JP2001340446A - 人工消化管 - Google Patents

人工消化管

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JP2001340446A
JP2001340446A JP2000250578A JP2000250578A JP2001340446A JP 2001340446 A JP2001340446 A JP 2001340446A JP 2000250578 A JP2000250578 A JP 2000250578A JP 2000250578 A JP2000250578 A JP 2000250578A JP 2001340446 A JP2001340446 A JP 2001340446A
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layer
collagen
gastrointestinal tract
regeneration
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Yoshihiko Shimizu
慶彦 清水
Tatsuo Nakamura
達雄 中村
Yoshio Hori
義生 堀
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TAPIKKU KK
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TAPIKKU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、患者に多大な負担を強いず、且
つ、供給上の問題がなく、しかも臨床的に安全に使用し
得る人工消化管を提供する。 【解決手段】 本発明は、人工消化管であって、微細線
維化コラーゲンからなる層20の外面に生体内分解吸収
性材料からなる層30を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工消化管、特に
食道、胃、小腸、大腸、胆管の欠損部位を補填すること
によって、消化管の機能を再建し得る代用臓器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】各種疾患、外傷、あるいは手術の術式に
よって、消化管が損傷したり、あるいは切除した場合
に、当該部位を再建する必要があるが、可能であれば、
直接再縫合が行われる。
【0003】しかしながら、その再建範囲には自ずと限
界があり、欠損部位が広範囲に渡る場合には、他の消化
管、例えば胃管、小腸、大腸等を用いて再建が行われる
が、これらの再建臓器の採取のために本来の術野の外に
外科的処置(皮膚切開、開胸術、開腹術等)が必要にな
るなど、侵襲の大きな手術となりやすい。
【0004】また、短腸症候群などのように多量の消化
管を各種疾患にて失った場合には、再建に利用し得る消
化管がもう残っていないため、このような他の消化管を
再建に利用することが不可能であり、栄養吸収障害のた
めに命を失ったり、在宅の中心静脈栄養下での生活を余
儀なくされる等の問題がある。
【0005】更に、小腸を用いた胆管空腸吻合術等の胆
道変更を伴う胆道再建術では、胆道系がファーター乳頭
部を介さずに胆管と小腸とが直接連結されるため、乳頭
括約筋の機能が失われる結果、小腸内容物の胆道内への
逆流や、そのことから派生する細菌感染による上行性胆
管炎などの合併症を併発することがある。
【0006】尚、これまでに合成高分子からなるチュー
ブを用いた多くの人工消化管が試みられてきたが、これ
らは生体にとっては異物であるため、いずれも一定期間
後に生体から拒絶され、成果を上げるに至っていない。
【0007】また、小腸に関し臓器移植も試みられてい
るが、消化管はその内腔を食べ物が通過し直接外界と接
する部分であるので、腎臓や肝臓等の移植とは異なり、
免疫抑制の調節が困難であり未だ一般的ではない。その
上、移植医療には、拒絶反応を避けるために免疫抑制剤
の投与を一生涯続けなければならないという問題や、臓
器を提供するドナーの存在が不可欠であるという問題が
常につきまとっている。特に、ドナー不足は深刻な問題
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況を改善すべくなされたものであって、患者に多大な
負担を強いず、且つ、供給上の問題がなく、しかも臨床
的に安全に使用し得る人工消化管を提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、人工消化管で
あって、微細線維化コラーゲンからなる層20の外面に
生体内分解吸収性材料からなる層30を有することを特
徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】ここで、微細線維化コラーゲンか
らなる層(以下、基層という)とは、図2に示すよう
に、コラーゲン分子数個からなる直径約5nmの超微細繊
維15が基本単位となって直径約50nmの微細線維14
を形成し、これが次に直径約2μmの細線維13a、1
3bを形成、更に該細線維が経糸と緯糸のように交互に
重なり合って直径約6μmの線維12を形成し、次にこ
れが同軸方向に重なり合って直径約20〜50μmの板
状線維11を形成、そして該板状線維が不織布状に分散
せしめられてできたもの(符号20参照)である。この
層の全体的構成を図3に示す。尚、この層は、自己の組
織再生のための足場(以下、コラーゲンマトリックス又
は単に、マトリックスという)となるものである。
【0011】コラーゲンの原料としては、従来から用い
られている各種のコラーゲン、例えば中性可溶化コラー
ゲン、酸可溶化コラーゲン、アルカリ可溶化コラーゲ
ン、酵素可溶化コラーゲンを使用することができるが、
酵素、例えばペプシン、トリプシン、キモトリプシン、
パパイン、プロナーゼなどによって処理した酵素可溶化
コラーゲンが好ましい。コラーゲン分子中の抗原基であ
るテロペプチドが確実に除去されて抗原性がほとんどな
くなるからである。
【0012】これらコラーゲンの由来は特に限定され
ず、ウシ、ブタ、ウサギ、ヒツジ、カンガルー、鳥、魚
などの動物の皮、骨、軟骨、腱、臓器などから抽出・精
製して得られるI型コラーゲン、又はI型コラーゲンとII
I型コラーゲンの混合物を用いることができる。
【0013】尚、この基層の厚さは、好ましくは10〜
20mm、特に好ましくは20mmである。厚さが20mmを
超えると、局所へ縫着することが困難であり、10mm未
満であると、この層の分解吸収が早過ぎて、自己組織が
再生し終わるまでその形状が維持されないからである。
【0014】一方、生体内分解吸収性材料からなる層3
0(以下、外層という)の構成材料としては、ポリグリ
コール酸、ポリ乳酸、グリコール酸と乳酸との共重合
体、乳酸とε−カプロラクトンとの共重合体、ポリジオ
キサノン、及びグリコール酸とトリメチレンカーボネー
トとの共重合体が挙げられる。尚、外層は、自己組織が
再生するまで摩擦などの物理的外力によるコラーゲンマ
トリックスの散逸を防止すると共に、コラーゲンマトリ
ックス中への線維芽細胞やマクロファージ等の炎症細胞
の過剰な侵入を防ぐバリヤの役目も果たし、本来の組織
の再生、分化が起るための最適な環境をコラーゲンマト
リックスに与えるものである。更に、この層の存在は、
手術時の縫合性の向上にも資するし、コラーゲンマトリ
ックスが裂けたり、たわみ等によるしわの発生をも抑止
し得る。
【0015】具体的な使用形態は、不織布状のシート又
はチューブである。
【0016】尚、この不織布状のシートは、通常、該材
料の線維化(溶融紡糸)→延伸→編成(筒編み)→不織
布化(該編成したものを折りたたんでニードルパンチン
グ)→圧密(熱プレス)の各操作を経て作製される(該
チューブは、このようにして作製された該シートを筒状
に成形することによって得ればよい)。
【0017】本発明の人工消化管は、基層20の内面
に、消化液耐性を有する材料からなる層40(以下、内
層という)を更に有するものであってもよい。ここで、
消化液耐性を有する材料としては、シリコーンチューブ
(医療分野では、シリコーンステントとしてよく使われ
ている)やシリコーンシートが挙げられる。尚、この層
は、自己組織が再生するまでの間、コラーゲンマトリッ
クスの内腔(又は内面)を食物や消化液との接触から隔
離する隔壁の役目を果たすと共に、該内腔を所定形状に
保持する働きをする(したがって、この材料には消化液
耐性とともに適度な剛性も要求される。尚、自己組織の
再生後に抜去する)。したがって、この層は、商品とし
て流通する段階から基層20及び外層30と一緒に組み
合わせた形態であってもよいし、患者に適用する前に前
2者と組み合わせてもよい。
【0018】次に人工消化管の作り方であるが、一般的
には以下のようにして行なえばよい。
【0019】(1)コラーゲンの約1N塩酸溶液(pH=
約3、コラーゲン濃度:好ましくは約0.5〜3重量
%、特に好ましくは約1重量%)を準備する。
【0020】(2)別途準備した容器(最終製品形態が
チューブ状である場合には、基層20の外径に相当する
内径を有するチューブ−型材としてのチューブである−
内に基層20の内径に相当する外径を有する棒状体を配
したものを、一方、最終製品形態がシート状である場合
には、基層20を水平に収容し得るバットを、準備すれ
ばよい)に所定量の該コラーゲン塩酸溶液を注ぎ込む
(該容器が前者の場合には、該棒状体と該型材としての
チューブとの間の空所に注ぎ込む)。ここで、該容器が
前者の場合には、該棒状体に代えて内層40を構成する
材料(以下、内層材という)からなるチューブ、例えば
市販のシリコーンチューブ自身を用いてもよい。また、
外層30を構成する生体内分解吸収性材料(以下、外層
材という)をこの段階で適用してもよい(最終製品形態
がチューブ状である場合には、チューブ状の外層材、例
えばPGA不織布からなるチューブを型材としてのチュ
ーブの内壁面に添設するか、又は該外層材自身を型材と
してのチューブとして用いればよく、一方、最終製品形
態がシート状である場合には、シート状の外層材、例え
ばPGA不織布からなるシートをバットの底面に予め敷
いておけばよい。ここで、該外層材の適用に先立ち、そ
の表面、すなわち基層20と接する側の表面に、プラズ
マ放電、オゾン照射などの処理を行っておくことが好ま
しい。該材料に親水性が付与され基層との一体化がはか
れるからである)。尚、外層材は、人工消化管の適用時
に基層の外側に存在しておればよいので、後の工程にお
いて、別途準備された基層の外側に添設・固定(手術糸
を使用)してもよい。この場合には、該外層材表面の前
処理は敢えて行なわなくてもよい。
【0021】(3)該導入されたコラーゲン塩酸溶液を
凍結(約−10〜−196℃、好ましくは約−20℃)
し、その状態を所定時間(後約6〜48時間、好ましく
は24時間)ホールドした後、真空下、凍結乾燥(約−
40〜−80℃、好ましくは約−80℃で、約24〜4
8時間、好ましくは約48時間)する。この工程の「凍
結操作(凍結状態のホールドを含む)」にて、塩酸溶液
中に分散しているコラーゲン分子の間に微細な氷が形成
され、コラーゲン塩酸溶液が相分離を起こし、コラーゲ
ン分子が再配列することによってコラーゲンが微細線維
化する。次いで、「凍結乾燥操作」にて、コラーゲン分
子間に存在する氷が気化すると共に、該微細線維化した
コラーゲンが多元的に配設せしめられ基層20が形成さ
れる。
【0022】(4)基層20(又は基層20+外層30
或いは基層20+内・外層30,40)に、真空下、熱
脱水架橋(約105〜150℃、好ましくは約140℃
で、約6〜48時間、好ましくは24時間)を施す。人
工消化管の基層が自己組織と置換を完了するまで該基層
を体内に残存させておくためである。
【0023】(5)工程(2)において基層20に外層
材が適用されていない場合には、この工程にて適用する
(最終製品形態がチューブ状である場合には、チューブ
状の外層材、例えばPGA不織布からなるチューブを基
層20の外面にかぶせればよく(好ましくは、添設・固
定する)、一方、最終製品形態がシート状である場合に
は、患者への適用前に、シート状の外層材、例えばPG
A不織布からなるシートを内層材−工程(2)において
内層材が適用されていない場合−とともに基層20の内
・外面に夫々添設・固定(手術糸を使用)すればよ
い)。
【0024】尚、人工消化管を患者に適用する際に、基
層20に自己血液を浸潤させることが好ましい。血液中
に含まれる自己の各種栄養因子によって、自己組織の再
生が更に促進されるからである。自己血液の浸潤に加
え、該基層に、自己骨髄より採取・培養した間葉系幹細
胞などの幹細胞、前駆細胞や自己細胞を、更には塩基性
線維芽細胞増殖因子(bFGF)などの刺激因子を単独
又は前者とともに、人工消化管を患者に適用する際又は
適用以前に適用することが好ましい。ここで、前者は、
該基層を構成するコラーゲンマトリックスが再生を促す
目的の場所に適応しやすくするとともに、該コラーゲン
マトリックスと協調して組織の再生を促すものであり、
一方、後者は組織の再生に重要な働きを果たすものであ
るが、該コラーゲンマトリックスが後者の散逸を防ぎ局
所に止めることでその機能を充分に発揮させる。また、
再生組織の血流を確保するために、人工消化管の外周を
大網で被覆することが好ましい。
【0025】試験例−1(人工小腸その1) シリコーンステント40(内径:10mm、厚み:1.0
mm)をその内腔に配したチューブ(型材としてのチュー
ブ。テフロン(登録商標)製。内径:約52mm)の内面
にPGA不織布からなるチューブ30(グンゼ社製の面
密度:30〜35g/m2、繊度:約2.5デニール、厚
み:0.15mmのPGA不織布からなるシートを内径が
約52mmとなるように筒状に成形したもの−チューブの
長手方向に相当する端面同士を手術糸で縫合−であっ
て、その表面をプラズマ照射にて親水化したもの)を添
設し、その内面にPGA不織布からなるチューブが添設
された型材としてのチューブと該シリコーンステントと
の間の空所に酵素可溶化したコラーゲンの塩酸溶液(pH
=3.0、コラーゲン濃度=1.0重量%)を導入し、
次いで、該導入されたコラーゲン塩酸溶液を凍結(約−
20℃×24Hr)した後、真空下、凍結乾燥(約−80
℃×24Hr)し、そして真空下、熱脱水架橋処理(約1
40℃×12Hr)に付し、人工消化管を得た。
【0026】8〜15kgのビーグル犬(9頭)の小腸を
切断、該切断された小腸の肛門側の端部を人工肛門を形
成した空腸皮膚瘻に接合した上で該肛門側の小腸50mm
を前記の人工消化管(その適用前に、基層20に自己血
液を浸潤させた)にて置換した(人工消化管の内層40
と基層20との間に該切除された肛門側の小腸の各端部
を夫々差し込み−人工消化管と自己小腸とのオーバーラ
ップは約5mm−し、3−0プローリン縫合糸にて人工消
化管と自己小腸とを該オーバーラップ部において結節縫
合した。尚、先に切断された小腸の一方の端部、すなわ
ち胃側の端部は、人工消化管と自己小腸との肛門側縫合
部より肛門側において自己小腸にそれらの内腔が連通す
るように接合した)。
【0027】術後1ヶ月で、シリコーンステントを内視
鏡的に抜去した。消化管内視鏡での観察にて、内腔を保
った自己小腸の再生を認めた。組織学的観察にて、再生
した小腸壁は主に結合組織からなる粘膜下組織をもって
いることを確認した。術後3ヶ月では、再生した粘膜下
組織の層の上に粘膜層の再生を認めた(組織学的観
察)。
【0028】試験例2(人工胃その1) 8〜15kgのビーグル犬(3頭)の胃体部の前壁を40
mm×40mm切除し、当該部分を、シリコーンステントに
代えシリコーンシート40(厚み:1.0mm、大きさ:
50mm×50mm)にしたこと、PGA不織布からなるチ
ューブに代えPGA不織布からなるシート30(大きさ
が50mm×50mmのシートであることを除き試験例1と
同様)にしたこと及び該シリコーンシートを人工消化管
の当該部分への適用時に基層20の内面に添設したこと
を除き試験例1と同様にして得た人工消化管(正確には
シート状)にて補填した(当該部分近傍の胃壁を該人工
消化管の基層20の外縁部と内層40の外縁部とで挟み
込んだ上で該胃壁と該人工消化管とのオーバーラップ部
を3−0プローリン縫合糸にて結節縫合した)。
【0029】術後1ヶ月で、シリコーンシートを内視鏡
的に抜去した。消化管内視鏡での観察にて、自己胃壁の
再生を認めた。組織学的観察にて、再生した胃壁は主に
結合組織からなる粘膜下組織をもっていることを確認し
た。術後3ヶ月では、再生した粘膜下組織の層の上に粘
膜層の再生を認めた(組織学的観察)。
【0030】試験例3(人工胆管) 8〜15kgのビーグル犬(3頭)の総胆管を10mm切除
し、当該部分を、シリコーンステント40の内径を2.
5mmのものにしたこと、PGA不織布からなるチューブ
30の径をシリコーンステントの縮径に対応した径(基
層の厚み:20mmは変わらず)にしたこと及び該シリコ
ーンステントを経皮経肝ドレナージチューブとしたこと
(該シリコーンステントは、人工消化管の作製時ではな
く、人工消化管の適用時に基層の内腔に内挿した。長さ
は、当然に、基層20及び外層40のそれら−小腸側端
部は基層及び外層の端部と面一−より長い)を除き試験
例1と同様にして得た人工消化管にて補填した(自己総
胆管との接合は、人工消化管の基層20の端部と内層4
0の端部とで挟み込まれた自己総胆管の端部と該人工消
化管とのオーバーラップ部を3−0プローリン縫合糸に
て結節縫合した。尚、該接合部より肝臓側の総胆管の内
腔には該人工消化管の内層40が存在している)。
【0031】 術後1ヶ月で、シリコーンステントを経
皮的に抜去した。尚、シリコーンステント抜去後もビー
グル犬は生存中であり、黄疸が認められず、また肝機能
の悪化もないことから総胆管の再生は順調に行われてい
ると判断される(術後2ヶ月)。術後3ヶ月では、再生
した粘膜下組織の層の上に胆管上皮の再生を認めた(組
織学的観察)。
【0032】試験例4(人工食道) 8〜15kgのビーグル犬(3頭)の頚部食道を50mm切
除し、当該部分を、シリコーンステント40の内径を2
0mmのものにしたこと及びPGA不織布からなるチュー
ブ30の径をシリコーンステントの拡径に対応した径
(基層の厚み:20mmは変わらず)にしたことを除き試
験例1と同様にして得た人工消化管にて補填した(自己
食道と人工消化管との接合態様は試験例1と同様)。
【0033】術後1ヶ月で、シリコーンステントを内視
鏡的に抜去した。消化管内視鏡での観察にて、内腔を保
った自己食道の再生を認めた。組織学的観察にて、再生
した食道壁は主に結合組織からなる粘膜下組織をもって
いることを確認した。術後3ヶ月では、再生した粘膜下
組織の層の上に粘膜層の再生を認めた(組織学的観
察)。
【0034】試験例5(人工小腸その2) 人工消化管の基層20に自己骨髄から採取・培養した間
葉系幹細胞約107個を含ませて使用したことを除き試
験例1と同様にして動物実験を実施した。尚、間葉系幹
細胞の培養は下記の要領に従って行った(以下、同
様)。 1)ヘパリン化した骨髄血0.5mlを、10%ウシ胎児
血清を加えたDME(Dulbecco's modified eagle)培
地20mlに加え、80cm2のフラスコで培養する(3
7℃、5%CO2下)。 2)2〜3日毎に培地を交換し、付着細胞のみを増殖さ
せていく(浮遊系細胞は、培地の交換時に系外に排除さ
れる)。 3)増殖した付着系細胞を、必要に応じて継代し、所要
個数の細胞が得られた時点で使用する。 術後1ヶ月で、シリコーンステントを内視鏡的に抜去し
た。消化管内視鏡での観察にて、内腔を保った自己小腸
の再生を認めた。組織学的観察にて、再生した小腸壁は
主に結合組織からなる粘膜下組織をもっていることを確
認した。ここで、粘膜下組織の中にデスミンなどの筋肉
細胞に特異的な抗体に染まる細胞が多数観察され、間葉
系幹細胞が筋細胞に分化し筋層の再生につながる可能性
が示唆された。術後3ヶ月では、再生した粘膜下組織の
層の上に粘膜層の再生を認めた(組織学的観察)。
【0035】試験例6(人工胃その2) 人工消化管の基層20に自己骨髄から採取・培養した間
葉系幹細胞約107個を含ませて使用したことを除き試
験例2と同様にして動物実験を実施した。術後1ヶ月
で、シリコーンシートを内視鏡的に抜去した。消化管内
視鏡での観察にて、自己胃壁の再生を認めた。組織学的
観察にて、再生した胃壁は主に結合組織からなる粘膜下
組織をもっていることを確認した。ここで、粘膜下組織
の中にデスミンなどの筋肉細胞に特異的な抗体に染まる
細胞が多数観察され、間葉系幹細胞が筋細胞に分化し筋
層の再生につながる可能性が示唆された。術後3ヶ月で
は、再生した粘膜下組織の層の上に粘膜層の再生を認め
た(組織学的観察)。
【0036】試験例7(人工小腸その3) 自己骨髄から採取・培養した間葉系幹細胞に加え、bF
GF100μgを人工消化管の基層20に適用したこと
を除き試験例5と同様にして動物実験を実施した。術後
1ヶ月で、シリコーンステントを内視鏡的に抜去した。
消化管内視鏡での観察にて、内腔を保った自己小腸の再
生を認めた。組織学的観察にて、再生した小腸壁は主に
結合組織からなる粘膜下組織をもっていることを確認し
た。ここで、粘膜下組織の中にデスミンなどの筋肉細胞
に特異的な抗体に染まる細胞が多数観察され、間葉系幹
細胞が筋細胞に分化し筋層の再生につながる可能性が示
唆された。更に再生組織内に多くの毛細血管の進入を認
めた。bFGFによる毛細血管誘導効果によるものと考
えられる。術後3ヶ月では、再生した粘膜下組織の層の
上に粘膜層の再生を認めた(組織学的観察)。該粘膜層
の厚みは間葉系幹細胞のみの適用例に比し厚く、bFG
Fそのものの粘膜再生促進効果、或いは再生毛細血管網
による豊富な血流が粘膜再生促進効果をもたらしたもの
と考えられる。
【0037】試験例8(人工胃その3) 自己骨髄から採取・培養した間葉系幹細胞に加え、bF
GF100μgを人工消化管の基層20に適用したこと
を除き試験例6と同様にして動物実験を実施した。術後
1ヶ月で、シリコーンシートを内視鏡的に抜去した。消
化管内視鏡での観察にて、自己胃壁の再生を認めた。組
織学的観察にて、再生した胃壁は主に結合組織からなる
粘膜下組織をもっていることを確認した。ここで、粘膜
下組織の中にデスミンなどの筋肉細胞に特異的な抗体に
染まる細胞が多数観察され、間葉系幹細胞が筋細胞に分
化し筋層の再生につながる可能性が示唆された。更に再
生組織内に多くの毛細血管の進入を認めた。bFGFに
よる毛細血管誘導効果によるものと考えられる。術後3
ヶ月では、再生した粘膜下組織の層の上に粘膜層の再生
を認めた(組織学的観察)。該粘膜層の厚みは間葉系幹
細胞のみの適用例に比し厚く、bFGFそのものの粘膜
再生促進効果、或いは再生毛細血管網による豊富な血流
が粘膜再生促進効果をもたらしたものと考えられる。
【0038】
【発明の効果】本発明の人工消化管は、その供給源に左
右されることなく安定して供給可能であり、生体内適用
後、自己消化管が再生するまで残存して自己組織の再生
促進作用を示す一方、徐々に分解吸収され自己組織と置
換するので、炎症を起こすことなく安全に使用すること
ができる。また、再生する組織が自己消化管であるた
め、移植のように免疫抑制剤を服用する必要がなく、拒
絶反応の心配もない。更に、新たに自己消化管の再生を
誘導するため、従来治療法のなかった短腸症候群や各種
疾患にて大量に消化管を失った人々への治療にも極めて
有用であり、更には従来不可能であったファーター乳頭
部を通過する胆道再建術を可能にするので、胆道変更術
によって上行性胆管炎などに悩まされていた多くの患者
にとって福音となる。また、再建用の腸管の採取が不要
となるので、無用な皮膚切開を減らし、手術の侵襲を小
さくすることで患者の手術に伴う苦痛を軽減することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の人工消化管(チューブ状)の壁構造を
模式的に示した縦断面図である。
【図2】本発明の微細線維化コラーゲン層の多元構造を
模式的に示した図である。
【図3】本発明の微細線維化コラーゲン層の全体構成を
模式的に示した図(代用写真)である。
【符号の説明】
11 板状線維 12 線維 13a 細線維 13b 細線維 14 微細線維 15 超微細繊維 20 微細線維化コラーゲンからなる層(基層) 30 生体内分解吸収性材料からなる層(外層) 40 消化液耐性を有する材料からなる層(内層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀 義生 京都府京都市東山区古川町通3条下る古川 町546−1 デリード白川209号室 Fターム(参考) 4C081 AB12 BA16 CA171 CA201 CA271 CC01 CD121 DA03 DB01 EA06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微細線維化コラーゲンからなる層の外面
    に生体内分解吸収性材料からなる層を有する人工消化
    管。
  2. 【請求項2】 前記の微細線維化コラーゲンからなる層
    の内面に、消化液耐性を有する材料からなる層を更に有
    する請求項1に記載の人工消化管。
  3. 【請求項3】 前記の生体内分解吸収性材料が、ポリグ
    リコール酸、ポリ乳酸、グリコール酸と乳酸との共重合
    体、乳酸とε−カプロラクトンとの共重合体、ポリジオ
    キサノン、及びグリコール酸とトリメチレンカーボネー
    トとの共重合体の群から選択される材料からなる不織布
    状材料である、請求項1又は2に記載の人工消化管。
  4. 【請求項4】 前記の消化液耐性を有する材料が、シリ
    コーン樹脂からなる管状物又は膜状物である請求項1又
    は2に記載の人工消化管。
  5. 【請求項5】 前記の生体内分解吸収性材料の面密度が
    30〜35g/m2である請求項3に記載の人工消化管。
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