JP2001329891A - 火花点火式エンジン - Google Patents

火花点火式エンジン

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JP2001329891A JP2000152530A JP2000152530A JP2001329891A JP 2001329891 A JP2001329891 A JP 2001329891A JP 2000152530 A JP2000152530 A JP 2000152530A JP 2000152530 A JP2000152530 A JP 2000152530A JP 2001329891 A JP2001329891 A JP 2001329891A
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健 梅原
Yoshihisa Nooi
芳尚 乃生
Keiji Araki
啓二 荒木
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 定常運転状態から加速運転に移行するとき
に、回転毎の同期噴射とは別に燃料増量のために非同期
噴射を行うとともに、特にアイドル運転状態から加速運
転に移行するときには、加速開始に伴い最初に圧縮圧力
が実質的に増大する1番目の気筒2において混合気の空
燃比が所定のリッチ側ガード値を超えないように、非同
期噴射のパルス幅を変更補正するようにした火花点火式
エンジン1において、加速運転性のさらなる向上を図
る。 【解決手段】 エンジン1がアイドル運転状態になって
いて、かつ加速開始条件の成立が判定されたときに(S
A4)、少なくとも1番目の気筒に対する非同期噴射の
パルス幅を加速判定タイミングに応じて変更補正する
(SA5)。噴射パルス幅をアイドル運転状態のときの
エンジン回転速度Neに応じて補正する(SA6)。噴射
パルス幅を、気筒2内に流入する吸気の温度状態に応じ
て補正するようにしてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の発進時等に
異常燃焼の発生することを防止すべく、加速開始のため
の燃料増量を規制するようにした火花点火式エンジンに
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、火花点火式エンジンが定常運転
状態から加速運転状態に移行するときには、エンジン回
転毎の燃料噴射(以下、同期噴射という)とは別に、燃
料増量のためにエンジン回転に同期しない燃料噴射(以
下、非同期噴射という)が行われる(例えば、特公平7
−33783号公報を参照)。すなわち、例えば車両に
搭載された多気筒エンジンの場合、定常運転状態では各
気筒毎に排気行程の後期から吸気行程にかけて、インジ
ェクタにより吸気ポート内に燃料が同期噴射されるが、
該車両の運転者によりスロットル弁が開作動されたとき
には、直ちに全気筒について非同期噴射が行われる。こ
れにより、吸入空気量の増大に対して遅れなく全ての気
筒への燃料供給量を増加させ、混合気の希薄化を回避し
て、車両の加速運転性を高めることができる。
【0003】ところで、近年、熱効率の向上のためにエ
ンジンを高圧縮比の仕様とし、また燃費低減のためにア
イドル運転時の目標エンジン回転速度(以下、単にアイ
ドル回転速度ともいう)をできるだけ低く設定すること
が行われており、このようにした場合、車両の急発進時
等にスロットル弁が大きく開かれた瞬間に、プリイグニ
ッションと呼ばれる異常燃焼(高負荷時の点火後に発生
する過早着火とは相違する燃焼)が発生することがあ
る。これは、エンジンの回転速度が低いにもかかわら
ず、気筒内に多量の混合気が供給され、この混合気が圧
縮上死点(TDC)近傍で点火前に自己着火し、一気に燃
焼することによると考えられており、その際、通常の火
炎伝播に伴う燃焼よりも遙かに大きな圧力上昇が生じる
ので、運転者に不快感を与えるような大きな異音が発生
するものである。
【0004】詳しくは、図17に模式的に示すように、
エンジンの気筒内の混合気は圧縮行程終盤の圧力上昇に
伴いθa点で活性化して化学反応(前炎反応)を開始
し、発火遅れ期間τabを経てθb点で急激な異常燃焼に
至る。この際、同図に示すように混合気の自己着火点θ
b(クランク角度)が気筒の圧縮上死点(TDC)に近け
れば、近いほど、異常燃焼による圧力上昇の度合いが大
きくなり、大きな異音が発生する。
【0005】この点について、前記自己着火点θbは、
混合気の空燃比によって変化することは知られている。
すなわち、図18に丸印で示すように、前炎反応の開始
点θa(クランク角度)は空燃比A/F(Air/Fuel Ratio)
の希薄化によって進角する傾向にあり、また、同図に棒
グラフで示すように、発火遅れ期間τab(クランク角
度)の時間間隔は空燃比A/Fが11くらいのときに最短
となるので、同図に三角印で示すように、自己着火点θ
bは空燃比が12くらいのときに最もTDCに接近す
る。さらに、前記発火遅れ期間τabの時間間隔は、エン
ジン回転速度が変わってもあまり変化しないので、発火
遅れ期間τabは前記図17においてエンジン回転速度が
低くなるほど短くなり、従って、結局、自己着火点θb
は、アイドル運転状態のときのエンジン回転速度が低い
ほど、また、加速開始時に混合気の空燃比A/Fが濃くな
るほど、TDCに接近して、異常燃焼による異音が大き
くなる傾向にある。
【0006】これに対し、前記従来例のエンジンでは、
加速開始時の非同期噴射のタイミングによって混合気の
空燃比が過度にリッチ化する気筒があり、この気筒にお
いてプリイグニッションが誘発されるという問題があ
る。すなわち、例えば車両の発進時にスロットル弁が全
開状態にされると、サージタンク内で暖められた高温の
空気が各気筒に供給され、これとともに非同期噴射が行
われる。このとき、ちょうど吸気行程にある気筒では、
空気の輸送遅れのために気筒への吸気充填量が最大値に
はならないにもかかわらず、非同期噴射によって所定量
の燃料が追加供給されて、高温かつ過度にリッチな状態
になるので、プリイグニッションが誘発されることにな
るのである。
【0007】このように非同期噴射によってプリイグニ
ッションが誘発されるという問題を解決するために、エ
ンジンがアイドル運転状態から加速運転に移行するとき
に、その加速開始のタイミングを考慮して、一部の気筒
については非同期噴射による燃料増量を規制することも
提案されている。例えば、特開平11−210536号
公報に開示される多気筒エンジンの燃料制御装置は、ス
ロットル弁が開かれてエンジンがアイドル運転状態から
加速運転に移行するときに、前記スロットル弁の開作動
により吸気充填量が増大して、最初に圧縮圧力が実質的
に増大する1番目の気筒について、当該気筒の空燃比が
所定のリッチ側ガード値を超えないように、非同期噴射
による燃料の増量を規制するようにしている。
【0008】ここで、前記1番目の気筒というのは、ス
ロットル弁の開作動に伴い吸気充填量が増大して、圧縮
上死点における気筒内圧力が混合気の自発火し得る程度
にまで十分に高くなる気筒のことであり、この気筒にお
いて前記したように空燃比が過度にリッチな状態になれ
ば、自ずとプリイグニッションが発生することになる。
例えば、この1番目の気筒というのは、前記スロットル
弁の開作動時に排気行程の終期から吸気行程の中期にあ
る気筒である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の如
く、燃費低減のためにエンジンのアイドル回転速度をで
きるだけ低くするといっても、通常、例えば補機類の作
動時等にはアイドル回転速度はやや高くなるように補正
される。こうして、アイドル運転状態のときのエンジン
回転速度が高くなれば、前記図17において自己着火点
θbが遅角側に移動することから、プリイグニッション
の発生する可能性が低くなり、仮に発生したとしてもそ
のときの圧力上昇の度合いが小さくなって、異音も気に
ならない程度に小さくなる。一方で、補機類の作動時に
はエンジンへの負荷がやや大きくなるので、加速初期の
もたつきが大きくなったり、運転者が加速性に不満を感
じたりしやすい。
【0010】さらに、プリイグニッションの発生し易さ
は吸気の温度状態によっても大きく左右される。例えば
エンジンが未暖機状態であれば、車両のエンジンルーム
内の温度状態も低いので、吸気の温度状態も低くなり、
このときにはプリイグニッションの発生を考慮する必要
はない。
【0011】これに対し、前記提案例(特開平11−2
10536号)のエンジンでは、加速運転の開始時に圧
縮圧力が実質的に増大する1番目の気筒については、ア
イドル運転時のエンジン回転速度やそのときの吸気の温
度状態にかかわらず、燃料の増量を規制するようにして
いるので、前記のようにプリイグニッションの発生する
可能性の極めて低い状況であっても燃料増量が規制され
てしまうことになり、加速運転性という観点では改善の
余地が残されている。
【0012】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、アイドル運転状態から
加速運転に移行するときに、プリイグニッションを防止
すべく一部の気筒への燃料増量を規制するようにした火
花点火式エンジンにおいて、その規制の度合いに工夫を
凝らすことで、エンジンの加速運転性についてさらなる
向上を図ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の第1の解決手段では、エンジンがアイドル
運転状態から加速運転に移行するときに、加速運転の開
始に伴い最初に圧縮圧力が実質的に増大する1番目の気
筒への燃料増量を規制するとともに、その規制の度合い
をアイドル運転状態のときのエンジン回転速度に応じて
変更するようにした。
【0014】具体的に、請求項1の発明では、エンジン
の加速運転の開始条件が成立したことを判定する加速開
始判定手段と、該加速開始判定手段によりエンジンの加
速開始条件の成立が判定されたとき、加速のための燃料
増量を行う燃料増量手段と、エンジンがアイドル運転状
態から加速運転に移行するときに、加速運転の開始に伴
い吸気充填量の増大によって最初に圧縮圧力が実質的に
増大する1番目の気筒の空燃比が、所定のリッチ側ガー
ド値を超えないように、前記燃料増量手段による燃料の
増量を規制する燃料増量規制手段とを備えた火花点火式
エンジンを前提とする。そして、前記加速開始判定手段
によりエンジンの加速開始条件の成立が判定されたと
き、そのときのエンジン回転速度が設定回転速度よりも
高いときには、エンジン回転速度が設定回転速度以下の
ときに比べて、前記リッチ側ガード値を相対的にリッチ
側の値になるように補正するガード値補正手段を設ける
構成とする。
【0015】前記の構成により、エンジンがアイドル運
転状態から加速運転に移行するときには、加速開始判定
手段によりエンジンの加速開始条件の成立が判定された
ときに、その判定の後に最初にプリイグニッションの発
生が予想される1番目の気筒において、混合気の空燃比
が所定のリッチ側ガード値を超えないように、燃料増量
手段による燃料の増量が燃料増量規制手段により規制さ
れる。このことで、前記1番目の気筒において混合気の
空燃比が過度にリッチな状態になることはなくなり、プ
リイグニッションの発生が防止される。
【0016】その際、前記加速開始判定手段により加速
開始条件の成立が判定されたときのエンジン回転速度に
基づいて、ガード値補正手段により、該エンジン回転速
度が設定回転速度よりも高いときにはそうでないときに
比べて前記リッチ側ガード値が相対的にリッチ側(出力
空燃比側)の値になるように補正される。このことで、
アイドル運転状態のときのエンジン回転速度が相対的に
高いときには、燃料増量規制手段による燃料増量の規制
の度合いが相対的に小さくなり、1番目の気筒の空燃比
が相対的にリッチな状態になって、エンジン出力が高め
られる。
【0017】つまり、エンジンのアイドル回転速度に応
じて、そこからの加速開始時における燃料増量の度合い
を変更することにより、プリイグニッションを確実に防
止しながら、加速のための燃料増量は十分に行って、エ
ンジンの加速運転性を十分に高めることができる。
【0018】請求項2の発明では、燃料増量規制手段
を、エンジン暖機状態で燃料増量手段による燃料増量を
規制する一方、エンジン未暖機状態では燃料増量の規制
は行わないものとする。このことで、エンジンが暖機後
のアイドル運転状態のときには請求項1の発明の作用効
果が得られ、その分、アイドル回転速度を低く設定すれ
ば、燃費の低減を徹底できる。一方、エンジンの未暖機
時には通常はアイドル回転速度が高めに設定される上
に、吸気温度も低くなるので、プリイグニッションの心
配はない。
【0019】請求項3の発明では、気筒内に流入する吸
気の温度状態を検出するための吸気温度検出手段と、ア
イドル運転状態のときのエンジン回転速度を、前記吸気
温度検出手段による検出温度が高いほど、高くなるよう
に補正するアイドル回転速度制御手段とを備える構成と
する。このことで、一般的にプリイグニッションは気筒
内の吸気の温度状態が高いほど発生し易く、吸気の温度
状態が低いときには発生しにくいので、この吸気の温度
状態に応じてエンジンのアイドル回転速度を変更するこ
とにより、プリイグニッションの回避と加速性能の向上
とをさらに高い次元で両立することができる。
【0020】請求項4の発明では、車両の走行状態を判
定する走行状態判定手段と、アイドル運転状態のときの
エンジン回転速度を、前記走行状態判定手段により車両
が走行状態であると判定されたときにはそうでないとき
よりも高くなるように制御するアイドル回転速度制御手
段とを備える構成とする。このことで、車両が走行状態
のときには、エンジンがアイドル運転状態になっていて
もその回転速度を相対的に高く維持することができ、こ
れにより車両の再加速性を向上できる。尚、車両が停止
すればエンジン回転速度は通常通り低くされるので、車
両の走行中にアイドル回転速度を高くしても、燃費の悪
化はそれほど大きくはない。
【0021】請求項5の発明では、車両の走行状態を判
定する走行状態判定手段と、該走行状態判定手段により
車両が減速走行状態にあると判定されたときに、エンジ
ンのアイドル運転状態への移行を遅延させる遅延制御手
段とを備える構成とする。
【0022】このことで、車両が減速走行状態のときに
はエンジンのアイドル運転状態への移行が遅延制御手段
により遅延されて、エンジン回転速度が通常のアイドル
回転速度よりも高く保たれ、これにより、減速後の車両
の再加速性が十分に高められる。
【0023】次に、本発明の第2の解決手段では、エン
ジンがアイドル運転状態から加速運転に移行するとき
に、加速運転の開始に伴い最初に圧縮圧力の実質的に増
大する1番目の気筒への燃料増量を規制するとともに、
その規制の度合いを吸気の温度状態に応じて変更するよ
うにした。
【0024】具体的に、請求項6の発明は、エンジンの
加速運転の開始条件が成立したことを判定する加速開始
判定手段と、該加速開始判定手段によりエンジンの加速
開始条件の成立が判定されたとき、加速のための燃料増
量を行う燃料増量手段と、エンジンが暖機状態でかつア
イドル運転状態から加速運転に移行するときに、加速運
転の開始に伴い吸気充填量の増大によって最初に圧縮圧
力が実質的に増大する1番目の気筒の空燃比が、所定の
リッチ側ガード値を超えないように、前記燃料増量手段
による燃料の増量を規制する燃料増量規制手段とを備え
た火花点火式エンジンを前提とする。そして、気筒内に
流入する吸気の温度状態を検出するための吸気温度検出
手段と、アイドル運転状態のときのエンジン回転速度
を、前記吸気温度検出手段による検出温度が設定温度よ
りも高いときには、そうでないときに比べて高回転速度
となるように制御するアイドル回転速度制御手段とを備
える構成とする。
【0025】前記の構成によれば、請求項1の発明と同
様に、エンジンがアイドル運転状態から加速運転に移行
するときに、加速開始判定手段による判定の後に最初に
プリイグニッションの発生が予想される1番目の気筒に
おいて燃料の増量が規制され、このことで、前記気筒に
おけるプリイグニッションの発生が防止される。
【0026】また、エンジンがアイドル運転状態のとき
に、そのときの気筒内の吸気の温度状態に応じて、アイ
ドル回転速度制御手段によりエンジン回転速度が制御さ
れる。このことで、一般的にプリイグニッション発生し
易い吸気温度の高い状況では、アイドル運転状態のとき
に予めエンジン回転速度が高められているので、加速の
ための燃料増量を大幅に規制しなくてもプリイグニッシ
ョンを防止することができ、よって、エンジンの加速運
転性を最大限に高めることができる。一方、吸気温度が
相対的に低ければ、それだけプリイグニッションの発生
する可能性は低くなるので、アイドル運転状態のときの
エンジン回転速度を相対的に低くなるように制御して、
燃費を低減することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0028】(実施形態1)図1は、本発明の実施形態
1に係る直列4気筒4サイクルガソリンエンジン1を示
す。このエンジン1は、気筒の圧縮比が9.5以上の高
圧縮比仕様のものであり、図示しないが、オートマチッ
クトランスミッションを装備した車両に搭載されてい
る。また、このエンジン1は、4つの気筒2,2,…
(1つのみ図示する)を有するシリンダブロック3と、
該シリンダブロック3の上面に組付けられたシリンダヘ
ッド4と、各気筒2内に往復動可能に嵌装されたピスト
ン5とを備え、前記各気筒2内にはピストン5及びシリ
ンダヘッド3により囲まれて燃焼室6が区画されてい
る。さらに、燃焼室6の上部には点火プラグ7が臨設さ
れ、該点火プラグ7はイグナイタ等を含む点火回路8に
接続されている。すなわち、このエンジン1は、各気筒
2内の燃焼室6に供給される混合気に点火プラグ7によ
り点火するようにした火花点火式エンジンである。
【0029】エンジン1の一側(図の左側)の側面に
は、各気筒2の燃焼室6に吸気を供給するための吸気通
路10が接続されている。すなわち、この吸気通路10
の下流端が吸気弁9を介して燃焼室6に連通されている
一方、吸気通路10の上流端は外部から導入される新し
い空気を濾過するためのエアクリーナ11に接続されて
おり、このエアクリーナ11には前記空気の温度状態を
検出するための吸気温センサ12が配設されている。ま
た、吸気通路10には上流側から順に、エンジン1に吸
入される吸入空気量を検出するエアフローセンサ13
と、吸気通路10を絞るスロットル弁14と、サージタ
ンク15と、各気筒2毎に独立に燃料を噴射供給する4
つのインジェクタ16,16,…(図には1つのみ示
す)とが配設されている。
【0030】前記スロットル弁14は、図示しないが、
車両のアクセルペダルに機械的に連結されていて、該ア
クセルペダルが車両の運転者により踏み操作されると、
その操作量に応じて開かれるようになっている。また、
スロットル弁14にはその開度を検出するポテンショメ
ータ等からなるスロットル開度センサ17が付設されて
いる。さらに、スロットル弁14の上下流の吸気通路1
0は、ISC(Idle Speed Control)用バイパス通路1
8により接続されているとともに、このバイパス通路1
8にはその断面積を絞るように電磁弁からなるISC制
御弁19が設けられている。そして、エンジン1がアイ
ドル運転状態のときには前記ISC制御弁19を開閉す
るデューティー比(開度)を制御することで、バイパス
通路18による吸気流量を調節して、エンジン1の回転
速度(以下、単にアイドル回転速度ともいう)を変更で
きるようになっている。
【0031】一方、エンジン1の反対側の側面(図の右
側面)には、各気筒2の燃焼室6から既燃ガス(排気)
を排出するための排気通路20が接続されている。この
排気通路20の上流端は排気弁21を介して燃焼室6に
連通されているとともに、上流側から順に、排気中の酸
素濃度を基に混合気の空燃比を検出するためのO2セン
サ22と、排気を浄化するための三元触媒からなる触媒
コンバータ23とが配設されている。また、前記O2セ
ンサ22よりも上流側の排気通路20には、排気の一部
を吸気通路10に還流するための排気還流通路24が分
岐接続されていて、この排気還流通路24の下流端が前
記スロットル弁14とサージタンク15との間の吸気通
路10に接続されている。また、排気還流通路24の下
流端寄りには開度調節可能な電気式の排気還流制御弁2
5が配設されていて、排気通路24を還流される排気の
流量を調節できるようになっている。
【0032】また、エンジン1のシリンダブロック3内
には、図示しないクランクシャフトの回転角を検出する
電磁ピックアップ等からなるクランク角センサ26が設
けられている。このクランク角センサ26は、クランク
シャフトの端部に設けた被検出用プレート27の外周に
対応する箇所に配置され、該被検出用プレート27がク
ランクシャフトの回転とともに回転されたとき、その外
周部に突設された4つの突起部の通過に応じて、各気筒
2毎の上死点位置を0度として、例えば−6度、104
度、174度、284度のクランク角位置ににそれぞれ
対応するパルス信号を出力する。さらに、前記シリンダ
ブロック3のウォータジャケット(図示せず)に臨設し
て、冷却水の温度状態を検出する水温センサ28が設け
られている。
【0033】前記吸気温センサ12、エアフローセンサ
13、スロットル開度センサ17、O2センサ22、ク
ランク角センサ26、水温センサ28からの各出力信号
は、マイクロコンピュータ等により構成されたECU
(Electronic Control Unit)30に入力されるように
なっている。一方、このECU30からは、点火回路8
に対し各気筒2毎に点火時期の制御信号が出力されると
ともに、各気筒2毎のインジェクタ16,16,…に対
して燃料噴射量及び噴射タイミングを制御するためのパ
ルス信号が出力される。また、ECU30からISC制
御弁19には、アイドル運転時に外部からの吸入空気量
を調節するように制御信号が出力されるとともに、EC
U30から排気還流制御弁25対しては排気の還流量を
調節するように制御信号が出力される。
【0034】(ECUによる制御の概要)前記ECU3
0による燃料噴射制御としてエンジン1の定常運転状態
では、各センサからの信号に基づいてエンジン1の負荷
状態や回転速度を演算し、それらに対応する分量の燃料
をインジェクタ16により、各気筒2毎に排気行程の後
期から吸気行程にかけてエンジン回転に同期して噴射さ
せるようにしている(同期噴射)。一方、スロットル弁
14が大きく開かれて、加速開始条件が成立したときに
は、直ちに全気筒2のインジェクタ16により加速増量
のための燃料噴射(非同期噴射)が行われるようになっ
ている。
【0035】具体的に、前記ECU30による制御の概
要は図2の機能ブロック図に示されており、このECU
30は、エアフローセンサ13により検出された吸入空
気量Airとクランク角センサ26からのパルス信号に基
づいて求められるエンジン回転速度Neとに応じて、各気
筒2毎の吸気充填効率を演算する充填効率演算部30a
と、その演算された吸気充填効率に対して所定の目標空
燃比となるような燃料噴射量を演算する燃料噴射量演算
部30bと、その演算された燃料噴射量に相当するパル
ス信号をインジェクタ16に出力する同期噴射制御部3
0cとを備えている。
【0036】また、ECU30は、スロットル開度セン
サ17により検出されるスロットル開度accelに基づい
て、エンジン1の加速運転の開始条件が成立したことを
判定する加速開始判定部30dと、該加速開始判定部3
0dによる判定時にインジェクタ16に制御信号を出力
して、燃料増量のための非同期噴射を行わせる非同期噴
射制御部30eとを備えている。
【0037】さらに、ECU30は、スロットル開度ac
cel及びエンジン回転速度Neに基づいて、エンジン1が
アイドル運転状態になっていることを判定するアイドル
判定部30fを備えるとともに、該アイドル判定部30
fによりエンジン1がアイドル運転状態であると判定さ
れ、かつ前記加速判定部30dにより加速運転の開始条
件が成立したと判定されたときには、吸気充填量の増大
によって最初に圧縮圧力が実質的に増大する1番目の気
筒2において空燃比がリッチ側ガード値を超えないよう
に、スロットル弁14の開作動のタイミングに応じて非
同期噴射による燃料増量を規制する燃料増量規制部30
gと、この燃料増量規制部30gによる規制の度合い、
即ち前記空燃比のリッチ側ガード値を、エンジン1のア
イドル回転速度Neに応じて変更補正するガード値補正部
30hとを備えている。
【0038】尚、図示しないが、各気筒2の点火時期は
アイドル運転状態ではTDCよりも前(例えばBTDC10
°CA)とされる一方、そこからエンジン1が加速運転に
移行したときに、前記1番目の気筒2と、続いて点火が
行われる2番目及び3番目の気筒2とにおいてTDCよ
りも以降(例えばATDC10°CA)まで遅角され、その後
の点火気筒2,2,…では徐々に進角されるようになっ
ている。また、前記充填効率演算部30a、燃料噴射量
演算部30b、同期噴射制御部30c、加速開始判定部
30d、非同期噴射制御部30e、アイドル判定部30
f、燃料増量規制部30g及びガード値補正部30h
は、いずれも、ECU30のCPUにより所定の制御プ
ログラムが実行されることによって、具現化されるもの
である。
【0039】以下に、エンジン1がアイドル運転状態か
ら加速運転に移行するときの非同期噴射の制御手順を、
図3に示すフローチャート図に基づいて具体的に説明す
る。尚、エンジン1がアイドル運転状態になっているか
否かの判定は、前記アイドル判定部30fにより行われ
るものであるが、例えば、スロットル開度accelが設定
開度accel0以下(accel≦accel0)、即ちスロットル弁
14が略全閉状態になっていて、かつエンジン回転速度
Neが所定のアイドル判定回転速度N0(例えば650rp
m)以下のときに、エンジン1がアイドル運転状態であ
ると判定されて、以下の制御が行われる。一方、アイド
ル運転状態でなければ以下の制御は行われない。
【0040】まず、同図に示すスタート後のステップS
A1において、各種センサからの出力信号を受け入れ、
そのうちのクランク角センサ26からのパルス信号に基
づいて現在のエンジン回転速度Neを算出するとともに、
スロットル開度センサ17からの入力信号に基づいて現
在のスロットル開度accelを算出する。続いて、ステッ
プSA2では、クランク角センサ26からのパルス信号
に対応してオンオフ切り替えられる回転信号(SGT信
号)がオンになる時期(Lエッジ)であるか否かを判定
する。そして、SGTLエッジであるYESならば、例
えば数ミリ秒毎にカウントアップされるカウンタをリセ
ットする一方、SGTLエッジでないNOならば、カウ
ンタをリセットせずにステップSA4に進む。
【0041】ここで、前記SGT信号は、図4に示すよ
うに、エンジン1の各気筒2における吸気上死点位置
(TDC)を0度として、−76度(76°BTDCの
クランク角でオンになり、続いて−6度(6°BTD
C)のクランク角でオフに、さらに104度(104°
ATDC)でオン、174度(174°ATDC)でオ
フというように交互にオンオフ切り換えられるものであ
る。従って、SGTLエッジを検出する毎にカウンタを
リセットするようにすれば、カウンタ値に基づいて各気
筒2の排気行程の後期から吸気行程中期に至るクランク
角位置を正確に検出することができる。ここで、気筒の
排気行程や吸気行程の前期、中期及び後期というのは、
それぞれ各行程を略3等分したものとすればよい。
【0042】前記ステップSA3に続くステップSA4
では、スロットル開度accelの前回値から今回値への増
大変化に基づいて、エンジン1の加速運転の開始条件が
成立したか否かを判定する。すなわち、スロットル開度
accelの変化が小さく加速開始でないNOと判定されれ
ばリターンする一方、スロットル開度accelが所定量以
上、増大変化していて、加速開始であるYESと判定さ
れればステップSA5に進み、非同期噴射の燃料噴射量
に対応するインジェクタ16の噴射パルス幅を算出す
る。例えば、図5に示すように予めECU30のROM
に電子的に格納されたマップを参照して、前記カウンタ
値に基づいて噴射パルス幅を算出する。
【0043】ここで、前記図5のマップにおいては、加
速開始条件の成立が判定された後、最初に圧縮圧力が実
質的に増大する1番目の気筒に対する非同期噴射の噴射
パルス幅が、該1番目の気筒のクランク角位置に対応す
るカウンタ値に応じて設定されている。具体的には、エ
ンジン1の加速開始判定時点で前記1番目の気筒が排気
行程の中期から終盤(例えば76°BTDC〜6°BT
DC)にあるときには、噴射パルス幅は最大値で略一定
とされる一方、前記1番目の気筒が排気行程の終盤から
吸気行程の中期(例えば6°BTDC〜104°ATD
C)にあるときには、噴射パルス幅は、前記加速開始判
定時点が遅いほど小さくなるように設定されている。言
い換えると、非同期噴射の燃料噴射量は、1番目の気筒
2の空燃比が所定のリッチ側ガード値(例えばA/F=略
16)を超えないように規制されている。
【0044】すなわち、仮に非同期噴射による燃料噴射
量を一定にしたとすれば、スロットル弁14が開かれた
ときに吸気行程にある気筒2において、図6に一例を示
すように、混合気の空燃比がスロットル弁14の開弁時
期によって大きく変化してしまう。詳しくは、スロット
ル弁14が開かれたときに吸気行程にある気筒2では、
同図に実線で示すように、スロットル弁14の開弁時期
が遅いほど(図の右側ほど)気筒への吸気充填量が減少
して、気筒内圧力(圧縮TOP圧力)が徐々に低下する
ようになる。このため、その際、非同期噴射のパルス幅
が一定であれば、気筒2への吸気充填量が減少するほ
ど、同図に丸印で示すように混合気の空燃比が濃くなっ
てしまうのである。これに対し、前記したように、非同
期噴射のパルス幅をクランク角位置に応じて短くなるよ
うに設定することで、同図に三角印で示すように空燃比
の変化を抑制することができる。
【0045】前記ステップSA5に続くステップSA6
では、ステップSA5にて算出された燃料噴射パルス幅
をエンジン回転速度Neに応じて補正する。すなわち、前
記ステップSA4においてエンジン1の加速開始条件の
成立が判定されたとき、そのときのアイドル運転状態の
エンジン回転速度Neに基づいて、図7に示すように予め
ECU30のROMに電子的に格納されたマップを参照
して、噴射パルス幅補正率を求める。そして、この噴射
パルス幅補正率を前記ステップSA5で算出した噴射パ
ルス幅に乗算して、最終的な噴射パルス幅を求め、続く
ステップSA7においてインジェクタ16に制御信号を
出力して、前記補正後の噴射パルス幅に対応する分量の
燃料を非同期噴射させ、しかる後にリターンする。
【0046】つまり、加速運転に移行する直前のエンジ
ン回転速度Neに応じて、該エンジン回転速度Neが高いほ
ど、燃料の非同期噴射量を増大補正するようにしてい
る。このことは、加速開始時に最初に圧縮圧力が実質的
に増大する1番目の気筒2に対する空燃比のリッチ側ガ
ード値を、アイドル運転状態のときのエンジン回転速度
Neが高いほど、相対的に出力の高くなるリッチ側の値に
なるように(出力空燃比A/F=12〜13のリッチ側
空燃比に近づくように)補正するということである。
【0047】尚、前記したように加速開始判定と同時に
非同期噴射を行うようにした場合、この非同期噴射と基
本的な同期噴射とが干渉することも考えられるが、この
ときには同期噴射のパルス幅に非同期噴射のパルス幅を
加算して、同期噴射のみを行うようにすればよい。
【0048】前記図3のフローチャート図において、ス
テップSA4が加速開始判定部30dに対応し、また、
ステップSA5〜SA7が非同期噴射制御部30eに対
応しており、特に、ステップSA5及びステップSA6
は、燃料増量規制部30g及びガード値補正部30hに
対応する。
【0049】したがって、この実施形態1では、エンジ
ン1がアイドル運転状態になっていて、かつスロットル
弁14の開作動に基づいてエンジン1の加速開始条件の
成立が判定されたとき、インジェクタ16により直ちに
燃料の非同期噴射が行われて、気筒2内へ十分な量の混
合気をが供給されるようになるので、エンジン1の加速
運転性が良好なものになる。
【0050】その際、該非同期噴射の噴射パルス幅を、
スロットル弁14の開作動のタイミングに応じて変更
し、加速判定時点の後に最初に圧縮圧力が実質的に増大
する1番目の気筒2において混合気の空燃比がリッチ側
ガード値を超えないように規制することにより、当該気
筒2における自己着火、即ちプリイグニッションの発生
を防止することができる。
【0051】斯かる作用効果はこの実施形態のようにオ
ートマチックトランスミッションを装備した車両に搭載
されたエンジン1において、特に有効なものである。す
なわち、マニュアルトランスミッションを装備した車両
の場合は、通常、発進時に運転者がエンジン回転速度を
アイドル回転速度よりも高めてから、クラッチを繋ぐこ
とが多いので、元々、プリイグニッションは発生し難
い。一方、オートマチックトランスミッションの場合、
車両の発進時にはエンジン1がアイドル運転状態から極
低回転状態のまま加速運転に移行することになるので、
元々、プリイグニッションが発生し易いものであり、こ
のようなものにおいて、前記の如く非同期噴射による燃
料増量を規制することの作用効果が極めて有効なものと
なるのである。
【0052】さらに、この実施形態1の火花点火式エン
ジン1では、前記非同期噴射の噴射パルス幅を加速開始
時のエンジン回転速度Neに基づいて補正することで、該
エンジン回転速度Neが高いほど、前記空燃比のリッチ側
ガード値が相対的にリッチ側の値になって、当該気筒2
の空燃比が相対的にリッチな状態になるように、また反
対に、加速開始時のエンジン回転速度Neが低いほど、前
記1番目の気筒2の空燃比が相対的にリーンな状態にな
るようにしている。
【0053】すなわち、図8に一例を示すように、アイ
ドル運転状態のときのエンジン回転速度Neが相対的に高
いほど、1番目の気筒2における混合気の自己着火点θ
bが遅角側に移動し、プリイグニッションの発生する可
能性が低くなるとともに、仮に発生したとしてもそのと
きの圧力上昇の度合いが小さくなって、異音も小さくな
る。そこで、例えばエンジン1の補機等の作動中でエン
ジン回転速度Neが相対的に高いときには、その分、加速
開始時の燃料増量を多めにし、十分な量の燃料供給によ
って1番目の気筒2の空燃比を相対的にリッチな状態と
することで、エンジン出力を高めて、車両の加速性を高
めることができる。
【0054】反対に、エンジン回転速度Neが相対的に低
いときには、1番目の気筒2の空燃比を相対的にリーン
な状態とすることで、プリイグニッションの発生を確実
に防止することができるものである。
【0055】以下に、上述の如きプリイグニッションと
エンジン回転速度との関係をより詳しく調べた実験結果
について、前記図8の他に図9及び図10を参照して説
明する。この実験には、実施形態1の火花点火式エンジ
ン1と同じく直列4気筒ガソリンエンジンを用い、アイ
ドル運転状態のときのエンジン回転速度Neは、基本的に
はNe=550rpmとして、そこからスロットル弁を全開
状態になるように開作動させるとともに、混合気の空燃
比が所定値(例えば、A/F=12くらい)になるように
燃料噴射量を調節して、そのときに最初に圧縮圧力が実
質的に増大する1番目の気筒において、気筒内圧力の変
化を計測したものである。
【0056】尚、実験の際の気筒内に流入する吸気温度
は約90°Cとし、エンジン水温及び油温も約90°C
とした。また、エンジンの各気筒の幾何学的な圧縮比は
9.7であるが、有効圧縮比が8.7になるように、吸
気弁及び排気弁の開閉作動タイミングをそれぞれ設定し
ている。また、燃料はオクタン価91のレギュラーガソ
リンを用いており、排気の還流は行わないようにしてい
る。
【0057】まず、前記図8及び図9に示すように、ア
イドル運転状態のときのエンジン回転速度Ne(Idle Eng
ine Speed)を550〜650rpmの範囲で変化させて
も、混合気の前炎反応開始点θaは殆ど変化しない。こ
れは、気筒内に吸入された混合気が前炎反応を開始する
までの時間は圧縮速度の影響を受けず、主として混合気
の温度状態のみに支配されているためと考えられる。一
方、発火遅れ期間τabは、エンジン回転速度Neの上昇と
ともに長くなり、この結果、混合気の自己着火点θb
は、エンジン回転速度Neが高いほど遅角側に移動するこ
とになる。
【0058】ここで、前記発火遅れ期間τabの時間間隔
は、混合気の圧力や濃度に支配されるもので、これらが
同一であれば変化せず、発火遅れ期間τabのクランク角
度に占める割合はエンジン回転速度Neの上昇に比例して
長くなるはずである。しかし、実際には発火遅れ期間τ
abはエンジン回転速度Neの上昇率以上に長期化する。こ
れは、発火遅れ期間τabの時間間隔が長くなることによ
り、前炎反応期間(即ち、発火遅れ期間τab)の膨張行
程での割合が長くなって、混合気の圧力が低下してしま
い、このことによって前炎反応の速度が低下することに
よると考えられる。
【0059】また、図10は、前記のようにアイドル運
転状態のエンジン回転速度Neを変化させたときの、混合
気の空燃比A/F(Air/Fuel Ratio)と自己着火点θbと
の関係を示したものである。同図によれば、エンジン回
転速度Neの上昇に伴い、自己着火の発生する空燃比A/F
の範囲が狭くなり、さらに自己着火点θbが最も進角す
る空燃比A/Fもリッチ側に移動する。このように空燃比
がリッチ側に移動するのは、エンジン回転速度Neの上昇
に伴い、燃料の気化霧化に要するクランク角期間が長く
なるためであ。また、自己着火の発生する空燃比A/Fの
範囲が狭くなるのは、前記の如く、回転速度の上昇によ
って発火遅れ期間τabの時間間隔が長くなるためである
と考えられる。
【0060】そして、前記図10において、自己着火点
θbがATDC20°CA以前のときが、プリイグニッション
の発生する目安であると仮定すれば、図に実線で示すよ
うにアイドル運転状態のときのエンジン回転速度Neが5
50rpmのときには、混合気の空燃比A/FがA/F≦16の
ときにプリイグニッションが発生してしまうことにな
る。一方、図に大きめの破線で示すように、アイドル運
転状態のときのエンジン回転速度Neが600rpmのとき
には、混合気の空燃比A/FがA/F=12付近になるまでリ
ッチ化しなければ、プリイグニッションは発生しない。
また、エンジン回転速度Neが650rpmになれば、実質
的に加速開始時にプリイグニッションが発生することは
ないということである。
【0061】従って、アイドル運転状態のときのエンジ
ン回転速度Neが通常は550rpmであるとすれば、この
状態からエンジンが加速運転に移行するときのプリイグ
ニッションを防止しようとすれば、少なくとも1番目の
気筒に対する非同期噴射の燃料噴射量をかなり少なくし
なくてはならず、エンジンの加速運転性がある程度低く
なることは避けられないが、エンジン回転速度Neが60
0rpm以上になっていれば、混合気の空燃比A/FをA/F=
13くらいまでリッチな状態にすることができ、こうす
ることで、エンジンの加速運転性を十分に向上させるこ
とができる。
【0062】尚、排気を浄化する触媒の三元浄化作用を
さらに高めるために、エンジン回転速度Neが600rpm
以上のときには混合気の空燃比を略理論空燃比となるよ
うに制御するようにしてもよく、これでもエンジンの加
速運転性は十分に向上する。また、この実施形態では、
アイドル運転状態のときのエンジン回転速度Neが高いほ
ど、非同期噴射による燃料噴射量を増大させて、1番目
の気筒2における混合気の空燃比を相対的にリッチな状
態にさせるようにしているが、これに限らず、例えば、
アイドル運転状態のときのエンジン回転速度Neが設定回
転速度(例えば、600rpm)よりも高いときに、非同
期噴射による燃料噴射量を増大させるようにしてもよ
い。
【0063】(実施形態2)図11は、本発明の実施形
態2に係る制御の概要を示す機能ブロック図である。こ
の実施形態2の火花点火式エンジンは、暖機後において
前記実施形態1と同様の制御を行うことを前提とし、そ
の上で、アイドル運転状態のエンジン回転速度Neを吸気
の温度状態や車両の走行状態に応じて変更するようにし
たものである。尚、エンジン1の全体構成は前記実施形
態1のものと略同じなので、以下、同一部材には同一の
符号を付してその説明は省略する。
【0064】前記図11に示すように、実施形態2のE
CU30は、前記実施形態1と同じく、充填効率演算部
30a、燃料噴射量演算部30b、同期噴射制御部30
c、加速開始判定部30d、非同期噴射制御部30e、
アイドル判定部30f、燃料増量規制部30g、及びガ
ード値補正部30hを備えている。
【0065】これに加えて、ECU30は、ISC制御
弁19の開度を調節して、アイドル運転状態のときのエ
ンジン回転速度を制御するISC制御部30iと、車両
の走行状態を判定する走行状態判定部30jと、吸気温
センサ12により検出される吸気温度Tair及びエンジ
ン水温Twに基づいて、気筒2内に流入する吸気の温度
状態Tair′(検出温度)を推定する気筒内吸気温度推
定部30k(吸気温度検出手段)とを備え、さらに、該
気筒内吸気温度推定部30kにより推定された吸気の温
度状態がが高いほど、アイドル運転状態のときのエンジ
ン回転速度Neを高くなるように補正するとともに、前記
走行状態判定部30jにより車両が減速走行状態にある
と判定されたときには、エンジン1のアイドル運転状態
への移行を遅延させて、エンジン回転速度Neの高い状態
に保持するエンジン回転速度補正部30Lとを備えてい
る。
【0066】以下に、この実施形態2におけるECU3
0による制御の手順を、図12に示すフローチャート図
に基づいて具体的に説明すると、まず、同図に示すスタ
ート後のステップSB1では、各種センサからの出力信
号を受け入れ、そのうちのクランク角センサ26からの
パルス信号に基づいて現在のエンジン回転速度Neを算出
するとともに、スロットル開度センサ17からの入力信
号に基づいて現在のスロットル開度accelを算出する。
また、水温センサ28からの入力信号に基づいて現在の
エンジン水温Twを算出し、吸気温センサ12からの入
力信号に基づいて現在の吸気温度Tairを算出し、O2セ
ンサからの入力信号に基づいて混合気の空燃比afを算出
する。さらに、図示しないが、車両の走行速度を検出す
る車速センサからの入力信号に基づいて、車速Vsを算
出する。
【0067】続いて、ステップSB2において、エンジ
ン1の暖機が完了しているかどうか、即ち例えばエンジ
ン水温Twが40°Cを超えているかどうか判定し、こ
の判定がNOでエンジン未暖機ならばリターンする一
方、判定がYESでエンジン暖機後であれば、ステップ
SB3に進む。このステップSB3では、車両が停止し
ているかどうか、即ち例えば車速Vsが第1設定車速V0
以上かどうか判定し、この判定がNOで車両が走行状態
であればステップSB6に進む一方、判定がYESで車
両が停止していれば、ステップSB4に進む。このステ
ップSB4ではエンジン1がアイドル運転状態かどう
か、即ち例えば、エンジン回転速度Neが650rpm以下
であってかつスロットル開度accelが設定開度accel0以
下(accel≦accel0)であるかどうか判定し、この判定
がNOでアイドル運転状態でなければリターンする一
方、判定がYESでアイドル運転状態であれば、ステッ
プSB5に進む。
【0068】続いて、ステップSB5において、吸気温
度Tair及びエンジン水温Twに基づいて推定された気筒
内の吸気温度Tair′に応じて、ISC制御弁19の開
度を補正する(ISC開度補正1)。すなわち、図13
に一例を示すような制御マップを参照して、ISC制御
弁19の目標開度を求め、この目標開度になるようにI
SC制御弁19をデューティ制御する。この制御マップ
は予めECU30のROMに電子的に格納されたもので
あり、ISC制御弁19の目標開度を、吸気温度Tai
r′が高いほど大きくなるように設定して記録したもの
である。このため、アイドル運転状態のエンジン回転速
度Neは、吸気温センサ12により検出される吸気温度T
airが高いほど、またエンジン水温Twが高いほど、高く
なるように補正される。そして、前記ステップSB5に
続いて、図3に示すフローのステップSA1に進み、該
ステップSA1〜SA7の手順に従って、実施形態1と
同様にインジェクタ16により燃料の非同期噴射を実行
する。
【0069】つまり、車両が停止していて、かつエンジ
ン1がアイドル運転状態になっているときには、そのと
きのエンジン回転速度Neを気筒2に吸入する吸気の温度
状態Tair′が高いほど、高くなるように補正すること
で、そこからエンジン1が加速運転に移行するときにプ
リイグニッションの発生することを防止しながら、十分
な加速運転性を得られるようにしている。
【0070】ここで、プリイグニッションと吸気温度T
air′との関係について、前記と同様にして調べた実験
結果を説明すると、図14及び図15に示すように、エ
ンジン回転速度Ne及び空燃比A/Fを一定に保ちかつエン
ジン水温Twを略一定に保ちながら、吸気温度Tair(Int
ake Air Temperature)を60〜90°Cの範囲で変化さ
せたとき、発火遅れ期間τabは吸気温度によらずに同等
となる一方、前炎反応開始点θaは吸気温度Tairが高
いほど進角するので、混合気の自己着火点θbは吸気温
度Tairの上昇に伴い進角することになる。この実験で
は前記の如くエンジン水温Twを略一定としているの
で、前記の実験結果からは、吸気温度Tairが高いほ
ど、即ち気筒2内に流入する吸気の温度状態Tair′が
高いほど、プリイグニッションが発生し易いということ
が分かる。
【0071】従って、前記ステップSB5における制御
手順の如く、気筒2内に流入する吸気の温度状態が高い
ときには、アイドル運転状態のときのエンジン回転速度
Neを高くなるように補正し、そのことによってプリイグ
ニッションを抑制するようにすれば、その分、非同期噴
射による燃料増量の規制の度合いは小さくすることがで
き、これにより、エンジンの加速運転性を最大限に高め
ることができる。また反対に、気筒2内に流入する吸気
の温度状態が相対的に低いときには、エンジン回転速度
Neが相対的に低くなるように制御され、このことで、燃
費をさらに低減することができる。
【0072】一方、前記ステップSB3において、車両
が走行状態であるNOと判定されて進んだステップSB
6では、今度は車両が所定の減速中かどうか、即ち例え
ば車速Vsが第2設定車速V1よりも低く(Vs<V1)、
かつスロットル弁14が略全閉状態になっているかどう
か(accel≦accel0)、判定する。この判定がNOのと
きにはリターンする一方、判定がYESのときにはステ
ップSB7に進み、エンジン回転速度Neが予め設定した
減速時判定回転速度N1よりも低いかどうか判定する(Ne
<N1)。そして、この判定がNOのときにはリターンす
る一方、判定がYESであればステップSB8に進む。
【0073】続いて、ステップSB8において、前記ス
テップSB4と同様にして、エンジン1がアイドル運転
状態かどうか判定する。この判定がNOでエンジン1が
アイドル運転状態になっていなければ、即ちエンジン1
が減速運転の途中であれば、ステップSB9に進み、車
速Vs及びスロットル弁14の閉作動からの経過時間に
応じてエンジン回転速度Neが変化するように、ISC制
御弁19の開度を制御する(ISC開度補正2)。すな
わち、図示しない制御マップに従い、車速Vsが高いほ
どエンジン回転速度Neが高くなるように、また、スロッ
トル弁14が閉じられてからの経過時間が短いほどエン
ジン回転速度Neが高くなるように、ISC制御弁19の
開度を制御する。
【0074】こうすることで、図16に一例を示すよう
に、車両の減速時にエンジン回転速度Neが前記減速時判
定回転速度N1まで低下すると、ISC制御弁19が開か
れて、エンジン回転速度Neは図に実線で示すように通常
よりも高い回転速度とされ、その後、徐々に通常のアイ
ドル回転速度(図例では550rpm)まで低下するよう
になる。言い換えると、エンジン1のアイドル運転状態
への移行は、同図に示す遅延時間Δtだけ遅延されるこ
とになる。
【0075】また、前記ステップSB8における判定結
果がYESで、エンジン1がアイドル運転状態になって
いれば、そのときは前記ステップSB5に進み、エンジ
ン回転速度Neが気筒2内に流入する吸気の温度状態に応
じて制御される。すなわち、車両の走行中であってもエ
ンジン1の回転速度Neがアイドル回転速度N0以下になれ
ば、停車中と同様の制御が行われる。
【0076】したがって、この実施形態2によれば、エ
ンジン1が暖機後のアイドル運転状態から加速運転に移
行するときに、前記実施形態1と同様の作用効果が得ら
れる上に、アイドル運転状態になっているときに、気筒
2内に流入する吸気の温度状態に応じてエンジン回転速
度Neを変更することで、加速運転に移行するときのプリ
イグニッションの発生を回避しながら、非同期噴射によ
り燃料を可及的に増量して、加速性能を最大限に高める
ことができる。つまり、プリイグニッションの防止と加
速性能の向上とを高次元で両立できる。
【0077】また、車両が減速走行状態のときには、引
き続いて再度、加速運転状態に移行する可能性が高いの
で、このときには暫くの間、エンジン1のアイドル運転
状態への移行の遅延させて、所定期間、エンジン回転速
度Neを相対的に高い状態に維持することにより、減速後
の車両の再加速性能を十分に高めることができる。尚、
車両の走行状態ではエンジン1のアイドル回転速度その
ものを停車状態よりも高く設定するようにしてもよい
が、この実施形態のように、減速走行状態のときにのみ
アイドル運転状態への移行を遅延させるようにしたほう
が、燃費の点でより好ましい。
【0078】さらに、この実施形態によれば、エンジン
1が未暖機のときには、前記のような非同期噴射のパル
ス幅の変更は行われず、未暖機で燃料の気化霧化の悪い
状態であっても、加速開始時の非同期噴射により燃料増
量を十分に行って、ヘジテーション等の運転性の低下を
防止できる。
【0079】(他の実施形態)尚、本発明は前記実施形
態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を
包含するものである。すなわち、前記実施形態1,2に
おいて、エンジン1の加速開始条件の成立が判定された
ときに、その後に最初に圧縮圧力が実質的に増大する1
番目の気筒だけではなく、その次に点火される2番目の
気筒についても非同期噴射の噴射パルス幅を変更補正す
るようにしてもよい。
【0080】また、前記実施形態2では、アイドル運転
状態のときに気筒2内に流入する吸気の温度状態、即ち
気筒内吸気温度推定部30kによる推定吸気温度Tai
r′に応じて、吸気温度Tair′が高いほどエンジン回転
速度Neを高くなるように補正するようにしているが、こ
れに限らず、エンジン暖機後において一義的に吸気温セ
ンサ12により検出される吸気温度Tairに基づいてエ
ンジン回転速度Neを補正するようにしてもよい。或い
は、前記推定吸気温度Tair′が設定温度(例えば80
°C)よりも高いときに、エンジン回転速度Neを高くな
るように補正するようにすることもできる。
【0081】さらに、前記実施形態2のように、アイド
ル運転状態のときのエンジン回転速度Neを、気筒2内に
流入する吸気の温度状態に応じて変更補正するようにし
た場合には、そこからエンジン1が加速運転に移行する
ときに、その加速開始のタイミングに応じて非同期噴射
による燃料増量を規制することは、必ずしも必要ではな
い。すなわち、アイドル運転状態のときのエンジン回転
速度Neを気筒2内に流入する吸気の温度Tair′もしく
はエンジン暖機後の吸気温度Tairに応じて適切な状態
にまで高めれば、そのことのみによって加速開始時の異
常燃焼の発生を防止することも可能なので、この場合に
は、非同期噴射による燃料噴射量は規制しないようにし
て、エンジンの加速運転性を最大限に高めることができ
るものである。
【0082】
【発明の効果】以上、説明したように、請求項1の発明
に係る火花点火式エンジンによると、まず、エンジンが
アイドル運転状態から加速運転に移行するとき、加速開
始判定の後、最初にプリイグニッションの発生が予想さ
れる1番目の気筒において、混合気の空燃比が所定のリ
ッチ側ガード値を超えないように、燃料増量手段による
燃料増量の度合いを増量規制手段によって規制するよう
にしたので、前記1番目の気筒において混合気の空燃比
が過度にリッチな状態になることを防止して、プリイグ
ニッションとこれに伴う異音の発生とを防止することが
できる。そして、その際、前記加速開始条件の成立が判
定されたときのエンジン回転速度に応じて、前記リッチ
側ガード値を補正する、即ち燃料増量の度合いを変更す
るようにすることで、プリイグニッションを確実に防止
しながらも、エンジン出力を十分に高めることができ
る。
【0083】請求項3の発明によると、気筒内に流入す
る吸気の温度状態に応じてエンジンのアイドル回転速度
を変更することで、プリイグニッションの回避と加速性
能の向上とを高次元で両立できる。
【0084】請求項4の発明によると、車両が走行状態
のときにはエンジンがアイドル運転状態になっていて
も、エンジン回転速度を相対的に高く維持して、再加速
性を向上できる。
【0085】請求項5の発明によると、車両が減速走行
状態のときにエンジンのアイドル運転状態への移行を遅
延させることで、減速後の車両の再加速性を十分に高め
ることができる。
【0086】また、請求項6の発明に係る火花点火式エ
ンジンによると、まず、請求項1の発明と同様に、エン
ジンがアイドル運転状態から加速運転に移行するとき
に、燃料増量手段による燃料増量の度合いを規制するこ
とで、プリイグニッションとこれに伴う異音の発生とを
防止することができる。さらに、エンジンがアイドル運
転状態のときに、気筒内に流入する吸気の温度状態に応
じてエンジン回転速度を変更することで、前記のプリイ
グニッションの発生を防止しながら、エンジンの加速運
転性を最大限に高めることができ、さらに、燃費の低減
も図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す全体構成図である。
【図2】ECUによる燃料噴射制御の構成を示す機能ブ
ロック図である。
【図3】エンジンがアイドル運転状態から加速運転に移
行するときの非同期噴射の制御手順を示すフローチャー
ト図である。
【図4】1番目の気筒におけるクランク角位置と、スロ
ットル弁の開作動時点と、非同期噴射の噴射タイミング
との対応関係を示す説明図である。
【図5】非同期噴射のパルス幅を、1番目の気筒におけ
るクランク角位置に対応するように設定したマップの一
例を示す図である。
【図6】クランク角位置とスロットル弁の開作動時点と
の相対位置の変化に対する1番目の気筒の空燃比の変化
の一例を示すグラフ図である。
【図7】アイドル運転状態のときのエンジン回転速度に
応じて、非同期噴射のパルス幅を補正するためのマップ
の一例を示す図である。
【図8】アイドル運転状態のときのエンジン回転速度を
変化させて、それぞれ、異常燃焼による気筒内圧力の変
化をクランク角に対応づけて示したグラフ図である。
【図9】アイドル運転状態のときのエンジン回転速度を
変化させたときの、前炎反応開始点θa、発火遅れ期間
τab及び自己着火点θbの変化を示すグラフ図である。
【図10】アイドル運転状態のときのエンジン回転速度
を変化させて、それぞれ、自己着火点θbと空燃比との
対応関係を示すグラフ図である。
【図11】実施形態2に係る図2相当図である。
【図12】主にアイドル運転状態のときのエンジン制御
の手順を示すフローチャート図である。
【図13】アイドル運転状態のときのISC制御弁の開
度を吸気の温度状態に応じて制御するためのマップの一
例を示す図である。
【図14】吸気の温度状態を変化させて、それぞれ、異
常燃焼による気筒内圧力の変化をクランク角に対応づけ
て示すグラフ図である。
【図15】吸気の温度状態を変化させたときの、前炎反
応開始点θa、発火遅れ期間τab及び自己着火点θbの
変化を示すグラフ図である。
【図16】エンジンのアイドル運転状態への移行を遅延
させたときのエンジン回転速度の変化を示す説明図であ
る。
【図17】プリイグニッションによって気筒内圧力の異
常上昇する様子をクランク角に対応づけて示す説明図で
ある。
【図18】混合気の空燃比を変化させたときの、前炎反
応開始点θa、発火遅れ期間τab及び自己着火点θbの
変化を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 気筒 12 吸気温センサ(吸気温度検出手段) 30 ECU 30d 加速開始判定部(加速開始判定手段) 30e 非同期噴射制御部(燃料増量手段) 30g 燃料増量規制部(燃料増量規制手段) 30h ガード値補正部(ガード値補正手段) 30i ISC制御部(アイドル回転速度補正手
段、遅延制御手段) 30j 走行状態判定部(走行状態判定手段) 30k 気筒内吸気温度推定部(吸気温度検出手
段) 30L エンジン回転速度補正部(アイドル回転
速度補正手段、遅延制御手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 45/00 312 F02D 45/00 312C 312E 312F 312Q 314 314E 314F 360 360F (72)発明者 乃生 芳尚 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 荒木 啓二 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3G084 BA06 BA09 BA13 CA02 CA04 CA06 DA15 EA11 EC01 EC03 FA02 FA05 FA20 FA29 FA33 3G301 JA03 KA05 KA14 KA16 KA18 LA04 MA01 MA11 MA22 NE17 NE21 PA10Z PD02Z PE01Z PE08Z PF01Z

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの加速運転の開始条件が成立し
    たことを判定する加速開始判定手段と、 前記加速開始判定手段によりエンジンの加速開始条件の
    成立が判定されたとき、加速のための燃料増量を行う燃
    料増量手段と、 エンジンがアイドル運転状態から加速運転に移行すると
    きに、加速運転の開始に伴い吸気充填量の増大によって
    最初に圧縮圧力が実質的に増大する1番目の気筒の空燃
    比が、所定のリッチ側ガード値を超えないように、前記
    燃料増量手段による燃料の増量を規制する燃料増量規制
    手段とを備えた火花点火式エンジンにおいて、 前記加速開始判定手段によりエンジンの加速開始条件の
    成立が判定されたとき、そのときのエンジン回転速度が
    設定回転速度よりも高いときには、エンジン回転速度が
    設定回転速度以下のときに比べて、前記リッチ側ガード
    値を相対的にリッチ側の値になるように補正するガード
    値補正手段を設けたことを特徴とする火花点火式エンジ
    ン。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 燃料増量規制手段は、エンジン暖機状態では燃料増量手
    段による燃料増量を規制する一方、エンジン未暖機状態
    では燃料増量の規制は行わないように構成されているこ
    とを特徴とする火花点火式エンジン。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 気筒内に流入する吸気の温度状態を検出するための吸気
    温度検出手段と、 アイドル運転状態のときのエンジン回転速度を、前記吸
    気温度検出手段による検出温度が高いほど、高くなるよ
    うに補正するアイドル回転速度制御手段とを備えている
    ことを特徴とする火花点火式エンジン。
  4. 【請求項4】 請求項1において、 車両の走行状態を判定する走行状態判定手段と、 アイドル運転状態のときのエンジン回転速度を、前記走
    行状態判定手段により車両が走行状態であると判定され
    たときにはそうでないときよりも高くなるように制御す
    るアイドル回転速度制御手段とを備えていることを特徴
    とする火花点火式エンジン。
  5. 【請求項5】 請求項1において、 車両の走行状態を判定する走行状態判定手段と、 前記走行状態判定手段により車両が減速走行状態にある
    と判定されたときに、エンジンのアイドル運転状態への
    移行を遅延させる遅延制御手段とを備えていることを特
    徴とする火花点火式エンジン。
  6. 【請求項6】 エンジンの加速運転の開始条件が成立し
    たことを判定する加速開始判定手段と、 前記加速開始判定手段によりエンジンの加速開始条件の
    成立が判定されたとき、加速のための燃料増量を行う燃
    料増量手段と、 エンジンが暖機状態でかつアイドル運転状態から加速運
    転に移行するときに、加速運転の開始に伴い吸気充填量
    の増大によって最初に圧縮圧力が実質的に増大する1番
    目の気筒の空燃比が、所定のリッチ側ガード値を超えな
    いように、前記燃料増量手段による燃料の増量を規制す
    る燃料増量規制手段とを備えた火花点火式エンジンにお
    いて、 気筒内に流入する吸気の温度状態を検出するための吸気
    温度検出手段と、 アイドル運転状態のときのエンジン回転速度を、前記吸
    気温度検出手段による検出温度が設定温度よりも高いと
    きには、検出温度が設定温度以下のときに比べて高くな
    るように制御するアイドル回転速度制御手段とを備えて
    いることを特徴とする火花点火式エンジン。
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