JP2001318037A - 木材の強度測定装置 - Google Patents

木材の強度測定装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】木材の正確なヤング率を短時間に、かつ、連続
的に測定する。 【解決手段】搬送装置3の搬送方向に沿って2個の加圧
ローラー431 ,432を設ける一方、各加圧ローラー
431 ,432 に対応する位置に、加圧ローラー4
1 ,432 に作用する反力をそれぞれ検出するロード
セル441 ,442 および撓み量を検出する変位計
1 ,52 を設ける。そして、搬送装置3によって木材
Wを幅方向に搬送して順次加圧ローラー431 ,432
を強制的に通過させることにより、木材Wの設定位置に
異なる集中荷重を作用させ、その際、ロードセル4
1 ,442 によって検出された反力の差と、変位計5
1 ,52 によって検出された撓み量の差に基づいて木材
Wのヤング率を演算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木材、特に、端材
などの短小な木材の強度を測定する測定装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、木材の歩留りを向上させるため、
丸太から10〜30mm程度の薄板を製材し、集成材と
して有効利用することが提案されている。この場合、各
薄板の強度を測定して集成材の使用部位を決定してい
る。すなわち、ヤング率の大きな薄板を集成材の外方
に、また、ヤング率の小さな薄板を内方に位置するよう
にそれぞれ積層して集成材を製造するようにしている。
【0003】ところで、従来の木材の強度を測定する測
定装置は、特開昭58−208643号公報に記載され
るように、試験対象の木材を長手方向に搬送し、設定さ
れたスパンで木材を支持し、支持された木材の中央に集
中荷重を作用させ、その際に発生する撓み量を測定し、
集中荷重と撓み量から木材のヤング率を求めるものであ
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たような木材の強度測定装置においては、木材を長手方
向に搬送することから、その長さ分を搬送するために一
定の時間が必要になる。また、木材には、反りやねじれ
があることが多く、単一の集中荷重と撓み量から求めら
れたヤング率では、反りやねじれを補正することができ
ず、正確な数値が得られない他、ばらつきが大きくなる
という問題があった。
【0005】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたもので、木材の正確なヤング率を短時間に、かつ、
連続的に測定することのできる木材の強度測定装置を提
供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、基台に設けら
れた搬送装置と、搬送装置の搬送方向に沿って基台に設
けられた2個の加圧ローラーと、各加圧ローラーに作用
する反力をそれぞれ検出する2個のロードセルと、各加
圧ローラーに対応して基台に設けられた2個の変位計
と、からなり、搬送装置を介して木材を幅方向に搬送し
て順次加圧ローラーを強制的に通過させることにより、
木材の設定位置に異なる集中荷重を作用させ、各加圧ロ
ーラーに作用する反力を各ロードセルによってそれぞれ
検出するとともに、木材に発生する撓み量を各変位計に
よってそれぞれ検出し、2個のロードセルによって検出
された反力の差と、2個の変位計によって検出された撓
み量の差に基づいて木材のヤング率を演算することを特
徴とするものである。
【0007】本発明によれば、試験対象の木材を幅方向
に搬送する際、2個の加圧ローラーを順次強制的に通過
させることによって異なる集中荷重を作用させ、その反
力と撓み量を測定することから、短時間に、かつ、連続
的に測定することができる。また、異なる集中荷重を作
用させることによってそれぞれ発生する反力の差と撓み
量の差を用いてヤング率を求めることから、試験対象の
木材に反りやねじれがあったとしても、反りやねじれを
無視することができ、誤差の少ない正確なヤング率を求
めることができる。
【0008】本発明において、前記基台に複数のマーキ
ングローラーを有するマーキング装置が設けられ、演算
されたヤング率に対応して選択されたマーキングローラ
ーを介して木材に対応する色彩のマークを付すように構
成すると、測定された木材のヤング率に基づいて木材を
分類することができ、後段の作業に活用することができ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0010】図1および図2には、本発明の木材の強度
測定装置1が示されている。
【0011】この測定装置1は、基台2と、この基台2
に設けられ、試験対象の木材Wを搬送する搬送装置3
と、搬送装置3を介して送り込まれた木材Wに集中荷重
を作用させる加圧装置4と、加圧装置4による集中荷重
によって木材Wに発生する撓み量を測定する変位計
1 ,52 と、加圧装置4による集中荷重と撓み量から
求められたヤング率Eに基づいて木材Wにマークを付す
マーキング装置6と、から構成されている。
【0012】基台2は、形鋼を枠組みして形成され、そ
の略中央部には、基台2の左右(図1の左右)を挟むよ
うに門型フレーム21が一体に連結されている。ここ
で、門型フレーム21間の内寸は、木材Wの長さに対応
して設定されている。
【0013】搬送装置3は、基台2の前後端部にそれぞ
れ回転自在に軸支された回転軸31と、各回転軸31の
左右端部にそれぞれ固定されたスプロケット32と、こ
れらの前後方向(図1の紙面に直交する方向)に対向す
るスプロケット32回りにそれぞれ巻回され、設定間隔
で係止爪34(図3参照)が固定された一対のチェーン
33と、からなり、基台2に設けられた電動モータ35
を介して一方の回転軸31を回転駆動させることによ
り、一対のチェーン33が循環し、各チェーン33の係
止爪34に木材Wを位置決めして後方に搬送することが
できる。
【0014】なお、後述するように、加圧装置4によっ
て木材Wに集中荷重を作用させることに伴い、チェーン
33にも大きな負荷が作用するため、各チェーン33
は、基台2に支持されて循環するようになっている。
【0015】加圧装置4は、図3に示すように、基台2
の門型フレーム21間に架設されたシャフト41と、シ
ャフト41回りに一端がそれぞれ回動自在に軸支された
一次側および二次側のL字状支持レバー421 ,422
と、各支持レバー421 ,422 にそれぞれ回転自在に
軸支された一次側および二次側の加圧ローラー431
432 と、各支持レバー421 ,422 の他端部にそれ
ぞれ設けられた一次側および二次側のロードセル4
1 ,442 と、門型フレーム21と各ロードセル44
1 ,442 間に調整ネジ46を介して配設された一次側
および二次側の加圧シリンダ451 ,452 と、からな
り、一次側の加圧ローラー431 、ロードセル441
加圧シリンダ451 および二次側の加圧ローラー4
2 、ロードセル442 、加圧シリンダ452 は、搬送
装置3を構成する一対のチェーン33の略中間、すなわ
ち、木材Wの長さ方向の略中間にそれぞれ位置するよう
に取り付けられている。そして、各支持レバー421
422 の他端部と門型フレーム21間には、それぞれス
プリング47を介して連結ロッド48が配設されてい
る。
【0016】ここで、各加圧ローラ431 ,432 は、
木材Wが各加圧ローラー431 ,432 を通過する際、
木材Wにそれぞれ異なる一定の撓み量を発生させるよう
に、調整ネジ46を介して高さ方向に位置決めされてい
る。具体的には、一次側の加圧ローラー431 の外周面
に接する水平面は、木材Wの厚みよりも約1.5mm、
また、二次側の加圧ローラー432 の外周面に接する水
平面は、木材Wの厚みよりも約7mmそれぞれ低く位置
するように設定されている。
【0017】なお、各加圧ローラー431 ,432
は、その外周面にゴム431が貼着されており、木材W
が通過する際、木材Wに傷がつかないようにしている。
【0018】また、各加圧シリンダ451 ,452
は、エアシリンダが採用され、各加圧ローラー431
432 を通過する木材Wの反力を緩衝している。
【0019】さらに、各加圧ローラー431 ,432
は、スプリング47の付勢力が作用しているが、この付
勢力は、後述するヤング率を演算する際、補正される。
【0020】変位計51 ,52 は、レーザー変位計であ
って、一次側および二次側の加圧ローラー431 ,43
2 の作用点直下に位置してそれぞれ基台2に固定されて
おり、チェーン33の搬送面を基準として、各加圧ロー
ラー431 ,432 を通過する木材Wの底面との距離、
すなわち、木材Wの撓み量を測定するものである。
【0021】マーキング装置6は、図4に示すように、
基台2の門型フレーム21に固定されたマーキングフレ
ーム61と、マーキングフレーム61に並設された3個
のシリンダ62と、各シリンダ62にそれぞれ昇降自在
に連結されるとともに、回転自在に軸支された3個のロ
ーラー63と、からなり、各ローラー63の外周面に
は、それぞれ異なる色彩のインクが含浸されたインク塗
布具631が設けられている。そして、後述するよう
に、加圧ローラー431 ,432 を通過することに伴っ
て発生する反力と撓み量から求められた木材Wのヤング
率に基づいて、木材Wの端部に異なる色彩のマークを付
すように設定されている。
【0022】また、強度測定装置1を制御するため、マ
イクロコンピュータなどの制御装置を備えた制御盤7が
設けられている。
【0023】次に、このように構成された強度試験装置
1の作動について説明する。
【0024】まず、試験装置1の搬送装置3と同期して
作動する供給装置(図示せず)を介して試験対象の木材
Wが長さ方向を測定装置1の左右に向けて測定装置1に
順次供給される。供給装置から測定装置1に供給された
木材Wは、その長手方向の両端部近傍を搬送装置3のチ
ェーン33に支持されるとともに、チェーン33に設け
られた爪係止35を介して後方に搬送される。この際、
木材Wの長さ方向の略中間が一対のチェーン33の略中
間に位置するように位置決めされている。
【0025】搬送装置3の一対のチェーン33に支持さ
れて後方に搬送された木材Wは、その長さ方向の略中間
が一次側の加圧ローラー431 を強制的に通過させられ
る。この際、一次側の加圧ローラー431 に作用する反
力P1 は、一次側のロードセル441 によって検出さ
れ、その検出結果は、図示しない制御装置に出力され
る。合わせて、一次側の加圧ローラー431 を通過する
ことによって発生する木材Wの撓み量δ1 は、一次側の
変位計51 によって検出され、その検出結果は、同様に
制御装置に出力される。
【0026】次いで、一次側の加圧ローラー431 を通
過した木材Wは、搬送装置2によって停止することなく
搬送され、二次側の加圧ローラー432 を強制的に通過
させられる。この際、一次側と同様に、二次側の加圧ロ
ーラー432 に作用する反力P2 は、二次側のロードセ
ル442 によって検出され、その検出結果は、制御装置
に出力される。合わせて、二次側の加圧ローラー432
を通過することによって発生する木材Wの撓み量δ
2 は、二次側の変位計52 によって検出され、その検出
結果は、同様に制御装置に出力される。
【0027】ところで、両端支持された木材Wの中央に
集中荷重Pが作用した時の撓み量δは、木材Wのヤング
率をE、支持スパンの距離をL、木材Wの幅をb、その
厚みをhとすると、δ=(P・L3 )/(4E・b・h
3 )で求められる。
【0028】ここに、集中荷重P、支持スパンの距離
L、木材Wの幅bおよび厚みhは既知であるから、木材
Wのヤング率Eは、E=(P・L3 )/(4δ・b・h
3 )となる。
【0029】この場合、集中荷重Pとしては、一次側の
ロードセル441 で検出された反力P1 および二次側の
ロードセル442 で検出された反力P2 との差が用いら
れ、また、撓み量δとしては、一次側の変位計51 で検
出された撓み量δ1 および二次側の変位計52 で検出さ
れた撓み量δ2 との差が用いられる。すなわち、図示し
ない制御装置には、予め支持スパンの距離L、木材Wの
幅bおよび厚みhが入力されており、また、一次側の反
力P1 および二次側の反力P2 から演算された差分の集
中荷重Pおよび一次側の撓み量δ1 および二次側の撓み
量δ2 から演算された差分の撓み量δが制御装置に入力
されて、木材Wのヤング率Eが演算される。
【0030】このようにして演算された木材Wのヤング
率Eは、反りやねじれに関係なく誤差の少ない正確な値
となる。すなわち、集中荷重Pと撓み量δとは、ヤング
率Eを係数とする比例関係にあることから、異なる2点
間の反力P1 ,P2 の差と撓み量δ1 ,δ2 の差によっ
て求められる勾配である係数(ヤング率E)は、反りや
ねじれによって発生する誤差を除去したものとなる。
【0031】この結果、木材Wに反りやねじれがあった
としても、それらに影響されない正確なヤング率Eを求
めることができる。
【0032】一方、演算された木材Wのヤング率Eは、
予め設定されたテーブルのヤング率Eと比較演算され、
搬送装置3によって木材Wを搬送する過程において、演
算されたヤング率Eに基づいて、対応するシリンダ62
を伸長作動させ、対応するマーキングローラー63のイ
ンク塗布具631によって木材Wに設定された色彩のマ
ークを付すようになっている。具体的には、設定された
上限以上のヤング率の木材Wには、一のマーキングロー
ラー63によって一の色彩のマークを付し、また、設定
された上限未満かつ下限以上のヤング率の木材Wには、
他のマーキングローラー63によって他の色彩のマーク
を付し、さらに、設定された下限未満のヤング率の木材
Wには、もう一つのマーキングローラー63によっても
う一つの色彩のマークを付すようにしている。このた
め、試験対象の木材Wをヤング率Eによって分類するこ
とが可能となる。
【0033】例えば、木材Wを積層して集成材を製造す
るラインにおいて、木材Wに付された色彩のマークを読
み取ることにより、大きなヤング率の木材Wを外方に配
置し、小さなヤング率の木材Wを内方に配置するよう
に、使用部位を決定することができる。また、規定以下
のヤング率の木材Wについては、使用することなく廃棄
することができる。
【0034】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、試験対象
の木材を幅方向に搬送する過程において、2個の加圧ロ
ーラーを順次強制的に通過させて異なる集中荷重を作用
させ、その際の反力と撓み量を測定することから、短時
間に、かつ、連続的に測定することができる。また、異
なる集中荷重を作用させることによってそれぞれ発生す
る反力の差と撓み量の差を用いてヤング率を求めること
から、木材に反りやねじれがあったとしても、反りやね
じれを無視することができ、誤差の少ない正確なヤング
率を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の木材の強度試験装置を示す正面図であ
る。
【図2】本発明の木材の強度試験装置を示す側面図であ
る。
【図3】図1の強度試験装置の要部を示す拡大図であ
る。
【図4】図1の強度試験装置のマーキング装置を示す正
面図である。
【符号の説明】
1 強度試験装置 2 基台 21 門型フレーム 3 搬送装置 33 チェーン 35 係止爪 4 加圧装置 421 ,422 支持レバー 431 ,432 加圧ローラー 431 ゴム 441 ,442 ロードセル 451 ,452 加圧シリンダ 51 ,52 変位計 6 マーキング装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基台に設けられた搬送装置と、搬送装置
    の搬送方向に沿って基台に設けられた2個の加圧ローラ
    ーと、各加圧ローラーに作用する反力をそれぞれ検出す
    る2個のロードセルと、各加圧ローラーに対応してそれ
    ぞれ基台に設けられた2個の変位計と、からなり、搬送
    装置を介して木材を幅方向に搬送して順次加圧ローラー
    を強制的に通過させることにより、木材の設定位置に異
    なる集中荷重を作用させ、各加圧ローラーに作用する反
    力を各ロードセルによってそれぞれ検出するとともに、
    木材に発生する撓み量を各変位計によってそれぞれ検出
    し、2個のロードセルによって検出された反力の差と、
    2個の変位計によって検出された撓み量の差に基づいて
    木材のヤング率を演算することを特徴とする木材の強度
    測定装置。
  2. 【請求項2】 前記基台に複数のマーキングローラーを
    有するマーキング装置が設けられ、演算されたヤング率
    に対応して選択されたマーキングローラーを介して木材
    に対応する色彩のマークを付すことを特徴とする請求項
    1記載の木材の強度測定装置。
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