JP2001311730A - 細胞系譜抽出方法 - Google Patents

細胞系譜抽出方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】細胞系譜を計算機で構築することにより、細胞
系譜を省力でかつ短時間で構築する。 【解決手段】(a)4次元顕微鏡画像を得る工程と、
(b)4次元画像において、画像処理を行うことで細胞
核領域を抽出する工程と、(c)4次元画像において抽
出された細胞核領域から、同一細胞核に由来する細胞核
領域を統合する工程と、(d)統合された細胞核領域に
おいて、画像中の細胞核領域が出現、消滅する時点、位
置の情報から細胞系譜を構築する工程とを含み、前記
(b)工程は、細胞核の候補となる領域を抽出する工程
と、細胞系譜作成試行作業による細胞核予想領域の指定
と、該予想領域を該細胞核候補領域にフィードバックさ
せて細胞核領域を抽出する工程とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は細胞系譜抽出方法に
係り、詳しくは、観察対象の4次元顕微鏡画像から細胞
系譜を作成する方法に関するものである。また、本発明
は、好適には、ノマルスキー型透過型微分干渉顕微鏡
(以下「ノマルスキー顕微鏡」という)で撮影した線虫
(C.elegans)の発生過程の4次元画像から、
細胞系譜を作成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】線虫は1965年にSidney Br
ennerによって見出された実験生物で、現在の分子
生物学で特に詳しく解析されている実験生物(大腸菌、
酵母、線虫、ハエ、アフリカツメガエル、セブラフィッ
シュ、ネズミ等)の一つである。線虫は、これらの実験
生物の中では多細胞生物の最も単純な生物として位置付
けられている。線虫は、受精卵が成虫になるまで、おお
よそ三日間を要する。
【0003】多細胞生物は基本的に一つの受精卵(単細
胞)が秩序正しく分裂を繰り返して多数の細胞からなる
成虫を形成する。受精卵からの分裂の秩序を樹形図的に
記述したものを細胞系譜と呼ぶ。線虫は多細胞生物の中
で唯一受精卵から成虫までの細胞系譜が明らかにされて
いる。この細胞系譜は1983年にSulston等に
よって決定された。
【0004】正常な線虫(wild type)は全て
の個体でその受精卵から成虫になるまでの細胞系譜が一
定である。特定の遺伝子に突然変異が起きるとその遺伝
子の機能に変化が生じ、細胞分裂のパターン、すなわち
細胞系譜がwild typeのものと比べて変化す
る。この細胞系譜の変化から突然変異した遺伝子の機能
を推定し、その推定を出発点にした研究の進展により大
量の遺伝子が急速に同定され、また、突然変異体動物が
大量生産され始めてきている。これらの資源を有効活用
することを考えると、遺伝子、突然変異体解析の出発点
である細胞系譜解析の自動化は必要不可欠な技術であ
る。
【0005】従来の細胞系譜の作成には、いわゆるノマ
ルスキー顕微鏡が用いられる。ノマルスキー顕微鏡は、
偏光版、ノマルスキープリズムのセットにより作成した
2種類の光線(同波形、同位相、光路のみ微妙にズレて
いる)を観察対象に照射し、観察対象を透過させる。観
察対象を透過する光路の長さや、屈折率の差に起因して
透過後の2本の光線の位相はズレている。透過後の2本
の光線を偏向板、ノマルスキープリズムのセットを用い
て同光路に収束させると、この2本の光線の位相のズレ
は干渉作用を引き起こす。この干渉作用による明暗像を
もって、観察するのがノマルスキー顕微鏡である。この
方法によれば、透明な観察対象の内容物の分布や外形状
を明暗像で捉えることができる。生物学で言うと、通常
の光学顕微鏡では透明に見える細胞の内容物(細胞核)
や、外形(細胞膜)を明暗像で捕らえることができる。
【0006】線虫の細胞系譜を決定したSulston
等はノマルスキー顕微鏡を肉眼で見てスケッチして作成
したと言われており、相当の時間(おそらく1年以上)
を要したものと思われ、また、その労力は多大なもので
ある。
【0007】最近では、ノマルスキー顕微鏡を用いた4
D顕微鏡画像を用いて作成するのが一般的である。特定
の焦点で観察される顕微鏡画像は観察対象を特定の位置
で水平に切断して得られる2次元(x−y軸)断面像と
考えられる。すなわち、焦点を上下に動かす(z軸方向
に動かす)ことで観察対象をz軸方向の様々な位置で切
断した断面像が得られる。これらの画像を統合すると観
察対象の3次元の形を捉えることができる(3次元画
像)。さらに、このような3次元画像の撮影を時間を追
って撮影していくことで観察対象の時間変化を捉えるこ
とができる。このようにして撮影したものを4D(4次
元)顕微鏡画像と呼ぶ。
【0008】4D顕微鏡画像を用いる作業はSulst
on当時と比較して楽になったものと考えられるが、撮
影した画像から細胞核、細胞膜を人間が判断しているた
め、やはりかなりの労力と時間を要する。受精卵から1
6細胞くらいまでの作成であっても、1日以上はかか
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
の細胞系譜の作成を容易に行うべく創案されたものであ
って、細胞系譜を計算機で構築することにより、細胞系
譜を省力でかつ短時間で構築することを目的とするもの
である。さらに、本発明は、特に、細胞系譜を計算機で
構築するにあたり、核認識のプロセスの性能向上を目的
とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために本発明が採用した技術手段は、観察対象
の細胞について焦点面を変化させて2次元画像を複数撮
影し、かつ、該2次元画像を時系列に複数撮影すること
で焦点面、時点で異なる複数の2次元画像を得る工程
(4次元顕微鏡画像を得る工程)と、前記夫々の2次元
画像において、画像処理を行うことで細胞核領域を抽出
する工程と、前記夫々の2次元画像において抽出された
細胞核領域から、同一細胞核に由来する細胞核領域を統
合する工程と(4次元統合核領域を得る工程)、統合さ
れた細胞核領域(4次元統合核領域)において、画像中
の細胞核領域が出現、消滅する時点、位置の情報から細
胞系譜を構築する工程とを含み、前記「画像処理を行う
ことで細胞核領域を抽出する工程」は、細胞核の候補と
なる領域を抽出する工程と、細胞系譜作成試行作業によ
る細胞核予想領域の指定と、該予想領域を該細胞核候補
領域にフィードバックさせて細胞核領域を抽出する工程
とを備えていることを特徴とする。
【0011】好ましくは、該細胞系譜作成試行作業は、
同時点、同焦点面に含まれる核領域の統合、4次元的核
領域の統合、細胞系譜の作成の少なくとも一つ以上を含
み、該試行作業による核予想領域の指定をフィードバッ
クさせるものである。複数画像中の同一核を統合する処
理では、時間的、空間的な近傍を見ることで、核認識結
果の妥当性を検証することができる。生成された細胞系
譜から、核のあるべき場所、あってはいけない場所が推
測できる。これらの推測の結果をフィードバックし、核
を認識する際のパラメータを変更する(すなわち、核候
補領域から、核領域を抽出するための核スコアをフィー
ドバックによって変化させる。)。
【0012】細胞核を抽出する工程は、画像の明暗の細
かい変化が少ない領域を核として検出する手法、あるい
は、光の角度に沿って広い範囲で明暗の変化の大きい部
分を核として抽出する手法を含む。前者の例としては、
Kirschフィルタ、Prewittフィルタ、エントロピーフィ
ルタ、FFTフィルタを用いるものが挙げられる。Kirs
chフィルタは好ましくは、Kirschテンプレート型エッジ
検出オペレータと移動平均法を組み合わせたフィルタで
ある。Prewittフィルタは好ましくは、Prewittテンプ
レート型エッジ検出オペレータの出力を2値化し、さら
に距離変換を適用するフィルタである。後者の例として
は、見た目の光の角度に沿って上下所定ピクセル分の輝
度値の合計の差分を取るフィルタが採用される。該差分
フィルタによる手法は、細胞境界の抽出、胚領域の抽出
を行う工程を含み、該工程の結果に基づいて結果を補正
することが望ましい。
【0013】夫々の2次元画像において抽出された細胞
核から、同一細胞核に由来する細胞核領域を統合する工
程は、同焦点面の画像群に含まれる同一の細胞核由来の
核領域を統合する工程と、同時点の画像群に含まれる同
一の細胞核由来の細胞核領域を統合する工程と、前記二
つの工程で得られた細胞核領域をさらに統合する工程を
含む。また、4次元統合された細胞核領域において、画
像中の細胞核領域が出現、消滅する時点、位置の情報か
ら細胞系譜を構築する工程は、複数の細胞核領域の4次
元距離を求めることにより、ある細胞と、その細胞の細
胞分裂後の細胞とを特定する工程を含むものである。
尚、細胞核領域を統合する工程の前に、誤認された核領
域を人間の判断で除去する工程を含んでいてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に係る細胞系譜抽出方法な
いしシステムの一つの実施形態を、線虫初期胚の細胞系
譜の作成に基づいて説明する。図1はシステムの構成図
であって、[1]線虫初期胚のノマルスキー型顕微鏡4
D画像を撮影する工程、[2]核認識用画像処理アルゴ
リズムによる核候補領域の指定、[3]フィードバック
機構による核領域選定機構、[4]必要に応じて、誤認
された核領域を人間の判断で除去する工程、[5]複数
の焦点面、複数の時点(時系列)の画像における核情報
を統合する工程(同一核由来の核領域の統合アルゴリズ
ム)、[6]4次元統合核領域の出現、消滅の時点・位
置の情報から細胞系譜を構築する工程とを備えている。
【0015】[1]線虫初期胚のノマルスキー型顕微鏡
4D画像を撮影する工程 線虫初期胚のノマルスキー型顕微鏡による4D画像の撮
影について説明する。4D画像が意味することころは、
従来技術の欄に記載したとおりであって、焦点を異なら
しめて撮影した複数の2次元画像と、該複数の2次元画
像を時系列に撮影してなる複数の2次元画像を言う。す
なわち、焦点面、時点が異なる複数の2次元画像を統合
した画像を4D画像と言う。本実施の形態で処理対象と
する線虫の初期胚の画像は、焦点面を上下に変えて30
〜90枚の1セットとし、1〜5分毎に撮影する。実験
では、89の焦点面、20の時系列点について、合計1
780枚の二次元画像を撮影した。細胞の長尺方向の半
径は約60μm、短尺方向の半径は約30μmである。
撮影は90秒毎に行った。処理対象の顕微鏡画像の例を
図2に示す。横軸が時間軸(時点)、縦軸が焦点軸(焦
点面)である。
【0016】[2]核認識用画像処理アルゴリズムによ
る核候補領域の指定 核領域認識用画像処理アルゴリズムは、画像処理アルゴ
リズム群、画像処理結果統合アルゴリズム、の2つに分
けられる。画像処理アルゴリズム群には以下に述べるよ
うな複数の異なる画像処理アルゴリズムが採用され得
る。
【0017】[核認識(画像処理)アルゴリズムA]こ
のアルゴリズムは、顕微鏡画像の明暗の細かい変化が少
ない領域を核として検出する。ノマルスキー型顕微鏡画
像において、細胞質は、細胞内小器官のため明暗の細か
い変化に富んだ領域となるが、細胞核は、明暗の細かい
変化が少ない領域になるという性質を備えている。画像
処理アルゴリズムAはこの性質を利用するものである。
この特徴を捉えるべく、Kirschのオペレータで原
画像を変換すると、画像の明暗の少ない部位が輝度の小
さい領域として表される画像が得られる。この画像に、
平滑化処理として移動平均法を採用する。画像処理アル
ゴリズムAについて詳述すると、Kirschのエッジ
検出オペレータを使用し、画像の輝度の変化が激しい領
域を抽出するに当り、以下の係数行列のなかで、出力が
最大のものを利用する。
【数1】 平滑化においては、以下の式を用いる。
【数2】
【0018】[核認識(画像処理)アルゴリズムB]こ
のアルゴリズムも、顕微鏡画像の明暗の細かい変化が少
ない領域を核として検出するものである。Prewit
tのテンプレート型オペレータで原画像を変換し、2値
化すると、画像の明暗の変化の激しい領域(細胞質)
は、白点がまばらに分布する領域として、画像の明暗の
変化の少ない領域(細胞核)は白点のない黒い領域とし
て表される画像が得られる。この画像から、距離変換処
理で白点のない領域を抽出する。具体的には、Prew
ittのテンプレート型エッジ検出オペレータを使用
し、画像の輝度の変化が激しい領域を抽出するに当り、
以下の係数行列の中で、出力が最大のものを利用する。
【数3】 2値化の後、以下のメディアンフィルタを用いる。
【数4】 さらに、以下の距離変換を行う。
【数5】
【0019】[核認識(画像処理)アルゴリズムC]こ
のアルゴリズムは、ノマルスキー型顕微鏡像において、
観察対象は特定の位置から斜めに光を当てたような影が
ついて観察されることを利用する。円形である細胞核の
核膜は、画像中で半周分が明るく、残りの半周分が暗く
現れる。この見た目の光の角度に沿って広い範囲で明暗
の変化の大きい部分を、核として抽出する。例えば、見
た目の光の角度に沿って上下30ピクセル分の輝度値の
合計の差分を取り、この値をその点の変換後の値とす
る。具体的には、核が光の方向に沿って、明るい部分と
暗い部分で囲まれるように見える性質を捉えるため、以
下の式で表されるフィルタをかける。ここに、f(x,
y)は原画像の輝度値、g(x,y)は変換後の画像の輝度
値、θは光の方向、mは輝度値を合計する範囲である。
【数6】
【0020】細胞境界検出のアルゴリズムについて説明
する。核認識のアルゴリズムCの補正のため、明らかに
細胞の境界になっている領域を探す。Prewittの
テンプレート型エッジ検出オペレータの結果を2値化す
る。円形率、面積、周の長さを利用して、細長い領域を
抽出する。結果を図6に示す。
【0021】胚領域検出のアルゴリズムについて説明す
る。核認識アルゴリズムCの補正のため、画像中の胚の
領域を探す。Kirschのテンプレート型エッジ検出
オペレータの結果を2値化する。最大の連結成分を抽出
する。結果を図7に示す。このように、アルゴリズムC
の結果は、細胞境界検出のアルゴリズム、胚領域検出の
アルゴリズムによって補正される。
【0022】[エントロピーフィルタ]特徴を計測した
い画像領域に対して、濃淡ヒストグラムH(l)(濃淡
レベル数がLであれば、l=0,1,2,・・・,L−
1である)を求め、頻度の総数(画像領域の画素数N)
で各濃淡レベルの頻度を割って、総画素数が1.0にな
るように正規化する。それをP(l)とする。以下の式
によって求められるEPYの値を基準にして核領域、細胞
質領域の区別を行う。6x6pixcel〜20x20
pixcel(あるいは画像上の核の直径に相当する大
きさ)の画像領域ウィンドウに対してスキャンすること
により良好な結果を得る。
【数7】
【0023】[FFTフィルタ]特徴を計測したい画像
領域に対して、2次元FFTパワースペクトル(高速フ
ーリエ変換パワースペクトル)を計算し低周波、高周波
領域の特徴を用いて核領域を検出する。通常のフーリエ
変換も使用することができる。
【0024】次に、画像処理結果統合アルゴリズムにつ
いて説明する。4次元顕微鏡撮影画像を用いて、核が存
在すると認識された領域(核候補領域)を抽出し、それ
らに核である確からしさのスコア(核スコア)を与え
る。具体的な方法としては現在、(ア)閾値法、(イ)極領
域法、の2法が採用される。
【0025】[閾値法]各画像処理アルゴリズムの結果
をそれぞれ特定の閾値を用いて二値化し、核候補領域を
指定する方法。指定された領域にはその面積、円形度に
依存したスコア(核スコア)が与えられる。尚、アルゴ
リズムCの結果は、補正後作成された領域に面積、円形
度に応じたスコアを与えればよい。
【0026】[極領域法]各画像処理アルゴリズムの結
果(二値化する前)の画像では、核の部分が黒っぽく浮
き出るように、画像の各ピクセルごとに濃淡の値(通常
白黒256階調で使用)が与えられる(各部分が白く浮
かび上がるフィルターでも、白黒反転させればこの状態
になる)。この画像の中から、黒色方向極領域をスコア
付で抽出する。黒色方向極領域とは、領域内の各ピク
セルの値は領域の輪郭に隣接する各ピクセルの値より黒
色度が高い、領域はあらかじめ与えておいた円形(そ
の画像における核の大きさとほぼ同等の値を用いるのが
最適)内に納まる、ような領域で、そのスコアは領域内
の各ピクセルの黒色度、面積に依存する。各画像処理ア
ルゴリズムに対して独立にこの作業を行い、その結果を
適切な重み付けを用いて統合する。これら黒色方向極領
域を核候補領域にそのスコアを候補領域の核スコアとす
る。尚、二値化する前の画像とは、Kirschフィル
タの場合は平滑化の後、Prewittフィルタの場合
は、距離変換の後を意味する。アルゴリズムCの場合に
は、極領域法の場合には3通りの方法が考えられる。
(i)「輝度値の差分を取る手法」のみを用いて他のアル
ゴリズムと同様の核領域の検出、スコア付けを行う。(i
i)(i)で検出された領域から「胚領域検出アルゴリズ
ム」で胚領域と認められたもののみ核領域として認め
る。(iii)(i)で検出された領域から「胚領域検出アルゴ
リズム」で胚領域と認められ、「細胞境界検出アルゴリ
ズム」で細胞境界ではないと認められたものだけ核領域
として認める。
【0027】[3]フィードバック機構による核領域選
定機構 核認識フィードバックについて説明する。このアルゴリ
ズムは前記画像処理結果統合アルゴリズムで作成された
核スコア付の核候補領域を材料に、その後の細胞系譜作
成作業の結果のフィードバックを利用して核領域(核の
存在場所として決定された領域)を抽出する。具体的に
は同時点、同焦点面に含まれる核領域の統合、4次
元的核領域の統合、細胞系譜の作成、の各試行作業か
らのフィードバックをこの順に利用し、最終的に核領域
を抽出する。一部のフィードバックを省略することも可
能である。
【0028】フィードバックデータは、「核スコア(核
である確からしさのスコア)」と「指定値」とを比較す
る際に、核スコアを変更させるための情報として用いら
れる。指定値とは、プログラムを走らす前に、特定の値
を与えるという意味である。指定値は、フィードバック
システムの性能を左右するので、最適な値が選択され
る。現システムでは、数例の4次元顕微鏡画像サンプル
に対して画像アルゴリズムを適用し、誤認識の無い値
(つまり、検出された核領域はすべて本物の核を指し示
しているような値)を使用している。
【0029】次いで、フィードバック機構の流れについ
て説明する。まず、「同時点、同焦点面に含まれる核
領域の統合作業からのフィードバック」を行い、これに
より核予想領域とされた領域に含まれる核候補領域の核
スコアをこのフィードバック用に指定した値分だけ上昇
させる。その結果、これらの核候補領域の中で、その核
スコアが「画像処理結果統合アルゴリズムの次に作動す
る場合」にある核スコアの指定値を超えたものは核領域
とする。また、この指定値を超えなかったものについて
は、上昇させた分の核スコアを破棄し、元の値の核スコ
アに戻して核候補領域として戻しておく。そしてこのよ
うにして新しく追加された核領域を含む核領域を次のプ
ロセスに与え、「同時点、同焦点面に含まれる核領域の
統合作業」からのフィードバックを繰り返す。このフィ
ードバックを何度か繰り返し、もはや新しい核領域がこ
のフィードバックによって追加されなくなった場合、
「4次元核領域の統合作業」からのフィードバックを
行う。このフィードバックでは、このフィードバック特
有の核スコアが核候補領域に追加され、ここでも同様
に、新しい核領域が追加されなくなるまでこのフィード
バックを行う。その後、「細胞系譜作成作業」からの
フィードバックを、やはりこのフィードバックによって
新しい核領域が追加されなくなるまで行う。各フィード
バックが有効に働くためには、それぞれのフィードバッ
クにおいて核候補領域に追加される核スコアの値が
<<のようになっている必要がある。以下に、それ
ぞれのフィードバックについて個々に説明する。
【0030】[同時点、同焦点面に含まれる核領域の統
合作業からのフィードバック]本プロセスには、(ア)
核領域の選出、(イ)同時点、同焦点面での核領域の統
合、(ウ)核予想領域の指定、の3プロセスが含まれ
る。
【0031】(ア)核領域の選出 (i)画像処理結果統合アルゴリズムの次に作動する場
合 核スコアの値が指定値を超える核候補領域を選択し、核
領域とする。すべての核候補領域、核領域をその核スコ
アと共に保存する。 (ii)フィードバック後に作動する場合 あらかじめ保存されている核候補領域のなかで、フィー
ドバックにより与えられる核予想領域にその重心が含ま
れるものの核スコアを指定値分だけ上昇させる。その
後、核スコアの値が指定値を超える核候補領域を選択
し、あらかじめ保存されていた核領域と合わせて新たな
核領域とする。核領域の情報はその核スコアと共に更新
する。
【0032】(イ)同時点、同焦点面での核領域の統合 異なる2次元画像において認識された同一細胞核に由来
する核領域の統合について説明する。2次元画像での認
識の結果から、画像上においてどの核がいつどこで出
現、消滅するか知るため、異なる2次元画像で認識され
た同一の核をまとめる。例を図9に示す。横軸が時間軸
(時点)、縦軸が焦点軸(焦点面)である。 (i)同焦点面の画像群に含まれる同一の細胞核由来の
核領域の統合 同じ焦点面で撮影された(すなわち、z軸の座標の値が
等しい)時系列の画像群に注目し、これらの画像それぞ
れの核領域で、同じ核に由来するもの(すなわち、同じ
核の時間変化を追っていることになるもの)を統合す
る。核領域N,N´が座標(x,y),(x´,y´)
で検出されたとき、N,N´の二次元的な距離dxyを
以下のように定義すると共に、同一の核由来と判断され
る条件を定める。
【数8】 この二次元的距離を用い、それぞれの核を最も早く検出
された時点から順次統合して行く。すなわち、同一の焦
点で、時系列の核の認識結果を一つの集合(セット)に
統合する。以下の手順で行う。 1.出現時間の最も早い核を選ぶ。 2.次の時点で、最も二次元的距離dxyが近く、かつ
その距離が予め指定した適切な閾値(現在のシステムで
は25ピクセル)以下の核を同じ核に由来するもの(s
uccessor)として同じ核に統合する。 3.同じ核に由来するものがいなくなるまで2を繰り返
す。 4.統合されずに残っている核がなくなるまで、1−3
を繰り返す。 (ii)同時点の画像群に含まれる同一の細胞核由来の
核領域の統合 前述した方法と同様にして、同時点で焦点面(z座標)
の異なる画像群に含まれる同一の細胞核由来の核領域を
統合する。同一の時点で異なる焦点面の核の認識結果を
一つのセットに統合する。この場合の現在のシステムの
距離の閾値は10ピクセルである。
【0033】(ウ)核予想領域の指定 ある焦点面に核領域が存在した場合、その同時点の隣接
する上下の焦点面にはその核領域と同じ核由来の核領域
が存在する確率が高いものと考える。具体的にはある核
領域を考えるとき、その核領域の重心の座標(Xc, Yc)
をとり、その同時点、隣接上下の画像の座標(Xc, Yc)
を中心として半径Rの領域を核予想領域とする。現在の
システムではRは標準的な核の半径にしている。同様の
作業を同焦点面の隣接する時点の画像にもおこなう。す
なわち上述の核領域に対して、その同焦点面、隣接時点
の画像の座標(Xc, Yc)を中心として半径Rの円領域を
核予想領域とする。
【0034】(エ)フィードバック (ウ)の結果得られた核予想領域を(ア)に与えて
(ア)〜(エ)の作業を繰り返す。このフィードバック
作業を数回行ったのち、(イ)で得られる3次元核領域
を次の4次元的核領域の統合のステップに渡す。
【0035】[4次元核領域の統合作業からのフィード
バック]本プロセスには(ア)3次元核領域の選出、
(イ)核領域の4次元的統合、(ウ)核予想領域の指
定、(エ)フィードバックの4プロセスが含まれる。 (ア)3次元核領域の選出 前記同時点、同焦点面に含まれる核領域の統合作業から
のフィードバックを効果がなくなるまで行う。
【0036】(イ)核領域の4次元的統合 時系列、焦点方向にそれぞれに統合された核領域(統合
核領域)の間で、共有する核領域をもつ統合核領域の組
み合わせが存在する場合、それらは同一の核由来の統合
核領域であるとみなし、それらをさらに統合する(4D
画像において統合された核領域を4次元統合核領域とい
う)。同焦点の画像群、同時点の画像群において統合さ
れた各セットのうち、同一の核を含むセット同士を一つ
のセットに統合する際に、5つ以下の画像でしか認識さ
れなかったセットは、フラグメントとみなし、系譜には
使用しない。図10は核領域の統合を説明する図であ
る。白円は所定の細胞核が検出されなかった画像であ
り、黒円は所定の細胞核が検出された画像である。縦方
向実線は同一の核と認識された一セットである。横方向
点線は同一の核と認識された一セットである。
【0037】(ウ)核予想領域の指定 隣接焦点面、隣接時間の情報を同時に用いて核予想領域
を指定する。現在のシステムでは具体的には、同一時点
隣接焦点面の二画像、および同一焦点面隣接時点の二画
像、計四画像のうち三画像以上に同一核由来の核領域が
ある領域が存在した場合、それらの核領域の重心を中心
とした半径Rの円領域の和集合領域を核予想領域にす
る。
【0038】(エ)フィードバック (ウ)の結果得られた核予想領域を(ア)に与えて
(ア)〜(エ)の作業を繰り替えす。このフィードバッ
ク作業を数回行ったのち、(イ)で得られる統合された
4時元核領域を次の細胞系譜作成作業のステップに渡
す。
【0039】[細胞系譜作成作業からのフィードバッ
ク]本プロセスは(ア)4次元核領域の選出、(イ)細
胞系譜作成、(ウ)核予想領域の指定、(エ)フィードバ
ック、の4プロセスが含まれる。
【0040】(ア)4次元核領域の選出 前記4次元核領域の統合作業からのフィードバック作業
をそれぞれの効果がなくなるまで掛ける。
【0041】(イ)細胞系譜作成 本プロセスでは、4次元核領域の3者母娘関係の構
築、4次元核領域の4者母娘関係の構築、の2つのプ
ロセスをこの順に行う。 4元核領域の3者親子関係の構築 本プロセスでは母核、およびその分裂後の2つの娘核を
示す3つの4次元核領域を探し出す。N1, N2, …Nnを4
次元核領域とする。各4次元核領域(Ni)には以下情報が
含まれる。
【数9】 存在する全ての4次元核領域のなかから可能な全ての組
み合わせて3つの4次元核領域の組を作成する。各組の
4次元核領域の中で、消失時点が最も早いものを母4次
元核領域(Nm)とし、それ以外のものを娘4次元核領域
(Nd1, Nd2)とする。この3つの4次元核領域の組み合
わせが本当の母娘核の組である可能性をあらわすスコア
(3者母娘スコア)を計算する。現在のシステムではそ
のスコアは(i)母4次元核領域の消失時点と2つの娘
4次元核領域の出現時点、(ii)母4次元核領域の消
失位置と2つの娘4次元核領域の出現位置間の距離、
(iii)母4次元核領域の消失位置と2つの娘4次元
核領域の出現位置との位置関係(特に2つの4次元娘細
胞の出現位置の中点に母4次元核領域の消失位置が近い
か否か)、を反映したものになっている。具体的には現
在のスコアF3(Nm, Nd1,Nd2)は以下のように与える。
【数10】 以上のようにして全ての存在する3つの4次元核領域の
3者母娘スコアを計算し、スコアの成績の良いものから
順に、3者母娘関係として決定していき、閾値となるス
コアより成績が悪い組み合わせになるまでそれを順に繰
り返す。矛盾する母娘関係が生じた場合は、スコアの成
績の良い母娘関係を優先させる。 4次元核領域の2者親子関係の構築 で自分の母あるいは娘の少なくともいずれかが決定さ
れなかった4次元核領域の中から、母核およびその分裂
後の2つの娘核のうちのどちらか一つをあらわす、2つ
の4次元核領域の組を求める。で自分の母あるいは娘
の少なくともいずれかが決定されなかった4次元核領域
の中から、可能な全ての2つ組を作成する。それらの各
組の4次元核領域の中で、消失時点の早いものを母4次
元核領域(Nm)とし、残りを娘4次元核領域(Nd,Nd
とする。この2つの4次元核領域の組み合わせが本当の
母娘核の組である可能性をあらわすスコア(2者母娘ス
コア)を計算する。現在のシステムではそのスコアは
i)母4次元核領域の消失時点と2つの娘4次元核領域
の出現時点、ii)母4次元核領域の消失位置と2つの娘
4次元核領域の出現位置間の距離、を反映したものにな
っている。具体的には現在のスコアF2(Nm, Nd)は以下の
ように与える。
【数11】 以上のようにして全ての2つの4次元核領域の2者母娘
スコアを計算し、閾値となるスコアより成績が良い組み
合わせを2者母娘関係として決定する。
【0042】(ウ)核予想領域の指定 3者母娘関係、2者母娘関係をそれぞれ用いて核予想領
域を指定する。 3者母娘関係を用いた核予想領域の指定 3者母娘関係が決定された4次元核領域の組について母
4次元核領域の消失時点および2つの娘4次元核領域の
出現時点をもちいて核予想領域を指定する。母4次元核
領域の消失時点および娘4次元核領域の出現時点におけ
るそれぞれの4次元核領域に含まれる核領域において
は、その同時点の隣接する上下の焦点面、およびその同
焦点面における隣接する前後の時点にはその核領域と同
じ核由来の核領域が存在する確率が高いものと考える。
具体的にはある出現時点、あるいは消失時点の核領域を
考えるとき、その核領域の重心の座標(Xc, Yc)をと
り、その同時点、隣接上下焦点面の画像、および同焦点
面、隣接前後時点の画像、それぞれの座標(Xc, Yc)を
中心として半径Rの領域を核予想領域とする。現在のシ
ステムではRは標準的な核の半径にしている。 2者母娘関係を用いた核予想領域の指定 2者母娘関係が決定された4次元核領域の組について母
4次元核領域の消失時点および娘4次元核領域の出現時
点を用いて核予想領域を指定する。母4次元核領域の消
失時点および娘4次元核領域の出現時点におけるそれぞ
れの4次元核領域に含まれる核領域においては、その同
時点の隣接する上下の焦点面、およびその同焦点面にお
ける隣接する前後の時点にはその核領域と同じ核由来の
核領域が存在する確率が高いものと考える。具体的な方
法はと同一である。また、娘4次元核領域の出現時点
において、母4次元核領域の消失位置を中心として娘4
次元核領域の出現位置と点対称の位置周辺に、もう一つ
の娘細胞が出現する確率が高いと考え、核予想領域を指
定する。具体的には娘細胞の出現時点、およびその隣接
前後の時点において、上記の娘細胞の出現位置と点対称
の位置を中心に、半径Rの円領域を核予想領域とする。
現在のシステムではRは標準的な核の半径にしている。
【0043】(エ)フィードバック (ウ)の結果得られた核予想領域を(ア)に与えて
(ア)〜(エ)の作業を繰り替えす。このフィードバッ
ク作業を数回行ったのち、(イ)で得られる統合された
4時元核領域をフィードバック機構による核領域選定機
構の出力として次のステップに出力する。
【0044】[4]誤認された核領域を人間の判断で除
去する工程 次いで、自動核認識の結果から、誤認された核領域を人
間の判断で除去する。前記の画像処理アルゴリズムは完
全なものではなく、特に細胞の数が増加するに従い誤っ
て核領域と認識された領域(false positi
ve)が含まれるが。false positiveが
多いデータからは正しく細胞系譜を構築するのが困難で
あるため、本システムでは、人間の手で、上記画像処理
の結果から、false positiveを除去する
ツールが含まれている。このツールを用いたfalse
positiveの除去作業は容易であり、実際に試
したところ、略1時間で1780枚の画像から、fal
se positiveを除去することができた。尚、
言うまでもないが、このマニュアル処理は本発明の技術
思想における必須構成要素ではなく、自動核認識の精度
を向上させることで、この工程を省くことも可能であ
る。ツールを図8に示す。
【0045】[5]複数の焦点面、複数の時点(時系
列)の画像における核情報を統合する工程(同一核由来
の核領域の統合アルゴリズム) 異なる2次元画像において認識された同一細胞核に由来
する核領域の統合について説明する。2次元画像での認
識の結果から、画像上においてどの核がいつどこで出
現、消滅するか知るため、異なる2次元画像で認識され
た同一の核をまとめる。例を図9に示す。横軸が時間軸
(時点)、縦軸が焦点軸(焦点面)である。
【0046】[同焦点面の画像群に含まれる同一の細胞
核由来の核領域の統合]同じ焦点面で撮影された(すな
わち、z軸の座標の値が等しい)時系列の画像群に注目
し、これらの画像それぞれの核領域で、同じ核に由来す
るもの(すなわち、同じ核の時間変化を追っていること
になるもの)を統合する。核領域N,N´が座標(x,
y),(x´,y´)で検出されたとき、N,N´の二
次元的な距離dxyを以下のように定義すると共に、同
一の核由来と判断される条件を定める。
【数12】 この二次元的距離を用い、それぞれの核を最も早く検出
された時点から順次統合して行く。すなわち、同一の焦
点で、時系列の核の認識結果を一つの集合(セット)に
統合する。以下の手順で行う。 1.出現時間の最も早い核を選ぶ。 2.次の時点で、最も二次元的距離dxyが近く、かつ
その距離が予め指定した適切な閾値(現在のシステムで
は25ピクセル)以下の核を同じ核に由来するもの(s
uccessor)として同じ核に統合する。 3.同じ核に由来するものがいなくなるまで2を繰り返
す。 4.統合されずに残っている核がなくなるまで、1−3
を繰り返す。
【0047】[同時点の画像群に含まれる同一の細胞核
由来の核領域の統合]前述した方法と同様にして、同時
点で焦点面(z座標)の異なる画像群に含まれる同一の
細胞核由来の核領域を統合する。同一の時点で異なる焦
点面の核の認識結果を一つのセットに統合する。この場
合の現在のシステムでの距離の閾値は10ピクセルであ
る。
【0048】[全4D画像中に現れる同一の細胞核由来
の核領域の統合]時系列、焦点方向にそれぞれに統合さ
れた核領域(統合核領域)の間で、共有する核領域をも
つ統合核領域の組み合わせが存在する場合、それらは同
一の核由来の統合核領域であるとみなし、それらをさら
に統合する(4D画像において統合された核領域を4次
元統合核領域という)。同焦点の画像群、同時点の画像
群において統合された各セットのうち、同一の核を含む
セット同士を一つのセットに統合する際に、5つ以下の
画像でしか認識されなかったセットは、フラグメントと
みなし、系譜には使用しない。図10は核領域の統合を
説明する図である。白円は所定の細胞核が検出されなか
った画像であり、黒円は所定の細胞核が検出された画像
である。縦方向実線は同一の核と認識された一セットで
ある。横方向点線は同一の核と認識された一セットであ
る。
【0049】[6]4次元統合核領域の出現、消滅の時
点・位置の情報から細胞系譜を構築する工程 4次元統合核領域には画像中の細胞核が出現、消滅する
時点、位置の情報が含まれている。それを基に細胞系譜
を構成する(図11)。本プロセスでは、4次元核領
域の3者母娘関係の構築、4次元核領域の4者母娘関
係の構築、の2つのプロセスをこの順に行う。 4元核領域の3者親子関係の構築 本プロセスでは母核、およびその分裂後の2つの娘核を
示す3つの4次元核領域を探し出す。N1, N2, …Nnを4
次元核領域とする。各4次元核領域(Ni)には以下情報が
含まれる。
【数13】 存在する全ての4次元核領域のなかから可能な全ての組
み合わせて3つの4次元核領域の組を作成する。各組の
4次元核領域の中で、消失時点が最も早いものを母4次
元核領域(Nm)とし、それ以外のものを娘4次元核領域
(Nd1, Nd2)とする。この3つの4次元核領域の組み合
わせが本当の母娘核の組である可能性をあらわすスコア
(3者母娘スコア)を計算する。現在のシステムではそ
のスコアは(i)母4次元核領域の消失時点と2つの娘
4次元核領域の出現時点、(ii)母4次元核領域の消
失位置と2つの娘4次元核領域の出現位置間の距離、
(iii)母4次元核領域の消失位置と2つの娘4次元
核領域の出現位置との位置関係(特に2つの4次元娘細
胞の出現位置の中点に母4次元核領域の消失位置が近い
か否か)、を反映したものになっている。具体的には現
在のスコアF3(Nm, Nd1,Nd2)は以下のように与える。
【数14】 以上のようにして全ての存在する3つの4次元核領域の
3者母娘スコアを計算し、スコアの成績の良いものから
順に、3者母娘関係として決定していき、閾値となるス
コアより成績が悪い組み合わせになるまでそれを順に繰
り返す。矛盾する母娘関係が生じた場合は、スコアの成
績の良い母娘関係を優先させる。 4次元核領域の2者親子関係の構築 で自分の母あるいは娘の少なくともいずれかが決定さ
れなかった4次元核領域の中から、母核およびその分裂
後の2つの娘核のうちのどちらか一つをあらわす、2つ
の4次元核領域の組を求める。で自分の母あるいは娘
の少なくともいづれかが決定されなかった4次元核領域
の中から、可能な全ての2つ組を作成する。それらの各
組の4次元核領域の中で、消失時点の早いものを母4次
元核領域(Nm)とし、残りを娘4次元核領域(Nd,Nd
とする。この2つの4次元核領域の組み合わせが本当の
母娘核の組である可能性をあらわすスコア(2者母娘ス
コア)を計算する。現在のシステムではそのスコアは
i)母4次元核領域の消失時点と2つの娘4次元核領域
の出現時点、ii)母4次元核領域の消失位置と2つの娘
4次元核領域の出現位置間の距離、を反映したものにな
っている。具体的には現在のスコアF2(Nm, Nd)は以下の
ように与える。
【数15】 以上のようにして全ての2つの4次元核領域の2者母娘
スコアを計算し、閾値となるスコアより成績が良い組み
合わせを2者母娘関係として決定する。
【0050】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によれ
ば、細胞系譜を計算機で構築することができ、従来煩雑
かつ多大な労力を必要としていた細胞系譜を省力でかつ
短時間で構築できるという有利な効果を奏するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る細胞系譜抽出方法のフロー図であ
る。
【図2】処理対象の顕微鏡画像の例を示す図である。
【図3】核認識アルゴリズムAの処理工程を示す図であ
る。
【図4】核認識アルゴリズムBの処理工程を示す図であ
る。
【図5】核認識アルゴリズムCの処理工程を示す図であ
る。
【図6】細胞境界検出のアルゴリズムの処理工程を示す
図である。
【図7】胚領域検出のアルゴリズムの処理工程を示す図
である。
【図8】自動核認識の結果を人の手で修正するためのツ
ールを示す図である。
【図9】複数画像の同一の核をまとめる工程を説明する
図である。
【図10】図9と同様に、複数画像の同一の核をまとめ
る工程を説明する図である。
【図11】核の情報から細胞系譜を構成する工程を説明
する図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北野 宏明 埼玉県川越市西小仙波町2−18−3 Fターム(参考) 2G045 AA24 AA40 CB01 CB17 FA16 FA19 GB02 GB03 GB10 JA01 4B063 QA17 QA20 QQ02 QR72 QS36 QS39 5B057 AA10 CA02 CA08 CA12 CA16 CB02 CB06 CB12 CB16 CC01 CE06 CE12 CH09 DB02 DB05 DB09 DC03 DC04 DC16

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)観察対象の細胞について焦点面を変
    化させて2次元画像を複数撮影し、かつ、該2次元画像
    を時系列に複数撮影することで焦点面、時点で異なる複
    数の2次元画像を得る工程と、(b)前記夫々の2次元
    画像において、画像処理を行うことで細胞核領域を抽出
    する工程と、(c)前記夫々の2次元画像において抽出
    された細胞核領域から、同一細胞核に由来する細胞核領
    域を統合する工程と、(d)統合された細胞核領域にお
    いて、画像中の細胞核領域が出現、消滅する時点、位置
    の情報から細胞系譜を構築する工程とを含む方法であっ
    て、(e)前記(b)工程は、細胞核の候補となる領域
    を抽出する工程と、細胞系譜作成試行作業による細胞核
    予想領域の指定と、該予想領域を該細胞核候補領域にフ
    ィードバックさせて細胞核領域を抽出する工程とを備え
    ていることを特徴とする細胞系譜抽出方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、該細胞系譜作成試行作
    業は、同時点、同焦点面に含まれる核領域の統合、4次
    元的核領域の統合、細胞系譜の作成の少なくとも一つ以
    上を含み、該試行作業による核予想領域の指定をフィー
    ドバックさせるものであることを特徴とする細胞系譜抽
    出方法。
  3. 【請求項3】請求項1,2いずれかにおいて、該核候補
    領域には核スコアが付与されており、該核スコアと予め
    設定された指定値とを比較することで核領域を抽出する
    ように構成されており、核予想領域からのフィードバッ
    クによって、該核スコアを変更させることを特徴とする
    細胞系譜抽出方法。
  4. 【請求項4】請求項1,2,3いずれかにおいて、細胞
    核の候補領域を抽出する工程は、細胞核とそれ以外の細
    胞部分とにおける画像の明暗の差異を利用して画像処理
    を行い、該核候補領域を指定すると共に、該核候補領域
    に核スコアを付与するものであることを特徴とする細胞
    系譜抽出方法。
  5. 【請求項5】請求項4において、細胞核の候補領域を抽
    出する工程は、画像処理結果を所定の閾値を用いて二値
    化することで、核候補領域を指定し、指定された領域に
    核スコアを付与するものであることを特徴とする細胞系
    譜抽出方法。
  6. 【請求項6】請求項4において、細胞核の候補領域を抽
    出する工程は、画像処理結果の画像において、黒色方向
    極領域をスコア付きで抽出することで核候補領域をする
    ことを特徴とする細胞系譜抽出方法。
  7. 【請求項7】請求項2において、同時点、同焦点面に含
    まれる核領域の統合作業からのフィードバックは、核領
    域の選出、同時点、同焦点面での核領域の統合、核予想
    領域の指定を含み、核予想領域の指定の結果を核領域の
    選出工程にフィードバックさせるように構成されている
    ことを特徴とする細胞系譜抽出方法。
  8. 【請求項8】請求項2,7いずれかにおいて、4次元核
    領域の統合作業からのフィードバックは、3次元核領域
    の選出、同時点、同焦点面での核領域の統合、核予想領
    域の指定を含み、核予想領域の指定の結果を核領域の選
    出工程にフィードバックさせるように構成されているこ
    とを特徴とする細胞系譜抽出方法。
  9. 【請求項9】請求項2,7,8いずれかにおいて、細胞
    系譜作業からのフィードバックは、4次元核領域の選
    出、細胞系譜作成、核予想領域の指定を含み、核予想領
    域の指定の結果を該核領域の選出工程にフィードバック
    させるように構成されていることを特徴とする細胞系譜
    抽出方法。
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