JP2001326070A - 有機el素子 - Google Patents
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Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H10—SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H10K—ORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
- H10K50/00—Organic light-emitting devices
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- H10K50/84—Passivation; Containers; Encapsulations
- H10K50/844—Encapsulations
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- Physics & Mathematics (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 互いに対向する一対の電極間に有機発光材料
を含む有機層を配置してなる構造体と、この構造体の外
表面を被覆する保護膜とを備える有機EL素子におい
て、成膜時に下地の有機層を熱分解させることなく且つ
下地の有機層との密着性を向上させた保護膜を実現す
る。 【解決手段】 保護膜8は、Si−CxHy等の金属ま
たは半導体と有機物との化合物よりなり、この保護膜8
は、パルス電源を使用した反応性直流スパッタ法により
室温で成膜されている。
を含む有機層を配置してなる構造体と、この構造体の外
表面を被覆する保護膜とを備える有機EL素子におい
て、成膜時に下地の有機層を熱分解させることなく且つ
下地の有機層との密着性を向上させた保護膜を実現す
る。 【解決手段】 保護膜8は、Si−CxHy等の金属ま
たは半導体と有機物との化合物よりなり、この保護膜8
は、パルス電源を使用した反応性直流スパッタ法により
室温で成膜されている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に、互いに
対向する一対の電極間に有機発光材料を含む有機層を配
置してなる構造体と、この構造体の外表面を被覆する保
護膜とを備える有機EL(エレクトロルミネッセンス)
素子に関する。
対向する一対の電極間に有機発光材料を含む有機層を配
置してなる構造体と、この構造体の外表面を被覆する保
護膜とを備える有機EL(エレクトロルミネッセンス)
素子に関する。
【0002】
【従来の技術】EL素子は、自己発光のため視認性が高
く、また、完全固体素子であり、耐衝撃性に優れるとい
う特徴を有していることから、現在、無機化合物や有機
化合物を用いた色々な素子が提案され、且つ、実用化が
試みられている。これらの素子のうち、有機EL素子は
無機EL素子に比べて印加電圧を大幅に低下させること
ができるという利点を有する。
く、また、完全固体素子であり、耐衝撃性に優れるとい
う特徴を有していることから、現在、無機化合物や有機
化合物を用いた色々な素子が提案され、且つ、実用化が
試みられている。これらの素子のうち、有機EL素子は
無機EL素子に比べて印加電圧を大幅に低下させること
ができるという利点を有する。
【0003】この有機EL素子は、互いに対向する一対
の電極間に有機発光材料を含む有機層を配置してなる構
造体を有する。この構造体は、陽極/有機発光層/陰極
の積層構造を基本構成として、発光性能向上のため、正
孔注入層や電子注入層等の各有機層を必要に応じて両極
間に設ける構成が知られている。
の電極間に有機発光材料を含む有機層を配置してなる構
造体を有する。この構造体は、陽極/有機発光層/陰極
の積層構造を基本構成として、発光性能向上のため、正
孔注入層や電子注入層等の各有機層を必要に応じて両極
間に設ける構成が知られている。
【0004】ここで、有機EL素子の各有機層は、水分
に弱く、水分と接触した部分は発光しなくなる(いわゆ
る黒点が形成される)。そのため、従来より、素子を乾
燥剤とともに缶に封止する缶封止構造がとられていた
が、コストがかかる上に、缶の接着部から水分が侵入
し、素子劣化を生じさせると言う問題があった。この様
な問題に対して、特開平7−161474号公報に記載
されているように、有機EL素子の構造体の外表面を無
機アモルファス膜であるSiC膜やSiN膜よりなる保
護膜で被覆する構成が提案されている。
に弱く、水分と接触した部分は発光しなくなる(いわゆ
る黒点が形成される)。そのため、従来より、素子を乾
燥剤とともに缶に封止する缶封止構造がとられていた
が、コストがかかる上に、缶の接着部から水分が侵入
し、素子劣化を生じさせると言う問題があった。この様
な問題に対して、特開平7−161474号公報に記載
されているように、有機EL素子の構造体の外表面を無
機アモルファス膜であるSiC膜やSiN膜よりなる保
護膜で被覆する構成が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の保護膜であるSiC膜、SiN膜は、基板温度がそ
れぞれ190℃、350℃で成膜されるため、下地の有
機層が熱分解する可能性がある。また、保護膜は無機膜
であるために、有機EL素子の構造体における有機層と
の界面にて密着性が十分でなく、剥離が生じる可能性が
ある。
来の保護膜であるSiC膜、SiN膜は、基板温度がそ
れぞれ190℃、350℃で成膜されるため、下地の有
機層が熱分解する可能性がある。また、保護膜は無機膜
であるために、有機EL素子の構造体における有機層と
の界面にて密着性が十分でなく、剥離が生じる可能性が
ある。
【0006】本発明は上記問題に鑑み、基板上に、互い
に対向する一対の電極間に有機発光材料を含む有機層を
配置してなる構造体と、この構造体の外表面を被覆する
保護膜とを備える有機EL素子において、成膜時に下地
の有機層を熱分解させることなく且つ下地の有機層との
密着性を向上させた保護膜を実現することを目的とす
る。
に対向する一対の電極間に有機発光材料を含む有機層を
配置してなる構造体と、この構造体の外表面を被覆する
保護膜とを備える有機EL素子において、成膜時に下地
の有機層を熱分解させることなく且つ下地の有機層との
密着性を向上させた保護膜を実現することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明では、基板(1)上に、互いに
対向する一対の電極(2、7)間に有機発光材料を含む
有機層(3〜6)を配置してなる構造体と、この構造体
の外表面を被覆する保護膜(8)とを備える有機EL素
子において、前記保護膜を、金属または半導体と有機物
との化合物により形成したことを特徴する。
め、請求項1記載の発明では、基板(1)上に、互いに
対向する一対の電極(2、7)間に有機発光材料を含む
有機層(3〜6)を配置してなる構造体と、この構造体
の外表面を被覆する保護膜(8)とを備える有機EL素
子において、前記保護膜を、金属または半導体と有機物
との化合物により形成したことを特徴する。
【0008】それによれば、保護膜は有機物を含んだも
のとなり、パルス電源を使用した反応性直流スパッタ法
により室温で成膜することができるとともに、無機膜に
比べて有機層と密着しやすい。よって、本発明によれ
ば、成膜時に下地の有機層を熱分解させることなく且つ
下地の有機層との密着性を向上させた保護膜を実現する
ことができる。
のとなり、パルス電源を使用した反応性直流スパッタ法
により室温で成膜することができるとともに、無機膜に
比べて有機層と密着しやすい。よって、本発明によれ
ば、成膜時に下地の有機層を熱分解させることなく且つ
下地の有機層との密着性を向上させた保護膜を実現する
ことができる。
【0009】ここで、請求項2の発明のように、前記金
属または半導体と有機物との化合物が、金属または半導
体のアルキル化合物であることが好ましい。即ち、本発
明の保護膜は、アルキル基を持った無機材料からなるも
のにできる。
属または半導体と有機物との化合物が、金属または半導
体のアルキル化合物であることが好ましい。即ち、本発
明の保護膜は、アルキル基を持った無機材料からなるも
のにできる。
【0010】本発明によれば、保護膜は−CxHyの官
能基(アルキル基)を持つ。一方、有機EL素子の構造
体の外表面は、通常、金属を含む電極と有機層よりな
り、金属の表面には酸素原子が存在し、有機層の表面に
は水酸基(−OH基)が存在する。従って、本発明の保
護膜中のアルキル基(−CxHy基)は、これら酸素原
子や水酸基と反応して強力に結合するため、下地の有機
層及び電極との密着性を確実に向上させることができ
る。
能基(アルキル基)を持つ。一方、有機EL素子の構造
体の外表面は、通常、金属を含む電極と有機層よりな
り、金属の表面には酸素原子が存在し、有機層の表面に
は水酸基(−OH基)が存在する。従って、本発明の保
護膜中のアルキル基(−CxHy基)は、これら酸素原
子や水酸基と反応して強力に結合するため、下地の有機
層及び電極との密着性を確実に向上させることができ
る。
【0011】また、請求項3の発明では、前記保護膜
(8)を、前記構造体側に有機物成分を多く含み、前記
構造体から膜厚方向へ離れるに従って金属または半導体
成分が多くなるように組成比が変化しているものとした
ことを特徴とする。このような組成比の変化は、反応性
直流スパッタ法で保護膜を成膜するにあたって、成膜中
に原料ガスの組成を徐々に変化させることで可能であ
る。
(8)を、前記構造体側に有機物成分を多く含み、前記
構造体から膜厚方向へ離れるに従って金属または半導体
成分が多くなるように組成比が変化しているものとした
ことを特徴とする。このような組成比の変化は、反応性
直流スパッタ法で保護膜を成膜するにあたって、成膜中
に原料ガスの組成を徐々に変化させることで可能であ
る。
【0012】そして、本発明によれば、保護膜は、下地
の構造体側では前記の金属または半導体と有機物との化
合物の特性を有するものとすることができ、保護膜の表
面側では実質的に無機膜に近い特性を有するものとする
ことができるため、請求項1または請求項2の発明の効
果に加えて、外部からの水分等の侵入をより確実に防止
することができる。
の構造体側では前記の金属または半導体と有機物との化
合物の特性を有するものとすることができ、保護膜の表
面側では実質的に無機膜に近い特性を有するものとする
ことができるため、請求項1または請求項2の発明の効
果に加えて、外部からの水分等の侵入をより確実に防止
することができる。
【0013】また、請求項4の発明によれば、前記保護
膜(8)を、前記金属または半導体と有機物との化合物
よりなる膜(8a)の上に無機物よりなる無機膜(8
b)を少なくとも1層以上成膜してなるものとしたこと
を特徴とする。また、請求項5の発明によれば、前記保
護膜(8)を、前記金属または半導体と有機物との化合
物よりなる膜と無機物よりなる無機膜とを交互に複数成
膜してなるものとしたことを特徴とする。
膜(8)を、前記金属または半導体と有機物との化合物
よりなる膜(8a)の上に無機物よりなる無機膜(8
b)を少なくとも1層以上成膜してなるものとしたこと
を特徴とする。また、請求項5の発明によれば、前記保
護膜(8)を、前記金属または半導体と有機物との化合
物よりなる膜と無機物よりなる無機膜とを交互に複数成
膜してなるものとしたことを特徴とする。
【0014】これら請求項4及び請求項5の発明によれ
ば、請求項3の発明と同様の効果が得られる。なお、上
記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の
具体的手段との対応関係を示す一例である。
ば、請求項3の発明と同様の効果が得られる。なお、上
記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の
具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示す実施形態
について説明する。図1は、本実施形態に係る有機EL
(エレクトロルミネッセンス)素子100の概略断面図
である。ガラス等よりなる透明基板1の一面側には、I
TO(インジウムチンオキサイド)等の透明導電膜より
なる陽極2が成膜されている。
について説明する。図1は、本実施形態に係る有機EL
(エレクトロルミネッセンス)素子100の概略断面図
である。ガラス等よりなる透明基板1の一面側には、I
TO(インジウムチンオキサイド)等の透明導電膜より
なる陽極2が成膜されている。
【0016】この陽極2の上には、ホール注入層3、ホ
ール輸送層4、発光層5、電子輸送層6が順次成膜さ
れ、これら各層3〜6により有機層が構成されている。
これら有機層3〜6は、公知の有機発光材料、ホール輸
送性または電子輸送性の有機材料を採用することができ
る。また、電子輸送層6の上にはAl(アルミニウム)
等の金属膜よりなる陰極7が成膜されている。
ール輸送層4、発光層5、電子輸送層6が順次成膜さ
れ、これら各層3〜6により有機層が構成されている。
これら有機層3〜6は、公知の有機発光材料、ホール輸
送性または電子輸送性の有機材料を採用することができ
る。また、電子輸送層6の上にはAl(アルミニウム)
等の金属膜よりなる陰極7が成膜されている。
【0017】さらに、本実施形態においては、構造体2
〜7の外表面及び構造体2〜7より露出する透明基板1
の一面が、保護膜8により被覆されている。この保護膜
8は、金属または半導体と有機物との化合物により形成
されている。この化合物を構成する金属としては、チタ
ン(Ti)や亜鉛(Zn)等を採用することができ、半
導体としてはシリコン(Si)等を採用することがで
き、有機物としては、メタンやブタジエンやアセチレン
等を採用することができる。
〜7の外表面及び構造体2〜7より露出する透明基板1
の一面が、保護膜8により被覆されている。この保護膜
8は、金属または半導体と有機物との化合物により形成
されている。この化合物を構成する金属としては、チタ
ン(Ti)や亜鉛(Zn)等を採用することができ、半
導体としてはシリコン(Si)等を採用することがで
き、有機物としては、メタンやブタジエンやアセチレン
等を採用することができる。
【0018】そして、これら金属または半導体と有機物
との化合物は、具体的には、Si−CxHyやTi−C
xHy等の金属または半導体のアルキル化合物とするこ
とができ、これら化合物は、パルス電源を使用した反応
性直流スパッタ法により室温で成膜することができると
ともに、無機膜に比べて有機層と密着しやすいものであ
る。そして、この保護膜8により、構造体2〜7、特に
有機層3〜6の防湿等が図られている。
との化合物は、具体的には、Si−CxHyやTi−C
xHy等の金属または半導体のアルキル化合物とするこ
とができ、これら化合物は、パルス電源を使用した反応
性直流スパッタ法により室温で成膜することができると
ともに、無機膜に比べて有機層と密着しやすいものであ
る。そして、この保護膜8により、構造体2〜7、特に
有機層3〜6の防湿等が図られている。
【0019】こうして、本有機EL素子100において
は、互いに対向する一対の電極2、7間に有機発光材料
を含む有機層3〜6を配置してなる構造体2〜7が、基
板1上に形成されている。そして、両電極2、7間に所
定の直流電圧を印加することにより、発光層5を自発光
させ、透明基板1の他面側から光が取り出されるように
なっている。
は、互いに対向する一対の電極2、7間に有機発光材料
を含む有機層3〜6を配置してなる構造体2〜7が、基
板1上に形成されている。そして、両電極2、7間に所
定の直流電圧を印加することにより、発光層5を自発光
させ、透明基板1の他面側から光が取り出されるように
なっている。
【0020】次に、本有機EL素子100の製造方法に
ついて、限定するものではないが、具体例を挙げて説明
する。まず、透明基板としてのガラス基板1上に、IT
Oよりなる厚さ140nmの陽極2をスパッタ法等にて
成膜する。その上に、銅フタロシアニンよりなる厚さ1
5nmのホール注入層3、厚さ40nmのテトラトリフ
ェニルアミンよりなるホール輸送層4、1%のキナクリ
ドン(Qd)を添加したキノリノールアルミ錯体(Al
q3)よりなる厚さ40nmの発光層5、アルミキノリ
ール(Alq)よりなる厚さ60nmの電子輸送層6
を、順次、真空蒸着法で成膜する。
ついて、限定するものではないが、具体例を挙げて説明
する。まず、透明基板としてのガラス基板1上に、IT
Oよりなる厚さ140nmの陽極2をスパッタ法等にて
成膜する。その上に、銅フタロシアニンよりなる厚さ1
5nmのホール注入層3、厚さ40nmのテトラトリフ
ェニルアミンよりなるホール輸送層4、1%のキナクリ
ドン(Qd)を添加したキノリノールアルミ錯体(Al
q3)よりなる厚さ40nmの発光層5、アルミキノリ
ール(Alq)よりなる厚さ60nmの電子輸送層6
を、順次、真空蒸着法で成膜する。
【0021】さらに、陰極7としてAlを100nm蒸
着により成膜する。この上に、反応性直流スパッタ法に
より保護膜8を成膜する。Siをターゲットにして、導
入ガスはArとCH4とを用い(Ar:CH4=1:
1)、スパッタパワーは4kW、温度は室温、スパッタ
圧力は0.1Paとする。このような成膜条件にて成膜
された保護膜8は、アルキル化合物のSi−CxHy膜
であり、非晶質になっていて膜厚は100nmである。
着により成膜する。この上に、反応性直流スパッタ法に
より保護膜8を成膜する。Siをターゲットにして、導
入ガスはArとCH4とを用い(Ar:CH4=1:
1)、スパッタパワーは4kW、温度は室温、スパッタ
圧力は0.1Paとする。このような成膜条件にて成膜
された保護膜8は、アルキル化合物のSi−CxHy膜
であり、非晶質になっていて膜厚は100nmである。
【0022】ところで、本実施形態によれば、保護膜8
は有機物を含んだものとなり、無機膜に比べて有機層と
密着しやすい。さらに、保護膜8を構成する金属または
半導体と有機物との化合物が、金属または半導体のアル
キル化合物である場合、保護膜8は、−CxHyの官能
基(アルキル基)を持つ。一方、構造体2〜7の外表面
は、図1に示す様に、陽極2及び陰極7と有機層3〜6
よりなる。
は有機物を含んだものとなり、無機膜に比べて有機層と
密着しやすい。さらに、保護膜8を構成する金属または
半導体と有機物との化合物が、金属または半導体のアル
キル化合物である場合、保護膜8は、−CxHyの官能
基(アルキル基)を持つ。一方、構造体2〜7の外表面
は、図1に示す様に、陽極2及び陰極7と有機層3〜6
よりなる。
【0023】陽極2及び陰極7中に含まれる金属の表面
には酸素原子が存在し、有機層3〜6の表面には水酸基
(−OH基)が存在する。そして、保護膜8中のアルキ
ル基(−CxHy基)は、これら酸素原子や水酸基と反
応して強力に結合する(水素結合等が生じると考えられ
る)ため、下地の有機層3〜6及び電極2、7との密着
性を確実に向上させることができる。
には酸素原子が存在し、有機層3〜6の表面には水酸基
(−OH基)が存在する。そして、保護膜8中のアルキ
ル基(−CxHy基)は、これら酸素原子や水酸基と反
応して強力に結合する(水素結合等が生じると考えられ
る)ため、下地の有機層3〜6及び電極2、7との密着
性を確実に向上させることができる。
【0024】また、保護膜8は、パルス電源を使用した
反応性直流スパッタ法により室温(50℃以下)で成膜
することができるため、成膜時に下地の有機層3〜6を
熱分解させることなく、また、成膜後の温度差も少ない
ため、下地との密着性が高く、保護膜8にクラック等の
ダメージが発生しにくい。
反応性直流スパッタ法により室温(50℃以下)で成膜
することができるため、成膜時に下地の有機層3〜6を
熱分解させることなく、また、成膜後の温度差も少ない
ため、下地との密着性が高く、保護膜8にクラック等の
ダメージが発生しにくい。
【0025】ちなみに、従来の保護膜は、容量結合型の
横RFプラズマ装置を用いたRFスパッタ法にて成膜し
ていた。比較例としてRFスパッタ法により保護膜を形
成した。上記製造方法の具体例と同様に、透明基板1上
に構造体2〜7までを形成したものを、上記横RFプラ
ズマ装置の基板ホルダに固定し、水素ガスにて10%に
希釈されたSiH4、CH4をマスフローコントローラ
に通し、チャンバ内圧力1Torrを維持した。
横RFプラズマ装置を用いたRFスパッタ法にて成膜し
ていた。比較例としてRFスパッタ法により保護膜を形
成した。上記製造方法の具体例と同様に、透明基板1上
に構造体2〜7までを形成したものを、上記横RFプラ
ズマ装置の基板ホルダに固定し、水素ガスにて10%に
希釈されたSiH4、CH4をマスフローコントローラ
に通し、チャンバ内圧力1Torrを維持した。
【0026】続いて、50W、3.56MHzの高周波
を印加し、基板温度190℃にて、構造体2〜7上に保
護膜としてのa−SiC膜を膜厚100nm形成した。
なお、基板1のサイズは75mm×25mmとした。こ
の場合、保護膜の成膜温度が190℃と高いため、成膜
後では室温との温度差により下地との密着性が悪く、保
護膜にクラックが発生した。
を印加し、基板温度190℃にて、構造体2〜7上に保
護膜としてのa−SiC膜を膜厚100nm形成した。
なお、基板1のサイズは75mm×25mmとした。こ
の場合、保護膜の成膜温度が190℃と高いため、成膜
後では室温との温度差により下地との密着性が悪く、保
護膜にクラックが発生した。
【0027】本実施形態の保護膜8は、上述のように、
反応性直流スパッタ法で成膜しているため、成膜時の基
板温度がRFスパッタ法よりも低く、例えば50℃以下
で成膜できるため、下地との密着性が高く、保護膜8に
クラック等のダメージが発生しにくい。また、この反応
性直流スパッタ法によれば、下地表面がプラズマにさら
されないため、有機層にダメージが入りにくいという効
果もある。
反応性直流スパッタ法で成膜しているため、成膜時の基
板温度がRFスパッタ法よりも低く、例えば50℃以下
で成膜できるため、下地との密着性が高く、保護膜8に
クラック等のダメージが発生しにくい。また、この反応
性直流スパッタ法によれば、下地表面がプラズマにさら
されないため、有機層にダメージが入りにくいという効
果もある。
【0028】また、本発明者等の検討によれば、保護膜
8を金属または半導体と有機物との化合物とすることに
より、従来の保護膜であるアモルファスの無機膜に比べ
て、導電性を低くすることができ、電極2、7間の導通
を防止できる等の利点があることも確認している。
8を金属または半導体と有機物との化合物とすることに
より、従来の保護膜であるアモルファスの無機膜に比べ
て、導電性を低くすることができ、電極2、7間の導通
を防止できる等の利点があることも確認している。
【0029】また、本実施形態の保護膜8としては、次
に示す様な変形例も可能である。図2は、第1の変形例
を示す概略断面図であり、保護膜8を、金属または半導
体と有機物との化合物よりなる膜(以下、化合物膜とい
う)8aの上に無機物よりなる無機膜8bを少なくとも
1層以上成膜してなるものとしている。つまり、図2に
示す無機膜8bは、1層のものでも2層以上の積層構造
のものでも良い。
に示す様な変形例も可能である。図2は、第1の変形例
を示す概略断面図であり、保護膜8を、金属または半導
体と有機物との化合物よりなる膜(以下、化合物膜とい
う)8aの上に無機物よりなる無機膜8bを少なくとも
1層以上成膜してなるものとしている。つまり、図2に
示す無機膜8bは、1層のものでも2層以上の積層構造
のものでも良い。
【0030】限定するものではないが、この第1の変形
例の具体的な製造方法を示す。上記同様に、透明基板1
上に構造体2〜7及び化合物膜(Si−CxHy膜)8
aを形成する。次に、この上に、Siをターゲットにし
て反応性直流スパッタ法により、N2とArの混合ガス
を用い、スパッタパワー:4kW、ガス圧:0.1P
a、基板温度:室温の成膜条件にて、無機膜8bとして
膜厚100nmのSiN膜を成膜する。
例の具体的な製造方法を示す。上記同様に、透明基板1
上に構造体2〜7及び化合物膜(Si−CxHy膜)8
aを形成する。次に、この上に、Siをターゲットにし
て反応性直流スパッタ法により、N2とArの混合ガス
を用い、スパッタパワー:4kW、ガス圧:0.1P
a、基板温度:室温の成膜条件にて、無機膜8bとして
膜厚100nmのSiN膜を成膜する。
【0031】図2に示す第1の変形例によれば、上記図
1において保護膜8の上を更に無機膜8bで被覆した形
となるため、上記した保護膜8による効果に加えて、更
に、水分の侵入防止を確実にすることができる。
1において保護膜8の上を更に無機膜8bで被覆した形
となるため、上記した保護膜8による効果に加えて、更
に、水分の侵入防止を確実にすることができる。
【0032】次に、第2の変形例について述べる。本例
では、上記図1に示す有機EL素子100において、保
護膜8を、構造体2〜7側(下地側)に有機物成分を多
く含み、構造体2〜7(下地)から膜厚方向へ離れるに
従って金属または半導体成分が多くなるように組成比が
変化しているものとしている。つまり、本例の保護膜8
は、下地側のアルキル化合物膜から膜厚方向に徐々に無
機膜に近づくように組成比が変化している。
では、上記図1に示す有機EL素子100において、保
護膜8を、構造体2〜7側(下地側)に有機物成分を多
く含み、構造体2〜7(下地)から膜厚方向へ離れるに
従って金属または半導体成分が多くなるように組成比が
変化しているものとしている。つまり、本例の保護膜8
は、下地側のアルキル化合物膜から膜厚方向に徐々に無
機膜に近づくように組成比が変化している。
【0033】このような組成比の変化は、反応性直流ス
パッタ法で成膜するにあたって、成膜中に原料ガスの組
成を徐々に変化させることで可能である。限定するもの
ではないが、この第2の変形例の具体的な製造方法を示
す。上記同様に、透明基板1上に構造体2〜7を形成す
る。
パッタ法で成膜するにあたって、成膜中に原料ガスの組
成を徐々に変化させることで可能である。限定するもの
ではないが、この第2の変形例の具体的な製造方法を示
す。上記同様に、透明基板1上に構造体2〜7を形成す
る。
【0034】この上に、パルス電源を使用した反応性直
流スパッタ法により、Siをターゲットにして、導入ガ
スはArとCH4とを用い、スパッタパワーは4kW、
温度は室温、スパッタ圧力は0.1Paといった成膜条
件にて、成膜を行う。このとき、CH4とArとのガス
比は最初1:1であるが、成膜中に、徐々にArガスの
含有量を多くしていき、最後にはArガスのみで成膜す
る。
流スパッタ法により、Siをターゲットにして、導入ガ
スはArとCH4とを用い、スパッタパワーは4kW、
温度は室温、スパッタ圧力は0.1Paといった成膜条
件にて、成膜を行う。このとき、CH4とArとのガス
比は最初1:1であるが、成膜中に、徐々にArガスの
含有量を多くしていき、最後にはArガスのみで成膜す
る。
【0035】これによって、本第2の変形例の保護膜8
として膜厚200nmで、下地側のSi−CxHy膜が
表面側に行くに連れてSi膜に近づくように組成比が変
化した膜が得られる。このような第2の変形例の保護膜
8によれば、保護膜8は、下地側では金属または半導体
と有機物との化合物の特性を有するものとすることがで
き、表面側では実質的に無機膜に近い特性を有するもの
とすることができるため、上記した保護膜8の効果に加
えて、外部からの水分等の侵入をより確実に防止するこ
とができる。
として膜厚200nmで、下地側のSi−CxHy膜が
表面側に行くに連れてSi膜に近づくように組成比が変
化した膜が得られる。このような第2の変形例の保護膜
8によれば、保護膜8は、下地側では金属または半導体
と有機物との化合物の特性を有するものとすることがで
き、表面側では実質的に無機膜に近い特性を有するもの
とすることができるため、上記した保護膜8の効果に加
えて、外部からの水分等の侵入をより確実に防止するこ
とができる。
【0036】また、第3の変形例として、図示しない
が、保護膜8を、金属または半導体と有機物との化合物
よりなる膜(化合物膜)と無機物よりなる無機膜とを交
互に複数成膜してなるものとすることもできる。このよ
うな保護膜8は、上記第1の変形例に示した製造方法に
準じて、化合物膜を成膜し、この上に無機膜を成膜し、
以下、同様の方法で、化合物膜、無機膜、‥‥、を順次
成膜することで形成することができる。この場合も、上
記第1の変形例と同様の効果が得られる。
が、保護膜8を、金属または半導体と有機物との化合物
よりなる膜(化合物膜)と無機物よりなる無機膜とを交
互に複数成膜してなるものとすることもできる。このよ
うな保護膜8は、上記第1の変形例に示した製造方法に
準じて、化合物膜を成膜し、この上に無機膜を成膜し、
以下、同様の方法で、化合物膜、無機膜、‥‥、を順次
成膜することで形成することができる。この場合も、上
記第1の変形例と同様の効果が得られる。
【0037】なお、上記実施形態においては、透明基板
1側に陽極2、これと反対側に陰極7を配置した構成で
あるが、これとは逆に、透明基板1側に陰極、これと反
対側に陽極を配置した構成でも良い。この場合、両電極
に挟まれる各有機層の配置は、ホール及び電子の注入形
態に応じて適宜変更することは勿論である。また、光の
取り出し方向も陽極側から取り出す様にすれば良い。
1側に陽極2、これと反対側に陰極7を配置した構成で
あるが、これとは逆に、透明基板1側に陰極、これと反
対側に陽極を配置した構成でも良い。この場合、両電極
に挟まれる各有機層の配置は、ホール及び電子の注入形
態に応じて適宜変更することは勿論である。また、光の
取り出し方向も陽極側から取り出す様にすれば良い。
【0038】要するに、本発明は、基板上に、互いに対
向する一対の電極間に有機発光材料を含む有機層を配置
してなる構造体と、この構造体の外表面を被覆する保護
膜とを備える有機EL素子において、保護膜を上記構成
としたことを要部とするものであり、他の部分は適宜設
計変更可能である。
向する一対の電極間に有機発光材料を含む有機層を配置
してなる構造体と、この構造体の外表面を被覆する保護
膜とを備える有機EL素子において、保護膜を上記構成
としたことを要部とするものであり、他の部分は適宜設
計変更可能である。
【図1】本発明の実施形態に係る有機EL素子の概略断
面図である。
面図である。
【図2】上記実施形態の第1の変形例としての有機EL
素子の概略断面図である。
素子の概略断面図である。
1…透明基板、2…陽極、3…ホール注入層、4…ホー
ル輸送層、5…発光層、6…電子輸送層、7…陰極、8
…保護膜、8a…金属または半導体と有機物との化合物
よりなる膜、8b…無機膜。
ル輸送層、5…発光層、6…電子輸送層、7…陰極、8
…保護膜、8a…金属または半導体と有機物との化合物
よりなる膜、8b…無機膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 敦司 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 鈴木 晴視 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 3K007 AB11 AB13 AB14 AB15 AB18 CA01 CB01 DA01 DB03 EA01 EB00 FA01 FA02
Claims (6)
- 【請求項1】 基板(1)上に、互いに対向する一対の
電極(2、7)間に有機発光材料を含む有機層(3〜
6)を配置してなる構造体と、この構造体の外表面を被
覆する保護膜(8)とを備える有機EL素子において、 前記保護膜が、金属または半導体と有機物との化合物に
より形成されていることを特徴とする有機EL素子。 - 【請求項2】 前記金属または半導体と有機物との化合
物が、金属または半導体のアルキル化合物であることを
特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。 - 【請求項3】 前記保護膜(8)は、前記構造体側に有
機物成分を多く含み、前記構造体から膜厚方向へ離れる
に従って金属または半導体成分が多くなるように組成比
が変化しているものであることを特徴とする請求項1ま
たは2に記載の有機EL素子。 - 【請求項4】 前記保護膜(8)は、前記金属または半
導体と有機物との化合物よりなる膜(8a)の上に無機
物よりなる無機膜(8b)を少なくとも1層以上成膜し
てなるものであることを特徴とする請求項1または2に
記載の有機EL素子。 - 【請求項5】 前記保護膜(8)は、前記金属または半
導体と有機物との化合物よりなる膜と無機物よりなる無
機膜とを交互に複数成膜してなるものであることを特徴
とする請求項1または2に記載の有機EL素子。 - 【請求項6】 前記保護膜(8)は、パルス電源を使用
した反応性直流スパッタ法により成膜されたものである
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記
載の有機EL素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000142215A JP2001326070A (ja) | 2000-05-15 | 2000-05-15 | 有機el素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000142215A JP2001326070A (ja) | 2000-05-15 | 2000-05-15 | 有機el素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001326070A true JP2001326070A (ja) | 2001-11-22 |
Family
ID=18649228
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000142215A Withdrawn JP2001326070A (ja) | 2000-05-15 | 2000-05-15 | 有機el素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001326070A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005046292A1 (ja) * | 2003-11-11 | 2005-05-19 | Pioneer Corporation | バリア薄膜、及びバリア薄膜を用いた有機el素子 |
JP2007048772A (ja) * | 2005-08-05 | 2007-02-22 | Rohm Co Ltd | 有機エレクトロルミネセンス素子 |
US7301280B2 (en) | 2003-01-29 | 2007-11-27 | Au Optronics Corp. | Organic light emitting display device with passivation structure |
JP2012094538A (ja) * | 2002-01-24 | 2012-05-17 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | 発光装置の作製方法 |
JP2012253036A (ja) * | 2002-01-15 | 2012-12-20 | Seiko Epson Corp | 表示装置および電子機器 |
-
2000
- 2000-05-15 JP JP2000142215A patent/JP2001326070A/ja not_active Withdrawn
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012253036A (ja) * | 2002-01-15 | 2012-12-20 | Seiko Epson Corp | 表示装置および電子機器 |
JP2012094538A (ja) * | 2002-01-24 | 2012-05-17 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | 発光装置の作製方法 |
JP2013175470A (ja) * | 2002-01-24 | 2013-09-05 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | 発光装置 |
US8779467B2 (en) | 2002-01-24 | 2014-07-15 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Light emitting device having a terminal portion |
US9312323B2 (en) | 2002-01-24 | 2016-04-12 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Light emitting device having insulator between pixel electrodes and auxiliary wiring in contact with the insulator |
US9627459B2 (en) | 2002-01-24 | 2017-04-18 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Display device having sealing material |
US7301280B2 (en) | 2003-01-29 | 2007-11-27 | Au Optronics Corp. | Organic light emitting display device with passivation structure |
WO2005046292A1 (ja) * | 2003-11-11 | 2005-05-19 | Pioneer Corporation | バリア薄膜、及びバリア薄膜を用いた有機el素子 |
JPWO2005046292A1 (ja) * | 2003-11-11 | 2007-05-24 | パイオニア株式会社 | バリア薄膜、及びバリア薄膜を用いた有機el素子 |
JP2007048772A (ja) * | 2005-08-05 | 2007-02-22 | Rohm Co Ltd | 有機エレクトロルミネセンス素子 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20070807 |