JP2001338625A - マンガン乾電池 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造工程を煩雑にすることなく、耐漏液性に
優れたマンガン乾電池を提供することを目的とする。 【解決手段】 発電要素を収容した負極亜鉛缶の開口部
を合成樹脂製の封口体および炭素棒に嵌合させた正極端
子板により封口したマンガン乾電池において、封口体の
鍔部上に、正極端子板に向けて環状の突部を設け、この
部分で、正極端子板と封口体とにより、亜鉛缶の側面か
ら封口体の鍔部を覆う熱収縮チューブを締め付ける。こ
れによって、過放電時にガスが発生し、電解液が封口体
上に這い上がっても、電池外部へ漏れ出さず、耐漏液性
に優れた乾電池が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、負極亜鉛缶の開口
部を樹脂製封口体および正極端子板により密閉したマン
ガン乾電池の封口部の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】発電要素を収容した負極亜鉛缶の開口部
を樹脂製封口体により封口した乾電池の代表例を図３に
示す。１は負極亜鉛缶を表す。負極亜鉛缶１の内部に
は、発電要素として、糊層を有するセパレータ２、正極
合剤３、および炭素棒４が収容されている。合剤３の上
部には、鍔紙５がのせられている。負極亜鉛缶１の開口
部を封口する封口体６は、中央に炭素棒４を嵌合させる
透孔１１を有し、周縁部に亜鉛缶１の開口端を嵌合させ
る環状の溝１３を設けた鍔部１２を有する。封口体６
は、さらに、筒部１４を有し、この筒部１４と炭素棒４
との間には、ポリブテン、ピッチなどからなる封口剤１
５が充填されている。亜鉛缶１の側面を被覆する熱収縮
性樹脂チューブ７は、熱収縮により、その上端が筒部１
４を越えて封口剤１５の端部を覆うように折曲されてい
る。

【０００３】炭素棒４の頂部に被嵌させた正極端子板８
は、封口剤を充填した封口体の上面に沿うような形状を
有し、周縁部はチューブ７を介して鍔部１２上にのって
いる。この上に絶縁リング９をのせ、金属外装缶１０の
上端部を内方へ屈曲して絶縁リング９を介して正極端子
板８および熱収縮チューブ７を封口体６の鍔部１２上へ
締め付けている。

【０００４】このような構造のマンガン乾電池は、封口
体６と炭素棒４との隙間から漏れる電解液、および封口
体６と亜鉛缶１との隙間から漏れ、チューブ７の内面を
伝って這い上がる電解液は、いずれも封口剤１５の部分
で遮断される。従って、耐漏液性には非常に優れてい
る。しかしながら、封口剤は、高温では流動性を有する
から、封口剤自体が外部へ漏れ出て耐漏液性を損なうお
それがある。また、封口体へ充填するには、流動状態で
行うため、工程上煩雑となる不都合がある。

【０００５】封口剤を除いた図４に示す構造の乾電池で
は、封口体６の鍔部１２と正極端子板８とでチューブ７
の端部を均一に押さえ付けるのが困難であり、正極端子
板の内面から電解液が外部へ漏洩するのを完全に阻止す
るのはできなかった。

【０００６】機器に装着されたまま過放電し漏液した乾
電池がそのまま長期間放置されると、機器の端子が漏洩
した電解液により腐食され、機器が使用不可能となる可
能性がある。従って、ガスの発生により電解液が封口体
上に這い上がっても、気密性を確保できる構造のマンガ
ン乾電池が望まれている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
解決するものであり、製造工程を煩雑にすることなく、
耐漏液性に優れたマンガン乾電池を提供することを目的
とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明のマンガン乾電池
は、発電要素を収容した負極亜鉛缶、中央に炭素棒の嵌
合孔を有し、周縁部に前記亜鉛缶の開口端を嵌合する環
状の溝を下面に設けた鍔部を有する合成樹脂製の封口
体、前記亜鉛缶の側面から封口体の鍔部上面にわたって
被覆する熱収縮性樹脂チューブ、炭素棒に嵌合させた正
極端子板、前記正極端子板の周縁部上に配置された絶縁
リング、および外装缶を具備し、金属外装缶の上端部を
前記絶縁リングへ屈曲させて前記正極端子板および熱収
縮チューブを前記封口体の鍔部上へ締め付けたマンガン
乾電池であって、前記封口体の鍔部上に、前記正極端子
板に向けて環状の突部を設けたことを特徴とする。前記
環状の突部は、負極亜鉛缶の開口端と金属外装缶の上端
屈曲端とを結ぶ線上またはそれより若干炭素棒側に位置
するのが好ましい。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明によるマンガン乾電池の構
造を図１により説明する。本発明で使用する樹脂製封口
体６は、基本的な構造は従来のものと変わらなくてよい
が、鍔部１２の上面に、正極端子板８側に向けて小さな
突部１６を設けたところが変更されている。この突部１
６の存在によって、鍔部１２と正極端子板８との間に挟
まれた樹脂チューブ７は、突部１６のところで正極端子
板８に密着し、従ってチューブ７と正極端子板８との間
から電解液が外部へ漏れ出るのを阻止する。鍔部に設け
る突部１６は、外装缶１０の締め付け力が有効に働くよ
う、亜鉛缶１の開口端と外装缶１０の屈曲端とを結ぶ線
上またはそれより若干炭素棒４側に位置するのが好まし
い。また、突部１６の高さは、鍔部１２と正極端子板８
との間に大きな隙間ができないように、０．１〜０．３
ｍｍ程度が適当である。なお、図１及び２において、図
３と同じ符合は、同一の構成要素を表している。

【００１０】

【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
する。突部１６の高さが０．１５ｍｍの図１の構造を有
する本発明によるマンガン乾電池（Ｒ２０）をＡ、図４
に示す構造の比較例の同じタイプのマンガン乾電池をＢ
とする。これらの乾電池を２０℃において、負荷２．２
Ωおよび１０Ωで連続放電したときの漏液を生じた電池
数の比較を表１に示す。なお、試料数は、各２０個であ
る。

【００１１】

【表１】

【００１２】表１の結果から明らかなように、本発明に
よるマンガン乾電池は、非常に耐漏液性に優れている。

【００１３】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、電池内で
の気密性が向上し、過放電時にガスが発生し、電解液が
封口体上に這い上がっても、電池外部へ漏れ出さず、長
期信頼性に優れた耐漏液性のマンガン乾電池を提供する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における円筒型マンガン乾電
池の要部を切欠した正面図である。

【図２】同要部の拡大断面図である。

【図３】従来のマンガン乾電池の要部を切欠した正面図
である。

【図４】従来の他のマンガン乾電池の要部を切欠した正
面図である。

【符号の説明】

１ 負極亜鉛缶 ２ セパレータ ３ 正極合剤 ４ 炭素棒 ５ 鍔紙 ６ 封口体 ７ 熱収縮チューブ ８ 正極端子板 ９ 絶縁リング １０ 外装缶 １１ 透孔 １２ 鍔部 １３ 溝 １４ 筒部 １５ 封口剤 １６ 突部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷 洋志 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 猪口 耕司 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Ｆターム(参考） 5H011 AA09 AA17 CC02 CC06 DD15 DD23 EE06 FF03 GG02 HH02 5H024 AA03 AA14 CC02 CC06 CC07 CC08 CC14 DD01 DD04 EE09 HH15

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 発電要素を収容した負極亜鉛缶、中央に
   炭素棒の嵌合孔を有し、周縁部に前記亜鉛缶の開口端を
   嵌合する環状の溝を下面に設けた鍔部を有する合成樹脂
   製の封口体、前記亜鉛缶の側面から封口体の鍔部上面に
   わたって被覆する熱収縮性樹脂チューブ、炭素棒に嵌合
   させた正極端子板、前記正極端子板の周縁部上に配置さ
   れた絶縁リング、および外装缶を具備し、金属外装缶の
   上端部を前記絶縁リングへ屈曲させて前記正極端子板お
   よび熱収縮チューブを前記封口体の鍔部上へ締め付けた
   マンガン乾電池であって、前記封口体の鍔部上に、前記
   正極端子板に向けて環状の突部を設けたことを特徴とす
   るマンガン乾電池。
2. 【請求項２】 前記環状の突部が前記負極亜鉛缶の開口
   端と金属外装缶の上端屈曲端とを結ぶ線上またはそれよ
   り若干炭素棒側に位置する請求項１記載のマンガン乾電
   池。