JP2001311615A - 非接触超音波厚さ測定方法及び非接触超音波厚さ測定装置 - Google Patents

非接触超音波厚さ測定方法及び非接触超音波厚さ測定装置

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JP2001311615A
JP2001311615A JP2000130982A JP2000130982A JP2001311615A JP 2001311615 A JP2001311615 A JP 2001311615A JP 2000130982 A JP2000130982 A JP 2000130982A JP 2000130982 A JP2000130982 A JP 2000130982A JP 2001311615 A JP2001311615 A JP 2001311615A
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ultrasonic wave
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waveform
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JP2000130982A
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Tatsuya Hashimoto
達也 橋本
Yukimichi Iizuka
幸理 飯塚
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】センサと被検査体との距離を大きく取り得ると
共に、被検査体内を伝播する超音波の伝播時間を高精度
にはかって、被検査体の厚さを測定する。 【解決手段】導電性を有する被検査体20に対してパル
スレーザ光31を照射して、該被検査体20内に超音波
32を発生させるパルスレーザ発振器11と、前記被検
査体20内を伝搬する前記超音波32を非接触で受信す
る電磁超音波センサ12と、この電磁超音波センサ12
が受信した超音波の伝播波形から、前記超音波が前記被
検査体内を伝播する伝播時間を求め、求められた伝播時
間から該被検査体の厚さを求める厚さ算出部16とを具
備してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ超音波と電
磁超音波を応用して、導電性材料の厚みを計測する非接
触超音波厚さ測定方法及び非接触超音波厚さ測定装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属材料の厚さを超音波で測定す
る場合、圧電素子を使って超音波を発生させ水等の接触
媒質を介して被検査体へ超音波を伝播させていた。受信
は、送信の逆過程で行い、接触媒質の使用は不可欠であ
った。このため、金属材料の製造工程の理由から接触媒
質の使えないライン等では、放射線を使った高額な厚さ
計を導入せざるを得なかった。
【0003】そこで、接触媒質が使用できない被検査体
でも超音波で厚さが測定できる方法として、電磁超音波
による厚さ計(特開昭54−28163号公報)が提案
されている。この厚さ計によれば、被検査体と電磁超音
波センサとの間の電磁相互作用をもちいて、超音波を送
受信することから接触媒質が不要になるという利点があ
った。
【0004】しかし、電磁超音波センサは、圧電素子に
比較して変換効率が1/100〜1/1000と低いの
で、送受信では1/10000〜1/1000000の
感度低下となってしまう難点があった。そのため、送受
信感度を高める、即ち強い電磁相互作用を得るため、被
検査体と電磁超音波センサとの距離(リフトオフ量)を
大きく離すことができず、結局、接触〜4mm程度の距
離(リフトオフ量)しか離すことしかできないのが現状
であった。製品のバスライン変動の少ない生産ラインで
は、リフトオフ量を小さくすることができるが、鉄鋼材
料の製造工程のようなバスライン変動の大きいラインで
は、使いものにならない。
【0005】そこで、レーザを用いた超音波送受信法
(特開昭58−90164号公報)が提案されている。
この方法によれば、パルスレーザ光の被検査体への照射
により、超音波が送信され、もう一つのプローブレーザ
の反射光の干渉で、超音波が受信されるので、超音波の
検出装置を検査対象から離すことができるという利点が
あった。しかし、この方法は受信感度が悪いという問題
があり、被検査体の反射率が低いと受信信号を得ること
ができなくなってしまう。厚板の圧延肌を例にとっても
圧電素子にくらべて1/10000〜1/100000
の感度低下が避けることができないのが現状である。即
ち、工場のオンラインで十分な感度で超音波を非接触に
送受信する方法はないのが現状である。
【0006】また、超音波を使った厚さ計の精度という
点でみると、従来の圧電素子の厚さ計は、超音波の被検
査体内での往復伝播時間を正確に測定できないため、高
い精度で厚さを計測することができないという問題があ
る。それは、圧電素子を用いた厚さ計では超音波が振動
子圧着面で反射する時、その一部が振動子内に入り受信
される訳だが、圧電振動子は、パッキング材、圧電素
子、電極、保護膜などで構成されるため、接触媒質を含
めたこの層構造内で超音波が反射されて、被検査体表面
からの主反射エコーにこの反射が重畳されてしまい、反
射を起こす毎に反射波形が崩れていく現象が起こるから
である。これは、言い換えれば、反射が起こるたびに超
音波の位相が変形していくということであり、B1エコ
ー・B2エコーの位相情報を使った伝播時間算出法の一
つであるパルス・エコーオーバーラップ法を使っても位
相の変形がある以上の精度は低くなるのである。
【0007】感度は悪いものの、非接触の超音波送受信
法である電磁超音波法やレーザ超音波法を使えば、位相
の変化の無い被検査体内の超音波伝播波形が得られるた
め、パルス・エコーオーバーラップ法等の高精度伝播時
間測定手法で伝播時間を測定することができる。しか
し、従来の電磁超音波法は、時間分解能が高い測定を行
うために、送信側に高電圧・広帯域の電磁超音波用パル
サーが必要となるのだが、パルサーの限界から10MH
z以上の高周波のパルスを超音波を発生することができ
ない、また、感度が高くするため送信波をバースト波形
にする必要がある、という理由で、高精度の厚み測定が
実現できなかった。
【0008】さらに、従来の高精度超音波厚み計のハン
ドリングという点でみると、パルス・エコーオーバーラ
ップ法等の高精度伝播時間測定手法では、一般に被検査
体内の超音波伝播波形のBnエコーとBn+1エコーから伝
播時間測定をするために、Aスコープ(超音波の多重反
射エコー)内の波形から手動操作によりエコーを抽出す
るためのゲートをかけるなどの操作をしてやる必要があ
る。鋼材の製造工程などでは、種々の厚さの材料が流れ
てくる場合もあるので、手動でゲートかけるという操作
は非常に面倒であり、検査効率がわるくなるという問題
がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、接触
媒質が使えない検査ラインで超音波を送受信する方法と
して、または、超音波で高精度に厚さを測る方法とし
て、利点のある電磁超音波法とレーザ超音波法がある
が、感度が低いという問題があり、現状、製造工程など
で使われている例はない。さらに、それらの手法で得ら
れる歪みの無い超音波伝播波形を余すところなく高精度
に伝播時間を算出することは容易でない。これが高精度
の厚さ測定を、オンラインでの利用からいっそう遠ざけ
ている。
【0010】本発明の目的は、センサと被検査体との距
離を大きく取り得ると共に、被検査体内を伝播する超音
波の伝播時間を高精度に計り得る非接触超音波厚さ測定
方法及び非接触超音波厚さ測定装置を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】[構成]本発明は、上記
目的を達成するために以下のように構成されている。
【0012】(1)本発明(請求項1)の非接触超音波
厚さ測定方法は、導電性を有する被検査体に対してパル
スレーザ光を照射して、該被検査体内に超音波を発生さ
せるステップと、前記被検査体内を伝搬する前記超音波
を電磁超音波センサにより非接触で受信するステップ
と、受信した超音波の伝播波形から、前記超音波が前記
被検査体内を伝播する伝播時間を求め、求められた伝播
時間から該被検査体の厚さを求めるステップとを含むこ
とを特徴とする。
【0013】(1’)本発明(請求項4)の非接触超音
波厚さ測定装置は、導電性を有する被検査体に対してパ
ルスレーザ光を照射して、該被検査体内に超音波を発生
させるパルスレーザ発振器と、前記被検査体内を伝搬す
る前記超音波を非接触で受信する電磁超音波センサと、
この電磁超音波センサが受信した超音波の伝播波形か
ら、前記超音波が前記被検査体内を伝播する伝播時間を
求め、求められた伝播時間から該被検査体の厚さを求め
る厚さ算出部とを具備してなることを特徴とする。
【0014】超音波の送信にパルスレーザ光を用いると
次のように超音波を発生することができる。ある値以上
のエネルギーのパルスレーザ光を導電性材料の被検査面
に照射すると、表面が溶発しその反作用で超音波が発生
する。この時、発生する超音波パルスは、半波程度であ
り、圧電素子・電磁超音波で発生できるものより広帯域
で非常に高分解の時間測定を可能にするものである。ま
た、発生強度もレーザ光の条件次第で圧電素子の10倍
以上にすることができる。その超音波を受信する手段と
して、コイルの巻き数を数ターンと少なくした電磁超音
波センサを用いると、その広帯域の超音波を若干のロス
で受信することができる。なぜなら、電磁超音波センサ
は、コイルの巻き数を数ターンと少なくすることでコイ
ルのインピーダンスが下がるので、約数10kHz〜1
00MHzまで帯域を広げることができるからである。
【0015】このように、従来の接触式の超音波送受信
法にない広帯域の超音波を発生・受信することができ、
さらに非接触で検査体の超音波を受信しているので、波
形を崩すことなく伝播を測定できて、高精度に伝播時間
を測ることができる。
【0016】受信で電磁超音波センサを使うことによっ
て、受信感度は圧電素子に比較して下がるが、送信でレ
ーザを用いているので、圧電素子に比較し1/10〜1
/100の感度低下ですむ。そのため、電磁超音波セン
サのリフトオフを〜10mmぐらいまで離しても、厚さ
計として使うには十分な感度を得ることできるのであ
る。
【0017】(2)前記伝播時間は、前記伝播波形に対
して周波数解析を行って、解析結果の周波数波形のスペ
クトピークの間隔を計算し、計算された間隔の逆数から
計算される。
【0018】パルスレーザ光で被検査体に超音波を発生
させ多重反射によるエコーを受信した場合、電磁超音波
センサによる超音波強度〜電気信号の変換効率が悪いた
め、非常に多くの多重反射エコーを検出することができ
る。よって、長い時間に渡って超音波の伝播をサンプリ
ングすれば、多くの多重反射エコーを得ることができ
る。それらのデータをフーリエ変換等の周波数解析をす
ることによって、多重反射エコーの時間間隔の逆数の間
隔で周波数軸のピークが複数得られる。この周波数軸の
間隔を検出し、逆数を算出すると、超音波が被検査体を
往復した時間(伝播時間)を検出することになる。この
伝播時間は、時間軸の多重反射エコーの周期性を全て使
ったものであるので、この伝着時間を使って、厚さを算
出すると、従来には無い高精度の厚さを測定できる。さ
らに、この超音波の波形は、圧電素子の能力以上の広帯
域であることも起因して、精度が高くなっている。
【0019】従来の厚さ計では、超音波の帯域が狭いだ
けでなく、超音波多重反射エコーのうちの隣り合う2つ
のエコーの1点から伝播時間を算出しており、請求項2
の方法の精度に及ぶものでない。本方法で伝播時間を求
める場合は、多重反射エコーを全部使うため、波形毎に
個別にゲートを設定する必要が無いということも、利点
である。
【0020】(3) 前記伝播時間は、前記伝播波形の
自己相関を計算し、計算結果のピーク間隔から算出され
る。
【0021】本方法は、伝播波形(多重反射エコー)を
自己相関演算し、最も相関ある位置(同じ位置)と次に
相関のある位置、の波形を検出するものである。前項と
同様に、多重反射エコーを全て使うので波形毎に個別に
ゲートを設定する必要が無く、さらに、多重反射エコー
を全て使用することがから、従来法より精度が高くなる
ことは、いうまでもない。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下に図面
を参照して説明する。
【0023】[第1実施形態]図1は、被検査体及び非
接触超音波厚さ測定装置の概略構成を示す図である。図
1において、10は非接触超音波厚さ測定装置、11は
パルスレーザ発振器、12は電磁超音波センサ、13は
広帯域アンプ、14はバンドパスフィルタ、15はA/
D変換部、16は厚さ算出部、17は表示部、20は被
検査体としての鋼板である。
【0024】本実施の形態の場合、パルスレーザ発振器
11としては、Q−スイッチNd:YAGレーザを用い
ている。パルスレーザ発振器11から、尖塔値で約10
MW/cm2 以上のエネルギーのパルスレーザ光31を
被検査体である鋼板20に照射すると、鋼板20の表面
が溶融し、その反作用で鋼板20に超音波32が発生す
る。
【0025】この時、鋼板20に発生する超音波32
は、半波程度であり、圧電素子・電磁超音波で発生でき
るものより広帯域で非常に高分解の時間測定を可能にす
るものである。また、発生強度もレーザ光の条件次第で
圧電素子の10倍以上にすることができる。溶融による
鋼板20表面の損傷は、深さ1μm未満であり被検査体
の品質保証厚さに影響が出るほどでは無かった。
【0026】図2は、レーザ光のパルス尖塔値の光密度
と、発生した縦波超音波の強度の関係を示すものであ
る。図2中、3つのデータ系列は、ビームの直径Dを区
別するものである。ビームの直径Dに応じて発生する超
音波の拡散に違いがあり、検出される強度に違いがある
が、ある閾値以上の光密度で鋼板20表面の溶融が起こ
り、縦波が発生していることがわかる。
【0027】この時、縦波および横波の超音波が、鋼板
20内に同時に発生するが、その強度は縦波が支配的で
あり、圧電素子で発生しうる強度以上の超音波が発生す
る。本実施形態の場合、エネルギー200mJ、パルス
幅5ns、波長532nmのパルスレーザ光をもちい
て、圧電素子を用いて発生させる超音波の強度に対して
約10倍の強度の超音波を発生させている。
【0028】鋼板20を伝播する超音波を検出する電磁
超音波センサ12は、縦波検出用のものであり、反射法
で厚さを測定するために、電磁超音波センサ12の中心
にパルスレーザを貫通させる穴を設けてある。電磁超音
波センサ12は鋼板20内を何度も往復する超音波を鋼
板20の表面で検出し、検出された信号は広帯域アンプ
13で増幅され、バンドパスフィルタ14でノイズが除
去された後、A/D変換部15で超音波のA−スコープ
(超音波の多重反射エコー:伝播波形)が得られる。
【0029】コイルの巻き数を数ターンと少なくした電
磁超音波センサを用いると、その広帯域の超音波を若干
のロスで受信することができる。なぜなら、電磁超音波
センサは、コイルの巻き数を数ターンと少なくすること
でコイルのインピーダンスが下がるので、約数10kH
z〜100MHzまで帯域を広げることができるからで
ある。
【0030】被検査体を伝播する超音波の受信に電磁超
音波センサを使うことによって、受信感度は圧電素子に
比較して下がるが、超音波の発生にレーザを用いて発生
する超音波の強度が高いので、圧電素子を用いた場合に
比較して1/10〜1/100の感度低下ですむ。その
ため、電磁超音波センサのリフトオフ量を〜10mmぐ
らいにしても、厚さ測定装置として使うには十分な感度
を得ることできる。
【0031】図3は、厚さ5.9mmの被検査体を測定
した際に得られたA−スコープである。このA−スコー
プを得た際の条件は、電磁超音波センサと被検査体の距
離、即ちリフトオフ量が10mm、広帯域アンプの増幅
度は60dB、バンドパスフィルタは1MHz〜5MH
zである。バンドパスフィルタで高域を狭めたのは、S
/N比を向上させるためであり、S/N比を犠牲にし
て、バンドパスフィルタをローパスフィルタだけにすれ
ば、超音波受信波形を、より広帯域化させることも可能
である。
【0032】A−スコープで超音波の多重反射振幅が、
多重反射を増やすごとに大きくなっていくのは、超音波
の発振場所が電磁超音波センサ12の中心(レーザ光が
通過する貫通穴部)で、受信している場所が超音波の発
振場所の回りにあるコイルであるからである。即ち、レ
ーザ光の照射により発生した超音波が、最初は照射部位
程度のビーム径であったのが、次第に拡散により拡がっ
ていき、多重反射を起こすうちに、コイル程度の拡がり
になり最大振幅になるというわけである。そういうこと
から考えると、A−スコープの多重反射エコーの最初の
方は、板厚方向に対して斜めに伝播するので正しい板厚
方向の伝播時間を示すものではない。
【0033】そこで、厚さ算出部16では、ゲートを用
いて最初の数回のエコーを除いて、高速フーリエ解析
(FFT:Fast Fourier Transform)を行い、図4に示
すような周波数に対する強度を示すスペクトルを求め
る。
【0034】このスペクトルのピーク間隔を測定する
と、どの隣あう2つの差をとっても一定となる。この周
波数間隔は、多重反射エコーの隣り合う2つのの時間間
隔の逆数は超音波の伝播時間をあらわすものである。
【0035】そこで、厚さ算出部16は、高速フーリエ
解析を行って得られたスペクトルのピークの間隔を計算
して、その逆数から伝播時間を算出する。そして、算出
された伝播時間と鋼板20の音速をつかって、鋼板20
の厚さを計算する。そして、計算された鋼板20の厚さ
の結果を表示部17に表示する。
【0036】図4に示すスペクトルの場合、ピークの間
隔が0.488932MHz、ピーク間隔の逆数である
鋼板20を1往復した超音波の伝播時間2.04527
4μs、鋼板(SUS304)20の音速が5.760
mm/μsであることから、鋼板20の厚さが5.89
039mmと計算される。多数回測定を行ったところ、
σ〜0.8μm程度であった。表面粗さが数μm程度あ
るので、鋼板等の対象を測定するには、十分な精度であ
る。
【0037】上述したように、パルスレーザ光により従
来の接触式の超音波送信法にない広帯域の超音波を被検
査体内に伝播させると共に、電磁超音波センサにより非
接触で被検査体の超音波を受信しているので、波形を崩
すことなく伝播波形を測定し、高精度に伝播時間を測る
ことができ、センサと被検査体の距離を大きくすること
ができる。そのため、ライン変動の大きいところでも使
用でき、さらに、リフトオフが大きいことから、冷却機
構をもうけて、熱間の対象にも使うことができる。
【0038】パルスレーザを用いて超音波を発生させ多
重反射によるエコーを受信した場合、電磁超音波センサ
による超音波信号から電気信号への変換効率が悪いた
め、非常に多くの多重反射エコーを検出することができ
る。よって、長い時間に渡って超音波の伝播波形をサン
プリングすれば、多くの多重反射エコーを得ることがで
きる。それらのデータをフーリエ変換等の周波数解析を
することによって、多重反射エコーの時間間隔の逆数の
間隔で周波数軸のピークが複数得られる。この周波数軸
の間隔を検出し、逆数を算出すると、超音波が被検査体
を1往復した時間(伝播時間)を検出することになる。
この伝播時間は、時間軸の多重反射エコーの周期性を全
て使ったものであるので、この伝播時間を使って、厚さ
を算出すると、従来には無い高精度の厚さを測定でき
る。さらに、この超音波の波形は、圧電素子の能力以上
の広帯域であることも起因して、精度が高くなってい
る。
【0039】従来の厚さ計では、超音波の帯域が狭いだ
けでなく、超音波多重反射エコーのうちの隣り合う2つ
のエコーの1点から伝播時間を算出しており、本方法の
精度に及ぶものでない。本方法で伝播時間を求める場合
は、多重反射エコーを全部使うため、波形毎に個別にゲ
ートを設定する必要が無い。
【0040】さらに、伝播時間の算出に周期性を利用し
ているので、A/D変換で飽和するような受信波形で
も、伝播時間を算出することができ、従来の高精度厚さ
計のように自動利得制御器(AGC:Automatic Gain C
ontrol)を必要としない。
【0041】[第2の実施形態]本実施形態では、第1
の実施形態と異なる伝播時間の測定方法を用いた非接触
超音波厚さ計について説明する。
【0042】A/D変換部15で得られるA−スコー
プ、即ち、多重反射エコーの、最初の数回のエコーを除
いた領域に対して自己相関演算を行うことによって、図
5に示すような波形が得られる。この波形のピークの間
隔が、超音波が被検査体を1往復する伝播時間に相当す
る。
【0043】ここで自己相関演算とは、次のような演算
である。多重反射エコー波形をf(t)とすると、自己
相関波形F(τ)は、次式で与えられ F(τ)=∫f(t)×f(τ−t)dt となる。要するに、f(t)にあるτという周期性があ
ると、F(τ)は、τの周期性を示すのである。
【0044】図5に示す波形の最も高い所がτ=0であ
り、次に高い所がτ=(1往復の伝播時間)のところで
ある。
【0045】従って、厚さ算出部16は、A−スコープ
から予め設定しておいた多重反射エコー領域を自己相関
演算し、その波形の1番高い所と2番目に高い所を検出
し、2つの差をとって伝播時間を求め、プリセットして
おいた音速を用いて、厚さを算出すればよい。
【0046】この自己相関波形から厚さを算出する方法
も、多数回測定を行ったところ、σ〜0.7μmとな
り、鋼板等の対象を測定するには、十分な精度であっ
た。
【0047】本方法では、多重反射エコーの自己相関を
演算し、最も相関がある位置(同じ位置)と次に相関の
ある位置、即ち超音波が1往復しだした位置の波形を検
出するものである。第1の実施形態と同様に、多重反射
エコーを全て使うので波形毎に個別にゲートを設定する
必要が無く、さらに、多重反射エコーの全てを使用する
ことから、従来法より精度が高くなることは、いうまで
もない。
【0048】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。例えば、上述した実施形態では、反射
法で被検査体の肉厚を測定する装置構成について説明し
たが、図6に示すような透過法で被検査体の肉厚を測定
する構成であってもかまわない。なお、図6において、
図1と同一な部位には同一符号を付し、その説明を省略
する。
【0049】また、図3に示すA−スコープは、超音波
の受信波形が、A/D変換部で飽和することなく得られ
たものだが、超音波の受信強度が強すぎてA/D変換部
で飽和しても、上述した二つの伝播時間算出方法を適用
することができる。
【0050】また、上記実施形態では、磁石が鋼板に吸
いよせられる理由から、被検査体にSUS304の鋼板
を使ったが、普通のフェライト系の材料でも、磁歪の影
響を抑えた縦波用の電磁超音波センサを使えば問題無く
実施できる。
【0051】また、本実施の形態では、強力なパルスレ
ーザ光を被検査体に照射して、縦波超音波を発生させ
て、縦波の電磁超音波センサで受信しているが、レーザ
光により横波を発生させて横波の電磁超音波センサで受
信してもよい。レーザ光により横波を発生させる場合
は、超音波発生のメカニズムがことなるため、被検査体
の表面を溶融させるエネルギー量より小さいパルス光エ
ネルギーでよいが、発生する超音波の周波数帯域が、被
検査体上のレーザ光の照射パターンに依存することを考
慮する必要がある。
【0052】その他、本発明は、その要旨を逸脱しない
範囲で、種々変形して実施することが可能である。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、パ
ルスレーザ発振器により従来の接触式の超音波送信法に
ない広帯域の超音波を被検査体内に伝播させると共に、
電磁超音波センサにより非接触で被検査体の超音波を受
信しているので、波形を崩すことなく伝播波形を測定
し、高精度に伝播時間を測ることができ、センサと被検
査体の距離を大きくすることができる。
【0054】また、電磁超音波センサにより超音波を受
信しているので、位相を乱すことなく超音波が繰返し被
検査体内を往復することができて、受信される多重反射
エコーは非常に長く続き、一つ一つの波形の変化が無
い。そのため、周期性を利用した、伝播時間算出方法を
可能にしている。
【0055】多重反射エコーの周期性を利用し、高速フ
ーリエ変換(FFT)を行って得られたスペクトルの隣
り合うピークの逆数から伝播時間を算出する方法、およ
び自己相関波形の隣り合うピークから伝播時間を算出す
ることによって、従来の厚さ計のように、被検査体に依
存したゲートを設定する必要が無く、非常に取り扱い容
易昼厚さ計となる。また、波形全体を使っているので、
精度も高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係わる反射法により厚さを測
定する非接触超音波厚さ測定装置及び被検査体である鋼
板の概要を示す図。
【図2】パルスレーザ光の光密度と超音波の発生強度の
関係を示す図。
【図3】A−スコープ(伝播波形)の波形を示す図。
【図4】図2のA−スコープのある領域に対して高速フ
ーリエ変換を行って得られたスペクトルを示す図。
【図5】図2に示すA−スコープのある領域に対して自
己相関を演算して得られた波形を示す図。
【図6】透過法により厚さを測定する非接触超音波厚さ
測定装置及び被検査体である鋼板の概要を示す図。
【符号の説明】
11…パルスレーザ発振器 12…電磁超音波センサ 13…広帯域アンプ 14…バンドパスフィルタ 15…A/D変換部 16…算出部 17…表示部 20…鋼板

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性を有する被検査体に対してパルスレ
    ーザ光を照射して、該被検査体内に超音波を発生させる
    ステップと、 前記被検査体内を伝搬する前記超音波を電磁超音波セン
    サにより非接触で受信するステップと、 受信した超音波の伝播波形から、前記超音波が前記被検
    査体内を伝播する伝播時間を求め、求められた伝播時間
    から該被検査体の厚さを求めるステップとを含むことを
    特徴とする非接触超音波厚さ測定方法。
  2. 【請求項2】前記伝播時間は、前記伝播波形に対して周
    波数解析を行って、解析結果の周波数波形のスペクトル
    ピークの間隔を計算し、計算された間隔の逆数から計算
    されることを特徴とする請求項1記載の非接触超音波厚
    さ測定方法。
  3. 【請求項3】前記伝播時間は、前記伝播波形の自己相関
    を計算し、計算結果のピーク間隔から算出されることを
    特徴とする請求項1記載の非接触超音波厚さ測定方法。
  4. 【請求項4】導電性を有する被検査体に対してパルスレ
    ーザ光を照射して、該被検査体内に超音波を発生させる
    パルスレーザ発振器と、 前記被検査体内を伝搬する前記超音波を非接触で受信す
    る電磁超音波センサと、 この電磁超音波センサが受信した超音波の伝播波形か
    ら、前記超音波が前記被検査体内を伝播する伝播時間を
    求め、求められた伝播時間から該被検査体の厚さを求め
    る厚さ算出部とを具備してなることを特徴とする非接触
    超音波厚さ測定装置。
  5. 【請求項5】前記厚さ算出部は、前記伝播波形に対して
    周波数解析を行って、解析結果の周波数波形のスペクト
    ルピークの間隔を計算し、計算された間隔の逆数から前
    記伝播時間を計算することを特徴とする請求項4記載の
    非接触超音波厚さ測定装置。
  6. 【請求項6】前記厚さ算出部は、前記伝播波形の自己相
    関を計算し、計算結果のピーク間隔から前記伝播時間を
    算出することを特徴とする請求項4記載の非接触超音波
    厚さ測定装置。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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