JP2001336608A - 熱可塑性樹脂製の歯車、歯車製造用射出成形金型および熱可塑性樹脂製歯車の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂製の歯車、歯車製造用射出成形金型および熱可塑性樹脂製歯車の製造方法

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JP2001336608A
JP2001336608A JP2000154301A JP2000154301A JP2001336608A JP 2001336608 A JP2001336608 A JP 2001336608A JP 2000154301 A JP2000154301 A JP 2000154301A JP 2000154301 A JP2000154301 A JP 2000154301A JP 2001336608 A JP2001336608 A JP 2001336608A
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thermoplastic resin
gear
disk
manufacturing
mold
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JP2000154301A
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Yoshihiro Kayano
義弘 茅野
Hiroyuki Imaizumi
洋行 今泉
Kazuaki Ochiai
和明 落合
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Original Assignee
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (1)寸法精度、剛性および摺動性などに優れ
た熱可塑性樹脂製の歯車、(2)(1)の歯車製造用射出成形
金型、および(3)(1)の熱可塑性樹脂製歯車の効率的製造
方法を提供すること。 【解決手段】 第1発明は、ディスク部分(a)とこのデ
ィスク部分(a)の外周部分を構成する歯車部分(b)とから
なる熱可塑性樹脂製の歯車であって、ディスク部分(a)
は非晶性熱可塑性樹脂または無機充填材を含む熱可塑性
樹脂(A)からなり、歯車部分(b)は歯車部分(b)は熱可塑
性樹脂(A)より成形収縮率が大きく、弾性率が小さく、
かつ、摺動性に優れた熱可塑性樹脂(B)からなることを
特徴とし、第2発明は、この熱可塑性樹脂製の歯車製造
用の射出成形金型に関し、第3発明は、この熱可塑性樹
脂製の歯車の製造方法に関する。 【効果】 上記課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂製の
歯車、歯車製造用射出成形金型および熱可塑性樹脂製の
歯車製造方法に関する。さらに詳しくは、剛性が高く、
寸法精度および摺動性に優れた熱可塑性樹脂製の歯車、
その際に使用される射出成形金型、およびこの金型を使
用して熱可塑性樹脂製歯車を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、OA機器などに用いる各種歯車
は、軽量性、製造容易性、コストなどなどを勘案して、
熱可塑性樹脂によって製造したものが提案され、一部実
用化されている。これら歯車に要求される性能は、剛
性、寸法精度および摺動性などである。
【0003】例えば、特開平6−294459号公報に
は、歯車の剛性を向上させる方法が記載されている。こ
の刊行物の記載によれば、他の部材と摺動する歯車のギ
ヤ部分を、他の部材と摺動しない歯車のディスク部より
高硬度・高曲げ強度・低摩擦係数とする手法を採用して
いる。このような剛性を向上させた歯車の製造は、まず
射出成形法によって他の部材と摺動しない歯車のディス
ク部を製造し、この外側にギア部を射出成形法によって
製法する二重射出成形法である。しかも、最初に射出成
形法によって製造した歯車のディスク部を、内部残留応
力を除去する工程を経由して、二回の射出成形を行う必
要があり、工程が繁雑であるという欠点がある。
【0004】さらに、特開平10―281139公報に
は、相対的に硬質である樹脂材により構成される芯部
と、相対的に軟質である軟質材により構成される表層部
を有するローラと、これを二重射出成形法によって製造
する方法が記載されている。しかし、この方法によれ
ば、二重射出成形法によるので、それぞれの成形工程で
肉厚、剛性の双方とも所望の値に調節することも困難で
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
状況に鑑み、上記従来の技術に存在していた諸欠点を、
一挙に解決した熱可塑性樹脂製の歯車を提供すべく鋭意
検討の結果、本発明に到達したものである。すなわち、
本発明の目的は、次のとおりである。 (1)寸法精度、剛性および摺動性などに優れた熱可塑性
樹脂製の歯車を提供すること。 (2)上記熱可塑性樹脂製の歯車製造用の射出成形金型を
提供すること。 (3)熱可塑性樹脂製の歯車の能率的な製造方法を提供す
ること。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の第1発明では、ディスク部分(a)とこのデ
ィスク部分(a)の外周部分を構成する歯車部分(b)とから
なる熱可塑性樹脂製歯車であって、ディスク部分(a)は
非晶性熱可塑性樹脂または無機充填剤を含む熱可塑性樹
脂(A)からなり、歯車部分(b)は熱可塑性樹脂(A)より成
形収縮率が大きく、弾性率が小さく、かつ、摺動性に優
れた熱可塑性樹脂(B)からなることを特徴とする熱可塑
性樹脂製歯車を提供する。
【0007】本発明の第2発明では、熱可塑性樹脂製の
歯車製造用の射出成形金型において、ディスク部分形成
用ブロック(ab)の外周に、歯車部分形成用ブロック(bb)
が設けられてなり、射出成形金型を型閉した際に、ディ
スク部分形成用ブロック(ab)が歯車部分形成用ブロック
(bc)の中で、金型キャビティ内に前進、後退可能とされ
てなることを特徴とする、熱可塑性樹脂製歯車製造用の
射出成形金型を提供する。
【0008】本発明の第3発明では、熱可塑性樹脂製の
歯車を製造するにあたり、ディスク部分形成用ブロック
(ab)の外周に、歯車部分形成用ブロック(bb)が設けられ
てなり、射出成形金型を型閉した際に、ディスク部分形
成用ブロック(ab)が歯車部分形成用ブロック(bc)の中
で、金型キャビティ内に前進、後退可能とされてなる射
出成形金型を使用し、まず、この歯車製造用の射出成形
金型を型閉し、ディスク部分形成用ブロック(ab)を金型
キャビティ内に前進させて溶融させた熱可塑性樹脂(B)
を射出して歯車部分(b)を形成し、ついで、ディスク部
分形成用ブロック(ab)を金型キャビティ内から後退させ
て、溶融させた熱可塑性樹脂(A)を射出してディスク部
分(a)を形成することを特徴とする、熱可塑性樹脂製歯
車の製造方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第1発明に係る熱可塑性樹脂製の歯車は、弾性
率および成形収縮率の異なる2種類の熱可塑性樹脂を原
料とし、二色射出成形法によって製造される。2種類の
熱可塑性樹脂の一方は、歯車の他の部材と摺動しないデ
ィスク部分(a)を成形する樹脂であり、弾性率が大きく
成形収縮率が小さい非晶性熱可塑性樹脂または無機充填
剤を含む熱可塑性樹脂(A)である。
【0010】熱可塑性樹脂(A)の具体例としては、成形
収縮の小さな材料、例えば、ガラス繊維強化ポリアセタ
ール樹脂、ガラス繊維強化ポリエステル樹脂、ガラス強
化ポリアミド系樹脂、ガラス強化ポリカーボネート樹
脂、非強化ポリカーボネート樹脂、ガラス強化変性ポリ
フェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。
【0011】2種類の熱可塑性樹脂の他方は、他の部材
と摺動する歯車部分(b)の製造用の樹脂であり、上記の
熱可塑性樹脂(A)より成形収縮率が大きく、かつ、摺動
性に優れた熱可塑性樹脂(B)である。熱可塑性樹脂(B)の
具体的例としては、ポリアセタール樹脂、ポリエステル
系樹脂、ポリアミド系樹脂、非強化のポリカーボネート
樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられ
る。
【0012】熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とは、
弾性率が異なる2種類を組み合わせるものとする。弾性
率が高い熱可塑性樹脂(A)はディスク部分(a)の製造用と
し、製品歯車のディスク部分(a)の剛性、寸法精度など
を向上させる。熱可塑性樹脂(B)は歯車部分(b)の製造用
とし、製品歯車の摺動性を向上させる。実験によれば、
熱可塑性樹脂(A)の弾性率を(AA)とし、熱可塑性樹脂(B)
の弾性率を(BB)とするとき、(AA)/(BB)の比が1.5以
上という関係を満たす樹脂同士の組み合わせが好まし
く、(AA)/(BB)の比が1.8以上である場合が特に好ま
しいことが分かった。なお、本発明において弾性率と
は、ASTM D790に準拠して測定した値をいう。
【0013】熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とは、
また、成形収縮率が異なる2種類を組み合わせるものと
する。成形収縮率が低い熱可塑性樹脂(A)は、製品歯車
のディスク部分(a)を構成し製品歯車の寸法精度を向上
させる。成形収縮率が高い熱可塑性樹脂(B)製の歯車部
分(b)は、成形収縮率が低い熱可塑性樹脂(A)製のディス
ク部分(a)の外側に一体に形成されて、ディスク部分(a)
と強固に溶着し、またはディスク部分(a)の外周全面を
強固に掴み、境界部が剥離することがない。
【0014】実験によれば、さらに、熱可塑性樹脂(A)
の成形収縮率を(ax)とし、熱可塑性樹脂(B)の成形収縮
率を(bx)とするとき、(bx)/(ax)の比が1.5以上とい
う関係を満たす樹脂同士を組み合わせるのが好ましく、
(bx)/(ax)の比が2以上である場合が特に好ましいこと
が分かった。なお、本発明において成形収縮率とは、厚
さ3mm、直径100mmの円板状のキャビティによって、
円板を射出成形法によって製造し、この円板を溶融樹脂
の流れ方向の長さを測定し、次式、すなわち、成形収縮
率(%)={(100−円盤の溶融樹脂の流れ方向の長
さ)/100}×100、によって算出される値であ
る。
【0015】上記の特性を有する熱可塑性樹脂(A)およ
び熱可塑性樹脂(B)は、例えば、市販されている多種類
の熱可塑性樹脂の中から各種物性値を参考にして容易に
入手することができる。
【0016】本発明の第1発明に係る熱可塑性樹脂製の
歯車は、第2発明に係る熱可塑性樹脂製歯車製造用の射
出成形金型によって容易に製造することができる。この
射出成形金型は、他の部材と摺動しないディスク部分形
成用ブロック(ab)の外周に、後者の歯車部分形成用ブロ
ック(bb)が設けられている。射出成形金型を型閉した際
に、歯車部分形成用ブロック(bc)の中で、ディスク部分
形成用ブロック(ab)が金型キャビティ内に前進、後退可
能にされている。ディスク部分形成用ブロック(ab)を前
進させた場合には、金型キャビティは歯車部分形成用の
空間の大きさとされる。
【0017】第2発明に係る熱可塑性樹脂製歯車製造用
の射出成形金型は、ディスク部分形成用ブロック(ab)を
金型キャビティに前進、後退可能とされた一個の金型
で、製品歯車を製造できるので、従来の特開平6−29
4459号公報、特開平10―281139公報で提案
されているように、二個の金型を準備する必要がなく、
しかも最初の金型で製造した半製品を第二の金型に移す
工程も不要であり、製造工程が簡素化されている。
【0018】射出成形金型を型閉してディスク部分形成
用ブロック(ac)を金型キャビティ内から後退させた場合
には、金型キャビティはディスク部分形成用キャビティ
(ac)に相当する空間が拡大される。歯車部分形成用キャ
ビティ(bc)には、熱可塑性樹脂(A)を射出可能とし、デ
ィスク部分形成用キャビティ(ac)には、熱可塑性樹脂
(A)を射出可能とする。熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂
(B)とは、異なる射出成形機のシリンダーで溶融させ、
異なるノズルから、金型キャビティのディスク部分
(a)、歯車部分(b)のそれぞれに射出する。
【0019】本発明の第1発明に係る熱可塑性樹脂製の
歯車は、第3発明に係る歯車製造方法によって、容易に
熱可塑性樹脂製の歯車を製造することができる。すなわ
ち、第2発明に係る熱可塑性樹脂製歯車製造用の射出成
形金型を使用し、まず、この射出成形金型を型閉し、デ
ィスク部分形成用ブロック(ab)を金型キャビティ内に前
進させ、キャビティ部分を歯車歯車形成用キャビティ(b
c)空間の大きさとし、この空間に溶融させた熱可塑性樹
脂(B)を射出して歯車部分(b)を形成し、ついで、金型キ
ャビティ内からディスク部分形成用ブロック(ab)を後退
させ、後退させることによって生じたディスク部分(a)
形成用キャビティ(ac)空間に熱可塑性樹脂(A)を射出
し、冷却後型開きして目的製品を取り出すことにより、
熱可塑性樹脂製の歯車を得ることができる。
【0020】目的製品の熱可塑性樹脂製の歯車は、軸受
けを固定する中央部分に穴が設けられていてもよく、設
けられていなくてもよく、中央部分にボスが設けられて
いてもよい。ディスク部分(a)は平板状でもよく、中央
部分と外周部分との双方を肉厚とし、双方に囲まれた部
分を肉薄とし、肉薄とした部分に肉厚とした放射状リブ
を設けてもよい。また、ディスク部分(a)が平板状で肉
厚の場合には、ディスク部分(a)成形の際に溶融樹脂に
加圧流体を注入して、平板の内部に中空部を設けて成形
収縮する分を補填することができる。さらに、中央部分
のボス、中央のボス部分と外周部分をつなぐ放射状リブ
の内部にも加圧流体を注入して、中空部を設けることが
できる。中空部を設けることにより、目的製品の軽量化
をはかり、またヒケなどの外観不良の発生を防止するこ
とができる。
【0021】本発明に係る熱可塑性樹脂製の歯車を、実
施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明
はその趣旨を超えない限り以下の記載例に限定されるも
のではない。
【0022】[実施例1〜実施例6] <原料樹脂>以下の例で使用したディスク部分の熱可塑
性樹脂、および歯車部分の熱可塑性樹脂におけるガラス
繊維量、成形収縮率は、弾性率、および比摩耗量などを
表−1に示した。比摩耗量は、同種の材料によって成形
(製造)された歯車を、0.05Mpaの圧力によって
噛み合わせ、回転させた時の単位圧力および単位摺動距
離での摩耗体積をいう。
【0023】
【表1】
【0024】<射出成形金型>成形品の形状は、図1a
に平面図を、図1bに図1aのI−I部分での縦断端面
図を示した。成形品製造用金型のキャビティ寸法は、デ
ィスク部分11の厚さが4mm、直径(金型キャビティ寸
法)が35mmの円形状の平板とされ、ディスク部分11
の外周には幅が4mmの摺動部12が形成されており、デ
ィスク部分11の中央部に軸受け固定用の貫通穴13が
設けられている。金型のディスク部分11成形用ブロッ
クは、摺動部分12形成用ブロックの中で、金型キャビ
ティ内に前進(摺動部分12形成用キャビティのみの空
間を形成する)、後退(摺動部分12の中にディスク部
分11形成用キャビティ空間を形成する)可能にされて
いる。
【0025】<成形品の製造>上記射出成形金型を使用
し、金型に設けたキャビティ部分冷却用穴に温度65℃
とした冷却水を循環させ、型閉してディスク部分11成
形用ブロックを金型のキャビティ内に前進させて、キャ
ビティ空間を摺動部分12形成用の大きさとした。この
摺動部12形成用キャビティに温度210℃として溶融
させた熱可塑性樹脂(B)を射出し、280kgf/cm2の圧力
下で1秒間冷却した。次いで、ディスク部分11形成用
ブロックを後退させ、ディスク部分11形成用空間を形
成し、この空間に温度220℃として溶融させた熱可塑
性樹脂(A)を射出し、5秒間冷却した後、型開きして成
形品を取り出した。実施例4〜実施例6では、熱可塑性
樹脂(A)を射出途中または射出した直後に、溶融樹脂に
圧空を注入して成形収縮する分を補填した。圧空を注入
後に5秒間冷却した後、型開きして成形品を取り出し
た。
【0026】<成形品の評価>得られた成形品を、次に
記載の方法で評価し、結果を表−2に記載した。 (1)ディスクの中空率(%):成形品の重量と、製品の見掛
けの体積と、樹脂の比重から算出した。 (2)平均外径(mm):円形ディスクの直径をノギスで、等
間隔で10か所で測り、その平均値を示した。 (3)外径差(μm):上記(2)の平均外径の測定した際の最
大直径値と最小直径値との差を示した。
【0027】(4)歯車の剛性:成形品の圧縮強度を測定
し、高剛性の材料のみで成形された成形品の圧縮強度を
1とし、0.8以上のものを「○」、0.8〜0.7の
ものを「△」、0.7未満のものを「×」と表示した。 (5)歯車の摺動性:成形品の摺動部の比摩耗量を測定
し、高摺動性の材料のみで成形された成形品の比摩耗量
を1とし、1以下のものを「○」、1〜2のものを
「△」、2を超えるものを「×」と表示した。 (6)弾性率の比(AA)/(BB)、成形収縮率の比(ax)/(bx)
は、使用した熱可塑性樹脂のこれらの物性値から計算し
た値である。
【0028】
【表2】
【0029】[実施例7〜実施例12] <原料樹脂>以下の例で使用した熱可塑性樹脂は、実施
例1〜実施例6で使用したものと同様の樹脂材料であ
る。
【0030】<射出成形金型>成形品の形状は、図2a
に平面図を、図2bに図2aのII−II部分での縦断端面
図を示した。成形品製造用のキャビティ寸法は、ディス
ク部分21の厚さが10mm、直径(金型キャビティ寸
法)が35mmの円形状の平板とされ、ディスク部分21
の外周には幅が4mmの摺動部分22が形成されており、
ディスク部分21の中央部に軸受け固定用の貫通穴23
が設けられている。金型のディスク部分21成形用ブロ
ックは、摺動部分22形成用のブロックの中で、金型キ
ャビティ内に前進(摺動部分22形成用キャビティのみ
の空間を形成する)、後退(摺動部分22の中にディス
ク部分21形成用キャビティ空間を形成する)可能にさ
れている。
【0031】<成形品の製造>上記射出成形金型を使用
し、金型に設けたキャビティ冷却用穴に温度65℃とし
た冷却水を循環させ、型閉してディスク部分21成形用
ブロックを前進させて、キャビティ空間を摺動部分22
形成用の大きさとした。この摺動部分22形成用キャビ
ティに温度210℃として溶融させた熱可塑性樹脂(B)
を射出し、280kgf/cm2の圧力下で1秒間冷却した。
次いで、ディスク部分21形成用ブロックを後退させ、
ディスク部分21形成用空間を形成し、この空間に温度
220℃として溶融させた熱可塑性樹脂(A)を射出し、
5秒間冷却した後、型開きして成形品を取り出した。実
施例10〜実施例12では、熱可塑性樹脂(A)を射出途
中または射出した直後に、溶融樹脂に圧空を注入して成
形収縮する分を補填した。圧空を注入後に5秒間冷却し
た後、型開きして成形品を取り出した。
【0032】<成形品の評価>得られた成形品を、実施
例1に記載した方法によって評価し、結果を表−2に記
載した。
【0033】
【表3】
【0034】[実施例13〜実施例18] <原料樹脂>以下の例で使用した熱可塑性樹脂は、実施
例1〜実施例6で使用したものと同様の樹脂材料であ
る。
【0035】<射出成形金型>成形品の形状は、図3a
に平面図を、図3bに図3aのIII−III部分での縦断端
面図を示した。成形品製造用のキャビティ寸法は、ディ
スク部分31の厚さが4mm、直径(金型キャビティ寸
法)が35mmの円形状の平板とされ、ディスク部分31
の外周には幅が4mmの歯車部分32が形成されており、
ディスク部分31の中央部に軸受け固定用の貫通穴33
が設けられている。歯車部分32は、歯数が30個、歯
の高さが2mmとされており、図3では、32aに歯先端
円を、32bに歯底円として歯を略して示した。金型の
ディスク部分31成形用ブロックは、歯車部分32形成
用のブロックの中で、金型キャビティ内に前進(歯車部
分32形成用キャビティのみの空間を形成する)、後退
(歯車部分32の中にディスク部分31形成用キャビテ
ィ空間を形成する)可能にされている。
【0036】<成形品(歯車)の製造>上記射出成形金
型を使用し、金型に設けたキャビティ冷却用穴に温度6
5℃とした冷却水を循環させ、型閉してディスク部分3
1成形用ブロックを前進させて、キャビティ空間を歯車
部分32形成用の大きさとした。この歯車部分32形成
用キャビティに温度210℃として溶融させた熱可塑性
樹脂(B)を射出し、280kgf/cm2の圧力下で1秒間冷却
した。次いで、ディスク部分31形成用ブロックを後退
させ、ディスク部分31形成用空間を形成し、この空間
に温度220℃として溶融させた熱可塑性樹脂(A)を射
出し、5秒間冷却した後、型開きして歯車を取り出し
た。実施例16〜実施例18では、熱可塑性樹脂(A)を
射出途中または射出した直後に、溶融樹脂に圧空を圧入
して成形収縮する分を補填した。圧空を注入後に5秒間
冷却した後、型開きして製品歯車を取り出した。
【0037】<成形品の評価>得られた製品歯車を、実
施例1に記載した方法によって評価し、結果を表−3に
記載した。
【0038】
【表4】
【0039】[比較例1〜比較例9] <原料樹脂>以下の例で使用した熱可塑性樹脂は、実施
例1〜実施例6で使用したものと同様の樹脂材料であ
る。
【0040】<射出成形金型>成形品の形状は、比較例
1、比較例2、比較例4、比較例5、比較例7および比
較例8は、図4aに平面図を、図4bに図4aのIV−IV
部分での縦断端面図を示した。成形品製造用のキャビテ
ィ寸法は、ディスク部分41の厚さが4mm、直径(金型
キャビティ寸法)が35mmの円形状の平板とされ、ディ
スク部分41の中央部に軸受け固定用の貫通穴43が設
けられている。比較例3、比較例6および比較例9は、
図1aおよび図1bに示した製品が得られる金型を使用
した。
【0041】<成形品の製造と評価>上記射出成形金型
を使用し、金型に設けたキャビティ冷却用穴に温度65
℃とした冷却水を循環させ、型閉してキャビティ空間に
温度210℃として溶融させた熱可塑性樹脂を射出し、
280kgf/cm2の圧力下で6秒間冷却した後、型開きし
て成形品を取り出した。得られた成形品を、実施例1に
記載した方法によって評価し、結果を表−4に記載し
た。
【0042】
【表5】
【0043】表−1ないし表−5より、次のことが明ら
かである。 (1)ディスク部分を弾性率が大きく成形収縮率が小さい
熱可塑性樹脂(A)によって構成し、摺動部分(または歯
車部分)を熱可塑性樹脂(A)より成形収縮率が大きく、
かつ、摺動性に優れた熱可塑性樹脂(B)によって構成し
た成形品は、剛性が高く、寸法精度および摺動性に優れ
ている(実施例1〜実施例18参照)。 (2)これに対してディスク部分を収縮率が大きく、か
つ、摺動性に優れた熱可塑性樹脂(B)のみによって構成
し成形品は、寸法精度に劣り、剛性にも劣る(比較例
1、比較例4、比較例7参照)。 (3)また、弾性率が大きく成形収縮率が小さい熱可塑性
樹脂(A)のみによって構成した成形品は、剛性が高く、
寸法精度が優れているが、摺動性に劣る(比較例2、比
較例5、比較例8参照)。 (4)さらに、ディスク部分を収縮率が大きく、かつ、摺
動性に優れた熱可塑性樹脂(B)によって構成し、摺動部
分(または歯車部分)を弾性率が大きく成形収縮率が小
さい熱可塑性樹脂(A)によって構成した成形品は、剛性
が高く、寸法精度が優れているが、摺動性に劣る(比較
例3、比較例6、比較例9参照)。
【0044】
【発明の効果】本発明は、以上詳細に説明したとおりで
あり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上
の利用価値は極めて大である。 1.本発明に係る熱可塑性樹脂製の歯車は、ディスク部
分を弾性率が大きく成形収縮率が小さい熱可塑性樹脂
(A)によって構成しているので、剛性および寸法精度な
どに優れている。 2.本発明に係る熱可塑性樹脂製の歯車は、歯車部分を
熱可塑性樹脂(A)より成形収縮率が大きく、かつ、摺動
性に優れた熱可塑性樹脂(B)によって構成しているの
で、摺動性に優れている。 3.本発明に係る熱可塑性樹脂製の歯車製造用の射出成
形金型は、ディスク部分形成用ブロック(ab)の外周に、
歯車部分形成用ブロック(bb)が設けられてなり、射出成
形金型を型閉した際に、ディスク部分形成用ブロック(a
b)が歯車部分形成用ブロック(bc)の中で、金型キャビテ
ィ内に前進、後退可能とされているので、一個の金型で
製品歯車を製造することができる。 4.本発明に係る熱可塑性樹脂製の歯車製造方法による
ときは、一個の金型を使用して製品歯車を能率的に製造
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1〜実施例6で製造した成形品であ
り、aは平面図、bは図1aのI−I部分での縦断端面
図である。
【図2】 実施例7〜実施例12で製造した成形品であ
り、aは平面図、bはaのII−II部分での縦断端面図で
ある。
【図3】 実施例13〜実施例18で製造した製品歯車
であり、aは平面図、bはaのIII−III部分での縦断端
面図である。
【図4】 比較例1〜比較例9で製造した成形品であ
り、aは平面図、bはaのIV−IV部分での縦断端面図で
ある。
【符号の説明】
11、21、31、41:ディスク部分 12、22:摺動部分 32:歯車部分 32a:歯先端円 32b:歯底円 13、23、33、43:軸受け固定用の貫通穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今泉 洋行 神奈川県平塚市東八幡五丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 (72)発明者 落合 和明 神奈川県平塚市東八幡五丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 Fターム(参考) 3J030 AA11 AC02 BA01 BC01 BC08 CA10 4F202 AB11 AG07 AG22 AH12 CA11 CB01 CB28 CK17 CK52 4F206 AB11 AG07 AG22 AH12 JA07 JB28 JF01 JL02 JN12 JN27 JQ81

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディスク部分(a)とこのディスク部分(a)
    の外周部分を構成する歯車部分(b)とからなる熱可塑性
    樹脂製の歯車であって、ディスク部分(a)は非晶性熱可
    塑性樹脂または無機充填剤を含む熱可塑性樹脂(A)から
    なり、歯車部分(b)は熱可塑性樹脂(A)より成形収縮率が
    大きく、弾性率が小さく、かつ、摺動性に優れた熱可塑
    性樹脂(B)からなることを特徴とする熱可塑性樹脂製の
    歯車。
  2. 【請求項2】 ディスク部分(a)を構成する熱可塑性樹
    脂(A)の弾性率を(AA)とし、歯車部分(b)を構成する熱可
    塑性樹脂(B)の弾性率を(BB)とするとき、(AA)/(BB)の
    比が1.5以上という関係を満たす、請求項1に記載の
    熱可塑性樹脂製の歯車。
  3. 【請求項3】 ディスク部分(a)を構成する熱可塑性樹
    脂(A)の成形収縮率を(ax)とし、歯車部分(b)を構成する
    熱可塑性樹脂(B)の成形収縮率を(bx)とするとき、(bx)
    /(ax)の比が1.5以上という関係を満たす、請求項1
    または請求項2に記載の熱可塑性樹脂製の歯車。
  4. 【請求項4】 ディスク部分(a)を射出成形法によって
    製造する際に、溶融熱可塑性樹脂(A)に加圧流体を注入
    することにより形成された中空部を有するものである、
    請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の熱可塑
    性樹脂製の歯車。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂製の歯車製造用の射出成形
    金型において、ディスク部分形成用ブロック(ab)の外周
    に、歯車部分形成用ブロック(bb)が設けられてなり、射
    出成形金型を型閉した際に、ディスク部分形成用ブロッ
    ク(ab)が歯車部分形成用ブロック(bc)の中で、金型キャ
    ビティ内に前進、後退可能とされてなることを特徴とす
    る、熱可塑性樹脂製歯車製造用の射出成形金型。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂製の歯車を製造するにあた
    り、ディスク部分形成用ブロック(ab)の外周に、歯車部
    分形成用ブロック(bb)が設けられてなり、射出成形金型
    を型閉した際に、ディスク部分形成用ブロック(ab)が歯
    車部分形成用ブロック(bc)の中で、金型キャビティ内に
    前進、後退可能とされてなる射出成形金型を使用し、ま
    ず、この歯車製造用の射出成形金型を型閉し、ディスク
    部分形成用ブロック(ab)を金型キャビティ内に前進させ
    て溶融させた熱可塑性樹脂(B)を射出して歯車部分(b)を
    形成し、ついで、ディスク部分形成用ブロック(ab)を金
    型キャビティ内から後退させて、溶融させた熱可塑性樹
    脂(A)を射出してディスク部分(a)を形成することを特徴
    とする、熱可塑性樹脂製歯車の製造方法。
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