JP2001327789A - 洗濯機 - Google Patents

洗濯機

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JP2001327789A
JP2001327789A JP2000157951A JP2000157951A JP2001327789A JP 2001327789 A JP2001327789 A JP 2001327789A JP 2000157951 A JP2000157951 A JP 2000157951A JP 2000157951 A JP2000157951 A JP 2000157951A JP 2001327789 A JP2001327789 A JP 2001327789A
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stirring blade
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Tetsuo Furuya
哲夫 古谷
Gichu Ota
義注 太田
Toshifumi Koike
敏文 小池
Hiroshi Osugi
寛 大杉
Isao Hiyama
功 桧山
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】布片寄り量を低減し、脱水中止の頻度、及び脱
水中の振動を低減する洗濯機を提供する。 【解決手段】内槽1、外槽2、攪拌翼3と、攪拌翼3の
回転機構4と、回転機構4を制御する制御部15より構
成される。洗いまたはすすぎ工程の終わりに、布の片寄
りを修正する攪拌を行い、該攪拌の期間中に、攪拌翼3
の反転駆動の回転数を段階的に低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は洗濯機に係り、洗
い、すすぎ時における布片寄りの修正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】全自動洗濯機においては、攪拌翼を反転
駆動させて、洗い、またはすすぎの動作を行う。この際
布に十分な機械力を与えて、所望の洗浄性能、またはす
すぎ性能を達成するために、攪拌翼を高い回転数(角速
度)、長い反転周期で反転駆動する。このため攪拌翼の
回転により布が回転する際に大きな遠心力が働き、布が
内槽の周縁部に寄せられ、洗いまたはすすぎ工程の終了
時に、布が内槽周縁部の一部分に片寄る事が多い。布が
片寄った状態で、内槽を高速回転させる脱水工程に移行
すると、内、外槽が大きく振動して、脱水が中止された
り、脱水中に大きな振動、騒音が発生したりする。この
ため、洗い、またはすすぎ工程の最後の短時間に、布片
寄りを修正する動作を行う。
【0003】従来の布片寄り修正方法として、特開平6
−126079号公報に記載の全自動洗濯機の運転方法
がある。以下、これを第1の従来例と称する。これは、
洗いまたはすすぎ工程の最後の短時間に、2段階から成
る、布片寄り修正動作を行う方法であり、その第1段階
では、直前まで行ってきた、洗いまたはすすぎ動作より
小さい回転角で、攪拌翼を反転駆動し、第2段階では、
第1段階よりさらに小さい回転角で、攪拌翼を反転駆動
する。具体的には反転駆動の回転数を、布片寄り修正動
作を含む洗いまたはすすぎ工程中一定に保ち、布片寄り
修正動作中に、反転周期を段階的に低減する事により回
転角を段階的に低減する。つまり第1段階の反転周期
は、洗いまたはすすぎ動作時より短くし、第2段階の反
転周期は、第1段階よりさらに短くする。攪拌翼の反転
駆動は、攪拌翼を駆動するモータへの正通電(オン)−
断電(オフ)−逆通電(オン)−断電(オフ)の繰り返
しにより行い、正通電の開始から、次の正通電の開始ま
でが反転周期となる。本従来例では、洗いまたはすすぎ
動作では1.2秒オン−0.8秒オフ、布片寄り修正動
作の第1段階では0.6秒オン−0.6秒オフ、第2段
階では0.3秒オン−0.3秒オフを正逆繰り返す。従
って反転周期はそれぞれ、4秒、2.4秒、1.2秒で
ある。
【0004】また洗いまたはすすぎ工程全体を通して、
攪拌翼の回転数、及び反転周期を変化させて、布の絡み
の進行を抑制しながら、洗いまたはすすぎの動作を行う
従来例として、特開平5−137876号公報に記載の
洗濯機、及び特開平7−124370号公報に記載の洗
濯機がある。以下それぞれを、第2、第3の従来例と称
する。
【0005】第2の従来例は、短時間内に攪拌翼の回転
数及び反転周期(前記オン、オフの時間)を段階的に変
化させて反転駆動する動作を1サイクルとし、洗いまた
はすすぎ工程全体を通して、該サイクルを繰り返し実行
する。例えば170rpm、1.8秒オン−0.7秒オ
フの反転駆動、その後150rpm、1.6秒オン−
0.5秒オフの反転駆動、その後140rpm、1.4
秒オン−0.4秒オフの反転駆動という組み合わせを1
サイクルとし、洗いまたはすすぎ工程中に複数サイクル
を実行する。
【0006】第3の従来例は、洗いまたはすすぎ工程に
おいて、経過時間に応じて、攪拌翼の回転数及び反転周
期(前記オン、オフの時間)を段階的に変化させる方法
である。例えば洗い工程が12分の場合、最初の2〜4
分間は170rpm、1.6秒オン−0.5秒オフ、最
後の4分間は145rpm、1.2秒オン−1.0秒オ
フとし、その中間は、155rpm、1.6秒オン−
0.8秒オフとする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記第1の従来例によ
れば、内槽の周縁部に片寄った布を中心部に集中させ
て、布片寄りをある程度低減する事はできたが、中心部
に集中した布を槽内に均等に拡散させて、さらに布片寄
りを低減する事は難しかった。布が槽中心部に集中した
状態で脱水工程に移行すると、脱水開始時における内、
外槽の大きな振動は回避できるが、内槽の高速回転によ
る遠心力で、布が槽周縁部に移動する際に、集中した布
は必ずしも均等に拡散せず、不均等な拡散により、大き
な振動、騒音が生じる恐れがあった。
【0008】前記第2、及び第3の従来例によれば、洗
い、またはすすぎ動作において、攪拌翼の回転数、及び
反転周期を変化させて、布に働く機械力を変化させる事
により、布絡みの進行を抑制する効果はある。しかし、
所望の洗浄力を確保し、かつ布片寄りを低減させる事は
できなかった。つまり所望の洗浄力が得られるように、
高い回転数かつ長い反転周期で、攪拌翼を反転駆動する
と、布に働く遠心力が大きくなるので、布片寄りが発生
しやすくなる。逆に布片寄りが低減されるような短い反
転周期で、攪拌翼を反転駆動すると、布に働く機械力が
大幅に低下するので、所望の洗浄力が得られない。
【0009】例えば前記第2の従来例に記載のように、
洗い工程全体において、回転数を140〜170rp
m、反転周期を3.6〜5秒の間で変動させながら、攪
拌翼を反転駆動すると、これらを最大値170rpm、
5秒に保つ場合に比べて洗浄力が低下し、かつ布に働く
遠心力が大きいので、工程の終了時に、大きな布片寄り
が発生しやすい。該回転数及び反転周期を、前記第1の
従来例に記載の値100〜150rpm、1.2〜2.
4秒にすると、布片寄りは低減されるが、洗浄力は大幅
に低下する。
【0010】本発明の目的は、所望の洗浄力を確保し、
かつ洗濯槽内の布片寄り量を低減し、布片寄りに起因す
る、脱水中止の発生頻度、及び脱水中の騒音を低減する
洗濯機を提供する事にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明における洗濯機の特徴とするところは、洗い
またはすすぎ工程において、洗いまたはすすぎのための
主攪拌を行った後に、2段階から成る、布片寄り修正の
ための片寄り修正攪拌を行う。第1段階では、主攪拌と
同等の回転数(角速度)、主攪拌より短い反転周期(オ
ン時間−オフ時間)で攪拌翼を反転駆動し、第2段階で
は、第1段階より低い回転数、第1段階と同等の反転周
期(オン時間−オフ時間)で、攪拌翼を反転駆動する。
【0012】別の見方をすれば、第1段階では、反転周
期における前記オン時間を、攪拌翼の外周部において、
攪拌翼の回転開始から、水の周速度と攪拌翼の周速度が
概略一致するまでの時間、言い換えれば水の周速度が攪
拌翼の周速度に追いつくまでの時間程度として、攪拌翼
を反転駆動する。この条件を満たすオン時間は、主攪拌
におけるオン時間より短くなり、例えば0.3〜0.6
秒である。
【0013】第2段階では、第1段階より低い回転数、
かつ攪拌翼の外周部において、水と攪拌翼とが等周速度
で回転する時間が確保されるようなオン時間で、攪拌翼
を反転駆動する事にある。オン時間を第1段階と同等に
すれば、この条件を満たす。
【0014】攪拌翼の回転により、布及び水も回転する
が、攪拌翼の回転開始直後は、布の周速度は攪拌翼の周
速度より遅れて上昇し、水の周速度はさらに遅れて上昇
する。このため攪拌翼の回転開始から、水の周速度が攪
拌翼の周速度に概略一致するまでの間は、布の周速度と
水の周速度との間に差が生じる。この間布は、該周速度
の差に応じた水の抵抗力を受けながら回転する。槽の周
縁部に近いほど該周速度の差が大きいので、水の抵抗力
も大きい。
【0015】第1段階では、前記オン時間を、攪拌翼の
回転開始から、水の周速度が攪拌翼の周速度に追いつく
までの時間程度とするので、この間布は水の抵抗力を受
けながら回転する。槽周縁部に近いほど、水の抵抗力が
大きいので、槽周縁部に片寄った布は、水の抵抗力のよ
り小さい槽中心部寄りへ移動しながら回転する。これに
より、槽周縁部に片寄った布を槽中心部に集中させる事
ができる。前記周速度差を大きくし、布を槽中心部に集
中させるのに十分な水の抵抗力を得るために、攪拌翼の
回転数は、主攪拌と同等とする。槽内の布がすべて中心
部に集中するまで、第1段階の攪拌動作を継続する。
【0016】第2段階においては、攪拌翼、布、及び水
がほぼ等周速度で回転する時間を確保する。該時間中、
布には水の抵抗力が働かず、回転による遠心力のみが働
くので、該遠心力により、布は槽周縁部寄りに移動しな
がら回転する。これにより、槽中心部に集中した布を、
槽周縁部寄りに均等に拡散する事ができる。攪拌翼の回
転数が第1段階より低いので、布に働く遠心力は主攪拌
時より弱い。このため布が槽壁に近づくと、水の抵抗力
により布の拡散が止まり、主攪拌時のように、布を槽壁
まで片寄らせる事はない。布の拡散が止まるまで、第2
段階の攪拌動作を継続する。
【0017】以上をまとめて本発明によれば、布片寄り
修正攪拌の第1段階において、主攪拌と同等の回転数、
かつ前記オン時間が、水の周速度が攪拌翼の周速度に追
いつくまでの時間程度となるように、攪拌翼を反転駆動
する事により、槽周縁部に片寄った布を槽中心部に集中
させた後に、第2段階において、第1段階より低い回転
数、かつ水と攪拌翼とが等周速度で回転する時間が確保
されるようなオン時間で、攪拌翼を反転駆動する事によ
り、槽中心部に集中した布を槽内に均等に拡散する事が
できる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例に係わる
洗濯機について、図を用いて説明する。
【0019】図1は、本発明の一実施例に係わる洗濯機
の構成を示すブロック図である。内槽1は洗濯物を収容
し、側面に多数の脱水孔を有する回転可能な槽である。
外槽2は、内槽1を外包し、水を収容する槽である。攪
拌翼3は、内槽1の底部中央に設けられた回転可能な翼
体であり、洗い、すすぎ時に洗濯物を攪拌する。回転機
構4は外槽2の下部に設けられ、内槽1及び攪拌翼3を
回転させる機構であり、モータ、ギア、電磁クラッチよ
り構成される。吊棒5は、外槽2を吊り下げる金属棒で
あり、外槽2の下部をバネで防振支持する。これは、外
枠7の上部の四隅から吊り下がる。回転軸6は、内槽1
または攪拌翼3を回転させる軸であり、回転機構4に結
合される。回転機構4は、内槽1または攪拌翼3のいず
れか一方を、電磁クラッチにより選択結合して回転させ
る。外枠7は洗濯機の側面を囲む板であり、概略直方体
をなす。上部カバー8は、外枠7の上部を覆うカバーで
あり、開閉可能な上蓋9、操作パネル(図示せず)等を
有する。空気室10は、外槽2の外側下部に設けられ、
その下部は外槽2と連通する。空気管11は、空気室1
0の上部と水位センサ12とを結合するビニル管等であ
る。外槽2の水位が上昇するほど、空気室10内の空気
が押し上げられ、空気圧が上昇する。水位センサ12
は、外槽2の水位を電気的な量に変換する機構である。
具体的には内部にコイルを設け、該コイルへの鉄心の挿
入量が前記空気圧に応じて変化する構造とし、結果的
に、該コイルのインダクタンスが前記水位に応じて変化
する構成とする。発振回路13は、水位センサ12と接
続して交流信号を発生する回路であり、該交流の周波数
は前記水位に応じる。つまり前記コイルのインダクタン
スが前記水位に応じて変化するので、該周波数も前記水
位に応じて変化する。蓋スイッチ14は、上部カバー8
に取り付けられたスイッチであり、外槽2の上部外側に
近接するレバーを具える。これは通常はオン(閉)であ
り、外槽2が該レバーに衝突してこれを押すと、オフ
(開)となる。これにより脱水時における外槽2の過大
な振動を検出して、脱水を中止する。また上蓋9と連動
し、これが閉じていればオン、開いていればオフとな
る。制御部15は、内部に記録されたプログラムに従っ
て、制御信号を出力して洗濯動作の制御を行う回路であ
り、市販の1チップマイコン等である。これはディジタ
ル信号の入力及び出力端子を具える。制御部15は、発
振回路13の出力信号、及び蓋スイッチ14の開閉状態
を、該入力端子より取得する。駆動回路16は、制御部
15からの制御信号に基づいて、回転機構4を駆動させ
る電力、及び給水弁18と排水弁20の開閉を行う電力
を発生する回路である。給水管17は水道栓等に接続さ
れ、内槽1及び外槽2への給水を行う通水管である。排
水管19は外槽2の底部に接続され、外槽2内の水を排
水する通水管である。給水弁18、排水弁20は、それ
ぞれ給水管17または排水管19の途中に設けられた開
閉弁であり、共に駆動回路16からの電力により開閉動
作を行う。回転センサ21は、内槽1または攪拌翼3の
回転数(角速度)を測定するセンサであり、例えば回転
機構4の回転部分に取付けた磁石と、固定部分に取付け
たコイルより構成される。制御部15は、該コイルに発
生する誘導電圧を前記入力端子より取得して、これより
該回転数を算出する。
【0020】以下、本発明の一実施例に係わる洗濯機に
おける攪拌動作について、図2及び図3を参照して説明
する。
【0021】図2は、洗い、またはすすぎ工程におけ
る、制御部15の動作の概要を示すフローチャートであ
る。制御部15はまず、布量に応じた水位まで、給水を
行う(s−1)。そして攪拌翼3を反転駆動させて、布
の攪拌を行う。具体的には、まず洗い、またはすすぎの
ための主攪拌を行い(s−2)、次に、布の片寄りを修
正するための、片寄り修正攪拌を行う(s−3)。そし
て、排水、脱水に移行する。
【0022】図3は、主攪拌及び片寄り修正攪拌の方法
の一例を示す表であり、前記第1の従来例の場合と、本
実施例の場合とを比較して示す。また図4及び図5は、
片寄り修正攪拌時における、モータ41への印加電圧及
びその周波数、攪拌翼3の回転数の一例を示す図であ
り、それぞれ本実施例の場合、前記第1の従来例の場合
について示す。
【0023】以下、モータ41を正転させる通電を正通
電、逆転させる通電を、逆通電と称する。図4または図
5に示すように、攪拌時において、制御部15は、モー
タ41に、(1)一定時間正通電、(2)一定時間断電、(3)
一定時間逆通電、(4)一定時間断電、の過程を繰り返
す。これに合わせて攪拌翼3は、正転、逆転を周期的に
繰り返す。正通電開始から次の正通電開始までの時間
が、反転周期である。(1)と(3)の通電時間は同一とし、
以下、これをオン時間と称する。(2)と(4)の断電時間も
同一とし、以下、これをオフ時間と称する。例えば図4
に示す、片寄り修正攪拌の第1段階では、反転周期=
(T11+T12)×2、オン時間=T11、オフ時間=T12
である。
【0024】図3に戻って説明する。主攪拌は、従来
例、本実施例とも、反転周期4秒(1.2秒オン−0.
8秒オフ)、モータ41への印加電圧及び周波数は、1
00V、50Hzで5分間継続する。この時の攪拌翼3
の回転数は120rpmである。片寄り修正攪拌は従来
例、本実施例とも2段階とし、各段階とも、継続時間は
20秒とする。従来例では、片寄り修正攪拌中の反転周
期(オン時間、オフ時間)は、第1段階では主攪拌時よ
り低減し、第2段階ではさらに低減する。該回転数は、
主攪拌時と同じ値に保つ。具体的には、第1段階は反転
周期2.4秒(0.6秒オン−0.6秒オフ)、第2段
階はその2/3の1.6秒(0.4秒オン−0.4秒オ
フ)とする。本実施例では、片寄り修正攪拌中の反転周
期(オン時間、オフ時間)は、主攪拌時より短い値で一
定に保ち、該回転数を段階毎に低減する。具体的には、
反転周期は2.4秒(0.6秒オン−0.6秒オフ)に
保ち、該電圧、周波数、及び回転数は、第1段階は主攪
拌と同じとし、第2段階はその2/3の、67V、33
Hz、回転数80rpmに低減する。
【0025】図4に戻って説明する。主攪拌時のオン時
間、オフ時間をそれぞれ、T01、T02とする。主攪拌時
の電圧はV1、周波数はf1とする。本実施例では、電圧
V1>V2、周波数f1>f2、オン時間T01>T11=T2
1、オフ時間T02>T12=T22とする。攪拌翼3の回転
数rは、モータ41への通電により、急上昇した後にほ
ぼ一定値を保ち、通電の遮断により減衰して0となる。
該一定値は主に、モータ41への印加電圧及びその周波
数により定まる。本実施例においては、該電圧及びその
周波数を段階毎に低減するので、該一定値も段階毎に低
下し、第1段階では主攪拌時と同じr1、第2段階では
r2<r1となる。
【0026】図5に示す前記第1の従来例では、電圧V
1=V2、周波数f1=f2、オン時間T01>T11>T21、
オフ時間T02>T12>T22である。該従来例では、該電
圧及びその周波数は各段階とも同じなので、前記回転数
の一定値は各段階ともr1である。
【0027】以下、本実施例による布片寄り量の低減効
果について、図を参照して説明する。まず布量が少ない
場合、例えば洗濯容量8kgに対し、布量1.5kg程
度の場合について、図6から図14までを参照して説明
する。
【0028】最初に、片寄り修正攪拌の第1段階におけ
る布の動きについて、図6から図11までを参照して説
明する。
【0029】図6は、主攪拌の終了時における、内槽1
内の布の状態の一例を示す図である。布群31は、洗濯
衣類の集合体である。洗濯容量に対し、布量が少ない場
合には、主攪拌の後に、布群31が内槽1の底部に片寄
る場合が多い。
【0030】図7は、攪拌翼3の回転時における、攪拌
翼3、布群31、及び水の周速度の時間的変化の一例を
示す図である。内槽1における、攪拌翼3の外周上の位
置Aにおける周速度を示す。攪拌翼3の回転開始時を時
刻t=0とする。攪拌翼3の回転により、布及び水も回
転する。ただし布群31の周速度は、攪拌翼3の周速度
より遅れて上昇し、水の周速度は、さらに遅れて上昇す
る。このため布群31と水との間には、一時的に大きな
周速度差が生じる。このため布群31は、該速度差に応
じた水の抵抗力を受けながら回転する。時間が経過すれ
ば、水、及び布群31の周速度は、攪拌翼3の周速度に
追いつき、該周速度差は解消される。攪拌翼3、布群3
1、及び水がほぼ等周速となれば、布群31には水の抵
抗力は働かず、回転による遠心力のみが働く。主攪拌に
おいては、前記オン時間が1秒以上と長いので、布群3
1は該遠心力により、内槽1の周縁部に片寄る。モータ
41への通電遮断後は、攪拌翼3、布群31、及び水
は、惰性回転しながら周速度を低下させて、停止する。
前記オフ時間は通常、該通電遮断から、布群31がほぼ
停止するまでの時間とする。片寄り修正攪拌の第1段階
では、前記オン時間を、攪拌翼3の回転開始から、水の
周速度が攪拌翼3の周速度に追いつくまでの時間程度と
し、例えば図7では0.4秒である。該時間において
は、布群31と水との間の周速度差に応じて働く水の抵
抗力により、布群31は内槽1の中心部寄りに移動す
る。以下、この動作の詳細について、図6及び図8から
図11までを参照して説明する。
【0031】図8は、片寄り修正攪拌の第1段階におけ
る、攪拌翼3、布群31、及び水の周速度の時間的変化
の一例を示す図である。攪拌翼3の回転数は、洗い、ま
たはすすぎ動作時と同等とし、前記オン時間は、攪拌翼
3の外周部において、水の周速度が攪拌翼3の周速度に
追いつくまでの時間程度とする。攪拌翼3の外周部上
の、図6の位置Aにおいては、攪拌翼3の周速度が高
く、かつ水と、内槽1の槽壁等の静止部分との間に粘着
力が働くので、水の周速度は攪拌翼3の周速度より大幅
に遅れて上昇し、この間の布群31と水との周速度差g
1Aは大きい値となる。従って回転中の布群31には大き
な水の抵抗力RAが働く。内槽1の中心部寄りの、図6
の位置Bにおいては、攪拌翼3の周速度が低く、かつ前
記粘着力の影響を受けないので、水の周速度は位置Aよ
りもやや早く、攪拌翼の周速度に追いつき、かつこの間
の布群31と水との周速度差g1Bは、g1Aより大幅に小
さい値となる。従って布群31に働く水の抵抗力RB
は、RAより大幅に小さい。
【0032】図9は、片寄り修正攪拌の開始直後におけ
る布群31の状態の一例である。布群31の回転中に、
内槽1の周縁部寄りの部分は、中心部寄りの部分より大
きな水の抵抗力を受けるので、強い水流に流されるよう
にして内槽1の槽壁から離れ、中心部寄りの部分より遅
れて回転する。攪拌翼3の反転駆動毎に上記の現象が繰
り返され、片寄り修正攪拌の進行に伴い、布群31は形
状がより細長くなりながら、中心部寄りに移動する。布
群31には回転による遠心力も働くが、布群31を中心
部寄りに移動させる力はこれを上回る。
【0033】図10は、片寄り修正攪拌の第1段階の中
間における布群31の状態の一例である。布群31が中
心部に近づくにつれて、水の抵抗力が小さくなり、布群
31を中心部寄りに移動させる力も小さくなる。これが
回転による遠心力と釣り合えば、布群31はそれ以上、
中心部寄りに移動しなくなる。
【0034】図11は、片寄り修正攪拌の第1段階の終
了時における布群31の状態の一例である。布群31は
内槽1の中心部に集中する。
【0035】片寄り修正攪拌の第1段階でのオン時間の
根拠となる、攪拌翼3の外周部において、攪拌翼3の回
転開始から、水の周速度が攪拌翼3の周速度に追いつく
までの時間の決定要素は、主に布量、内槽1の内径、攪
拌翼3の外径、及び攪拌翼3の回転数(角速度)であ
り、この他に攪拌翼3の突起形状、前記粘着力を決める
内槽1及び攪拌翼3の材質、及び布量当たりの水量(浴
比)である。該内径及び外径は、洗濯機の定格容量に応
じておよそ決まった値となるので、前記オン時間の主な
決定要素は、定格容量に対する布量の割合、及び攪拌翼
3の回転数という事になる。全自動洗濯機の主流であ
る、定格容量8kgの機種においては、内槽1の内径は
45cmから47cm程度、攪拌翼3の外径は37cm
から38cm程度、内槽1の槽壁はステンレス鋼、内槽
1の底部、及び攪拌翼3はプラスチック(ポリプロピレ
ン)に固定化されつつある。また浴比についても、標準
的な洗濯コースでは固定化されつつあり、例えば布量
1.5kg(定格容量の2割)に対し、水30リットル
程度である。また第1段階における攪拌翼3の回転数
は、主攪拌時と同等とし、これも100rpmから15
0rpm、主に110rpmから130rpmの間に固
定化されつつある。これらの条件下において、布量1.
5kgにおける前記オン時間は約0.4秒が適切であ
る。
【0036】次に、片寄り修正攪拌の第2段階における
布の動きについて、図12から図14までを参照して説
明する。
【0037】図12は、片寄り修正攪拌の第2段階にお
ける、攪拌翼3、布群31、及び水の周速度の時間的変
化の一例を示す図である。攪拌翼3の回転数(角速度)
は第1段階の50%から80%に低下させ、前記オン時
間は第1段階と同一にする。
【0038】攪拌翼3の回転数が低下するので、内槽1
内の同じ位置において、水の周速度が攪拌翼3の周速度
に追いつくまでの時間は、第1段階よりも短くなる。そ
の後は攪拌翼3、布群31と水とがほぼ等周速で回転す
るので、この期間中には、布群31には水の抵抗力が働
かず、回転による遠心力のみが働く。ただし攪拌翼3の
回転数が第1段階より低いので、遠心力は第1段階より
弱い。前記オン時間を第1段階と同一にする事により、
水の周速度が攪拌翼3の周速度に追いつくまでの時間が
短くなる分だけ、該等周速回転の時間が確保される。
【0039】第2段階の開始時には、布群31は中心部
に集中している。中心部寄りの、図6の位置Bでは、該
等周速回転の時間が長いので、布群31は、この間に働
く遠心力により、周縁部寄りに移動しながら回転する。
なお水の周速度が攪拌翼3の周速度に追いつくまでの時
間、及びこの間の布群31と水との周速度差は共に、第
1段階より小さいので、布群31に水の抵抗力が働く時
間、及びその大きさは共に、第1段階より小さい。従っ
てこの間に、布群31を中心部に移動させる作用は、ほ
とんど生じない。
【0040】布群31が周縁部に近づくに従い、水の抵
抗力が増加する。例えば周縁部寄りの位置Aにおいて
は、位置Bに比べて、水の周速度が攪拌翼3の周速度に
追いつくまでの時間が長く、かつこの間の布群31と水
との周速度差が大きい。このため布群31が周縁部寄り
に移動するにつれて、水の抵抗力が働く時間、及びその
大きさが増加し、かつ遠心力のみが働く時間が減少す
る。従って布群31が周縁部寄りに移動するにつれて、
布群31を中心部寄りに移動させる力が増加し、この力
が遠心力と釣り合えば、布群31はそれ以上周縁部寄り
に移動しなくなる。従って第2段階において、布群31
は周縁部寄りに均等に拡散するが、槽壁付近まで移動し
て大きく片寄る事はない。
【0041】図13は、片寄り修正攪拌の第1、及び第
2段階において、内槽1の中心からの距離と、布群31
に働く遠心力、及び中心部に移動させる力との関係の一
例を示す図である。遠心力は、布群31の周速度に比例
する。これは図8及び図12における、時刻t=0.2
秒の場合を示す。第1段階では、中心部寄りの、図6の
位置B付近を境に、両者の大小関係が逆転するので、布
群31は周縁部からこの付近まで移動して集中する。第
2段階では、より周縁部寄りで両者の大小関係が逆転す
るので、布群31はこの付近まで均等に拡散する。
【0042】図14は、片寄り修正攪拌の第2段階の終
了時における布群31の状態の一例である。第1段階で
中心部に集中した布群31は、第2段階で内槽1内に均
等に拡散する。
【0043】次に布量がやや多い場合、例えば定格容量
8kgに対し、布量5kg程度の場合について、図15
から図19までを参照して説明する。
【0044】図15は、片寄り修正攪拌の開始時におけ
る、内槽1内の布群31の状態の一例を示す図である。
布量がやや多い場合には、洗い、またはすすぎ動作の後
には、布群31の上部が片寄り、下部はおよそ均等に分
布する事が多い。そこで、布群31の上部の片寄りが修
正されるように、片寄り修正攪拌を行う。
【0045】図16は、片寄り修正攪拌の第1段階にお
ける、攪拌翼3、布群31、及び水の周速度の時間的変
化の一例を示す図である。図15における、布群31の
上部の、位置C、Dの場合を示す。前記布量が少ない場
合と同様に、攪拌翼3の回転数は、洗い、またはすすぎ
動作時と同等とし、前記オン時間は、内槽1の周縁部に
おいて、攪拌翼3の回転開始から、水の周速度が攪拌翼
3の周速度に追いつくまでの時間程度とする。
【0046】基本的には前記布量が少ない場合と同様
に、水の抵抗力により、内槽1の周縁部に片寄った布
を、中心部へと移動させる。ただし布群31は多数の布
の集合体であるので、攪拌翼3の回転力が布群31の上
部に伝達されるまでに、上下方向のねじれによる遅れ時
間が生じる。また布群31の片寄り部分が、中心部寄り
に移動する際にも、前記布量が少ない場合よりも、布同
士の摩擦が大きいので、移動に時間を要する。そこで前
記オン時間は、前記布量が少ない場合よりも、該遅れ及
び移動の時間の分だけ長くする。例えば前記主流の機種
において、布量5kg(定格容量の約6割)、水量55
リットルの場合、0.55秒程度とする。
【0047】図17は、片寄り修正攪拌の第2段階にお
ける、攪拌翼3、布群31、及び水の周速度の時間的変
化の一例を示す図である。前記布量が少ない場合と同様
に、攪拌翼3の回転数は、第1段階の50%から80%
に低下させ、前記オン時間は、第1段階と同一にする。
前記布量が少ない場合と同様に、弱い遠心力により、第
1段階で中心部に集中した布群31の上部を、周辺部寄
りに均等に拡散させ、布群31の上部を、内槽1内に均
等に分布させる。
【0048】図18、及び図19は、布量がやや多い場
合における、片寄り修正攪拌終了後の、布群31の状態
を示す図であり、図18は前記第1の従来例による場
合、図19は本実施例による場合を示す。前記第1の従
来例による場合は、布群31の上部を中心部に集中させ
る効果はあるが、集中後均等に拡散させる効果はないの
で、布群31は中心部が盛り上がった形状になる場合が
多い。この状態で、内槽1を回転させて脱水を行うと、
該盛り上がりの部分が均等に分散せずに、大きな振動、
騒音が生じる場合があった。本実施例によれば、布群3
1の上部を中心部に集中後、均等に拡散する効果がある
ので、布群31は平らに近い形状になる場合が多い。こ
の状態で脱水を行えば、布群31はより均等に分散しや
すくなり、脱水中の振動、騒音を低減できる。
【0049】布量がやや少ない場合、例えば洗濯容量8
kgに対し、布量が3kg程度の場合も、前記の布量が
やや多い場合と同様に、2段階の片寄り修正攪拌を行う
事により、布片寄りを低減できる。前記オン時限は、前
記布量が少ない場合と、前記布量がやや多い場合との、
中間程度にする。布量がやや少ない場合は、もともと内
槽1の底部が布で均等に埋め尽くされるので、大きな布
片寄りが生じにくい。前記布量が少ない場合のように、
布群31の全体が槽底部に片寄ったり、前記布量がやや
多い場合のように、布群31の上部が片寄る現象は発生
しにくい。前記主流の機種において、布量3kg(定格
容量の約4割)、水量40リットルの場合、0.5秒程
度とする。
【0050】次に布量が多い場合、例えば洗濯容量の8
割以上の程度の場合について、図20から図22までを
参照して説明する。
【0051】図20及び図21は、布量が多い場合にお
ける、主攪拌時の布群31の状態の一例を示す図であ
る。布量が多い場合に見られる特徴的な現象として、図
20に示すように、主攪拌により、布群31の下部に、
密度の高い大きな布固まり32が発生しやすい。以下こ
れについて詳しく説明する。布量が多い場合には、布群
31の下部の布は、上部の布の重みを受けて、密度が高
い状態になる。この状態で布群31が回転すると、下部
の布と、内槽1の槽壁との間に大きな摩擦力が発生しや
すい。大きな摩擦力の発生箇所では、攪拌翼3の回転力
により押された布の動きが妨げられて、布が押し固めら
れて、密度の高い布固まり32が発生する。また布固ま
り32の上方の布が盛り上がる。特に布量が多い場合に
おいては、布全体に十分な力を働かせて洗浄力を確保す
るために、長い反転周期で攪拌翼3を反転駆動するの
で、大きな布固まり32が発生しやすい。
【0052】図21に示すように、攪拌翼3が逆回転す
れば、布固まり32の布が引き戻されるので、布固まり
32は解消される。しかし反転周期が長いので、内槽1
内の別の箇所に、布固まり32が発生する。布固まり3
2が発生し、その上方の布が盛り上がった状態では、内
槽1内の質量の偏りが大きいので、このまま脱水工程に
移行すると、外槽2が大きく振動して、脱水が中止され
る。
【0053】前記第1の従来例においては、攪拌翼3の
反転駆動の回転角を段階的に低減する事により、布固ま
り32を解消する。攪拌翼3の回転角を段階的に低減す
る事により、直前に発生した布固まり32を、逆転によ
る引き戻しで解消し、新たに発生する布固まり32の大
きさを徐々に小さくしていく。反転駆動の回転角は、図
5の斜線部分の面積で表わされ、攪拌翼3の回転数と、
前記オン時間との積に概略比例する。図5においては、
第1段階の回転角Θ3はr1×T11にほぼ比例し、第2段
階の回転角Θ4はr1×T21にほぼ比例する。前記第1の
従来例においては、T11>T21なので、Θ3>Θ4とな
る。
【0054】本実施例による片寄り修正攪拌において
も、攪拌翼3の回転数を段階的に低減する事により、回
転角を段階的に低減する作用が行われる。従って前記第
1の従来例と同様に、布固まり32を解消できる。図4
においては、第1段階の回転角Θ1はr1×T11に比例
し、第2段階の回転角Θ2はr2×T21に比例する。本例
においては、r1>r2、T11=T21なので、Θ1>Θ2と
なる。
【0055】図22は、布量が多い場合における、布片
寄り修正動作時の、布群31の状態変化の一例を示す図
である。主攪拌の終了後には、布群31の下部に大きな
布固まり32が存在し、この上方が大きく盛り上がって
いる。片寄り修正攪拌の第1段階では、主攪拌時より攪
拌翼3の反転駆動の回転角を小さくする。これにより、
攪拌翼3が布を押し固める力が低下するので、新たに発
生する布固まり32の大きさは、主攪拌時より小さくな
る。第2段階では、第1段階よりさらに、該回転角を小
さくする。これにより、新たに発生する布固まり32は
さらに小さくなる。布固まり32の大きさが小さくなる
に伴い、上方の盛り上がりも小さくなる。
【0056】さらに本実施例による片寄り修正攪拌によ
れば、布を内槽1内に均等に分布させる事ができる。布
量の増加による、攪拌翼3の回転力が上部の布に伝達さ
れる遅れ時間、及び布同士の摩擦の増加を考慮して、前
記オン時間は、前記布量がやや多い場合よりもさらに長
くする。例えば前記主流の機種において、布量8kg
(定格容量)、水量65リットルの場合、0.6秒程度
とする。
【0057】図23は、本発明による片寄り修正攪拌方
法を、前記主流の、定格容量8kgの機種に適用した場
合における、攪拌動作の各パラメータの、適切な値の範
囲を示す表である。攪拌翼3の反転駆動における、前記
オン時間の適切な値は、主に定格容量に対する布量の割
合に応じて定まり、布量が多いほど、長くする。前記オ
フ時間は、モータ41への通電遮断から、布及び水の惰
性回転が止まるまでの時間程度とし、具体的には前記オ
ン時間の70%から100%とする。前記オン時間、及
び前記オフ時間は、第1段階と第2段階とで略同等とす
る。各段階の継続時間は、第1段階は布が中心部に集中
するまでの時間、第2段階は布が周縁部に拡散するまで
の時間とする。布量が多いほど、布どうしの摩擦力の増
加により、布の移動に時間を要するので、布量が多いほ
ど、該継続時間を長くする。攪拌翼3の回転数は、第1
段階は主攪拌と同等とし、第2段階は、第1段階の50
%から80%とする。主攪拌時の該回転数は、100r
pmから150rpm、主に110rpmから130r
pmに固定化されつつある。なお上記各パラメータの適
切な値は、布量当たりの水量(浴比)によっても変動す
るが、全自動洗濯機の標準的な洗濯コースにおいては、
浴比は図23に示す値に固定化されつつある。
【0058】本実施例によれば、布量の多少にかかわら
ず、片寄り修正攪拌の第1段階で、布の片寄り部分を内
槽1の中心部に集中させ、第2段階で、中心部に集中し
た布を周縁部寄りに均等に拡散させるので、前記第1の
従来例に比べて、布を内槽1内に均等に分布させる事が
できる。また布量が多い場合に、下部に発生しやすい布
の高密度の固まりについても、攪拌翼3の反転周期を固
定して回転数を段階的に低減する事により、回転角を段
階的に低減してこれを解消できる。布が内槽1内に均等
に分布すれば、内槽1を回転させる脱水工程において、
布が内槽1の周縁部に均等に移動しやすくなり、内槽1
内での、質量の不均等に起因する、外槽2の過大な振動
による脱水中止の頻度、及び内槽1の高速回転時におけ
る、外槽2の振動、及びこれに伴う騒音を低減できる。
【0059】図3に示す攪拌方法で、主攪拌、及び片寄
り修正攪拌を行った後、脱水する実験を多数回行った。
攪拌方法は、同図に示す、従来例の場合と、本実施例に
よるとを比較した。脱水エラーの発生頻度は、従来例で
約20%であったのが、本実施例によれば約14%に低
減された。また脱水工程の終期における、外槽2の振動
振幅の平均値は、本実施例によれば、従来例より約15
%低減された。
【0060】また前記第1の従来例においては、第2段
階以降で反転周期を段階的に短縮する事により、該反転
周期が吊り棒5のばねと、吊り棒5に支承される外槽2
及びこの内包物、付随物とにより構成される振動系の固
有振動周期に近くなるので、外槽2の振動振幅が非常に
大きくなり、外槽2が外枠7に接触するという不具合が
あった。本実施例によれば、布片寄り修正攪拌におい
て、反転周期を短縮しないので、該反転周期が該固有周
期に近づく事がなく、攪拌中に外槽2が大きく振動する
事がない。
【0061】本実施例においては、片寄り修正攪拌を2
段階で行う方法について説明したが、片寄り修正攪拌を
3段階以上で行い、第2段階以降の各段階で、前段階よ
り低い回転数、かつ水、布、及び攪拌翼3が略等周速と
なる期間が確保されるような反転周期で、攪拌翼3を回
転させる方法でも、布を内槽1内に均等に分布させる効
果が得られる。
【0062】また本実施例においては、洗い、またはす
すぎ工程の最終段階において、布片寄りを修正する攪拌
方法について説明したが、本攪拌方法は、洗い、または
すすぎ工程の途中で、布の絡みをほぐすための攪拌にも
適用できる。例えば図3の例の場合は、主攪拌の時間が
7分なので、主攪拌を3分30秒行った時点で、前記片
寄り修正攪拌を実行し、主攪拌を残りの3分30秒行っ
た後に、再度片寄り修正攪拌を行う。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、片
寄り修正攪拌の第1段階で、攪拌翼の片道回転における
駆動時間を、水の周速度が攪拌翼の周速度に追いつくま
での時間程度とする事により、布に働く水の抵抗力を利
用して、内槽の周縁部に片寄った布を中心部に集中さ
せ、第2段階で、攪拌翼の周速度を低下させ、かつ水が
攪拌翼と略等周速回転する時間が確保されるように、該
駆動時間を設定する事により、布に働く弱い遠心力を利
用して、布を周縁部寄りに均等に拡散させるので、布を
内槽内に均等に分布させ、内槽内の質量の不均衡を低減
できる。これにより、脱水時における、外槽の過大な振
動による脱水中止の発生頻度を低減できる。従って、す
すぎ前の脱水の省略による、すすぎ効果の低下や、すす
ぎ水量の増加を抑制でき、また最終脱水のやり直しによ
る、洗濯時間、水量、電力の増加を抑制できる。また脱
水時において、内槽の回転により発生する、振動及び騒
音を低減できる。
【0064】さらに布片寄り修正攪拌において、反転周
期を段階的に短縮しないので、反転周期が吊り棒のばね
と、吊り棒に支承される外槽及びこの内包物、付随物と
から成る振動系の固有振動周期に近づく事がなく、布片
寄り攪拌時における、外槽の大きな振動を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係わる洗濯機の構成を示す
ブロック図である。
【図2】洗い、すすぎ工程の概要を示すフローチャート
である。
【図3】攪拌方法の一例を示す表である。
【図4】片寄り修正攪拌時の、モータへの印加電圧とそ
の周波数、及び攪拌翼の回転数の時間的変化の一例を示
す図であり、本発明の場合を示す。
【図5】片寄り修正攪拌時の、モータへの印加電圧とそ
の周波数、及び攪拌翼の回転数の時間的変化の一例を示
す図であり、従来例の場合を示す。
【図6】片寄り修正攪拌前における、布の状態の一例を
示す図であり、布量が少ない場合を示す。
【図7】片寄り修正攪拌時における、攪拌翼、布、及び
水の周速度の時間的変化の一例を示す図である。
【図8】片寄り修正攪拌時における、攪拌翼、布、及び
水の周速度の時間的変化の一例を示す図である。
【図9】片寄り修正攪拌中における、布の状態の一例を
示す図である。
【図10】片寄り修正攪拌中における、布の状態の一例
を示す図である。
【図11】片寄り修正攪拌中における、布の状態の一例
を示す図である。
【図12】片寄り修正攪拌時における、攪拌翼、布、及
び水の周速度の時間的変化の一例を示す図である。
【図13】内槽中心からの距離と、布に働く遠心力、移
動力との関係の一例を示す図である。
【図14】片寄り修正攪拌後における、布の状態の一例
を示す図である。
【図15】片寄り修正攪拌前における、布の状態の一例
を示す図であり、布量がやや多い場合を示す。
【図16】片寄り修正攪拌時における、攪拌翼、布、及
び水の周速度の時間的変化の一例を示す図であり、布量
がやや多い場合を示す。
【図17】片寄り修正攪拌時における、攪拌翼、布、及
び水の周速度の時間的変化の一例を示す図であり、布量
がやや多い場合を示す。
【図18】片寄り修正攪拌終了後の、布の状態の一例を
示す図であり、従来例の場合を示す。
【図19】片寄り修正攪拌終了後の、布の状態の一例を
示す図であり、本発明の場合を示す。
【図20】主攪拌時における、布の状態の一例を示す図
であり、布量が多い場合を示す。
【図21】主攪拌時における、布の状態の一例を示す図
であり、布量が多い場合を示す。
【図22】片寄り修正攪拌による、布の状態変化の一例
を示す図であり、布量が多い場合を示す。
【図23】洗濯機の主流機種における、片寄り修正攪拌
方法を示す表である。
【符号の説明】
1… 内槽、2… 外槽、3… 攪拌翼、4… 回転機構、
5… 吊棒、6… 回転軸、7… 外枠、8… 上部カバ
ー、9… 上蓋、10… 空気室、11… 空気管、12
… 水位センサ、13… 発振回路、14… 蓋スイッ
チ、15… 制御部、16… 駆動回路、17… 給水
管、18… 給水弁、19… 排水管、20… 排水弁、
21… 回転センサ、31… 布群、32… 布固まり、
41… モータ、42… コンデンサ、43… 零交差検
出回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小池 敏文 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 大杉 寛 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株 式会社日立多賀エレクトロニクス内 (72)発明者 桧山 功 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株 式会社日立多賀エレクトロニクス内 Fターム(参考) 3B155 AA01 AA03 BA03 BA04 BA16 BB14 BB15 CA06 CB06 KA07 LA02 LA04 LA11 LB16 LB17 LB27 LB35 MA01 MA02 MA06 MA07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外枠と、該外枠に防振支持される外槽と、
    該外槽に外包される回転可能な内槽と、該内槽の底部に
    設けられた攪拌翼と、該内槽及び該攪拌翼を回転させる
    回転手段と、該回転手段の回転制御をはじめとする、洗
    濯動作の制御を行う制御手段とを具備し、該制御手段
    は、洗いまたはすすぎ工程において、該攪拌翼を反転駆
    動させて、洗いまたはすすぎのための主攪拌を実行した
    後に、該内槽内の布の片寄りを修正するための片寄り修
    正攪拌を実行し、該片寄り修正攪拌は複数段階から成
    り、該制御手段は、各段階において、反転周期を略一定
    に保ち、回転数を前段階より低下させて、攪拌翼を反転
    駆動することを特徴とする洗濯機。
  2. 【請求項2】外枠と、該外枠に防振支持される外槽と、
    該外槽に外包される回転可能な内槽と、該内槽の底部に
    設けられた攪拌翼と、該内槽及び該攪拌翼を回転させる
    回転手段と、該回転手段の回転制御をはじめとする、洗
    濯動作の制御を行う制御手段とを具備し、該制御手段
    は、洗いまたはすすぎ工程において、該攪拌翼を反転駆
    動させて、洗いまたはすすぎのための主攪拌を実行した
    後に、該内槽内の布の片寄りを修正するための片寄り修
    正攪拌を実行し、該片寄り修正攪拌は複数段階から成
    り、該制御手段は、第1段階において、反転駆動の片道
    回転中に、前記回転手段により前記該攪拌翼に駆動力を
    与える時間を、該攪拌翼の回転開始時から、該攪拌翼の
    外周部における、水及び該攪拌翼の回転周方向の速度が
    概略一致する時点までとして、該攪拌翼を反転駆動し、
    第2段階以降において、水及び該攪拌翼が、該攪拌翼の
    外周部における回転周方向の速度を概略一致させて回転
    する時間が存在するように、前段階より低い回転数で攪
    拌翼を反転駆動することを特徴とする洗濯機。
  3. 【請求項3】前記制御手段は、前記片寄り修正攪拌の第
    1段階において、前記主攪拌と略同等の回転数、かつ前
    記主攪拌より短い反転周期で、前記攪拌翼を反転駆動す
    ることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
  4. 【請求項4】前記制御手段は、前記反転駆動の片道回転
    中に、前記回転手段により前記攪拌翼に駆動力を与える
    時間を、前記片寄り修正攪拌の各段階で略一定に保つこ
    とを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
  5. 【請求項5】前記制御手段は、前記片寄り修正攪拌にお
    いて、布量に応じた反転周期で、前記攪拌翼を反転駆動
    することを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
  6. 【請求項6】定格容量が7kgから9kgであり、前記
    内槽の内径が40cmから50cmであり、前記攪拌翼
    の外径が35cmから40cmであり、前記片寄り修正
    攪拌の各段階において、定格容量に対する布量の割合が
    1/4以下の場合は、前記攪拌翼に駆動力を与える時間
    を0.3秒から0.4秒とし、該割合が1/4以上1/
    2以下の場合は、該時間を0.4秒から0.5秒とし、
    該割合が1/2以上3/4以下の場合は、該時間を0.
    5秒から0.6秒とし、該割合が3/4以上の場合は、
    該時間を0.6秒から0.7秒とし、前記片寄り修正攪
    拌の第1段階では、前記攪拌翼の回転数を100rpm
    から150rpmとし、第2段階以降では、前段階の5
    0%から80%とすることを特徴とする請求項4に記載
    の洗濯機。
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WO2015192639A1 (zh) * 2014-06-16 2015-12-23 海尔亚洲国际株式会社 洗衣机
WO2016202230A1 (zh) * 2015-06-18 2016-12-22 海尔亚洲株式会社 洗衣机

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