JP2001345056A - カラー受像管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来と同じ材料でシャドウマスク構体を構成
しても、衝撃によるシャドウマスクの変形を少なくし
て、ビームランディングずれによる色ずれをおこしにく
いカラー受像管を構成することを目的とする。 【解決手段】 カラー受像管において、シャドウマスク
構体20を蛍光体スクリーン5 に対向する面に電子ビーム
通過孔が形成された金属薄板からなるシャドウマスク26
の中心の板厚をｔc 、中心からの距離ｒf における板厚
をｔp 、係数をｋとするとき、ｔp ＝ｔc ＋ｋ×ｒf ²
の関係に形成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、シャドウマスク
型カラー受像管に係り、特にシャドウマスクの変形によ
り生ずるビームランディングのずれを軽減したカラー受
像管に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にカラー受像管は、青、緑、赤に発
光する３色蛍光体層からなる蛍光体スクリーンに近接対
向してシャドウマスク構体が配置され、このシャドウマ
スク構体により電子銃から放出された３電子ビームを選
別して３色蛍光体層を発光させることによりカラー画像
を表示する構造に形成されている。

【０００３】図５にこのようなカラー受像管の要部構成
を示す。通常カラー受像管は、有効部１の内外面が実質
的に曲面からなる矩形状のパネル２、このパネル２に連
設された漏斗状のファンネル３およびこのファンネル３
の径小端に連設された円筒状のネック４からなる真空外
囲器を有し、蛍光体スクリーン５は、そのパネル２の有
効部１の内面に設けられている。シャドウマスク構体６
は、その蛍光体スクリーン５に近接対向し、この蛍光体
スクリーン５と対向する有効面７が上記パネル２の有効
部内面に対応する曲面からなり、この有効面７に多数の
電子ビーム通過孔が形成された実質的に矩形状のシャド
ウマスク８と、このシャドウマスク８の周辺部に取付け
られた実質的に矩形状のマスクフレーム９とから構成さ
れ、このマスクフレーム９に取付けられた弾性支持体１
０をパネル２に設けられたスタッドピン１１に係止する
ことによりパネル２の内側に支持されている。

【０００４】そして、ネック４内に配置された電子銃１
３から放出される３電子ビーム１４B ，１４G ，１４R
をファンネル３の外側に装着された偏向ヨーク１５によ
り偏向し、シャドウマスク８の電子ビーム通過孔を介し
て蛍光体スクリーン５を水平、垂直走査することにより
カラー画像を表示する。

【０００５】ところで、近年カラー受像管は、大型、高
精細化にともない、解像度を向上させるため、蛍光体ス
クリーンを構成する３色蛍光体層の間隔や、シャドウマ
スクの電子ビーム通過孔の間隔を小さくすることが必要
となっている。そのため、このようなカラー受像管で
は、３色蛍光体層に対する電子ビームのランディング余
裕度が小さくなり、従来の大型カラー受像管よりも、よ
り正確なビームランディングが必要となる。つまり、大
型、高精細カラー受像管において、色ずれのない画像を
表示するためには、シャドウマスクの電子ビーム通過孔
を通過した電子ビームを３色蛍光体層に正しくランディ
ングさせる必要があり、そのためには、パネルとシャド
ウマスクとの位置関係、とりわけ、パネルの有効部内面
とシャドウマスクの有効面との間隔（ｑ値）を所定の許
容範囲に保つように構成することが必要である。

【０００６】一般にシャドウマスク構体は、シャドウマ
スクのほぼ全周に接してマスクフレームが取付けられ、
それによりパネルに対するシャドウマスクの位置精度を
保っている。しかし、シャドウマスクは、板厚が０．１
〜０．２mm程度の板厚一定の金属薄板で形成され、その
板面に多数の電子ビーム通過孔が形成されているため、
曲面保持強度が小さい。そのため、自重により中心部が
撓み、パネルに対するシャドウマスクの位置が変化しや
すい。特にカラー受像管の製造工程では、シャドウマス
ク構体に衝撃が加わり、この衝撃によりシャドウマスク
の中心部に撓みが生ずると、３色蛍光体層の配列が変化
する。そのため、３色蛍光体層に対するビームランディ
ングがずれ、色ずれが生ずる。特に高精細カラー受像管
では、前述のように電子ビームのランディング余裕度が
小さくなるため、上記衝撃によるシャドウマスクの位置
ずれの影響が大きく、これを少しでも小さくする必要が
ある。

【０００７】上記シャドウマスクに加わる衝撃の緩和策
として、従来はシャドウマスク構体を支持する弾性支持
体の形状や材料を変えていた。しかし、弾性支持体の形
状や材料を変えても、シャドウマスクに加わる衝撃を十
分に緩和することができない。しかも、大型、高精細カ
ラー受像管では、シャドウマスク構体の重量が増大する
ため、衝撃の緩和が大幅に減退する。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、大型、
高精細カラー受像管では、解像度を向上させるため、通
常のカラー受像管にくらべて蛍光体スクリーンを構成す
る３色蛍光体層およびシャドウマスクの電子ビーム通過
孔の間隔を小さく、衝撃により３色蛍光体層に対するビ
ームランディングがずれ、色ずれが生じやすい。従来
は、この衝撃によるビームランディングのずれを防止す
るため、シャドウマスク構体を支持する弾性支持体の形
状や材料を変えていた。しかし、弾性支持体の形状や材
料を変えても、シャドウマスクに加わる衝撃を十分に緩
和することができず、特に大型、高精細カラー受像管で
は、シャドウマスク構体の重量が増大するため、衝撃の
緩和が大幅に減退する。

【０００９】したがって、衝撃による３色蛍光体層に対
するビームランディングのずれをより効果的に緩和する
ためには、シャドウマスク構体自体の耐衝撃性を高める
設計変更が必要である。

【００１０】この発明は、上記問題点に鑑みてなされた
ものであり、従来と同じ材料でシャドウマスク構体を構
成しても、衝撃によるシャドウマスクの変形を少なくし
て、ビームランディングのずれによる色ずれをおこしに
くいカラー受像管を構成することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】（１） パネルの内面に
設けられた複数色の蛍光体層からなる蛍光体スクリーン
に近接対向してシャドウマスク構体が配置され、このシ
ャドウマスク構体が蛍光体スクリーンに対向する面に３
色蛍光体層を励起発光させる電子銃からの複数ビームが
通過する電子ビーム通過孔が形成された金属薄板からな
るシャドウマスクと、このシャドウマスクの周辺部に取
付けられたマスクフレームとからなるカラー受像管にお
いて、シャドウマスク構体をシャドウマスクの中心の板
厚をｔc、中心からの距離ｒf における板厚をｔp 、係
数をｋとするとき、 ｔp ＝ｔc ＋ｋ×ｒf ² の関係に形成した。

【００１２】（２） パネルの内面に設けられた複数色
の蛍光体層からなる蛍光体スクリーンに近接対向してシ
ャドウマスク構体が配置され、このシャドウマスク構体
が蛍光体スクリーンに対向する面に３色蛍光体層を励起
発光させる電子銃からの複数ビームが通過する電子ビー
ム通過孔が形成された金属薄板からなるシャドウマスク
と、このシャドウマスクの周辺部に取付けられたマスク
フレームとからなるカラー受像管において、シャドウマ
スク構体をシャドウマスクの中心の板厚をｔc、中心か
らの距離ｒf における板厚をｔp 、係数をｋとすると
き、 ｔp ＝ｔc ＋ｋ×ｒf の関係に形成した。

【００１３】（３） パネルの内面に設けられた複数色
の蛍光体層からなる蛍光体スクリーンに近接対向してシ
ャドウマスク構体が配置され、このシャドウマスク構体
が蛍光体スクリーンに対向する面に３色蛍光体層を励起
発光させる電子銃からの複数ビームが通過する電子ビー
ム通過孔が形成された金属薄板からなるシャドウマスク
と、このシャドウマスクの周辺部に取付けられたマスク
フレームとからなるカラー受像管において、シャドウマ
スク構体をシャドウマスクの中心の板厚をｔc、中心か
らの距離ｒf における板厚をｔp とするとき、 ｔp ＞ｔc の関係に形成した。

【００１４】（４） パネルの内面に設けられた複数色
の蛍光体層からなる蛍光体スクリーンに近接対向してシ
ャドウマスク構体が配置され、このシャドウマスク構体
が蛍光体スクリーンに対向する面に３色蛍光体層を励起
発光させる電子銃からの複数ビームが通過する電子ビー
ム通過孔が形成された金属薄板からなるシャドウマスク
と、このシャドウマスクの周辺部に取付けられたマスク
フレームとからなるカラー受像管において、シャドウマ
スク構体をシャドウマスクの中心の板厚をｔc、中心か
らの距離ｒf における任意２点の平均板厚をｔmpとする
とき、 ｔmp＞ｔc の関係に形成した。

【００１５】

【発明の実施の形態】図１にこの発明の実施の一形態で
あるカラー受像管を示す。このカラー受像管は、有効部
１の内外面が実質的に曲面からなる実質的に矩形状のパ
ネル２、このパネル２に連設された漏斗状のファンネル
３およびこのファンネル３の径小端に連設された円筒状
のネック４からなる真空外囲器を有する。そのパネル２
の有効部１の内面には、青、緑、赤に発光する３色蛍光
体層からなる蛍光体スクリーン５が設けられている。ま
た、この蛍光体スクリーン５に近接対向して実質的に矩
形状のシャドウマスク構体２０が配置され、後述するシ
ャドウマスク構体２０を構成するマスクフレームのコー
ナー部に取付けられた弾性支持体２１をパネル２のコー
ナー部に設けられたスタッドピン２２に係止することに
よりパネル２の内側に支持されている。一方、ネック４
内に３電子ビーム１４B ，１４G ，１４Rを放出する電
子銃１３が配置されている。そして、この電子銃１３か
ら放出された３電子ビーム１４B ，１４G ，１４R をフ
ァンネル３の外側に装着された偏向ヨーク１５により偏
向し、シャドウマスク構体２０を介して蛍光体スクリー
ン５を水平、垂直走査することによりカラー画像を表示
する構造に形成されている。

【００１６】上記シャドウマスク構体２０は上記蛍光体
スクリーン５と対向する有効面２４がパネル２の有効部
１内面に対応する曲面からなり、この有効面２４に、図
２に示すように、電子銃からの３電子ビームが通過する
多数の電子ビーム通過孔２５が形成された金属薄板から
なる実質的に矩形状のシャドウマスク２６と、このシャ
ドウマスク２６の周辺部に接して取付けられた実質的に
矩形状のマスクフレーム２７とから構成されている。

【００１７】特にこの実施の形態では、上記シャドウマ
スク２６が、図３に示すように、中心の板厚をｔc 、中
心からの距離ｒf における板厚をｔp とし、係数をｋと
するとき、

【数１】ｔp ＝ｔc ＋ｋ×ｒf ² の関係に形成されている。

【００１８】このようなシャドウマスク２６は、フォト
エッチング法により形成することができる。たとえば図
４（ａ）に示すように、最初にシャドウマスク素材（金
属薄板）２９の一方の面に耐エッチングシート３０を貼
着しておき、他方の面にエッチング液をスプレーし、そ
のスプレー圧、エッチング液量、シャドウマスク素材に
対するスプレーの分布などを調整してエッチングし、シ
ャドウマスク素材２９の板厚を数１の関係にする。

【００１９】つぎに、同（ｂ）に示すように、上記シャ
ドウマスク素材２９の両面にフォトレジスト３１を形成
し、同（ｃ）に示すように、その両面のフォトレジスト
３１にシャドウマスクの電子ビーム通過孔の両面の開孔
に対応する大小大きさの異なるパターンが形成された光
学マスク３２a ，３２b を密着して露光し、両面のフォ
トレジスト３１に各光学マスク３２a ，３２b のパター
ンを焼付ける。つぎに、このパターンの焼付けられたフ
ォトレジスト３１を現像して未感光部を除去し、同
（ｄ）に示すように、上記光学マスクのパターンの反転
パターンからなるレジスト３３a ，３３b を形成する。
そして、これらレジスト３３a ，３３b が形成された面
にエッチング液をスプレーして、同（ｅ）に示すよう
に、電子ビーム通過孔２５を形成する。

【００２０】つぎに、上記電子ビーム通過孔の形成され
たシャドウマスク素材２９の両面に残存するレジスト３
３a ，３３b を剥離除去したのち、プレス成形すること
により製造される。

【００２１】上記のようにシャドウマスク２６の板厚を
数１の関係にすると、従来のシャドウマスクと同じ材料
で形成しても、曲面保持強度を高め、従来シャドウマス
クの自重により中心部が撓むために生じたパネルに対す
るシャドウマスクの位置変化を防止することができ、３
色蛍光体層に対するビームランディングのずれをなく
し、色ずれをおこさないカラー受像管を構成することが
でき、特に超大型管やシャドウマスクの曲率が小さいカ
ラー受像管に適用して大きな効果が得られる。

【００２２】つぎに、他の実施の形態について説明す
る。

【００２３】上記実施の形態では、シャドウマスクの中
心から周辺部に近づくにしたがって、板厚が数１の関係
で変化するシャドウマスクについて説明したが、

【数２】ｔp ＝ｔc ＋ｋ×ｒf の関係に形成しても、上記実施の形態と同様の効果をも
つシャドウマスクとすることができる。

【００２４】また、数１、数２の関係に限定されず、一
般に

【数３】ｔp ＞ｔc の関係に形成しても、上記実施の形態と同様の効果をも
つシャドウマスクとすることができる。

【００２５】さらに、シャドウマスクの中心からの距離
ｒf における任意２点の板厚が異なり、その２点の平均
板厚をｔmpとするとき、

【数４】ｔmp＞ｔc の関係に形成しても、上記実施の形態と同様の効果をも
つシャドウマスクとすることができる。

【００２６】

【発明の効果】上述のようにシャドウマスクを構成する
と、従来のシャドウマスクと同じ材料で形成しても、曲
面保持強度を高め、従来、シャドウマスクの自重により
中心部が撓むために生じたパネルに対するシャドウマス
クの位置変化を防止することができ、３色蛍光体層に対
するビームランディングのずれをなくし、色ずれをおこ
さないカラー受像管を構成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の一形態であるカラー受像管の
構成を示す図である。

【図２】上記カラー受像管のシャドウマスク構体の構成
を示す図である。

【図３】上記シャドウマスク構体のシャドウマスクの板
厚を説明するための図である。

【図４】図４（ａ）乃至（ｆ）はそれぞれ上記シャドウ
マスクの製造方法を説明するための図である。

【図５】従来のカラー受像管の構成を示す図である。

【符号の説明】

１…パネル ５…蛍光体スクリーン １３…電子銃 １４B ，１４G １４R …３電子ビーム ２０…シャドウマスク構体 ２５…電子ビーム通過孔 ２６…シャドウマスク ２７…マスクフレーム

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 パネルの内面に設けられた複数色の蛍光
   体層からなる蛍光体スクリーンに近接対向してシャドウ
   マスク構体が配置され、このシャドウマスク構体が上記
   蛍光体スクリーンに対向する面に上記３色蛍光体層を励
   起発光させる電子銃からの複数ビームが通過する電子ビ
   ーム通過孔が形成された金属薄板からなるシャドウマス
   クと、このシャドウマスクの周辺部に取付けられたマス
   クフレームとからなるカラー受像管において、 上記シャドウマスク構体は上記シャドウマスクの中心の
   板厚をｔc 、中心からの距離ｒf における板厚をｔp 、
   係数をｋとするとき、 ｔp ＝ｔc ＋ｋ×ｒf ² の関係に形成されていることを特徴とするカラー受像
   管。
2. 【請求項２】 パネルの内面に設けられた複数色の蛍光
   体層からなる蛍光体スクリーンに近接対向してシャドウ
   マスク構体が配置され、このシャドウマスク構体が上記
   蛍光体スクリーンに対向する面に上記３色蛍光体層を励
   起発光させる電子銃からの複数ビームが通過する電子ビ
   ーム通過孔が形成された金属薄板からなるシャドウマス
   クと、このシャドウマスクの周辺部に取付けられたマス
   クフレームとからなるカラー受像管において、 上記シャドウマスク構体は上記シャドウマスクの中心の
   板厚をｔc 、中心からの距離ｒf における板厚をｔp 、
   係数をｋとするとき、 ｔp ＝ｔc ＋ｋ×ｒf の関係に形成されていることを特徴とするカラー受像
   管。
3. 【請求項３】 パネルの内面に設けられた複数色の蛍光
   体層からなる蛍光体スクリーンに近接対向してシャドウ
   マスク構体が配置され、このシャドウマスク構体が上記
   蛍光体スクリーンに対向する面に上記３色蛍光体層を励
   起発光させる電子銃からの複数ビームが通過する電子ビ
   ーム通過孔が形成された金属薄板からなるシャドウマス
   クと、このシャドウマスクの周辺部に取付けられたマス
   クフレームとからなるカラー受像管において、 上記シャドウマスク構体は上記シャドウマスクの中心の
   板厚をｔc 、中心からの距離ｒf における板厚をｔp と
   するとき、 ｔp ＞ｔc の関係に形成されていることを特徴とするカラー受像
   管。
4. 【請求項４】 パネルの内面に設けられた複数色の蛍光
   体層からなる蛍光体スクリーンに近接対向してシャドウ
   マスク構体が配置され、このシャドウマスク構体が上記
   蛍光体スクリーンに対向する面に上記３色蛍光体層を励
   起発光させる電子銃からの複数ビームが通過する電子ビ
   ーム通過孔が形成された金属薄板からなるシャドウマス
   クと、このシャドウマスクの周辺部に取付けられたマス
   クフレームとからなるカラー受像管において、 上記シャドウマスク構体は上記シャドウマスクの中心の
   板厚をｔc 、中心からの距離ｒf における任意２点の平
   均板厚をｔmpとするとき、 ｔmp＞ｔc の関係に形成されていることを特徴とするカラー受像
   管。