JP2001277474A - 湿紙印刷装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 抄紙機のプレス装置部のオペレーティング及
びメンテナンスを容易にし、印刷品質を向上させる湿紙
印刷装置を提供する。 【解決手段】 弾性を有する凸状の印刷版面を取り付け
た印刷版胴と、微細なセルを無数有するアニロックスロ
ーラとからなる抄紙機上のプレス装置部に設置された湿
紙印刷装置において、前記アニロックスローラに周接
し、その中心軸を通る水平方向の版胴と反対側に、該ア
ニロックスローラに印刷インキまたは洗浄液を供給し、
該アニロックスローラ上の印刷インキまたは洗浄液をシ
ールするチャンバー型インキ供給装置と、前記印刷版胴
の中心軸より下位に、該印刷版胴に接触、離脱を自在と
するブラシ型洗浄装置とが一体となって圧胴上の湿紙の
流れ方向に進退自在に抄紙機のプレス装置部に配設し
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、水分を多量に含ん
だ抄紙機上の湿紙に、各種印刷インキを用い、これらの
印刷インキを湿紙に転移させて、図柄または文字等を印
刷し得る機構からなる湿紙印刷装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来の湿紙への印刷は、印刷版面が金属
製であるために印圧の許容範囲が狭く、かすれやマージ
ナルゾーンが発生しやすく、均一な印刷が困難であり、
また、印刷版面が加工精度及び加工形状に限界があるた
め、非常に狭い面積のベタマークしか印刷することがで
きなかった、というような問題点を解決するために、本
出願人は、先に湿紙印刷装置について出願した（特許第
２７４０７６５号公報）。この湿紙印刷装置は、印刷版
面には弾性体である樹脂凸版を使用し、インカーは微細
なセルを無数有するアニロックスローラ及びインキパン
のインキをアニロックスローラに転移させるゴムローラ
等で構成される印刷機構とすることにより、前記問題点
を解消することができた。

【０００３】しかし、前記湿紙印刷装置が固定式である
ことから、プレス装置部のオペレーティング及びメンテ
ナンスをする際に、スペースを必要とすることなど、不
具合な点があった。更に、印刷版胴及びアニロックスロ
ーラの洗浄は、機械を止めて行なわなければならないの
で、作業性がよくないというような問題があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問
題点を解決するために、湿紙印刷装置を横移動の可動式
とすることにより、オープンスペースを確保することが
できるので、プレス装置部のオペレーティング及びメン
テナンスを容易にし、また、印刷版胴を洗浄するブラシ
型洗浄装置に、印刷版胴洗浄機能とインキ転移性の機能
向上とを選択的に使用する機能を持たせることにより、
印刷品質を向上させ、更に、インキ供給方法をインキチ
ャンバー式とすることにより、抄紙機のドライヤー熱に
よるインキの乾燥を防止する湿紙印刷装置を提供するこ
とを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたもので、弾性を有する凸状の印刷
版面を取り付けた印刷版胴と、微細なセルを無数有する
アニロックスローラとからなる抄紙機上のプレス装置部
に設置された湿紙印刷装置において、前記アニロックス
ローラに周接し、その中心軸を通る水平方向の版胴と反
対側に、該アニロックスローラに印刷インキまたは洗浄
液を供給し、該アニロックスローラ上の印刷インキまた
は洗浄液をシールするチャンバー型インキ供給装置と、
前記印刷版胴の中心軸より下位に、該印刷版胴に接触、
離脱を自在とするブラシ型洗浄装置とが一体となって圧
胴上の湿紙の流れ方向に進退自在に配設された湿紙印刷
装置であって、前記チャンバー型インキ供給装置は、前
記アニロックスローラに周接し、該チャンバー型インキ
供給装置の上位と下位に位置する一組の上刃ドクターブ
レードと下刃ドクターブレード、並びに該チャンバー型
インキ供給装置の上刃ドクターブレードと下刃ドクター
ブレードの両側面に、前記印刷インキまたは洗浄液を該
アニロックスローラ周上で密閉してシールするシールプ
レートを設け、 該チャンバー型インキ供給装置にイン
キタンクから印刷インキを供給するインキ供給口と、該
アニロックスローラ表面及びそれに周接する前記一組の
上刃ドクターブレードと下刃ドクターブレードを霧状の
水で洗浄する洗浄ノズルとを内蔵し、インキ供給と洗浄
機能を兼用してなることを特徴とする湿紙印刷装置を提
供する。

【０００６】また、前記チャンバー型インキ供給装置
が、前記アニロックスローラの軸に対して垂直方向に横
移動の可動式としたことを特徴とする湿紙印刷装置を提
供する。

【０００７】また、前記湿紙印刷装置に設けられた前記
ブラシ型洗浄装置が、印刷直後の前記凸状の印刷版面上
の残留インキを取り除き、前記インキ供給装置からの新
インキの転移性を向上させる機能と、前記プレス装置部
に設置した湿紙印刷装置の版胴を隔離し、同時に前記印
刷版胴とアニロックスローラ間も隔離することにより、
前記チャンバー型インキ供給装置からのインキ供給を断
ち、非印刷状態となし、前記ブラシ型洗浄装置によっ
て、前記印刷版胴表面を清浄にする機能とを併せ持ち、
両者の機能を選択的に使用することを特徴とする湿紙印
刷装置を提供する。

【０００８】

【発明の実施の形態】湿紙印刷装置を、抄紙機のプレス
装置に弾性を有する凸状の印刷版面を取り付けた印刷版
胴と、微細なセルを無数有するアニロックスローラとか
らなる構成とし、前記アニロックスローラの中心と水平
位置の軸方向に対向する位置の上位と下位に一組のドク
タブレードを配し、該ドクタブレードの両側面に、印刷
インキをシールするシールプレートとを配し、前記印刷
インキを密閉し、また、前記ドクタブレードと周接する
アニロックスローラを霧状の水で洗浄する洗浄ノズルを
内蔵したチャンバー型インキ供給装置を備え、更に、前
記印刷版胴の中心軸より下位に前記印刷版胴に接触、離
脱を自在とするブラシ型洗浄装置を設けることにより、
前記印刷版面を取り付けた印刷版胴と一体となって、湿
紙の流れ方向に直行する方向に進退自在となるので、オ
ープンスペースを確保し、プレス装置部のオペレーティ
ング及びメンテナンスが容易になる。

【０００９】また、前記印刷版胴の印刷直後の印刷面上
の残留インキを前記ブラシ洗浄装置で取り除き、前記チ
ャンバー型インキ供給装置からの印刷インキの転移性を
向上させる機能と、前記プレス装置部から前記版胴を隔
離し、同時に前記版胴と前記アニロックスローラ間も隔
離することにより、前記チャンバー型インキ供給装置か
らのインキ供給を断ち、前記ブラシ型洗浄装置によっ
て、前記印刷版胴表面を清浄にする機能とを併せ持た
せ、両者の機能を選択的に使用する構成としたので、印
刷品質を向上させることができる。

【００１０】

【実施例】本発明を実施例によって詳細に説明するが、
本発明はこの例によって何等限定されるものではない。

【００１１】図１は、本発明の湿紙印刷装置Ａの一実施
例の組立説明図を示したものであり、１は圧胴、２は印
刷版胴、３は印刷版面、４はアニロックスローラ、５は
チャンバー型インキ供給装置、６はブラシ型洗浄装置、
７は湿紙で、弾性を有する感光性樹脂版を印刷版面３と
して用いた湿紙印刷装置Ａであり、この装置を抄紙機上
のプレス装置部に設置するものである。

【００１２】図２は、チャンバー型インキ供給装置５の
側面図であり、図３は、その断面図である。図２及び図
３の８は上刃ドクターブレード押さえ板、８ａは上刃ド
クターブレード先端縁、９は上刃ドクターブレード、１
０は下刃ドクターブレード押さえ板、１１は下刃ドクタ
ーブレード、１２はインキ排出口、１３はインキ供給
口、１４は洗浄ノズル、１５はサイドシールであり、図
２及び図３に示すように、チャンバー型インキ供給装置
５は、回転する円柱体であるアニロックスローラ４の円
周上のインキ転移部に設置されるもので、該チャンバー
型インキ供給装置５の周囲が、回転方向（矢印ｂ）に順
に連接する下刃ドクターブレード押さえ板１０、インキ
供給口１３とインキ排出口１２を備える背面板、上刃ド
クターブレード押さえ板８、上刃ドクターブレード９と
該背面板と対向するアニロックスローラ４からなり、内
側面が図３に示すサイドシール１５からなる略密室状態
を形成してなるチャンバー型インキ供給装置である。図
２に示すように、下刃ドクターブレード１１の先端縁か
ら、上刃ドクターブレード先端縁８ａまでの側断面形状
が直線と側湾曲線からなる滑らかな鈍角であることを特
徴とするものである。

【００１３】上記形状のチャンバー型インキ供給装置５
内におけるインキの動作等は、まず、インキ供給元から
ポンプ等（図示せず）により、図２に示すインキ供給口
１３を経緯してチャンバー型インキ供給装置５内にイン
キが送り込まれ、略充満した後インキ排出口１２を通り
排出される。排出されるまでの間に、インキは図２に示
すように、上刃ドクターブレード先端縁８ａから下刃ド
クターブレード１１の先端縁までの間でアニロックスロ
ーラ４と接触することでそのセルに付着される。

【００１４】また、上記形状のチャンバー型インキ供給
装置５内において、図２に示すように、上刃ドクターブ
レード先端縁８ａからインキ排出口１２までの側断面形
状が直線と外側湾曲線からなる滑らかな鈍角を形成して
いるので、下刃ドクターブレード１１から上刃ドクター
ブレード９の方向へ、アニロックスローラ４の回転によ
る強力なインキ流れ方向（矢印ｂ）は上刃ドクターブレ
ード９に当たり、再びチャンバー型インキ供給装置内に
戻るインキはスムーズにインキ排出口１２へ排出される
ように流れることができるものである。

【００１５】このように、上刃ドクターブレード９によ
り掻き落とされたインキをチャンバー型インキ供給装置
５内に戻さず排出することで、上刃ドクターブレード９
近傍にインキの淀みが発生せず、上刃ドクターブレード
９に挟まる異物等が格段に減少するものである。

【００１６】更に、上記形状のチャンバー型インキ供給
装置５は、インキが速やかに排出されるので、インキの
気泡の巻き込みも減少し、印刷物のピンホールの発生も
減少する。

【００１７】図４は、ブラシ型洗浄装置６の一実施例を
示すものであり、環状の洗浄ブラシ１６は回転する印刷
版胴２の印刷版面３に順に接触し、噴射ノズル１７より
印刷版面３に向かって洗浄水を霧状に吹き付け、前記洗
浄ブラシ１６で印刷版面３のインキ等の汚れを確実に洗
浄するエンドレスのブラシ洗浄装置である。

【００１８】図５は、印刷版胴２の着脱装置Ｂの概略機
構図であり、偏芯軸受着脱用油圧シリンダ２０は、圧胴
１と反対方向に動作し、偏芯軸受１９により接触してい
た圧胴１と印刷版胴２が離れ、印刷版胴２は２′の位置
まで移動し、ブラシ洗浄装置６が印刷版胴２の方向に動
くことにより洗浄を行う。なお、偏芯軸受１９は、スト
ッパー２１により動作範囲が制限されている。また、湿
紙印刷中は常に偏芯軸受着脱用油圧シリンダ２０は、着
方向に作用している。

【００１９】図６は本発明の湿紙印刷装置Ａの横移動機
構の概略構成図であり、印刷版胴２、アニロックスロー
ラ４、チャンバー型インキ供給装置５及びブラシ型洗浄
装置６を有した一体型の搬送型ユニット２５は、前記着
脱装置Ｂにより印刷版胴２が圧胴１と反対方向に動作す
るとともに、ガイドレール２４に沿って動作し、アニロ
ックスローラ４の軸に対して平行方向（矢印ｃ）に移動
させ、次に垂直方向（矢印ｄ）に移動させ、搬送型ユニ
ット２５′の位置まで横に移動する構成としているの
で、プレス装置部におけるメンテナンス等を行うスペー
スを確保することができる。

【００２０】また、図７は前記横移動機構としたとき
の、圧胴１と印刷版胴２の位置関係の再現性を維持する
機構で、圧胴１と印刷版胴２の位置関係を常に同じ位置
で着脱するようにした概略構成図であり、版胴用カラー
２３は、軸の垂直方向に移動するスプリングなどで出入
自在とした部片Ｓを有し、圧胴用カラー２２と圧胴用ギ
ヤＧ１と版胴用ギヤＧ２とが一箇所の位置で連結される
ことにより、圧胴１と印刷版胴２は着脱動作を行って
も、常に同じ位置で再現性を維持する機構である。

【００２１】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明は抄紙機上
の水分を多量に含んだ湿紙に、各種印刷インキあるいは
樹脂等を付与することを可能とするものである。即ち、
湿紙印刷装置のインキ供給装置を、略密閉型のチャンバ
ーとすることにより、インキが直接外気に触れることが
ないので、作業環境が良くなる。

【００２２】また、チャンバー内の洗浄作業について
も、洗浄ノズルを具備することにより、チャンバー内及
びアニロックスローラの洗浄作業が容易になるという効
果がある。更に、印刷版面の洗浄にブラシ型洗浄装置を
利用することにより、洗浄作業が容易になるという効果
がある。

【００２３】また、印刷版胴の着脱機構と、ブラシ型洗
浄装置の移動機構を選択的に使用することにより、印刷
版胴の洗浄機能とインキ転移性の向上機能を選択的に使
用でき、印刷品質を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の湿紙印刷装置の組立説明図である。

【図２】 本発明の湿紙印刷装置のチャンバー型インキ
供給装置の一実施例の形態を断面図で表した説明図であ
る。

【図３】 本発明の湿紙印刷装置のチャンバー型インキ
供給装置の一実施例の形態を正面図で表した説明図であ
る。

【図４】 本発明の湿紙印刷装置の洗浄機構の一実施例
の形態を断面図で表した説明図である。

【図５】 本発明の湿紙印刷装置の印刷版胴着脱機構の
一実施例の形態を断面図で表した説明図である。

【図６】 本発明の湿紙印刷装置の横引出し機構の一実
施例の形態を表した説明図である。

【図７】 本発明の湿紙印刷装置の横引出し機構におけ
る圧胴と印刷版胴の位置関係の再現性を維持する機構を
表した説明図である。

【符号の説明】

１ 圧胴 ２ 印刷版胴 ３ 印刷版面 ４ アニロックスローラ ５ チャンバー型インキ供給装置 ６ ブラシ型洗浄装置 ７ 湿紙 ８ 上刃ドクターブレード押さえ板 ８ａ 上刃ドクターブレード先端縁 ９ 上刃ドクターブレード １０ 下刃ドクターブレード押さえ板 １１ 下刃ドクターブレード １２ インキ排出口 １３ インキ供給口 １４ 洗浄ノズル １５ サイドシール １６ 洗浄ブラシ １７ 噴射ノズル １８ スクレーパ １９ 偏芯軸受 ２０ 偏芯軸受トリップ用油圧シリンダ ２１ ストッパ ２２ 圧胴用カラー（凹） ２３ 版胴用カラー（凸） ２４ ガイドレール ２５ 搬送ユニット Ａ 湿紙印刷装置 Ｂ 着脱装置 Ｇ１、Ｇ２ ギヤ Ｓ 軸の垂直方向に移動するスプリングなどで出入
自在とした部片

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 弾性を有する凸状の印刷版面を取り付け
   た印刷版胴と、微細なセルを無数有するアニロックスロ
   ーラとからなる抄紙機上のプレス装置部に設置された湿
   紙印刷装置において、前記アニロックスローラに周接
   し、その中心軸を通る水平方向の版胴と反対側に、該ア
   ニロックスローラに印刷インキまたは洗浄液を供給し、
   該アニロックスローラ上の印刷インキまたは洗浄液をシ
   ールするチャンバー型インキ供給装置と、前記印刷版胴
   の中心軸より下位に、該印刷版胴に接触、離脱を自在と
   するブラシ型洗浄装置とが一体となって圧胴上の湿紙の
   流れ方向に進退自在に配設した湿紙印刷装置であって、
   前記チャンバー型インキ供給装置は、前記アニロックス
   ローラに周接し、該チャンバー型インキ供給装置の上位
   と下位に位置する一組の上刃ドクターブレードと下刃ド
   クターブレード、並びに該チャンバー型インキ供給装置
   の上刃ドクターブレードと下刃ドクターブレードの両側
   面に、前記印刷インキまたは洗浄液を該アニロックスロ
   ーラ周上で密閉してシールするシールプレートを設け、
   該チャンバー型インキ供給装置にインキタンクから印刷
   インキを供給するインキ供給口と、該アニロックスロー
   ラ表面及びそれに周接する前記一組の上刃ドクターブレ
   ードと下刃ドクターブレードを霧状の水で洗浄する洗浄
   ノズルとを内蔵し、インキ供給と洗浄機能を兼用してな
   ることを特徴とする湿紙印刷装置。
2. 【請求項２】 前記チャンバー型インキ供給装置が、前
   記アニロックスローラの軸に対して垂直方向に横移動の
   可動式としたことを特徴とする請求項１記載の湿紙印刷
   装置。
3. 【請求項３】 前記湿紙印刷装置に設けられた前記ブラ
   シ型洗浄装置が、印刷直後の前記凸状の印刷版面上の残
   留インキを取り除き、前記インキ供給装置からの新イン
   キの転移性を向上させる機能と、前記プレス装置部に設
   置した湿紙印刷装置の版胴を隔離し、同時に前記印刷版
   胴とアニロックスローラ間も隔離することにより、前記
   チャンバー型インキ供給装置からのインキ供給を断ち、
   非印刷状態となし、前記ブラシ型洗浄装置によって、前
   記印刷版胴表面を清浄にする機能とを併せ持ち、両者の
   機能を選択的に使用することを特徴とする請求項１また
   は請求項２のいずれかに記載の湿紙印刷装置。