JP2001300287A - パーフルオロカーボン乳化製剤 - Google Patents

パーフルオロカーボン乳化製剤

Info

Publication number
JP2001300287A
JP2001300287A JP2000119191A JP2000119191A JP2001300287A JP 2001300287 A JP2001300287 A JP 2001300287A JP 2000119191 A JP2000119191 A JP 2000119191A JP 2000119191 A JP2000119191 A JP 2000119191A JP 2001300287 A JP2001300287 A JP 2001300287A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
perfluorocarbon
polyethylene glycol
phospholipid
glycol chain
emulsified
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000119191A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichi Saito
晃一 齋藤
Shoji Fukushima
昭二 福島
Satoru Tokuyama
悟 徳山
Yoshikazu Takeuchi
由和 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOF Corp filed Critical NOF Corp
Priority to JP2000119191A priority Critical patent/JP2001300287A/ja
Publication of JP2001300287A publication Critical patent/JP2001300287A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 微細粒子からなり、安定性に優れたパー
フルオロカーボン乳化製剤を提供する。 【解決手段】 パーフルオロカーボン化合物(A)10
〜80重量%、医学的に許容される乳化剤(B)0.1
〜10重量%、および水相成分(C)からなるパーフル
オロカーボン乳化製剤において、上記医学的に許容され
る乳化剤(B)が、ポリエチレングリコール鎖を有する
リン脂質を0.1〜30重量%含有することを特徴とす
るパーフルオロカーボン乳化製剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パーフルオロカー
ボン乳化製剤に関する。さらに詳しくは、パーフルオロ
カーボン化合物、乳化剤、および水相成分からなり、酸
素運搬体、臓器保存液、あるいは造影剤として有用なパ
ーフルオロカーボン乳化製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】パーフルオロカーボン化合物は、化学的
に不活性であるにもかかわらず、大量の酸素を溶解し運
搬できることから、酸素運搬体や臓器保存液、あるいは
超音波やX線などの物理療法の造影剤等の有効成分とし
て期待されている。これらの医学的用途においては、上
記のパーフルオロカーボン化合物を安定に微粒子化する
ことが必要であり、このため一般には乳化製剤として調
製される。このようなパーフルオロカーボン乳化製剤と
しては、例えば、「Fluosol DA20%」(ミドリ十字
(株))が広く知られている。これは、2種類のパーフ
ルオロカーボン化合物、すなわちパーフルオロデカリン
とパーフルオロトリプロピルアミンを、2種類の界面活
性剤、すなわち卵黄リン脂質とポリオキシエチレンポリ
オキシプロピレングリコール(Pluronic F-68 、BASF
社)の混合物を用いて水中に乳化分散させた製剤であ
る。しかし、この乳化製剤は液体状態で不安定である点
から、医学的用途に用いるには問題があった。また、こ
れらのパーフルオロカーボン化合物は強い撥水性を有し
ていることから、水中に安定に乳化分散させることが非
常に困難である。従って、安定な乳化製剤を調製するた
めにこれまで多くの研究がなされてきた。例えば、特公
平1−21812号公報や特開平3−72423号公報
には、パーフルオロカーボン化合物として、環状のパー
フルオロ含窒素化合物を用いた乳化製剤が示されてい
る。これらは、有効成分として特定のパーフルオロカー
ボン含窒素化合物を採用することによって、一般的な組
成で安定性の高い乳化製剤を得ようとするものであった
が、これを安定に保存するためには4℃の低温で保管す
る必要があった。また、特開平4−154718号公報
には、パーフルオロカーボン、リン脂質及び水性溶媒か
らなり、この三者を用いて乳化してなる組成物と高分子
非イオン系界面活性剤含有液を混合してなるパーフルオ
ロカーボン乳化製剤が示されている。これは、パーフル
オロカーボン、リン脂質及び水性溶媒からなる乳化組成
物を、さらにポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
グリコール等の高分子非イオン系界面活性剤を含有する
液と混合することにより安定性の高い乳化製剤を得よう
とするものであったが、やはり長期安定性の面で十分で
あるとは言い難い。さらに、特公平8−22815号公
報には、パーフルオロカーボン化合物、油、界面活性剤
及び水からなる乳化製剤が示されている。これは、パー
フルオロカーボン化合物を油中に分散し、その混合物を
界面活性剤によって水中に乳化したものであるが、実質
的にパーフルオロカーボン化合物は撥油性のため油と混
和されにくく、しかもほとんどの場合パーフルオロカー
ボン化合物は油より比重が大きいため、やはり安定性の
面で不十分であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従
来公知の方法はいずれも、医薬用乳化製剤、特に静脈投
与される場合が想定される製剤としては、粒子径や安定
性の面で不十分であり、実用的ではなかった。特に医学
的用途においては、乳化製剤はろ過滅菌が困難なことか
ら可能な限り加熱滅菌することが求められるが、通常の
保存安定性はもちろんのこと、加熱滅菌を受けてもなお
安定性が維持されるパーフルオロカーボン乳化製剤を調
製することは極めて困難であった。とりわけ、パーフル
オロ炭化水素は、酸素運搬性や生体内での半減期の面で
優れているにもかかわらず、その分子構造や極性などに
起因して、微細で安定な乳化製剤を調製することが困難
であったことから、パーフルオロ炭化水素のみを有効成
分として選択した場合において、微細で安定性に優れた
乳化製剤を調製する方法が熱望されていた。本発明は、
上記の課題を解決しようとするものである。すなわち、
本発明の目的は、微細粒子からなり、安定性に優れたパ
ーフルオロカーボン乳化製剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意検討した結果、パーフルオロカ
ーボン化合物、乳化剤および水相成分からなるパーフル
オロカーボン乳化製剤において、上記乳化剤中にポリエ
チレングリコール鎖を有するリン脂質を特定量配合する
ことにより、安定性に優れた乳化製剤を調製できること
を見出し、本発明を完成させるに至った。ポリエチレン
グリコール鎖を導入したリン脂質については、従来、薬
物の血中運搬体として使用される注射用脂肪乳化製剤等
に配合することにより、それらが細網内皮系に取り込ま
れることを妨げ、薬物運搬体としての血中滞留性を高め
る作用を有していることが知られていた(特開平8−1
98777号公報)。
【0005】しかしこれらの技術は、油溶性の薬物を脂
肪油に溶解して乳化製剤等とし、それを薬物運搬体とし
て血中に投与した場合に、蛋白性の血中酵素が作用し、
運搬体が細網内皮系に取り込まれて代謝されるのを抑制
し、薬物の放出を遅延させることを目的としたものであ
り、乳化製剤としての物理的安定性の向上を目的とした
ものではなかった。それに対して、本発明は、造影剤や
人工酸素運搬体としての機能が期待されるものの、その
強い撥油性と撥水性のために従来用いられてきた乳化剤
のみでは安定な乳化製剤を得ることが困難であったパー
フルオロカーボン化合物に対して、ポリエチレングリコ
ール鎖を有するリン脂質を特定量配合することにより、
物理的安定性に優れた乳化製剤を調製できることを見出
したものである。
【0006】即ち、本発明は以下の通りである。 (1)パーフルオロカーボン化合物(A)10〜80重
量%、医学的に許容される乳化剤(B)0.1〜10重
量%、および水相成分(C)からなるパーフルオロカー
ボン乳化製剤において、上記医学的に許容される乳化剤
(B)が、ポリエチレングリコール鎖を有するリン脂質
を0.1〜30重量%含有することを特徴とするパーフ
ルオロカーボン乳化製剤、(2)ポリエチレングリコー
ル鎖を有するリン脂質中のポリエチレングリコール鎖の
分子量が400〜20000である上記(1)記載のパ
ーフルオロカーボン乳化製剤、および(3)ポリエチレ
ングリコール鎖を有するリン脂質が、ポリエチレングリ
コール鎖を有するホスファチジルエタノールアミンであ
る上記(1)又は(2)に記載のパーフルオロカーボン
乳化製剤。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のパーフルオロカーボン乳化製剤に使用される
(A)成分であるパーフルオロカーボン化合物は、本発
明の目的に応じて、酸素運搬能を有し、かつ生体に対し
て有害反応が低いものの中から適宜選択することができ
る。このようなパーフルオロカーボン化合物としては、
例えば、パーフルオロ炭化水素類やパーフルオロアルキ
ルアミン類、パーフルオロアルキルブロマイド等が挙げ
られる。本発明においては、乳化剤としてっ後述のポリ
エチレングリコール鎖を有するリン脂質を用いることに
より、安定性に優れたパーフルオロカーボン乳化製剤を
得ることができるため、パーフルオロカーボン化合物の
中でも比較的極性が高く乳化しやすいパーフルオロアル
キルアミン類はもちろんのこと、従来の技術では安定な
乳化が困難であった極性の低いパーフルオロカーボン化
合物を用いた場合でも安定性に優れた乳化製剤とするこ
とができる。
【0008】したがって、本発明における(A)成分の
パーフルオロカーボン化合物としては、例えば、パーフ
ルオロシクロヘキサンなどのパーフルオロシクロアルカ
ン、パーフルオロトリメチルシクロヘキサン、パーフル
オロイソプロピルシクロヘキサンなどのパーフルオロア
ルキルシクロアルカン、パーフルオロメチルデカリンな
どのパーフルオロアルキルデカリン、パーフルオロデカ
リン、パーフルオロアルカン等の生体内の半減期が短
い、安全性に優れた化合物から、1種または2 種以上を
組み合わせて使用すればよい。上記パーフルオロカーボ
ン化合物の含有量は、乳化製剤中、10〜80重量%、
好ましくは20〜70重量%の範囲内となるように調整
される。当該含有量が80重量%を超えると、最終的に
調製される乳化製剤の粘度が高まることに加え、その安
定性が低くなる恐れがあり、逆に10重量%未満である
と、乳化製剤の酸素運搬能が低下し、好ましくない。
【0009】本発明のパーフルオロカーボン乳化製剤に
おいては、乳化剤(B成分)中に、ポリエチレングリコ
ール鎖を有するリン脂質を特定量配合することにより、
安定性に優れたパーフルオロカーボン乳化製剤を調製す
ることができる。本発明において、ポリエチレングリコ
ール鎖を有するリン脂質(以下、PEG化リン脂質とい
う)とは、ポリエチレングリコールがリン脂質の親水基
に結合した構造を有しているものであり、ポリエチレン
グリコール鎖のリン脂質と結合していない側の末端は、
水酸基のままでも、またはメチル基やエチル基等により
末端水酸基が修飾されていてもよい。上記PEG化リン
脂質において、ポリエチレングリコール鎖を導入するリ
ン脂質としては、ホスファチジン酸やホスファチジルエ
タノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジ
ルグリセロールなど、リン脂質であれば特に限定されな
いが、ポリエチレングリコール鎖の導入が比較的容易で
あり、しかも導入後の加水分解度が低いものが望まし
く、この点でホスファチジルエタノールアミンが好まし
く選択される(以下、ポリエチレングリコール鎖を有す
るホスファチジルエタノールアミンを「PEG化ホスフ
ァチジルエタノールアミン」という)。
【0010】本発明において、PEG化ホスファチジル
エタノールアミンは、卵黄リン脂質や大豆リン脂質、も
しくはそれらの水添リン脂質中に含まれるホスファチジ
ルエタノールアミン、または合成リン脂質として調製さ
れるジアシルホスファチジルエタノールアミン等を用い
て、それにポリエチレングリコールやその誘導体を結合
させることにより得ることができる。ホスファチジルエ
タノールアミンとポリエチレングリコールまたはその誘
導体を結合させる方法としては、例えば、塩化シアヌル
を用いる方法、カルボジイミドを用いる方法、グルタル
アルデヒドを用いる方法、カーバメートを用いる方法等
が挙げられる。
【0011】そのうち、カルボジイミドを用いる方法
は、例えば、モノメトキシポリエチレングリコールと無
水コハク酸とを反応させて、モノメトキシポリエチレン
グリコールの片末端にカルボキシル基を導入し、次いで
これとホスファチジルエタノールアミンをカルボジイミ
ド存在下で反応させることにより、アミド結合を介して
ポリエチレングリコールを結合したPEG化ホスファチ
ジルエタノールアミンを調製することができる。また、
カーバメートを用いる方法は、具体的には、モノメトキ
シポリエチレングリコールとカルボニルジイミダゾール
とを反応させて、メトキシポリエチレングリコールのイ
ミダゾールカーバメートを得た後、次いでこれとホスフ
ァチジルエタノールアミンをトリエチルアミン存在下で
反応させることにより、ウレタン結合を介してポリエチ
レングリコール鎖を導入したPEG化ホスファチジルエ
タノールアミンを調製することができる。
【0012】本発明において、リン脂質に結合させるポ
リエチレングリコール鎖の分子量は、好ましくは400
〜20000、より好ましくは1000〜10000、
特に好ましくは2000〜8000である。ポリエチレ
ングリコールの分子量が20000を超えると、上記P
EG化リン脂質の水溶性が高くなるため、結果として、
最終的に得られるパーフルオロカーボン乳化製剤の安定
性が低下する恐れがあり、逆に400未満になると、P
EG化リン脂質の添加による安定性向上効果が低くなる
場合がある。また本発明において、ポリエチレングリコ
ール鎖を有するリン脂質の含有量は、乳化剤(B)中、
0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%で
ある。このとき、当該含有量が0.1重量%未満である
と、ポリエチレングリコール鎖を有するリン脂質の添加
効果が得られず、最終的に調製されるパーフルオロカー
ボン乳化製剤の安定性が低下し、結果として乳化製剤が
分離する恐れがあり、逆に含有量が30重量%を超える
と、乳化剤(B)としての水溶性が高くなるため、結果
として最終的に得られるパーフルオロカーボン乳化製剤
の安定性が低下する恐れがあり好ましくない。
【0013】本発明においては、上記のように、乳化剤
(B)中に、ポリエチレングリコール鎖を有するリン脂
質を特定量配合することにより、安定性に優れたパーフ
ルオロカーボン乳化製剤を調製することができるが、ま
た、ポリエチレングリコール鎖を有するリン脂質以外の
乳化剤も含有することができる。このような乳化剤とし
ては、一般に医薬品用途で使用されるリン脂質、または
リン脂質と非イオン系界面活性剤との組み合わせの中か
ら1種または2種以上を選択して用いることができ、特
にリン脂質(ポリエチレングリコール鎖をもたないリン
脂質)が好適に選択される。このようなリン脂質は、上
記のポリエチレングリコール鎖を有するリン脂質と組み
合わせて、乳化剤(B)中、好ましくは10〜100重
量%、さらに好ましくは20〜100重量%の範囲で用
いられる。
【0014】上記(B)成分中に用いられるポリエチレ
ングリコール鎖をもたないリン脂質としては、例えば、
卵黄リン脂質や大豆リン脂質等の天然リン脂質、または
それらの天然リン脂質を水素添加した水素添加リン脂質
の他、炭素数12〜22のアシル基が導入された合成リ
ン脂質等が挙げられる。かかるリン脂質の好適な具体例
としては、卵黄ホスファチジルコリンや大豆ホスファチ
ジルコリンなどの天然リン脂質、水添卵黄ホスファチジ
ルコリンや水添大豆ホスファチジルコリンなどの水添リ
ン脂質、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジミリ
ストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミト
イルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチ
ジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジル
コリン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミ
ン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジオレオイル
ホスファチジルエタノールアミン、1-パルミトイル-2-
オレオイルホスファチジルコリンなどの合成リン脂質等
が挙げられる。その中でも、最終的に得られる乳化製剤
の安定性を考慮すると、天然あるいは合成のホスファチ
ジルコリンを用いるのが好ましく、特に卵黄ホスファチ
ジルコリン、または水添卵黄ホスファチジルコリンが好
ましく選択される。
【0015】また、本発明のパーフルオロカーボン乳化
製剤に使用される(B)成分には、最終的に得られる乳
化製剤の安定性に影響を与えない範囲において、上記の
ポリエチレングリコール鎖を有するリン脂質およびポリ
エチレングリコール鎖をもたない天然あるいは合成リン
脂質の他、種々のアシル基を有するホスファチジン酸、
ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロ
ール、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン等の
ポリエチレングリコールが結合していないリン脂質が含
まれていてもよく、さらには最終的に得られる乳化製剤
の安定性と溶血性に影響しない範囲において、上記リン
脂質中にリゾリン脂質が含まれていてもよい。また、本
発明においては、乳化剤(B)として非イオン系界面活
性剤を上記のポリエチレングリコール鎖を有するリン脂
質と組み合わせて用いることもできる。
【0016】非イオン界面活性剤としては、例えば、ポ
リオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポ
リオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、その中でもポリ
オキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを用い
るのが好ましい。本発明において、ポリエチレングリコ
ール鎖を有するリン脂質を含有する乳化剤(B)の含有
量は、乳化製剤中、0.1〜10重量%、好ましくは
0.5〜8重量%の範囲内となるように調整される。こ
のとき、当該含有量が0.1重量%未満であると、乳化
剤としての効果が得られず、最終的に調製されるパーフ
ルオロカーボン乳化製剤の安定性が低下し、結果として
乳化製剤が分離する恐れがあり、逆に10重量%を超え
ると、乳化製剤の粘度が大きくなり、結果として乳化製
剤の流動性が低下する恐れがあり好ましくない。
【0017】本発明において、(C)成分である水相成
分とは乳化製剤の連続相を構成する水性溶媒であり、生
理学的に許容されるものであれば特に限定されず、一般
に医薬品用途で用いられるものの中から選択使用され
る。かかる水相成分の具体例としては、例えば、注射用
蒸留水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食
塩水、乳酸加リンゲル液等が例示され、さらに必要に応
じて、電解質溶液等を用いることもできる。さらに、本
発明の(C)成分である水相成分には、当然のことなが
ら、上記水性溶媒の他に、グリセロール、ショ糖、ブド
ウ糖、マンニトール等の等張化剤やポリエチレングリコ
ール、デキストラン等の安定化剤を用いることも可能で
ある。本発明において、上記(C)成分の含有量は、上
記(A)成分および(B)成分の合計の残部として調整
すればよい。
【0018】また、本発明のパーフルオロカーボン乳化
製剤においては、最終的に得られるパーフルオロカーボ
ン乳化製剤の安定性に支障を与えない限り、上記成分の
他、トコフェロール等の抗酸化剤を使用することもでき
る。本発明のパーフルオロカーボン乳化製剤の製造方法
としては、一般に医薬用乳化製剤の製造に用いられる種
々の方法から選択することができる。すなわち、本発明
のパーフルオロカーボン乳化製剤は、あらかじめポリエ
チレングリコール鎖を有するリン脂質と、例えば卵黄ホ
スファチジルコリン等のポリエチレングリコール鎖をも
たないリン脂質とからなる乳化剤(B成分)を、グリセ
ロール等により等張化した注射用蒸留水(C成分)に加
えてよく分散し、これに、パーフルオロカーボン化合物
(A成分)を添加して予備乳化を行い、その後さらに適
当な乳化機を用いて乳化を行うことにより調製すること
ができる。
【0019】また、本発明のパーフルオロカーボン乳化
製剤は、あらかじめ乳化剤(B)のうち、例えば卵黄ホ
スファチジルコリン等のポリエチレングリコール鎖をも
たないリン脂質のみをグリセロール等により等張化した
注射用蒸留水(C成分)に加えてよく分散し、これに、
パーフルオロカーボン化合物(A)を添加して予備乳化
を行った後、さらにその予備乳化物と、別にあらかじめ
ポリエチレングリコール鎖を有するリン脂質を分散しグ
リセロール等により等張化した注射用蒸留水とを混合
し、その後さらに適当な乳化機を用いて乳化を行うこと
により調製することもできる。この場合、予備乳化時に
用いる水相成分と、別にポリエチレングリコール鎖を有
するリン脂質を分散するために用いる水相成分とは同じ
組成であることが望ましい。本発明のパーフルオロカー
ボン乳化製剤の調製に用いる乳化機としては、例えば、
ホモミキサー等の回転ホモジナイザー、マントンゴーリ
ン型等の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザ
ー、高圧ジェット流乳化機などの超高圧乳化機等が挙げ
られる。
【0020】
〔パーフルオロカーボン乳化製剤の調製〕
パーフルオロカーボン乳化製剤を第1表に示す組成に従
って調製した。この際、実施例1〜3、5〜8および比
較例3、4の各々の乳化製剤については、あらかじめグ
リセロールを溶解した注射用蒸留水(第1表中、C成
分)に、PEG化ホスファチジルエタノールアミン、あ
るいはその比較品(B’成分)を含む乳化剤(B成分)
を加えた混合物を、まずクレアミックス(Model CLM-0.
8S、(株)クレアテック製)を用いて、5000rpm
で攪拌しながら、パーフルオロカーボン(A成分)を徐
々に添加し、さらに10000rpmで5分間攪拌し予
備乳化を行い、その後さらにマイクロフルイダイザー
(Model 110Y、Microfluidics 社製)を用いて、冷却し
ながら1.2×108 Paで10回通過させることにより
乳化を行った。
【0021】また、実施例4の乳化製剤については、あ
らかじめグリセロールを溶解した注射用蒸留水(第1表
中、C成分)に、乳化剤(B)のうち水添卵黄レシチン
のみを加えた混合物を、まずクレアミックス(Model CL
M-0.8S、(株)クレアテック製)を用いて、5000r
pmで攪拌しながら、パーフルオロカーボン(A成分)
を徐々に添加し、さらに10000rpmで5分間攪拌
し予備乳化を行った。別に、PEG化ホスファチジルエ
タノールアミン(表1中、b成分)をグリセロール等に
より等張化した注射用蒸留水(c成分)に加えてよく分
散しておき、この分散物と、先に予備乳化を行った上記
乳化物を混合し、さらにマイクロフルイダイザー(Mode
l 110Y、Microfluidics 社製)を用いて、冷却しながら
1.2×108 Paで10回通過させることにより乳化を
行った。また、比較例1、2の乳化製剤は、あらかじめ
グリセロールを溶解した注射用蒸留水(C成分)に、乳
化剤(B成分)を加えた混合物を、クレアミックス(Mo
del CLM-0.8S、(株)クレアテック製)を用いて、50
00rpmで攪拌しながら、パーフルオロカーボン(A
成分)を徐々に添加し、さらに10000rpmで5分
間攪拌することにより予備乳化を行った。さらにその
後、マイクロフルイダイザー(Model 110Y 、Microflu
idics 社製)を用いて、冷却しながら1.2×108 Pa
で10回通過させて乳化を行うことにより、パーフルオ
ロカーボン乳化製剤を調製した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】〔乳化安定性〕上記実施例および比較例に
おいて調製した各パーフルオロカーボン乳化製剤につい
て、各乳化製剤をガラス製バイアルに入れて密栓し、オ
ートクレーブにより加熱滅菌(121℃、20分)を行
った後、4℃および室温下で保存しながら経時的に粒度
分布を測定することにより、その乳化安定性を評価し
た。粒度分布の測定は、NICOMP model 370(Particle s
izing systems 社)を用いて、動的光散乱法により行っ
た。結果を第2表に示す。
【0025】
【表3】 第2表に示すように、パーフルオロカーボン乳化製剤に
用いる乳化剤として、ポリエチレングリコール鎖を有す
るリン脂質を含有しない場合は安定性を維持することが
困難であったのに対し、本発明により実施例に示したパ
ーフルオロカーボン乳化製剤はいずれも高い安定性を示
した。
【0026】
【発明の効果】本発明により、パーフルオロカーボン化
合物、乳化剤、および水相成分からなるパーフルオロカ
ーボン乳化製剤に対して、乳化剤としてポリエチレング
リコール鎖を有するリン脂質を特定量配合することによ
り、安定性に優れた乳化製剤を調製することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 71/02 C08L 71/02 4J005 // A61K 35/14 A61K 35/14 Z 49/00 49/00 C 49/04 49/04 J (72)発明者 竹内 由和 兵庫県明石市大久保町高丘6−15−7 Fターム(参考) 4C076 AA17 BB13 BB18 CC14 DD09F DD38 DD63F EE23F FF43 4C085 HH05 HH09 JJ03 KA20 4C087 AA01 CA42 MA22 NA03 ZA52 4D077 AA04 AB20 AC03 BA02 BA07 DC12Y DC42Y DC68X DC68Y DC68Z DC72X DC72Y DD32X DE16X DE31X 4J002 CH051 EB066 EB076 FD310 FD311 GB01 HA06 HA07 4J005 AA03 BD07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パーフルオロカーボン化合物(A)10
    〜80重量%、医学的に許容される乳化剤(B)0.1
    〜10重量%、および水相成分(C)からなるパーフル
    オロカーボン乳化製剤において、前記医学的に許容され
    る乳化剤(B)が、ポリエチレングリコール鎖を有する
    リン脂質を0.1〜30重量%含有することを特徴とす
    るパーフルオロカーボン乳化製剤。
  2. 【請求項2】 ポリエチレングリコール鎖を有するリン
    脂質中のポリエチレングリコール鎖の分子量が400〜
    20000である請求項1記載のパーフルオロカーボン
    乳化製剤。
  3. 【請求項3】 ポリエチレングリコール鎖を有するリン
    脂質が、ポリエチレングリコール鎖を有するホスファチ
    ジルエタノールアミンである請求項1又は2に記載のパ
    ーフルオロカーボン乳化製剤。
JP2000119191A 2000-04-20 2000-04-20 パーフルオロカーボン乳化製剤 Pending JP2001300287A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000119191A JP2001300287A (ja) 2000-04-20 2000-04-20 パーフルオロカーボン乳化製剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000119191A JP2001300287A (ja) 2000-04-20 2000-04-20 パーフルオロカーボン乳化製剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001300287A true JP2001300287A (ja) 2001-10-30

Family

ID=18630215

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000119191A Pending JP2001300287A (ja) 2000-04-20 2000-04-20 パーフルオロカーボン乳化製剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001300287A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010534555A (ja) * 2007-07-26 2010-11-11 シェンヤン ファーマシューティカル ユニバーシティ 複合型乳化剤及びそれを用いて調製された乳剤並びにその調製方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5946230A (ja) * 1982-09-08 1984-03-15 Green Cross Corp:The 造影剤
JPS63250321A (ja) * 1987-03-20 1988-10-18 エアー.プロダクツ.アンド.ケミカルス.インコーポレーテツド 安定乳濁液とその改良調整法および、それを使用する酸素輪送強化法ならびに臓器の体外貯蔵法
JPH0429924A (ja) * 1990-05-28 1992-01-31 Terumo Corp 脂溶性薬物含有注射用製剤
JPH04154718A (ja) * 1990-10-18 1992-05-27 Green Cross Corp:The パーフルオロカーボン乳剤
JPH08504811A (ja) * 1992-12-24 1996-05-28 ヘマジェン/ピーエフシー フルオロカーボンのエマルジョン
WO1998046275A2 (en) * 1997-04-11 1998-10-22 The Board Of Regents Of The University Of Michigan Blood-pool carrier for lipophilic imaging agents
WO2000006120A1 (en) * 1998-07-31 2000-02-10 Korea Institute Of Science And Technology Lipid emulsion and solid lipid nanoparticle as a gene or drug carrier

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5946230A (ja) * 1982-09-08 1984-03-15 Green Cross Corp:The 造影剤
JPS63250321A (ja) * 1987-03-20 1988-10-18 エアー.プロダクツ.アンド.ケミカルス.インコーポレーテツド 安定乳濁液とその改良調整法および、それを使用する酸素輪送強化法ならびに臓器の体外貯蔵法
JPH0429924A (ja) * 1990-05-28 1992-01-31 Terumo Corp 脂溶性薬物含有注射用製剤
JPH04154718A (ja) * 1990-10-18 1992-05-27 Green Cross Corp:The パーフルオロカーボン乳剤
JPH08504811A (ja) * 1992-12-24 1996-05-28 ヘマジェン/ピーエフシー フルオロカーボンのエマルジョン
WO1998046275A2 (en) * 1997-04-11 1998-10-22 The Board Of Regents Of The University Of Michigan Blood-pool carrier for lipophilic imaging agents
WO2000006120A1 (en) * 1998-07-31 2000-02-10 Korea Institute Of Science And Technology Lipid emulsion and solid lipid nanoparticle as a gene or drug carrier

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010534555A (ja) * 2007-07-26 2010-11-11 シェンヤン ファーマシューティカル ユニバーシティ 複合型乳化剤及びそれを用いて調製された乳剤並びにその調製方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU706236B2 (en) Stable reverse and multiple fluorocarbon emulsions
US5980936A (en) Multiple emulsions comprising a hydrophobic continuous phase
EP0231091B1 (en) Stable emulsions of highly fluorinated organic compound
AU629832B2 (en) Improved emulsions of highly fluorinated organic compounds
US5733526A (en) Hydrocarbon oil/fluorochemical preparations and methods of use
US7357937B2 (en) Perfluorocarbon emulsions with non-fluorinated surfactants
FR2679150A1 (fr) Preparations comprenant un fluorocarbure ou compose hautement fluore et un compose organique lipophile-fluorophile, et leurs utilisations.
KR20140003477A (ko) 부분불소화된 알칸을 포함하는 수중유형 에멀젼
JPS60149524A (ja) プロスタグランジン脂肪乳剤
US20050158330A1 (en) Oil adjuvant vaccine
WO1998005301A1 (en) Multiple emulsions comprising a hydrophobic continuous phase
JPH0157096B2 (ja)
JPS5835485B2 (ja) 酸素運搬輸液
EP0841896B1 (en) Reverse gels comprising a continuous fluorinated phase
JP2001300287A (ja) パーフルオロカーボン乳化製剤
JP2001302507A (ja) パーフルオロカーボン乳剤
Rosoff Specialized Pharmaceutical Emulsions
JP2003048826A (ja) パーフルオロカーボン乳剤及びその製造方法
WO1991007964A1 (en) Fat emulsion
JPH11279082A (ja) 注射用脂肪乳剤
WO1998041239A1 (en) Compositions comprising flexible particles, non-ionic surfactant and non-ionic cloud-point modifier
JPS59141518A (ja) プロスタグランジン脂肪乳剤
JP2001151702A (ja) リン脂質親和性薬物を含有する非経口薬剤組成物
WO1991007962A1 (en) Fat emulsion

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070418

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100803

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101221