JP2001301072A - 繊維強化複合材料製リング及びその製造方法 - Google Patents

繊維強化複合材料製リング及びその製造方法

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JP2001301072A
JP2001301072A JP2000119832A JP2000119832A JP2001301072A JP 2001301072 A JP2001301072 A JP 2001301072A JP 2000119832 A JP2000119832 A JP 2000119832A JP 2000119832 A JP2000119832 A JP 2000119832A JP 2001301072 A JP2001301072 A JP 2001301072A
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Akira Fukushima
明 福島
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  • Laminated Bodies (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】安価で複合化成形時の繊維損傷が少なく、繊維
体積率の制御又は傾斜化が容易な繊維強化複合材料製リ
ング又はドラムを提供する。 【解決手段】プリフォームを複合化成形して形成される
繊維強化複合材料製リングにおいて、プリフォームは、
円筒ドラムと、円筒ドラムの外周部に巻き付けられた連
続繊維に、マトリックス金属を溶射して形成したマトリ
ックス金属層を有することを特徴とする。本発明によれ
ば、円筒ドラムの外周に巻き付けられた連続繊維に溶融
したマトリックス金属を溶射するので、マトリックス金
属を連続繊維の間に高密度で充填することができる。こ
のため、複合化成形時のプリフォームの変形量を非常に
小さくすることができ、連続繊維の損傷を防止して複合
材料製リングの機械的強度を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高比強度と高比剛
性を有する繊維強化複合材料製リング又はドラム及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】航空宇宙用ガスタービンエンジンの回転
部品には、軽量で大きな強度と剛性を有する材料が必要
であり、高い比強度と比剛性を有する連続繊維強化チタ
ン基複合材料が使用される。
【0003】ここに複合材料とは、2種類以上の比較的
小さな素材が、物理的・化学的に分離した状態で共存す
ることによって、それぞれの素材の長所を強め、もとの
素材にない新しい特性を引き出すことができるものをい
う。この場合、ベースとなる材料をマトリックス(matr
ix)、基材、母材などという。
【0004】また、連続繊維強化チタン基複合材料と
は、軽量で大きな強度を有し耐食性に優れるチタン(T
i)をマトリックスとし、その中に炭化ケイ素(Si
C)又はアルミナ等の連続繊維を強化材として分散さ
せ、その機械的強度を強化したものである。
【0005】また、比強度とは、材料の引っ張り強さ、
圧縮強さ等の機械的強度をその比重もしくは密度で除し
た値を言い、比剛性とは、材料の弾性定数をその比重も
しくは密度で除した値を言う。比強度又は比剛性は、種
々の材料の強さ又は剛性を、同じ重量当たりについて比
較するときに用いられる。
【0006】図10は、航空宇宙用ガスタービンエンジ
ンおよび複合材料製リングの概略図である。航空宇宙用
ガスタービンエンジンは、図10(1)に示すように、
高速回転して外部の空気を取り入れるファン・ブレード
52及びファン・リング51と、高速回転して取り入れた空
気を圧縮するコンプレッサ・ブレード54及びコンプレッ
サ・リング53と、燃焼ガスにより高速の回転動力を得る
タービン・ブレード56及びタービン・リング55とを有す
る。これらのブレード及びリングは、高圧のもとで高速
回転するため、高比強度及び高比剛性を有する複合材料
で形成される。
【0007】図10(2)は、複合材料製リングの一般
的な形状である。複合材料製リング60は、通常、回転軸
に取り付けられるため、例えば、内径φ1=600mm、外
径φ3=650mm、長さL=100mm等の筒状に形成される。
なお、ブレード付きリングの場合は、この筒の外面に高
さ50〜100mm程度のブレードが取り付けられる。
【0008】図11は、従来の製造方法により複合材料
製リングを製造する場合の説明図である。この製造方法
は、チタン合金をコーティングした連続繊維(ワイヤプ
リフォーム)を、リングの形状に巻き付けて複合化する
ものである。
【0009】ワイヤプリフォーム63の断面を図11
(1)に示す。ワイヤプリフォーム63は、例えば、直径
140μm程度の炭化ケイ素繊維62の表面に、チタン合金6
1を真空蒸着等の物理的蒸着法によりコーティングした
ものである。
【0010】このワイヤプリフォーム63がリングの形状
に巻き付けられ、図11(2)に示すようなプリフォー
ム20が形成される。即ち、プリフォーム20は、ワイヤプ
リフォーム63が、内径φ1、外径φ2、長さLのチタン
合金製ドラム64に、外径がリングの外径φ3になるよう
に巻き付けられたものである。
【0011】このプリフォーム20が、ホットプレスもし
くは熱間静水圧加圧成形(HIP、Hot Isostatic Pres
sing)により複合化され、図10(2)に示したリング
60が形成される。
【0012】図12は、従来の他の製造方法により複合
材料製リングを製造する場合の説明図である。この製造
方法は、スパイラル状の連続繊維(スパイラル状プリフ
ォーム)を、チタン合金薄膜と重ね合わせて複合化する
ものである。
【0013】図12(1)は、スパイラル状プリフォー
ム66の平面図である。スパイラル状プリフォーム66は、
炭化ケイ素繊維62がリングの断面形状に合わせて内径φ
1、外径φ3になるようにスパイラル状に巻かれ、その
形状を保持するように半径方向に金属糸65を編み込んだ
ものである。
【0014】図12(2)は、チタン合金マトリックス
金属箔67の平面図である。チタン合金マトリックス金属
箔67もリングの断面形状に合わせて内径φ0、外径φ4
に形成される。ただし、複合化した場合にチタン合金が
炭化ケイ素繊維62の全体を覆うように、内径φ0はφ1
よりわずかに小さく、外径φ4はφ3よりわずかに大き
く形成される。
【0015】図12(3)は、スパイラル状プリフォー
ム66とチタン合金マトリックス金属箔67を交互に重ね合
わせ、リング60の長さLになるように積層したプリフォ
ーム20の側面図である。このプリフォーム20が、ホット
プレスもしくは熱間静水圧加圧成形により複合化され、
図10(2)に示したリング60が形成される。
【0016】図13は、従来の他の製造方法により複合
材料製リングを製造する場合の説明図である。この製造
方法は、チタン合金を溶射してスパイラル状に形成した
連続繊維(溶射プリフォーム)を、チタン合金薄膜と重
ね合わせて複合化するものである。
【0017】図13(1)は、溶射プリフォーム69の平
面図である。溶射プリフォーム69は、炭化ケイ素繊維62
がリングの断面形状に合わせて内径φ1、外径φ3にな
るようにスパイラル状に巻かれ、半径方向の所定の個所
にチタン合金を溶射して固定部分68を形成したものであ
る。
【0018】図13(2)は、図12(2)と同様のチ
タン合金マトリックス金属箔67の平面図である。また、
図13(3)は、溶射プリフォーム69とチタン合金マト
リックス金属箔67を交互に重ね合わせ、リング60の長さ
Lになるように積層したプリフォーム20の側面図であ
る。このプリフォーム20が、ホットプレスもしくは熱間
静水圧加圧成形により複合化され、図10(2)に示し
たリング60が形成される。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の繊
維強化複合材料製リングは、ワイヤプリフォーム63、ス
パイラル状プリフォーム66、又は溶射プリフォーム69
を、リングの形状に成形し複合化することにより製造さ
れる。
【0020】しかしながら、ワイヤプリフォーム63の製
造には、長時間の真空蒸着プロセスが必要であり、その
製造コストは高価なものとなる。また、スパイラル状プ
リフォーム63の製造には、金属糸65を編み込む手間のか
かるプロセスが必要であり、溶射プリフォーム69の製造
には、マトリックス金属を部分的に溶射する手間のかか
るプロセスが必要で、それぞれの製造コストを低下させ
ることができない。
【0021】また、航空宇宙用ガスタービンエンジンに
使用されるリング又はドラムは、高速回転が必要なた
め、半径方向の厚さに対して軸方向の長さLが比較的長
い形状となる。このため、スパイラル状プリフォーム66
又は溶射プリフォーム69を積層してプリフォーム20を形
成する場合は、その積層数が極めて多くなり、その製造
コストを低下させることができない。
【0022】また前述のように、繊維強化複合材料製リ
ングは、リングの形状に成形したプリフォーム20をホッ
トプレスもしくは熱間静水圧加圧成形により複合化して
製造される。しかしながら、従来の製造方法では、複合
化前のプリフォーム20のマトリックス充填密度が約70
%と低いため、複合化成形時のプリフォーム20の変形量
が大きく、連続繊維の破損又は損傷を生じ易い。このこ
とは、リングの機械的強度を低下させる原因になる。
【0023】一方、航空宇宙用ガスタービンエンジンに
使用されるリング又はドラムは、高圧のもとで高速回転
するため、回転軸と接するリング又はドラムの内面にお
いて最大応力が発生する。このため、繊維強化複合材料
製リングの内面においてプリフォーム20の繊維体積率V
fを高くして、機械的強度を増強することが望まれる。
【0024】しかしながら、従来の製造方法において
は、プリフォーム20の繊維体積率Vfを制御又は傾斜化
することが難しいため、リング又はドラムの内面におけ
る機械的強度を増強することは極めて困難である。
【0025】そこで、本発明の目的は、製造コストを低
下させることができ、複合化成形時の繊維損傷が少ない
繊維強化複合材料製リング又はドラム及びその製造方法
を提供することにある。
【0026】また、本発明の他の目的は、繊維体積率の
制御又は傾斜化が容易な繊維強化複合材料製リング又は
ドラム及びその製造方法を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の一つの側面は、プリフォームを複合化成
形して形成される繊維強化複合材料製リングにおいて、
プリフォームは、円筒ドラムと、円筒ドラムの外周部に
巻き付けられた連続繊維に、マトリックス金属を溶射し
て形成したマトリックス金属層を有することを特徴とす
る。
【0028】本発明によれば、円筒ドラムの外周に巻き
付けられた連続繊維に溶融したマトリックス金属を溶射
するので、マトリックス金属を連続繊維の間に高密度で
充填することができる。このため、複合化成形時のプリ
フォームの変形量を非常に小さくすることができ、連続
繊維の損傷を防止して複合材料製リングの機械的強度を
向上させることができる。
【0029】また、航空宇宙用ガスタービンエンジンに
使用される複合材料製リングのように軸方向の長さが比
較的長い場合に、溶射プロセスの作業効率を高めること
ができ、その製造コストを大幅に低下させることができ
る。
【0030】また、上記の発明の好ましい態様として、
マトリックス金属層は、所定のピッチで巻き付けられた
連続繊維に、マトリックス金属を所定の厚さに溶射して
形成した薄膜層を複数層有することを特徴とする。
【0031】更に、上記の発明の好ましい態様として、
薄膜層の所定のピッチ、及び又は、所定の厚さは、複数
の薄膜層の層毎に異なることを特徴とする。
【0032】本発明によれば、薄膜層の連続繊維のピッ
チ又は薄膜層の厚さを、複数の薄膜層の層毎に異ならせ
ることにより、複合材料製リングの繊維体積率を容易に
制御又は傾斜化することができ、複合材料製リングの半
径方向の機械的強度を容易に制御することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形
態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0034】図1乃至図8は、本発明の実施の形態によ
る複合材料製リングの製造方法の説明図である。また、
図9は、本発明の実施の形態による複合材料製リングの
製造方法のフローチャートである。図1乃至図9により
本発明の実施の形態による複合材料製リングの製造方法
について説明する。
【0035】本実施の形態の製造方法により、例えば、
チタン合金をマトリックスとする連続繊維強化チタン基
複合材料製リングを製造する場合、まず、図1(1)の
斜視図又は図1(2)の断面図に示すようなチタン合金
製ドラム1を用意する(ステップS1)。チタン合金製
ドラム1は、取り付けられる回転軸に合わせて内径φ
1、外径φ2、長さLが設定される。
【0036】次に、図2(1)に示すように、チタン合
金製ドラム1を矢印21の方向に回転させ、チタン合金製
ドラム1の外周部に1層目の炭化ケイ素繊維2を巻き付
ける。この場合、炭化ケイ素繊維2は、図2(2)に示
すように、ピッチp1で巻き付けられる(ステップS
2)。
【0037】なお、炭化ケイ素繊維2は、炭化ケイ素
(SiC)を主成分とする繊維で、例えば、約33μm径
のカーボン繊維上に化学的蒸着法により炭化ケイ素をコ
ーティングして約140μm径とし、さらにカーボンをコ
ーティングして約143μm径としたものである。あるい
はポリカルボシランを原料として約10〜20μm径の繊維
とし、焼成により製造してもよい。
【0038】次に、図3(1)に示すように、1層目の
炭化ケイ素繊維2を巻き付けたチタン合金製ドラム1を
矢印22の方向に回転し、溶射トーチ3からチタン合金の
溶射炎4を吹き付ける。この結果、図3(2)に示すよ
うに、1層目の炭化ケイ素繊維2を覆うようにチタン合
金溶射皮膜5が形成される(ステップS3)。
【0039】この場合、溶射炎4は、アセチレン又はプ
ロパンが燃焼する高温炎の中に、溶射原料のチタン合金
粉末を一定の割合で送り込んで生成する。チタン合金粉
末は、融点の1700℃程度まで加熱されて溶融し、圧縮空
気によりチタン合金製ドラム1の表面に吹き付けられ
る。
【0040】このように本実施の形態の製造方法では、
炭化ケイ素繊維2の表面に溶融したチタン合金を溶射す
るので、チタン合金を炭化ケイ素繊維2の間に高密度で
充填することができる。また、チタン合金の充填密度は
90%以上になり、複合化成形時のプリフォーム20の変
形量は非常に小さい。このため、炭化ケイ素繊維2の損
傷を防止でき、複合材料製リングの機械的強度を向上さ
せることができる。
【0041】また、航空宇宙用ガスタービンエンジンに
使用される複合材料製リングのように、軸方向の長さL
が比較的長い場合に、溶射プロセスの作業効率を高める
ことができ、その製造コストを大幅に低下させることが
できる。
【0042】次に、図4(1)に示すように、チタン合
金溶射皮膜5が形成されたチタン合金製ドラム1を矢印
23の方向に回転し、グラインダ6によりチタン合金溶射
皮膜5の表面を研削する。そして、図4(2)に示すよ
うに、1層目のチタン合金溶射皮膜5を厚さd1に設定
する(ステップS4)。
【0043】次に、図5(1)に示すように、チタン合
金製ドラム1を矢印24の方向に回転させ、1層目のチタ
ン合金溶射皮膜5の外側に2層目の炭化ケイ素繊維2を
巻き付ける。この場合、2層目の炭化ケイ素繊維2は、
図5(2)に示すように、ピッチp2で巻き付けられる
(ステップS5)。
【0044】このように本実施の形態の製造方法では、
炭化ケイ素繊維2の1層目のピッチp1と2層目のピッ
チp2を異ならせて、複合材料製リングの繊維体積率V
fを容易に制御又は傾斜化することができる。このた
め、1層目のピッチp1を小さくして繊維体積率Vfを
大きくし、複合材料製リングの内面における機械的強度
を高めることができる。
【0045】次に、図6(1)に示すように、2層目の
炭化ケイ素繊維2を巻き付けたチタン合金製ドラム1を
矢印25の方向に回転しながら、溶射トーチ3からチタン
合金の溶射炎4を吹き付ける。この結果、図6(2)に
示すように、1層目のチタン合金溶射皮膜5の上に2層
目のチタン合金溶射皮膜5が形成される(ステップS
6)。
【0046】次に、図7(1)に示すように、2層目の
チタン合金溶射皮膜5を生成したチタン合金製ドラム1
を矢印26の方向に回転し、グラインダ6により2層目の
チタン合金溶射皮膜5の表面を研削する。そして、図7
(2)に示すように、2層目のチタン合金溶射皮膜5の
厚さd2を調整して、外径φ3のプリフォーム20を形成
する(ステップS7)。
【0047】このように本実施の形態の製造方法によれ
ば、炭化ケイ素繊維2を巻き付けるピッチ(p1、p
2)、又はチタン合金溶射皮膜5の厚さ(d1、d2)
の一方、又は両方を制御することにより、プリフォーム
20の繊維体積率Vfを容易に制御又は傾斜化することが
でき、複合材料製リングの半径方向の機械的強度を容易
に制御することができる。
【0048】従って、大きな応力が発生するリングの内
側の繊維体積率Vfを大きくして、リングの内側の機械
的強度を大きくすることができる。また、応力が比較的
小さいリングの外側の繊維体積率Vfを小さくすること
により、リングの製造が容易になると共に、炭化ケイ素
繊維2の量を少なくすることができ、複合材料製リング
の価格を低下させることができる。
【0049】次に、図8(1)に示すように、2層のチ
タン合金溶射皮膜5が形成されたプリフォーム20を、金
属カプセル7の中に挿入して加熱する。金属カプセル7
は、図示しない真空装置に接続されており、真空脱ガス
排気口8を通して真空引きされ、真空封止される(ステ
ップS8)。
【0050】このように本実施の形態の製造方法では、
複合化成形する前に、金属カプセル7を加熱して真空引
きするので、金属カプセル7内部でのガスの発生を防止
でき、不純物の少ない環境下で複合化成形を行うことが
できる。
【0051】次に、図8(2)に示すように、ホットプ
レスもしくは熱間静水圧加圧成形により矢印27の方向に
加圧して複合化成形を行う(ステップS9)。複合化成
形は、プリフォーム20を高温状態で加圧することによ
り、溶射したチタン合金中の空隙を消滅させ、炭化ケイ
素繊維20とチタン合金を一体化するもので、例えば、金
属カプセル7内の温度を約800℃とし、その温度を2時
間程度保持することにより行われる。
【0052】なお、上記の実施の形態では、炭化ケイ素
繊維2が2層のプリフォーム20について説明したが、本
発明の製造方法によれば、炭化ケイ素繊維2の巻き付け
とチタン合金の溶射を繰り返すことにより、更に多層の
プリフォームを容易に製造することができる。
【0053】このような多層のプリフォームによれば、
各層の厚さ及び各層における炭化ケイ素繊維2の巻き付
けピッチを調整することができるので、複合材料製リン
グの半径方向の機械的強度を任意に制御することができ
ると共に、発生応力に対応した機械的強度を有する複合
材料製リングを低価格で製造することができる。
【0054】また、大きな応力が発生するリングの内側
だけを炭化ケイ素繊維2により複合化することも容易に
なり、必要な機械的強度を有する複合材料製リングを低
価格で製造することができる。
【0055】本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に
限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均
等物に及ぶものである。
【0056】
【発明の効果】以上、本発明によれば、円筒ドラムの外
周に巻き付けられた連続繊維に溶融したマトリックス金
属を溶射するので、マトリックス金属を連続繊維の間に
高密度で充填することができる。このため、複合化成形
時のプリフォームの変形量を非常に小さくすることがで
き、連続繊維の損傷を防止して複合材料製リングの機械
的強度を向上させることができる。
【0057】また、航空宇宙用ガスタービンエンジンに
使用される複合材料製リングのように軸方向の長さが比
較的長い場合に、溶射プロセスの作業効率を高めること
ができ、その製造コストを大幅に低下させることができ
る。
【0058】また、マトリックス金属の薄膜層における
連続繊維のピッチ、又はマトリックス金属の薄膜層の厚
さを、複数の薄膜層の層毎に異ならせることにより、プ
リフォームの繊維体積率を容易に制御又は傾斜化するこ
とができ、複合材料製リングの半径方向の機械的強度を
容易に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるリングの製造方法の
説明図(A)である。
【図2】本発明の実施の形態によるリングの製造方法の
説明図(B)である。
【図3】本発明の実施の形態によるリングの製造方法の
説明図(C)である。
【図4】本発明の実施の形態によるリングの製造方法の
説明図(D)である。
【図5】本発明の実施の形態によるリングの製造方法の
説明図(E)である。
【図6】本発明の実施の形態によるリングの製造方法の
説明図(F)である。
【図7】本発明の実施の形態によるリングの製造方法の
説明図(G)である。
【図8】本発明の実施の形態によるリングの製造方法の
説明図(H)である。
【図9】本発明の実施の形態によるリングの製造方法の
フローチャートである。
【図10】ガスタービンエンジンおよび複合材料製リン
グの概略図である。
【図11】ワイヤプリフォームによるリングの製造方法
の説明図である。
【図12】スパイラル状プリフォームによるリングの製
造方法の説明図である。
【図13】溶射プリフォームによるリングの製造方法の
説明図である。
【符号の説明】
1 チタン合金製ドラム 2 炭化ケイ素繊維 3 溶射トーチ 4 溶射炎 5 チタン合金溶射皮膜 6 グラインダ 7 金属カプセル 8 真空脱ガス排気口 20 プリフォーム 63 ワイヤプリフォーム 65 金属糸 66 スパイラル状プリフォーム 69 溶射プリフォーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F01D 5/02 F01D 5/02 5/28 5/28 Fターム(参考) 3G002 AA02 AA11 AA12 AA13 AB00 EA06 EA08 EA09 4F100 AB01A AB12A AB12C AB12E AB31A AB31C AB31E AD08B AD08D BA05 BA07 BA10A BA10E DA11 DG04B DG04D DH00B EG002 EH51B EH51D EH512 EH56C EH56E EH562 EJ272 GB31 JK01 JL02 JM02C JM02E 4K020 AA08 AC03 BA02 BB12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プリフォームを複合化成形して形成される
    繊維強化複合材料製リングにおいて、 該プリフォームは、円筒ドラムと、 該円筒ドラムの外周部に巻き付けられた連続繊維に、マ
    トリックス金属を溶射して形成したマトリックス金属層
    を有することを特徴とする繊維強化複合材料製リング。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記マトリックス金属層は、所定のピッチで巻き付けら
    れた前記連続繊維に、前記マトリックス金属を所定の厚
    さに溶射して形成した薄膜層を複数層有することを特徴
    とする繊維強化複合材料製リング。
  3. 【請求項3】請求項2において、 前記所定のピッチ、及び又は、前記所定の厚さは、前記
    複数の薄膜層の層毎に異なることを特徴とする繊維強化
    複合材料製リング。
  4. 【請求項4】プリフォームを複合化成形する繊維強化複
    合材料製リングの製造方法において、 該プリフォームは、円筒ドラムの外周部に連続繊維を巻
    き付ける第1の工程と、 巻き付けられた該連続繊維にマトリックス金属を溶射し
    て該マトリックス金属の薄膜層を形成する第2の工程
    と、 該第1及び第2の工程を複数回繰り返し、該薄膜層を複
    数層形成する第3の工程とにより形成されることを特徴
    とする繊維強化複合材料製リングの製造方法。
  5. 【請求項5】請求項4において、 前記薄膜層における前記連続繊維の巻き付けピッチ、及
    び又は、前記薄膜層の厚さは、前記複数の薄膜層の層毎
    に異ならしめることを特徴とする繊維強化複合材料製リ
    ングの製造方法。
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