JP2001286905A - ステンレス鋼箔 - Google Patents

ステンレス鋼箔

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JP2001286905A
JP2001286905A JP2000109026A JP2000109026A JP2001286905A JP 2001286905 A JP2001286905 A JP 2001286905A JP 2000109026 A JP2000109026 A JP 2000109026A JP 2000109026 A JP2000109026 A JP 2000109026A JP 2001286905 A JP2001286905 A JP 2001286905A
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Katsuo Yamaguchi
勝雄 山口
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Toyo Seihaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚さ30〜50μmであり、平坦度が高くか
つ高硬度であるオーステナイト系ステンレス鋼箔を提供
する。 【解決手段】 多段圧延機により厚さ30〜50μ
m、幅310〜550mmに圧延されたステンレス鋼箔
であって、このステンレス鋼箔を圧延方向の両端部を所
定の幅ほど除去して圧延方向の長さが300〜500m
mに切断して得た箔片を定盤上に静置したときに、定盤
面から箔片の両端部を除去した端部近傍までの高さが
1.5mm以下であるステンレス鋼箔。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種のスイッチ用
バネ材等として使用されるオ―ステナイト系ステンレス
鋼箔に関するものである。
【0002】
【従来の技術】OA機器、AV機器、携帯用電子機器等
においては、各種のタクトスイッチが使用されている。
近年、これら機器の長寿命化指向により、タクトスイッ
チに用いられるバネ材(以下、ドーム接片という)も長
寿命化が要求されている。従来から、このドーム接片
は、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS301、3
04等)の素材を冷間圧延した金属箔が使用されてい
る。この理由は、オーステナイト系ステンレス鋼である
SUS301、304は、冷間圧延による加工変態によ
りオーステナイト相がマルテンサイト相に変態して硬化
するために、高い強度と硬度を有する良質なバネ材とし
て利用できるからである。
【0003】従来から、オーステナイト系ステンレス鋼
を圧延してバネ材とする技術については種々提案されて
いる。例えば、特開平6−279952号公報には、自
動車のシートベルト用バネとして加工性に優れた高強度
ステンレスバネ鋼の提供を目的として、溶体化熱処理後
に圧下率20〜70%の冷間圧延を行ってオーステナイ
ト相とマルテンサイト相の2相からなり、ビッカース硬
さ(Hv)を400〜580に調整した高強度バネ用ス
テンレス鋼が開示されている。さらに、同公報では、時
効熱処理を実施することによりビッカース硬さ(Hv)
を600以上に調整した高強度バネ用ステンレス鋼が開
示されている。特開平7−216450号公報には、高
硬度でかつ高強度のバネ性に優れたオーステナイト系ス
テンレス鋼の製造方法の提供を目的として、オーステナ
イト系ステンレス鋼素材を、圧下率20%以上の冷間圧
延により硬化させながら所望の板厚とした後、650〜
900℃の熱処理により軟化させながら所望の硬さに調
整する方法が開示されている。同公報には、この発明に
よりSUS301においては、ビッカース硬さが490
〜550に調整されることが開示されている。特開平9
−192712号公報には、目標とする板厚、硬度を有
するオーステナイト系ステンレス鋼板を圧延により製造
する方法の提供を目的として、圧延するオーステナイト
系ステンレス鋼の圧延温度と圧下率と硬度との相関関係
を求めておき、その相関関係に基づいて最終パスで目的
の板厚と硬度になるように圧延パス回数、目標の各圧延
温度、圧下率及び各パス後の硬度とを決定して圧延する
方法が開示されている。そして同公報には、母材板厚
0.6mmから目標板厚0.3mmに圧延するために複
数の冷間圧延パスを行って、ビッカース硬さHvが40
1〜506の鋼板が得られたことが開示されている。
【0004】特開平8−165519号公報には、片面
エッチング後の反りの小さいバネ用オーステナイト系ス
テンレス鋼箔の製造方法の提供を目的として、冷間圧延
した0.04〜0.30mm板厚のオーステナイト系ス
テンレス鋼板を窒素濃度10Vol%以下の非酸化性ガ
ス雰囲気中で光輝焼鈍し、続いで圧下率35%以上の調
質圧延を行う製造方法が開示されている。そして同公報
には、引張強さが130kgf/mm以上のオーステ
ナイト系ステンレス鋼箔が得られたことが開示されてい
る。特開平7−300654号公報には、高靭性ステン
レス鋼帯を得ることを目的として、C、Si、Mn、N
i、Cr、N等の成分含有量を所定の範囲にした2.0
mm厚の鋼帯を冷間圧延した後、時効処理を施すことに
より引張強度1800N/mm以上の高靭性ステンレ
ス鋼帯が得られることが開示されている。
【0005】近年、前記のようにOA機器等の小型化要
求は一層強くなり、これらの機器に使用されるドーム接
片等は、一般にその厚さが30〜50μmの極薄のステ
ンレス鋼箔が使用されている。また、ドーム接片として
の耐久性と押しボタンスイッチとしての接触感の良さも
要求されている。この耐久性についてはバネ材の引張強
さと厚みの精度、接触感についてはバネ材の硬さが影響
する。厚さ30〜50μmのドーム接片の耐久性を向上
させるためには、少なくとも引張強さは1600N/m
以上、接触感を向上させるためにはビッカース硬さ
Hvは530以上が必要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の技術におい
ては、冷間圧延したステンレス鋼箔の厚さが50μm以
下であり、高い平坦度を有し、かつそのビッカース硬さ
及び引張強さを向上させたステンレス鋼箔については開
示されていない。本発明の目的は、オーステナイト系ス
テンレス鋼箔の素材コイルから、冷間圧延により厚さ3
0〜50μmで平坦度が高く、かつ高硬度、高い引張強
さを有するドーム接片等に用いられるステンレス鋼箔を
提供することにある。特に、近年においては生産性向上
のために圧延幅が400mm以上、かつその平坦度が高
い幅広のステンレス鋼箔を製造するニーズが強くなって
おり、本発明はこのニーズに答えようとするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、多段圧延機に
より厚さ30〜50μm、幅310〜550mmに圧延
されたステンレス鋼箔であって、このステンレス鋼箔を
圧延方向の両端部を所定の幅ほど除去して圧延方向の長
さが300〜500mmに切断して得た箔片を定盤上に
静置したときに、この定盤面から箔片の両端部を所定の
幅ほど除去した端部近傍までの高さBが1.5mm以
下、望ましくは、定盤面から箔片の中央部近傍までの高
さAが0.5mm以下、同じく定盤面から両端部を所定
の幅ほど除去した箔片の端部近傍までの高さBが1.5
mm以下のステンレス鋼箔であり、さらにビッカース硬
さが530以上、引張り強さが1600N/mmのス
テンレス鋼箔である。
【0008】本発明者は、ドーム接片等として利用され
る厚さ30〜50μmのオーステナイト系ステンレス鋼
箔において、多段圧延機を使用した冷間圧延により、平
坦度が所定の値以上になるように圧延すると、この鋼箔
の硬さおよび引張強さも向上するステンレス鋼箔を得る
ことができることを見出した。上記の平坦度について
は、最終の仕上げ圧延工程において、多段圧延機により
厚さ30〜50μm、幅310〜550mmに圧延され
たステンレス鋼箔を圧延方向の両端部を所定の幅ほど除
去し、圧延方向の長さが300〜500mmに切断して
得た箔片(縦横300〜500mm)を3次元測定器の
定盤上に静置したときの平坦度を測定した。すなわち、
この定盤面から両端部を所定の幅ほど除去した箔片の端
部近傍までの垂直高さBが1.5mm以下、望ましくは
定盤面から箔片の中央部近傍までの垂直高さAが0.5
mm以下、同じく定盤面から両端部を所定の幅ほど除去
した箔片の端部近傍までの垂直高さBが1.5mm以下
の平坦度を有していると、ドーム接片用素材等としてプ
レス打ち抜き、あるいはエッチング処理を行っても、反
り量は目標範囲内になることを見出したのである。な
お、本発明においては、冷間圧延するオーステナイト系
ステンレス鋼箔の素材コイルは、その厚さが60〜10
0μmのものを使用し 、多段圧延機によりこの素材コ
イルを複数の圧延パスを経て厚さ30〜50μmに圧延
する。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のステンレス鋼箔
を圧延して得るための可逆式20段圧延機の概要を示
す。図1に示す圧延機において、圧延材であるステンレ
ス鋼箔1の巻取り、巻戻しを行うために一対のテンショ
ンリール2を設けている。これら左右のテンションリー
ル2間には、ワークロール3、第1中間ロール4a、第
2中間ロール4b、バックアップロール5が設けられて
いる。また図示していないが、中間ロール4a、4bの
近辺には圧延油を噴射するノズルが設置されている。
【0010】ワークロール3とテンションリール2の間
には、ステンレス鋼箔1を挟んで上下一対のスクイジン
グローラ6が設置されている。このスクイジングローラ
6は、圧延したステンレス鋼箔1の表面に付着している
圧延油を一定の膜厚にするためのローラであり、図示し
ないシリンダ装置により上下スクイジングローラ6の間
隙が調整できるようになっている。スクイジングローラ
6の下流側には、合成ゴム等のローラから構成された上
下一対のワイパー装置8が設置されている。ワイパー装
置8の下流側にはデフレクタロール9を設置し、圧延作
業時にステンレス鋼箔1の巻戻し、巻取りが正常に行わ
れるようにステンレス鋼箔1に所定の張力を与えるよう
にしている。上記の多段圧延機を用いて複数の圧延パス
を行って所定の厚さのステンレス鋼箔を得るためには、
圧延パスごとに適切な圧下率を設定し圧延方向を逆にし
て圧延する。
【0011】続いて、本発明のステンレス鋼箔を得るた
めの圧延方法について説明する。表1は、図1に示す2
0段圧延機を使用して、材質がSUS301からなる厚
さ300μmの鋼帯を3工程の圧延を経て厚さ32μm
のステンレス鋼箔に圧延するときの工程の一例を示す。
圧延及び圧延の工程には、そのいずれかの圧延パス
が終了後あるいは全圧延パスが終了した後に軟化焼鈍の
工程が含まれている。この軟化焼鈍はステンレス鋼箔の
材質を軟らかくして、圧延加工性を増加させるために行
う熱処理である。
【0012】
【表1】
【0013】本発明のステンレス鋼箔を得るためには、
表1に示す圧延工程の圧延方法が重要である。表1に
示す圧延の工程には、計6回の圧延パスが設定されて
いる。この圧延工程の各圧延パスの仕様(厚さ60μ
mの素材箔コイルから厚さ32μmに圧延するときの各
パスの目標圧延厚さ、各パスの圧下率、全圧下率、圧延
温度)の一例を表2に示す。表2に示すように、各圧延
パスの圧下率は20%以下になるようにする。このよう
に各パスの圧下率を20%以下と低く設定することによ
り、圧延したステンレス鋼箔内の残留応力を小さくする
ことができ、かつ圧延した鋼箔の平坦度も向上する。ま
た、各圧延パスにおいては、圧延するステンレス鋼箔の
温度を常温〜60℃、望ましくは常温〜50℃の範囲に
してオーステナイト系ステンレス鋼のオーステナイト相
をマルテンサイト相に変態させて硬度をより向上させる
ようにする。圧延するステンレス鋼箔の温度は、圧延油
の適切な温度管理により常温〜60℃の範囲にすること
ができる。この理由は、放熱効果が良い60〜100μ
mの素材コイルから30〜50μmの極薄のステンレス
鋼箔を圧延すること、及び各圧延パスの圧下率を20%
以下と極力小さくして圧延熱の発生を少なくしているた
めに、圧延油の温度管理を正確に行えば、ステンレス鋼
箔の圧延温度を常温〜60℃に制御できるからである。
なお、表2では圧延の工程で厚さ60μmのステンレ
ス鋼箔(素材コイル)を32μmの厚さに圧延するため
の圧延パスについて示したが、厚さ60μを超えて10
0μm以下の素材コイルから厚さ30〜50μmの範囲
に圧延する場合には、表2に示す圧延工程の圧延総パ
ス数を6または若干増減し、かつ各圧延パスの圧下率を
20%以下に設定して圧延するようにする。
【0014】
【表2】
【0015】
【実施例】(実施例1)図1に示す20段圧延機を用い
て、素材コイルの厚さが65μmと100μmのステン
レス鋼箔について、各圧延パスの圧下率を変えて各々3
2μm、50μmに圧延したときに、この鋼箔にテンシ
ョンアニーリングを行わない状態で、圧延したステンレ
ス鋼箔の平坦度、硬度、引張強さについて測定した。平
坦度については、まず最終の仕上圧延パスで550mm
幅に圧延したステンレス鋼箔の圧延方向Lの両端部を各
25mmほどスリットして除去し、圧延方向の長さが5
00mmになるように切断したステンレス鋼箔片(縦横
500×500mm)を作製した。続いて、図2(a)
に示す三次元測定器の平坦な定盤10上にこのステンレ
ス鋼箔片1aを静置(張力をかけない状態)し、定盤1
0面からステンレス鋼箔片1aまでの垂直高さの分布を
レーザ式測定器で測定した。この測定結果を等高線分布
図として表示した一例を図5に示す。そして上記測定し
た高さの分布値から、図2(a)(b)に示すようにス
テンレス鋼箔片1aの中央部近傍の高さ分布の最大値
A、スリットした両端部近傍の高さ分布の最大値Bを求
めた。この測定結果を表3に示す。なお、圧延したステ
ンレス鋼箔の圧延方向Lの両端部を所定の幅ほどスリッ
トして除去する理由は、多段圧延機の各ロールの構造上
から圧延材の圧延方向Lの両端部近辺は平坦度が低くな
るからである。従って、この両端部をスリットして除去
する幅は、最終の圧延パスで得られる圧延材の幅を考慮
して適切な値(除去する片側(一端部)の幅は、圧延幅
の5%程度)にすればよい。なお、上記のステンレス鋼
箔片1aの中央部近傍とは、図5に示す等高線図におい
て、圧延方向Lの端部から幅H1を除いた中央部分H2
を示す。この端部H1の幅は25〜75mm程度でよ
い。
【0016】表3から明らかなように、各テスト番号と
もにビッカース硬さは530以上、引張強さは1800
N/mm以上のステンレス鋼箔が得られたが、各圧延
パスにおいてその圧下率が20%を超えたテスト番号3
及び6では、平坦度を示す中央部近傍の高さAが0.5
mm、端部近傍の高さBが1.5mmを超えていた。こ
のように平坦度が低下する理由は、テスト番号3及び6
では、圧下率が20%を超えた圧延パスを設定していた
ために、この圧延パスを終了したステンレス鋼箔には残
留応力が生じた状態になり、この後の圧延パスを経ても
この残留応力は解消されない。そして、この状態でステ
ンレス鋼箔片1aを切断して定盤上に静置すると、この
残留応力が顕在化して、この鋼箔1aに若干の高低差が
生じて平坦度が低下するものと考えられる。従って、最
終の仕上げ圧延工程において、各圧延パスの圧下率を
20%以下に設定して圧延し、この圧延の終了後に、テ
ンションアニーリング処理を行へば、平坦度が高く、ビ
ッカース硬さが530以上、引張強さが1600N/m
以上のステンレス鋼箔を得ることができる。なお、
この測定時の圧延条件は次の通りである。 圧延材:SUS301 圧延機:ワークロール径 パス毎に30mmと50mmを使い分けた ワークロール長さ 750mm 圧延速度 120m/秒、 圧延荷重 110トン
【0017】
【表3】
【0018】本発明で得たステンレス鋼箔をドーム接片
として使用する場合には、プレス打ち抜きにより微小な
所定の形状にする必要がある。しかし、圧延したステン
レス鋼箔の平坦度が低いか、ステンレス鋼箔に圧延加工
による残留応力があると、プレス打ち抜きを行った後に
反り量が所定の値以上になり不良品となる。この不具合
を防止するために、従来から最終の仕上圧延を行った
後、残留応力を除去するためのテンションアニーリング
処理が行われる。本発明においては、上記のように、最
終の仕上げ圧延工程で圧延したステンレス鋼箔の平坦度
を示す数値、すなわち、前記のように所定の大きさに切
断したステンレス鋼箔片を定盤上に静置したときに、定
盤面からこの箔片の圧延方向の端部近傍までの垂直高さ
Bを1.5mm以下、望ましくは、中央部近傍までの垂
直高さAを0.5mm以下、同じくこの定盤面から圧延
方向の端部近傍までの垂直高さBを1.5mm以下にす
れば、圧延工程の圧延パスの間に軟化焼鈍を行わなく
ても平坦度が高く、プレス打ち抜き、あるいはエッチン
グ処理後に反りの発生量が少ないステンレス鋼箔を得る
ことができる。
【0019】(実施例2)表3に示す厚さ32μmに圧
延したテスト番号2(平坦度A:0.2μm、B:0.
8μm)と、厚さ50μmに圧延したテスト番号6(平
坦度A:0.6μm、B:1.6)のステンレス鋼箔に
ついて、残留応力を除去するためのテンションアニーリ
ングは行わないで、長さ15mm、幅10mmのエッチ
ング処理用試験片を作成してエッチング処理を行った。
この試験片は、圧延の幅方向の位置に対応した試験片を
作成した。そして、図4に示す方法によりエッチング処
理後の反り量Sを測定した。この反り量Sの測定方法
は、試験片1cの一端を固定し固定部から直線距離で1
0mm離れた箇所の反り量を測定した。なお、この測定
でエッチング処理後の反り量Sの目標値は10mm当た
り±50μm以内とした。図3はこの測定結果を示す
(反り量Sは絶対値で示している)もので、試験片1C
の圧延幅方向位置と反り量Sとの関係を表わしている。
図3から明らかなように、最終の仕上圧延が終了したと
きの平坦度を示す中央部近傍の高さAが0.5mm以
下、端部近傍の高さBが1.5mm以下であれば、エッ
チング処理による反り量は目標の±50μm以内にする
ことができた。なお、最終の仕上圧延が終了したときに
は、多段圧延機の形状制御を最適に行っても、圧延した
ステンレス鋼箔の圧延方向に対する端部の高さBはどう
しても中央部Aより高くなる。しかし、本発明において
は、圧延幅が310mm以上、特に400mm〜550
mmの幅広の圧延を行った場合でも、この端部の高さB
を1.5mm以下に圧延し、この圧延が終了した後に残
留応力を除去するためのテンションアニーリング処理を
行えば、さらに反りが少ない厚さ30〜50μm以下の
ステンレス鋼箔を得ることができる。
【0020】以上の本発明の実施例では、ステンレス鋼
箔の材質としてSUS301について説明したが、本発
明はオーステナイト系ステンレス鋼であるSUS30
4、SUS316等にも適用できる。また、本発明のス
テンレス鋼箔について、20段圧延機を用いて圧延する
実施例について説明したが、20段圧延機の他に12段
圧延機等の多段圧延機を用いて圧延することもできる。
さらに、本発明のステンレス鋼箔は、ドーム接片の他
に、ハードディスク装置用のサスペンションバネ、ジン
バルバネ、プリンタ用インクジェットのヘッド材にも適
用できる。
【0021】
【発明の効果】以上に説明した本発明は、次の効果を有
している。 1)幅広で厚さ30〜50μmであり、平坦度が高く、
かつビッカース硬さが530以上、引張強さが1600
N/mm以上を有するステンレス鋼箔を提供すること
ができる。従って、本発明のステンレス鋼箔をドーム接
片に使用すれば、ドーム接片の長寿命化、すなわち耐久
性の向上、かつ押しボタンスイッチとしての接触感の良
さの改善にも貢献することができる。 2)最終の圧延工程後にテンションアニーリング処理を
行うことにより幅が300mm以上、特に400mm以
上の幅広で厚さ30〜50μm、平坦度が高くかつ高硬
度、高い引張強さを有するステンレス鋼箔製バネ材を得
ることができる。このため、バネ材としてのエッチング
処理、プレス加工等の生産効率を著しく向上することが
でき、製造コストの低減の他に、品質向上に貢献するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施するための圧延機の概要を示す
説明図である。
【図2】 圧延したステンレス鋼箔片の平坦度の測定方
法の概要を示す説明図であり、(a)は全体図、(b)
はステンレス鋼箔片の中央部近傍の高さAを示す断面図
である。
【図3】 ステンレス鋼箔の試験片にエッチング処理を
行ったとき、この試験片の圧延の幅方向の位置と反り量
との関係を測定した結果を示す図である。
【図4】 反り量を測定する方法を示す説明図であり、
(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】 圧延したステンレス鋼箔片をレーザ測定器に
より平坦度を測定したときの等高線分布図の一例を示す
図である。
【符号の説明】
1 :ステンレス鋼箔 1a:ステンレス鋼箔片 :ワークロール 10 :定盤 A :ステンレス鋼箔の中央部近傍の高さ B :ステンレス鋼箔の端部をスリットして除去した後
のその端部近傍の高さ L :圧延方向 S :反り量

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多段圧延機により厚さ30〜50μ
    m、幅310〜550mmに圧延されたステンレス鋼箔
    であって、前記ステンレス鋼箔を圧延方向の両端部を所
    定の幅ほど除去して圧延方向の長さが300〜500m
    mに切断して得た箔片を定盤上に静置したときに、前記
    定盤面から前記箔片の両端部を除去した端部近傍までの
    高さが1.5mm以下であることを特徴とするステンレ
    ス鋼箔。
  2. 【請求項2】 箔片を定盤上に静置したときに、前記
    定盤面から前記箔片の中央部近傍までの高さAが0.5
    mm以下、同じく前記定盤面から前記箔片の両端部を除
    去した端部近傍までの高さBが1.5mm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のステンレス鋼箔。
  3. 【請求項3】 ビッカース硬さが530以上、引張り
    強さが1600N/mm以上であることを特徴とする
    請求項1又は請求項2に記載のステンレス鋼箔。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011136006A1 (ja) * 2010-04-28 2011-11-03 アルプス電気株式会社 接点部材および前記接点部材を使用したスイッチ装置

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WO2011136006A1 (ja) * 2010-04-28 2011-11-03 アルプス電気株式会社 接点部材および前記接点部材を使用したスイッチ装置

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