JP2001301178A - インクジェットヘッドおよびインクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッドおよびインクジェットヘッドの製造方法

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JP2001301178A
JP2001301178A JP2000124046A JP2000124046A JP2001301178A JP 2001301178 A JP2001301178 A JP 2001301178A JP 2000124046 A JP2000124046 A JP 2000124046A JP 2000124046 A JP2000124046 A JP 2000124046A JP 2001301178 A JP2001301178 A JP 2001301178A
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adhesive
jet head
ink jet
ink
piezoelectric ceramic
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JP2000124046A
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Shinichi Nishi
眞一 西
Satoru Sakurai
哲 桜井
Takeshi Ito
健 伊藤
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 油系インクで膨潤せず、圧電性素子の圧電性
に影響を与えない温度で硬化でき、且つ、塗布膜厚のコ
ントロールも容易に行える接着剤を使用したインクジェ
ットヘッド及び該インクジェットヘッドの製造方法を提
供する。 【解決手段】 油系インク用のインクジェットヘッドの
接着部に使用される接着剤が、下記条件1を満たすエポ
キシ系接着剤またはウレタン系接着剤であることを特徴
とする。 (条件1)粘度;30〜500Pa・S 硬化温度;120℃以下 吸油率;5%以下

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油系インクを吐出
して画像を形成するインクジェットプリンタ用のインク
ジェットヘッドおよび該インクジェットヘッドの製造方
法に関し、詳しくは、インクジェットヘッドの構成部材
の接着部に使用する接着剤に特徴を有するインクジェッ
トヘッドおよび該インクジェットヘッドの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタ用のインクジェ
ットヘッドは、インク貯蔵部から供給されてきたインク
を記録媒体へ吐出するまでの構成部分であり、インクジ
ェットプリンタ本体からその部分のみ取り外しが可能な
部材の総称である。インクジェットヘッドの構成部材と
しては、インクの液溜めとしてのマニホールド、該マニ
ホールド内に設けられインクの不純物を濾過するための
フィルタ、インクを該マニホールドから吐出口まで分岐
流出させるための複数のインクチャンバ、各インクチャ
ンバからインク滴を吐出するための吐出口を形成するノ
ズルプレート、インクジェットヘッドの駆動回路部材と
してのFPC(フレキシブルプリントサーキット)、イ
ンクジェットヘッドを保護するための外形部材としての
カバー等から成る。
【0003】このようなインクジェットヘッドの製造
は、各構成部材を接着剤を使用して接着する接着工程を
含む。この接着工程における接着剤としては、従来、シ
リコーン系、酢酸ビニル系、アクリル系、シアノアクリ
レート系、エステル系、ゴム系のものが使用されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、油系イ
ンク用のインクジェットヘッドにおいては、これらの接
着剤は、油系インクを吸って膨潤してしまうため使用出
来ないことがわかった。接着剤が膨潤してしまうと、イ
ンクジェットヘッドの寸法や形状の精度が損なわれるの
で、インクの吐出精度が落ちてしまう。
【0005】そのため、油系インクで膨潤しない接着剤
として、エポキシ系接着剤やウレタン系接着剤が考えら
れるが、これらは硬化させるために、高温・高圧をかけ
ねばならない。しかし、せん断変形型のインクジェット
ヘッドに用いられる圧電性セラミックスは、該圧電性が
消失してしまうキュリー点を有しており、キュリー点を
越える温度で接着剤の硬化を行うことは出来ない。
【0006】また、インクジェットヘッドの寸法や形状
の精度を確保するために、接着剤の塗布膜厚はなるべく
薄く、且つ、膜厚を精度高くコントロールする必要があ
るが、粘度の高い接着剤ではこのコンロトールが難し
く、結果としてインクジェットヘッドの不良品発生率が
高くなってしまう問題があった。
【0007】よって、本発明の目的は、油系インクで膨
潤せず、圧電性素子の圧電性に影響を与えない温度で硬
化でき、且つ、塗布膜厚のコントロールも容易に行える
接着剤を使用したインクジェットヘッド及び該インクジ
ェットヘッドの製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、以下の
構成により達成された。
【0009】1.油系インク用のインクジェットヘッド
であって、前記インクジェットヘッドの構成部材の接着
部の少なくとも一部に使用される接着剤が、下記条件1
を満たすエポキシ系接着剤またはウレタン系接着剤であ
ることを特徴とするインクジェットヘッド。
【0010】(条件1)粘度;30〜500Pa・S 硬化温度;120℃以下 吸油率;5%以下 2.前記エポキシ系接着剤またはウレタン系接着剤が、
さらに下記条件2を満たすことを特徴とする上記1に記
載のインクジェットヘッド。
【0011】(条件2)熱膨張率;100ppm以下 3.前記接着剤がエポキシ系接着剤であることを特徴と
する上記1または2に記載のインクジェットヘッド。
【0012】4.前記接着剤による接着部の乾燥膜厚
が、100μm以下であることを特徴とする上記1〜3
のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
【0013】5.前記インクジェットヘッドが、圧電性
セラミックスのせん断変形により前記インクを吐出する
せん断変形型であることを特徴とする上記1〜4のいず
れか1項に記載のインクジェットヘッド。
【0014】6.前記圧電性セラミックスが、PZTか
らなることを特徴とする上記5に記載のインクジェット
ヘッド。
【0015】7.前記接着剤による接着部が、前記圧電
性セラミックスを接着面としていることを特徴とする上
記5または6に記載のインクジェットヘッド。
【0016】8.油系インク用のインクジェットヘッド
の製造方法であって、前記インクジェットヘッドの構成
部材の接着部の少なくとも一部に使用する接着剤を、下
記条件1を満たすエポキシ系接着剤またはウレタン系接
着剤とすることを特徴とするインクジェットヘッドの製
造方法。
【0017】(条件1)粘度;30〜500Pa・S 硬化温度;120℃以下 吸油率;5%以下 9.前記エポキシ系接着剤またはウレタン系接着剤が、
さらに下記条件2を満たすことを特徴とする上記8に記
載のインクジェットヘッドの製造方法。
【0018】(条件2)熱膨張率;100ppm以下 10.前記接着剤をエポキシ系接着剤とすることを特徴
とする上記8または9に記載のインクジェットヘッドの
製造方法。
【0019】11.前記接着剤による接着部の乾燥膜厚
を、100μm以下とすることを特徴とする上記8〜1
0のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドの製造
方法。
【0020】12.前記インクジェットヘッドが、圧電
性セラミックスのせん断変形により前記インクを吐出す
るせん断変形型であることを特徴とする上記8〜11の
いずれか1項に記載のインクジェットヘッドの製造方
法。
【0021】13.前記圧電性セラミックスが、PZT
からなることを特徴とする上記12に記載のインクジェ
ットヘッドの製造方法。
【0022】14.前記接着剤による接着部が、前記圧
電性セラミックスを接着面としていることを特徴とする
上記12または13に記載のインクジェットヘッドの製
造方法。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明をするが、本発明はこれに
限定されるものではない。
【0024】図1は、本発明の実施の形態におけるイン
クジェットヘッドの断面模式図である。図中、参照符号
の1は油系インクの流路の三方の壁となる溝が切られた
圧電性セラミックス基体(図2参照)、2は圧電性セラ
ミックス基体1と接着されインク流路の一方の壁となる
蓋部材、5は圧電性セラミックス基体1と蓋部材2とで
形成されるインク流路である。以上がインクジェットヘ
ッドのインクチャンバである。また、参照符号の10は
インクジェットヘッドの全体を覆うカバー、20はマニ
ホールド、25はフィルタ、30はマニホールド20に
接着され図示しないインク貯蔵部からインクを供給する
ためのインクチューブ、40は図2で後述する電極膜3
に通電するためのFPC(フレキシブルプリントサーキ
ット)、45はFPC40に接着された駆動IC、50
はインクチャンバの前面に接着されインク滴を吐出させ
る吐出口を有するノズルプレート、Dは射出したインク
滴である。図中の矢印はインクの流れを示している。
【0025】図示しないインク貯蔵部から油系インクが
インクチューブ30を伝ってマニホールド20を満たし
ている。マニホールド20内には、金網等のフィルタ2
5が配設され、油系インク中の異物を取り除くようにな
っている。フィルタ25で濾過された油系インクは、イ
ンク流路5に流入している。一方、図示しないインクジ
ェットプリンタ本体の制御手段から画像信号がFPC4
0を伝って送られてくると、駆動IC45は、対応する
インクチャンバをせん断変形させるための電圧を発生さ
せ、後述する電極膜3に通電する。すると、せん断変形
したインクチャンバは、ノズルプレート50の吐出口か
ら、インク滴を射出することになる。
【0026】図1において〜の斜線で示す部分は、
インクジェットヘッドの構成部材の接着部である。は
圧電性セラミックス基体1と蓋部材2との接着部、は
インクチャンバとノズルプレート50との接着部、は
FPC40と圧電性セラミックス基体1上に付設された
電極膜3(後述)との接着部、はFPC40と駆動I
C45との接着部、はマニホールド20と圧電性セラ
ミックス基体1との接着部、はマニホールド20と蓋
部材2との接着部、はマニホールド20内においてフ
ィルタ25との接着部、はマニホールド20とインク
チューブ30との接着部、はFPC40が圧電性セラ
ミックス基体1から剥離しないように補強接着するため
の接着部である。
【0027】接着部およびは、可能な限り薄く、不
必要な部分にはみ出さない事が必要である。最も接着精
度が要求される部分である。
【0028】接着部はFPC40が剥がれないよう
に、伸び縮みの小さい接着剤を用いることが好ましい。
【0029】接着部は駆動ICとの接点周囲であるの
で、ストレスに強い接着剤を用いることが好ましい。
【0030】接着部は、フィルタの目を詰まらせない
様に接着剤の量を少量とすることが好ましい。
【0031】上記全ての接着部において、圧電性セラミ
ックス基体1の圧電性が消失しない低温・短時間で接着
工程が行われること、硬化途中に接着部以外に流れ出さ
ないことが必要である。
【0032】また、接着部の色は無色でも有色でも構わ
ない。図2は、図1で示したインクチャンバの拡大断面
模式図である。図2(a)は、インクの流通方向に対し
垂直な断面から見た図、図2(b)は、インク流路を溝
状に形成した圧電性セラミックス基体の斜視模式図であ
る。
【0033】図中、1は圧電性セラミックス基体、2は
他の壁を形成する蓋部材(代表的には、ガラス、セラミ
ックス、金属或いはプラスチック製の平板を接着して形
成するインク流路の蓋)、3は電極膜、4は保護膜、5
はインク流路、は接着層(図1の接着部と同じ)を
示す。
【0034】圧電性セラミックス基体1を構成する圧電
性セラミックスとしては、従来公知の任意のものを採用
できるが、PZT、PLZT等のセラミックスで、主に
PbOx、ZrOx、TiOxの混合微結晶体に、ソフ
ト化剤又はハード化剤として知られる微量の金属酸化
物、例えばNb、Zn、Mg、Sn、Ni、La、Cr
等の酸化物を含むものが好ましい。
【0035】PZTは、チタン酸ジルコン酸鉛であり、
充填密度が大きく、圧電性定数が大きく、加工性が良い
ので好ましい。PZTは、焼成後、温度を下げると、急
に結晶構造が変化して、原子がズレ、片側がプラス、反
対側がマイナスという双極子の形の、細かい結晶の集ま
りになる。こうした自発分極は方向がランダムで、極性
を互いに打ち消しあっているので、更に分極処理が必要
となる。
【0036】分極処理は、PZTの薄板を電極で挟み、
シリコン油中に漬けて、10〜35kV/cm程度の高
電界を掛けて、分極する。分極したPZTに分極方向に
直角に電圧を掛けると、側壁が圧電滑り効果により、斜
め方向に、くの字形に、せん断変形してインク室の容積
が膨張する。この分極処理による圧電性は、PZTにお
いては、200℃をキュリー点として、これ以上の温度
を与えると消失してしまう。
【0037】圧電性セラミックス基体1の密度〔g/c
2〕は、8.2であり、蓋部材2の密度〔g/cm2
は、3以下としているが、蓋部材2の密度〔g/c
2〕は、より小さく例えば半分以下が好ましく、イン
クジェットヘッド全体が軽くなり、コンパクトなインク
ジェットヘッドができる。
【0038】圧電性セラミックス基体1のヤング率又は
弾性係数〔GPa〕は、65であり、蓋部材2のヤング
率〔GPa〕は、190〜390としているが、200
以上が好ましく、圧電性セラミックス基体1の隔壁の変
位を強固に支えることができ、かつ自身の変形が少ない
ために、効率的な駆動ができ、低電圧化が可能である。
【0039】圧電性セラミックス基体1の熱膨張係数
〔ppm/deg〕は、2であり、蓋部材2の熱膨張係
数〔ppm/deg〕は、0.6〜7としているが、両
者の差が5以下、より好ましくは3以下であり、駆動時
の発熱や、環境温度の変化に伴い、基板間の膨張による
そりやストレスでの破壊を防止できる。
【0040】圧電性セラミックス基体1の熱伝導率〔W
/cm・deg〕は、0.01であり、蓋部材2の熱伝
導率〔W/cm・deg〕は、0.03〜0.3として
いるが、蓋部材2の熱伝導率〔W/cm・deg〕は、
より大きく、大きいほど好ましく、圧電性セラミックス
基体1の駆動時に発生する熱を蓋部材2を通して外部へ
逃がすことができる。
【0041】圧電性セラミックス基体1の誘電率は、
3,000であり、蓋部材2の誘電率は、4.0〜50
としているが、蓋部材2の誘電率は、小さいほど好まし
く、好ましくは10以下であり、圧電性セラミックス基
体1を駆動するための電極パターンを蓋部材2上に設置
することにより、圧電性セラミックス基体1自身の容量
に加えて付加的な容量を発生させるので、インク室の容
量を増大させ、発熱量を増大させ、駆動効率を低下させ
る。従って、蓋部材2の誘電率が小さい程付加容量を小
さくできる。
【0042】圧電性セラミックス基体1の硬度〔Hv〕
は、500であり、蓋部材2の誘電率は、1,000以
上としているが、蓋部材2の誘電率は、より大きく、好
ましくは1倍以上、より好ましくは1.5倍以上であ
り、製造工程での欠け等で歩溜り劣化を防止できる。
【0043】圧電性セラミックス基体1の曲げ強さ〔M
Pa〕は、100であり、蓋部材2の曲げ強さ〔MP
a〕は、300〜900としているが、好ましくは2倍
以上であり、蓋部材2のそりや曲げに強い程、長尺のイ
ンクジェットヘッドを安定して作製できる。
【0044】圧電性セラミックス基体1の体積抵抗率
〔Ω・cm〕は、1であり、蓋部材2の体積抵抗率〔Ω
・cm〕は、7〜10としているが、より大きいことが
好ましく、電子デバイスとしてのリーク電流を減らすた
めに大きい程良い。
【0045】また、蓋部材2と圧電性セラミックス基体
1との間の接着面の表面粗さRaは、1.0μm以下で
あり、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.
1μmが好ましく、接着表面の表面粗さRaが1.0μ
mを越えると、接着面に接着剤が多数入り込み、圧電性
セラミックスの駆動力が低下し、感度低下、電圧上昇を
引き起こし、好ましくない。
【0046】また、蓋部材2と圧電性セラミックス基体
1との間の接着面は、プラズマ処理またはUV処理され
る。プラズマ処理は、真空チャンバー中に蓋部材2や圧
電性セラミックス基体1を置き、Ar、N2、O2の1つ
または混合ガスを注入し、外部からの電磁界で、プラズ
マ状態にする処理であり、表面のエッチング性を高める
ために、CF4等のフッ素系炭化水素ガスを用いても良
い。また、UV処理は紫外線発光ランプを直接蓋部材2
や圧電性セラミックス基体1に照射する処理であり、オ
ゾンでのクリーニング効果を出すために、O2雰囲気下
でも良い。このように接着面をプラズマ処理及びUV処
理をすることにより、有機物汚染を洗浄除去でき、接着
面全体への接着剤のぬれ性を向上させ、微小な泡残り等
の接着不良を排除でき、それにより、圧電性セラミック
ス基体1の駆動不良をなくし、安定なインクジェットヘ
ッドを製造できる。
【0047】圧電性セラミックス基体1は、例えば、厚
さ1mmの基体1の一面に微少な溝部(L:30mm、
H:360μm、B:70μm)が加工されている。こ
の基体1の加工面に蓋部材2を接合(接着)することに
より、インク流路となるインクチャンバ(L:30m
m、H:360μm、B:70μm)が溝部に構成され
る。インクチャンバの一端はフィルタユニットを含むマ
ニホールドを介してインク貯蔵部に連結され、他端はイ
ンク吐出口(ノズルプレート)と連結される。
【0048】又、電極膜3は微細な部材に薄膜で形成す
る(通常、0.5〜5.0μm程度)ため、スパッタリ
ング等により形成するが、電気的特性、耐蝕性及び加工
性の点からアルミニウム、タンタル又はチタニウムから
なることが好ましい。又、電極膜の耐蝕性及び安定性を
向上するのに陽極酸化処理を施すのが有効である。陽極
酸化処理の具体例を次に示す。
【0049】電解液として、300mlのエチレングリ
コール及び30mlの3%酒石酸からなるpH7.0±
0.5(アンモニア水で調整)の液を用い、厚さ2.0
μmのアルミニウム電極膜を形成した圧電性セラミック
ス基体1を浸漬し、電極膜側をプラスにして電流密度1
mA/cm2で電圧が100Vに達するまでは定電流
で、電圧100Vに達した後は100Vの定電圧で陽極
酸化を行い、電流密度が0.1mA/cm2以下となっ
たとき処理を終了させる。
【0050】本実施の形態においては、上記電極膜の陽
極酸化処理後、保護膜4の形成工程前に蓋部材2を圧電
性セラミックス基体1に接着する。該接着工程では、接
着剤を塗布する前に、圧電性セラミックス基体1の溝部
が設けられた加工面及び前記溝部を覆う蓋部材2の接合
面はその状態に応じて洗浄、研磨等の前処理が行われ、
接着面がそれぞれ形成される。
【0051】圧電性セラミックス基体1の接着面と蓋部
材2の接着面とが接着剤で接着されて、圧電性セラミッ
クス基体1と蓋部材2は一体に組み立てられる。
【0052】圧電性セラミックス基体1と蓋部材2の組
立後、接着面は加圧状態で、接着剤の硬化温度まで加熱
され、さらにこの加圧・加熱状態が約2時間保持され
て、接着剤が硬化される。この接着工程により接着層が
接着面に形成され、また一体化された圧電性セラミック
ス基体1と蓋部材2間にインク流路5となるインクチャ
ンバが構成される。
【0053】接着工程終了後一体化された圧電性セラミ
ックス基体1と蓋部材2に対し、CVD法等にて樹脂層
である保護膜4を形成する。
【0054】本実施の形態において、圧電性セラミック
ス基体1と蓋部材2の接着部に使用される接着剤は、下
記条件1を満たすエポキシ系接着剤またはウレタン系接
着剤である。
【0055】(条件1)粘度;30〜500Pa・S 硬化温度;120℃以下 吸油率;5%以下 上記粘度は、JIS−K7117に規定される測定方法
にて求められる値であり、本発明に使用される接着剤に
おいて、好ましくは30〜100Pa・S、より好まし
くは30〜50Pa・Sである。
【0056】上記硬化温度は、樹脂を硬化(分子を3次
元化)させ、接着を完成させるために必要な温度であ
り、接着剤の種類および組成に依存する。本発明に使用
される接着剤において、硬化温度は、好ましくは100
℃以下である。
【0057】上記吸油率は、JIS−K7209に規定
される吸水率の測定方法に準じ、浸漬液を油系インクに
変更したものである。ここで吸油率を測定する際に使用
する油系インクは、当該インクジェットヘッドが用いる
油系インクであることが最も好ましいが、以下の条件A
およびBを満たしている油系インクであれば構わない。
【0058】A.炭素数15〜18の飽和炭化水素、ま
たは、炭素数15〜18の単価アルコール、もしくは、
それらの誘導体を溶媒として、80質量%以上含有する B.色剤を含有する 本発明に使用される接着剤において、吸油率は、好まし
くは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。
【0059】また、本発明に使用される接着剤は、さら
に以下の条件2を満たすエポキシ系接着剤またはウレタ
ン系接着剤であることが好ましい。
【0060】(条件2)熱膨張率;100ppm 上記熱膨張率は、物体の温度を1度上昇させたときの長
さ変化(線膨張)を指し、JIS−K7197で規定さ
れる測定方法によって測定される値である。例えば、接
着剤自体の温度が1度上昇すると、寸法が1m当たり、
0.001mm膨張する場合、当該接着剤の熱膨張率
は、1ppmということになる。
【0061】当然ながら、この膨張率は、硬化後の乾燥
した接着剤におけるものである。本発明に使用される接
着剤において、熱膨張率は、好ましくは85ppm以
下、さらに好ましくは60ppm以下である。
【0062】上記条件1および2を満たすエポキシ系接
着剤としては、セメダイン社製のEP−330,EP−
331,1500,CS2340−5等が好ましく用い
られる。
【0063】また、上記条件1および2を満たすウレタ
ン系接着剤としては、日本NSC社製のKBK,ER
I,10L,13,ET60(エポキシ・ウレタン
系)、住友スリーエム社製のTE−100,TE−20
0、コニシ社製のボンドKU661/662、サンスタ
ー技研社製のペンギンセメント♯990A、東亜合成社
製のアロンメルトR−2030等が好ましく用いられ
る。
【0064】上記本発明に係る接着剤において、好まし
く用いられるものは、エポキシ系接着剤であり、その中
で特に好ましくは、セメダイン社製EP−330,EP
−331である。
【0065】また、本発明に係る接着剤をインクジェッ
トヘッドの構成部材に塗布し、接合したときの接着層の
乾燥膜厚は、100μm以下であることが好ましく、さ
らに10μm以下であることが好ましい。
【0066】また、本発明に係る接着剤をインクジェッ
トヘッドの構成部材に塗布する方法としては、周知の方
法を用いることが出きるが、膜厚を精度良くコントロー
ルするには、ディスペンサ法、スクリーン法あるいはロ
ール転写法が好ましい。
【0067】
【実施例】(実施例1)図1に示したインクジェットヘ
ッドにおいて、図2に示した圧電性セラミックス基体1
と蓋部材2との接着部を、下記表1に示す仕様としたも
ので接着工程を行い、作製した。
【0068】
【表1】
【0069】上記作製したインクジェットヘッドをイン
クジェットプリンタ(オリンパス社製PJ5400)に
装着し、油系インクを用いて、連続印字試験を行ったと
ころ、比較のインクジェットヘッドでは、100時間以
内にノズル詰まりやインク漏れにより不射出ノズルが発
生し、白スジ、画像欠けが現れたが、本発明のインクジ
ェットヘッドでは、300時間以上でも全ノズルが安定
に出射し、優れた効果を奏したことがわかる。
【0070】
【発明の効果】油系インクで膨潤せず、圧電性素子の圧
電性に影響を与えない温度で硬化でき、且つ、塗布膜厚
のコントロールも容易に行える接着剤を使用したインク
ジェットヘッド及び該インクジェットヘッドの製造方法
を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるインクジェットヘ
ッドの断面模式図である。
【図2】図1で示したインクチャンバの拡大模式図であ
る。
【符号の説明】
1 圧電性セラミックス基体 2 蓋部材 5 インク流路 10 カバー 20 マニホールド 25 フィルタ 30 インクチューブ 40 FPC 45 駆動IC 50 ノズルプレート D インク滴 〜 接着部

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油系インク用のインクジェットヘッドで
    あって、前記インクジェットヘッドの構成部材の接着部
    の少なくとも一部に使用される接着剤が、下記条件1を
    満たすエポキシ系接着剤またはウレタン系接着剤である
    ことを特徴とするインクジェットヘッド。 (条件1)粘度;30〜500Pa・S 硬化温度;120℃以下 吸油率;5%以下
  2. 【請求項2】 前記エポキシ系接着剤またはウレタン系
    接着剤が、さらに下記条件2を満たすことを特徴とする
    請求項1に記載のインクジェットヘッド。 (条件2)熱膨張率;100ppm以下
  3. 【請求項3】 前記接着剤がエポキシ系接着剤であるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェッ
    トヘッド。
  4. 【請求項4】 前記接着剤による接着部の乾燥膜厚が、
    100μm以下であることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 前記インクジェットヘッドが、圧電性セ
    ラミックスのせん断変形により前記インクを吐出するせ
    ん断変形型であることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れか1項に記載のインクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 前記圧電性セラミックスが、PZTから
    なることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット
    ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記接着剤による接着部が、前記圧電性
    セラミックスを接着面としていることを特徴とする請求
    項5または6に記載のインクジェットヘッド。
  8. 【請求項8】 油系インク用のインクジェットヘッドの
    製造方法であって、前記インクジェットヘッドの構成部
    材の接着部の少なくとも一部に使用する接着剤を、下記
    条件1を満たすエポキシ系接着剤またはウレタン系接着
    剤とすることを特徴とするインクジェットヘッドの製造
    方法。 (条件1)粘度;30〜500Pa・S 硬化温度;120℃以下 吸油率;5%以下
  9. 【請求項9】 前記エポキシ系接着剤またはウレタン系
    接着剤が、さらに下記条件2を満たすことを特徴とする
    請求項8に記載のインクジェットヘッドの製造方法。 (条件2)熱膨張率;100ppm以下
  10. 【請求項10】 前記接着剤をエポキシ系接着剤とする
    ことを特徴とする請求項8または9に記載のインクジェ
    ットヘッドの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記接着剤による接着部の乾燥膜厚
    を、100μm以下とすることを特徴とする請求項8〜
    10のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドの製
    造方法。
  12. 【請求項12】 前記インクジェットヘッドが、圧電性
    セラミックスのせん断変形により前記インクを吐出する
    せん断変形型であることを特徴とする請求項8〜11の
    いずれか1項に記載のインクジェットヘッドの製造方
    法。
  13. 【請求項13】 前記圧電性セラミックスが、PZTか
    らなることを特徴とする請求項12に記載のインクジェ
    ットヘッドの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記接着剤による接着部が、前記圧電
    性セラミックスを接着面としていることを特徴とする請
    求項12または13に記載のインクジェットヘッドの製
    造方法。
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