JP2001289820A - マイクロチップ電気泳動装置 - Google Patents

マイクロチップ電気泳動装置

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JP2001289820A JP2000107754A JP2000107754A JP2001289820A JP 2001289820 A JP2001289820 A JP 2001289820A JP 2000107754 A JP2000107754 A JP 2000107754A JP 2000107754 A JP2000107754 A JP 2000107754A JP 2001289820 A JP2001289820 A JP 2001289820A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】マイクロチップ電気泳動を行う際に各ポートへ
印加する電圧値を簡単に最適化することができるマイク
ロチップ電気泳動装置を提供する。 【解決手段】流路端にある各ポートへ印加する電圧値を
画面上で電圧入力部111〜114に入力すると、各流
路の電位勾配が算出され、入力した電圧値が表示される
とともに算出された電位勾配値が電位勾配表示部121
〜124に表示され、分析者が電位勾配が適切であるか
を判断しながら設定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマイクロチップを用
いて極微量のタンパク質や核酸等を、高速かつ高分解能
に分析する場合に利用されるマイクロチップ電気泳動装
置に関し、さらに詳細には、分析者が電気泳動による分
析を実行する際に泳動流路に印加する電圧値の設定が容
易に行えるようにしたマイクロチップ電気泳動装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】極微量のタンパク質や核酸等を分析する
場合にキャピラリ電気泳動装置が一般的に用いられてい
る。近年、2枚の基板を接合して形成されたキャピラリ
電気泳動チップ(マイクロチップという)が開発され、
これを用いたマイクロチップ電気泳動装置が考案されて
いる。このマイクロチップ電気泳動装置で使用するマイ
クロチップの例を図1(A)〜(D)に示す。図に示す
マイクロチップ10は一対の透明ガラス基板1、2から
なり、一方の基板2の表面にエッチング技術等によって
互いに交差する泳動用流路となる溝4、5を形成し、他
方の基板1にはその溝4、5の各端部に対応する位置に
貫通穴でポート3を形成したものである。なお、溝は図
1(D)に示すような十字に交差するものでも、図1
(A)〜(C)に示すような小さな段差を有する交差で
あってもよい(場合によってはさらに多数の溝が交差す
るものであってもよい)。マイクロチップは基板1、2
を図1(C)に示すように互いに重ね、いずれかのポー
ト3からバッファ液(泳動液)を溝4、5に注入する。
その後、短い方の溝4の一端にあるポート3(S)から
試料を導入して、この溝4の両端のポート3(S)、3
(W)間に所定時間、高電圧を印加する。バッファ液へ
の高電圧印加は各ポート3に針電極を突き刺す方法で行
ってもよいし、予め各ポートの内面周囲およびこの内面
部分と電気的に接続される引出電極部分に電極をパター
ン形成しておき、引出電極に高電圧を印加するようにし
たものでもよい。溝4の両端のポート間に電位差が生じ
るように高電圧を印加すると溝4に注入されたバッファ
液に電位勾配が形成され、泳動電流が流れるようにな
り、その結果バッファ液中に導入した試料が溝4内を移
動するようになる。続いて溝4の両端のポートに印加し
ていた高電圧を停止し、長い方の溝5の両端にあるポー
ト3(B)、3(D)間に高電圧を印加する。これによ
り溝4、5の交差点部分6に存在する試料の泳動方向が
変化し溝5内を試料が移動するようになる。そして溝5
上の適当な箇所に検出器(紫外可視分光光度計、蛍光光
度計、電気化学検出器等)あるいは溝5の流路のほぼ全
域にわたってアレイ型検出器を配置しておくことにより
この流路内で分離された試料の検出が行われる。
【0003】図2は電気泳動分析を行うために使用する
マイクロチップ電気泳動装置の概略構成図である。マイ
クロチップ10を移動するためのXYステージ12が光
学ベンチ14上に置かれ、マイクロチップ10はXYス
テージ12上に固定されて手動又は自動によりX方向と
Y方向の水平面内を移動することができる。泳動流路
(図1の溝4、5)で分離された試料(本例では蛍光試
料を用いる)を光学的に検出するために、レーザ装置1
6で発生したレーザ光が照射・集光部18によって試料
へ照射され、試料からの蛍光が集光される。照射・集光
部18で集光された蛍光は光電子増倍管20で検出され
る。なお、照射・集光部18の光軸合わせのために用い
る双眼鏡22が設けられており必要に応じてXYステー
ジを動かして光軸調整が行われる。光電子増倍管20で
検出された光信号は増幅器28で増幅され、A/D変換
器30でデジタル信号に変換されてCPU32を有する
パーソナルコンピュータ39に取り込まれる。
【0004】また上記と異なる測定光学系を備えたマイ
クロチップ電気泳動装置(この場合は紫外可視検出器を
用いている)を図3に示す。このものでは分離側流路
(図1の溝5)のほぼ全域にわたって試料検出を行うこ
とができるように光源41からの光線42がシリンドリ
カルレンズ43によって線状に集光され、これが溝5に
沿って照射され、透過光がアレイ型のフォトセル44に
より検出される。検出された各アレイからの信号は図2
と同様に増幅器28で増幅され、A/D変換器30でデ
ジタル信号に変換されてCPU32を有するパーソナル
コンピュータ39に取り込まれる。この例のものでは分
離された試料の溝5内での分布をも検出して表示するこ
とができる特徴を有する。
【0005】次にマイクロチップ10への高電圧の印加
について再び図2を用いて説明する。マイクロチップ1
0に注入された試料が電気泳動作用により分離されるた
めには泳動流路両端に高電圧を印加する必要があり、そ
のための高電圧電源装置34、35、36、37が設け
られ、各泳動流路端のポートから独立に電圧が印加でき
るようになっている。これらの高電圧電源はCPU32
からの制御により所定の高電圧が発生する。この印加電
圧の設定を行うため、パーソナルコンピュータ38には
キーボード39のような入力装置と液晶画面のようなデ
ィスプレイ装置40が接続されており、ディスプレイ装
置40の画面を見ながらキーボード39を用いて印加電
圧値を入力することにより、パーソナルコンピュータ3
9から各高電圧電源装置34〜37にデータ送信されて
所望の電圧が所望のタイミングで印加されるようにな
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】マイクロチップ電気泳
動装置は極微量の試料を高速かつ高分解能で分析できる
という優れた特徴を有している。しかしながらこの装置
で最適な分析を行うためには各流路に印加する高電圧を
最適な値となるように調整する必要がある。例えば4つ
の電源を用いて上記したような十字に交差する泳動流路
の4つの流路端にそれぞれ独立に電圧を印加する場合に
は、それぞれの流路端にどの程度の高電圧を印加するの
がよいかを決定する必要があるがこの作業は困難かつ煩
雑であり、また熟練を要していた。そのためより簡便な
設定ができることが望まれている。また、十字に交差す
るような溝が形成されているマイクロチップでは、泳動
流路は試料導入側である短い泳動流路から試料分離側で
ある長い泳動流路の方に切り替える必要があるが、試料
導入時の短い流路での泳動状態と、流路切替後の長い流
路での泳動状態とでは、それぞれ最適な設定条件が異な
るので、試料導入時から分析終了までの泳動プログラム
を簡便かつ最適に設定できることが望まれている。
【0007】そこで、本発明の目的は、泳動流路へ印加
する電圧値を設定する場合に、分析者が容易に最適な泳
動条件の設定ができるようにした電気泳動装置を提供す
ることを目的とする。また、好適な設定条件のもとで泳
動させることにより、高分解能かつ迅速な泳動分析が簡
単に行えるようにすることを目的とする。特に流路切替
を行う場合のような複雑なパラメータ条件設定を行うと
きに、各工程で異なる最適条件を容易に見出すことがで
きるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
になされた本発明のマイクロチップ電気泳動装置は、マ
イクロチップ上に泳動流路を形成し、この泳動流路上に
設けた開口から試料を導入するとともにこの泳動流路に
電圧を印加して電気泳動を行うマイクロチップ電気泳動
装置において、前記マイクロチップ電気泳動装置は印加
電圧値又は/及び泳動状態を把握するためのパラメータ
値を入力するための画面を有する制御部と、この画面か
ら印加電圧、泳動状態を把握するためのパラメータ、の
うちの必要な電気特性パラメータ値を入力すると、入力
された電気特性パラメータ値に基づいて印加電圧、泳動
状態を把握するためのパラメータ、のうちの未決定であ
る他の電気特性パラメータ値を算出する電気特性算出手
段と、算出された電気特性パラメータ値と入力された電
気特性パラメータ値とを同時に画面上に表示する画面合
成手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】分析者が直接キーボードから入力して設定
するパラメータは各流路に印加する高電圧電源の電圧値
であるが、分析者が泳動状態を把握するのに必要な情報
はこの電圧値自体ではなく、むしろ各流路に生じる電位
勾配や泳動電流のような電圧値以外の泳動状態を決定す
るパラメータである。この電位勾配等は各流路端に印加
する複数箇所の電圧値の相対関係により定まる。したが
ってこれらの情報を分析者に画面で表示しつつ、パラメ
ータ設定できるようにする。即ち、画面上で電気泳動を
行うのに必要なパラメータ(例えば電圧値)を入力する
と、その入力データに応じて泳動状態を把握するために
役立つパラメータ(例えば各流路の電位勾配)が算出さ
れ、算出結果が入力されたパラメータとともに画面上に
表示される。分析者はこれらの情報を見て確認しながら
必要に応じて逐次設定を変化させて最適と思われるパラ
メータ設定にする。このようにして最終的に設定した最
適なパラメータの条件で電気泳動を行い、最適条件での
分析を行う。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について実施例を用
いて説明する。以下の実施例に示すマイクロチップ電気
泳動装置本体の測定光学系や高圧電源のハードウェア構
成は基本的に図2や図3に示したものと同じであり、こ
れを利用している。また、使用するマイクロチップの種
類(マイクロチップ上に刻まれる泳動流路の形状の種
類)は泳動目的によりいろいろなバリエーションが考え
られるので、その形状に対応させて後述する画面形状を
適宜に変化させればよいことはいうまでもない。説明の
便宜上、以下の説明で用いるマイクロチップは図1
(D)に示したものとする。即ち溝4の両端にポート3
S、3W、溝5の両端にポート3B、3D、溝4と溝5
とが十字に交差し交差点6を形成したもので、ポート3
Bから試料が導入され、各ポート3B、3W、3B、3
Dにそれぞれ針電極が挿入されており、図2に示すよう
に独立した高圧電源装置34、35、36、37から電
圧HV1、HV2、HV3、HV4が独立に電圧が印加
されるものである。
【0011】図4は本発明の一実施例であるマイクロチ
ップ電気泳動装置のディスプレイ装置40上で表示され
る画面の一例を示す図である。この実施例は分析者が泳
動流路端に設けられた4箇所のポート部分の電極に印加
する電圧を試行錯誤で最適な値に設定したいときに役立
つものである。図4に示すように画面右下には表示モー
ド(電位勾配表示、電流表示等)を入力するための表示
モード入力部101が窓枠形状で表示される。画面中央
にはマイクロチップ10の泳動流路形状に対応したグラ
フィック画面が表示され、このグラフィック上において
はマイクロチップ10の各ポート3S、3W、3B、3
Dがそれぞれグラフィック上のポート103S、103
W、103B、103Dに対応し、溝4、溝5が溝10
4、105に対応し、交差点6が交差点106に対応す
る。この画面上にはさらに高圧電源装置34、35、3
6、37が各電極に印加する電圧HV1、HV2、HV
3、HV4の値を設定するための電圧入力部111、1
12、113、114が窓枠形状で表示される。また表
示モード入力部101で「電位勾配表示」が入力されて
いる場合には、ポート103Sと交差点106との間、
交差点106とポート103Wとの間、ポート103B
と交差点106との間、交差点106とポート103D
との間、でそれぞれ発生する電位勾配の数値表示および
その勾配方向を表示するための電位勾配表示部および方
向表示部121、121A、122、122A、12
3、123A、124、124Aがそれぞれ形成される
(これらは実際には実物マイクロチップ上の対応する位
置の電位勾配を表示するものである)。さらに交差点1
06の位置で生じる電圧を表示する交差点電圧表示部1
26も形成される。さらに電圧が印加されて泳動が行わ
れているときに泳動状態であることを表示するため、泳
動流路上に泳動表示部130が設けられる。
【0012】この画面表示を行うためのコンピュータの
システム構成を、図5に示す構成ブロック図を用いて説
明する。システムにはキーボード39から入力されるパ
ラメータデータを取り込む入力部141と、泳動特性の
計算に必要な計算式および計算式に必要な固定パラメー
タ(流路長さ・バッファ液伝導度等)を記憶している計
算式・固定パラメータ記憶部142と、マイクロチップ
形状に対応したグラフィック画面ファイル(マイクロチ
ップ形状ごとにそれぞれ対応するファイルが存在)を記
憶するグラフィック画面ファイル記憶部143と、入力
部141に取り込まれたパラメータデータおよび計算式
・固定パラメータ記憶部142に記憶してある計算式に
基づいて電位勾配等の他の電気特性パラメータを算出す
る電気特性算出部144と、入力部141に取り込まれ
たパラメータデータおよび電気特性算出部144で算出
された他の電気特性パラメータを1つの画面に合成する
画面合成部145と、合成された画面をディスプレイ装
置40に表示する表示部146を有する。ここで画面合
成部145は電気特性算出部から他の電気特性パラメー
タのデータが送り込まれる以前は入力画面として機能
し、送り込まれてから以後はそれらのデータを追加する
ことで泳動特性を表示する画面として機能する。
【0013】次に電気特性パラメータの計算方法につい
て図6を用いて説明する。図4における各ポート103
S、103W、103B、103Dからそれぞれ交差点
106までの各流路の電気抵抗をR1、R2、R3、R
4とする(実際には図4に対応する図1(D)に示すマ
イクロチップ上の各流路の電気抵抗を意味する)。ここ
でR1〜R4は、流路の断面積をS(m)、流路の長
さをL1〜L4(m)、バッファ液の比抵抗をU(Ω
m)とするとR1=L1*U/S(Ω)として求めるこ
とができ、R2、R3、R4も同様に求められる。な
お、S、L1〜L4、Uは既知の固定パラメータとして
予めコンピュータのメモリに数値を記憶させてあるもの
である。交差点106の中心電圧をV0(V)、各ポー
トでの電圧をHV1、HV2、HV3、HV4とすると
キルヒホッフの電流則により次式の関係が成り立つ。 (HV1−V0)/R1+(HV2−V0)/R2+(HV3−V0)/R3+ (HV4−V0)/R4=0 ・・・・・(1) (1)式より交差点106の電圧が以下のようになる。 V0=(R1//R2//R3//R4)*(HV1/R1+HV2/R2+H V3/R3+HV4/R4) ・・・・・(2) ここで(R1//R2//R3//R4)は抵抗R1〜
R4の並列接続抵抗値を意味する。そして各流路の電位
勾配G1、G2、G3、G4は(2)を用いて以下の計
算式で求めることができる。 G1=(HV1−V0)/L1(V/m) ・・・(3) G2=(HV2−V0)/L2(V/m) ・・・(4) G3=(HV3−V0)/L3(V/m) ・・・(5) G4=(HV4−V0)/L4(V/m) ・・・(6)
【0014】次に、本実施例で分析者が行う動作につい
て図7に示すフロー図を用いて説明する。まず最初に、
使用するマイクロチップの種類を入力し(201)す
る。分析者が各流路に発生する電位勾配の値を確認しつ
つ印加電圧の設定を行いたい場合には画面上の表示モー
ド入力部101に「電位勾配表示」(202)を入力す
る。するとそのマイクロチップに対応するグラフィック
画面が選択されて表示され、図4に示す入力画面が表示
される(203)。この入力画面上で電圧値の入力を促
すために窓枠表示されている電圧入力部111〜114
に適当な電圧値(電気特性パラメータ)を数値入力する
(204)。4つの電圧値すべてが入力されているかが
チェックされ(205)、もしも入力されていなければ
入力を促す警告表示がなされる(206)。計算に必要
なすべての電圧値の入力が終わると、(2)〜(6)式
を用いて他の電気特性パラメータである電位勾配が算出
される(206)。そして入力された電圧値と算出され
た電位勾配の値が1つのグラフィック画面上に合成され
(207)、ディスプレイ上に電圧111〜114、電
位勾配121〜124、電位方向121A〜124Aと
して表示される(208)。分析者は電圧値以外の情報
として電位勾配や電位方向を確認することにより、直感
的かつ簡単に入力した電圧値が適切であるかを知ること
ができる。例えば電位勾配は直接的に泳動速度に関係
し、速度が早すぎても遅すぎても分離が不十分となった
り試料が拡散したりするなどの不具合が生じて十分な測
定ができない。そこで、泳動速度、即ち算出された電位
勾配が適切な値であるかを判断し、もしも適切ではない
と判断したときは印加電圧値を変更する(209)。す
ると流路の各部位での電位勾配がそれぞれ変化するの
で、再度変更後の電位勾配が適切かを判断し、以後この
作業を繰り返して(204〜209)最適な4つの電圧
値の組を求める。このようにして4つの電圧値の組が定
まると、これをコンピュータのメモリに保存し(21
0)、決定した電圧値で電気泳動を実行する。
【0015】ところで、上述したような十字の泳動流路
を有するマイクロチップを用いる場合は試料が交差点1
06に到達した時点で泳動方向を短い流路から長い流路
に切り替えるようにしている。即ち、1回の分析で試料
がポート103Sからポート103Wの方向に向かう第
1の状態(試料注入)、試料が交差点106に到達した
時点で切り替わり、ポート103Bからポート103D
の方向に向かう第2の状態(泳動分離)、続いて検出の
ため泳動を停止する第3の状態(泳動停止)、の3つの
状態を順次実行する必要がある。そのため、第1の状態
から第3の状態までのそれぞれの電圧を、上述した手順
でそれぞれ決定し、コンピュータのメモリに記憶しなけ
ればならない。図8(a)(b)(c)は、十字に交差
する泳動流路を有するマイクロチップで上記の各状態で
の電圧値の最適条件設計を行った実施例である(ここで
いう最適条件とは信号強度を大きくすることよりも泳動
による分離をシャープにすることを優先させた分析を行
うための最適条件という意味である。分析の目的により
最適条件が異なることはいうまでもない)。図8(a)
に示す試料注入工程では、試料導入流路(短い方の流
路)であるポート103Sからポート103Wに向けて
試料が移動するように103Sから103Wに向かう電
位勾配をかける。その際、試料が分離流路(長い方の流
路)であるポート103Bから103Dに向かう流路内
に拡散しないように分離流路にも交差点106に向かう
弱い電位勾配を作り、試料の拡散を阻止する。以上のよ
うな考えのもとで印加する電圧を図8(a)に示すよう
に決定した。この際に、交差点106に流れ込むバッフ
ァ液の量と交差点106から流れ出るバッファ液の量と
は等しくなる必要があるが、各流路の幅が同一であれば
電位勾配の値と泳動量とは比例とは言えないまでも比例
に近い関係があるので、試料注入、拡散防止が電位勾配
を見ることで把握できる。続いて図8(b)に示す泳動
・分離工程では交差点106の位置に存在する試料を分
離流路の下流側(交差点106とポート103Dとの
間)に導入するため、分離流路下流方向に電位勾配をか
ける。また、バッファ液を供給するため分離流路上流側
(ポート103Bと交差点106との間)にも交差点に
向かう電位勾配をかける。さらに試料導入流路(端部1
03Sから交差点106の間、交差点106と端部10
3Wとの間)に残った試料が分離流路に流れ込まないよ
うに、これらの流路には交差点から試料を引き離す方向
の電位勾配をかける。この場合試料は3方向に流れてい
くので分離流路下流に流れ込む試料量が減少して信号強
度は弱くなるが泳動による分離特性をシャープにするこ
とができる。以上のような考えのもとで各ポートに印加
する電圧を図8(b)に示すように決定した。続いて図
8(c)に示す泳動停止時では、分離が完了した時点で
すべての電位勾配を零にして移動を停止し、分離状態を
検出器により検出している。なお、本実施例では交差点
106に発生する電圧値も算出され、同時に表示してあ
る。交差点106の位置の電圧値を表示することにより
試行錯誤で各ポートに印加する電圧値を入力する際にど
れくらい増減すればよいかの判断が容易になる。
【0016】図9は本発明の他の実施例である。先ほど
の画面では電位勾配を表示していていたが、この例では
泳動電流を表示するようにしている。泳動電流について
も電位勾配と同様に泳動速度と関係があるのでこれを表
示することによっても同様の効果が得られる。この場合
は、モード入力部124において「流路電流表示」を指
定することにより泳動電流が得られる。各流路を流れる
泳動電流I1、I2、I3、I4は先に示した(2)式
と、以下の関係式から求めることができる。 I1=(HV1−V0)/R1(A) ・・・(7) I2=(HV2−V0)/R2(A) ・・・(8) I3=(HV3−V0)/R3(A) ・・・(9) I4=(HV4−V0)/R4(A) ・・・(10)
【0017】これまでの実施例では電圧値を入力し、そ
れによって電位勾配や泳動電流等の泳動状態を把握する
ための他のパラメータを算出していたが、逆に各流路の
電位勾配値等を直接入力して、条件を満足するような各
ポートへの印加電圧値を逆算して表示するようにしても
よい。この場合は121〜124が窓枠表示されて電位
勾配入力部となり、111〜114が算出された結果の
表示部となる。なお、この場合はいずれか1箇所の電圧
値を決定する必要があるが、4つのポートのうち最も低
い電圧値となるものを0Vとなることとすれば他の3つ
の電圧も一意的に定めることができる。即ち、各ポート
の電圧値HV1〜HV4は、交差点電圧V0、電位勾配
G1〜G4、流路長さL1〜L4を用いて以下の式から
求められる。 HV1=V0+G1 ・・・(11) HV2=V0+G2 ・・・(12) HV3=V0+G3 ・・・(13) HV4=V0+G4 ・・・(14) ここで、HV1〜HV4のうちで最も低い電圧となるも
のをVxとしVx=0としてV0を求める。得られたV
0を残りの3つの式に代入することによりV1〜V4の
4つの電圧(いずれか1つがゼロ電位となる)を決定す
ることができる。
【0018】さらに図10に示すように各ポートの電圧
111〜114、電位勾配121B〜124B、電位方
向121C〜124Cのすべてを窓枠形状にして入力部
とし、先の計算式で解くことが可能な電圧・電位勾配の
任意の組を入力することにより、残りの入力しなかった
場所の電圧値や電位勾配値を算出して表示するようにし
てもよい。以下に本発明の実施態様を列挙しておく。 (1)互いに交差する少なくとも2本以上の泳動流路か
らなる請求項1に記載のマイクロチップ電気泳動装置。 (2)泳動流路への電圧の印加が少なくとも4箇所以上
からなされることを特徴とする請求項1又は請求項2に
記載のマイクロチップ電気泳動装置。 (3)入力される電気特性パラメータが泳動流路に印加
する電圧であり、算出される電気特性パラメータが泳動
流路に発生する電位勾配又は泳動電流であることを特徴
とする請求項1乃至請求項3に記載のマイクロチップ電
気泳動装置。 (4)入力される電気特性パラメータが泳動流路に発生
する電位勾配又は泳動電流であり、算出される電気特性
パラメータが泳動流路に印加する電圧であることを特徴
とする請求項1乃至請求項3に記載のマイクロチップ電
気泳動装置。 (5)泳動流路の交差点の位置の電圧値をも表示される
ことを特徴とする請求項2に記載のマイクロチック電気
泳動装置。 (6)画面合成手段で合成される画面がグラフィック画
面であることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載
のマイクロチック電気泳動装置。
【0019】
【発明の効果】以上、説明したように本発明では画面上
に泳動状態を把握するのに必要な情報である電位勾配や
泳動電流を同時に表示するようにしたので、これを確認
しながら最適な電圧値を簡単に設定することができる。
特に十字に交差するような流路のマイクロチップによる
電気泳動では複数の工程でのパラメータ設定を最適化し
なければならないが本発明によるシミュレーションを行
えば簡単に最適設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マイクロチップ電気泳動装置で用いるマイクロ
チップ基板の構成を示す図。
【図2】本発明に用いるマイクロチップ電気泳動装置の
ハード構成を示す図。
【図3】本発明に用いるマイクロチップ電気泳動装置の
他のハード構成を示す図。
【図4】本発明の一実施例であるマイクロチップ電気泳
動装置の泳動状態を表示する画面を示す図。
【図5】上記画面を表示するための構成ブロック図。
【図6】本発明で算出するマイクロチップ上の電気特性
の関係を示す図。
【図7】本発明の表示される画面でパラメータ設定をす
るときのフロー図。
【図8】最適条件設計を行った実施例を示す図。
【図9】本発明の他の一実施例であるマイクロチップ電
気泳動装置の泳動状態を表示する画面を示す図。
【図10】本発明の他の一実施例であるマイクロチップ
電気泳動装置の泳動状態を表示する画面を示す図。
【符号の説明】
10:マイクロチップ 3S、3W、3B、3D:ポート 4:泳動流路(試料導入側流路) 5:泳動流路(試料分離側流路) 6:交差点 32:CPU 34〜37:高電圧電源 38:コンピュータ 39:キーボード 40:ディスプレイ 103S、103W、103B、103D:ポート 104:泳動流路(試料導入側流路) 105:泳動流路(試料分離側流路) 106:交差点 111〜114:電圧入力部 121〜124:電位勾配表示部 121A〜124A:電位方向表示部 121B〜124B:電位勾配入力部 121C〜124C:電位方向入力部 126:交差点電圧表示部 126B:交差点電圧入力部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マイクロチップ上に泳動流路を形成し、こ
    の泳動流路上に設けた開口から試料を導入するとともに
    この泳動流路に電圧を印加して電気泳動を行うマイクロ
    チップ電気泳動装置において、前記マイクロチップ電気
    泳動装置は印加電圧値又は/及び泳動状態を把握するた
    めのパラメータ値を入力するための画面を有する制御部
    と、この画面から印加電圧、泳動状態を把握するための
    パラメータ、のうちの必要な電気特性パラメータ値を入
    力すると、入力された電気特性パラメータ値に基づいて
    印加電圧、泳動状態を把握するためのパラメータ、のう
    ちの未決定である他の電気特性パラメータ値を算出する
    電気特性算出手段と、算出された電気特性パラメータ値
    と入力された電気特性パラメータ値とを同時に画面上に
    表示する画面合成手段とを備えたことを特徴とするマイ
    クロチップ電気泳動装置。
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