JP2001321155A - 口腔連鎖球菌分画装置とその菌展開部材、およびその口腔連鎖球菌分画装置を用いた分画方法 - Google Patents

口腔連鎖球菌分画装置とその菌展開部材、およびその口腔連鎖球菌分画装置を用いた分画方法

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JP2001321155A
JP2001321155A JP2000147117A JP2000147117A JP2001321155A JP 2001321155 A JP2001321155 A JP 2001321155A JP 2000147117 A JP2000147117 A JP 2000147117A JP 2000147117 A JP2000147117 A JP 2000147117A JP 2001321155 A JP2001321155 A JP 2001321155A
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streptococcus
fractionator
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Akihito Kamei
明仁 亀井
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 様々な連鎖数のストレプトコッカス・ミュー
タンスおよびストレプトコッカス・ソブリヌスが存在す
る標品を、連鎖数に依存して分画する装置とこれを用い
た分画方法を提供する。 【解決手段】 容器1内部に、粘性溶液による少なくと
も1つまたは2つ以上の密度からなる密度勾配2を形成
した菌展開部材と、菌展開部材を保持して遠心すること
が可能な遠心部材を備えている。菌展開部材の密度勾配
2に重層されたストレプトコッカス・ミュータンスおよ
びストレプトコッカス・ソブリヌスを含む標品は、遠心
部材による遠心力によって、それらの連鎖数に依存した
速度で菌展開部材の密度勾配2内を沈降する。そして、
密度勾配2により沈降速度が減じられるため、菌展開部
材の密度勾配2内の菌は完全に容器1底面に沈まず、菌
展開部材の密度勾配2内で、両菌の連鎖数に依存した分
画を形成させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に歯科医療およ
び基礎歯科学の分野で用いられ、現代の精製糖に起因す
るう蝕原性菌として注目されている口腔連鎖球菌の一種
であるストレプトコッカス・ミュータンスおよびストレ
プトコッカス・ソブリヌスを対象として、それらを含む
標品を菌体の連鎖数に依存して分画する口腔連鎖球菌分
画装置とその菌展開部材、およびその口腔連鎖球菌分画
装置を用いた分画方法に関する。
【0002】
【従来の技術】う蝕の直接的な原因は、口腔内細菌が産
生する有機酸による歯の脱灰である。口腔内細菌による
有機酸の産生をもたらすために好都合な基質は糖類であ
り、これにはグルコースおよびスクロースなどの単糖類
や少糖類、および単糖の重合体であるデンプンなどの多
糖類がある。
【0003】う蝕の原因菌としては、口腔内に存在する
糖発酵能を持つすべての菌が考えられる。これらの細菌
により産生された有機酸が何らかの障害物のために拡散
を妨げられ、歯が高濃度の有機酸にさらされることによ
って、う蝕が生じる。
【0004】有機酸の拡散が妨げられる要因を考えた場
合、次の3つに分類することができる。(1)食事によ
り摂取されたデンプンの歯頸部および歯根部への滞留に
よる場合、(2)スクロースなどの精製砂糖を基質とし
て細菌が産生した非水溶性グルカンによる場合、または
(3)これらの複合型の場合である。
【0005】上記(1)の要因については、乳酸桿菌等
の口腔内に存在する糖発酵能を持つすべての細菌が原因
菌として考えられる。この場合のう蝕の進行は一般的に
遅いと言われており、細菌にとって、高濃度の有機酸を
産生する環境の創出は受動的な要因が高い。
【0006】上記(2)および(3)の要因は、精製砂
糖を含有した食品が多い現代において問題となるもので
ある。この原因菌としては、ストレプトコッカス・ミュ
ータンスおよびストレプトコッカス・ソブリヌスが考え
られている。両菌は元々同じ菌種に分類されていたもの
であり、代謝活性および菌体表面の抗原性に若干の違い
があるものの、類似している面も多く、顕微鏡等による
菌体の観察では、その大きさや形状からは区別すること
ができない。
【0007】両菌は、スクロースの存在下で強い粘着
性、酸産生能力および耐酸性を発揮する。粘着性は、こ
れらの細菌がスクロースの存在下で産生する非水溶性の
α−グルカンにより発揮される。この非水溶性グルカン
は、極めて強く固表面に付着する性質があり、歯の表面
等に細菌を強固に結合させる性質がある。歯の表面に吸
着した非水溶性グルカンによって、細菌が産生した有機
酸が拡散を妨げられ、歯の表面が高濃度の有機酸にさら
される環境が創り出される。
【0008】この(2)および(3)の要因による場合
には、上記(1)の要因による場合と比べると、細菌に
とって、高濃度の有機酸を産生する環境の創出は能動的
要因が高いと考えられる。このタイプのう蝕の進行は、
上記(1)の要因による場合に比べて速いと言われてお
り、現代のう蝕の主要因はこれによると考えられてい
る。
【0009】現在、う蝕予防の立場から、う蝕誘発菌の
感染状況を知り、う蝕の危険性を低減させることが考え
られている。そのための方法としては、特定菌種に対し
て選択性の高い培地により、プラークまたは唾液中のス
トレプトコッカス・ミュータンスおよびストレプトコッ
カス・ソブリヌス、あるいは唾液中の乳酸桿菌を選択的
に培養し、培養により生じたこれらの菌種の集落数を計
数し、プラークまたは唾液中の菌種の菌数を指標とし
て、その多少に基づいてう蝕の危険性を判定する方法が
知られている。あるいは唾液やプラークをpH指示薬入
りの培地と混合して培養し、指示薬の色変化から唾液や
プラーク中に存在する細菌の酸産生能を調べ、この能力
をもとにう蝕の危険性を判定する方法が知られている。
【0010】現代のう蝕の主要因であるストレプトコッ
カス・ミュータンスおよびストレプトコッカス・ソブリ
ヌスを対象とした現行の主要な検査法は、これらの菌種
に対して選択性の高いバシトラシンを添加したミティス
サリバリウス寒天培地等を用いた上記集落数を計数する
方法である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ストレプト
コッカス・ミュータンスおよびストレプトコッカス・ソ
ブリヌスは連鎖球菌属に属する細菌であり、個々の菌体
が数珠状に連鎖した形態を持つ。その連鎖の長さは一定
ではなく、同一環境から採取した標品中においても異な
る。そのため、上述の培養により生じた集落を計数して
これらの菌種の検査を行う方法では、集落数が、実際の
標品中の菌数に対応しないという課題があった。この課
題は、ストレプトコッカス・ミュータンスおよびストレ
プトコッカス・ソブリヌスのような連鎖数が不定な連鎖
球菌に共通の課題である。
【0012】大腸菌等のように菌個体が独立して存在す
る細菌では、培養により生じる集落が重ならない程度に
距離を隔てて培地上に各菌個体を配置することができれ
ば、培養により生じる集落数が培地上に配置した菌数を
反映するものとなる。そのため、生じた集落数から元の
標品中の菌数を容易に推定することができる。
【0013】しかしながら、上述したように、ストレプ
トコッカス・ミュータンスおよびストレプトコッカス・
ソブリヌスは、個々の菌体が数珠状に連鎖した形態を持
ち、また、連鎖の長さは一定ではない。このため、培養
により生じた集落を計数して元の標品中の菌数を推定す
る場合、得られる結果は培地上に配置した菌数を必ずし
も反映しない。この理由は、いかなる連鎖数を持つ菌鎖
を培地上の1点に配置したとしても、それから生じる集
落は1つであり、集落数と菌数が対応しないからであ
る。
【0014】この課題は、選択培養に供する標品中のス
トレプトコッカス・ミュータンスおよびストレプトコッ
カス・ソブリヌスが持つ連鎖数の分布を調べることがで
きれば解決することができる。その分布に基づいて各連
鎖数の存在する割合を求め、この割合と選択培養で生じ
た集落数から、菌数を期待値として計算することが可能
となるからである。
【0015】しかしながら、顕微鏡等を用いて標品を直
接観察して上記連鎖数の分布を調べる場合、長短の入り
混じった連鎖数の計数記録を取るのは煩雑な作業であ
り、間違いが生じ易く、労力を要する。この作業を緩和
するためには、標品中のストレプトコッカス・ミュータ
ンスおよびストレプトコッカス・ソブリヌスを、連鎖数
に依存して幾つかの分画に分離すること、より好ましく
は、ある特定の連鎖数を持つものを主とする幾つかの分
画に分離することが効果的である。
【0016】この方法では、顕微鏡等により標品を直接
観察して連鎖数の分布を調べる上記方法に比べて、存在
する連鎖数を限定しているため、連鎖数を記録する作業
の煩雑性が緩和され、間違いが生じ難く、労力を減らす
ことができる。
【0017】この方法によるストレプトコッカス・ミュ
ータンスおよびストレプトコッカス・ソブリヌスの菌数
測定法は、以下のように行う。顕微鏡等を用いた観察に
より、分離した分画のストレプトコッカス・ミュータン
スおよびストレプトコッカス・ソブリヌスの連鎖数分布
を調べ、これを基にして分画中の各連鎖数の存在する割
合を求める。そして、この割合とその分画の選択培養で
生じた集落数から、培地上の菌数の期待値を求める。こ
の期待値と培地に塗布した分画の量および採取したとき
の分画の量から分画中の菌数を計算する。この作業を分
離したそれぞれの分画に対して行い、最後にすべての分
画について求めた菌数の和を計算することにより、元の
標品中の菌数を求めることができる。
【0018】この方法によれば、標品を直接培地に塗布
して生じた集落数を菌数指標として元の標品中の菌数を
求める従来の方法に比べて、より煩雑性が少なく、より
少ない労力で、より正確な菌数を求めることが可能とな
る。
【0019】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものであり、様々な連鎖数を持つストレプトコッカス
・ミュータンスおよびストレプトコッカス・ソブリヌス
が存在する標品を、連鎖数に依存して分画することが可
能な口腔連鎖球菌分画装置とその菌展開部材、およびそ
の口腔連鎖球菌分画装置を用いた分画方法を提供するこ
とを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の菌展開部材は、
壁面が筒状の形状を有し、底面が密閉可能な構造を持つ
容器内部に、粘性溶液により少なくとも1つまたは2つ
以上の密度からなる密度勾配を形成してあり、そのこと
により上記目的が達成される。
【0021】前記容器壁面が透明な材料からなるのが好
ましい。
【0022】前記容器底面に開閉可能なバルブを設けて
あるのが好ましい。
【0023】本発明の口腔連鎖球菌分画装置は、本発明
の菌展開部材と、該菌展開部材を保持して遠心すること
が可能な遠心部材からなり、そのことにより上記目的が
達成される。
【0024】本発明の分画方法は、本発明の口腔連鎖球
菌分画装置を用いており、そのことにより上記目的が達
成される。
【0025】以下、本発明の作用について説明する。
【0026】本発明にあっては、壁面が筒状の形状を有
し、底面が密閉可能な構造を持つ容器内部に、粘性溶液
により少なくとも1つまたは2つ以上の密度からなる密
度勾配を形成した菌展開部材を、遠心部材で遠心するこ
とにより、様々な連鎖数を持つストレプトコッカス・ミ
ュータンスおよびストレプトコッカス・ソブリヌスが存
在する標品を、これらの連鎖数に依存して分画すること
ができる。すなわち、菌展開部材に形成した密度勾配の
最上層に様々な連鎖数を持つストレプトコッカス・ミュ
ータンスおよびストレプトコッカス・ソブリヌスが存在
する標品を重層し、これを遠心部材で遠心すると、菌は
その連鎖数に依存した速度で菌展開部材内を沈降する。
このとき、密度勾配によりその沈降速度が減じられるた
め、菌展開部材内の菌は完全に容器底面まで沈まず、菌
展開部材の密度勾配に応じて分画を形成する。よって、
ストレプトコッカス・ミュータンスおよびストレプトコ
ッカス・ソブリヌスの連鎖数が多いものほど菌展開部材
の容器の底面側に移動して分画を形成し、連鎖数が少な
いものほど遠心時の菌展開部材内での移動度が少なく、
菌展開部材の容器の上側に分画を形成する。なお、密度
勾配は1つの密度からなり、勾配が0であってもよい。
【0027】上記菌展開部材の容器壁面を透明な材料に
より形成することにより、遠心により生じる分画を目視
によって確認することが容易になる。
【0028】さらに、上記菌展開部材の底面に開閉可能
なバルブを設けることにより、バルブを開いて菌展開部
材の底面からその内容物を滴下することができ、カラム
クロマトグラフィーと同様に、遠心によって生じた分画
の分離採取を容易に行うことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて、具体的に説明する。
【0030】本実施形態の菌展開部材の容器としては、
遠心操作により生じる分画を確認し易くするために、透
明な材質を用いるのが好ましい。このような材質として
は、石英ガラスおよび硼珪酸ガラス等の無機物質、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアロマ
ーおよびポリカーボネート等の有機物質が挙げられる。
さらに、本実施形態においては細菌を使用するため、使
用後に菌展開部材をオートクレーブ滅菌する必要があ
る。よって、菌展開部材の再使用を考える場合には、石
英ガラス、硼珪酸ガラス、ポリプロピレンおよびポリカ
ーボネート等のオートクレーブ滅菌可能な材質を用いる
のが好ましい。さらに、遠心時に標品の移動を滑らかに
行わせるためには、菌展開部材の内壁が実質的に平坦で
あることが好ましい。
【0031】さらに、目的分画を分離するという観点か
ら、菌展開部材の底面に開閉可能なバルブを設けること
が好ましい。また、本実施形態の菌展開部材を保持する
遠心部材としては、スイング型ローターまたは垂直型ロ
ーターを有するものが好ましい。その理由は以下の通り
である。通常良く見かけるアングルローターの場合、溶
媒よりも重い粒子が遠心力により外側に移動し、遠心管
の側壁に当たると濃縮され、側壁をつたってその下部に
速やかに沈澱を生じる。本発明では、沈澱を生じさせる
ことが目的ではなく、密度勾配分布内での分離を目的と
しているため、このような沈澱作用は無い方がよい。ス
イングローターや垂直ローターの場合、遠心管にかかる
遠心力の方向が、上記沈澱作用を軽減するのに適してい
るからである。
【0032】以下に、本実施形態の口腔連鎖球菌分画装
置について、図面を参照しながらさらに具体的に説明す
る。
【0033】図1(a)は、本実施形態の口腔連鎖球菌
分画装置における菌展開部材の断面図である。この図1
(a)において、1は菌展開部材の容器を表し、2は菌
展開部材の容器内に形成した密度勾配を表し、3は菌展
開部材内の溶液を保持または流出させるためのバルブを
表し、4は遠心部材で遠心するときにバルブ3を保護す
るためのキャップを表している。
【0034】図1(b)は、本実施形態の口腔連鎖球菌
分画装置における遠心部材の側面図である。この図1
(b)において、5は菌展開部材保持用ホルダーであ
り、遠心時にホルダー5の下面が遠心中心とは逆向きに
稼動可能になっている。6は回転軸を表し、7は菌展開
部材保持用ホルダー5の支持棒を表し、8は回転軸6と
菌展開部材保持用ホルダー5の支持棒7とを固定する固
定ネジを表し、9はベアリングを表し、10は回転軸6
の駆動部を表している。
【0035】本実施形態において、菌展開部材は以下の
ようにして作製した。菌展開部材の容器1としては15
ml容量のポリプロピレン製容器を用い、容器1の底面
を加工してカラムクロマトグラフィー用のバルブ3を加
工したものを接着し、菌展開部材内の溶液を滴下できる
構造とした。菌展開部材の粘性溶液による密度を作製す
るためにはスクロースを用いたが、グリセロール、糖ア
ルコールおよびフィコール(ファルマシアバイオテッ
ク)等を用いても分離効果が得られる。
【0036】ここでは、1重量%、5重量%、10重量
%、15重量%および20重量%でスクロースを蒸留水
に溶解したスクロース溶液を用意し、これらをスクロー
ス濃度が高いものから順に、バルブ3を閉じた菌展開部
材の容器1の底面から2mlずつ静かに重層した。本実
施形態では不連続な密度勾配を作製したが、密度勾配作
製用の混合器等を用いて連続的な密度勾配を作製しても
良い。バルブ保護用のキャップ4としては50ml容量
のポリプロピレン製容器に、後述する遠心によってバル
ブ3が中空に浮いた状態でも菌展開部材を固定できるよ
うに、詰め物をしたものを用いた。このキャップ4は、
バルブ3の破損等による菌の漏えい事故を防止する役割
も果たす。
【0037】このようにして図1(a)に示す菌展開部
材を作製し、その密度勾配2の最上層に、蒸留水に懸濁
させたストレプトコッカス・ミュータンスを500μ
l、静かに重層した。蒸留水に懸濁させたストレプトコ
ッカス・ミュータンス標品は、これを10倍希釈したも
のの波長660nmでの吸光度は0.71であった。
【0038】本実施形態では、図1(b)に示した遠心
部材と同等の性能を有する、スイング型ローターを備え
た遠心機(トミー、型式RL−131)を遠心部材とし
た。そして、ストレプトコッカス・ミュータンスを重層
した菌展開部材を遠心機に配置して、25℃で800r
pm、25分間遠心して、菌展開部材の密度勾配2内で
ストレプトコッカス・ミュータンスを連鎖数に依存して
展開させた。
【0039】その結果、密度勾配2内での2つの主要な
分画に分離することができた。以下、上段の分画を分画
1とし、下段の分画を分画2とする。このうち、分画2
は、バルブ3の三方コックを開け、菌展開部材内の溶液
を滴下させることにより回収した。また、分画1は、分
画2の回収後、パスツールピペットを菌展開部材の上方
から差し入れて、吸い取ることにより回収した。これ
は、分画最上面のものを採取する際に必要以上の分画の
汚染を防止するためである。回収した各分画の菌懸濁液
量は、すべて1mlとした。このようにして回収した各
分画の一部を採ってグラム染色し、正立型顕微鏡を用い
て1000倍の倍率で、任意の5視野について菌体の連
鎖状態を確認し、その分布を求めた。
【0040】図2に、本実施形態により求めた分画1の
連鎖数分布を示す。この図2から明らかなように、分画
1は菌連鎖数が2個のストレプトコッカス・ミュータン
スを主体とするものであり、8個以上の長鎖のストレプ
トコッカス・ミュータンスは確認できなかった。
【0041】図3に、本実施形態により求めた分画2の
連鎖数分布を示す。この図3から明らかなように、分画
2は菌連鎖数が3個から8個のストレプトコッカス・ミ
ュータンスを中心とするものであり、10個を超える長
鎖のストレプトコッカス・ミュータンスも存在してい
た。
【0042】以上のように、本実施形態の口腔連鎖球菌
分割装置と分画方法によれば、様々な連鎖数のストレプ
トコッカス・ミュータンスが存在する標品を、特定の連
鎖数を持つストレプトコッカス・ミュータンスを主とし
た分画に容易に分離することができる。また、分画への
分離により存在する連鎖数を限定しているため、連鎖数
の記録作業の煩雑性が緩和され、間違いが生じ難く、労
力を減らすことができる。
【0043】本実施形態より求めた連鎖数分布を用い
て、以下のようにして元の標品中の菌数を求めることが
できる。まず、連鎖数分布から分画1および分画2にお
いて各連鎖数が存在する割合を求め、これらの割合と、
適当に希釈した該当する分画の選択培養で生じた集落数
とから、培地上の菌数の期待値を求める。この期待値と
培地に塗布した分画の量から、該当する分画の希釈液中
の菌濃度を求め、これに希釈倍率を乗じて元の分画の菌
濃度を求める。本実施形態では、分画1および分画2を
それぞれ1ml採取しており、先に求めた菌濃度がそれ
ぞれ分画1および分割2に存在した菌数となる。元の標
品中の菌数はこれらの和であり、標品の量が500μl
であったことから、菌濃度はこれを2倍した値として求
めることができる。
【0044】この方法によれば、従来の集落数を菌数の
指標とする場合と比べて、より実際の菌数を反映した値
を求めることができる。
【0045】なお、本実施形態では、ストレプトコッカ
ス・ミュータンスが存在する標品について説明したが、
菌体の大きさや形状および培養適性の似通った類縁のス
トレプトコッカス・ソブリヌスについても同様の効果を
得ることができる。なお、本発明による分離は、実施形
態で用いた菌が有する固有物質分子に依存するようなミ
クロなレベルのものではなく、菌の連鎖数による粘性液
体中での抵抗差というマクロな構造差に依存したもので
ある。よって、上述した菌に限られず、それ以外の連鎖
数が不定な連鎖球菌についても適用可能である。
【0046】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
様々な連鎖数のストレプトコッカス・ミュータンスおよ
びストレプトコッカス・ソブリヌスが存在する標品を、
ある特定の連鎖数を持つストレプトコッカス・ミュータ
ンスおよびストレプトコッカス・ソブリヌスを主体とし
た分画に容易に分離することができる。よって、各分画
の連鎖数分布を、煩雑性が少ない方法で少ない労力によ
り求めることができ、各分画中の各連鎖数の存在する割
合も容易に求めることができる。
【0047】これらの割合と各々の分画の選択培養で生
じた集落数から、各分画培養での菌数の期待値を求め、
この期待値と培地に塗布した各分画の量および採取した
ときの各分画の量から分画中の菌数を計算し、すべての
分画について求めた菌数の和をとることにより、元の標
品中の菌数を求めることができる。この値は、従来の集
落数を菌数の指標とする場合と比べて、より実際の菌数
を反映したものとすることができる。
【0048】また、菌展開部材の壁面が透明な材料によ
り形成されているため、遠心により生じる分画を、目視
により容易に確認することができる。
【0049】さらに、菌展開部材の底面に開閉可能なバ
ルブが設けられているため、バルブを開くことにより、
菌展開部材の底面からその内容物を滴下することができ
る。よって、遠心により生じた分画の分離採取を容易に
行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施形態である口腔連鎖球
菌分画装置における菌展開部材の断面図である。(b)
は本発明の一実施形態である口腔連鎖球菌分画装置にお
ける遠心部材の側面図である。
【図2】実施形態1における分画1の連鎖数分布を示す
グラフである。
【図3】実施形態1における分画2の連鎖数分布を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 菌展開部材の容器 2 密度勾配 3 バルブ 4 バルブ保護用キャップ 5 菌展開部材保持用ホルダー 6 回転軸 7 菌展開部材保持用ホルダーの支持棒 8 固定ネジ 9 ベアリング 10 回転軸の駆動部
フロントページの続き Fターム(参考) 2G045 AA28 BB10 CB21 FA01 FA18 GC22 4B029 AA07 BB02 CC01 FA04 FA09 FA11 4B063 QA01 QA11 QA19 QA20 QQ03 QQ06 QR51 QS13 QS31 QS39 QX01 QX10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 壁面が筒状の形状を有し、底面が密閉可
    能な構造を持つ容器内部に、粘性溶液により少なくとも
    1つまたは2つ以上の密度からなる密度勾配を形成した
    菌展開部材。
  2. 【請求項2】 前記容器壁面が透明な材料からなる請求
    項1に記載の菌展開部材。
  3. 【請求項3】 前記容器底面に開閉可能なバルブを設け
    た請求項1または請求項2に記載の菌展開部材。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
    の菌展開部材と、該菌展開部材を保持して遠心すること
    が可能な遠心部材からなる口腔連鎖球菌分画装置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の口腔連鎖球菌分画装置
    を用いた分画方法。
JP2000147117A 2000-05-18 2000-05-18 口腔連鎖球菌分画装置とその菌展開部材、およびその口腔連鎖球菌分画装置を用いた分画方法 Withdrawn JP2001321155A (ja)

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WO2012017663A1 (ja) * 2010-08-04 2012-02-09 財団法人ヒューマンサイエンス振興財団 単核球分離管、単核球分離システム、単核球の分離方法、単核球、及び、体内投与用薬剤

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