JP2001349378A - 振動減衰装置 - Google Patents
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Abstract
性体を効率よく剪断変形させて所定の減衰力を得ること
ができ、而も長期使用しても鉛直荷重の載荷に対して応
力集中が発生しないようにする。 【解決手段】第1の上部鋼板11と第1の下部鋼板12
との間にゴム層13が積層成型され、中央部に中空部1
0aが形成された積層ゴム本体10と、積層ゴム本体1
0の中空部10a内に配設される柱状の鉛プラグ20と
を備え、鉛プラグ20は第2の上部鋼板31と第2の下
部鋼板32との間にゴム層33と中間鋼板34とが交互
に積層成型された積層ゴム補助体30に囲繞された状態
で積層ゴム本体10の中空部10a内に装填され、積層
ゴム補助体30のゴム層33は鉛プラグ20が繰り返し
塑性変形しても食込みにくい厚さに形成されている。
Description
器等の免震、制振、除振あるいは防振のために使用され
る振動減衰装置に係り、特に積層ゴム体内に鉛体等の弾
塑性金属を封入して水平方向の振動エネルギを吸収する
振動減衰装置に関する。
年、公共施設や共同住宅等を地震や強風等の自然災害や
交通振動から守るために、免震構造や制震(制振)構造
が採用されている。
51とコンクリート基礎52との間に鉛入り積層ゴム等
の免震装置53を設けることにより、地震力を低減して
建物51に伝えるものである。しかしながら、この免震
構造は、揺れない構造ではなくゆっくりと揺れる構造な
ので、高層な建物51の場合は水平方向のゆっくりとし
た揺れに対して建物51に許容値以内の層間変形や階層
間の変形が生じる。また、この免震構造は、想定外の巨
大地震でも建物51の主要構造部分は損傷しないが、比
較的強度の低い梁や壁に亀裂等は生じる場合がある。
傷を抑えるために、制震(制振)構造を採用することが
多い。この制震(制振)構造は、既存建物の耐震補強や
新築建物として数10棟の実績を持つ比較的新しい振動
制御技術で、ダンパー等の振動減衰装置によって強風や
地震時の建物の揺れを抑え、高層化、多様化するインテ
リジェントビル、共同住宅等に快適な生活環境を提供し
ている。
に、例えば共同住宅の間仕切り壁54の下に設置し、地
震時の間仕切り壁54の変形を、減衰効果で抑えること
を目的として用いられている。構造は図4(a)に示す
ように、上部鋼板61と下部鋼板62との間にゴム状弾
性体63が積層成型され、中央に中空部60aが形成さ
れた積層ゴム本体60と、この積層ゴム本体60の中空
部60aに装填される柱状弾塑性体70とから構成さ
れ、各鋼板61、62としては一般構造用圧延鋼材等
が、ゴム状弾性体63としては天然ゴムや合成ゴムを主
成分とした高減衰ゴム、あるいは高減衰ゴム以外のゴム
が、柱状弾塑性体70としては鉛等がそれぞれ用いられ
ている。また、各鋼板61、62にはそれぞれ複数のス
タッドボルト64が溶接や捩じ込み等で接合され、この
スタッドボルト64が間仕切り壁54と床55とに埋設
されている(図3(b)参照)。
振動減衰特性は図5に示すような履歴曲線を示す。即
ち、積層ゴム本体60のゴム状弾性体63が高減衰ゴム
の場合には水平方向の変形に対して粘弾性型の右上がり
の楕円形の履歴曲線O、柱状弾塑性体70が鉛の場合に
は弾塑性型の長方形の履歴曲線Sをそれぞれ示し、振動
減衰装置はこれら両特性を併せ持つ大きな履歴面積を有
する履歴曲線Cになる。
る配合を用いると等価剛性や等価減衰定数等の特性の環
境温度や加振速度に対する変化が大きくなる、即ち、温
度依存性および速度依存性が大きくなるので、地震応答
解析時に依存性による特性に大きな変動があり好ましく
なく、減衰の増加にも限度がある。また、高減衰ゴム
は、初期の剛性が低く建物が頻繁に受け得る強風や中小
地震に対するトリガー機能を有さない、即ち、比較的小
さな振動で建物が揺れてしまうことになる。一方、柱状
鉛は、初期の剛性は高いが降伏後の剛性が0(ゼロ)に
なる、即ち、水平変形を受けると元に戻らなくなるの
で、ばね要素にはなり得ない。また、柱状鉛は、図5の
履歴曲線が示すように、Y軸切片の水平荷重となる降伏
荷重は、柱状鉛の剪断断面積で決定されるため、所定の
降伏荷重を得るためには柱状鉛の径を大きくしなければ
ならない。
層ゴム本体60の中空部60aに柱状弾塑性体70を装
填して、ばね特性を持ちながら大きな減衰特性をも併せ
持ち、而も機械的な要素が少ないコンパクトな振動減衰
装置を開発している。
向の荷重を支持しながら強風や地震等の振動により発生
する建物の変形に伴い水平方向へ変形する構造なので、
図4(b)に示すように、繰り返し変形により柱状弾塑
性体70はゴム状弾性体63に食い込み、徐々に積層ゴ
ム本体60の中空部60aに残る体積が減少していくこ
とになる。そして、やがては上部鋼板61および下部鋼
板62に接触する柱状弾塑性体70の部位は丸みを帯び
るバウイングが生じてくるので、上部鋼板61および下
部鋼板62による柱状弾塑性体70の剪断変形を阻害
し、終には柱状弾塑性体70の特性が消失してしまい、
振動減衰装置の特性がゴム状弾性体63のみの特性にな
ってしまう虞があった。
ために、鉛入り積層ゴムのゴム層の中間に鋼板の中間リ
ングを、柱状鉛を取り囲むように配して、柱状鉛のゴム
層への食い込みを防ぐ周期的剪断エネルギ吸収装置(特
開昭61−36466号公報)や、鉛入り積層ゴムの中
央に配された柱状鉛の周囲に螺旋状に巻かれた鋼板から
成る拘束部材を配設して、柱状鉛を拘束しゴム層への食
い込みを防ぐエネルギ吸収装置(特開昭59−6274
2号公報)が提案されている。
されている周期的剪断エネルギ吸収装置の体積減少を防
ぐ原理を応用した振動減衰装置が開発されている。この
振動減衰装置は図6(a)、(b)に示すように、上述
した振動減衰装置(図4)と同様に、上部鋼板81と下
部鋼板82との間にゴム状弾性体83が積層成型され、
中央に中空部80aが形成された積層ゴム本体80と、
この積層ゴム本体80の中空部80aに装填される柱状
鉛90とから構成され、さらに、柱状鉛90を取り囲み
ゴム状弾性体83に埋設されている薄板鋼板の中間リン
グ84を備えている。
し変形による柱状鉛90の体積減少を抑える効果があ
り、中間リング84の厚さが厚いほどその効果が向上す
る。
した鉛入り積層ゴム等の免震装置に比べて低い鉛直応力
(面圧)で使用されているが、積層ゴム本体80のゴム
状弾性体83は長期鉛直応力下でゴム状弾性体83が応
力緩和して鉛直方向に沈み込むクリープ現象が生じる。
一般的に減衰量の大きいゴム材料ほどクリープ歪みが大
きくなるので、この振動減衰装置を長期に亘って使用す
ると、ゴム状弾性体83の中間リング84が埋設されて
いる部分と、埋設されていない部分とではクリープ量に
差がでてくる。例えば、ゴム状弾性体83の厚さが10
mm、中間リング84の厚さが2mmとすると、中間リング
84が埋設されている部分のゴム状弾性体83の厚さは
8mmになる。そして、ゴム状弾性体83の長期に亘るク
リープ量が10%とすると、中間リング84が埋設され
ている部分のゴム状弾性体83は0.8mm、中間リング
84が埋設されていない部分のゴム状弾性体83は1.
0mmだけそれぞれ沈み込むことになる。なお、この差
は、中間リング84の厚さが厚くなるほど大きくなるこ
とは言うまでもない。この結果、鉛直方向の支持荷重
は、中間リング84が埋設されている部分のゴム状弾性
体83に集中し、この部分に過大な面圧が加わることに
なるので、振動減衰装置の面圧が加わる面の面積が大き
くなると、ゴム状弾性体83の中間リング84が埋設さ
れている部分で荷重をピン支承したようになり、その部
分を中心にして水平変形時に回転Rが生じ、安定した振
動減衰特性が得られなくなる虞があった。
示されている周期的剪断エネルギ吸収装置および特開昭
59−62742号公報に開示されているエネルギ吸収
装置の体積減少を防ぐ原理を応用した振動減衰装置が開
発されている。この振動減衰装置は図7(a)、(b)
に示すように、上述した振動減衰装置(図4)と同様
に、上部鋼板101と下部鋼板102との間にゴム状弾
性体103が積層成型され、中央に中空部100aが形
成された積層ゴム本体100と、この積層ゴム本体10
0の中空部100aに配設される柱状鉛110とから構
成され、さらに、柱状鉛110が複数の薄板鋼板の拘束
リング121、121、・・・(以下、「拘束リング体
120」という。)によって囲繞された状態で中空部1
00aに装填されている。なお、拘束リング体120
は、鉛直荷重が載荷された状態で水平変形すると各拘束
リング間で摺動が生じるので、この摺動面にはフッ素樹
脂等により代表される低摩擦材料が貼付またはコーティ
ングされている。
直荷重下では拘束リング体120の拘束作用により、繰
り返し変形による柱状鉛110の体積減少を抑える効果
がある。
ゴム本体100の厚さと拘束リング体120の厚さとが
同じなので、積層ゴム本体100のゴム状弾性体103
に生じるクリープ現象により、拘束リング体120への
応力集中が発生する。この応力集中により、各拘束リン
グ121、121、・・・の摺動面に貼付またはコーテ
ィングされている低摩擦材料が磨耗し、水平方向の変形
を阻害することになる。また、図6に示す振動減衰装置
と同様のピン支承の現象が発生する。なお、拘束リング
体120への応力集中を防ぐために、拘束リング121
を数枚抜き取り、クリープ量分の隙間を鉛直方向に設け
ることも考えられるが、この隙間は空け過ぎれば柱状鉛
110が拘束リング間に食い込み、鉛の特性が消失する
ことになり、また、隙間が不足すれば応力集中が発生す
ることになる等、設置施工精度やクリープ量の正確な把
握が困難になるので、現実的ではない。
るためになされたもので、入力された振動源によって水
平方向に柱状弾塑性体を効率よく剪断変形させて所定の
減衰力を得ることができ、而も長期使用しても鉛直荷重
の載荷に対して応力集中が発生しない振動減衰装置を提
供することを目的とする。
る本発明の振動減衰装置は、第1の上部剛性板と第1の
下部剛性板との間にゴム状弾性体が積層成型され、少な
くとも1つ以上の中空部が形成された積層ゴム本体と、
積層ゴム本体の中空部内に配設される柱状弾塑性体とを
備え、柱状弾塑性体は第2の上部剛性板と第2の下部剛
性板との間にゴム状弾性体と剛性材料とが交互に積層成
型された積層ゴム補助体に囲繞された状態で積層ゴム本
体の中空部内に装填されている振動減衰装置であって、
積層ゴム補助体のゴム状弾性体は柱状弾塑性体が繰り返
し塑性変形しても食込み量が少なくなるような厚さに形
成されているものである。
部剛性板と第1の下部剛性板との間にゴム状弾性体と剛
性材料とが交互に積層成型され、少なくとも1つ以上の
中空部が形成された積層ゴム本体と、積層ゴム本体の中
空部内に配設される柱状弾塑性体とを備え、柱状弾塑性
体は第2の上部剛性板と第2の下部剛性板との間にゴム
状弾性体と剛性材料とが交互に積層成型された積層ゴム
補助体に囲繞された状態で積層ゴム本体の中空部内に装
填されている振動減衰装置であって、積層ゴム補助体の
ゴム状弾性体は柱状弾塑性体が繰り返し塑性変形しても
食込みにくい厚さに形成されているものである。
体に囲繞されている積層ゴム補助体のゴム状弾性体が、
柱状弾塑性体が繰り返し塑性変形しても食込みにくい厚
さに形成されているので、積層ゴム本体の中空部に残る
柱状弾塑性体の体積が減少していくことを極力防ぐこと
ができ、バウィング現象を回避することが可能になり、
また、積層ゴム補助体が第2の上部剛性板と第2の下部
剛性板との間にゴム状弾性体と剛性材料とが交互に積層
成型されているので、積層ゴム本体のゴム状弾性体と積
層ゴム補助体のゴム状弾性体の長期鉛直応力に対するク
リープ量を等しくすることが容易になる。これにより、
優れた鉛直荷重の支持機能、水平方向の減衰力および変
形能力を兼ね備えることができる。
柱状弾塑性体が円柱の場合における当該柱状弾塑性体の
直径d1と、積層ゴム補助体のゴム状弾性体の厚さtR2
との比d1/tR2は10〜100であることが好まし
い。これにより、柱状弾塑性体のゴム状弾性体への食い
込みを少なくすることができることから、積層ゴム補助
体の水平変形にも柱状弾塑性体は良好に剪断変形するの
で、安定した振動減衰特性を得ることができる。
助体が剪断弾性率0.04〜1.47MPa、等価減衰定
数1〜30%のゴム状弾性体を使用している場合におい
ては、積層ゴム補助体の剛性材料の周方向における幅
が、積層ゴム本体のゴム状弾性体の総厚さの1〜5倍で
あることが好ましい。これにより、積層ゴム補助体が水
平方向に変形しても当該積層ゴム補助体の各ゴム層の弾
性機能により各剛性材料の投影面積が程よく重なるの
で、安定した鉛直支承が可能となる。
積層ゴム補助体のゴム状弾性体の総厚さΣtR2と、積
層ゴム本体のゴム状弾性体の総厚さΣtR1との比Σt
R2/ΣtR1が0.9〜2であることが好ましい。この
範囲において、積層ゴム補助体のゴム状弾性体の剪断弾
性率と、積層ゴム本体のゴム状弾性体の剪断弾性率とを
調整することで、長期鉛直応力に対する積層ゴム補助体
および積層ゴム本体のクリープ量をほぼ等しくすること
ができる。なお、比ΣtR2/ΣtR1を0.9〜2に限
定したのは、積層ゴム本体と積層ゴム補助体とは同一材
料を用いた方が経済的に好ましく、このとき、積層ゴム
本体の方が積層ゴム補助体よりクリープしやすい形状を
もつためである。
積層ゴム本体のゴム状弾性体の総厚さΣtR1と、当該
積層ゴム本体の当該ゴム状弾性体の第1の上部剛性板お
よび第1の下部剛性板の間隔tR4の箇所に位置する積
層ゴム補助体のゴム状弾性体の総厚さΣtR3との比t
R1/ΣtR3が1〜5であることが好ましい。これによ
り、積層ゴム補助体のゴム層の破壊を防止できるので、
安定した振動減衰特性を得ることができる。
ける好ましい実施の形態例について、図面を参照して説
明する。
(a)、(b)、(c)に示すように、第1の上部剛性
板である上部鋼板11と第1の下部剛性板である下部鋼
板12との間にゴム状弾性体であるゴム層13が積層成
型され中空部10aが形成された積層ゴム本体10と、
積層ゴム本体10の中空部10a内に配設される柱状弾
塑性体20とを備え、この柱状弾塑性体20は、第2の
上部剛性板である上部鋼板31と第2の下部剛性板であ
る下部鋼板32との間にゴム状弾性体であるゴム層33
と剛性材料である中間鋼板34とが交互に積層成型され
た積層ゴム補助体30に囲繞された状態で積層ゴム本体
10の中空部10a内に装填されている。
円形、または四角形等の多角形でもよいが、間仕切り壁
等の壁の下に使用するときには、壁の形状に沿うように
角形が好ましい。また、中空部10aは積層ゴム本体1
0の中央部に、第1の上部鋼板11から第1の下部鋼板
12に向かって刳り貫かれている。この積層ゴム本体1
0のゴム層13には、剪断弾性率Gが0.04〜1.4
7MPa、等価減衰定数heqが1〜30%の弾性機能に優
れた天然ゴムまたはクロロプレンゴム等の合成ゴムや、
それらを主成分とした高減衰ゴム、また、ポリブタジエ
ン、シリコーン等を主成分とした粘弾性体(剪断弾性率
G=0.04〜0.2MPa)が用いられる。また、第1
の上部鋼板11および第1の下部鋼板12は、ゴム層1
3との付着性から、通常は、一般構造用圧延鋼材(SS
材)、冷間圧延鋼板(SPCC)、熱間圧延軟鋼板(S
PHC)、溶接構造用圧延鋼材(SM材)、建築構造用
圧延鋼材(SN材)等の鋼製材料を用いるが、ニッケル
板、銅板、黄銅板またはニッケルメッキ、銅メッキ、黄
銅メッキを施した鋼板を使用することもできる。
容易に塑性変形できる純鉛が好ましいが、純鉛のような
特性を備えていれば鉛合金や、高分子材料等の粘弾性材
料でもよい(以下、「プラグ20」という。)。このプ
ラグ20は、横断面形状が円形、または四角形等の多角
形でもよいが、水平振動エネルギにより剪断変形する方
向に関係なくほぼ一定した剪断荷重を持たせるには円形
が好ましい。
して積層ゴム本体10の中空部10aに装填するものな
ので、プラグ20と同じ形状に形成させることがよく、
これにより、水平振動エネルギにより弾性変形する方向
に関係なくほぼ一定した減衰量を確保することができ
る。この積層ゴム補助体30のゴム層33は、積層ゴム
本体10のゴム層13と同様の弾性機能を備えた天然ゴ
ムまたはクロロプレンゴム等の合成ゴム、それらを主成
分とした高減衰ゴムが用いられ、プラグ20が繰り返し
塑性変形しても食込みにくい厚さに形成されている。ま
た、第2の上部鋼板31、第2の下部鋼板32および中
間鋼板34は、積層ゴム本体10の各鋼板11、12と
同様の鋼製材料等が用いられる。
プラグ20が円柱の場合における当該プラグ20の直径
d1と、積層ゴム補助体30のゴム層33の1層の厚さ
tR2との比d1/tR2を10〜100、好ましくは2
0〜100にするとよい。この比d1/tR2が10以下
になるとプラグ20が積層ゴム補助体30のゴム層33
に過度に食い込み減衰力が低下するからである。また、
この比d1/tR2を20〜100にすることにより、プ
ラグ20のゴム層33への食い込みを少なくすることが
できることから、積層ゴム補助体30の水平変形にもプ
ラグ20は良好に剪断変形するので、安定した振動減衰
特性を得ることができる。なお、比d1/tR2の上限を
100にしたのは、積層ゴム補助体30のゴム厚が最小
でも0.5mm位ならば量産可能という判断からである。
の周方向における幅Lを、積層ゴム本体10のゴム層1
3の総厚さΣtR1の1〜5倍にするとよい。この幅L
をゴム層13の総厚さΣtR1の1〜5倍にすると、積
層ゴム補助体30が水平方向に変形しても当該積層ゴム
補助体30の各ゴム層33の弾性機能により各中間鋼板
34の投影面積が程よく重なるので、安定した鉛直支承
が可能になる。なお、この値はゴム層33の剪断変形率
に応じて定められる。また、経済性を考慮した場合に
は、幅Lはゴム層33の総厚さΣtR1の1.5〜3倍
が好ましい。
総厚さΣtR2と、積層ゴム本体10のゴム層13の総
厚さΣtR1との比ΣtR2/ΣtR1を0.9〜2にす
るとよい。この範囲において、積層ゴム補助体30のゴ
ム層33の剪断弾性率と、積層ゴム本体10のゴム層1
3の剪断弾性率とを調整することで、長期鉛直応力に対
する積層ゴム補助体30および積層ゴム本体10のクリ
ープ量をほぼ等しくすることができる。なお、比ΣtR
2/ΣtR1を0.9〜2に限定したのは、積層ゴム本体
と積層ゴム補助体とは同一材料を用いた方が経済的に好
ましく、このとき、積層ゴム本体の方が積層ゴム補助体
よりクリープしやすい形状をもつためである。また、積
層ゴム補助体30のゴム層33と、積層ゴム本体10の
ゴム層13とを同等ゴム材料にした場合には、比ΣtR
2/ΣtR1を0.9〜1.2にすることにより、長期鉛
直応力に対する積層ゴム補助体30および積層ゴム本体
10のクリープ量をほぼ等しくすることができる。
総厚さΣtR1と、当該積層ゴム本体10の当該ゴム層
13の第1の上部鋼板11および第1の下部鋼板12の
間隔tR4の箇所に位置する積層ゴム補助体30のゴム
層33の総厚さΣtR3との比tR1/ΣtR3を1〜
5、好ましくは1〜3にするとよい。一般的に、積層ゴ
ム体の水平変形量は、ゴム層の剪断変形率γ100%〜
200%で使用されている。ここで、剪断変形率γと
は、積層ゴム体の水平変形量をゴム層の総厚さで除した
値を百分率で表した値をいう。なお、このゴム層は、剪
断変形率γ600%前後で破壊する。
剪断変形率γ100%で使用すると、比ΣtR1/Σt
R3が1〜5の場合には、積層ゴム補助体30のゴム層
33の総厚さΣtR3の剪断変形率γは100〜500
%となることがわかる。また、積層ゴム本体10のゴム
層13を剪断変形率γ200%で使用すると、比ΣtR
1/ΣtR3が1〜3の場合には、積層ゴム補助体30の
ゴム層33の総厚さΣtR3の剪断変形率γは200〜
600%となることがわかる。これにより、一般的に使
用されるゴム層の剪断変形率γ100%〜200%にお
いて、このような剪断変形率γの範囲で使用すれば、積
層ゴム補助体30のゴム層33の破壊を防止できるの
で、安定した振動減衰特性を得ることができる。
(制振)作用について説明する。
51の間仕切り壁54の下に設置されるもので、当該振
動減衰装置1の第1の上部鋼板11および第1の下部鋼
板12それぞれに溶接や捩じ込み等で接合されている複
数のスタッドボルト14が、間仕切り壁54と床55と
に埋設されている。なお、間仕切り壁54と床55とに
ベースプレートが埋設されていたり、この床が鉄骨部材
の場合には、振動減衰装置1の第1の上部鋼板11と第
1の下部鋼板12をボルト等によって締結してもよい。
通常時は間仕切り壁54等の鉛直荷重を支持している。
一方、地震時には、積層ゴム本体10のゴム層13およ
び積層ゴム補助体30のゴム層33が水平方向に変形し
て、履歴曲線による履歴面積が大きくなる弾性特性と、
同時に積層ゴム補助体30の第2の上部鋼板31、第2
の下部鋼板32および各中間鋼板34が水平変形するこ
とによりプラグ20が剪断変形して履歴曲線による履歴
面積が大きくなる弾塑性特性とを併せ持つことができる
ので、間仕切り壁54の水平変形を効果的に吸収するこ
とができる。水平変形後は、各ゴム層13、33の剛性
により復元し、間仕切り壁54等を元の位置に戻すこと
ができる。積層ゴム本体10、積層ゴム補助体30およ
びプラグ20が復元してから一定時間経過後、各ゴム層
13、33は振動減衰装置1の設置時の特性に戻ること
ができ、プラグ20は積層ゴム補助体30の各ゴム層3
3への食い込みを抑えて損傷を免れることができるの
で、以降の地震に対しても、繰り返し同様の効果を得る
ことができる。
体10および積層ゴム補助体30の形状、また、各ゴム
層13、33の特性およびプラグ20の大きさにより設
定することができる。
い実施の形態例においては、第1の上部鋼板11と第1
の下部鋼板12との間に1層のゴム層13が積層成型さ
れた積層ゴム本体10が用いられていたが、これに限ら
ず、図2に示すように、第1の上部鋼板11と第1の下
部鋼板12との間にゴム状弾性体であるゴム層15と剛
性材料である中間鋼板16とが交互に積層され中空部1
0a′が形成された積層ゴム本体10′でも、上述した
振動減衰装置1と同様の効果を得ることができる。
しい実施の形態例においては、中央部に中空部が刳り貫
かれた積層ゴム本体に、プラグを有する積層ゴム補助体
を装填していたが、これに限らず、複数の中空部が形成
された積層ゴム本体に、この積層ゴム補助体を装填して
もよい。
のような条件で、入力された振動源によって水平方向に
鉛体を効率よく剪断変形させて所定の減衰力を得ること
ができ、而も長期使用しても鉛直荷重の載荷に対して応
力集中が発生しない等の効果を得られることを証明す
る。なお、図1に示す振動減衰装置に基づき説明する。 (1)積層ゴム本体10は、長さが1200mm、幅が1
80mm、厚さが16mmの角形の一般構造用圧延鋼材(S
S400)を用いた第1の上部鋼板11および第1の下
部鋼板12の間に、長さが1200mm、幅が180mm、
厚さが10mmの角形で、剪断弾性率Gが0.4MPa、等
価減衰定数heqが15%の天然ゴムをベースにして適当
な減衰付与剤を配合した天然ゴム系高減衰ゴム(以下、
「天然ゴム系高減衰ゴム」という。)を用いたゴム層1
3が積層され、中央部に直径が138mmの中空部10a
が形成されている。 (2)積層ゴム補助体30は、外径が積層ゴム本体10
の中空部10aの直径138mmより僅かに小さい寸法、
内径が80mm、厚さが12mmの一般構造用圧延鋼材(S
S400)を用いた非分割リングとなる第2の上部鋼板
31および第2の下部鋼板32の間に、外径が138m
m、内径が80mm、厚さが2mmの天然ゴム系高減衰ゴム
を用いたゴム層33(5枚)と、外径が138mm、内径
が80mm、厚さが2mmの冷間圧延鋼板(SPCC)を用
いた中間鋼板34(4枚)とが交互に積層されている。 (3)プラグ20は、積層ゴム補助体30の内径が80
mmの中空部30aに抵抗なく挿入できるような直径が7
9.5mmの純度99.99%以上のJIS特種の純鉛が
用いられ、常温且つ無負荷時の体積V1と、積層ゴム補
助体30の常温且つ無負荷時の中空部30aの容積V2
との比V1/V2が、1.01になるように設定されてい
る。このような直径が79.5mmの鉛プラグ20を、積
層ゴム補助体30の内径が80mmの中空部30aに抵抗
なく挿入後、油圧装置等により当該鉛プラグ20を当該
中空部30aの高さまで圧縮すれば、鉛プラグ20を積
層ゴム補助体30の各ゴム層33に若干食い込ますこと
ができることから、水平変形時の鉛プラグ20の降伏応
力を向上させることができるので、安定した振動減衰特
性を得ることができる。なお、この比V1/V2は、加硫
成型時における加硫温度や鉛プラグ20の直径、高さに
よって変わるが、本発明者によれば、0.98〜1.0
4が好ましいことが確認されている。また、鉛プラグ2
0は、積層ゴム補助体30と一体加硫成型されることが
好ましいが、積層ゴム補助体30を加硫成型後に油圧装
置等で容易に後挿入することもできる。
30および鉛プラグ20は、すべて組み込んでから一体
成型することが性能的および経済的にも好ましいが、積
層ゴム本体10および積層ゴム補助体30を個別に加硫
成型してから組立ててもよい。
鉛プラグ20の直径d1が80mm、積層ゴム補助体30
のゴム層33の1層厚さtR2が2mmなので、これらの
比d1/tR2が40になる。これにより、鉛プラグ20
のゴム層33への過度の食い込みがなく、振動減衰装置
1の水平変形時に鉛プラグ20が良好に剪断変形し、鉛
プラグ径に見合った効果的な減衰力を得られることがわ
かる。
の周方向における幅Lが29mm=(外径138mm−内径
80mm)/2、積層ゴム本体10のゴム層13の厚さΣ
tR1が10mmなので、この中間鋼板34の幅Lが積層
ゴム本体10のゴム層13の厚さΣtR1の2.9倍を
確保していることがわかる。これにより、振動減衰装置
1の水平変形量が200%を超えても、この中間鋼板3
4の投影面積が程よく重なるので、安定した鉛直支承が
可能となる。
総厚さΣtR2が10mm(=2mm×5層)、積層ゴム本
体10のゴム層13の厚さΣtR1が10mm、即ち同等
なので、例えば、建物の寿命とされる50〜60年後の
各ゴム層33、13のクリープ量が8%とすると、鉛直
荷重載荷後は積層ゴム補助体30および積層ゴム本体1
0の沈み込みは、鉛直剛性の違いから僅かな差が生じる
ことはあるが60年後に均一に0.8mm程度沈下するこ
とがわかる。
層厚さtR1となる第1の上部鋼板11および第1の下
部鋼板12の間隔tR4が10mm、この第1の上部鋼板
11および第1の下部鋼板12の間隔tR4の箇所に位
置する積層ゴム補助体30のゴム層33の総厚さΣtR
3が6mm(2mm×3層)なので、これらの比ΣtR1/Σ
tR3が1.67になる。そして、地震時における積層
ゴム本体10のゴム層13は、応答解析結果によりゴム
層13の剪断変形率γが100%、即ち、10mm程度水
平変形することが確認されているので、積層ゴム補助体
30のゴム層33の剪断変形率γは167%となること
がわかる。これにより、積層ゴム補助体30のゴム層3
3の破壊を防止できることが確認できた。なお、この積
層ゴム本体10のゴム層13の剪断変形率γが200
%、即ち、20mm程度の水平変形、また、剪断変形率γ
が300%、即ち、30mm程度の水平変形したとして
も、積層ゴム補助体30のゴム層33の剪断変形率γ
は、それぞれ333%、500%であり損傷には至ら
ず、安全余裕度が十分にあることがわかる。
衰装置によれば、積層ゴム本体のゴム状弾性体と積層ゴ
ム補助体のゴム状弾性体の長期鉛直応力に対するクリー
プ量を等しくすることが容易になるので、優れた鉛直荷
重の支持機能、水平方向の減衰力および変形機能を兼ね
備えることができる。
厚さと、積層ゴム本体のゴム状弾性体の総厚さとの比を
適切に規定することにより、長期鉛直応力に対する積層
ゴム補助体および積層ゴム本体のクリープ量をほぼ等し
くすることができるので、長期使用しても鉛直荷重の載
荷に対して応力集中を防ぐことができる。
形態例を示す説明図で、(a)は上面図、(b)は断面
図、(c)は(b)のA部詳細図。
施の形態例を示す断面図。
は建物内に設けられる制震(制振)構造を示す説明図。
フ。
断面図、(b)は(a)のB部詳細図。
断面図、(b)は(a)のC部詳細図。
Claims (6)
- 【請求項1】第1の上部剛性板と第1の下部剛性板との
間にゴム状弾性体が積層成型され、少なくとも1つ以上
の中空部が形成された積層ゴム本体と、前記積層ゴム本
体の前記中空部内に配設される柱状弾塑性体とを備え、
前記柱状弾塑性体は第2の上部剛性板と第2の下部剛性
板との間にゴム状弾性体と剛性材料とが交互に積層成型
された積層ゴム補助体に囲繞された状態で前記積層ゴム
本体の前記中空部内に装填されている振動減衰装置であ
って、 前記積層ゴム補助体の前記ゴム状弾性体は前記柱状弾塑
性体が繰り返し塑性変形しても食込みにくい厚さに形成
されていることを特徴とする振動減衰装置。 - 【請求項2】第1の上部剛性板と第1の下部剛性板との
間にゴム状弾性体と剛性材料とが交互に積層成型され、
少なくとも1つ以上の中空部が形成された積層ゴム本体
と、前記積層ゴム本体の前記中空部内に配設される柱状
弾塑性体とを備え、前記柱状弾塑性体は第2の上部剛性
板と第2の下部剛性板との間にゴム状弾性体と剛性材料
とが交互に積層成型された積層ゴム補助体に囲繞された
状態で前記積層ゴム本体の前記中空部内に装填されてい
る振動減衰装置であって、 前記積層ゴム補助体の前記ゴム状弾性体は前記柱状弾塑
性体が繰り返し塑性変形しても食込みにくい厚さに形成
されていることを特徴とする振動減衰装置。 - 【請求項3】前記柱状弾塑性体が円柱の場合における当
該柱状弾塑性体の直径d1と、前記積層ゴム補助体の前
記ゴム状弾性体1層の厚さtR2との比d1/tR2は1
0〜100であることを特徴とする請求項1または2記
載の振動減衰装置。 - 【請求項4】前記積層ゴム補助体が剪断弾性率0.04
〜1.47MPa、等価減衰定数1〜30%の前記ゴム状
弾性体を使用している場合においては、前記積層ゴム補
助体の前記剛性材料の周方向における幅が、前記積層ゴ
ム本体の前記ゴム状弾性体の総厚さの1〜5倍であるこ
とを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の振
動減衰装置。 - 【請求項5】前記積層ゴム補助体の前記ゴム状弾性体の
総厚さΣtR2と、前記積層ゴム本体の前記ゴム状弾性
体の総厚さΣtR1との比ΣtR2/ΣtR1が0.9〜
2であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項
に記載の振動減衰装置。 - 【請求項6】前記積層ゴム本体の前記ゴム状弾性体の総
厚さΣtR1と、当該積層ゴム本体の当該ゴム状弾性体
の前記第1の上部剛性板および前記第1の下部剛性板の
間隔tR4の箇所に位置する前記積層ゴム補助体の前記
ゴム状弾性体の総厚さΣtR3との比tR1/ΣtR3が
1〜5であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか
1項に記載の振動減衰装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000173222A JP2001349378A (ja) | 2000-06-09 | 2000-06-09 | 振動減衰装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000173222A JP2001349378A (ja) | 2000-06-09 | 2000-06-09 | 振動減衰装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2001349378A true JP2001349378A (ja) | 2001-12-21 |
Family
ID=18675499
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000173222A Pending JP2001349378A (ja) | 2000-06-09 | 2000-06-09 | 振動減衰装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001349378A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100353008C (zh) * | 2005-06-28 | 2007-12-05 | 广州大学 | 隔震支座预埋件及其安装方法 |
CN102797293A (zh) * | 2012-08-14 | 2012-11-28 | 东南大学 | 一种用于隔震或减振的橡胶支座 |
WO2018194109A1 (ja) * | 2017-04-20 | 2018-10-25 | オイレス工業株式会社 | 免震支持装置 |
CN110966330A (zh) * | 2018-09-30 | 2020-04-07 | 上海微电子装备(集团)股份有限公司 | 组合簧片及其设计方法、运动台 |
-
2000
- 2000-06-09 JP JP2000173222A patent/JP2001349378A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN100353008C (zh) * | 2005-06-28 | 2007-12-05 | 广州大学 | 隔震支座预埋件及其安装方法 |
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WO2018194109A1 (ja) * | 2017-04-20 | 2018-10-25 | オイレス工業株式会社 | 免震支持装置 |
JP2018179256A (ja) * | 2017-04-20 | 2018-11-15 | オイレス工業株式会社 | 免震支持装置 |
CN110966330A (zh) * | 2018-09-30 | 2020-04-07 | 上海微电子装备(集团)股份有限公司 | 组合簧片及其设计方法、运动台 |
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