JP2001334173A - デカンタ式遠心分離機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 固形分排出口近傍の主回転体と非回転部との
境界部分から洗浄ケーキがデカンタ式遠心分離機の外側
に噴き出したり、境界部分に洗浄ケーキが付着すること
を防止できる立型デカンタ式遠心分離機を提供する。 【解決手段】 原液スラリー供給管２から供給された原
液スラリーを、高速回転する回転ボウル１３と、主回転
体１０に内設されると共に回転ボウル１３に対して差動
回転可能なスクリュウコンベア２０とを含む回転部３に
より分離液と固形分に分離するデカンタ式遠心分離機１
において、回転部３に沿って、回転部３を覆うように設
けられた非回転部８と回転部３の少なくとも一方に、固
形分排出口５に向かって回転部３の回転方向とは逆向き
となるように形成されたスパイラル溝１８ａ，１８ｂを
形成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、原液スラリーを固
形分と分離液とに分離するデカンタ式遠心分離機に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】デカンタ式遠心分離機は、化学工場での
樹脂の脱水、触媒・酸化防止剤の回収、カオリン酸化チ
タンの分級等、遠心力場での固液分離が必要となる場所
で多く使用されている。

【０００３】まず、図４に、立型のデカンタ式遠心分離
機の従来例を示す。立型デカンタ式遠心分離機１００
は、主電動機１０１により高速回転する主回転体１０２
と、主回転体１０２に内接すると共に主回転体１０２に
対して差動回転可能なスクリュウコンベア１０３と、主
回転体１０２を取り巻くように設けられた外部ハウジン
グ１０４と、原液スラリーを供給するための原液スラリ
ー供給管１０５とから主要部が構成されている。なお、
主回転体１０２は、外部ハウジング１０４に軸支された
上部回転軸１０６と、円筒形状を有する回転ボウル１０
７と、回転ボウル１０７の下端に連結されて、スクリュ
ウコンベア１０３を軸支するスクリュウ軸ハウジング１
０８とを含んで構成されている。

【０００４】次に、立型デカンタ式遠心分離機１００の
作用について説明する。原液スラリー供給管１０５から
原液スラリーを高速回転する回転ボウル１０７内に供給
すると、原液スラリーは、遠心力により固形分と分離液
とに分離される。分離された固形分は、回転ボウル１０
７に対して差動回転するスクリュウコンベア１０３によ
り回転ボウル１０７の下方に掻き落とされ、回転ボウル
１０７の下端からスクリュウ軸ハウジング１０８内部を
通って、固形分排出口１０９から固形分を主成分とする
洗浄ケーキとして排出される。一方、分離した分離液
は、回転ボウル１０７の上方から溢流した後、分離液排
出口１１０から排出される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな立型デカンタ式遠心分離１００は、回転ボウル１０
７から排出される洗浄ケーキの一部が、主回転体１０２
の回転に起因して発生する風に巻き上げられて外部ハウ
ジング１０４とスクリュウ軸ハウジング１０８との境界
部分１１１に入り込んでしまう可能性があった。洗浄ケ
ーキが、外部ハウジング１０４とスクリュウ軸ハウジン
グ１０８との境界部分１１１に入り込むと、洗浄ケーキ
が境界部分１１１に付着し、主回転体１０２の回転を妨
げたり、立型デカンタ式遠心分離機１００の外側に洗浄
ケーキが噴き出して周囲を汚したりする可能性があっ
た。

【０００６】従って、本発明の解決しようとする課題
は、デカンタ式遠心分離機の固形分排出口近傍の主回転
体と非回転部との境界部分から洗浄ケーキがデカンタ式
遠心分離機の外側に噴き出したり、境界部分に洗浄ケー
キが付着することを防止することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１に係る
発明は、原液スラリー供給管から供給された原液スラリ
ーを、高速回転する回転ボウルを含む主回転体と、前記
主回転体に内設されると共に回転ボウルに対して差動回
転可能なスクリュウコンベアとを含む回転部により分離
液と固形分に分離し、分離液を分離液排出口から取り出
し、固形分を固形分排出口から取り出すデカンタ式遠心
分離機であって、回転部に沿って、回転部を覆うように
設けられた非回転部と回転部の少なくとも一方に、固形
分排出口に向かって回転部の回転方向とは逆向きとなる
ように形成されたスパイラル溝を有することを特徴とす
るデカンタ式遠心分離機とした。

【０００８】請求項１に記載のデカンタ式遠心分離機に
よれば、主回転体と非回転部との境界部分において、回
転部または非回転部の少なくとも一方に、固形分排出口
に向かって回転部の回転方向とは逆方向となるようなス
パイラル溝を形成することで、デカンタ式遠心分離機の
外側から、境界部分に向けて外気を導入することができ
る。従って、回転部と非回転部との境界部分の近傍に排
出された洗浄ケーキがデカンタ式遠心分離機の外側に噴
き出したり、境界部分に付着することを防止できる。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照
して説明する。なお、本実施の形態は、立型デカンタ式
遠心分離機として説明をする。図１に示すように、立型
デカンタ式遠心分離機１は、上端に設けられた原液スラ
リー供給管２から供給された原液スラリーを高速回転す
る回転部３により分離液と固形分に分離し、分離液を立
型デカンタ式遠心分離機１の側面に形成された分離液排
出口４から取り出し、固形分を回転部３の下側に形成さ
れた固形分排出口５から取り出すものである。

【００１０】ここで、立型デカンタ式遠心分離機１の回
転部３は、立型デカンタ式遠心分離機１の上部の主電動
機６を含む回転駆動部７により１０００〜３５００ｒｐ
ｍで高速回転する主回転体１０と、主回転体１０に内設
され、差動手段である差速電動機２１および差速装置２
２により主回転体１０に対して差動回転が可能なスクリ
ュウコンベア２０とに大別することができる。なお、回
転駆動部７は、主電動機６と、主電動機６の回転を上部
回転軸１１に伝えるためのプーリ７ａ、７ａとＶ溝ベル
ト７ｂとを有している。

【００１１】主回転体１０は、回転駆動部７に軸支され
た上部回転軸１１と、上部端板１２を介して上部回転軸
１１に連結された円筒形状の回転ボウル１３と、回転ボ
ウル１３の下端に固定されたスクリュウ軸ハウジング１
４と、スクリュウコンベア２０を差速回転させる差速装
置２２とからなっている。

【００１２】上部回転軸１１は、回転中心部に挿管孔が
形成されており、原液スラリー供給管２が挿入される。
また、上部端板１２は、分離液を回転部３から溢流させ
るための複数の分離液溢流口１２ａを有する蓋状の部材
であり、回転ボウル１３の上端を塞ぐように配置されて
いる。さらに、回転ボウル１３は、回転により生じる遠
心力で、原液スラリーを固形分と分離液とに分離するた
めのもので、円筒形状を有している。回転ボウル１３の
下方は、スクリュウ軸ハウジング１４に向けて内径が小
さくなると共に、スクリュウ軸ハウジング１４と連結す
るためのフランジ１３ａを有している。

【００１３】図２、および、図３（ａ）、（ｂ）に示す
ように、スクリュウ軸ハウジング１４は、スクリュウコ
ンベア２０をベアリングにより軸支するハウジング本体
部１５と、ハウジング本体部１５の周縁部に複数のスペ
ーサ１６を介して取り付けられたサポートリング１７と
を有している。なお、スクリュウ軸ハウジング１４のサ
ポートリング１７は、回転ボウル１３のフランジ１３ａ
と連結されており、回転ボウル１３およびスクリュウ軸
ハウジング１４は、上部回転軸１１の回転中心を回転軸
として、高速回転することができる。

【００１４】ハウジング本体部１５は、図３（ｂ）に示
すように、回転中心部に、スクリュウ軸２３が貫通する
開口部を有すると共に、ハウジング本体部１５の側面
は、中央部から縁部にかけて降り勾配を有するテーパを
形成している。また、ハウジング本体部１５の外側面に
は、スパイラル溝１８ａが複数形成されている。スパイ
ラル溝１８ａの向きは、図２の下方に示す回転部３の回
転方向Ｒの向きに対して、スパイラル溝１８ａの上方に
位置する固形分排出口５に向かって逆ねじになるような
向きに形成されている。さらに、サポートリング１７の
側面にも、スパイラル溝１８ｂが複数形成されている。
スパイラル溝１８ｂの向きは、回転部３の回転方向であ
る矢印Ｒの向きに対して、スパイラル溝１８ｂの下方に
位置する固形分排出口５に向かって逆ねじになるような
向きに形成されている。

【００１５】スクリュウコンベア２０は、立型デカンタ
式遠心分離機１の下方に位置する差速電動機２１および
差速装置２２により主回転体１０に対して、所定回転数
だけ減速して回転するものである。スクリュウコンベア
２０は、上部が主回転体１０の上部回転軸１１にベアリ
ング等で軸支されると共に、下部が差速装置２２および
スクリュウ軸ハウジング１４に軸支された回転対称体で
あるスクリュウ軸２３と、スクリュウ軸２３の外周を螺
旋状に覆うスクリュウ羽根２４とからなっている。

【００１６】スクリュウ軸２３は、原液スラリーを供給
するための空間である供給ゾーンを有する一部中空の部
材であり、スクリュウ羽根２４は、回転ボウル１３の内
壁に一定のクリアランスを有して近接しており、スクリ
ュウ羽根２４の下端は、回転ボウル１３の下端と一致す
るように設けられている。

【００１７】外部ハウジング８は、主回転体１０から所
定距離置いて配置された外筒８ａと、図２に示すように
回転ボウル１３のフランジ１３ａ、および、スクリュウ
軸ハウジング１４の回転方向に沿うように設けられたケ
ーシング８ｂとを有している。ケーシング８ｂは、図１
に示すように、切欠部２５を有しており、この切欠部２
５が、分離後の洗浄ケーキを排出する固形分排出口５を
形成している。また、切欠部２５には固形分を立型デカ
ンタ式遠心分離機１の外部に排出するための固形分排出
シュート２６が取り付けられている。

【００１８】次に、このような立型デカンタ式遠心分離
機１を用いて原液スラリーを分離する手順について説明
する。まず、主電動機６および差動電動機２１を作動さ
せ、主回転体１０およびスクリュウコンベア２０を高速
で回転させた後に、原液スラリー供給管２から、原液ス
ラリーを回転部３内に供給する。

【００１９】回転ボウル１３の内壁に噴き付けられた原
液スラリーは、回転ボウル１３の回転による遠心力を受
ける。ここで、原液スラリーの固体分と液体分とは比重
が異なるため、回転ボウル１３の内壁に近い方が固形分
に、回転ボウル１３の内壁から遠い方が分離液に分離さ
れる。

【００２０】分離した固形分は、回転ボウル１３に対し
て差速回転するスクリュウ羽根２４により、回転ボウル
１３の下方へと掻き落とされながら脱液され、回転ボウ
ル１３の下端から固形分を主成分とする洗浄ケーキとし
て固形分排出口５から排出される。一方、分離液は、内
径が小さくなる回転ボウル１３の下方からは流出せず
に、回転ボウル１３の上方の分離液溢流口１２ａから溢
流し、立型デカンタ式遠心分離１の側面の分離液排出口
４から排出される。

【００２１】ここで、スパイラル溝１８ａ，１８ｂの向
きは、固形分排出口５の形成位置に向かって回転部３の
回転方向とは逆向きに形成されているので、回転部３が
回転している間は、スパイラル溝１８ａの下方から上方
へ向かって外気が流れ、スパイラル溝１８ｂにおいて
は、上方から下方に向かって外気が流れる。これによ
り、スクリュウ軸ハウジング１４内には境界部２７ａか
らは上向きに外気が、境界部２７ｂからは下向きに外気
が噴き出すので、スクリュウ軸ハウジング１４とケーシ
ング８ｂの境界部分２７ａ，２７ｂの近傍に排出された
洗浄ケーキは、外気によって噴き飛ばされる。従って、
スクリュウ軸ハウジング１４とケーシング８ｂの間にシ
ール性が向上し、境界部分２７ａ，２７ｂに洗浄ケーキ
が入り込まないので、スクリュウ軸ハウジング１４とケ
ーシング８ｂの間に洗浄ケーキの固形分が付着して回転
部３の回転を妨げたり、洗浄ケーキが境界部分２７ａ，
２７ｂから立型デカンタ式遠心分離機１の外側に排出す
ることを防止できる。

【００２２】なお、本発明は実施の形態に限定されるも
のではなく、広く応用して用いることができる。例え
ば、本実施の形態においては、固形分排出口５に向かっ
て回転方向と逆向きのスパイラル溝１８ａ，１８ｂを回
転部３に有する立型デカンタ式遠心分離機１としたが、
これを横型デカンタ式遠心分離機に適用しても良い。

【００２３】また、サポートリング１７にスパイラル溝
１８ｂを形成する代わりに、回転ボウル１３にスパイラ
ル溝を形成することもできる。さらに、回転部３にスパ
イラル溝１８ａ，１８ｂを形成せずに、外部ハウジング
８にスパイラル溝を形成しても良い。また、回転部３と
外部ハウジング８の両方にスパイラル溝を形成すること
もできる。そして、スパイラル溝１８ａ，１８ｂはどち
らか一方のみの形成としても良い。また、図１において
立型デカンタ式遠心分離機１は固形分排出口５を一つだ
け有しているが、ケーシング８ｂに複数の切欠部２５を
設けて、固形分排出口５を複数形成しても良い。

【００２４】

【発明の効果】本発明は、デカンタ式遠心分離機の主回
転体と非回転部である外部ハウジングの境界部分におい
て、固形分排出口に向かって回転部の回転方向と逆方向
となるようなスパイラル溝を主回転体に形成し、境界部
分から洗浄ケーキの排出口に向けて外気を導入する構成
とした。従って、回転部と非回転部との間のシール性が
向上し、洗浄ケーキが境界部分に入り込まないので、回
転部と非回転部との間に洗浄ケーキの固形分が付着して
回転部の回転を妨げたり、洗浄ケーキが境界部分からデ
カンタ式遠心分離機の外側に排出することを防止でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の立型デカンタ式遠心分離機を示す縦
断面図である。

【図２】 本発明の立型デカンタ式遠心分離機の一部拡
大縦断面図である。

【図３】 本発明の立型デカンタ式遠心分離機に用いら
れるスクリュウ軸ハウジングの（ａ）上面図、（ｂ）一
部破断側面図である。

【図４】 従来の立型デカンタ式遠心分離機を示す縦断
面図である。

【符号の説明】

１ 立型デカンタ式遠心分離機 ２ 原液スラリー供給管 ３ 回転部 ４ 分離液排出口 ５ 固形分排出口 ７ 外部ハウジング （非回転部） １０ 主回転体 １３ 回転ボウル １４ スクリュウ軸ハウジング １５ ハウジング本体部 １６ スペーサ １７ サポートリング １８ スパイラル溝 ２０ スクリュウコンベア ２４ スクリュウ羽根

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 原液スラリー供給管から供給された原液
   スラリーを、高速回転する回転ボウルを含む主回転体
   と、前記主回転体に内設されると共に前記回転ボウルに
   対して差動回転可能なスクリュウコンベアとを含む回転
   部により分離液と固形分に分離し、分離液を分離液排出
   口から取り出し、固形分を固形分排出口から取り出すデ
   カンタ式遠心分離機であって、 前記回転部に沿って、前記回転部を覆うように設けられ
   た非回転部と前記回転部の少なくとも一方に、前記固形
   分排出口に向かって前記回転部の回転方向とは逆向きと
   なるように形成されたスパイラル溝を有することを特徴
   とするデカンタ式遠心分離機。