JP2001287987A - 生体埋入用黒色化ジルコニアセラミックスおよびその製造方法 - Google Patents

生体埋入用黒色化ジルコニアセラミックスおよびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】ジルコニアセラミックスがガンマ線滅菌でも変
色せずに審美性を保つようにする。 【解決手段】少なくとも脱酸素率が10ppmより大き
く、コバルト60線源にて照射レート約1Mrad/h
rで照射線量約2.5Mradのガンマ線照射滅菌の前
後で、実質的に色調の変化がない生体埋入用黒色化ジル
コニアセラミックスとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に医療分野での
応用が期待できる生体埋入用黒色化ジルコニアセラミッ
クス及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ジルコニアセラミックスは、一般的なア
ルミナセラミックスに比べて高強度であり、又、生体適
合性や摩耗特性はアルミナセラミックスと同等であるこ
とから、近年生体埋入用材料として人工関節、人工歯根
などへの応用が拡大している。
【0003】一方、一般工業用としてのジルコニアセラ
ミックスにおいては、その審美性向上の目的から、各種
方法を利用して黒色化を行っている。
【0004】例えば、特開昭61−132573では、
ジルコニアセラミックスに金属チタン板またはペース
ト、薄膜を接触させた状態で高温の真空加熱処理を行
い、黒色化ジルコニアを得るものである。また、その他
の黒色化法として、カーボン発熱体を用いたHIP処理装
置にてアルゴンなどの不活性ガス中でHIP処理を実施
する方法がある。この場合、均一に黒色化させるため
に、カーボンの板または粉末にジルコニアセラミックス
を接触させた状態でHIP処理を行うものであり、この
黒色化メカニズムは、セラミック中へのカーボンの浸入
であることが報告されている(正木ら, "酸素雰囲気HIP
処理したZrO2セラミックスの破壊強度", 材料,37巻, 41
3号, 119-125(1988) )。
【0005】これ以外にも、Fe, Cr, Ti, Cu等の遷移金
属を着色剤としてジルコニアセラミックスに添加すると
いう方法もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般に、ジルコニアセ
ラミックスの色調は白色であるが、生体への埋入に先立
って行われるガンマ線照射滅菌によって、灰黄色から灰
褐色、赤紫色、灰赤色に色調が変化することが知られて
いる。この色調変化による力学的および化学的特性への
影響は全くないものの、審美性を著しく損ねているのが
現状である。
【0007】そこで、生体に使用するジルコニアセラミ
ックスについても、前述した工業的用途と同様に、黒色
化を行うことで、ガンマ線照射滅菌による色調の変化を
抑制でき、ジルコニアセラミックスの審美性を高めるこ
とが可能となることを見いだした。
【0008】しかしながら、生体に使用するジルコニア
セラミックスは、その形状が複雑であること、また生体
との親和性を高める必要性があること、さらには手術前
に滅菌を行うなど、工業的用途においては問題視されな
い課題が非常に多く、そのまま適用できないのが現状で
ある。
【0009】具体的には、特開昭61−132573で
は、黒色化のためにジルコニアセラミックスと金属チタ
ンを隙間無く接触させる必要がある。しかし、対象とな
る人工関節などの複雑な形状の場合、接触させるチタン
板も複雑形状に対応させた形状に加工するか、或いはペ
ースト状のチタンを使用する必要が生じてくるが、均一
な黒色化は到底望めないのが現状である。即ち、チタン
板を用いる場合は、均一な接触をさせるためには加工精
度やコストが問題となり仮にセラミックス部材とチタン
との接触が均一でない場合は、接触部のみ黒色化が進行
し、色斑を作ってしまう。従来技術によってこのような
色斑を避けるためには、更に高温、例えば1300℃、での
加熱処理を行う必要がある。だが、一般に、生体埋入部
材のような構造部材に用いられるジルコニアセラミック
スを高温で処理すると結晶粒径の粗大化を生じ、結晶相
の安定性が低下し、長期間の使用にたいする信頼性が落
ちることが知られている。そのため加熱処理温度は最高
1100℃程度、更に好ましくは900℃以下にすべきである
が、その場合均一な黒色化を実現することは不可能であ
る。一方ペースト状のチタンを用いる場合は、複雑な形
状への適用は可能であるが、ペースト中に混入する汚染
物質の問題や加熱処理により焼結したチタンペーストの
効率的な除去に問題が残る。
【0010】その他の黒色化法では、カーボンや、遷移
金属など、何らかの成分をジルコニアセラミックスに加
えることになるため、生体適合性や、化学的安定性、力
学的特性が低下することが懸念される。
【0011】
【課題を解決する手段】上記課題を解決するため、請求
項1の発明の生体埋入用黒色化ジルコニアセラミクス
は、少なくとも脱酸素率が10ppmより大きく、コバ
ルト60線源にて照射レート約1Mrad/hrで照射
線量約2.5Mradのガンマ線照射滅菌の前後で、実
質的に色調の変化がないことを特徴とする。
【0012】かかる構成によれば、ガンマ線照射滅菌後
も黒色を呈するので審美性に優れる。
【0013】請求項1における黒色化における重要なポ
イントは、生体適用するためのガンマ線照射における変
色と脱酸素率すなわちセラミック中の化学量論的な酸素
濃度に対する酸素の減少率との関係を見極めた点にあ
る。具体的には、ジルコニア結晶中の酸素格子欠陥の量
であり、この脱酸素率が少なくとも10ppmを超える
場合には、黒色が維持される。
【0014】詳細な原理は既知ではないが、ガンマ線照
射による変色は、ジルコニア結晶中の酸素格子欠陥によ
るものではなく、微量不純物元素が原因であると考えら
れる。ガンマ線照射によって、これらの原子のd殻電子
が励起され、可視光領域の電磁波を吸収するようにな
り、その結果ジルコニアセラミックスが特定の色調を帯
びるようになる。そこで、本発明者等は、鋭意努力の結
果、生体用ジルコニアセラミックスでは、脱酸素率が1
0ppm以下の場合には、この色調変化をうち消すほど
の黒色化を維持できないことを見いだした。
【0015】さらに、請求項1の発明は、その好ましい
黒色化の程度を感覚色で定義すると、コバルト60線源
にて照射レート約1Mrad/hrで照射線量約2.5
Mradのガンマ線照射滅菌後のJIS Z8729に
基づく感覚色表示で、L*≦30、−15≦a*≦1
5、−15≦b*≦15の範囲内の黒色を呈するもので
ある。ここでL*は明度、a*及びb*は色度を表し、
L*の値が大きくなればより白く、a*の値が大きけれ
ば赤色がかり、小さくなれば緑色がかり、b*の値が大
きくなれば黄色がかり、小さくなれば青色がかる。本発
明でも感覚色値は、表面粗さによっても変化する物であ
り、上記の数値範囲は、表面をRa表示で0.02μm
以下とした場合の値であり、被測定物からの反射光を分
光し、上記JIS Z8729に規定されたそれぞれの
インデックス数値を計量できる分光測色計によって求め
た値である。
【0016】また、上記ガンマ線滅菌は、滅菌専用ライ
ン(コンベア式・室温・大気中)を使用し、面型のコバ
ルト60線源にて照射レート約1Mrad/hrで実施
する。ジルコニアセラミックスの吸収線量は、試験体ケ
ースに取り付けた線量モニターにて確認し、その値は約
2.5Mradである。
【0017】次に、請求項2の発明の製造方法は、ジル
コニアセラミックス基材表面を活性金属でコーティング
する工程、無酸素雰囲気下で加熱する工程、上記活性化
金属コーティングの少なくとも一部を除去する工程、を
有し、少なくとも脱酸素率が10ppmより大きく、ガ
ンマ線照射滅菌の前後で、実質的に色調の変化がないこ
とを特徴とするものである。
【0018】かかる構成によれば、コーティングが可能
な、どの様な複雑形状にも、容易に均等な黒色化を行う
ことができる。また、従来900℃以上の加熱を必要と
していたものを、上記コーティング法によれば、ジルコ
ニアとチタンの接触が確実となることで、実施例に示す
ような650℃等の低い温度での黒色化が可能となる。
しかも、金属チタンに代表される活性金属のコーティン
グを使用することから、このコーティングがごく薄い場
合でも(数μmから数十μm)黒色化が可能となる。その結
果、酸処理や、サンドブラスト処理などで容易にコーテ
ィング層を除去することが可能となる。ジルコニアセラ
ミックスは一般にコーティング層の金属よりも化学的に
安定であり硬度も高いので、酸処理条件、サンドブラス
ト条件を適切に設定すれば、基材のジルコニアに殆ど影
響を与えずにコーティング層除去が可能である。
【0019】なお、コーティング層は必要に応じて一部
分を除去せずに残しておいても良い。そのような例とし
て、骨との接合表面に純チタンのコーティング層を残し
ておき、このコーティング層上に表面粗さの大きい純チ
タンの溶射被膜を公知の方法で形成し、さらに、この溶
射被膜の凹凸を利用して、生体親和性の大きいアパタイ
トの溶射被膜を形成することができる。ジルコニアセラ
ミックスの表面に接着強度の大きなアパタイトの溶射被
膜を形成することが可能となる。
【0020】本発明において、黒色化に用いるジルコニ
アセラミックスは、安定化剤としてどのような種類を用
いて得も良く、例えばCaO, MgO, Y2O3, その他希土類元
素など制限はない。しかし、種類によって色調が変わる
場合はある。その安定化率も、ジルコニアが室温で破壊
しなければ、いかなる割合でも良く、部分安定化、完全
安定化を問わない。さらに、原料粉末の製造方法も、溶
融法湿式法、共沈法、アルコキシド法など、どのような
方法によって得られた粉末を焼結して作られたジルコニ
アセラミックスを用いても差し支えない。
【0021】色調以外の特性変化を伴わないので、生体
埋入部材としての特定の使用目的に適合する物理的・化
学的特性、すなわち強度・硬度・摩耗特性・長期安定性
・生体為害性成分を含有しない等の特性を備えているジ
ルコニアであれば全て応用可能である。
【0022】コーティング法としては、従来から知られ
ている、PVD法、即ちイオンプレーティング法、蒸着
法、スパッタリング法等や、イオンビームコーティング
法等の方法、また、無電解メッキ法等を用いることが可
能である。
【0023】中でも、コーティングした層を黒色化後も
残し、他の金属との接合などの目的に使用するために
は、要求されるジルコニアとの接合力に応じて、コーテ
ィング方法を選定する必要があり、この場合、イオンプ
レーティング法や、イオンビーム法などの手法を用いる
のがよい。一方、接合力を期待しない場合には、黒色化
のためにのみジルコニア表面に活性金属層を形成すれば
よいため、蒸着法などの簡便な方法を用いることができ
る。
【0024】コーティングする活性金属としては、アル
ミニウム、ジルコニウム、鉄、クロム、銅等のどのよう
な金属元素又はそれらの合金も応用可能であるが、生体
埋入部材に用いるという観点からは、コーティング層の
残留などの点を考え、チタン・ジルコニウムなどの生体
為害性の無い金属及びそれらの合金材料が望ましい。な
かでも純チタンは、経済性や生体材料としての実績の点
から考えて特に望ましい。
【0025】加熱処理温度は、300℃程度から利用可能
であり、加熱温度の上昇につれて処理時間は短縮でき、
900℃程度であれば数分で黒色化できる。本発明では、
加熱処理温度としては、300℃〜1100℃が望ましく、特
に450℃〜900℃が望ましい。
【0026】また、処理時間としては、加熱処理温度に
よっても相違するが、概ね1分間〜5時間が望ましい。生
体材料への適用性を考えた場合、経済性を考慮し、加熱
処理温度が650℃程度で、加熱時間は1時間程度が最も望
ましい。
【0027】本発明における黒色化は、ジルコニアセラ
ミックス中の酸素が活性金属(チタン)へ移動することに
より、ジルコニア結晶中に酸素格子欠陥が生じ、これが
可視光領域の光を吸収する色中心となると考えられる。
そのため、ジルコニアの一部にしかチタンが接触してい
ない場合、十分な加熱がなされなければ、接触部分の周
囲のみ黒色化し、均一な黒色化ができず、審美性を損な
ってしまう。本発明では、活性化金属を一旦コーティン
グを施すことで、ジルコニアセラミックス表面に均一に
存在させていることから、上述したような低い温度で均
一な黒色化が実現可能である。従って、従来法では均一
な黒色化が困難であった複雑な形状を持つ生体埋入部材
(例えば人工膝関節)に対しても低い温度にて均一な黒色
化が実現可能である。
【0028】なお、脱酸素率を極端に上げた場合、力学
的および化学的特性に影響が出てくることも懸念され
る。しかしながら、力学的および化学的特性に影響が出
てくるほど脱酸素率を上げることは、処理時間の長時間
化を招くだけのことであることから、本発明では、処理
温度が300℃〜1100℃の場合、処理時間を1分間〜5時間
の間で実施する限りにおいては、力学的、化学的な影響
は生じない。
【0029】以下本発明を実施例により説明する。
【0030】
【実施例】以下に実施例を示すが、本発明の範囲は、以
下の例に限定されるものではない。 例1 イットリアを3mol%含有する正方晶安定化ジルコニアセ
ラミックスにて、直径17mm厚さ5mmの円板を作製した。
この試料をイオンプレーティング装置の試料チャンバー
に置き、チャンバー内を真空掃引し、表面清浄化と加熱
のためのイオンボンバーディングを行った後、イオンプ
レーティング法(バイアス電圧50V、純チタンターゲッ
ト使用)にてチタンを約20μmコーティングした。コーテ
ィング中の加熱温度は、同条件での間接測定により、30
0〜600℃であった。
【0031】脱酸素率の測定は、以下のようにして実施
した。サンプルを純水中で超音波洗浄した後、80℃恒温
槽にて十分乾燥し、その後室温20℃湿度50%の恒温恒湿
室にて4時間以上静置し、温度と湿度を周囲環境と平衡
状態にした。その後、恒温恒湿室内に設置された精密電
子天秤で秤量した。天秤の精度は±5μgであった。その
値を、加熱前重量とする。電気炉にて1100℃2時間、大
気中で加熱し、室温まで冷却。この時点で全てのサンプ
ルは、白色に戻っていた。再び恒温恒湿室にて4時間以
上静置し、温度と湿度を周囲環境と平衡状態にして秤量
した。この値を、加熱後重量とする。重量の変化は、全
て酸素の吸収又は脱離によるものと仮定し、以下の式に
て脱酸素率(ppm)を計算した。 脱酸素率(ppm) = ([加熱後重量]-[加熱前重量])/([加熱
後重量]×[セラミックス中の酸素重量割合])×1000000 尚、ここでセラミックス中の酸素重量割合=各成分の酸
素重量割合の重み付き平均である。
【0032】結果を表1の実験結果一覧表に示す。
【0033】
【表1】
【0034】コーティング中に600℃に加熱された試験
体(No.1)のチタンコーティング層をアルミナサンドブラ
ストにて除去したところ、均一な黒色に変化していた。
この試験体を前記コバルト60を線源とするガンマ線照射
滅菌装置にて照射線量2.5Mradにて滅菌したところ、色
調の変化無く審美的に優れた黒色を保っていた。
【0035】また、前記JIS Z7829に記載され
た測色方法を用いて、試験体(No.1)の色調を測定したと
ころ、ガンマ照射前がL*=20.7、a*=−0.
2、b*=−4.8であったのに対して、照射後がL*
=19.9、a*=−0.4、b*=−4.4であっ
た。測定条件は、試験体表面を鏡面仕上げした後、総光
源測色計を用い、C公源、2度視野の条件で行った。ガ
ンマ線滅菌後の同試験体の測色値も測定誤差の範囲程度
のものであった。
【0036】コーティング中の加熱温度が低かった(〜3
00℃)試験体を真空熱処理装置に入れ、高真空下で650
℃,1時間の加熱処理を加えた(試験体No.2)。又、同様の
試験体を真空熱処理装置に入れ、高真空下で500℃,1時
間の加熱処理を加えた(試験体No.3)。
これらの試験体のチタンコーティング層をアルミナサン
ドブラストにて除去したところ、均一な黒色に変化して
いた。この試験体に上記のガンマ線照射滅菌を施したと
ころ、色調の変化無く審美的に優れた黒色を保ってい
た。
【0037】また、前記JIS Z7829に記載され
た測色方法を用いて、試験体(No.2)の色調を測定した
ところ、ガンマ照射前がL*=19.7、a*=−1.
2、b*=−5.8であったのに対して、照射後がL*
=19.8、a*=−0.6、b*=−5.5であっ
た。一方、試験体(No.3)の色調を測定したところ、ガ
ンマ照射前がL*=25.7、a*=1.2、b*=−
3.9であったのに対して、照射後がL*=25.9、
a*=1.0、b*=−3.7であった。どちらもガン
マ線滅菌後の同試験体の測色値も測定誤差の範囲程度の
ものであった。
【0038】比較として、同形状の試験体を用いて、従
来法であるチタン板との接触加熱による黒色化を行っ
た。加熱温度950℃(1時間)では色調は完全には黒色化せ
ず、灰色となり、滅菌後には色調がやや赤みがかった灰
褐色に変化し、審美的に劣ったものになった。この試験
体(No.4)の脱酸素率は10ppmであり、脱酸素量が不足し
ていることが確認された。
【0039】また、ガンマ照射滅菌前後の色調を測定し
たところ、ガンマ照射前がL*=50.3、a*=2.
1、b*=1.5であったのに対して、照射後がL*=
48.3、a*=28.5、b*=−22.7であっ
た。このことから色調が大きく変化したことが判った。 例2 イットリアを3mol%含有する正方晶安定化ジルコニアセ
ラミックスにて、直径17mm厚さ5mmの円板を作製した。
この試料をスパッタリング装置の試料チャンバーに置
き、チャンバー内を真空掃引し、純チタンターゲットを
使用してチタンを約20μmコーティングした。
【0040】コーティング後の試験体を真空熱処理装置
に入れ、高真空下で650℃,1時間の加熱処理を加えた(試
験体No.5)。チタンコーティング層をアルミナサンドブ
ラストにて除去したところ、均一な黒色に変化してい
た。この試験体に上記のガンマ線照射滅菌をしたとこ
ろ、色調の変化無く審美的に優れた黒色を保っていた。
【0041】また、前記JIS Z7829に記載され
た測色方法を用いて、試験体(No.5)の色調を測定した
ところ、ガンマ照射前がL*=19.6、a*=−1.
1、b*=−5.6であったのに対して、照射後がL*
=19.9、a*=−0.7、b*=−5.4であっ
た。ガンマ線滅菌後の同試験体の測色値も測定誤差の範
囲程度のものであった。 例3 イットリアを3mol%含有する正方晶安定化ジルコニアセ
ラミックスにて、図1に示すような人工膝関節の大腿骨
側部材と同形状の試験体を作製した。この試料をイオン
プレーティング装置の試料チャンバーに置き、チャンバ
ー内を真空掃引し、試料を回転させながら、表面清浄化
と加熱のためのイオンボンバーディングを行った後、イ
オンプレーティング法(バイアス電圧50V、純チタンタ
ーゲット使用)にてチタンを約50μmコーティングした。
コーティング後の試験体を真空熱処理装置に入れ、高真
空下で650℃,1時間の加熱処理を加えた(試験体No.6)。
チタンコーティング層は、約5%のフッ化水素酸溶液に数
10分浸漬することで除去した。試験体は、均一な黒色に
変化していた。この試験体に上記のガンマ線照射滅菌を
したところ、色調の変化無く審美的に優れた黒色を保っ
ていた。また、前記JIS Z7829に記載された測
色方法を用いて、試験体(No.6)の色調を測定したとこ
ろ、ガンマ照射前がL*=19.6、a*=−1.1、
b*=−5.6であったのに対して、照射後がL*=1
9.9、a*=−0.7、b*=−5.4であった。ガ
ンマ線滅菌後の同試験体の測色値も測定誤差の範囲程度
のものであった。
【0042】比較として、同形状の試験体を用いて、従
来技術であるチタンペーストを塗布する方法での黒色化
を試みた。しかし、チタンペーストを塗布した試験体に
高真空下で650℃,1時間の加熱処理を加えた場合では、
色調にはほとんど変化無かった。そこで、900℃,1時間
の加熱処理を追加したが、試験体は灰色に変色したのみ
であった(試験体No.7)。これは、従来技術が主に1〜2mm
厚のジルコニアセラミックスを対象としているのに対し
て、今回の試験体のサイズは比較に置いて大きいことが
原因であると考えられる。処理後のチタンペーストは焼
結しており、フッ化水素酸溶液によるペースト層の除去
には数時間を要した。また、前記JIS Z7829に
記載された測色方法を用いて、試験体(No.6)の色調を測
定したところ、L*=45.3、a*=6.1、b*=
4.5であった。
【0043】
【発明の効果】上述のように、本発明の生体埋入用ジル
コニアセラミックスによれば、ガンマ線滅菌でも変色し
ない、審美性に優れたものである。また、本発明の生体
埋入用ジルコニアセラミックスによれば、比較的低温の
加熱処理にて、コーティングが可能などの様な複雑形状
にも、容易に均等な黒色化を行うことが出来るという利
点を有している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 潤二 滋賀県蒲生郡蒲生町川合10番地の1 京セ ラ株式会社滋賀工場内 (72)発明者 野田 岩男 滋賀県蒲生郡蒲生町川合10番地の1 京セ ラ株式会社滋賀工場内 Fターム(参考) 4C059 AA01 4C081 AB03 AB05 BB09 CF121 DA16 EA06 4G031 AA08 AA12 AA39 BA28 GA06 GA08 4K029 AA04 BA17 BC00 BC01 BD00 CA03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも脱酸素率が10ppmより大き
    く、コバルト60線源にて照射レート約1Mrad/h
    rで照射線量約2.5Mradのガンマ線照射滅菌の前
    後で、実質的に色調の変化がない生体埋入用黒色化ジル
    コニアセラミックス。
  2. 【請求項2】ジルコニアセラミックス基材表面を活性金
    属でコーティングする工程、 無酸素雰囲気下で加熱する工程、 上記活性化金属コーティングの少なくとも一部を除去す
    る工程、を有し、少なくとも脱酸素率が10ppmより
    大きく、ガンマ線照射滅菌の前後で、実質的に色調の変
    化がない生体埋入用黒色化ジルコニアセラミックスの製
    造方法。
  3. 【請求項3】上記活性金属コーティング工程と加熱工程
    を同時に行う請求項2記載の生体埋入用黒色化ジルコニ
    アセラミックスの製造方法。
  4. 【請求項4】上記活性金属のコーティングを、イオンプ
    レーティング法で行う請求項2記載の生体埋入用黒色化
    ジルコニアセラミックスの製造方法。
  5. 【請求項5】上記活性金属が、チタンである請求項2記
    載の生体埋入用黒色化ジルコニアセラミックスの製造方
    法。
  6. 【請求項6】上記加熱工程における温度が900℃未満で
    ある請求項2記載の生体埋入用黒色化ジルコニアセラミ
    ックスの製造方法。
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