JP2001287008A - 射出成形材の成形方法 - Google Patents

射出成形材の成形方法

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JP2001287008A
JP2001287008A JP2000106342A JP2000106342A JP2001287008A JP 2001287008 A JP2001287008 A JP 2001287008A JP 2000106342 A JP2000106342 A JP 2000106342A JP 2000106342 A JP2000106342 A JP 2000106342A JP 2001287008 A JP2001287008 A JP 2001287008A
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molten metal
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Kazuo Sakamoto
和夫 坂本
Yasuo Uosaki
靖夫 魚崎
Nobuo Sakate
宣夫 坂手
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷却速度が速いMg合金を流動性の低い半溶
融乃至溶融状態の溶湯として射出成形するような場合に
も、キャビティへの充填不良が生じることのない射出成
形材の成形方法を提供する。 【解決手段】 Mg合金溶湯を融点未満の半溶融状態、
又は融点乃至融点直上の溶融状態で射出成形する射出成
形材の成形方法において、射出成形材を成形するための
キャビティを100kPa以下に減圧し、減圧状態にあ
るキャビティに上記Mg合金溶湯を流入させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Mg合金の射出成
形材の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属成形材の製造方法として、鋳造法と
鍛造法とを組み合わせた鋳造鍛造法がある。具体的に
は、鋳造鍛造法は、鋳造法にて最終成形品に近い鍛造素
材を製造し、その鍛造素材を鍛造法にて加工することに
より最終形状に仕上げるというものである。この方法に
よれば、鋳造工程において最終製品に近い鍛造素材が製
造され、仕上鍛造を1工程のみに簡略化することができ
るので、多数の金型が不要となるため経済性に優れ、し
かも高強度の鍛造材を得ることができる。
【0003】しかしながら、鍛造加工前の鍛造素材にガ
ス欠陥や引け巣のような内部欠陥が多く含まれると、高
強度の鍛造材を得ることができず、しかも強度バラツキ
が大きくなる、という問題がある。特に、鋳造鍛造法を
適用することによる経済的なメリットが大きい自動車用
ロードホイールやサスペンションアームなどの肉厚が大
きな部品は、薄肉部品に比べて内部欠陥を多く含む傾向
がある。かかる内部欠陥は、鋳造工程において、金属溶
湯がエアを巻き込んだり、溶湯が凝固する際に収縮する
ことにより生じるものである。
【0004】そして、成形材へのエアの巻き込みを防止
する手段として、特開平8−319523号公報には、
過共晶Al−Si合金素材を固液共存域に誘導加熱し、
67kPa以下の減圧状態にある成形機の金型内へそれ
を充填することが記載されている。
【0005】また、射出成形法において、固体成分の多
い半溶融状態の軽金属溶湯を低速でキャビティに充填す
るようにすれば、射出成形材においてエアの巻き込みに
よる内部欠陥の発生が抑止されることとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
固体成分の多い半溶融状態の溶湯を低速でキャビティに
充填して大型部品を成形するような場合、溶湯の流動性
が低いためにゲート部から遠い周辺部に溶湯が行き渡ら
ず、未充填部分を生じるという問題がある。特に、冷却
速度が速いMg合金を成形材料として用いる場合、この
問題は顕著なものとなる。
【0007】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、冷却速度が速いMg
合金を流動性の低い半溶融乃至溶融状態の溶湯として射
出成形するような場合にも、キャビティへの充填不良が
生じることのない射出成形材の成形方法を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、流動性の低い
半溶融乃至溶融状態のMg合金溶湯を、減圧されたキャ
ビティに流入させるようにしたものである。
【0009】具体的には、本出願の発明は、Mg合金溶
湯を融点未満の半溶融状態、又は融点乃至融点直上の溶
融状態で射出成形する射出成形材の成形方法であって、
上記射出成形材を成形するためのキャビティを100k
Pa以下に減圧し、該減圧状態にあるキャビティに上記
Mg合金溶湯を流入させることを特徴とする。
【0010】上記の構成によれば、100kPa以下に
減圧された状態にあるキャビティに、流動性の低い半溶
融乃至溶融状態のMg合金溶湯が流入することとなるの
で、Al等に比し冷却速度が速いMg合金であってもキ
ャビティの各部に溶湯が行き渡り、溶湯充填性の向上が
有効に図られることとなる。しかも、溶湯は融点未満の
半溶融状態、又は融点乃至融点直上の溶融状態でキャビ
ティに流入することとなるので、エアの巻き込みによる
射出成形材への内部欠陥の発生もが有効に抑止されるこ
ととなる。
【0011】ここで、キャビティを100kPa以下と
したのは、100kPaより高くなると大気圧と同等と
なって減圧による上記効果を得ることができないからで
ある。また、キャビティを10kPa以下に減圧するよ
うにすれば、上記効果をより有効に得ることができる。
【0012】また、キャビティの減圧は溶湯を流入させ
る前に事前に行うようにしてもよく、若しくは、キャビ
ティを減圧するための排気を行いながら溶湯を流入させ
るようにしてもよい。
【0013】そして、Mg合金とは、Mgをマトリック
スとする合金をいい、具体的には、ASTMにおいて規
格化されているAZ91D等を挙げることができる。
【0014】また、半溶融状態とは、原料であるMg合
金が固体状態のままの部分と、融解して液体状態となっ
た部分とが共存している状態をいい、通常、Mg合金原
料を融点未満に加熱することによって得られる状態であ
る。
【0015】本出願の発明は、融点未満の半溶融状態の
Mg合金溶湯により成形する場合に極めて有効である。
かかる溶湯は流動性が特に低いからである。そして、こ
の場合、固相と液相との体積和に対する固相の体積百分
率である固相率が10%以上となるように溶湯を構成す
るようにすれば、キャビティへの溶湯の流入が緩やかな
層流となるため、内部欠陥(特にガス欠陥)の少ない健
全な射出成形材が成形されることとなる。また、溶湯が
凝固した際に生じる収縮は専ら液相の収縮に起因するも
のであるため、溶湯が凝固した際の収縮量が小さいもの
となり、寸法精度が良好な射出成形材が得られると共
に、内部欠陥をなす引け巣も少なくなる。
【0016】ところで、射出成形法において、成形過程
でのエアの巻き込みを防止して射出成形材への内部欠陥
の発生を抑止するためには、Mg合金溶湯を融点未満の
半溶融状態、融点乃至融点直上の溶融状態といった流動
性が低いものとし、しかもキャビティへの溶湯の流入速
度を30m/s以下、好ましくは1〜10m/sに低く
することが有効であるが、このような場合にキャビティ
への溶湯の充填不良が顕著となるため、本出願の発明の
溶湯充填性向上効果がより有効に奏されることとなる。
【0017】ここで、流入速度を30m/sより速くす
ると、溶湯が乱流状態となって、射出成形材にエアの巻
き込みによる内部欠陥が多く発生することとなる。ま
た、流入速度を1m/sより遅くすると溶湯の充填不良
が生じやすくなる。
【0018】また、成形過程でのエアの巻き込みを防止
して射出成形材への内部欠陥の発生を抑止するために
は、キャビティへの溶湯の流入口であるゲート部の断面
積Sgと、溶湯流入方向に対して略垂直な方向における
該キャビティの最大断面積Swとの比Sg/Swを、0.
2以上、好ましくは0.8以上として、溶湯の流入口を
大きく設けることにより、溶湯を層流又は層流に近い状
態でキャビティに緩やかに流入させることも有効である
が、かかる場合にも本出願の溶湯充填性向上効果がより
有効に奏されることとなる。
【0019】ここで、Sg/Swを0.2より小さくする
と溶湯が狭いゲート部から広いキャビティに解放される
ことにより乱流状態となって、射出成形材にエアの巻き
込みによる内部欠陥が多く発生することとなる。また、
この比を大きくするほど射出成形材の内部欠陥を減少さ
せることができるが、0.8以上では内部欠陥率を極め
て低い値に維持できるようになる。なお、この比が1.
0よりも大きい、すなわち、ゲート部の断面積Sgの方
がキャビティの最大断面積Swより大きい場合、技術的
な不都合は発生しないものの、ゲート部に余剰の成形体
が生成することとなり、歩留まりが悪くなるという問題
が生じる。
【0020】また、キャビティとは、金型内において、
製品としての射出成形材を成形するための空間をいい、
例えば、ゲート部における溶湯流路の絞り部分が設けら
れずに、実質的にゲート部が存在しないような場合であ
っても同様であり、その場合には、キャビティまで連通
した溶湯の流通路(ランナー部)とキャビティとの境界
部がゲート部となる。
【0021】本出願の発明において、キャビティへの溶
湯の流入過程でキャビティを減圧するための排気を行う
場合には、その排気はキャビティにおけるゲート部から
最も離れた位置から行うことが好ましい。キャビティの
ゲート部から最も離れた位置が溶湯の充填性が最も劣る
が、上記の構成によれば、溶湯はゲート部から排気口に
向かって常に減圧された状態でキャビティを充填しなが
ら流れることとなるので、確実に排気口の位置まで溶湯
が導かれることとなるからである。
【0022】本出願の発明によって製造される射出成形
材は、鍛造加工等の塑性加工用素材として使用すること
ができる。鍛造型で形成される鍛造成型空間が完全には
閉塞されておらず、鍛造用素材の少なくとも一部が鍛造
型によって拘束されずにフリーに塑性変形し得るように
なった非閉塞鍛造加工のような場合、鍛造工程で内部欠
陥を十分に潰すということは困難であるが、本出願の発
明によって製造される射出成形材では内部欠陥が極めて
少なく成形されるため、非閉塞鍛造加工のような非閉塞
塑性加工においても十分に内部欠陥を潰すことができ
る。もちろん、閉塞鍛造加工のような閉塞塑性加工を施
しても十分に内部欠陥を潰すことができる。
【0023】また、本出願の発明によって製造される射
出成形材は内部欠陥が極めて少ないものであるため、そ
のまま一次製品として使用できる。
【0024】
【発明の効果】本出願の発明によれば、減圧された状態
にあるキャビティに、流動性の低い半溶融乃至溶融状態
のMg合金溶湯が流入することとなるので、Al等に比
し冷却速度が速いMg合金であってもキャビティの各部
に溶湯が行き渡り、溶湯充填性の向上を有効に図ること
ができる。しかも、溶湯は融点未満の半溶融状態、又は
融点乃至融点直上の溶融状態でキャビティに流入するこ
ととなるので、エアの巻き込みによる射出成形材への内
部欠陥の発生を有効に抑止することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】(射出成形装置)図1は、本実施
形態に係るMg合金製の射出成形材(鍛造素材)を成形
する射出成形装置1を示す。
【0026】この射出成形装置1は、本体部2と、本体
部2に回転可能に支持されたスクリュー3と、本体部2
の背部に配置されたスクリュー3を回転駆動するための
回転駆動部4と、スクリュー3を囲うようにして本体部
2に固定されたシリンダ5と、シリンダ5の外周に長手
方向に所定ピッチで間隔をおいて配設されたヒータ6
と、Mg合金原料が投入され貯えられるホッパ7と、ホ
ッパ7内の原料を計量して射出成形装置1内に供給する
フィーダ8と、シリンダ5の先端に装着された金型9と
を備えている。
【0027】本体部2には、スクリュー3をシリンダ5
内の長手方向に前進させる射出機構が設けられている。
この射出機構は、前方に送られるMg合金溶湯の圧力に
より後退するスクリュー3の後退距離が予め設定された
ものとなった際に、それを検知してスクリュー3の回転
及び後退動作を停止させ、所定のタイミングでスクリュ
ー3を前進させて溶湯を射出するように構成されてい
る。スクリュー3の前進速度は制御可能とされており、
金型9のキャビティ12への溶湯の流入速度が1〜30
m/sの範囲となるように制御がなされるようになって
いる。
【0028】シリンダ5には、先端部にノズル10が設
けられており、シリンダ5内で攪拌・混練された溶湯が
このノズル10を通してキャビティ12に射出されるよ
うになっている。このキャビティ12への溶湯の射出
は、シリンダ5前方部に所定量の溶湯が溜まったときに
行われるので、それまでの間は、溶湯のノズル10から
の流出を防止する必要がある。そこで、溶湯をシリンダ
5前方部に溜めている間は、冷却装置によりノズル10
の温度を下げて、溶湯が固化して形成されるコールドプ
ラグによりノズル10を塞ぎ、溶湯を射出する際は、ノ
ズル用ヒータによりノズル10の温度を上げて、コール
ドプラグのノズル10との界面を溶融させて溶湯の射出
と共にそれが容易に金型9側に押し出されて外れるよう
にノズル10の温度制御がなされている。
【0029】シリンダ5の外周に設けられたヒータ6
は、シリンダ5が長手方向に沿って前方に行くほど高温
となるように、複数のゾーンに分割されて温度制御が行
われ、Mg合金原料がスクリュー3によってシリンダ5
内を前方に搬送されながら昇温し、シリンダ5前方部に
おいて融点未満の半溶融状態の溶湯、又は融点乃至融点
直上の溶融状態となるように制御されている。
【0030】ホッパ7、フィーダ8及びシリンダ5並び
にこれらを連結する通路には、Mg合金の酸化を防止す
るために不活性ガス(例えばArガス)が充填されてい
る。
【0031】金型9は、ノズル10から射出された溶湯
を導くランナー部11を有している。そのランナー部1
1は、シリンダ5のノズル10から真っ直ぐに延びた
後、垂直に立ち上がるL字状に形成されており、その角
部にはノズル10から外れたコールドプラグを受けるた
めのプラグ受け部11aが設けられている。また、金型
9は、図2に示すように、ランナー部11と連通した幅
100mm、長さ170mm及び厚さ10mmの板状の
製品を成形加工するためのキャビティ12と、キャビテ
ィ12とランナー部11との境界をなすゲート部13
と、キャビティ12のゲート部13と反対側に設けら
れ、溶湯により置換されたキャビティ12内のガスを収
容するためのオーバーフロー部14と、オーバーフロー
部14に続いて隙間状に形成されたチルベント15と、
チルベント15と金型外部と連通するように形成された
排気口16と、排気口16の連通と遮断とを切り替える
ためのバルブ17と、キャビティ12等を囲うように金
型外周近傍に設けられた環状溝に嵌め入れられたシール
18とを備えている。
【0032】キャビティ12及びランナー部11の隙間
は10mmに形成されており、ゲート部13の隙間は2
〜10mmに形成されている(図2では、ゲート部13
の隙間が2mm)。ここで、ゲート部13の隙間が2〜
10mmであることからゲート断面積Sgは200〜1
000mm2となり、キャビティ12の水平断面積Swは
1000mm2であることから、Sg/Swは0.2〜
1.0となる。Sg/Sw=1.0とは、ゲート部13の
断面積とキャビティ12の断面積とが等しいことを意味
し、ゲート部13で溶湯流路が狭くなるように形成され
ていないことを意味する。そして、このSg/Swを0.
2〜1.0の範囲で適当に設定することによっても、キ
ャビティ12への溶湯の流入速度を制御することができ
る。また、その制御は、スクリュー3の前進速度との組
み合わせによっても行うことができる。
【0033】排気口16の金型外側の開口部は真空チャ
ンバーに繋がっており、バルブを開くことによりキャビ
ティ12等のエアがオーバーフロー部14及びチルベン
ト15を経て排気口16から外部に排出されて10kP
a以下に減圧されることとなる。すなわち、キャビティ
12は、ゲート部13から最も離れたオーバーフロー部
14側の上部から排気されることとなる。このとき、シ
ール18が対面する射出成形装置側の金型に圧接するた
め、金型9の合わせ部からのキャビティ12等へのエア
の流入が防止される。 (射出成形方法)次に、上記射出成形装置1を用いたM
g合金の射出成形方法について説明する。
【0034】まず、チップ状のMg合金(例えばMg−
Al合金等)を原料として射出成形装置1のホッパ7に
投入する。投入されたMg合金チップは、フィーダ8で
所定量が計量されて射出成形装置1内に供給される。
【0035】次いで、Mg合金チップは、スクリュー3
の回転によって加熱状態のシリンダ5内に送給されると
共に、シリンダ5内部でスクリュー3の回転により十分
に攪拌・混練されながら所定温度に加熱される。これに
よって、Mg合金チップは、融点未満における固相率1
0%以上の半溶融状態のMg合金溶湯となる。
【0036】このようにして得られた溶湯は、スクリュ
ー3によって前方に押し出されてシリンダ5前方部に溜
められると共に、溜まった溶湯の圧力によりスクリュー
3が後退する。このとき、シリンダ5に設けられたプラ
グの温度を下げ、溶湯の一部が固化して形成されたコー
ルドプラグによってプラグが塞がれるようにして、溶湯
がプラグを通ってシリンダ5外に流出するのを防ぐ。
【0037】スクリュー3が予め設定された距離だけ後
退すると、本体部2の射出機構がそれを検知してスクリ
ュー3の回転及び後退動作を停止させる。このとき、シ
リンダ5前方部にはワンショット分の溶湯が溜まった状
態となっている。
【0038】これに並行して、金型9に設けられたバル
ブ17を開くことにより排気し、キャビティ12等を1
0kPa以下に減圧する。キャビティ12が減圧状態と
なった時点でバルブ17を閉じる。
【0039】そして、ノズル用ヒータでノズル10の温
度を上げることにより、コールドプラグのノズル10と
の界面を溶融させると共に、射出機構によってスクリュ
ー3を前進させて溶湯に圧力を作用させることにより、
コールドプラグを金型9側に押し出して外し、ノズル1
0から射出された溶湯を定常圧力でキャビティ12に流
入させる。なお、外れたコールドプラグはランナー部1
1のプラグ受け部11aに保持されることとなる。
【0040】また、キャビティ12への溶湯の流入速度
は1〜30m/s(好ましくは10m/s以下)となる
ように制御を行う。この制御は、スクリュー3の前進速
度を適当な範囲で設定すること、又は金型9のゲート部
13の断面積Sgとキャビティ12の断面積Swとの比S
g/Swを0.2〜1.0の範囲で設定すること、若しく
はこれらの組み合わせにより達成される。
【0041】最後に、溶湯が凝固した後、金型9を開
き、成形された射出成形材を取り出す。
【0042】取り出した射出成形材は、鍛造素材として
鍛造加工を施し、その後、T6等の熱処理を施す。
【0043】上記の射出成形材の製造方法によれば、キ
ャビティ12が10kPa以下に減圧された状態にある
ので、Al等に比し冷却速度が速く且つ流動性の極めて
低い固相率10%以上の半溶融状態のMg合金溶湯が、
Sg/Sw0.2以上(好ましくは0.8以上)とされた
ゲート部13から、流入速度30m/s以下(好ましく
は1〜10m/s)の低速でキャビティ12に流入する
場合であっても、キャビティ12の各部に溶湯が行き渡
り、充填不良のない射出成形材を得ることができる。
【0044】しかも、溶湯は半溶融状態でキャビティ1
2に流入し、また、キャビティ12への溶湯の流入速度
が30m/s以下(好ましくは1〜10m/s)とさ
れ、さらにSg/Swが0.2以上(好ましくは0.8以
上)とされているので、エアの巻き込みによる射出成形
材への内部欠陥の発生が有効に抑止される。 (その他の実施形態)上記実施形態では、キャビティ1
2を10kPa以下に減圧したが、100kPa以下に
減圧しても同様の効果を得ることができる。但し、圧力
を約50〜100kPaとする場合には、金型9のシー
ル18を外すことが好ましい。シール18による密閉に
よりキャビティ12に残留するエアが逃げる空間が無く
なり、溶湯の充填不良を生じる虞があるからである。ま
た、かかる圧力範囲であれば、溶湯の流入過程において
もキャビティ12からの排気をシール18を外した状態
で継続して行うようにしてもよい。かかる排気は、キャ
ビティ12におけるゲート部13から最も離れたキャビ
ティ12上部から行われるので、溶湯はゲート部13か
ら排気口に向かって常に減圧された状態でキャビティ1
2を充填しながら流れることとなり、確実にキャビティ
12上部まで溶湯が導かれることとなる。
【0045】また、上記実施形態では、Mg合金チップ
を固相率が10%以上の半溶融状態となるように加熱し
たが、融点乃至融点直上の溶融状態に加熱するようにし
てもよい。
【0046】
【実施例】(試験評価1)射出成型時の金型内圧力(キ
ャビティ内の圧力)と、射出成形材の相対密度との関係
についての試験評価を行った。 <試験評価方法>ゲート部の断面積Sgとキャビティの
断面積Swとの比Sg/Swを1.0とした点を除いて
は、図2に示す金型と同一構成の金型Aを準備した。
【0047】金型Aを装着した型締め力4.4×106
Nの射出成形装置(株式会社日本製鋼所社製 型式:J
LM−450E)を用い、型内圧力(キャビティ内圧
力)を4水準変量し、各減圧条件において表1に示す合
金Aから幅100mm、長さ170mm及び厚さ10m
mの金属板状の射出成形材をそれぞれ射出成形した。こ
のとき、型内圧力(キャビティ内圧力)を50kPa未
満に減圧する場合には金型にシールを装着して成形を行
ったが、50kPa以上ではシールを外して成形を行っ
た。減圧はキャビティへの溶湯の流入に先立って行っ
た。また、キャビティへの溶湯流入速度は10m/sと
した。さらに、成形した射出成形材の固相率が10%以
上となるように溶湯の温度制御を行い、固相率は成形し
た射出成形材表面を画像解析することにより確認した。
ここで、合金Aは、ASTM規格におけるAZ91Dで
ある。
【0048】次いで、それぞれの射出成形材の上部(オ
ーバーフロー部側)及び下部(ゲート部側)から、図3
に示すように、一辺33mmの正方形板を計6枚切り出
し、各正方形板の密度をアルキメデス法により測定して
平均した。その密度の平均値を同形状を合金Aで完全に
充填した場合に計測されると考えられる理論密度で除
し、それを100倍して相対密度とした。すなわち、1
00と相対密度との差が内部欠陥率ということになる。
【0049】
【表1】
【0050】<試験評価結果>図4は、型内圧力(キャ
ビティ内圧力)と、射出成形材の相対密度との関係を示
す。同図によれば、型内圧力(キャビティ内圧力)が低
くなるに連れて成形品の相対密度が高くなることが分か
る。これは、キャビティを減圧することにより、キャビ
ティ内での溶湯の湯廻り性が向上したためであると考え
られる。型内圧力(キャビティ内圧力)が10kPa以
下となると相対密度はほぼ99.5%の水準に維持され
る。これは、射出成形材に引け巣が残るためであると考
えられる。この引け巣は鍛造加工により消滅させること
ができる。 (試験評価2)金型における排気口を設ける位置の相異
と、射出成形材の相対密度との関係についての試験評価
を行った。 <試験評価方法>試験評価1における金型Aと、図5に
示すように排気口をゲート部横に設けたこと及びシール
が設けられていないことを除いては金型Aと同一構成の
金型Bとを準備した。
【0051】次いで、金型A及び金型Bのそれぞれにつ
いて、合金Aにより試験評価1と同一形状の金属板状の
射出成形材をそれぞれ射出成形した。このとき、金型A
ではシールを外して成形を行った。また、排気による減
圧はキャビティへの溶湯の流入過程の間継続して行い、
その圧力を50kPaとした。さらに、キャビティへの
溶湯流入速度は10m/sとした。また、成形した射出
成形材の固相率が10%以上となるように溶湯の温度制
御を行い、固相率は成形した射出成形材表面を画像解析
することにより確認した。
【0052】次いで、それぞれの射出成形材の上部(オ
ーバーフロー部側)から、図6に示すように、一辺33
mmの正方形板を計3枚切り出し、各正方形板の密度を
アルキメデス法により測定して平均し、試験評価1と同
様にして相対密度を算出した。射出成形材の上部からの
み試料を採取したのは、この部分で溶湯の不十分な充填
が起こりやすいからである。 <試験評価結果>図7は、金型A及び金型Bのそれぞれ
を用いて成形した射出成形材上部の相対密度の比較を示
す。同図によれば、金型Aの方が、相対密度の高い射出
成形材を得ることができることが分かる。すなわち、ゲ
ート部より離れた位置からキャビティを減圧する排気を
行った方が溶湯の湯廻り性に優れるということがいえ
る。また、金型Aを用いて減圧を行わない以外同条件で
試験を実施した場合、相対密度は95%であったのに対
し、本試験評価では相対密度が99%を超えており、こ
のことからもキャビティの減圧が湯廻り性向上に効果を
有することが確認できる。 (試験評価3)射出成形におけるキャビティへの溶湯の
流入速度と射出成形された射出成形材の相対密度との関
係についての試験評価を行った。 <試験評価方法>試験評価1で用いた金型Aと、図2に
示すようにSg/Swを0.2とした金型Cとを準備し
た。
【0053】次いで、金型A及び金型Cのそれぞれにつ
いて、スクリュー速度を3水準ずつ変量し、合金Aによ
り金属板状の射出成形材を射出成形した。また、金型A
の場合はゲート部において、金型Cの場合はランナー部
における流路径が広くなる部分において、それぞれ溶湯
の流入速度を測定した。さらに、成形した射出成形材の
固相率が0〜5%となるように溶湯の温度制御を行い、
その固相率は成形した射出成形材表面を画像解析するこ
とにより確認した。
【0054】そして、試験評価1と同様、成形された各
射出成形材の密度を測定し、相対密度を算出した。 <試験評価結果>図8は、キャビティへの溶湯流入速度
と射出成形材の相対密度との関係を示す。同図によれ
ば、キャビティへの溶湯流入速度が30m/sを超える
と射出成形材の相対密度が急激に低下することが分か
る。これは、流入速度が高くなると、キャビティへの溶
湯の流入が乱流状態となって、エアが巻き込まれること
となるので、射出成形材に多くの内部欠陥が発生するこ
ととなるからであると考えられる。また、溶湯流入速度
が10m/s以下になると低固相率でも相対密度が95
%を超える射出成形材を射出成形することができるとい
うことが分かる。しかしながら、溶湯流入速度が1m/
s以下ではキャビティ全体に溶湯が行き渡らず、充填不
良を生じた。
【0055】なお、本試験評価はキャビティ内を減圧せ
ずに行ったものであるが、図8において相対密度が95
%を超える領域における内部欠陥は、主に引け巣による
影響であるが、それより相対密度の低い領域では、上記
減圧によるエア巻き込みの抑止効果により相対密度の向
上を図ることができるものと考えられる。従って、本案
のようにキャビティ内を減圧する場合においても、上記
試験評価結果は適用できるものと考えられる。 (試験評価4)キャビティへの溶湯流入口であるゲート
部の断面積Sgとキャビティの横断面積Swとの比Sg/
Swと、射出成形材の相対密度との関係についての試験
評価を行った。 <試験評価方法>Sg/Swを5水準変量し、合金Aによ
り試験評価1と同一形状の金属板状の射出成形材をそれ
ぞれ金型Aを用いて射出成形した。また、キャビティへ
の溶湯流入速度は20m/sとした。さらに、成形した
射出成形材の固相率が0〜5%となるように溶湯の温度
制御を行い、その固相率は成形した射出成形材表面を画
像解析することにより確認した。
【0056】そして、試験評価1と同様、成形された各
射出成形材の密度を測定し、相対密度を算出した。 <試験評価結果>図9は、Sg/Swと射出成形材の相対
密度との関係を示す。同図によれば、Sg/Swが0.2
より小さくなると射出成形材の相対密度の低下が大きく
なることが分かる。また、Sg/Swが0.8以上では、
射出成形材の相対密度を高い同水準に維持できるという
ことが分かる。
【0057】なお、本試験評価4は、試験評価3と同様
にキャビティ内を減圧せずに行ったものであるが、本試
験評価4においても前記試験評価3と同様なことが云え
るものと考えられるので、本案のようにキャビティ内を
減圧する場合においても上記試験評価結果は適用できる
ものと考えられる。 (試験評価5)射出成形された射出成形材の固相率と相
対密度との関係についての試験評価を行った。 <試験評価方法>射出する溶湯の温度を変量、すなわ
ち、固相率を変量し、合金Aにより試験評価1と同一形
状の金属板状の射出成形材を金型Aを用いてそれぞれ射
出成形した。また、キャビティへの溶湯流入速度は10
m/sとした。さらに、固相率は射出成形材表面を画像
解析することにより確認した。
【0058】そして、試験評価1と同様、成形された各
射出成形材の密度を測定し、相対密度を算出した。 <試験評価結果>図10は、射出成形材の固相率と相対
密度との関係を示す。同図によれば、半溶融状態の溶湯
により射出成形した方が高い相対密度を得ることができ
るということが分かる。具体的には、固相率が10%以
上で安定して高い相対密度を得ることができることが確
認できる。これは、固相率が10%以上である半溶融状
態の溶湯は極めて粘度の高い流体であり、溶湯のキャビ
ティへの流入が緩やかな層流となるためであると考えら
れる。また、固相率が10%以上となっても相対密度の
向上が見られず100%とはならないが、これは射出成
形材に引け巣がどうしても発生してしまうためであると
考えられる。
【0059】なお、本試験評価5は、試験評価3,4と
同様にキャビティ内を減圧せずに行ったものであるが、
本試験評価5においても前期試験評価3,4と同様なこ
とが云えるものと考えられるので、本案のようにキャビ
ティ内を減圧する場合においても上記試験評価結果は適
用できるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る射出成形装置の部分断
面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る射出成形装置の金型の
内部構成を示す図である。
【図3】試験評価1における板状射出成形材からの密度
計測用試料採取に関する平面説明図である。
【図4】型内圧力と射出成形材の相対密度との関係を示
すグラフ図である。
【図5】金型Bの内部構成を示す図である。
【図6】試験評価2における板状射出成形材からの密度
計測用試料採取に関する平面説明図である。
【図7】金型A及び金型Bのそれぞれを用いて成形した
射出成形材上部の相対密度の比較を示すグラフ図であ
る。
【図8】溶湯流入速度と射出成形材の相対密度との関係
を示すグラフ図である。
【図9】Sg/Swと射出成形材の相対密度との関係を示
すグラフ図である。
【図10】溶湯の固相率と射出成形材の相対密度との関
係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 射出成形装置 2 本体部 3 スクリュー 4 回転駆動部 5 シリンダ 6 ヒータ 7 ホッパ 8 フィーダ 9 金型 10 ノズル 11 ランナー部 11a プラグ受け部 12 キャビティ 13 ゲート部 14 オーバーフロー部 15 チルベント 16 排気口 17 バルブ 18 シール

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg合金溶湯を融点未満の半溶融状態、
    又は融点乃至融点直上の溶融状態で射出成形する射出成
    形材の成形方法であって、 上記射出成形材を成形するためのキャビティを100k
    Pa以下に減圧し、該減圧状態にあるキャビティに上記
    Mg合金溶湯を流入させることを特徴とする射出成形材
    の成形方法。
  2. 【請求項2】 上記キャビティへの上記Mg合金溶湯の
    流入速度を30m/s以下とすることを特徴とする請求
    項1に記載の射出成形材の成形方法。
  3. 【請求項3】 上記流入速度を1〜10m/sとするこ
    とを特徴とする請求項2に記載の射出成形材の成形方
    法。
  4. 【請求項4】 上記キャビティへの上記Mg合金溶湯の
    流入口であるゲート部の断面積Sgと、溶湯流入方向に
    対して略垂直な方向における該キャビティの最大断面積
    Swとの比Sg/Swを、0.2以上とすることを特徴と
    する請求項1に記載の射出成形材の成形方法。
  5. 【請求項5】 上記キャビティへの上記Mg合金溶湯の
    流入口であるゲート部の断面積Sgと、溶湯流入方向に
    対して略垂直な方向における該キャビティの最大断面積
    Swとの比Sg/Swを、0.8以上とすることを特徴と
    する請求項1に記載の射出成形材の成形方法。
  6. 【請求項6】 上記キャビティを10kPa以下に減圧
    し、該減圧状態にあるキャビティに上記Mg合金溶湯を
    流入させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか
    一に記載の射出成形材の成形方法。
  7. 【請求項7】 上記キャビティへの上記Mg合金溶湯の
    流入過程で該キャビティを減圧するための排気を行う場
    合において、該排気は上記Mg合金溶湯の流入口である
    ゲート部から最も離れた位置から行うことを特徴とする
    請求項1乃至6のいずれか一に記載の射出成形材の成形
    方法。
  8. 【請求項8】 上記Mg合金溶湯を融点未満の半溶融状
    態で上記キャビティに流入させることを特徴とする請求
    項1乃至7のいずれか一に記載の射出成形材の成形方
    法。
  9. 【請求項9】上記半溶融状態は、固相と液相との体積和
    に対する固相の体積百分率である固相率が10%以上で
    あることを特徴とする請求項8に記載の射出成形材の成
    形方法。
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