JP2001276273A - 感熱ゲル化消火用水組成物及び消火方法 - Google Patents
感熱ゲル化消火用水組成物及び消火方法Info
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Abstract
して燃焼物に付着して消火・延焼を防止する、通常の消
火装置が使用できる消火用水組成物を提供する。 【構成】 特定の設定温度以下では水溶性で設定温度以
上の温度である火災の熱で水を含んで熱ゲル化する感熱
熱ゲル化高分子、特にセルロース誘導体、と水を含む消
火用水組成物、及び該消火用水組成物を使用する消火方
法。
Description
て一時的に非流動性ハイドロゲルを形成することで、消
火時の水損を著しく減少させ、長時間にわたって格段に
高い消火力を維持することができ、火災の延焼阻止並び
に消火後の再燃焼防止に優れ、且つ消火後簡単に廃棄で
きる水系消火用水組成物及び該消火用水組成物を使用す
る消火方法に関するものである。
るのに最も便利であるという長所を備えている。また、
水は火災を消火する際に多くの利点があるため、従来の
消火薬剤のほとんどは大量の水で希釈して使用されてい
た。まず、水は高い比熱と蒸発熱を有するため、蒸発に
よる冷却作用を示す。最初に、水は蒸発に伴い、燃焼物
から熱を奪い続くことにより、燃焼物の温度を着火温度
以下に降下させることができ、消火作用を発揮する。加
えて、高温において、水は完全に気化するので、燃焼物
の周囲に水蒸気層が形成される。この水蒸気層は、空気
層を置き換え、燃焼に必要な酸素を遮断することで、火
災をくいとめることができる。
くの好ましくない欠点をも有している。即ち、水は低粘
度を示し、良好な流動性を有するために、燃焼物の表面
に長く滞留することができず、瞬時に落下し地面に流失
する傾向を示す。また、燃焼の火力が強くなると、水は
燃焼物の表面に接近することが困難となり、高温による
水の飛散や蒸発等が生ずる。そのため、長時間に渡って
連続放水を必要としている。しかしながら、林野、草
原、山岳等の乾燥地帯では、利用できる水源はまれであ
り、限られた水を効率的に使用しなければならない制限
がある。
ように流れ落ちるため、特に高層建物の火災の消火に際
し、火災とは直接関係のない下層建物への水の滲入、隣
接建物への水の飛散等が起り、水損による二次的災害を
引き起こす問題点を有している。
くの改善法が提案されてきた。その中で、燃焼物から水
の流失を抑えるために、消火用水に水に可溶ではない粉
末状、顆粒状又は液体分散状の高吸水性ポリマーゲルを
添加してなる混合物を使用する方法が種々提案されてい
る。例えば、米国特許5190110号は、20〜50
0ミクロンの粒径を有する吸着性架橋ポリマーを水混和
性媒体に分散させ、生じたゲル溶液の粘度が100mP
a・sを超えないように教示している。この系は水の担
体である吸着性ゲル粒子に充分な膨潤時間を与えず、消
火時に粒子を燃焼物の表面に付着させるための十分な粘
度を有さなかった。
ンニャクマンナンの粘子をカルシウムなどの凝固剤で固
めた食用コンニャク塊状のもの、或いはコンニャクの粉
末を含んだ粘着性のある消火用水の使用が提案されてい
る。しかしながら、該方法は、水不溶性のコンニャクを
消火水に混入させ使用したため、噴出時における消火ポ
ンプ、ホース又はノズルの閉塞が懸念されるものであっ
た。
は顆粒状で高吸水性のポリマーに消火機能を持った水系
消火剤を含浸して形成した消火剤組成物、及びそれを吹
き付ける消火方法を開示されている。この方法は消火に
おいて、使用する吸水性ポリマー媒体の粘度、膨潤した
顆粒同志の粘着による大塊状化問題に充分言及していな
い。
粒子の凝集を防止するために適当な水溶性分散剤が添加
されている。この系は通常の消火ホース長さで消火活動
を行うとき、ポリマー粒子の膨潤時間が長く、所望の吸
水量を達成するために、ポリマーゲル粒子を高濃度で添
加する必要があった。
な高吸水性ポリマーの粒径はほとんど20ミクロンより
大きいことが開示されている。そのため、消火用水に添
加された「水ゲル」は顆粒状で固形的な性質を有し、現
状の標準消火装置を通して噴出する際に、ゲル粒子の凝
集による装置の閉塞は操作不能に導くことが多く、使用
中失敗の可能性は高いため、多くの消火活動用途でこれ
らの「水ゲル」を使用することは不可能でないにしても
困難である。
逆相重合によって生成される1ミクロン未満小さい粒径
を有する油中水型架橋した水膨潤性ポリマーを防火及び
消火用水に混合させ、消火活動に使用している。この報
告は液体の形で供給水に導入できるポリマー粒子の使用
を強調し、加えて燃焼物の垂直及び水平の両方の面に良
好に付着させるために、500〜50000mPa・s
の粘度を有する高粘性流体の使用を教示している。この
系は典型的な高吸水性ポリマー粒子の添加に対してかな
りの改良であったが、吸水性ポリマー粒子は水に対して
不溶である欠点があり、消防器具への付着及び使用不能
などの問題を有するので、実験段階の域を超えていな
い。
を有し、標準消防装置で充分に噴出することができ、高
温において放出された消火用水は燃焼物の垂直及び水平
面に付着できるような十分な高粘度に上昇し、かつ迅速
にゲル化または固形化できる水溶性消火用水が求められ
ている。
活動における水源の効率化を図るための上述の公知の消
火媒体又は消火媒体添加剤の欠点を克服し、防火及び消
火に使用される水に、特定の設定温度以下で水溶性であ
り、設定温度以上で固形化する高分子を添加して生成し
た消火用水組成物、及び必要に応じて固形化した高分子
ゲルの固定化剤、燃焼物表面に浸透機能を持った界面活
性剤、消火機能を持った防炎剤を加えてなる消火用水組
成物を提供することにある。
に水溶性高分子を添加しても生成する水混合液は常温で
は均一な流動体でありながら、粘度も比較的小さく既存
の標準消火装置を用いることができ、燃焼物表面で消火
用水を含んだままでゲル化ないし固形化することができ
る高分子添加剤を求めて鋭意検討した結果、感熱ゲル化
性を有する高分子がその目的に達成し得ることを見出し
た。また、本発明は、特定の置換基および置換度を有す
るセルロース誘導体を消火用水添加剤の主成分として用
いることにより、使用後簡単に廃棄できる新規な消火用
水組成物及びそれを使用した消火方法を見出して、本発
明を完成させることに至った。
化性高分子の他、必要に応じて該高分子の熱による固形
化したゲルの強度を上げるための各種水溶性ポリマー添
加剤や、該高分子の熱架橋反応を起す水溶性架橋剤や、
通常使用される防炎剤、界面活性剤、凝固点降下剤など
の消火用薬品を含ませても良い。
対的に低粘度を有するため、各種標準消火設備の使用を
通して容易に噴出され、且つ各方向の火源を迅速に接近
・粘着・被覆することができる。所謂、火災の熱で設定
のゲル化温度を超えると、該消火用水は迅速に増粘ゲル
化し、その結果、急速な飛散・流失又は蒸発がなく、消
火するまでに燃焼物の表面に滞留することができる。さ
らに、該消火用水は消火時に空気を遮断するゲル隔離層
が形成されるため、高い燃焼阻止効果を示し、優れた消
火力を得ることができる。
高分子は、特定の設定温度以下では水溶性であり、設定
温度以上では水不溶性のハイドロゲルとなる高分子であ
り、特にセルロースの誘導体が好ましい。この感熱ゲル
化性高分子を消火用水に添加して形成する水溶液が常温
では流動性を有し、従来の消火用水と同様に標準消防装
置を使用することができ、燃焼物に噴射又は噴霧したと
き、燃焼熱で水を含んだ状態でゲル化乃至固形化して燃
焼物の表面に粘着・被覆し、長時間にわたって優れた消
火力を維持することができるので、燃焼及び延焼を防止
するようにしたものである。また、本発明にかかる消火
用水組成物は、例えば、高層ビル火災、草原火災、森林
火災、石油火災などの大規模の火災及び一般火災の消火
薬剤として好適に用いられる。
誘導体は、例えば、特定の置換基、置換率及び分子量を
有するメチルセルロース、エチルセルロースなどのアル
キル基置換セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース
などのヒドロキシアルキル基置換セルロース、ヒドロキ
シエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、ヒド
ロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
メチルセルロースなどのヒドロキシアルキルアルキル基
置換セルロース、ポリエチレンオキシルセルロース、ポ
リプロピレンオキシルセルロースなどのポリアルキレン
オキシル基置換セルロース、及びこれらのポリマーに特
定のビニルモノマー及び/又は特定のイオン性ビニルモ
ノマーをグラフト重合させ、生成したセルロース誘導体
が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら
の高分子は、単独で用いてもよく、二種類以上を併用し
てもよい。上記例示の高分子のうち、メチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロースがより好まし
い。
メトキシル基の含有率(%)が26.0〜33.0であ
り、好ましくは27.0〜32.0である。
チルセルロースは、メトキシル基及びヒドロキシプロピ
ル基の含有率(%)が17.0〜31.0及び15.0
以下であり、好ましくは20.0〜30.0及び13.
0以下である。
ゲル化又は固形化温度は特に限定されないが、常温乃至
は火災現場での温度で、また盛夏時の温度で、消火設備
内で消火用水がゲル化しない温度以上に設定する必要が
ある。さらに、寒冷地域及び火災現場の周囲温度を考慮
して10℃〜80℃の温度範囲で制御するとよい。
としては、具体的には、例えば、N−アクリロイルピペ
リジン、N−3−イソプロポキシプロピル(メタ)アク
リルアミド、N−8−アクイロイル−1,4−ジオキサ
−8−アザスピロ[4,5]デカン、N−1−メトキシメ
チルプロピル(メタ)アクリルアミド、N−2−メトキ
シエチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−2−
メトキシエチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N
−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、
N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル
−N−イソプロピルアクリルアミド、N−3−エトキシ
プロピル(メタ)アクリルアミド、N−テトラヒドロフ
ルフリル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルア
ミド、N−1−メチル−2−メトキシエチル(メタ)ア
クリルアミド、N−2−エトキシエチル(メタ)アクリ
ルアミド、N−2−メトキシエチル−N−エチルアクリ
ルアミド、N,N−ビス(2−メトキシエチル)アクリ
ルアミド、N−3−メトキシプロピル(メタ)アクリル
アミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、
N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−(1,3−ジ
オキソラン−2−イルメチル)−N−メチルアクリルア
ミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−ア
クリロイルピロリジン、N−(2,2−ジメトキシエチ
ル)−N−メチルアクリルアミド、N−3−(2−メト
キシエトキシ)プロピル(メタ)アクリルアミド、アミ
ノ酸基を含むアクリルアミド化合物などのN−置換(メ
タ)アクリルアミド誘導体、N−ビニルカプロラクタ
ム、N−ビニルイソブチルアミド、N−ビニル−N−メ
チルアセトアミドなどのN−ビニル置換アミド誘導体、
2−モルホリノエチル(メタ)クリレート、2−(2−
モルホリノエトキシ)エチル(メタ)クリレート、2−
モルホリノプロピル(メタ)クリレート、モルホリンテ
トラエチレンオキシ(メタ)クリレート、3,5−ジメ
チルモルホリンテトラエチレンオキシ(メタ)クルレー
ト、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アク
リレート、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロ
ピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ
ポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレング
リコール・ポリプロピリングリコールモノ(メタ)アク
リレート、エトキシポリエチレングリコール・ポリブチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシポ
リエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェ
ノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、ベンジルオキシポリエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレートな
どのエステル型ビニルモノマー、ビニルメチルエーテル
が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら
のビニルモノマーは、単独で使用してもよく、また、二
種類以上を併用してもよい。上記例示の特定のビニルモ
ノマーのうち、N−置換(メタ)アクリルアミド誘導体
が特に好ましい。かかるグラフト重合反応技術は現在良
く知られている。
モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸塩(ア
ルカリ金属塩、アンモニウム塩)、2−(メタ)アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩(アルカリ
金属塩、アンモニウム塩)、p−スチレンスルホン酸塩
(アルカリ金属塩、アンモニウム塩)、ビニルスルホン
酸塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩)、メタアリル
スルホン酸塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩)、2
−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸塩(ア
ルカリ金属塩、アンモニウム塩)、モノ(2−(メタ)
アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート塩
(アルカリ金属塩、アンモニウム塩)などのアニオン性
基を有するビニルモノマー、第3級アミノ基を有する
(メタ)アクリレート誘導体由来の各種4級アンモニウ
ム塩、第3級アミノ基を有する(メタ)アクリルアミド
誘導体由来の各種4級アンモニウム塩などのカチオン性
基を有するビニルモノマー、第3級アミノ基を有する
(メタ)アクリレート誘導体由来の各種両性イオン基を
持つ分子内塩形成性単量体、第3級アミノ基を有する
(メタ)アクリルアミド誘導体由来の各種両性イオン基
を持つ分子内塩形成性単量体などのベタイン型モノマ
ー、アミノ酸塩を含むアクリルアミド誘導体が挙げられ
るが、特に限定されるものではない。これらのイオン性
ビニルモノマーは、単独で使用してもよく、また、二種
類以上を併用してもよい。上記例示の特定のイオン性ビ
ニルモノマーのうち、アニオン性基を有するビニルモノ
マーがより好ましく、(メタ)アクリル酸のアルカリ
塩、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸のアルカリ塩が特に好ましい。かかるグラフ
ト重合反応技術は現在良く知られている。
導体の場合において、上記の特定のビニルモノマーと上
記特定のイオン性ビニルモノマーとのモル比、モノマー
の種類によって異なるが、即ち、グラフト重合用モノマ
ー成分における特定のビニルモノマーの割合は、特に限
定されるものではないが、50モル%以上が好ましく、
70モル%以上がより好ましい。特定のビニルモノマー
の割合が50モル%未満の場合には、熱による優れたハ
イドロゲルを得られない恐れがある。
ーであるN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドが、
80〜99モル%、特定のイオン性ビニルモノマーであ
るアクリル酸ナトリウムが1〜20モル%、の割合でセ
ルロースにグラフト共重合させ、感熱ゲル化性を有する
セルロース誘導体を得る方法が挙げられる。
の分子量を有するものが好ましく、50000以上の分
子量を有するものがより好ましい。分子量が15000
未満の場合には、消火用水に添加して形成する水混合液
は感熱ゲル化性を示さない恐れがある。
0.20〜20.0重量%が好ましく、0.50〜1
5.0重量%がより好ましく、0.75〜10.0重量
%が特に好ましい。使用濃度が0.20重量%以下の場
合には、消火用水は感熱ゲル化性を示さない恐れがあ
る。また、使用濃度が20.0重量%を超える場合に
は、セルロース誘導体は完全に溶解しない恐れがあり、
放水操作が困難となるので、消火設備が閉塞されること
もあり、消火不能に導くことが多い。
化性セルロース誘導体のほかに、必要に応じて、水溶性
ポリマー固定化剤を添加し、さらに必要に応じて防炎
剤、界面活性剤、凝固点降下剤、熱架橋剤を配合したも
のであり、火災の消火能力に特に優れる。
導体のゲル強度を強めるよう作用し、その種類は特に限
定されないが、有用なポリマーの例は、ポリアクリル酸
ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコー
ルなどが挙げられる。
性防炎剤としては、燃焼物の種類によって異なるが、特
に限定されるものではない。具体的には、例えば、燐酸
第2アンモニウム、燐酸第1アンモニウム、縮合燐酸ア
ンモニウム、硫酸アンモニウム、スルファミン酸アンモ
ニウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化ア
ンモニウム、硼酸アンモニウム、ホウ砂、水ガラス、タ
ングステン酸ソーダ、錫酸ソーダ、オルソ燐酸、縮合燐
酸、硼酸、スルファミン酸グアニジン、燐酸グアニジ
ン、メチロール燐酸グアニジン、燐酸グアニル尿素、燐
酸メラミン、塩酸グアニジン、テトラ硼酸グアニジン、
炭酸グアニジンなどが挙げられる。これらの防炎剤は、
単独で使用してもよく、また、二種類以上を併用するこ
とによって、より優れる防炎効果を発揮することができ
る。さらに、有害性、廉価性及び試薬入手容易性の面を
考慮すると、燐酸第2アンモニウム又は燐酸第1アンモ
ニウムは毒性がないため、その水溶液は現に山火事に使
用されており、また化学肥料としても使用されている物
質であるので、より好ましい。
活性剤)としては、アニオン性界面活性剤であり、中で
もアニオン性親水基を含有する界面活性剤が、起泡性並
びに防炎剤の浸透剤としての浸透性が大きく、消火能力
に優れるためより好ましい。アニオン性親水基含有界面
活性剤としては、例えば、アルキルスルホコハク酸塩、
α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸又はエ
ステル塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンス
ルホン酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、アルキル
又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニ
ルエーテルカルボン酸塩、アルキル又はアルケニルリン
酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩などが挙げられるが、特
に限定されるものではない。これらの界面活性剤は、単
独で使用してもよく、また、二種類以上を併用してもよ
い。上記例示のアニオン性界面活性剤のうち、スルホコ
ハク酸塩型及びスルホン酸塩型の界面活性剤がより好ま
しく、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムが浸透性に
優れ、かつ天然系の合成界面活性剤であり、自然環境中
で分解されやすいので特に好ましい。
て熱架橋剤を添加してもよい。使用できる熱架橋剤とし
ては、特に限定されないが、例えば、尿素ホルマリン樹
脂、メチロールメラミン樹脂、グリオキザール、タンニ
ン酸からなる群より少なくとも1種以上を用いることが
できる。
降下剤を配合することもできる。使用できる凝固点降下
剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールなど
の多価アルコール類、セロソルブ類、カルビトール類、
尿素などが挙げられるが、特に限定されるものではな
い。
り、水、感熱ゲル化性セルロース誘導体、必要に応じて
ポリマー固定化剤、防炎剤、界面活性剤、及び凝固点降
下剤の混合溶解方法は、特に限定されるものではない
が、種々の方法を採用することができる。具体的には、
例えば、感熱ゲル化性セルロース誘導体、ポリマー固定
化剤、防炎剤、界面活性剤、及び凝固点降下剤を使用濃
度に合わせて一度に全て溶解する方法;感熱ゲル化性セ
ルロース誘導体とポリマー固定化剤を溶解した後、防炎
剤、界面活性剤、及び凝固点降下剤を添加する方法;予
め感熱ゲル化性セルロース誘導体、ポリマー固定化剤、
防炎剤、界面活性剤、及び凝固点降下剤の濃厚水溶液を
調製しておき、消火時に消火用の水で希釈する方法;な
どが挙げられる。いわゆる、消火時に該消火用水組成物
は、感熱ゲル化性セルロース誘導体とその他の消火用助
剤(但し、必要に応じて)と水とを含んでおり、特定の
設定温度以下で均一な溶液状態となっていればよい。
到達する前に飛散及び急速な蒸発が起り、さらに炎に到
達した水は低所に流れ落ち又は浸透することが発生し、
多くの水が効果的に消火活動に寄与していない。本発明
の消火用水が使用されると、垂直又は水平面に噴射され
るとき、該消火用水は火炎中で水を取り込んだままで増
粘乃至ゲル化し、水の急速な蒸発・飛散を防ぐことがで
きる。さらに、増粘乃至ゲル化した消火用「水」は燃焼
物の表面に落下・付着し、燃焼熱で固形化することによ
り、水損を著しく減少させ、少量の水で効率のよい消火
活動を実施することができる。
ロゲル形成性セルロース誘導体は、主として水の燃焼物
表面における滞留を確保する。結合水は流出することが
できず、その結果、ほぼ全量の消火用水が炎の中心に止
まり、既に記述した消火力を長期にわたって発揮するこ
とができるので、火は少ない水で消される。付加的な利
益として、本発明の消火用水を用いることによって、連
続放水の必要はなく、一般に必要とされる人力及び材料
資源を最小限に抑えることができる。また、このこと
は、火災において水による二次的な災害の減少にも導
く。
した後、高含水のハイドロゲルを形成するので、水はそ
の表面から熱を除去し、そのため炎が引火点以下に降下
して消火されるまで、水の蒸発による冷却作用が続け
る。このハイドロゲル層の形成は、燃焼のために必要と
される酸素の供給を遮断し、その結果火炎を窒息させる
効果を与える。加えて、火炎に近くのまだ着火していな
い表面への火の広がりをも防止する効果を有し、いわゆ
る未着火表面をハイドロゲルで蔽うと、燃焼の連鎖反応
を断ち切る延焼防止という重要な役割を果たし、大きな
消火力及び防火力を得ることができる。
川水乃至海水のような自然の水源を利用することがで
き、地域の水質硬度変化による消火性能の低下を起さな
いので、より広域の火災に対応することができる。
のほか、大規模の火災に対して優れた消火性能を有す
る。特に、該消火用水組成物は水源の少ない状況におい
て、林野火災、山火災、草原火災、地震火災など火災発
生時にヘリコプターなどにより空中から重複散布の必要
性がないので、より顕著な消火効果と威力を発揮する。
ス誘導体は、生分解性を有するので、消火後に簡単に廃
棄することができ、環境への悪影響がない。
あり、放水による消火器具の閉塞による使用不能などの
欠点を実質的に持たなく、消火活動が簡単に停止・再開
することができる。消火後、設備は再び水洗され、直ち
に使用できる状態になる。従って、本発明は従来開示さ
れている技術(例えば、米国特許4978460号、特
開平5−305153号公報、特開平10−15593
2号公報、特開平9−140826号公報)を大きく改
良したものであり、つまり、高吸水性ポリマーゲルを添
加する消火用水に比べて、実質的な技術前進を表す。
消火用水の調製及びそれを用いた消火方法について、詳
細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定され
るものではない。尚、以下の例において、感温増粘温度
は20℃における粘度より高くなる温度を示し、感温ゲ
ル化温度は粘度が10000mPa・sを超える温度を
示す。また、特記しない限り%は重量%を表す。
ンモニウム2.0%、浸透剤としてジオクチルスルホコ
ハク酸ナトリウム0.2%を含有する990gの水溶液
に、メチルセルロース(メトキシル基含有量29.6
%、分子量12万)10gを入れ、攪拌溶解した。得ら
れた1%のポリマー溶液の粘度は20℃にて、B型粘度
計を用いて測定したところ、26mPa・sであった。
また、この水溶液の感熱増粘温度及び感熱ゲル化温度が
それぞれ40℃〜45℃及び55℃〜60℃であった。
ロース(メトキシル基含有量29.8%、分子量35
万)10gを加えて攪拌しながら、分散溶解した。得ら
れた1%のポリマー水溶液の粘度は20℃にて、B型粘
度計を用いて測定したところ、255mPa・sであっ
た。また、この水溶液の感熱増粘温度及び感熱ゲル化温
度がそれぞれ50℃〜55℃及び55℃〜60℃であっ
た。
(メトキシル基含有量29.8%、分子量35万)10
g、燐酸第2アンモニウム10g及びジオクチルスルホ
コハク酸ナトリウム1gを入れ、攪拌溶解した。得られ
た1%のポリマー溶液の粘度は20℃にて、B型粘度計
を用いて測定したところ、277mPa・sであった。
また、この水溶液の感熱増粘温度及び感熱ゲル化温度が
それぞれ40℃〜45℃及び45℃〜50℃であった。
ピルメチルセルロース(メトキシル基含有量29.0
%、ヒドロキシプロポキシル基含有量6.2%、分子量
38万)10gを加えて攪拌しながら、分散溶解した。
得られた1%のポリマー水溶液の粘度は20℃にて、B
型粘度計を用いて測定したところ、268mPa・sで
あった。また、この水溶液の感熱増粘温度及び感熱ゲル
化温度がそれぞれ65℃〜70℃及び70℃〜75℃で
あった。
ルメチルセルロース(メトキシル基含有量29.0%、
ヒドロキシプロポキシル基含有量6.2%、分子量38
万)10g、燐酸第2アンモニウム10g及びジオクチ
ルスルホコハク酸ナトリウム1gを入れ、攪拌溶解し
た。得られた1%のポリマー溶液の粘度は20℃にて、
B型粘度計を用いて測定したところ、290mPa・s
であった。また、この水溶液の感熱増粘温度及び感熱ゲ
ル化温度がそれぞれ55℃〜60℃及び65℃〜70℃
であった。
ッタ製作所製消火訓練用、テスター7、消火水噴射ノズ
ル径2mmφ)に入れ、圧搾空気を用いて消火器内の内
圧を7×105 Paに加圧し、3cm角、長さ50c
mの松材5本を1段とし、15段を格子状に積み上げた
櫓に着火し、櫓全体が独立燃焼状態となった後、消火器
より消火用水を放水し、消火試験を行った。同一条件で
の消火試験を10回行い、放水開始から鎮火迄に要した
平均時間(秒)と使用した消火用水の平均使用量(k
g)の積算値を使用した消火用水の消火効率とし、その
値を算出したところ、80.2kg・秒であった。
は、実施例1と同様の条件にて消火試験を行い、消火効
率を求めたところ、90.2kg・秒であった。
は、実施例1と同様の条件にて消火試験を行い、消火効
率を求めたところ、102.5kg・秒であった。
の条件にて消火試験を行い消火効率を求めたところ、2
58.4kg・秒であった。
ら油)500mLを入れ、添加30秒後(炎の高さ約1
m)から調製例2で作成した消火用水組成物300mL
を柄付き500mL容量ステンレス製ジョッキに分取し
一括投入し、投入後鎮火に至る時間を測定すると共に、
消火液投入直後から鎮火に至る炎の様子を観察した。結
果、鎮火に要した時間は、16秒であり、消火液投入直
後〜鎮火まで、炎の拡散は軽微であった。
以外実施例4と同一条件にて評価を行った。結果、鎮火
に要した時間は13秒であり、消火液投入直後〜鎮火ま
で炎の拡散は軽微であった。
は、常温で粘度が比較的に小さい水溶性流動体であり、
通常の消火装置を使用することができる。該消火用水組
成物は、火災の熱で高粘度を有するゲル化状態を形成す
るので、燃焼物の表面に付着する度合いが大きくなる。
本発明の消火用水組成物によれば、消火力に優れると共
に、長期にわたって高い消火力を維持することができ、
一度消火した物体は再着火しないという極めて優れた効
果を奏し得るものである。また、少量の使用でも消火が
可能となるので、消火用水の損失を著しく減少すること
ができ、二次災害を引き起こさないものである。さら
に、本発明の消火用水組成物は、一般の水系消火薬剤に
比べ、多種類の火災に対応することができ、使用範囲が
広い。
Claims (18)
- 【請求項1】 特定の設定温度以下では水溶性であり、
設定温度以上で固形化する可逆的な感熱ゲル化性高分子
と、水とを含むことを特徴とする消火用水組成物。 - 【請求項2】 感熱ゲル化性高分子がセルロース誘導体
であることを特徴とする請求項1記載の消火用水組成
物。 - 【請求項3】 セルロースの誘導体が、アルキル基置換
セルロース、ヒドロキシアルキル基置換セルロース、ヒ
ドロキシアルキルアルキル基置換セルロース、ポリアル
キレンオキシル基置換セルロース、特定のビニルモノマ
ー及び/又は特定のイオン性ビニルモノマーをグラフト
したセルロース及びこれらの混合物からなる群より選択
することを特徴とする請求項2記載の消火用水組成物。 - 【請求項4】 アルキル基置換セルロースが、主にメチ
ルセルロース(メトキシル基%は、26.0〜33.0)
であることを特徴とする請求項3記載の消火用水組成
物。 - 【請求項5】 ヒドロキシアルキル基置換セルロース
が、主にヒドロキシプロピルセルロースであることを特
徴とする請求項3記載の消火用水組成物。 - 【請求項6】 ヒドロキシアルキルメチル基置換セルロ
ースが、主にヒドロキシプロピルメチルセルロース(メ
トキシル基%は、17.0〜31.0、ヒドロキシプロ
ピル基%は、15.0以下)であることを特徴とする請
求項3記載の消火用水組成物。 - 【請求項7】 特定のビニルモノマーが、ポリマーにし
た時に下限臨界溶液温度を有する重合性化合物であるこ
とを特徴とする請求項3記載の消火用水組成物。 - 【請求項8】 特定のイオン性ビニルモノマーが、主に
アニオン基を有する重合性化合物であることを特徴とす
る請求項3記載の消火用水組成物。 - 【請求項9】 セルロース誘導体が、分子量は1500
0以上であることを特徴とする請求項2〜8記載の消火
用水組成物。 - 【請求項10】 セルロース誘導体の濃度が、0.20
重量%〜20.0重量%であることを特徴とする請求項
2〜8記載の消火用水組成物。 - 【請求項11】 感熱ゲル化性高分子のほかに、燃焼物
の表面に固形化したハイドロゲルを安定化させるための
少なくとも1種の水溶性ポリマー固定化剤、防炎剤及び
/又は浸透剤からなる消火剤を添加することを特徴とす
る請求項1〜10記載の消火用水組成物。 - 【請求項12】 消火剤が、リン酸第1(第2)アンモニ
ウム及び/又はジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを
含むことを特徴とする請求項11記載の消火用水組成
物。 - 【請求項13】 消火剤の添加濃度が、リン酸第1(第
2)アンモニウム0.25〜2.0重量%、ジオクチル
スルホコハク酸ナトリウム0〜0.2重量%であること
を特徴とする請求項11記載の消火用水組成物。 - 【請求項14】 感熱ゲル化性高分子が、水に溶解され
る時生成した水溶液の粘度が10〜10000mPa・
sの範囲であることを特徴とする請求項1〜10記載の
消火用水組成物。 - 【請求項15】 水溶性ポリマー固定化剤及び/又は消
火剤を添加して生成した水溶液の粘度が20〜2000
0mPa・sの範囲であることを特徴とする請求項11
記載の消火用水組成物。 - 【請求項16】 請求項1〜15に記載の消火用水組成
物を用いることを特徴とする消火方法。 - 【請求項17】 消火用水組成物を予め高濃度に調整し
て、使用直前に水で所定の濃度に希釈した後、通常消防
装置により被消火物の表面に噴出などすることを特徴と
する請求項16記載の消火方法。 - 【請求項18】 消火用水組成物を使用濃度に合わせて
調整し、消火時に被消火物の表面に噴出などすることを
特徴とする請求項16記載の消火方法。
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