JP2001275687A - 膜結合型メタロプロテアーゼ及びその可溶性分泌型 - Google Patents
膜結合型メタロプロテアーゼ及びその可溶性分泌型Info
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Abstract
の製造のための、及び抗癌・抗転移薬の製造のための化
合物の提供。 【解決手段】 特定の2種類のアミノ酸配列のいずれか
を有するタンパク質又はその塩。
Description
タロプロテアーゼ及びその可溶性分泌型のタンパク質、
及びこれらのタンパク質をコードするDNA、並びにそれ
らに基づく医薬に関する。
潤及び転移には組織破壊が伴うが、これに様々なプロテ
アーゼが関与していることが判明しつつある。このた
め、メタロプロテアーゼに対する阻害剤は、抗癌・抗転
移薬の候補化合物となる可能性を有している。
族性アミロイドーシス、鎌形赤血球貧血症、肺気腫、肝
硬変、血小板塞栓症及び血管浮腫等、タンパク質のフォ
ールディング過程が変化しβシート構造をとることによ
ってプロテアーゼ耐性の沈着物を生じることに起因する
一群の疾患、タンパク質構造異常疾患がある。これらは
コンフォメーション病と呼ばれているが、各種のコンフ
ォメーション病のうち、プロテアーゼインヒビター等タ
ンパク質分解系のタンパク質がコンフォメーション変化
し蓄積する例が多いことが知られている。従って、基質
特異性が比較的低く、変性したタンパク質でも初期に分
解処理する能力のあるプロテアーゼは、それらの疾患に
対する予防薬又は治療薬となる可能性を有している。
ルモン、調節ペプチド、及び神経ペプチドが、亜鉛メタ
ロプロテアーゼ群のメンバーによるタンパク質分解によ
り活性化又は不活性化されることが示されてきた [Hoop
er, N.M., FEBS Lett.,354:1-6(1994)] 。亜鉛メタロプ
ロテアーゼ群のそのようなクラスの一つは、中性エンド
ペプチダーゼ24.11(NEP)及びエンドセリン変換酵素
(ECE)によって代表されるが、ある疾患状態における
関わりのため、最近注目されており、ある種の疾患につ
いて治療標的を提供する筈である [Yanagisawa, M., Ci
rculation 89:1320-1322(1994); Turner, A.J. et al.,
Biochem. Pharmacol., 51:91-102(1996);Turner, A.J.
et al., FASEB J., 11:355-364(1997)]。哺乳類におい
ては、このメタロプロテアーゼファミリーの6つのメン
バーが同定されている。すなわち、NEP;Kell血液型抗
原(KELL);ECE-1及びECE-2;PEX(これはX-連鎖性低
リン酸血症と関連づけられている)、及び最近同定され
たペプチダーゼXCEである。これらのメンバーは全て、
その細胞外C末端ドメイン中に亜鉛結合性モチーフHEXX
H(ここにXは任意のアミノ酸を表す)の高度に保存され
たコンセンサス配列を含んだII型膜タンパク質である。
このファミリーのこれらメンバーの間での見かけ上の構
造的類似性にも拘わらず、生理学的機能には大きな多様
性が存在する。
種々の組織においても、循環中の多くの小型ペプチドメ
ディエーター、例えばエンケファリン、心房性ナトリウ
ム利尿ペプチド (ANP)、タキキニン、及びエンドセリ
ン(ET)等を分解することのできる細胞外酵素として発
現されている [Roques, B.P. et al., Pharmacol. Re
v., 45:87-146(1993)]。NEPはまた、通常の急性リンパ
芽球白血病抗原としても知られており、白血病細胞上に
おけるその存在は、より良好な予後と関連づけられてき
た。NEPの生理学的基質は未だ不明であるが、マウスに
おけるNEP遺伝子の部位特異的破壊は、エンドトキシン
ショックに対する劇的な感受性を引き起こし、このこと
はNEPがエンドトキシンショックに対抗する予期せぬ保
護的役割を提供している可能性を示唆している [Lu, B.
et al., J. Exp. Med., 181:2271-2275(1995)]。更に
は、NEPのin vivo薬理学的阻害は、血圧の低下をもたら
し、NEP欠乏マウスは、野生型の同時に生まれた仔より
も平均血圧レベルが低いことが認められ、このことはNE
Pが血圧調節にも重要な役割を演じていることを示して
いる [Lu, B. et al., Nat. Med., 3:901-907(1997)]。
ーのもう一つのよく特徴づけられたメンバーであるが、
血管の緊張の調節に、並びに神経堤細胞のある一組の発
生に関与している [Turner, A.J. et al., Biochem. Ph
armacol., 51:91-102(1996);Turner, A.J. et al., FAS
EB J., 11:355-364(1997)]。それは、不活性なET前駆体
(big ET)を、Trp21−Val/Ile22における特異的切断を
介して、生物学的に活性なETに変換する [Yanagisawa,
M. et al, Nature, 332:411-415(1988); Xu,D. et al.,
Cell, 78: 473-485(1994)]。ECEは、活性ペプチドの産
生のための調節部位を構成する。ECEの2つのアイソザ
イム、ECE-1及びECE-2が、分子的に同定されており、そ
れらはこのII型膜結合型メタロプロテアーゼのグループ
内においてサブファミリーを構成している [Xu, D. et
al., Cell, 78:473-485(1994); Emoto, N. et al., J.
Biol. Chem.:270:15262-15268(1995)]。両酵素とも、in
vitroでもまたトランスフェクトした細胞内でも、big
ET-1を切断して阻害剤感受性の全体的プロフィールの類
似したET-1を作り出すことが示されている。しかしなが
ら、ECE-1及びECE-2は、次のような顕著な相違を示す。
すなわち、(i)ECE-1は、中性pHにおいてbig ETを切断
するのに対し、ECE-2は、酸性pH領域で機能し、(ii)
ホスホラミドンに対するECE-1の感受性はECE-2に比して
250倍低く、そして(iii) ECE-1は内皮細胞及び成熟ET
-1を産生することの知られているその他の細胞タイプに
おいても豊富に発現されるが、これに対してECE-2 mRNA
は、大脳皮質、小脳及び副腎髄質を含む神経組織におい
て検出される。マウスにおけるECE-1遺伝子の部位特異
的破壊は、ECE-1が活性ET-1を産生するのに必要な生理
学的に重要性のある酵素であるということを明らかにし
た [Yanagisawa,H. et al., Development, 125:825-836
(1998)]。ECE-2の生理学的機能はまだ明らかにされてい
ない。
LL、PEX及びXCEの生理学的基質は、まだ知られていな
い。KELLは、ヒト赤血球その他の細胞タイプ上に発現さ
れるが、ケル・マイナー血液型抗原のエピトープを有し
ている。ケル血液型抗原は臨床上重要であるものの、そ
の実際のプロテアーゼ活性については未だ記述されてい
ない。PEX遺伝子は、ポジショナル・クローニングによ
り、腎におけるリン酸取り込みの障害によって特徴づけ
られる優性の疾患であるX−連鎖性低リン酸血症の遺伝
子の一候補として同定された。XCEは、最近、ESTデータ
ベースをECE-1配列でスクリーニングすることによって
単離された。XCEについてはプロテアーゼ活性は検出さ
れておらず、従って、その生理学的重要性は知られてい
ない。
ング研究は、ECE-1が、特殊な発生段階におけるbig ET-
1及びbig ET-3のための真正の活性化プロテアーゼであ
ることを明らかにした[Yanagisawa, H. et al., Develo
pment, 125:825-836(1998)]。しかしながら、ECE-1の不
存在にも拘わらず(これは脳顔面頭蓋の及び心・血管の
欠陥をもたらす)、相当な量の成熟ET-1ペプチドが依然
としてECE-1-/-胚に見出されたが、このことは、他のプ
ロテアーゼがET-1を活性化できることを示唆している。
者等は、このメタロプロテアーゼファミリーに構造的に
関連した酵素の探索を試みた。その結果本発明者等は、
ECE-1-/-マウス胚から調製したcDNAを鋳型として用いた
縮重PCRによる可溶性分泌型エンドペプチダーゼ(SEP)
と命名した新規の酵素及びこのアミノ酸配列の一部を欠
く膜結合型の酵素SEPΔを単離することに成功した。SEP
及びSEPΔポリペプチドは、SEPに特有の23個のアミノ酸
を除けば同一である。SEPのcDNA配列は、それがNEP、EC
E-1及びECE-2に構造的に関連のあるII型膜結合メタロプ
ロテアーゼであることを示すものである。SEP cDNAをチ
ャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞内にトランスフ
ェクトした結果、細胞の膜画分のみならず上清中にもSE
Pタンパク質の存在が認められ、このことはこれらの細
胞が、適当な分泌機構を介してこの酵素の可溶型を遊離
していることを示唆している。この組換え可溶型SEPタ
ンパク質の酵素学的解析は、big ET-1、ET-1、アンジオ
テンシンI、ANP、ブラジキニン及びサブスタンスPを含
むNEP及び/又はECEの基質として知られている種々のペ
プチドをSEPが加水分解することを明らかにした。この
ことは、SEPがこのメタロプロテアーゼファミリーの新
規のメンバーであるらしいこと及び生物学的に活性なペ
プチドの代謝に関与している可能性を示唆している。
は2に示すアミノ酸配列を有するンパク質(それぞれSE
P、SEPΔ)又はその塩を提供する。
に示すアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有
し、中性の至適pHを有するメタロプロテアーゼであっ
て、エンドセリン1、心房性ナトリウム利尿ペプチド、
及びアンジオテンシンIを加水分解する作用を有し、1,
10-フェナントロリン、フォスフォラミドン及びチオル
ファンにより阻害される性質を有する、タンパク質又は
その塩をも提供する。
をコードする塩基配列を有するDNAをも提供する。
又は4に示す塩基配列に表されたコード領域の塩基配列
を有するDNAをも提供する。
4に示した塩基配列に表されたコード領域の塩基配列を
有するDNAにおいて1個または複数の塩基が欠失、置
換、挿入又は付加された塩基配列を有し且つ配列番号3
又は4に示した塩基配列がコードするタンパク質と実質
的に同一のタンパク質をコードするものであるDNAをも
提供する。
に示した塩基配列に表されたコード領域の塩基配列を有
するDNAとハイストリンジェントな条件下にハイブリダ
イズする塩基配列よりなるDNA。
込んだ発現ベクターをも提供する。
する形質転換体である細胞をも提供する。
えベクターを宿主細胞に導入して形質転換体を形成し、
該形質転換体を培養して該DNAによりコードされるタン
パク質を産生させ、該タンパク質を収集することを特徴
とする、タンパク質又はその塩の製造方法をも提供す
る。
ペプチドに対する抗体をも提供する。
又はそれらの塩を含有してなる、海綿状脳症、アルツハ
イマー病、家族性アミロイドーシス、鎌形赤血球貧血
症、肺気腫、肝硬変、血小板塞栓症及び血管浮腫よりな
る群より選ばれる疾患の治療・予防薬である薬剤組成物
をも提供する。
質のプロテアーゼ作用に対する基質と、そして緩衝剤と
を、分離して収容してなる、該タンパク質のプロテアー
ゼ作用に対する候補化合物の阻害作用を測定することに
基づく、抗癌薬又は抗転移薬のスクリーニング用キット
をも提供する。
ンパク質のタンパク質の「塩」とは、該タンパク質の性
質及び作用を不可逆的に変性させることなく、且つ生理
学的及び薬剤学的に許容し得る塩であればよい。そのよ
うな塩は、塩酸塩、リン酸塩その他の無機酸塩でも酢酸
塩、クエン酸塩その他の有機酸塩でもよい。そのような
各種の塩は、それら対応する酸の共役塩基を含有する水
溶液から該タンパク質を精製することにより得ることが
できる。
すアミノ酸配列と「実質的に同一のアミノ酸配列」と
は、酵素活性に実質的な影響を及ぼすことのない1個又
は複数のアミノ酸の欠失、付加、変更等を含んだ、部分
的に異なったアミノ酸配列をいう。例えば、そのような
実質的に同一のアミノ酸配列は、元の配列の活性中心か
ら離れた部分において配列を切断することによって生じ
るもの、類似の化学的性質を有するアミノ酸による元の
アミノ酸の置換によって生じるもの、又は末端に酵素活
性に影響を及ぼさない1個のアミノ酸又はアミノ酸配列
が結合することにより生じたものであってよい。実質的
に同一のアミノ酸配列としては、それぞれ、配列表1又
は2に示すアミノ酸配列の少なくとも90%以上を含ん
だ配列であることが好ましく、95%以上を含んだ配列
であることが特に好ましい。
る」とは、至適pHが6.5〜8.0の間にあることを
いう。
2に示したアミノ酸配列を有するタンパク質をコードす
る塩基配列を有するDNAは、遺伝子コードの縮重に関す
る知識を利用して、種々のものを容易に作成することが
できる。
が欠失、置換、挿入又は付加された」というとき、「1
個又は複数」の塩基は、通常は例えば数個(例えば 3、
4個)ないし10 個である。
た塩基配列がコードするタンパク質と「実質的に同一の
タンパク質をコードする」というときは、至適pH、エ
ンドセリン1、心房性ナトリウム利尿ペプチド、及びア
ンジオテンシンIに対する加水分解作用、並びに1,10-
フェナントロリン、フォスフォラミドン及びチオルファ
ンによる阻害という点で、配列番号3又は4に示した塩
基配列がコードするタンパク質と同等なメタロプロテア
ーゼタンパク質をコードすることをいう。
トな条件」とは、例えば、ナトリウムイオン濃度が約1
9〜40mM、好ましくは約19〜20mMであって、
温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃の条
件をいう。特にナトリウムイオン濃度が約19mMで温
度が約65℃のときが最も好ましい。
製が可能である。最初に種々の化学的及び酵素的方法を
用いて DNA のクローン断片に変異を生じさせることが
でき、得られた変異型の DNA につき DNA 配列分析を行
い、利点を持つ特定の変異体を選び出す。この方法で種
々の変異体を、その表現型に関係なく、システマティッ
クに作製することができる。一般に用いられる変異型ク
ローンの作製方法は、以下の通りである。
NA 配列に置換、欠損、挿入、付加を起こさせることが
できる。この方法によれば、DNA の小さな領域に多くの
変異を起こさせることが可能である。 2.より長いオリゴヌクレオチドを用いて所望の遺伝子
の合成が可能である。 3.部位特異的変異作製法 (Region-specific Mutagene
sis) を用いて、大きな DNA 領域 (1〜3 kb) に所望の
変異体を作製可能である。 4.DNA のリンカースキャニング変異体作製法 (Linker
-scanning Mutagenesis) は相対的に小さなDNA領域 (4-
10 bp) にクラスター点変異を作製するのに適した方法
である。 5.PCRも、直接的な変異体作製法として利用できる。 [参考文献: Current protocols in molecular biolog
y. 3 vols.Edited by Ausubel F.M. et al., John Wile
y & Sons, Inc., Current Protocols., Vol.1,Chapter
8: Mutagensis of cloned DNA, pages 8.0.1-8.5.1
0]。
発現できるプラスミドベクター等のベクター作製方法
は、当業者に周知である。すなわち、制限酵素とリガー
ゼとの組合わせを用いて、所望の遺伝子を含んだDNAを
発現ベクター DNA に挿入することにより、所望の遺伝
子を含んだ組換えプラスミドを容易に構築することがで
きる。得られた組換えプラスミドを種々の細胞に導入す
ることにより細胞をトランスフェクトし、形質転換細胞
を作製することができる。細胞としては、大腸菌などの
原核細胞から、酵母や昆虫、植物や動物細胞等の真核細
胞も利用することができる。本発明において、「形質転
換体である細胞」には、これら原核細胞及び真核細胞の
何れも包含される。 [参考文献: Vectors essential data. Gacesa P. an
d Ramji D.P.166 pages.BIOSScientific Publishers Li
mited 1994., John Wiley & Sons in association with
BIOS Scientific Publishers Ltd. Expression vect
ors, pages 9-1
塩化カルシウム法やエレクトロポレーション法により行
うことができる。塩化カルシウム法は効率的なトランス
ホーメイションを与え、特別な装置を必要としない。よ
り高い効率を求めるならば、エレクトロポレーションが
用いられるべきである。 [参考文献: Current protocols in molecular biolog
y.3 vols. Edited by Ausubel F.M.et al., John Wiley
& Sons,Inc., Current Protocols.Vol.1,unit 1.8: In
troduction of plasmid DNA into cells, pages 1.8.1-
1.8.10]
ションには、一過性のものと安定で永久的なものとの2
通りが知られている。一過性のトランスフェクションで
は、形質転換細胞を1〜4日間培養してトランスフェクト
した遺伝子を転写、複製し、細胞を回収して DNA 分析
を行う。代わりに、多くの研究では、トランスフェクト
遺伝子を染色体遺伝子に組み込む安定型の形質転換系を
作製している。トランスフェクション法としては、リン
酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポソー
ム触媒法などが用いられる。 [参考文献: Current protocols in molecular biolog
y. 3 vols. Edited by Ausubel F.M.et al., John Wile
y & Son,Inc., Current Protocols. Vol.1, Chapter
9: Introduction of DNA into mammalian cells, pages
9.0.1-9.17.3.]
ローナルやモノクローナル抗体の作製も、当該分野にお
いて周知の技術を用いて容易に行うことができる。作製
された抗体は研究試薬や本遺伝子の関連する疾患の診断
薬として利用可能である。また、得られた抗体は抗体カ
ラムの作製、免疫沈殿法、更にはウエスタンブロッティ
ングによる抗原の同定その他に広く利用できる。
モノクローナル抗体の一般的作製法は、次の通りであ
る。すなわち、抗原タンパク質をマウスに接種して免疫
し、十分な抗体タイターを示すマウスから脾臓を除去す
る。脾臓細胞を分離して脾臓B細胞を選択し、B細胞起
源の骨髄腫細胞に融合し、抗体を分泌するハイブリドー
マ細胞を構築し、ハイブリドーマ細胞から分泌されたモ
ノクローナル抗体を、細胞培養液からアイニティーカラ
ム、イオン交換法、ゲルろ過法等を用いて精製する。ま
た、一般的な方法で本発明物質のポリクローナル抗体を
も製造できる。すなわち、免疫動物としては兎、馬、マ
ウス、モルモットなどを用い、当業者に既知の種々のス
ケジュールで抗原タンパク質を接種して免疫し、採血し
た血清から免疫グロブリンGなどを単離する。 [参考文献: Current protocols in mlecular biolog
y. 3 vols. Edited by Ausuel F.M.et al. John Wiley
& Sons,Inc., Current Protocols. Vol.2, chapter 1
1: Immunology, pages 11.0.1-11.16.13]
的低く、広い範囲の基質を加水分解する作用を有する。
このため、いわゆるコンフォメーション病の初期におい
て変性したタンパク質をその加水分解し、あるいはタン
パク質分解系を調節して、プロテアーゼ耐性の沈着物の
蓄積を抑制する作用を発揮し得ると期待される。該組成
物は、例えば注射剤の形であり、注射剤に通常使用され
ている緩衝剤、安定化剤、浸透圧調節剤その他の成分を
適宜含有してよい。
らなるキットにおいては、基質としては、例えばbig ET
-1を用いることができる。緩衝剤としては、例えば、0.
5MのNaClを含有する0.1MのMES-NaOH(pH7.4)を用
いることができる。反応は、好ましくは37℃にて1〜2
時間インキュベートすることにより行われ、反応停止
は、反応液0.5mlに対して10mMのEDTA10μlの割合
で添加することにより行われる。
スは、中性エンドペプチダーゼ 24.11 及びエンドセリ
ン(endothelin:ET)変換酵素によって代表されるが、多
くの調節ペプチドのタンパク質分解による活性化や不活
性化に関与していることが示されてきた。ここに本発明
者等は、このII型膜結合型メタロプロテアーゼファミリ
ーの新規なメンバー(可溶性分泌型エンドペプチダーゼ
(SEP)と命名した。)のクローニング及び特徴付けを
行った。選択的スプライシングは、別の転写体であるSE
PΔを創り出し、これは、膜貫通ヘリックスに続く69塩
基対のヌクレオチド部分(SEPのアミノ酸残基41〜63に
対応)を欠いている。SEP mRNAもSEPΔ mRNAも、ともに
調べたマウス組織の全てに検出される。SEP cDNA発現構
築物のトランスフェクションは、初期分泌経路(early
secretory pathway)膜結合型SEPの発現をもたらすと共
に、培養培地中にこの酵素の可溶性の分泌型をももたら
した。対照的に、SEPΔ cDNAのトランスフェクション
は、膜結合型の発現のみをもたらした。SEPの組換え可
溶性型のin vitro酵素学的解析は、それが、エンドセリ
ン1、心房性ナトリウム利尿ペプチド(atrial natriur
etic peptide:ANP)及びアンジオテンシンIを含む種
々の血管作動性ペプチドを加水分解することを明らかに
した。SEPのこの活性は、フォスフォラミドン及び中性
エンドペプチダーゼ24.11に特異的な阻害剤であるチオ
ルファン(thiorphan)によって 阻害されたが、エンド
セリン変換酵素に特異的な阻害剤FR901533によっては、
部分的にしか阻害されなかった。これらの知見は、SEP
が、広い基質特異性を有する新規のメタロプロテアーゼ
であることを、及びそれが細胞内並びに細胞外におい
て、生物学的に活性のペプチドの代謝に関与している可
能性があることを、を示唆している。
P、アンジオテンシンI、ブラジキニン及びサブスタン
スPは、American Peptides社より入手した。フォスフ
ォラミドン、チオルファン、1,10−フェナントロリン及
びカプトプリルは、Sigma社より入手した。FR901533(W
S79089B)は藤沢薬品工業より提供を受けた。
ECE-1-/-マウス胚はM. Yanagisawa博士(University of
Texas, Southwestern Medical Center, Dallas, TX)
の好意より提供を受けた。SEPをコードしている部分的c
DNAクローンは、ECE-1、ECE-2、NEP及びPEX cDNAの高度
に保存性のアミノ酸配列に基づいて、縮重プライマーを
用いた全ECE-1-/-胚mRNAに対する逆転写 (RT)-PCRによ
って得た。PCRは、60mMのTris-HCl (pH8.5), 15mM
の硫酸アンモニウム、1.5mMの塩化マグネシウム、各
0.25mMのdNTP、各7.5 pmolの縮重プライマー、5-at(a
/g/c/t)gt(a/g/c/t)tt(c/t)cc(a/g/c/t)gc(a/t)gg-3及
び5-t(a/g)tc(a/g/c/t)gc(a/g/t)at(a/g)tt(c/t)tc-3、
10ngの最初のcDNA鎖、及び2.5単位のTaq dNAポリメラ
ーゼを含有した。最初の5サイクルは、アニーリング温
度37℃にて行い、次いで更なる35サイクルをアニーリン
グ温度48℃で行った。PCR産物は、1%アガロースゲル
中で分離し、およそ300塩基対の領域をゲルから切り出
した。抽出されたDNAをpT7ベクター(Novagen)中にサ
ブクローニングして配列決定した。cDNAライブラリー
は、マウス精巣からのポリ(a)+ RNAに対してSuperScrip
tキット(Life Technologies, Inc.)を用いることによ
り構築した。未精製のライブラリーからの約1×106個
のプラークを、ランダムプライマーによる32P標識RT-P
CR産物をプローブとして用いて、スクリーニングした。
このcDNAの5末端を、cDNA末端の5-迅速増幅によって、E
CE-1-/-胚及びマウス脳に対してクローンした。最初のc
DNA鎖は、特異的なプライマー5-tcaggtccattcggtggtaca
gggc-3(SEPのアミノ酸293-301に対応)を用い逆転写酵
素によって合成した。ターミナルデオキシヌクレオチジ
ルトランスフェラーゼにより、最初のcDNA鎖の3末端に
オリゴ(dC)アンカーを付加した。最初のラウンドのPC
Rは、メーカーの推奨に従い特異的な3プライマーである
5-gacatcatgccttttctcctggggg-3(SEPのアミノ酸383-29
1に対応)及び5アンカープライマーを用いて実施した。
次いで産物を、特異的な内側(nested)3プライマーで
ある5-actcccgggatggcatgcccaaggt-3(SEPのアミノ酸21
8-226に対応)を用いることによって、第2の増幅に付
した。このPCRの産物をpT7ベクター中にサブクローン
し、その後配列決定した。塩基配列決定には、重なり合
ったcDNAの制限酵素断片をpBluescript(Stratagene)
プラスミドベクター中にサブクローンし、そして二本鎖
プラスミドDNAは、モデル310A DNAシーケンサー(Appl
ied Biosystems)により配列決定した。両cDNA鎖とも、
少なくとも2回カバーした。
ウス組織からの5μgの総RNA及びオリゴ(dT)12-18プラ
イマーにより、SuperScript逆転写酵素II(Life Techno
logies, Inc.)を用いてメーカーの推奨に従って行っ
た。PCRは、20mMのTris-HCl(pH8.5)、15mMの硫
酸アンモニウム、1.5mMの塩化マグネシウム、各0.25
mMのdNTP、各100nMの増幅プライマー、10ngの最
初のcDNA鎖、及び2.5単位のTaqポリメラーゼを含有し
た。プライマーである5-gggagccatagtgactctgggtgtc-3
(SEPのアミノ酸28-36に対応)及び5-gctatcacacagcttg
gggtggtgc-3(SEPのアミノ酸75-83に対応)を、マウスS
EPの両スプライス型について用いた。PCR産物は、DNA配
列決定により確認した。
対する抗体は、家兎を、マウスSEPのC末端の16個のア
ミノ酸に対応する合成ペプチドCPRGSPMHPMKRCRIWで免疫
することによって製造した。完全アジュバントに加えた
キーホール・リムペット(keyhole limpet)のヘモシア
ニン結合ペプチドで家兎を免疫し、抗血清を調製した。
イムノブロット分析は、セイヨウワサビ・ペルオキシダ
ーゼ接合の抗家兎IgGによって、ECL検出キット(Amersh
am Pharmacia Biotech)を用いて、メーカーの推奨する
ようにした行った。
たSEP及びCHO/SEP及びCHO/SEPΔ細胞からの膜調製物
を、1単位のエンド−β−N−アセチルグルコサミニダ
ーゼ又はペプチド−N−グリコシダーゼF(Roche Mole
cular Biochemicals)と共に、50mMリン酸ナトリウム
緩衝液(pH5.5)中で37℃にて16時間インキュベート
した。対照サンプルは、エンドグリコシダーゼ無しに同
一の緩衝液中37℃にて16時間、並行してインキュベート
した。これらのサンプルを、次いでイムノブロッティン
グに付した。
O-K1細胞を培養した[Emoto, N. etal., J. Biol. Che
m., 274:1509-1518(1999)]。プロプレ−ET-1及びECE-1
a、SEP又はSEPΔの二重トランスフェクションは、Lipof
ectAMINE(Life Technologies,Inc.)を用いて行った。
トランスフェクションの12時間後、細胞に新鮮な培地を
与えた。培地を更なる18時間条件付けし、次いで直接に
サンドイッチ型イムノアッセイに付したが、big ET-1及
びET-1との間には交差反応性は見られなかった。In vit
ro酵素学的特徴づけには、SEP発現構築物をCHO-K1細胞
内に一過性にトランスフェクトした。CHO-SFM II(Life
Technologies, Inc.)中で培地を48時間条件付けし、
そして20mM Tris-HCl(pH7.4)及び0.5M塩化ナト
リウムで平衡化した麦芽レクチンカラム(1×1ml H
iTrap 麦芽レクチン;Amersham Pharmacia Biotech)に
付した。カラムを洗浄し、そして0.5MのN−アセチル
グルコサミンを含有する同じ緩衝液で溶出した。次い
で、活性のある画分を、Centriprep濃縮装置(Amersha
m)に付した。
ス上に播き、2日間培養した。蛍光免疫細胞化学法を、
次のようにして行った。すなわち、細胞内染色には、細
胞を固定し、メタノール中で5分間−20℃にて透過性に
した。リン酸緩衝食塩水(PBS)中で洗浄の後、10%(v
/v)の正常ヤギ血清を含んだPBSを添加した。37℃にて
1時間のインキュベーション後、正常ヤギ血清/PBS
を、ウシSEP C末端ペプチドに対するポリクローナル抗
体を含有した(1:100)緩衝液に置き換えた。37℃にて9
0分間インキュベーションした後、細胞を洗浄し、そし
て7.5μg/mlのフルオレッセインイソチオシアネート
標識ヤギ抗家兎IgG(Zymed LaboratoriesInc.)を含ん
だ正常ヤギ血清/PBS中でインキュベートした。37℃に
て45分後、細胞を徹底して洗浄した。カバーガラスを、
90%(v/v)グリセロール、50mMTris-HCl(pH9.0)
及び2.5%(w/v)の1,4-アゾジシクロ-[2.2.2]-オクタン
と共に顕微鏡スライドに載せた。細胞表面の染色のため
には、細胞を4%のパラホルムアルデヒド含有PBS中で1
5分間室温にて固定した。PBSで2回洗浄の後、細胞をSE
P抗体及びフルオレッセインイソチオシアネート標識ヤ
ギ抗家兎IgGで、上記のようにして処理した。3つの陰
性対照条件を調べた。すなわち、免疫前血清での染色、
予備吸収後の抗体による染色、及び主抗体の除去であ
る。これらの条件の何れも、細胞染色をもたらさなかっ
た。
反応混合物(100μl)は、0.1MのMES-NaOH(pH7.
4)、0.5MのNaCl、0.5μMのペプチド、及び酵素画分
を含有した。幾つかの実験のためには、ペプチド添加に
先立って、反応混合物を、種々のプロテアーゼ阻害剤と
共に37℃にて15分間予備インキュベートした。反応物
は、シリコン処理した0.5mlのマイクロ遠心チューブ
に入れて37℃にて1〜12時間インキュベートした。酵素
反応は、10mMのEDTAを1μl添加することによって終
了させた。次いで混合物を、10 %(v/v)アセトニトリ
ル及び0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸で平衡化したC18
逆相HPLCカラムに注入した(μRPC C2/C18, ST4.6/10
0;Amersham Pharmacia Biotech)。カラムを、1ml
/分の流速で、アセトニトリル10〜80%の直線的勾配及
び0.1%のトリフルオロ酢酸により43分かけて溶出し、
続いて、100%アセトニトリルで更に3分溶出した。ペ
プチドを220nmの吸収によって検出した。
レーザー脱離/イオン化マススペクトルを、Voyager RP
遅延抽出マススペクトロメーター(PerSeptive Biosyst
ems,Inc.)によって得た。標的からのイオンの脱離に
は、窒素レーザー(Laser Science, Inc.)(337 nm, 3
-ns パルス幅)からの放射を用いた。リフレクター(re
flector)遅延抽出実験は、何れも、抽出グリッド電圧1
4.5kV及びパルス遅延225nsを用いて行った。
クレオチドプライマーを、膜結合型メタロプロテアーゼ
ファミリーの既知のメンバー、すなわちECE-1、ECE-2、
NEP、及びPEXの保存性アミノ酸配列に基づいて設計し
た。これに続く全ECE-1-/-マウス胚RNAからのRT-PCR
は、予測されたサイズのcDNA産物を与えた。これらのcD
NA断片をプラスミドベクターにサブクローンし、塩基配
列を決定した。ランダムに取り出したプラスミドクロー
ンからの配列は、この300塩基対のcDNA産物が2つの全
く別のcDNA配列の混合物であることを明らかにした。す
なわち、大半のプラスミドクローンはマウスNEPをコー
ドしていたのに対して、1つのクローンからの塩基配列
は、このメタロプロテアーゼファミリーのメンバーに緊
密に関係づけられるポリペプチド配列を示すものであっ
た。本発明者等は、この新規の推定的メタロプロテアー
ゼをSEPと命名した。
して用いて、本発明者等は、マウス精巣のcDNAライブラ
リーをスクリーンした。理由は、SEP mRNAが、精巣に最
も豊富に発現されていたからである(図2を参照)。本
発明者等は、数個の陽性クローンを精製して配列決定
し、これらの全クローンの重ね合わさった塩基配列が同
一であることを確認した。最長のSEP cDNAの塩基配列
は、先行するインフレームのストップコドン及び後続の
長いオープンリーディングフレームを有する、5-atg ト
リプレットコドンを有していた。コードされているSEP
のアミノ酸配列を配列表の配列番号1に示す。
ングを行う一方で、本発明者等は、SEP mRNAの5 多様性
を評価するため、入れ子になった一組の特異的な内側プ
ライマーを用いて、ECE-1-/-胚、マウス脳、及びマウス
精巣からのRNAに基づいてcDNA末端の5-迅速増幅を行っ
た。これは2つの産物を与えた。一方の産物の塩基配列
はスクリーニングによって単離された全長SEP cDNAの5
末端と同一であった。しかしながら、他のクローンの配
列決定結果は、次のことを明らかにした。すなわち、そ
れらはSEP mRNA由来のcDNAを含んだが、しかし推定的膜
貫通ヘリックスの直後の69塩基対のヌクレオチド部分
を、おそらく選択的スプライシングのため、欠いていた
(図1、並びに配列番号3及び4)。図1において、黒
く塗った部分は推定された膜貫通ドメインであり、斜線
部分は、SEPにのみある69塩基対部分である。矢印はSEP
及びSEPΔ cDNAを増幅するために用いたPCRプライマー
を表す。これらの発見に基づいて、このクローンをSEP
Δと命名した(配列番号4)。
規の765アミノ酸よりなるポリペプチドをコードしてお
り、これはNEPメタロプロテアーゼファミリーとの間で
重要な構造的特徴点を共有している [Hooper, N.M., FE
BS Lett.,354:1-6(1994); Turner, A.J. et al., FASEB
J., 11:355-364(1997)]。すなわち、(i)そのcDNA
が、17残基のN末端細胞質尾部、21残基の推定的膜貫通
ヘリックス(配列番号1及び2において、アミノ酸残基
18〜38)、及び大きな(727残基)細胞外C末端部を備
えたII型の内在性膜タンパク質を予測させる。(ii)SE
Pの細胞外部分が推定の触媒ドメインを構成しそして、
多くのメタロプロテアーゼに共通である亜鉛結合性モチ
ーフΦΧΗΕΦΦΗΦΨ(ここに、Φ及びΨは、それぞ
れ、無電荷の且つ疎水性のアミノ酸を表す。)の高度に
保存されたコンセンサス配列(残基597〜605)を含んで
いる。(iii)SEPは、細胞外ドメイン中のN−グリコシ
ル化のための9個の推定部位を有しており、このこと
は、SEPが、NEP及びECEのように高度にグリコシル化さ
れるタンパク質であることを示唆している。(iv)この
メタロプロテアーゼファミリーの全てのタンパク質にお
いて保存されている、細胞外ドメイン中の10個のシステ
イン残基が存在する。
NEP、ECE-1、ECE-2、XCE及びPEXに対するSEP配列の有意
な類似性を指摘した。この配列上の類似性は、亜鉛結合
性ドメイン付近の領域を含む推定の細胞外ドメインのC
末端3分の1において特に高い。この領域(SEPのアミ
ノ酸511〜765)内においては、マウスNEP、ヒトECE-1、
ウシECE-2及びヒトXCEに対するマウスSEPの同一性は、
それぞれ、65.1%、47.7%、44.5%及び46.1%である。
ウス組織からの総mRNAを用いたノーザンブロット分析
は、精巣に、比較的多量の3.8kbのSEP mRNAの存在す
ることを明らかにした(データは示さず)。少量のSEP
mRNAはまた、卵巣においても発現されていた。他の組織
である脳、肺、心臓、肝臓、腎臓、副腎及び腸には、シ
グナルは認められなかった。次いで本発明者等は、これ
らSEPのサブアイソフォームの両方を増幅するためのプ
ライマーを用いRT-PCRにより種々のマウス組織中のSEP
及びSEPΔ mRNAの発現を調べた。SEP及びSEPΔに対応す
る2つの断片(それぞれ、134及び65塩基対)が、調べ
た組織の全て並びにECE-1-/-胚において検出された(図
2)。RT-PCRは厳密には定量的ではないが、このデータ
は、精巣においてはSEPが主たるアイソフォームである
こと、及びこれに対しSEPΔは主として他の組織におい
て発現されていることを示唆している。
したSEP及びSEPΔの性質を特徴づけるため、本発明者等
は、SRαウイルスプロモータによって駆動される発現構
築物を一過性にトランスフェクトすることにより [Emot
o, N. et al., J. Biol. Chem., 274:1509-1518(199
9)]、トランスフェクト細胞CHO/SEP及びCHO/SEPΔを作
り出した。抗SEP C末端ペプチド抗血清を用いたイムノ
ブロット分析は、SEP及びSEPΔタンパク質の双方が、こ
れらの細胞からの膜調製物中に、約110kDaのタンパ
ク質として発現されることを示した。加えて、本発明者
等は、CHO/SEP細胞で条件付けした培養培地中に、見か
けの分子量約126kDaを有するかなりの量のSEP−免疫
反応性物質を検出し、このことは、これらの細胞が可溶
型のSEPを培地中に遊離することを示している(図3を
参照:S=上清画分、M=膜画分:還元性条件下の7.5
%SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動)。対照的に、
CHO/SEP Δと未トランスフェクトのCHO細胞の条件付け培
地中にはSEPの免疫反応性は検出されなかった。これら
の観察結果は、CHO/SEP細胞が110kDaの膜結合型SEP
並びに126kDaの可溶型SEPを培地中に発現する一方、
CHO/SEPΔ細胞は膜結合型のみを発現することを明らか
にしている。
リコシル化を受けるタンパク質であることを明らかにし
たため、本発明者等は、イムノブロット分析において観
察される見かけの分子量における変動は、主として糖部
分の存在によるものであろうと仮定した。SEPの糖側鎖
を分析するために、本発明者等は、エンド−β−N−ア
セチルグルコサミニダーゼH(Endo H)及びペプチド−
N−グリコシダーゼF(PNGase F)に対する110kDa
の膜結合型SEP及び126kDaの可溶型SEPの感受性を調
べた。すなわち、実験手順の部に記載の通り上清中の可
溶型SEP及び膜結合型SEPを、エンドH(H)又はPNGase
F(F)と共にインキュベートした。対照サンプル(−)
は、エンドグリコシダーゼなしで並行して同じ緩衝液中
でインキュベートした。各サンプルを次いでイムノブロ
ッティングに付した(結果は図4を参照のこと)。小胞
体とゴルジ装置の一部とを含む、初期の分泌経路中に見
出されるマンノースに富んだ糖部分を含んだタンパク質
は、Endo H及びPNGase Fの双方に対し感受性である。対
照的に、糖側鎖が複合オリゴサッカライドにまで更に修
飾されているタンパク質(これはゴルジ装置に存在す
る)は、PNGase Fに感受性であるがしかしEndo Hには抵
抗する。CHO/SEP細胞からの可溶化膜をEndo H又はPNGas
e Fで処理すると、見かけの分子量が110から89kDaへ
と減少し、これは、SEPについて計算された分子量に対
応する。これらの観察結果は、細胞の膜画分に観察され
る110kDaの種は、初期の分泌経路に存在する部分的
にグリコシル化されたタンパク質であることを示唆して
いる。対照的に、条件付けられた培地をPNGase Fで処理
するとサイズが126から89kDaへと減少したが、これ
らの種に対してはEndo Hは効果がなく、このことは、条
件付けられた培地中のSEPタンパク質がEndo Hに抵抗性
であることを示している。これらの観察結果は、培地中
のSEPタンパク質の存在は、ゴルジ装置を経由する間に
完全なグリコシル化を受けた後に分泌されることによる
ものであることを示唆している。総合すると、これらの
結果は、CHO/SEP細胞が、細胞内の初期分泌経路に沿っ
たコンパートメントの膜中に膜結合型SEPタンパク質を
発現し、そしてまた、適当な分泌機構を介して培地中に
タンパク質の可溶型を分泌もすることを示唆している。
を調べるため、本発明者等は、SEPの共通のC末端細胞
外ドメインを認識する抗体により、CHO/SEP及びCHO/SEP
Δ細胞の双方について免疫染色を行った。すなわち、実
験手順の部に記載の通りに、SEP又はSEPΔ発現構築物で
トランスフェクトしたCHO細胞を、細胞内(A,C,
E)又は表面(B,D,F)染色に付した。(図5)。
透過性にすることなしでは、どちらの細胞もかすかにし
か染まらず、このことは、これらの細胞が細胞表面に僅
かしかSEPを発現していないことを示している(図5、
B及びD)。透過性にした後は、どちらの細胞も強い細
胞内染色を示した(図5、A及びC)。親CHO株であるC
HO-K1細胞は、染色を全く示さなかった(図5、E及び
F)。これらの知見は、CHO細胞内で発現される膜結合
型SEPが、細胞内、おそらく初期分泌経路中に局在する
らしいことを示しており、このことはEndo Hに対するそ
の感受性と合う。
ET-1の切断: 本発明者等は、最初に、SEPがbig ET-1
を変換できるか否か、先に記載された二重トランスフェ
クションアッセイ[Xu, D. et al., Cell, 78: 473-485
(1994); Emoto, N. et al.,J. Biol. Chem.:270:15262-
15268(1995); Emoto, N. et al., J. Biol. Chem.,274:
1509-1518(1999)]によって調べた。実験手順の部に記載
した通りに、CHO/SEP及びCHO/SEPΔ細胞を、プレプロET
-1構築物で一過性にトランスフェクトし、細胞時間培養
し、条件付けられた培地中の成熟ET-1をエンザイムイム
ノアッセイにより測定した。その結果これらの細胞から
培地中に分泌される成熟ET-1の量を、サンドイッチ型エ
ンザイムイムノアッセイによって定量した。図6に示し
たように、プレプロET-1 cDNAでトランスフェクトされ
た親CHO細胞は、有意な量の成熟ET-1を分泌しなかっ
た。これは、CHO細胞が検出可能なECE活性を有しないと
いう知見[Xu, D. et al., Cell, 78: 473-485(1994)]と
合致する。他方、プレプロET-1構築物でトランスフェク
トした、構成的にウシECE-1aを発現するCHO/ECE-1a細胞
は、多量の成熟ET-1を産生した。これもまた、ECE-1 cD
NAは成熟ET-1を分泌する能力をこれらの細胞に賦与する
という、本発明者等の先の知見と合致する[Xu, D. et a
l., Cell, 78: 473-485(1994)]。プレプロET-1 cDNAで
トランスフェクトされたCHO/SEP及びCHO/SEPΔ細胞はま
た、有意な量の成熟ET-1をも産生し、このことは、SEP
がbig ET-1を切断して成熟ET-1を産生する能力を有する
ことを示している。しかしながら、CHO/SEP細胞によっ
ては、CHO/ECE-1a細胞よりずっと少量の成熟ET-1しか産
生されなかった。これらの観察結果は、SEPがECE-1より
小さなECE-1様活性を有することを示唆している。ある
いは、ET-1のレベルの低下は、big ET-1におけるECE-1
特異的Typ21−Val22切断部位における切断の後で、SEP
が更にET-1を分解する能力を有することにもよるものか
も知れない。
の切断部位の決定: 先に本発明者等は、ECE-1がbig E
T-1(1-38)のTyp21−Val22結合を切断して、且つbig E
T-1又はET-1の他の部位を更に切断することなく、成熟E
T-1(1〜21)とbig ET-1のC末端の半分(22〜38)と
を産生することを示した[Xu, D. et al., Cell, 78:473
-485(1994)]。in vitroアッセイで、組換えSEPによるbi
g ET-1及び成熟ET-1の切断部位を調べるために、本発明
者等は、CHO/SEP細胞の条件付けられた培地から可溶型S
EPを部分精製した。本発明者等は、次いで、逆相HPLCに
よって切断を直接モニターしながら、比較的大量のbig
ET-1(10μM)及びET-1(1.5μM)を、部分精製したS
EPと共に長時間(12時間)インキュベートした。生成物
のピークを集め、マススペクトルによりペプチドを同定
した。Big ET-1(1〜38)は、可溶型SEPにより相当程
度にまで(42%)加水分解され、HPLCは少なくtも4つ
の別個の産物ピークに分かれた(図7B)。2つのペプ
チド産物(図7C、ピーク1及び4)は、それぞれ、標
準big ET-1(22〜38)及び成熟ET-1(1〜21)と一緒に
溶出された。マススペクトルを用いた分析は、それら
が、それぞれ(M+H)+についてのm/z値1810及び2493
のbig ET-1(22〜38)及び成熟ET-1(1〜21)であるこ
とを確認した。これらの知見は、可溶型SEPがbig ET-1
の特異的Typ21−Val22結合を切断することによってET-1
を産生することができることを示している。他方、ET-1
は可溶型SEPによって更に消化されるように見える。図
7Dは、HPLCによって分離される2つの主要な産物ピー
クを現し、ET-1がこれらの条件で殆ど完全に消化された
ことを示しており、このことは可溶型のSEPが成熟ET-1
を複数の部位で加水分解することを示している。成熟ET
-1からのこれら2つの主要なピーク(図7D、ピーク1
及び2)は、big ET-1から産生されたピーク(図7C、
それぞれ、ピーク2及び3)と共に溶出された。分子量
に基づいて、一方のペプチド産物(図7C、ピーク3、
及びD、ピーク2)はET-1(1〜16)と同一であること
が示された。もう一つのペプチド産物(図7C、ピーク
2、及びD、ピーク1)は、ET-1(1〜16)のSer4とGl
u10との間の部位における切断によっておそらく産生さ
れた、Cys1とCys15及びCys3とCys11の間の2個のジスル
フィド結合によって保持されている二本鎖のET-1(1〜
16)であるように見える。未トランスフェクトのCHO細
胞からのタンパク質の並行して行った調製物は、big ET
-1及びET-1ともに、検出可能な活性を示さなかった。可
溶型SEPのこれらの活性は、100μMのフォスフォラミド
ンによって完全に阻害された(図7、E及びF)。これ
らの結果は、big ET-1が可溶型SEPによりTyp21−Val22
部位において最初に切断されその結果ET-1の産生がもた
らされること、及び、新たに形成されたET-1が、可溶型
SEPにより同時に分解されうることを示唆している。
等は、クローンされたSEPの酵素学的性質を、ET-1分解
活性を用いて評価した。可溶型SEPの活性は、1,10-フェ
ナントロリン、メタロプロテアーゼ阻害剤フォスフォラ
ミドン、及び特異的NEP阻害剤チオルファンによってin
vitroで阻害された(表1を参照)。
のプロテアーゼ阻害剤プロフィール
に、用量依存的に、見かけのIC50値それぞれ約6nM及
び2μMを以て、SEP活性を阻害した(図8)。この酵
素は、ECE特異的阻害薬FR901533によって部分的に阻害
され、そしてアンジオテンシン変換酵素阻害薬カプトプ
リルによっては阻害されなかった。pHプロフィール検
討は、至適pHが7.4という中性であり、比較的急峻な
pH依存性を伴うことを明らかにした(図10)。これ
らの観察結果は、可溶型SEPが、至適pHを中性とする
新規のメタロプロテアーゼを表すこと、及びそれがNEP
類似の阻害剤感受性プロフィールを有することを示して
いる。
プチドの加水分解: 最後に、本発明者等は、ECE-1及
び/又はNEPの基質として特徴づけられる他の生物学的
活性ペプチドに対する、SEP触媒性の加水分解を調べ
た。基質の加水分解は、HPLCによってモニターし、結果
を2にまとめた。加水分解%は、対照の物質面積とSEP
消化後のサンプルの物質面積とを比較することにより決
定した。
水分解
オテンシンI、ANP、ブラジキニン及びサブスタンスP
が、全て完全に又はほぼ完全に消化される一方、トラン
スフェクトしていないCHO細胞からのタンパク質につい
て並行して行った調製物は、検出可能な活性を示さない
ことを見出した。これらの観察結果は、SEPがNEPに類似
の広い基質特異性を有することを示唆している。
ペプチドを加水分解することのできる新規の可溶性分泌
型メタロプロテアーゼであるSEPのクローニング及び特
徴づけを記述した。本発明者等の当初の目標は、別のエ
ンドセリン変換酵素を単離することであり、本発明者等
は、SEPがbig ET-1を切断して成熟ET-1をin vitroで並
びにトランスフェクトされた細胞内で産生することを明
らかにした。しかしながら、本発明者等は、SEPが生理
学的ECEではないと感じている。なぜならば、それは、b
ig ET-1からET-1を産生するよりも効率的にET-1を加水
分解するからである。代わりとして、多くのファクター
が、SEPが、ECEやメタロプロテアーゼファミリーの他の
メンバーよりも高度な構造的及び機能的類似性をNEPと
共有していることを示している。第1に、SEPの配列同
一性は、他のメンバーよりもNEPとの間で高い。特に、S
EP及びNEPは、それらのN末端部分(SEPのアミノ酸1〜
510)互いに42%同一であり、それに対し、この領域に
おいてECE-1、ECE-2及びXCEとはごく僅かに似ているだ
けである。第2に、NEPにおいて基質結合性部位を構成
していることの知られている2つのアルギニン残基(ヒ
トNEPでは、Arg102及びArg747)はSEPにおいて保存され
ている(マウスSEPではArg121及びArg764)[Turner, A.
J. et al., FASEB J., 11:355-364(1997)]。対照的に、
2個のアルギニン残基中1個しか、ECE-1(ヒトECE-1b
中のArg129)及びECE-2(ウシECE-2中のArg162)では保
存されていない。尤もこのことがECE-1の基質結合にお
いて重要な役割を演じていることが示されてはいない
が。第3に、ラットECE-1中のCys412残基(これは、ECE
-1の二量体構造の形成に関与していることが知られてい
る)は、SEPにおいてもNEPにおいても保存されていな
い。第4に、SEP及びNEPは何れも、bigET-1及びET-1を
多数の内部切断部位において迅速に分解するのに対し
て、ECE-1は、big ET-1やET-1の他の部分を切断するこ
となしに、big ET-1のTrp21−Val22結合を特異的に切断
する[Xu, D. et al., Cell, 78: 473-485(1994)]。第5
に、SEPの活性はNEPの特異的阻害薬チオルファンで効果
的に阻害されるが、特異的ECE阻害薬FR901533では完全
には阻害されない。最後に、SEP及びNEPは何れも、多く
の小さなペプチドを高度に無差別な仕方で切断する。こ
れらの知見は、SEPが生理学的に重要なエンドセリン変
換酵素でないこと、及びSEP及びNEPがメタロプロテアー
ゼの群の内部においてサブファミリーを形成しているこ
とを示唆している。
テアーゼファミリーの他の既知のメンバーと共有してい
るが、それでもなおそれらとは著しい相違をも示してい
る。SEPの発現構築物のトランスフェクションは、培地
中に機能的な可溶型の酵素の遊離をもたらした。このこ
とは、可溶型SEPがin vivoで循環性のエンドペプチダー
ゼとして働いている可能性を示唆している。これらの観
察結果は、NEPとECEとが共に膜結合型の酵素として働き
何れも可溶型を遊離しないという事実と著しい対照をな
している[Turner, A.J. et al., FASEB J., 11:355-364
(1997)]。実際、本発明者等は、このメタロプロテアー
ゼファミリーのメンバーで機能的な可溶型酵素を遊離す
るものを知らない。内因性のタンパク質分解による内在
性の膜結合型の細胞外酵素の遊離は、別のメタロプロテ
アーゼファミリーのメンバーであり哺乳類において血圧
の維持に決定的な役割を演じているアンジオテンシン変
換酵素(ACE)に関して、よく調べられている。ACEは主
として膜結合型酵素として存在するが、血漿その他多く
の体液中に正常な条件下に可溶型も存在する。哺乳類に
おいて、ACEは、2つの別個のアイソ酵素、すなわち体
性(somatic)ACE及び精巣ACEとして存在する。それら
は、単一の遺伝子から選択的スプライシングによって誘
導される。体性あるいは精巣ACEの何れの全長cDNAのト
ランスフェクションも、細胞表面上の膜結合型ACEの発
現だけでなく何らかの酵素によってタンパク質分解され
た結果としての分泌型の発現をももたらす。しかしなが
ら、SEPはACEとの間に次の相違点を有している。すなわ
ち、(i)SEPはその1つのスプライス型のみが該酵素の
可溶型を発現するのに対して、ACEでは両方のスプライ
ス型がその酵素の可溶型を産生し、そして(ii)膜結合
型ACEが細胞外酵素として細胞表面上に発現されるのに
対して、膜結合型SEPは、小胞体とゴルジ装置の一部と
を含む初期分泌経路内で発現されるように見える。この
ように、両方の型を産生する他のメタロプロテアーゼも
知られてはいるが、SEPは明らかに新規の分子である。
RT-PCR結果の電気泳動図
膜画分のイムノブロット分析
ョン結果を示す泳動図。
HO細胞の蛍光免疫細胞化学法による分析
NAで二重トランスフェクトしたCHO細胞による成熟ET-1
の産生を示すグラフ
LCチャート
の機能的発現を示すグラフ
による可溶型SEPの阻害を示すグラフ
可溶型SEP活性のpHプロフィールを示すグラフ
Claims (15)
- 【請求項1】配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を
有するタンパク質又はその塩。 - 【請求項2】配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列と
実質的に同一のアミノ酸配列を有し、中性の至適pHを
有するメタロプロテアーゼであって、エンドセリン1、
心房性ナトリウム利尿ペプチド、及びアンジオテンシン
Iを加水分解する作用を有し、1,10-フェナントロリ
ン、フォスフォラミドン及びチオルファンにより阻害さ
れる性質を有する、タンパク質又はその塩。 - 【請求項3】配列表の配列番号2に示すアミノ酸配列を
有するタンパク質又はその塩。 - 【請求項4】配列表の配列番号2に示すアミノ酸配列と
実質的に同一のアミノ酸配列を有し、中性の至適pHを
有するメタロプロテアーゼであって、エンドセリン1、
心房性ナトリウム利尿ペプチド、及びアンジオテンシン
Iを加水分解する作用を有し、1,10-フェナントロリ
ン、フォスフォラミドン及びチオルファンにより阻害さ
れる性質を有する、タンパク質又はその塩。 - 【請求項5】請求項1のタンパク質をコードする塩基配
列を有するDNA。 - 【請求項6】請求項3のタンパク質をコードする塩基配
列を有するDNA。 - 【請求項7】配列表の配列番号3又は4に示す塩基配列
に表されたコード領域の塩基配列を有するDNA。 - 【請求項8】配列表の配列番号3又は4に示した塩基配
列に表されたコード領域の塩基配列を有するDNAにおい
て1個または複数の塩基が欠失、置換、挿入又は付加さ
れた塩基配列を有し且つ配列番号3又は4に示した塩基
配列がコードするタンパク質と実質的に同一のタンパク
質をコードするものであるDNA。 - 【請求項9】配列表の配列番号3又は4に示した塩基配
列に表されたコード領域の塩基配列を有するDNAとハイ
ストリンジェントな条件下にハイブリダイズする塩基配
列よりなるDNA。 - 【請求項10】請求項5ないし9の何れかのDNAを組み
込んだ発現ベクター。 - 【請求項11】請求項5ないし9の何れかのDNAを組み
込んだ発現ベクターを保持する形質転換体である細胞。 - 【請求項12】請求項5ないし9の何れかのDNAを組み
込んだ発現ベクターを宿主細胞に導入して形質転換体を
形成し、該形質転換体を培養して該DNAによりコードさ
れるタンパク質を産生させ、該タンパク質を収集するこ
とを特徴とする、タンパク質又はその塩の製造方法。 - 【請求項13】請求項1ないし4の何れかのタンパク質
に対する抗体。 - 【請求項14】請求項1ないし4の何れかのタンパク質
又はその塩を含有してなる、海綿状脳症、アルツハイマ
ー病、家族性アミロイドーシス、鎌形赤血球貧血症、肺
気腫、肝硬変、血小板塞栓症及び血管浮腫よりなる群よ
り選ばれる疾患の治療・予防薬である薬剤組成物。 - 【請求項15】請求項1ないし4の何れかのタンパク質
と、該タンパク質のプロテアーゼ作用に対する基質と、
そして緩衝剤とを、分離して収容してなる、該タンパク
質のプロテアーゼ作用に対する候補化合物の阻害作用を
測定することに基づく、抗癌薬又は抗転移薬のスクリー
ニング用キット。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007123187A1 (ja) | 2006-04-20 | 2007-11-01 | Itoham Foods Inc. | コンフォメーション病医薬組成物 |
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DE60040089D1 (de) * | 1999-11-19 | 2008-10-09 | Solvay Pharm Bv | Menschliches homolog aus der familie der metalloproteasen |
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Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1999053077A1 (fr) * | 1998-04-08 | 1999-10-21 | Institut National De La Sante Et De La Recherche Medicale (Inserm) | Nouvelle metalloprotease membranaire nep ii et son utilisation pour le criblage d'inhibiteurs utiles en therapie |
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- 2000-04-04 JP JP2000101776A patent/JP2001275687A/ja active Pending
- 2000-11-03 US US09/704,611 patent/US6548284B1/en not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO1999053077A1 (fr) * | 1998-04-08 | 1999-10-21 | Institut National De La Sante Et De La Recherche Medicale (Inserm) | Nouvelle metalloprotease membranaire nep ii et son utilisation pour le criblage d'inhibiteurs utiles en therapie |
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WO2007123187A1 (ja) | 2006-04-20 | 2007-11-01 | Itoham Foods Inc. | コンフォメーション病医薬組成物 |
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