JP2001296000A - 可溶栓 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空式温水ボイラなどに使用される可溶栓が
温度上昇を伴う圧力上昇だけでなく、温度上昇を伴わな
い圧力上昇にも対しても安全に機能する可溶栓を得る。 【構成】 栓体を易融合金成型物を介して押し込みボル
トで押さえて固定する可溶栓において、押し込みボルト
の代わりに、圧縮バネをもって取付けて固定したもの。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、真空式温水ヒータ
等に使用される可溶栓に関する。

【０００２】

【従来の技術】真空式温水ボイラは、温水を供給するボ
イラで、減圧式温水ボイラとも呼ばれ、大気圧以下の圧
力の水蒸気（真空蒸気又は減圧蒸気）が用いられるがこ
の従来の真空式温水ボイラで使用される可溶栓１は、例
えば、図１に示すように、真空式温水ヒータの圧力密閉
容器２の壁面に設けられている。炉筒４には、バーナ３
があって、炉筒４内で燃焼して水管を加熱する。水管を
加熱すると、減圧された圧力密閉容器２内では、減圧蒸
気が発生し、暖房や給湯用に使用される。この圧力密閉
容器２内に溶解栓１が取り付けられている。なお、２０
は給液口である。

【０００３】従来の溶解栓１の代表的な構造は、図２に
示すように、圧力密閉容器２の取付座２０１にシール部
材２０２を介して取り付けられている。

【０００４】圧力密閉容器２の取付座２０１にシール材
２０２を介して栓体５が取付けられている。栓休５は、
金属環１０１内に充填された易融合金成形物１０及び押
え具１０２を介して押込みボルト１０３で周定される。
ここで、金属環１０１は、薄肉の円筒構造であって、円
筒の上下は開放されていて可溶材を高温で溶かして成形
するときに枠となるものである。押込みボルト１０３
は、サポート６及び取付ボルト６０１で取付座２０１に
支持される。

【０００５】補助押えボルト７は，金属環１０１及び易
融合金成形物１０の交換時に，圧力密閉容器２の密閉性
保持のため、栓体５を補助押えボルト７で仮止めして密
閉し、その間に金属環１０１及び易融合金成形物１０を
交換するためのものであり，交換作業が完了すると取り
外す。

【０００６】例えば、真空温水ボイラにこの可溶栓１を
使用したとき，万一ボイラが異常燃焼した場合でも温度
上昇に伴って、易融合金成形物１０が溶け出して栓体の
拘束が解かれるから，ボイラ内部に異常発生した蒸気
は、取付座２０１に溶融した易融合金成形物１０の隙間
分形成された開ロ部から栓体５を押しのけて，外部に噴
出することが可能となる。この結果，ボイラ内の圧力上
昇は抑えられ，ボイラの破壊を免れることが出来て安全
装置としての機能を果たす。

【０００７】また、真空温水ボイラにおいて，ボイラが
異常燃焼した場合温度上昇に伴って異常発生した圧力蒸
気以外にも、温度上昇を伴わずに圧力上昇もあるので、
その場合には、圧力上昇に対してその圧力を逃がすため
に別設の比較的低い圧力で破壊する薄肉皿形のラプチャ
ディスク等が設けられた。これは、例えば、異常な運転
等により、早めにラプチャディスクが破壊されて、ボイ
ラ内部の高圧蒸気を外部に放出して、ボイラ本体の爆発
による事故を防止するものである。

【０００８】真空式温水ボイラにおいて，内部の圧力が
上昇する原因として、異常燃焼の他に，ボイラ内部に設
置された熱交換器配管の破損事故がある。このとき配管
から漏れた水は低温であるから，易融合金成形物１０
は、溶けず、従来方式の可溶栓１は安全装置として作動
しない。

【０００９】このため，従来の真空温水ボイラでは，前
記したように、可溶栓１の他に安全弁もしくはラプチャ
ディスクを取り付けて、この内圧を逃がすか，あるい
は，熱交換器配管が破断した場合でもその圧力に耐えら
れるようにボイラを厚肉構造にするかのいずれかの対策
を講じていた。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】前記従来の可溶栓で
は、温度が上昇して圧力上昇が起こる場合に、易融合合
金成形物が溶けて、高圧の蒸気を逃がす安全装置ではあ
ったが、この外、温度上昇を伴わない圧力上昇もあるの
で、この場合には、可溶栓は機能しないので、その為温
度上昇を伴わずに圧力上昇もあった場合に、その圧力上
昇に対して、圧力を逃がすために別設の安全弁やラプチ
ャディスク等が別設しなければならなかった。

【００１１】本発明は，真空式温水ボイラ等に用いられ
るものにおいて、温度上昇を伴う圧力上昇のみならず，
温度上昇を伴わない圧力上昇に対しても、安全装置とし
て各々機能するようにした可溶栓を得ることを目的とす
る。

【００１２】更に、本発明は、温度上昇によらない圧力
上昇に対して、その圧力を逃がすために安全弁やラプチ
ャディスク等を別設しなくても、従来から設置されてい
る可溶栓に注目して、部材の大規模な変更を伴わずに。
簡単に２つの機能を果たす低コストの可溶栓を得ること
を目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、圧力密閉容器等に用いる可溶栓におい
て，栓体が易融合金成形物と圧縮バネによって取付座に
押圧されてなる構造を備えるものであって，圧力密閉容
器内が高温になった場合には易融合金成形物が溶融して
栓体が開放され，また，圧力密閉容器内が高圧になった
場合には圧縮バネが押圧されて栓作用が開放される可溶
栓を提供する。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、実施例に
基づき図面を参照して説明する。

【００１５】本発明の実施例は，図３に示すように、栓
体５，金属環１０１，ビスマス入りはんだ等の可溶性材
料からなる易融合金成形物１０，押え具１０２，サポー
ト６，取付ボルト６０１，シール材２０２，取付座２０
１、及び補助押えボルト７等からなる。これら部分は、
図２と同様であるが，本発明の実施例では、押え具１０
２とサポート６の間に、従来の押し込みボルト１０３の
代わりに、所定の圧縮力を与えた圧縮バネ８が取り付け
てある。

【００１６】圧縮バネ８は、押え具１０２の凹部の座の
中に設けられ、他方はサポート６に適宜、例えば、凹部
が形成されて、取付けられる。ところで、金属環１０１
は、薄肉の円筒構造であって、円筒の上下は開放されて
いて可溶材を高温で溶かして成形するときに枠となるも
のであるが、通常は、押し込みボルト１０３が易融合金
成形物１０を押圧する場合に、押え具１０２を突出部９
０によって覆うようになっており、押え具１０２が易融
合金成形物１０から脱げ落ちることを防いでいる。又、
押え具１０２も又同様に、突出部９５が押え具１０２よ
り延出しており、押し込みボルト１０３の脱落を防いで
いた。圧縮バネ８は、これら脱落防止のための部材をそ
のまま活用ことができる利点があり、特別な変更をしな
いでよい。

【００１７】このように、単に、押し込みボルト１０３
の代わりに、圧縮バネ８を設けるのみで、２つの異なっ
た機能の安全装置として働くことになる。従って、格別
特別な部材を要することなく、圧縮バネ８のみの採用
で、本発明は課題を達成することが可能となった。

【００１８】圧縮バネ８の取付は、補助押えボルト７に
よって栓体５を固定しておき、その間に圧縮バネ８を押
え具１０２とサポート６間に装着するもので、装着が終
了すると、補助押えボルト７は、取りはずされて、圧縮
バネ８によって栓体５は押圧されて固定される。

【００１９】圧縮バネ８は、圧縮量に応じた押付け力
を、栓体５に対して発生しているので，栓体５が、圧力
密閉容器２内の圧力から受ける力が、この押付け力を超
えない限り，圧縮バネ８は取付時の状態から、さらに縮
むことはなく栓休５は取付座２０１に押付けられたまま
であり容器の密閉性は維持される。

【００２０】これに対して，気体もしくは液体が容器内
に異常に漏れ込むような事故等が発生したことにより、
容器２内の圧力が設定した値より上回った場合，栓体５
が容器の外側に開こうとする力が、圧縮バネ８の押付け
力を超え，圧縮バネ８はさらに縮んで栓体５と取付座２
０１の蘭に隙間が空く。この隙間から、圧力密閉容器２
内の気体もしくは液体が噴出することにより圧力上昇は
抑えられ，安全弁と同等の役割を果たす。圧力密閉容器
２の内圧がどれだけ上昇したときに栓体(7)を開くか
は，圧縮バネ８を予めどれだけ圧縮させて取付けておく
かによって調整が可能である。

【００２１】但し従来の可溶栓１としての機能も損なわ
ぬように，圧縮バネ８の圧縮量は易融合金成形物１０の
厚さを超えないこと，言い換えれば，易融合金成形物１
０が溶け出して圧縮バネ８の圧縮が解かれたときに、圧
縮バネ８と栓休５に隙間があって栓体５が自由に外れる
ことが必要である。従って、このようにバネ定数と初期
のバネ力を設定しておくことである。

【００２２】図４は、他の実施例である。栓体５の支持
に、補助押えボルト７が栓体５に対して多く必要であっ
たが、この実施例では、栓体５の一方側を蝶番５０など
で回転自在に支持したものである。このために、栓体５
を取り付ける際には、その一方を補助押えボルト７で押
さえ付けるだけで、圧縮バネ８を装着することができて
簡単となる。又位置決めも簡単となり而も正確に行うこ
とができる。前記に説明したように、栓体５を取り付け
る際に補助押えボルト７で押さえ付けて圧縮バネ８を装
着した後、補助押えボルト７は取り外される点は図５で
示すように、同じである。

【００２３】更に、圧縮バネ８の栓体５の当たる部分
を、図６に示すように、蝶番５０より遠くに置くことも
できる。即ち、梃子の作用により、栓体５に掛かる力の
作用点より、圧縮バネ８の作用点を長く置けば、圧縮バ
ネ８の作用力を減じられるので、圧縮バネ８の能力を軽
減できて、より小型のバネを採用することも出きる。

【００２４】上記実施例では、真空式温水ボイラに取り
付けた場合を述べたが、この他温度の上昇による圧力上
昇が生じるか、又は温度上昇による圧力上昇を伴わない
圧力上昇が生じる密閉容器に対しても適用できることは
勿論である。

【００２５】

【発明の効果】上記したように、本発明の可溶栓は、温
度の上昇により異常な圧力上昇がもたらされたとき及び
温度上昇を伴わない圧力上昇が起きたときに、共に機能
する可溶栓が得られた。

【００２６】本発明の可溶栓は、圧力上昇の為の安全弁
としての機能も持たせたので，真空式温水ボイラ等に取
付ければ、余分に安全弁もしくはラプチャディスク等を
取付ける必要もなく，また，熟交換器配管の破断事故に
おいてもボイラ本体の内圧を低く抑えられるので、ポイ
ラ本体を厚肉にする必要もなくなく、低コストを可能と
した。

【００２７】更に、本発明は、温度上昇によらない圧力
上昇が起きても、その圧力を逃がすために安全弁やラプ
チャディスク等を別設しなくても、従来から設置されて
いる可溶栓に注目して、部材の大規模な変更やコストア
ップを招かずに、簡単に２つの機能を果たす低コストの
可溶栓を得られた。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、従来の真空式温水ボイラの概念図を示
す。

【図２】図２は、従来の可溶栓の断面図を示す。

【図３】図３は、本発明の実施例である可溶栓の断面図
を示す。

【図４】図４は、本発明の他の実施例である可溶栓の断
面図を示す。

【図５】図５は、前記本発明の実施例の使用状態を示
す。

【図６】図６は、上記本発明の他の実施例における変形
例を示す。

【符号の説明】

１ 可溶栓 ２ 圧力密閉容器 ３ バーナ ４ 炉筒 ５ 栓体 ６ サポート ７ 補助押えボルト ８ 圧縮バネ １０ 易融合金成形物 １０１ 金属環 １０２ 押え具 １０３ 押込みボルト ２０１ 取付座 ２０２ シール部材 ６０１ 取付ボルト

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石塚 郁夫 大阪市北区大淀北１丁目９番36号 株式会 社ヒラカワガイダム内 Ｆターム(参考） 3E072 BA11 GA30

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧力密閉容器等に用いる可溶栓におい
   て，栓体が易融合金成形物と圧縮バネによって取付座に
   押圧されてなる構造を備えるものであって，圧力密閉容
   器内が高温になった場合には易融合金成形物が溶融して
   栓体が開放され，または、圧力密閉容器内が高圧になっ
   た場合には圧縮バネが押圧されて栓作用が開放されるこ
   とを特徴とする可溶栓。