JP2001305078A - 冊子類の綴じ糸及びその識別法 - Google Patents

冊子類の綴じ糸及びその識別法

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JP2001305078A
JP2001305078A JP2000117596A JP2000117596A JP2001305078A JP 2001305078 A JP2001305078 A JP 2001305078A JP 2000117596 A JP2000117596 A JP 2000117596A JP 2000117596 A JP2000117596 A JP 2000117596A JP 2001305078 A JP2001305078 A JP 2001305078A
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Yasushi Ozaki
靖 尾崎
Keiji Nishiuchi
啓二 西内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真正な冊子類を偽造又は改ざん冊子類と差別
化するための綴じ糸とその識別法を提供する。 【解決手段】 冊子類の綴じ糸(1)に、硫酸ニッケル
(2)と塩化ニッケル(3)を部分的に塗着又は染着
し、蛍光X線分析装置でX線を照射し、前記冊子類の塗
着綴じ糸あるいは染着綴じ糸を含む領域(4)から励起
されて放出する蛍光X線スペクトルから、前記硫酸ニッ
ケル(2)と塩化ニッケル(3)がマッピング解析され
て、該マッピング像により真偽の識別ができる冊子類の
綴じ糸である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冊子類の綴じ糸
に、ある特定の元素を用いて個人データや偽造防止情報
を付与し、これらの情報を付与した冊子類の綴じ糸を大
気中で非破壊により測定することにより、冊子類の真偽
を判別し識別を行う冊子類の綴じ糸とその識別法に関す
るものであり、特にパスポートの綴じ糸に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】偽造または改ざんパスポートを防止ある
いは識別するために、パスポートの綴じ糸に有色の蛍光
発光物が部分的に付与されている。これは、偽造パスポ
ートの場合や一度綴じ糸を外し見返し部の個人情報の部
分を差し替えた後、別の糸で再度綴じる改ざんパスポー
トの場合において、紫外線光源下における蛍光発光の有
無から容易に真偽を識別することができる。そのため、
これまでは偽造または改ざんパスポートの識別に効果が
あった。
【0003】しかし、最近では有色の蛍光発光物は簡単
に入手することが可能となり、本物のパスポートと同じ
ような蛍光発光を発生させることができるようになっ
た。また、市販の蛍光ペンを用いて綴じ糸を塗ることに
より改ざんすることも考えられる。そのため,有色の蛍
光発光を示す綴じ糸からの真偽判別の効果は低くなって
きている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなパスポート
の綴じ糸における真偽判別の仕方には次のような問題点
がある。単に有色の蛍光発光物を綴じ糸に部分的に付与
しているだけなので、パスポートの綴じ糸を外し見返し
部の個人情報の部分を差し替えた後、別の糸で再度綴
じ、予め調査しておいた綴じ糸への付与部分に、市販の
蛍光ペンまたは有色の蛍光発色物を付与することにより
簡単に改ざんすることができるので、綴じ糸から真偽判
別を識別するのは困難になっている。本発明は、上記し
た問題点に鑑み、従来のように綴じ糸に単に有色の蛍光
発光物を部分的に付与するだけでなく、該綴じ糸に更
に、周期律表上のナトリウムからウランまでの特定の元
素を部分的に付与することにより、すでに部分的に付与
されている蛍光発光物と重なった位置にナトリウムから
ウランまでの特定の元素を付与しても、全体としては付
与していない部分の糸と同じ色を呈しているので、これ
らが付与されていることを確認するのは非常に難しく、
例え確認できたとしても特定することは極めて困難であ
り、更に、読み取り時にも問題が生じない、差別化がは
かれるパスポートの綴じ糸を提供することである。ま
た、このナトリウムからウランまでの特定の元素を付与
した綴じ糸を蛍光X線分析装置を用いて識別する方法を
提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点を解
決するためになされたもので、染色処理が施されている
又は何の処理も施されていない無垢な綴じ糸であり、し
かもナトリウムからウランまでの特定の元素を1種又は
2種以上含有した組成物が、所定の配置に従って塗布又
は染色された塗着領域又は染着領域を有する、冊子類の
綴じ糸であって、前記塗着領域又は染着領域を、蛍光X
線分析装置でX線を照射し、励起されて放出する蛍光X
線スペクトルから、前記特定の元素がマッピング解析さ
れて、該マッピング像により真偽の識別が可能であるこ
とを特徴とする冊子類の綴じ糸を提供するものである。
【0006】また、冊子が特にパスポートである冊子類
の綴じ糸を提供するものである。
【0007】また、本発明の冊子類の綴じ糸を識別する
識別法であって、X線のビーム径を細く絞ることがで
き、試料台を駆動させる方法によりナトリウムからウラ
ンまでの元素を蛍光X線スペクトルからマッピング解析
ができる前記蛍光X線分析装置により、前記冊子類の塗
着領域又は染着領域面を前記蛍光X線分析装置の試料台
にセットし、X線発生機から発生したX線ビームがX線
導管で絞られた微細X線ビームを、前記冊子類の塗着領
域又は染着領域面を含む領域に照射し、前記微細X線ビ
ームの照射により、前記試料台を駆動させ前記冊子類の
綴じ糸面を移動させながら、前記塗着領域又は染着領域
から励起されて放出する蛍光X線スペクトルを、前記蛍
光X線分析装置の前記蛍光X線検出器で検出し、前記検
出した蛍光X線スペクトルから前記特定の元素のマッピ
ング解析を行い、少なくとも1種以上のマッピング像と
して表し、基準の1種以上のマッピング像と比較して、
前記冊子類の塗着綴じ糸又は染着綴じ糸の真偽を識別す
ることを特徴とする冊子類の綴じ糸の識別法を提供する
ものである。
【0008】また、本発明の冊子類の綴じ糸を識別する
識別法であって、X線のビーム径を細く絞ることがで
き、試料台を駆動させる方法によりナトリウムからウラ
ンまでの元素を蛍光X線スペクトルからマッピング解析
ができる前記蛍光X線分析装置により、前記冊子類の塗
着領域又は染着領域面を前記蛍光X線分析装置の試料台
にセットし、X線発生機から発生したX線ビームがX線
導管で絞られた微細X線ビームを、前記冊子類の塗着領
域又は染着領域面を含む領域に照射し、前記微細X線ビ
ームの照射により、前記試料台を駆動させ前記冊子類の
綴じ糸面を移動させながら、前記塗着領域又は染着領域
から励起されて放出する蛍光X線スペクトルを、前記蛍
光X線分析装置の前記蛍光X線検出器で検出し、前記検
出した蛍光X線スペクトルから前記特定の元素のマッピ
ング解析を行い、前記特定の元素のマッピング解析によ
り得られた前記マッピング像の一部にさらに細く絞った
X線を照射し、励起されて出てくる前記特定の元素の蛍
光X線スペクトル強度の違いを認識することにより、前
記冊子類の前記塗着綴じ糸あるいは前記染着綴じ糸の真
偽を識別することを特徴とする冊子類の綴じ糸の識別法
を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の冊子類の綴じ糸は、綴じ
糸自体が何の処理も施されていない綴じ糸、または綴じ
糸自体が染色されている綴じ糸の少なくとも一部に、ナ
トリウムからウランまでの特定の元素を少なくとも1種
又は2種以上含有した組成物が、所定の配置に従って塗
布又は染色された塗着綴じ糸又は染着綴じ糸であり、ま
た、前記塗着領域又は染着領域に、蛍光X線分析装置で
X線を照射すると、励起されて放出する蛍光X線スペク
トルから前記特定の元素がマッピング解析されて、前記
特定の元素の1種又は2種以上のマッピング像として認
識することにより、綴じ糸の真偽を識別することが可能
な冊子類の綴じ糸である。また、冊子が特にパスポート
の場合は、本人の国籍や身分を証明するための個人デー
タを内蔵しているので、本発明の塗着綴じ糸あるいは染
着綴じ糸を用いたパスポートは、改ざんされた偽造パス
ポートを防ぐための有効な手段である。
【0010】また、本発明は第三者に知られないような
やり方で冊子類の綴じ糸に特定の元素を付与することが
でき、更に、どのような特定の元素をどれだけの量を付
与しているのか、また、これらにある特定の秘匿情報を
付加したり、色々とアレンジすることも可能である。ま
た、これらの事を冊子類をチェックする人や作成者等が
知ることを要せず、一部の特定者のみが知っているだけ
であるので極めて秘密度が高い。
【0011】本発明は冊子類の綴じ糸としているが、衣
服等の縫製品等の糸に識別情報として付与することによ
り、商品の模倣品と差別化が図れるというような有効な
付与の仕方も考えられる。
【0012】
【実施例】(実施例1) 以下、実施例としてパスポー
トを用いて本発明を説明するが、本発明はこの実施例に
よってなんら限定されるものではない。また、本発明で
用いる綴じ糸としては、綴じ糸自体に何も処理を施して
いない無垢の状態のもの、または綴じ糸自体に染色を施
した状態のものでもよい。さらに、特定の元素を綴じ糸
に付与する方法はコーティングあるいは染色等があるが
限定されない。また、冊子類を綴じる前後のどこで行っ
てもよい。
【0013】図1は本発明を説明する図であり、パスポ
ートの綴じ糸(1)に、硫酸ニッケル(2)と塩化ニッ
ケル(3)を部分的に付与し、X線のビーム径を細く絞
ることが可能で、試料台を駆動させる方法によりナトリ
ウムからウランまでの元素の蛍光X線スペクトルからマ
ッピング解析ができる蛍光X線分析装置を用いて、前記
硫酸ニッケル(2)と塩化ニッケル(3)を付与した部
分を含む領域(4)をマッピング測定するパスポートの
概略図を示したものである。
【0014】図2は、前記マッピング測定に用いる装置
の概略図を示したものであり、試料台(5)、X線発生
機(6)、X線導管(7)、蛍光X線検出器(8)及び
コンピュータ(9)から構成されている。
【0015】図1、図2を用いて、パスポートの綴じ糸
に付与された特定の元素のマッピング測定と、得られた
マッピング像より真偽判別する識別法を説明する。ま
ず、パスポートの綴じ糸面(10)を試料台(5)にセ
ットし、試料ステージを駆動させながらパスポートの綴
じ糸面(10)を移動させる。それに伴いX線発生機
(6)から発生したX線ビームがX線導管(7)で微細
X線ビームとして絞られ、パスポートの綴じ糸面(1
0)に照射される。このX線によってパスポートの綴じ
糸面(10)中のマッピング測定を行う領域(4)にお
ける物質、本実施例においては、綴じ糸(1)に部分的
に付与された硫酸ニッケル(2)と塩化ニッケル(3)
が励起され、蛍光X線スペクトルを放出し、該蛍光X線
スペクトルが蛍光X線検出器(8)により検出される。
【0016】そして、検出された蛍光X線スペクトルの
中でNiKα線、SKα線及びClKα線によりマッピ
ングを行うことにより、前記図1の硫酸ニッケルを部分
的に付与した部分(2)と塩化ニッケルを部分的に付与
した部分(3)が、図3に示す元素マッピング像として
得られることにより、基準のマッピング像と比較して真
偽判別を行う。
【0017】(実施例2) 図4は、パスポートの綴じ
糸に、異なった濃度のニッケルを塗布した領域のNiK
α線によるマッピング像を示したものである。ニッケル
濃度の薄い綴じ糸部分(11)とニッケル濃度の濃い綴
じ糸部分(12)間のマッピング強度にはあまり違いが
みられない。そこで、さらにニッケル濃度の薄い綴じ糸
部分(11)とニッケル濃度の濃い綴じ糸部分(12)
の一部に対してX線を照射し、励起されて出てくる蛍光
X線のスペクトル強度を図5に示す。ニッケル濃度の濃
い部分のニッケル強度(13)とニッケル濃度の薄い部
分のニッケル強度(14)には明らかに違いがみられる
ことを利用して情報を付与することが可能である。
【0018】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明の冊子類の
綴じ糸は、染色処理が施されている又は何の処理も施さ
れていない無垢な綴じ糸に、周期律表上のナトリウムか
らウランまでの特定の元素を少なくとも1種又は2種以
上含有した組成物を、所定の配置に従って塗布又は染色
された塗着領域又は染着領域を有する、冊子類の綴じ糸
であって、前記塗着領域又は染着領域を、蛍光X線分析
装置でX線を照射し、励起されて放出する特定の元素の
蛍光X線スペクトルから、前記特定の元素がマッピング
解析されて、前記塗着領域又は染着領域の特定の元素の
1種又は2種以上のマッピング像として認識することに
よって真偽を識別できるため、自由に特定の元素を選択
し、付与することが可能であり、また、綴じ糸の任意の
場所に特定の元素を用いて、パターンとして付与した位
置をデザインすることができる。
【0019】そのため、付加した元素の種類と付与した
部分のパターンについて、他の者が知るためには、前記
蛍光X線分析装置を用いなければならない。
【0020】つまり、付与された位置とその部分に含ま
れる特定の元素について知る者のみが、識別することが
可能となる。そのため、冊子類、特にパスポートの認識
法及び真偽判別法として非常に有効となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1を説明する図であり、綴
じ糸に硫酸ニッケルを部分的に付与し、元素の蛍光X線
スペクトルによるマッピング領域を示す図。
【図2】 本発明の認識法に用いる装置の概略図であ
る。
【図3】 本発明の実施例1のNiKα線、SKα線
及びClKα線による元素マッピング像である。
【図4】 本発明の実施例2のNiKα線による元素
マッピング像である。
【図5】 本発明の実施例2の蛍光X線スペクトルで
ある。
【符号の説明】
1 綴じ糸 2 硫酸ニッケルを付与した部分 3 塩化ニッケルを付与した部分 4 マッピングの測定領域 5 試料台 6 X線発生機 7 X線導管 8 蛍光X線検出器 9 コンピュータ 10 パスポートの綴じ糸面 11 ニッケル濃度の薄い綴じ糸部分 12 ニッケル濃度の濃い綴じ糸部分 13 ニッケル濃度の薄い綴じ糸部分のNiKα線 14 ニッケル濃度の濃い綴じ糸部分のNiKα線

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 染色処理が施されている又は何の処理も
    施されていない無垢な綴じ糸であり、しかもナトリウム
    からウランまでの特定の元素を1種又は2種以上含有し
    た組成物が、所定の配置に従って塗布又は染色された塗
    着領域又は染着領域を有する、冊子類の綴じ糸であっ
    て、前記塗着領域又は染着領域を、蛍光X線分析装置で
    X線を照射し、励起されて放出する蛍光X線スペクトル
    から、前記特定の元素がマッピング解析されて、該マッ
    ピング像により真偽の識別が可能であることを特徴とす
    る冊子類の綴じ糸。
  2. 【請求項2】 前記冊子がパスポートである請求項1記
    載の冊子類の綴じ糸。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の冊子類の綴じ糸
    を識別する識別法であって、X線のビーム径を細く絞る
    ことができ、試料台を駆動させる方法によりナトリウム
    からウランまでの元素を蛍光X線スペクトルからマッピ
    ング解析ができる前記蛍光X線分析装置により、前記冊
    子類の塗着領域又は染着領域面を前記蛍光X線分析装置
    の試料台にセットし、X線発生機から発生したX線ビー
    ムがX線導管で絞られた微細X線ビームを、前記冊子類
    の塗着領域又は染着領域面を含む領域に照射し、前記微
    細X線ビームの照射により、前記試料台を駆動させ前記
    冊子類の綴じ糸面を移動させながら、前記塗着領域又は
    染着領域面から励起されて放出する蛍光X線スペクトル
    を、前記蛍光X線分析装置の前記蛍光X線検出器で検出
    し、前記検出した蛍光X線スペクトルから前記特定の元
    素のマッピング解析を行い、少なくとも1種以上のマッ
    ピング像として表し、基準の1種以上のマッピング像と
    比較して、前記冊子類の塗着綴じ糸又は染着綴じ糸の真
    偽を識別することを特徴とする冊子類の綴じ糸の識別
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の冊子類の綴じ糸
    を識別する識別法であって、X線のビーム径を細く絞る
    ことができ、試料台を駆動させる方法によりナトリウム
    からウランまでの元素を蛍光X線スペクトルからマッピ
    ング解析ができる前記蛍光X線分析装置により、前記冊
    子類の塗着領域又は染着領域面を前記蛍光X線分析装置
    の試料台にセットし、X線発生機から発生したX線ビー
    ムがX線導管で絞られた微細X線ビームを、前記冊子類
    の塗着領域又は染着領域面を含む領域に照射し、前記微
    細X線ビームの照射により、前記試料台を駆動させ前記
    冊子類の綴じ糸面を移動させながら、前記塗着領域又は
    染着領域面から励起されて放出する蛍光X線スペクトル
    を、前記蛍光X線分析装置の前記蛍光X線検出器で検出
    し、前記検出した蛍光X線スペクトルから前記特定の元
    素のマッピング解析を行い、前記特定の元素のマッピン
    グ解析により得られた前記マッピング像の一部にさらに
    細く絞ったX線を照射し、励起されて出てくる前記特定
    の元素の蛍光X線スペクトル強度の違いを認識すること
    により、前記冊子類の塗着綴じ糸又は染着綴じ糸の真偽
    を識別することを特徴とする冊子類の綴じ糸の識別法。
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