JP2001302959A - 水性ボールペン用インキ組成物 - Google Patents

水性ボールペン用インキ組成物

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JP2001302959A JP2000119793A JP2000119793A JP2001302959A JP 2001302959 A JP2001302959 A JP 2001302959A JP 2000119793 A JP2000119793 A JP 2000119793A JP 2000119793 A JP2000119793 A JP 2000119793A JP 2001302959 A JP2001302959 A JP 2001302959A
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acid
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aqueous
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Masaru Miyamoto
勝 宮本
Shigeru Miyazaki
茂 宮崎
Yoji Takeuchi
容治 竹内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 筆記時のインキの追従性や筆記直後のインキ
の漏れ出しが無く、従来からの欠点である描線の線割
性、耐水性、ボテによる汚れや顔料インキ自体の沈降に
よる長期安定性等の問題が解決され、油性ボールペンと
同様の簡易直液式インキ供給構造にも収納可能な水性ボ
ールペン用インキ組成物を提供すること。 【解決手段】 少なくとも、燐酸エステル化デンプン、
着色剤、および、水性媒体を含有する水性ボールペンイ
ンキ組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性ボールペン用
インキに関し、更に詳しくは、簡易直液式水性ボールペ
ン用としても好適に使用可能なインキ組成物に関するも
のである。
【0002】
【従来技術】従来より、ボールペン用インキとしては、
溶剤が水や水溶性溶剤からなり、インキ粘度が10セン
チポイズ以下である低粘度の水性ボールペン用インキ
と、鉱物油、多価アルコール、脂肪酸、セルソルブ等の
油性溶媒からなり、インキ粘度が1000〜20000
センチポイズである油性ボールペン用インキが一般的で
ある。
【0003】上記油性ボールペン用インキを使用する油
性ボールペンは、小径のインキ収納管を通し、ボールに
付着したインキがボールの回転によって紙面に転写さ
れ、その転写された分だけのインキが再び収納管を通し
て供給される構造になっている。一方、水性ボールペン
用インキを使用する水性ボールペンは、細かい繊維をか
ためた中継誘導芯の毛細管作用によってインキがボール
面や紙面へ供給される構造になっている。
【0004】前記した水性ボールペン用インキ及び油性
ボールペン用インキは、それぞれ優れた長所を有してい
る反面、いろいろな問題点も有している。例えば、油性
ボールペン用インキは、粘性が高いため小径のインキ収
容管に直接インキを収納でき、構造が簡素化出来る事
や、インキ収納管に透明な材質を使用することにより、
インキ残量の確認が可能となり、また、紙面に転写され
たインキも滲まないという特徴がある反面、回転したボ
ールと接触した紙面のみにインキが転写されるため、ボ
ールの回転が不安定な挙動を呈すると線割やかすれを発
生し易く、紙面にインキが浸透しにくいため未転写のイ
ンキによって汚れが生じる現象(いわゆるボテ)が発生
しやすいという問題点を有している。
【0005】一方、水性ボールペン用インキは、粘性が
低いためインキ供給の原理は毛細管作用を利用してお
り、ボールペン先端部と紙が接触しさえすれば、その接
点に毛細管作用が働いてインキが供給され、筆圧をあま
り加えなくても紙面に良好な筆跡をつくり出すことがで
き、線割、かすれやボテの発生が起こり難くなってい
る。しかし、その反面、紙面に転写後も毛細管作用が働
くため筆記描線が滲み易く、また、インキ収容管に直接
インキを収容すると振動や衝撃でインキが洩れ出し、ボ
ールへの供給量が不安定になるため、細かい繊維で固め
た中継誘導芯等の複雑な構造が必要となり、更にインキ
残量が確認しにくいといった問題を有している。
【0006】水性ボールペンインキについて、上記よう
な問題を解決するための技術がいくつか提案されてい
る。例えば、特開昭54−98826号公報では、水性
ボールペンを増粘化し、滲みやインキの漏れだしを検討
した結果、ゲル化剤(ベンジルソルビトールおよびベン
ジリデンキシリトールまたはその誘導体)と水溶性糊剤
を添加したインキに、チクソトロピー性を与えた水性ボ
ールペン用インキが提案されている。特開昭57−49
678号公報では、架橋型アクリル酸樹脂により、ま
た、米国特許第4545818号では、キサンタンガム
により、ぞれぞれ増粘化した水性ボールペンが提供され
ているが、線割性やボテによる汚れの問題が有り、十分
に満足出来るものではない。
【0007】また、米国特許第4671691号では、
油性ボールペンに使用するような簡易直液式のペン体に
収納し、インキの漏れだしを検討した結果、水分散性の
ガムまたは樹脂(gum or resin)を添加して
インキに剪断減粘性物性を与え、その減粘指数が0.0
1から0.6である水性ボールペン用インキと粘弾性フ
ォロアーからなるボールペンが提案されているが、剪断
を受けたインキの流動性や、時間的粘性回復が遅い為、
筆記時のインキの追従性不良による描線カスレの発生
や、筆記直後のインキの漏れ出しの問題があり、十分に
満足できるものではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、筆記
時のインキの追従性や筆記直後のインキの漏れ出しが無
く、従来からの欠点である描線の線割性、耐水性、ボテ
による汚れや顔料インキ自体の沈降による長期安定性の
低下等の問題がなく、油性ボールペンと同様の簡易直液
式インキ供給構造にも収納可能な水性ボールペン用イン
キ組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記実情
に鑑み鋭意研究を行った結果、デンプン内に燐酸基を付
加した燐酸エステル化デンプンを使用することによっ
て、水性ボールペン用インキとして一層改善された特性
を持つインキが得られることを見出し、本発明を完成し
た。
【0010】すなわち、本発明は、少なくとも、燐酸エ
ステル化デンプン、着色剤、および、水性媒体を含有す
る水性ボールペンインキ組成物である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のインキ組成物に用いる燐
酸エステル化デンプンとしては、例えば、燐酸基1個に
デンプンが1〜2個の範囲で付加した構造を有するもの
を挙げることができ、好ましいものとして、以下の式
(I)、(II)で表されるものが例示される。このよう
な特徴を有する燐酸エステル化デンプンは、デンプン分
子の立体障害により粘度調整機能を有するとともに、付
加した燐酸基により、インキに可溶性、潤滑性および保
湿性を与えることができる。
【0012】
【化1】 (式中、starchは、デンプンを意味する)
【0013】燐酸エステル化デンプンとしては、例え
ば、日澱工業製のプリバイン(燐酸カルバミン酸澱
粉)、ガムデックス(尿素燐酸澱粉)、CDL−63B
(燐酸澱粉)等の市販品を好適に使用することができ
る。
【0014】燐酸エステル化デンプンの配合量は、イン
キ全量に対し0.1から5重量%(以下、単に「%」と
記す)程度の範囲が好ましく、0.2%から3.0%の
範囲ならばより好ましい。燐酸エステル化デンプンの配
合量が5%より多いと粘性が高まり、筆記追従性の低下
や、着色剤同士の凝集が発生する場合があり、0.1%
より少ないと粘性が小さく、顔料の沈降や潤滑性、保湿
性等において、所望の効果が得られない場合がある。
【0015】本発明インキ組成物における着色剤として
は、特に制限はなく、通常水性インキに使用される染料
や顔料が用いられる。好ましい染料の具体例としては、
直接染料の例として、C.I.ダイレクトイエロー(Direct
Yellow) 4、C.I.ダイレクトイエロー 26、C.I. ダイ
レクトイエロー 44、C.I. ダイレクトイエロー 50、C.
I. ダイレクトレッド(Direct Red) 1、C.I. ダイレク
トレッド 4、C.I. ダイレクトレッド23、C.I. ダイレク
トレッド31、C.I.ダイレクトアニン系、C.I. ダイレク
トレッド 37、C.I. ダイレクトレッド 39、C.I. ダイレ
クトレッド 75、C.I. ダイレクトレッド 80、C.I. ダイ
レクトレッド 81、C.I. ダイレクトレッド 83、C.I. ダ
イレクトレッド 225、C.I. ダイレクトレッド 226、C.
I. ダイレクトレッド 227、C.I. ダイレクトバイオレッ
ト(Direct Violet) 9、C.I.ダイレクトブルー(Dire
ct Blue) 1、C.I. ダイレクトブルー 2、C.I. ダイレ
クトブルー 15、C.I. ダイレクトブルー 71、C.I. ダイ
レクトブルー 86、C.I. ダイレクトブルー6、C.I. ダイ
レクトブルー 119、C.I.ダイレクトグリーン(Direct G
reen) 30等が挙げられる。
【0016】塩基性染料の例として、C.I.ベイシックイ
エロー(Basic Yellow) 1、C.I.ベイシックイエロー
2、C.I. ベイシックイエロー 21、C.I.ベイシックイエ
ロー25、C.I. ベイシックオレンジ(Basic Orange)
2、C.I. ベイシックオレンジ14、C.I. ベイシックオレ
ンジ 32、C.I. ベイシックレッド(Basic Red) 1、C.
I. ベイシックレッド 2、C.I. ベイシックレッド 9、C.
I. ベイシックレッド 14、C.I. ベイシックバイオレッ
ト(Basic Violet) 3、C.I.ベイシックブルー(Basic
Blue) 1、C.I. ベイシックブルー 9、C.I. ベイシック
ブラウン(Basic Brown)12等が挙げられる。
【0017】酸性染料の例として、C.I.アシッドイエロ
ー(Acid Yellow) 1、C.I.アシッドイエロー 7、C.I.
アシッドイエロー 17、C.I.アシッドイエロー 19、C.I.
アシッドイエロー 23、C.I.アシッドイエロー 25、C.I.
アシッドイエロー29、C.I.アシッドイエロー 38、C.I.
アシッドイエロー 42、C.I.アシッドイエロー 49、C.I.
アシッドイエロー 61、C.I.アシッドイエロー 72、C.I.
アシッドオレンジ(Acid Orange) 7、C.I.アシッドレ
ッド(Acid Red) 1、C.I.アシッドレッド 8、C.I.アシ
ッドレッド 9、C.I.アシッドレッド 13、C.I.アシッド
レッド 14、C.I.アシッドレッド 18、C.I.アシッドレッ
ド 26、C.I.アシッドレッド 27、C.I.アシッドレッド 3
5、C.I.アシッドレッド 37、C.I.アシッドレッド 51、
C.I.アシッドレッド 52、C.I.アシッドレッド 57、C.I.
アシッドレッド 82、C.I.アシッドレッド 87、C.I.アシ
ッドレッド 92 、C.I.アシッドレッド 94 、C.I.アシッ
ドレッド 115、C.I.アシッドレッド 129、C.I.アシッド
レッド 131、C.I.アシッドバイオレット(Acid Viole
t) 7、C.I.アシッドバイオレット 17、C.I.アシッドバ
イオレット 18、C.I.アシッドブルー(Acid Blue) 1、
C.I.アシッドブルー 7、C.I.アシッドブルー 9、C.I.ア
シッドブルー 22、C.I.アシッド ブルー 23、C.I.アシ
ッドブルー 25、C.I.アシッド ブルー 40、C.I.アシッ
ド ブルー 41、C.I.アシッドブルー 43、C.I.アシッド
ブルー 62、C.I.アシッドブルー 74、C.I.アシッドブル
ー 78、C.I.アシッドブルー 90、C.I.アシッドグリーン
(Acid Green) 3、C.I.アシッドグリーン 7、C.I.アシ
ッドグリーン 9、C.I.アシッドグリーン 16、C.I.アシ
ッドブラウン(Acid Brown)39 等が挙げられる。
【0018】好ましい顔料種の具体例としては、カーボ
ンブラック、チタンホワイト、チタンブラック、亜鉛
華、べんがら、酸化クロム、鉄黒、コバルトブルー、ア
ルミナホワイト、酸化鉄黄、ビリジアン、硫化亜鉛、リ
トポン、カドミウムエロー、朱、カドミウムレッド、黄
鉛、モリブデードオレンジ、ジンククロメート、ストロ
ンチウムクロメート、ホワイトカーボン、クレー、タル
ク、群青、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、炭酸カル
シウム、鉛白、紺青、マンガンバイオレット、アルミニ
ウム粉、真鍮粉等の無機顔料、C.I.ピグメントイエロー
(PIGMENT YELLOW)34, C.I.ピグメントレッド(PIGME
NT RED)104、 C.I.ピグメントブルー(PIGMENT BLUE)
27、 C.I. ピグメントブルー17、 C.I. ピグメントレッ
ド81、C.I.ピグメントバイオレット(PIGMENT VIOLET)
1、 C.I. ピグメントブルー 1、 C.I.ピグメントバイ
オレット 3、 C.I.ピグメントレッド 53、 C.I.ピグメ
ントレッド 49、 C.I.ピグメントレッド 57、 C.I.ピグ
メントレッド 48、 C.I.ピグメントイエロー 3、 C.I.
ピグメントイエロー 1、 C.I.ピグメントイエロー 74、
C.I.ピグメントイエロー 167、 C.I.ピグメントイエロ
ー 12、 C.I.ピグメントイエロー 14、 C.I.ピグメント
イエロー 17、 C.I.ピグメントイエロー 13、 C.I.ピグ
メントイエロー 55、 C.I.ピグメントイエロー 83、 C.
I.ピグメントオレンジ 16、 C.I.ピグメントオレンジ 1
3、 C.I.ピグメントオレンジ 5、 C.I.ピグメントレッ
ド 38、 C.I.ピグメントレッド 22、 C.I.ピグメントレ
ッド 5、 C.I.ピグメントレッド 146、 C.I.ピグメント
レッド 245、 C.I.ピグメントバイオレット 50、 C.I.
ピグメントブルー 15、 C.I. ピグメントグリーン(PIG
MENT GREEN) 7、 C.I.ピグメントイエロー 95、 C.I.
ピグメントイエロー 166、 C.I.ピグメントバイオレッ
ト 19、C.I.ピグメントバイオレット 23等の有機顔料な
どのほか、例えば、スチレンやポリエステルの重合によ
って得られる水分散粒子体であるエマルションや中空樹
脂分散体自体、あるいは、それらを染料で染着すること
によって得られる染着擬似顔料等を挙げることができ
る。
【0019】着色剤は、1種又は2種以上を適宜組み合
わせて使用することが可能である。着色剤の配合量は、
インキ全量に対して1から30%程度、好ましくは5%
から15%の範囲で用いることができる。配合量が30
%より多いと着色剤同士の凝集が起こり、経時的にイン
キが変質する場合があり、1%より少ないと色相が薄く
なり、所望の効果が得られない場合がある。
【0020】水性媒体は、水性ボールペン用インキとし
て種々の品質、例えばペン先でのインキ乾燥防止、低温
時のインキ凍結防止などの目的で使用することができ
る。この目的のため、本発明インキ組成物は、全インキ
組成物に対して5%以上、好ましくは40%以上の水分
を含有することが好ましい。水性媒体の具体例として
は、水のほか、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、メチルカービトール、エ
チルカービトール、ポリエチレングリコール、ジプロピ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグ
リコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチ
ルセルソルブ、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセ
リン、2−ピロリドン、n−メチル−2−ピロリドン、
トリエタノールアミン、ジメチルイミダゾリジノン等の
保湿性を有する水溶性の有機溶剤を挙げることができ
る。
【0021】水性媒体は、1種単独で用いることも可能
であるが、複数種を組み合わせて用いることが好まし
い。本発明における水性媒体の使用量は、インキ全量に
対し5〜50%程度、好ましくは10〜30%である。
配合量が50%より多いと筆記時にペン先部にインキが
溜まるボテの発生や、インキが増粘する場合があり、5
%より少ないとペン先部が乾燥しやすく、所望の効果が
得られない場合がある。
【0022】本発明の水性インキ組成物には、上記成分
に加え、必要に応じて、例えば潤滑剤、防錆剤、pH調
整剤、防腐剤もしくは防燻剤等を配合することができ
る。
【0023】潤滑剤としては、顔料の表面処理剤に用い
られる、多価アルコールの脂肪酸エステル、糖の高級脂
肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステ
ル、アルキル燐酸エステル等のノニオン系界面活性剤、
高級脂肪酸アミドのアルキルスルホン酸塩、アルキルア
リルスホン酸塩等のアニオン系界面活性剤、ポリアルキ
レングリコールの誘導体、フッ素系界面活性剤、ポリエ
ーテル変性シリコーン等が例示される。
【0024】防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ト
リルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイ
トライト、サポニン類などが、pH調整剤としては、ア
ンモニア、尿素、トリエタノールアミン、アミノメチル
プロパノール、水酸化ナトリウムなどが、防腐剤もしく
は防燻剤としては、フェノール、ナトリウムオマジン、
安息香酸ナトリウム、ベンズイミダゾール系化合物など
が、それぞれ例示される。
【0025】本発明の水性ボールペンインキ組成物の製
造方法としては、以下に例示するように、着色剤の混
合、インキ化、および粘度調整の3工程から構成される
方法が挙げられる。
【0026】まず、着色剤の混合工程において、特に顔
料を使用する場合は、顔料、表面処理剤、水溶性媒体、
添加剤等の成分を、例えばビーズミル、ボールミル、3
本ロール、高速ミキサー等の分散機を使用して十分に分
散した後、遠心分離や濾過を行い、粗大粒子を除去して
水性顔料分散体を得る。顔料として乳化重合したポリマ
ー粒子を使用する場合は、適当な濃度に希釈したり、染
料で染着した後、遠心分離や濾過を行い、同様に水性顔
料分散体を得ることができる。なお、顔料自身の分散状
態や、表面処理剤の種類や配合量等を適宜調整すること
によって、後の粘度調整工程での凝集の発生を未然に防
止できる。また、着色剤として染料を使用する場合に
は、水性媒体中に直接添加することができる。
【0027】インキ化工程は、水性顔料分散体と水性ボ
ールペンインキに必要な残りの成分や水性媒体、必要な
調整剤を加え、均一になるまで撹拌機で十分に混合する
ことにより行われる。
【0028】粘度調整工程は、燐酸エステル化デンプン
を水性媒体で可溶化及び希釈し、インキ化工程で作成し
た着色剤を配合済みの水性成分に添加し、均一になるま
で撹拌機等で十分に混合することにより行われる。最後
に、もう一度遠心分離や濾過を行い、粗大な固形物を取
り除くことが好ましい。
【0029】本発明の水性ボールペンインキ組成物は、
通常の水性ボールペンのほか、例えば、インキ吸蔵体や
誘導芯を使用しないで、小径のインキ収納官に直接収容
し、ペン先にインキを供給するタイプの簡易直液式水性
ボールペン用インキとしても好適に利用できる。
【0030】
【作用】本発明のインキ組成物に用いる燐酸エステル化
デンプンは、デンプンに燐酸基を付加した構造の化合物
であり、水性媒体に可溶で、粘性を付与するとともに、
潤滑性を向上させる機能を持つ。このため、インキ中に
配合することにより、顔料の分散性が長期間安定し、筆
記時のインキ追従性や描線品位が優れ、インキの漏れだ
しが生じることがなく、簡易直液式インキ供給構造にも
収納可能な水性ボールペンインキが得られる。
【0031】
【実施例】以下、実施例等を挙げ、本発明を更に詳しく
説明するが、本発明はこれらによって何ら制約されるも
のではない。
【0032】実施例1〜4および比較例1〜4 表1および2に示す組成に従い、本発明インキ組成物
(実施例1〜4)および比較インキ組成物(比較例1〜
4)を調製した。なお、表中の組成の数値は、全て重量
%で表されており、原料の内容は、注番号に従って下記
に説明するとおりである。 *−1:カーボンブラック MCF−88(三菱化成
製) *−2:燐酸エステル RS−610(東邦化学製) *−3:ブリバン(日澱化学製) *−4:CDL−63B(日澱化学製) *−5:ケルザン(三晶製)を水で希釈し、ポリマー成分
を10%に調整した。 *−6:ハイビスワコー104(和光純薬製)を水で希
釈し、ポリマー成分を10%に調整した。 *−7:Blue #300(ダイワ化成製)
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】上記実施例1〜4および比較例1〜4で得
られたインキ組成物について、次の方法で試験を行っ
た。その結果を表1および表2中に併記した。試験の方
法は、注番号に従って下記に説明する。 *−A:インキ作成後、1週間以内に光子相関法を用い
たNICOMP370(野崎産業製)を使用して、平均
粒子径を測定する。 *−B:インキ作成後、室温に6ヶ月間放置した後、初
期と同様な方法で測定する。 *−C:EMD型粘度計(東機産業製)を使用し、25
℃において1rpmの粘度値を測定する。 *−D:各インキを中継芯の無い内径3.5mm、長さ
100mmのポリプロピレン製インキ収納管と0.5m
mのボール径を有するステンレス製ペン先からなるリフ
ィールにそれぞれ充填した。このリフィールを、ペン先
部を下向きにして室温下で24時間放置した後、ペン先
部のインキ漏れ出し状態を目視で判定した。 <判定基準> ◎:全くない ○:わずかにある △:少しあり ×:非常に多い *−E:*−Dと同様なペン体を作成し、手で速書筆記
し、得られた描線より、インキ切れや線割の有無を目視
で判定した。 <判定基準> ◎:全くない ○:わずかにある △:少しあり ×:非常に多い
【0036】表1および表2の結果より、本発明インキ
(実施例1〜4)は、インキ吸蔵体や中継誘導芯のない
簡易直液式ボールペン構造のペン体に充填しても、イン
キの漏れや、着色剤の凝集増大化による沈降、および粘
性増加による筆記性低下が発生することなく、長期安定
性に優れ、筆記描線のカスレや線割が少ないことが明白
である。
【0037】
【発明の効果】以上の如く、本発明の水性ボールペン用
インキ組成物は、燐酸エステル化デンプンを配合するこ
とにより、着色剤の凝集や増粘を引き起こすことなく長
期安定化させることが可能となり、ボールペン体で筆記
した描線状態も、濃淡、カスレ、線割れの発生がほとん
どない良好なものである。また、油性ボールペンに使用
されるような簡易直液式ボールペン構造(インキ吸蔵体
や中継誘導芯がない)に収納しても、インキが吹きだし
たり、ペン先部から垂れ下がったりする、いわゆるイン
キ漏れ現象が発生することはない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 容治 神奈川県横浜市神奈川区入江二丁目5番12 号 三菱鉛筆株式会社横浜研究開発センタ ー内 Fターム(参考) 4J039 AB01 BA04 BC10 BC11 BC14 BC15 BC35 BC39 BC50 BC51 BC53 BC60 BC63 BE01 BE02 BE03 BE04 BE05 BE12 CA03 CA06 EA38 EA41 EA42 GA27

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、燐酸エステル化デンプン、
    着色剤、および、水性媒体を含有する水性ボールペンイ
    ンキ組成物。
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