の関係があればカウンタ回路等を
利用して簡便に具体化され、周波数f1,f3が等しい
場合には、配線だけで済ませることも可能である。ま
た、時間差検出回路52も、カウンタ回路等を利用して
具体化でき、同じクロックで動作しても従来の時間差検
出回路14より、f2/f3倍だけ高い分解能で計数す
ることができる。したがって、このパルス光伝播時間計
測装置にあっては、フェーズロックループ回路30及び
周波数変換回路24以外の回路をデジタル化して簡単か
つ安価にすることができる。
【0035】
【第4実施例】図4に電子回路のブロック構成を示した
本発明のパルス光伝播時間計測装置が上述した第3実施
例のものと相違するのは、基準信号発生回路40の具体
的構成である。すなわち、基準信号発生回路40は、パ
ルス信号Apを入力して周波数f4の正弦波状発振信号
Asを生成するフェーズロックループ回路31と、その
正弦波状発振信号Asから分周等の信号処理を行って基
準信号Dpをパルス信号で生成する周波数変換回路41
とを具えている。
【0036】この場合、周波数変換回路41がデジタル
式の分周回路等を用いて簡便に具体化される。さらに、
正弦波状発振信号Asの周波数f4が周波数f2と異な
るものとなっているので、例えば周波数変換回路24で
要る周波数(f2+f3)又は(f2−f3)の正弦波
状発振信号を正弦波状発振信号Asで賄うこともでき
る。
【0037】
【第5実施例】図5に電子回路のブロック構成を示した
本発明のパルス光伝播時間計測装置が上述した第1〜第
4実施例のものと相違するのは、発振回路11及び基準
信号発生回路40以外の回路が三重化され並列に設けら
れている点と、位置情報算出手段60が追加された点で
ある。位置情報算出手段60は、各位相差検出回路50
の下流に位置していて、各位相差検出回路50から複数
の位相差E1,E2,E3を受け、それらに基づいて所
望の位置情報等を算出するようになっている。
【0038】この場合、3組の送受光部10により3本
の光路R1,R2,R3が確立されるとともに、それぞ
れについて位相差Eが求まるので、各送受光部10に関
する既知情報たとえば各受光部13の相対位置等も利用
して、三次元座標での位置情報等も得ることができる。
【0039】
【第6実施例】図6に電子回路のブロック構成を示した
本発明のパルス光伝播時間計測装置が上述した第5実施
例のものと相違するのは、多重化・並列化が受光部13
だけに抑えられた点と、それに伴って各受光部13とフ
ェーズロックループ回路30との間にマルチプレクサ6
3(信号選択回路)が介挿された点である。
【0040】マルチプレクサ63は、4入力1出力のも
のが採用されて、切替制御信号に従って4入力のうち何
れか一つをパルス信号Bpとして選出し、それをフェー
ズロックループ回路30へ送出するようになっている。
また、その入力には、パルス信号Apそのままと、光路
R1を経たパルス信号Bpと、光路R2を経たパルス信
号Bpと、光路R3を経たパルス信号Bpとが、送り込
まれるようになっている。
【0041】また、その切替制御を行うために切替制御
ルーチン62が導入され、その処理に従いマルチプレク
サ63の選出対象が4入力の中で循環的に切り替えられ
るようになっている。その切替周期は例えば数ms程度
に設定され、プログラム処理も可能なので、この例の切
替制御ルーチン62は、位置情報算出手段60をプログ
ラム処理にて具現化するマイクロプロセッサに、位置情
報Fとして相対変位等を算出する変位算出ルーチン61
等と共に、インストールされている。
【0042】さらに、幾つかの回路等についても詳述す
ると、例えば、発振回路11は、小形で高速に発振する
発振器11aと、その発振信号からパルス信号Apを生
成する分周器11bとからなる。発振器11aの発振信
号は、そのまま或いは適宜な波形整形や分周等を施して
から、位置情報算出手段60のマイクロプロセッサや位
相差検出回路50のカウンタ回路等のクロックCLKと
しても用いられる。また、発光部12には、赤外線等を
発する半導体レーザや発光ダイオードを組み込んだパル
ス光送信器が採用され、受光部13には、光電変換を担
うフォトダイオードやフォトトランジスタが採用され
る。周波数変換回路41は、デジタル回路からなる分周
器で足り、二値化回路51は、正弦波状発振信号Csと
所定の閾値電圧とを入力するコンパレータで足り、時間
差検出回路52は、基準信号Dpのパルス前縁でカウン
ト値がクリアされパルス信号Cpのパルス前縁でカウン
ト値をホールドしてその間のクロックCLKのパルス数
を計数するカウンタ回路で足りる。そのカウント値は、
位相差Eとして位置情報算出手段60へ繰り返し送出さ
れるようになっている。
【0043】また、周波数変換回路24には、周波数f
4の正弦波状発振信号Asと周波数f2の正弦波状発振
信号Bsとを入力する平衡ミキサ24aと、その出力信
号から周波数f3の信号成分すなわち正弦波状発振信号
Csを抽出するバンドパスフィルタ24b又はローパス
フィルタとが設けられている。これにより、周波数f3
は周波数f2と周波数f4との差になり、さらに、正弦
波状発振信号Bsの位相角の変動は、正弦波状発振信号
Csに引き継がれて、その位相角にも同じ変動が発現す
る。
【0044】この場合、マルチプレクサ63による入力
の選択切替が一巡する度に、光路R1,R2,R3に関
する3個の位相差Eが、算出されて算出変位算出ルーチ
ン61に引き渡されるので、例えば、発光部12が可動
部に組み込まれ、3組の受光部13が固定部における三
角形の頂点に配置されているような場合、計測した複数
の伝播距離(R1,R2,R3)より、可動部の三次元
座標を求める三次元のポインティング装置としての応用
も可能である。しかも、複数個設けられているのは受光
部13だけなので、装置は、小形で安価なものとなる。
【0045】また、この場合、光路R1〜R3を経たパ
ルス信号Bpだけでなく光路R1〜R3を経ないパルス
信号Apも、マルチプレクサ63を介して選択的に、フ
ェーズロックループ回路30及び周波数変換回路24へ
送り込まれるので、それについて計測した位相差Eを保
持しておき、パルス信号Bp選択時の位相差Eの算出に
際して参照する等のことで、随時、動的に、補正や補償
の処理も行うことができる。
【0046】さらに、例えば、周波数f3が333.3
3kHzになっているとすると位相差Eは3μs毎に得
られるので、マルチプレクサ63の切替が3ms毎に行
われる場合、その間に位相差Eは1000回計測できる
ので、統計処理によって更にS/N(信号/雑音)を改
善することができる。そのため、元々のパルス光信号の
S/Nにもよるが、ps、mmオーダーの非常に高い精
度で伝播時間または伝播距離を計測することが出来る。
【0047】
【第7実施例】図7に電子回路のブロック構成を示した
本発明のパルス光伝播時間計測装置が上述した第6実施
例のものと相違するのは、フェーズロックループ回路3
0,31に加えてフェーズロックループ回路32も設け
られた点と、周波数変換回路41が単純な分周回路から
次のような回路に改造された点である。
【0048】すなわち、フェーズロックループ回路32
(第2フェーズロックループ回路)は、フェーズロック
ループ回路30と同じ回路構造のものが採用されて、周
波数f1のパルス信号Apから周波数f2の正弦波状発
振信号As(第3正弦波状発振信号)を生成するように
なっている。また、周波数変換回路41(第2周波数変
換回路)は、ミキサ24aと同じ回路構造であって周波
数f2の正弦波状発振信号Asと周波数f4の正弦波状
発振信号Asとを入力するミキサ41aと、バンドパス
フィルタ24bと同じフィルタリング特性であってミキ
サ41aの出力から基準信号Dsを生成するバンドパス
フィルタ41bと、二値化回路51と同じ回路構造であ
って同じ閾値に基づき基準信号Dsを二値化して基準信
号Dpを生成するコンパレータ41cとを具えている。
【0049】この場合、パルス信号Apから基準信号D
pを生成する過程でフェーズロックループ回路32,3
1と周波数変換回路41とによってパルス信号Apに対
し、パルス信号Bpからパルス信号Cpを生成する過程
でフェーズロックループ回路30,31と周波数変換回
路24とがパルス信号Bpに対して施す信号処理と同じ
信号処理が施される。このように、計測対象である送受
光部10の介在の有無を除いて、対比される両系統の信
号が、同じ動作特性を示す回路によって同じく処理され
ることから、動作環境の影響やそれに対する反応等も揃
うため、互いに良く相殺しあうので、常に安定して高い
精度の計測結果が得られることとなる。
【0050】
【第8実施例】図8にフェーズロックループ回路30の
内部構造を例示した本発明のパルス光伝播時間計測装置
が上述した各実施例のものと相違するのは、フェーズロ
ックループ回路30〜32による信号周波数の逓倍率が
可変になっている点である。フェーズロックループ回路
30は、外部から送り込まれたパルス信号Bpと出力側
から帰還した帰還発振信号との位相比較を行う位相比較
部30aと、その出力を平滑化するローパスフィルタ3
0bと、その平滑出力を電圧制御信号として正弦波状発
振信号Bsを生成しこれを出力する電圧制御発振回路3
0c(VCO)とを具え、正弦波状発振信号Bsを位相
比較部30aへの帰還信号とすることで、パルス信号B
pに正弦波状発振信号Bsの位相をロックさせるように
なっているが、その帰還ラインに分周回路30dが介挿
接続されるとともに、その分周比がマイクロプロセッサ
60等から設定しうるようになっている。
【0051】この場合、周波数比(f2/f1)がその
分周比になるので、分周比の設定値を変更することで直
ちに正弦波状発振信号Bs,Ds等の周波数そして波長
を変えることが可能である。そこで、周波数f2が上述
の2GHzであるとしたときにその周波数f2に対応す
る波長である15cmをパルス光の伝播距離が超えるよ
うな場合は、位相差が360度以上になりうるため15
cmの倍数の相違が識別できないという曖昧さを伴う
が、そのような場合でも、次のようにすることで、その
曖昧さを取り除いて的確に正しい距離を求めることが出
来る。
【0052】すなわち、フェーズロックループ回路30
等における分周比を変更して正弦波状発振信号Bs等の
周波数f2を一時的に下げるのである。例えば、周波数
f2を20MHzにすれば、その周波数f2に対応する
波長は15mとなり、パルス光の伝播距離がその範囲に
収まる限り位相差も360゜以下となって、伝播距離が
15m以内であればその距離が曖昧でなく明確に求まる
ので、一旦、その計測値を求めておく。もっとも、その
計測値の精度・分解能は2cm程度しかないので、再
び、フェーズロックループ回路30等における分周比を
変更して正弦波状発振信号Bs等の周波数f2を元の2
GHzに戻してから、位相差または伝播時間差を計測す
る。そして、これらの計測値を突き合わせることによっ
て、パルス光の伝播距離が大きい場合にも伝播時間また
は伝播距離を、psオーダーやmmオーダーで計算する
ことが出来る。
【0053】また、次のようにすることで、周波数f2
の変化を小さく抑えても、的確に距離を求めることがで
きる。すなわち、この別手法では、フェーズロックルー
プ回路30等における分周比を変更して正弦波状発振信
号Bs等の周波数f2を一時的に下げる際に、例えば、
周波数f2をfa=2GHzからfb=1.98GHz
へfd=20MHzだけ下げて、その周波数変化に対応
した位相変化Δθdより位相回転数nを求めるのであ
る。周波数fa,fbに対応する波長をそれぞれλa,
λbとすると、位相変化Δθdは、[Δθd=n×36
0×(λb−λa)/λb]と表すことができるので、
位相回転数nは、[n=Δθd×λb/(360×(λ
b−λa))]となる。この式に、[λb=λa×fa
/fb]を代入すると、位相回転数nは、[n=Δθd
×fb/(360×(fa−fb))=Δθd×fb/
(360×fd)]と表せるので、位相変化Δθdより
位相回転数nが求まる。これにより、先の手法と同等の
効果が得られる。すなわち、上述の曖昧さを除去するこ
とができる。しかも、先の手法の場合よりも周波数f2
の可変範囲が狭くて済むので、安価に実現できるという
利点もある。
【0054】
【第9実施例】図9に外観を示した本発明のポインティ
ング装置70は、上述した第5〜第8実施例のパルス光
伝播時間計測装置をパソコン向けの入力装置に纏め上げ
たものである。
【0055】送受光部10以外の電子回路や電源部等
は、USB規格の信号ケーブル74等にてパソコン80
に接続された本体部71に格納されるが、送受光部10
のうち発光部12は、フレキシブルな信号ケーブル72
等を介して本体部71と接続された筆風の操作部73に
組み付けられ、受光部13は、信号ケーブル74等を介
して本体部71と接続された測光部75に組み付けられ
ている。測光部75は、中央を刳り抜いて額縁状に形成
され、CRT81の前面に被せるように装着してもその
画面表示を妨げないようになっている。その測光部75
の前面には、3個の受光部13が分散して受光可能に設
けられている。また、発光部12は、操作部73がパソ
コン80の手前側に置かれた状態で総ての受光部13に
対して送光することができるよう、広い範囲に発散させ
て送光を行うようになっている。
【0056】この場合、パソコン80の手前に操作部7
3を置いたときばかりでなく、持ち上げて動かしたよう
なときにも、随時、発光部12から発して各受光部13
に達した3光路のパルス光に基づいて発光部12の三次
元座標が求められ、そのデータがポインティング装置7
0からパソコン80へ送られる。このように操作部73
を動かすことで、自在かつ簡単に、三次元空間内の座標
データを次々とパソコン80に入力することができる。
【0057】
【第10実施例】図10に外観を示した本発明のパルス
光伝播時間計測装置が上述した第9実施例のものと相違
するのは、本体部71と測光部75とが一体化されて文
鎮風に纏められた点と、受光部13が減って2個だけに
なっている点と、信号ケーブル72が無くなってその代
わり操作部73に発振回路11と電池77とが内蔵され
た点である。また、詳細図は割愛したが、基準信号発生
回路40は、発振回路11とは別の発振回路を有して、
パルス信号Apとは非同期に基準信号を生成するように
なっている。
【0058】この場合、操作部73には信号ケーブル7
2が接続されていないので、その操作が行い易くて、便
利である。また、そのようにしても、ポインティング装
置70の使用目的を、操作部73を或る程度以上の速度
で移動させてワークシート82上に文字や図形等を描い
たときの移動経路データの入力等に限定すれば、短期間
で両発振回路に生じる位相ずれは僅かなものに過ぎない
ので、実用上不都合は無く、利便性の向上を享受するこ
とができる。
【0059】
【第11実施例】図11に外観を示し図12に送受光部
を示した本発明のパルス光伝播時間計測装置が上述した
第9実施例のものと相違するのは、パルス光の再生を行
う点である。具体的には(図11参照)、発光部12が
操作部73から測光部75へ移され、操作部73には、
新たな発光部91と受光部92とが装着されるととも
に、適宜のアンプ等を持つパルス光再生回路90が内蔵
されている。
【0060】この場合(図12参照)、発光部12から
発したパルス光は、受光部13に向くことは無く、操作
部73の置かれる又は動かされる方へ進む。そして、そ
のパルス光が受光部92に達すると、その光電変換によ
り生成されたパルス信号がパルス光再生回路90によっ
て増幅されると同時に波形整形され、さらに、これで駆
動される発光部91からパルス光が発せられる。こうし
て、パルス信号Apに対応したパルス光が、操作部73
側で再生されて、受光部13に向けて送光されるので、
この場合も、受光部13で適切なパルス信号Bpを生成
することができる。
【0061】また、この場合、操作部73をワイヤレス
にしても、パルス信号Apの生成に必要な発振回路11
が基準信号発生回路40と共に本体部71側に設けられ
るので、基準信号発生回路40がパルス信号Apを受け
てそれに基準信号Dpを同期させることが可能となる。
なお、発光部12と受光部13との遮光は送光範囲や受
光範囲を機械的に絞り込むことで行っても良いが、原パ
ルス光と再生パルス光とで偏波の向きを使い分けたり波
長域を分離したりすることで、予期せぬ反射による誤検
出も確実に防止することができる。
【0062】
【第12実施例】図13に送受光部を示した本発明のパ
ルス光伝播時間計測装置が上述した第11実施例のもの
と相違するのは、パルス光の幅より遅延時間の長い遅延
回路がパルス光再生回路90に追加されている点であ
る。
【0063】この場合、原パルス光と再生パルス光とが
時期的に分離されるので、誤検出を簡便かつ確実に防止
することができる。なお、遅延時間は常に一定なので、
位相差検出回路50で簡単な補正演算を行う等のこと
で、その影響を除去することができる。
【0064】
【第13実施例】図14に送受光部等を示した本発明の
パルス光伝播時間計測装置が上述した各実施例のものと
相違するのは、パルス信号Bpに対して波形整形の処理
を施すために受光部13とフェーズロックループ回路3
0との間にワンショット100が介挿されている点であ
る。このワンショット100のリセット端子にはパルス
信号Apが入力されるようになっている。
【0065】ワンショット100は、パルス信号Apの
パルスでリセットされる度にその直後はパルス信号Bp
のパルスのうち最初に受けたパルス一つだけをフェーズ
ロックループ回路30に伝送する。その際、パルス幅等
も所定長に整えられるので、分離している反射光のパル
スは勿論、重なってしまった反射光のパルスまでも、確
実に抑圧され除去される。こうして、機械的な手法や光
学的な手法に依らずに電子回路の部分改造によって簡便
に、反射光の影響を回避することができる。
【0066】
【第14実施例】図15に送受光部等を示した本発明の
パルス光伝播時間計測装置が上述した第13実施例のも
のと相違するのは、パルス信号Apが遅延回路101を
経てからワンショット100のリセット端子に入力され
るようになっている点である。
【0067】この場合、遅延回路101でパルス信号A
pを1周期かそれより少し短い時間だけ遅らせること
で、パルス信号Apとパルス信号Bpとでのパルスの重
なりに制約されることなくワンショット100のリセッ
トを行うことができるので、回路設計が楽になる。
【0068】
【その他】なお、上記の各実施例では、計測対象である
送受光部10の光路における伝播距離は別として、それ
以外の電気回路における等価電気長の相違を無視した
が、それは説明の便宜を図るためであり、実機では、相
当する補正値を固定値や可変パラメータとして保持して
おき、それを位相差検出回路50等での演算に加味する
のが望ましい。
【0069】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の第1の解決手段のパルス光伝播時間計測装置にあって
は、フェーズロックループ回路を介在させてパルス送光
と位相差検出とが両立するようにしたことにより、高精
度で安価なパルス光伝播時間計測装置を実現することが
できたという有利な効果が有る。
【0070】また、本発明の第2の解決手段のパルス光
伝播時間計測装置にあっては、送光部や位相差検出回路
等の複数化を避けつつ光路を複数化したことにより、多
次元で高精度なパルス光伝播時間計測装置を安価に実現
することができたという有利な効果を奏する。
【0071】さらに、本発明の第3の解決手段のパルス
光伝播時間計測装置にあっては、基準信号の生成にもフ
ェーズロック及び周波数変換が行われるようにしたこと
により、安定して高精度なパルス光伝播時間計測装置を
安価に実現することができたという有利な効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のパルス光伝播時間計測装置の第1実
施例について、(a)がブロック構成図、(b)〜
(f)が信号波形例である。
【図2】 本発明のパルス光伝播時間計測装置の第2実
施例について、そのブロック構成図である。
【図3】 本発明のパルス光伝播時間計測装置の第3実
施例について、そのブロック構成図である。
【図4】 本発明のパルス光伝播時間計測装置の第4実
施例について、そのブロック構成図である。
【図5】 本発明のパルス光伝播時間計測装置の第5実
施例について、そのブロック構成図である。
【図6】 本発明のパルス光伝播時間計測装置の第6実
施例について、そのブロック構成図である。
【図7】 本発明のパルス光伝播時間計測装置の第7実
施例について、そのブロック構成図である。
【図8】 本発明のパルス光伝播時間計測装置の第8実
施例について、PLL回路のブロック図である。
【図9】 本発明のパルス光伝播時間計測装置の第9実
施例について、その外観斜視図である。
【図10】 本発明のパルス光伝播時間計測装置の第1
0実施例について、その外観斜視図である。
【図11】 本発明のパルス光伝播時間計測装置の第1
1実施例について、その外観斜視図である。
【図12】 その送受光部のブロック図である。
【図13】 本発明のパルス光伝播時間計測装置の第1
2実施例について、その送受光部のブロック図である。
【図14】 本発明のパルス光伝播時間計測装置の第1
3実施例について、その送受光部およびパルス波形整形
部のブロック図である。
【図15】 本発明のパルス光伝播時間計測装置の第1
4実施例について、その送受光部およびパルス波形整形
部のブロック図である。
【図16】 従来の光伝播時間計測装置であり、(a)
がパルス送光に基づくもの、(b)が周波数変化を伴っ
た位相差検出に基づくものである。
【符号の説明】
10 送受光部(パルス送光) 11 発振回路(パルス発振信号生成部、第2パ
ルス信号供給手段) 11a 発振器 11b 分周器 12 発光部(送光部、パルス光送信器、点滅発
光回路) 13 受光部(受光器、第1パルス信号を生成す
る光電変換回路) 14 時間差検出回路(時間差演算回路) 20 送受光部(正弦波状送光) 21 発振回路(発振器、正弦波状発振信号生成
回路) 22 発光部(送光部、正弦波状変調光送信回
路) 23 受光部(受光器、アンプ形の光電変換回
路) 24 周波数変換回路(位相状態維持信号処理部、第
1周波数変換回路) 24a ミキサ(混合回路、掛算回路) 24b バンドパスフィルタ(BPF、ローパスフ
ィルタ) 25 周波数変換回路(同期基準信号発生回路) 26 位相差検出回路(位相差演算回路、位相差検出
手段) 30 フェーズロックループ回路(PLL、第1PL
L回路) 30a 位相比較部 30b ローパスフィルタ(LPF) 30c 電圧制御発振回路(VCO) 30d 分周回路(帰還部) 31 フェーズロックループ回路(PLL) 32 フェーズロックループ回路(PLL、第2PL
L回路) 40 基準信号発生回路 41 周波数変換回路(分周回路、同期基準信号
発生回路) 41a ミキサ(混合回路、掛算回路、第2周
波数変換回路) 41b バンドパスフィルタ(BPF、第2周
波数変換回路) 41c コンパレータ(二値化) 50 位相差検出回路(位相差演算回路) 51 二値化回路(コンパレータ) 52 時間差検出回路(時間差演算回路、時間差
検出手段) 60 位置情報算出手段(距離や変位等の位置情報等
演算回路) 61 変位算出ルーチン 62 切替制御ルーチン 63 マルチプレクサ(MUX、信号選択回路) 70 ポインティング装置(位置情報等入力装置) 71 本体部 72 信号ケーブル 73 操作部 74 信号ケーブル 75 測光部 76 信号ケーブル(出力ケーブル、USB、I
EEE1394) 77 電池 80 パソコン(パーソナルコンピュータ、情報処理
装置) 81 CRT(表示部) 82 ワークシート(作業用紙) 90 パルス光再生回路(パルス光の間接伝播手段) 91 発光部(送光部、パルス光送信器、点滅発
光回路) 92 受光部(受光器、スイッチ形の光電変換回
路) 100 ワンショット(パルス波形整形部) 101 遅延回路(パルス波形整形部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2F085 AA06 CC09 FF05 GG18 GG19 GG23 GG24 GG27 2G065 AA12 AA20 AB16 BC22 BC35 BD03 DA20 5J084 AA05 AD01 BA03 BA32 CA03 CA22 CA27 CA54 CA64 EA04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定周期でパルス光を発する発光部と、受
    光の有無に基づいてパルス信号を生成する受光部と、前
    記パルス信号に基づいて周波数の高い第1正弦波状発振
    信号を生成するフェーズロックループ回路と、位相状態
    を維持する信号処理を行って前記第1正弦波状発振信号
    から周波数の低い第2正弦波状発振信号を生成する周波
    数変換回路と、前記第2正弦波状発振信号と周波数の等
    しい基準信号を生成する基準信号発生回路と、前記基準
    信号と前記第2正弦波状発振信号との位相差を検出する
    位相差検出手段とを備えているパルス光伝播時間計測装
    置。
  2. 【請求項2】前記受光部が複数設けられ、それらと前記
    フェーズロックループ回路との間に多入力一出力の信号
    選択回路が介挿され、その選択切替に伴って検出される
    複数の位相差に基づいて位置情報等を算出する位置情報
    算出手段が付設されていることを特徴とする請求項1記
    載のパルス光伝播時間計測装置。
  3. 【請求項3】前記基準信号発生回路が、前記発光部に供
    給されるパルス信号に基づいて前記基準信号より周波数
    の高い第3正弦波状発振信号を生成するフェーズロック
    ループ回路と、前記周波数変換回路と同じ信号処理を行
    って前記第3正弦波状発振信号から前記基準信号を生成
    する周波数変換回路とを具えたものであることを特徴と
    する請求項1又は請求項2に記載されたパルス光伝播時
    間計測装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009236657A (ja) * 2008-03-27 2009-10-15 Panasonic Electric Works Co Ltd 距離測定装置
CN103148943A (zh) * 2013-01-31 2013-06-12 中国科学院上海技术物理研究所 模拟等光程差控制的干涉信号发生器
JP2015178982A (ja) * 2014-03-19 2015-10-08 アイシン精機株式会社 形状測定装置及び形状測定方法
CN108896330A (zh) * 2018-04-26 2018-11-27 红河学院 一种水电机组的故障诊断方法

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