JP2001268983A - 直流モータ - Google Patents

直流モータ

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JP2001268983A
JP2001268983A JP2000077837A JP2000077837A JP2001268983A JP 2001268983 A JP2001268983 A JP 2001268983A JP 2000077837 A JP2000077837 A JP 2000077837A JP 2000077837 A JP2000077837 A JP 2000077837A JP 2001268983 A JP2001268983 A JP 2001268983A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブラシ付きの直流モータにおいて、低コスト
で、且つ電磁波ノイズの発生しない方式で、モータ回転
速度を可変できるようにする。 【解決手段】 回転軸23の周囲に放射状に配列した整
流子片29に対応して、通電用ブラシ30と短絡用ブラ
シ31をそれぞれ回転軸23の周囲に90°ピッチで交
互に配置する。通電用ブラシ30は、常時、整流子片2
9に摺接し、短絡用ブラシ31は、整流子片29に摺接
した位置と離れた位置と間で移動する。短絡用ブラシ3
1が整流子片29に摺接すると、一部のコイル25が短
絡され、モータ全体の通電コイルのターン数が減少した
状態で直流モータが運転され、モータ回転速度が上昇す
る。短絡用ブラシ31が整流子片29から離れると、全
てのコイル25に通電される。これにより、モータ全体
の通電コイルのターン数が増加し、モータ回転速度が減
少するようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータ回転速度を
可変できるブラシ付きの直流モータに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、ブラシ付きの直流モータは、
小型・高トルクで制御しやすい等の利点があるため、種
々の装置の駆動源として広く採用されている。例えば、
自動車用の燃料ポンプの駆動源にもブラシ付きの直流モ
ータが使用されている。燃料ポンプは、エンジンで消費
される最大流量以上の燃料を吐出する能力が要求される
が、エンジン冷間始動時には、スタータ等の電気負荷が
大きくなるため、電源となるバッテリ電圧が大幅に低下
し、燃料ポンプのモータへの印加電圧も5.5V程度ま
で低下することがある。このバッテリ電圧の低下によ
り、始動時の燃料ポンプの回転速度の立上がりが遅くな
って、始動時に燃料噴射弁に供給する燃料圧力の上昇が
遅くなり、エンジン始動性を悪化させることがあった。
【0003】この対策として、特開平9−32673号
公報では、電源回路にDC−DCコンバータを搭載し、
バッテリ電圧が所定電圧以下に低下したときに、DC−
DCコンバータによって燃料ポンプの直流モータへの印
加電圧を昇圧して、バッテリ電圧低下時の燃料吐出能力
を確保するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、DC−DCコ
ンバータは、一般に高価であるため、製造コストが高く
なる欠点があり、しかも、DC−DCコンバータは、ス
イッチング動作により電圧を昇圧するため、スイッチン
グ動作に伴う電磁波ノイズが発生し、これが車載ラジオ
にノイズとして乗ってしまうという欠点もある。
【0005】本発明はこのような事情を考慮してなされ
たものであり、従ってその目的は、低コストで、且つ電
磁波ノイズの発生しない方式で、モータ回転速度を可変
できるブラシ付きの直流モータを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、直流モータの
回転速度がモータ全体の通電コイルのターン数によって
変化するという特性に着目し、モータ全体の通電コイル
のターン数を変えることで、モータ回転速度を可変する
ものである。
【0007】すなわち、請求項1の直流モータは、直列
に接続された複数のコイルのうちの一部のコイルを短絡
させる状態とその短絡を解除する状態とを切り換える短
絡手段を設け、モータ全体の通電コイル数を、前記短絡
手段の切換動作によって増減させることで、モータ全体
の通電コイルのターン数を変えて、モータ回転速度を変
化させるようにしたものある。この構成では、コイルの
短絡という単純な手法でモータ回転速度を可変できるの
で、回転速度可変システムの構成が比較的簡単で、低コ
スト化の要求を満たすことができると共に、DC−DC
コンバータ等の電源電圧変換装置とは異なり、電磁波ノ
イズが発生せず、電磁波ノイズによる問題も解消でき
る。
【0008】この場合、請求項2のように、短絡手段
は、2つ以上の整流子片に跨がって摺接する位置と該整
流子片から離れた位置との間を移動する短絡用ブラシに
よって構成しても良い。このようにすれば、短絡用ブラ
シを移動させるだけの極めて簡単な構成で、モータ回転
速度を変化させることができる。
【0009】本発明の直流モータは、種々の装置の駆動
源として広く利用でき、例えば、燃料ポンプの駆動モー
タとして利用する場合は、請求項3のように、燃料ポン
プから吐出される燃料の圧力によって短絡用ブラシを駆
動するようにしても良い。このようにすれば、エンジン
の燃料消費量と燃料ポンプの燃料吐出流量との大小関係
によって燃料圧力が変化すると、それに応じて短絡用ブ
ラシが自動的に動いてモータ回転速度(燃料ポンプの燃
料吐出流量)をエンジンの燃料消費量に応じて変化させ
ることができ、燃料噴射制御に要求される燃料圧力の安
定性を確保できる。しかも、短絡用ブラシの駆動力とし
て燃料圧力を利用するので、短絡用ブラシを駆動するア
クチュエータ(駆動手段)が不要となり、構成を更に簡
単化できる。
【0010】しかしながら、本発明は、請求項4のよう
に、短絡用ブラシを駆動する駆動手段を設ける構成とし
ても良い。この場合は、短絡用ブラシの駆動タイミング
(通電コイル数の切換タイミング)を駆動手段の制御タ
イミングによって任意に設定することができ、本発明を
適用する装置の種類に応じて短絡用ブラシの駆動タイミ
ングを自由に変更できる利点がある。
【0011】また、請求項5のように、短絡手段は、異
なる整流子片に摺接する少なくとも一対の短絡用ブラシ
と、各短絡用ブラシ間を短絡/遮断する短絡用スイッチ
とから構成し、短絡用スイッチのオン/オフによって各
短絡用ブラシ間を短絡/遮断することで、通電コイル数
を増減させるようにしても良い。この構成では、短絡用
ブラシを一定位置に固定すれば良く、短絡用ブラシの取
付構造が簡単になると共に、短絡用スイッチのオン/オ
フによって通電コイル数の切換タイミングを任意に設定
することができ、制御性を向上できる。
【0012】また、本発明を燃料ポンプに適用する場合
は、請求項6のように、エンジン回転速度、負荷、モー
タ回転速度の少なくとも1つに基づいて短絡用スイッチ
のオン/オフを制御するように構成しても良い。つま
り、エンジン回転速度や負荷によってエンジンの燃料消
費量が変化し、モータ回転速度(燃料ポンプの回転速
度)によって燃料ポンプの燃料吐出流量が変化するた
め、エンジン回転速度、負荷、モータ回転速度の少なく
とも1つに基づいて短絡用スイッチのオン/オフを制御
すれば、エンジンの燃料消費量に応じて燃料ポンプの燃
料吐出流量を制御したり、或は、電源電圧変化等による
モータ回転速度の変化を少なくするように通電コイル数
を切り換えることができ、電源電圧変化の影響が少ない
安定したモータ回転速度の制御が可能となる。
【0013】また、エンジン始動時には、スタータ等の
電気負荷が大きくなるため、電源となるバッテリ電圧が
低下し、燃料ポンプのモータへの印加電圧も低下するこ
とを考慮して、請求項7のように、エンジン始動から所
定時間が経過するまで、短絡用スイッチをオン状態に維
持して通電コイル数を減少させるようにしても良い。こ
のようにすれば、エンジン始動から所定時間が経過する
までの間は、電源となるバッテリ電圧が低下しても、通
電コイル数を減少させて、始動時に燃料ポンプの回転速
度を速やかに立ち上げることができ、早期に燃料圧力を
上昇させることができて、エンジン始動性を向上でき
る。
【0014】また、請求項8のように、燃料ポンプから
吐出される燃料の圧力に基づいて短絡用スイッチのオン
/オフを制御するようにしても良い。この場合も、前記
請求項3の場合と同じく、モータ回転速度(燃料ポンプ
の燃料吐出流量)をエンジンの燃料消費量に応じて変化
させることができ、燃料噴射制御に要求される燃料圧力
の安定性を確保できる。
【0015】また、請求項9のように、短絡用ブラシを
モータの回転中心に対して対称な位置に配置すると良
い。このようにすれば、非通電コイル(短絡するコイ
ル)の位置をモータの回転中心に対して対称な位置に配
置することができ、モータを滑らかに回転させることが
できる。
【0016】
【発明の実施の形態】[実施形態(1))]以下、本発
明を燃料ポンプに適用した実施形態(1)を図1乃至図
5に基づいて説明する。まず、図1に基づいて燃料ポン
プ10の全体構成を概略的に説明する。燃料ポンプ10
の円筒状のハウジング11内にポンプ部12と直流モー
タ13とが組み付けられている。ポンプ部12は、ハウ
ジング11の下端部にポンプケーシング14,15をか
しめ等により固定し、このポンプケーシング14,15
内にインペラ16を収容した構成となっている。下側の
ポンプケーシング14には、燃料吸入口17が形成さ
れ、この燃料吸入口17から燃料タンク(図示せず)内
の燃料がポンプケーシング14,15内に吸入され、上
側のポンプケーシング15に形成された吐出口(図示せ
ず)から吐出された燃料は、後述する電機子22と磁石
21との間に形成された燃料通路18を通って燃料吐出
口19から吐出される。
【0017】一方、直流モータ13の外周部には、界磁
を作る磁石21が円筒状に配列され、その内周側には、
電機子22(回転子)が回転軸23を介して回転自在に
支持され、その回転軸23の下端部にポンプ部12のイ
ンペラ16が固定されている。電機子22は、直列に接
続された複数のコイル25(図3及び図4参照)を電機
子鉄心24の各スロットに装着した構成となっている。
この電機子鉄心24の中心に貫通固定された回転軸23
の両端部は、ポンプケーシング15の中心部に固定され
た軸受26と、軸受ホルダ27の中心部に固定された軸
受28とによって回転自在に支持されている。尚、軸受
ホルダ27には、燃料を燃料吐出口19側に通過させる
燃料通路20が形成されている。
【0018】電機子鉄心24の上端面には、複数の整流
子片29が回転軸23の周囲に放射状に配列されてい
る。この整流子片29に摺接する一対の通電用ブラシ3
0(図3及び図4参照)が回転軸23に対して対称な位
置に設けられ、各通電用ブラシ30がスプリング(図示
せず)によって整流子片29に摺接した状態に保持され
ている。更に、整流子片29に対向する2個の短絡用ブ
ラシ31(短絡手段)が回転軸23に対して対称な位置
に設けられている。この短絡用ブラシ31と通電用ブラ
シ30は、それぞれ回転軸23の周囲に90°ピッチで
交互に配置されている。
【0019】図2に示すように、短絡用ブラシ31は、
軸受ホルダ27に軸方向に貫通形成された貫通穴32内
に軸方向に移動可能に収容されている。この貫通穴32
内には、短絡用ブラシ31の他に、ボールプランジャ3
3とスプリング34が収納され、該貫通穴32の上端開
口(吐出側の開口)が連通孔35付きの蓋36で閉鎖さ
れている。これにより、短絡用ブラシ31は、ボールプ
ランジャ33を介してスプリング34によって整流子片
29側(下側)に付勢されている。そして、短絡用ブラ
シ31には燃料圧力(燃圧)が作用し、この燃圧が目標
燃圧以上の時には、短絡用ブラシ31に作用する燃圧が
スプリング34の弾性力に打ち勝って、図2(a)に示
すように、短絡用ブラシ31が整流子片29から離れた
位置に移動し、燃圧が目標燃圧より低い時には、スプリ
ング34の弾性力が燃圧に打ち勝って、図2(b)に示
すように、短絡用ブラシ31が整流子片29に摺接する
位置に移動する。
【0020】図3に示すように、通電用ブラシ30の幅
は、整流子片29の幅よりも狭く形成され、モータ回転
に伴って、各通電用ブラシ30がそれぞれ1個の整流子
片29のみに摺接した状態(以下「1セグメント通電」
という)と、各通電用ブラシ30がそれぞれ2個の整流
子片29に跨がって摺接した状態(以下「2セグメント
通電」という)とに交互に切り換わる。
【0021】一方、短絡用ブラシ31の幅は、整流子片
29の幅よりも少し広く形成されている。本実施形態
(1)の直流モータ13は、コイル25と整流子片29
の個数がそれぞれ例えば8個であり、燃圧が目標燃圧よ
り低い時の1セグメント通電では、図3に示すように、
各短絡用ブラシ31がそれぞれ3個の整流子片29に跨
がって摺接した状態となり、各短絡用ブラシ31によっ
てコイル25が2個ずつ短絡された状態となる。また、
2セグメント通電では、各短絡用ブラシ31がそれぞれ
2個の整流子片29に跨がって摺接した状態となり、各
短絡用ブラシ31によってコイル25が1個ずつ短絡さ
れた状態となる。更に、短絡用ブラシ31と通電用ブラ
シ30との間隔が整流子片29の幅よりも少し広く形成
され、短絡用ブラシ31と通電用ブラシ30とが同じ整
流子片29に同時に摺接しないようになっている。
【0022】一般に、直流モータ13の回転速度Nは、
次の(1)式で表される。 N=60×(E−R・I−Vbr)/(Φ・z) ここで、Nはモータ回転速度、Eは印加電圧、Rはコイ
ル抵抗値、Iは電流、Vbrは通電用ブラシ30と整流子
片29との間の接触電圧降下幅、Φは磁束、zはモータ
全体の通電コイルのターン数である。
【0023】上記(1)式から明らかなように、モータ
回転速度Nを変化させるには、モータ全体の通電コイル
のターン数zを変化させれば良い。図3に示すように、
各短絡用ブラシ31によってコイル25が2個又は1個
ずつ短絡された状態となるとモータ全体の通電コイルの
ターン数zが通常(図4)よりもコイル4個分又は2個
分減少し、その結果、図5に示すように、直流モータ1
3に流れる電流Iが増加してモータ回転速度Nが上昇す
る。
【0024】一般に、エンジン停止中は、燃料ポンプ1
0内の燃圧はほぼ大気圧まで低下するので、スプリング
34の弾性力が燃圧に打ち勝って、図2(b)に示すよ
うに短絡用ブラシ31が整流子片29に摺接した状態に
保持される。従って、エンジン始動時には、図3に示す
ように、各短絡用ブラシ31によってコイル25が2個
又は1個ずつ短絡された状態で、直流モータ13が起動
されるため、モータ全体の通電コイルのターン数zが通
常(図4)よりもコイル4個分又は2個分減少した状態
で直流モータ13が起動される。これにより、エンジン
始動時の燃料ポンプ10の回転速度(モータ回転速度
N)を速やかに立ち上げることができて、早期に燃圧を
上昇上昇させることができ、エンジン始動性を向上でき
る。
【0025】その後、燃料ポンプ10内の燃圧が目標燃
圧以上になると、短絡用ブラシ31に作用する燃圧がス
プリング34の弾性力に打ち勝って、図2(a)に示す
ように、短絡用ブラシ31が整流子片29から離れた位
置に移動し、短絡用ブラシ31によるコイル25の短絡
が解除され、図4に示すように、直流モータ13の全て
のコイル25に通電される。これにより、モータ全体の
通電コイルのターン数zが増加し、直流モータ13に流
れる電流Iが減少して、モータ回転速度Nがほぼ一定又
は減少するようになる。その結果、必要以上の燃料を燃
料噴射弁側に送らずに済み、その分、電力消費量を低減
することができる。
【0026】その後、燃圧が目標燃圧より低くなると、
スプリング34の弾性力が燃圧に打ち勝って、図2
(b)に示すように、各短絡用ブラシ31が整流子片2
9に摺接して、各短絡用ブラシ31によってコイル25
が2個又は1個ずつ短絡された状態となる。これによ
り、燃料ポンプ10の回転速度(モータ回転速度N)が
上昇して燃圧が上昇する。以後、上述した短絡用ブラシ
31の動作を繰り返して、燃圧を目標燃圧付近に維持す
る。
【0027】以上説明した本実施形態(1)では、短絡
用ブラシ31によるコイル25の短絡という単純な手法
でモータ回転速度(燃料ポンプ10の回転速度)を可変
できるので、回転速度可変システムの構成が比較的簡単
で、低コスト化の要求を満たすことができると共に、D
C−DCコンバータ等の電源電圧変換装置とは異なり、
電磁波ノイズが発生せず、電磁波ノイズによる問題も解
消できる。
【0028】しかも、本実施形態(1)では、燃圧によ
って短絡用ブラシ31を駆動するようにしたので、エン
ジンの燃料消費量と燃料ポンプ10の燃料吐出流量との
大小関係によって燃圧が変化すると、それに応じて短絡
用ブラシ31が自動的に動いてモータ回転速度(燃料ポ
ンプ10の燃料吐出流量)をエンジンの燃料消費量に応
じて変化させることができ、燃料噴射制御に要求される
燃料圧力の安定性を確保できる。しかも、短絡用ブラシ
31の駆動力として燃圧を利用するので、短絡用ブラシ
31を駆動するアクチュエータ(駆動手段)が不要とな
り、構成を更に簡単化できる。
【0029】しかしながら、本発明は、短絡用ブラシを
駆動する駆動手段(アクチュエータ)を設ける構成とし
ても良い。この場合は、短絡用ブラシの駆動タイミング
(通電コイル数の切換タイミング)を駆動手段の制御タ
イミングによって任意に設定することができ、本発明を
適用する装置の種類に応じて短絡用ブラシの駆動タイミ
ングを自由に変更できる利点がある。
【0030】また、本実施形態(1)では、短絡用ブラ
シ30を回転軸23に対して対称な位置に配置するよう
にしたので、非通電コイル(短絡するコイル)の位置を
回転軸23に対して対称な位置に配置することができ、
非通電コイルの存在による直流モータ13の回転むらを
低減できて、直流モータ13を滑らかに回転させること
ができる。しかしながら、本発明は、短絡用ブラシ30
を回転軸23に対して非対称な位置に配置しても良く、
この場合でも、本発明の所期の目的を達成することがで
きる。
【0031】尚、コイル25の数や整流子片29の数は
適宜変更しても良く、また、短絡用ブラシ31の数も1
個のみ又は3個以上としても良い。また、コイル25の
数や整流子片29の数が多い場合は、1個の短絡用ブラ
シ31で3個以上のコイル25を短絡するようにしても
良い。
【0032】[実施形態(2)]上記実施形態(1)で
は、整流子片29に対して短絡用ブラシ31を摺接位置
と離間位置に移動させることで、通電コイル数を増減さ
せるようにしたが、図6及び図7に示す本発明の実施形
態(2)では、2対の短絡用ブラシ41を回転軸23に
対して対称な位置に固定し、常時、各短絡用ブラシ41
をそれぞれ異なる整流子片29に摺接させると共に、各
対の短絡用ブラシ41間に、短絡用スイッチ42を設
け、各短絡用スイッチ42のオン/オフによって各対の
短絡用ブラシ41間を短絡/遮断することで、通電コイ
ル数を増減させるようにしている。従って、本実施形態
(2)では、短絡用ブラシ41と短絡用スイッチ42と
から特許請求の範囲でいう短絡手段が構成されている。
【0033】この場合、図6に示すように、各短絡用ス
イッチ42がオンすると、各対の短絡用ブラシ41間が
短絡されて、コイル25が2個又は1個ずつ短絡された
状態となる。これにより、モータ全体の通電コイルのタ
ーン数zが通常よりコイル4個分又は2個分減少した状
態で直流モータ13が運転され、燃料ポンプ10の回転
速度(モータ回転速度N)が上昇して燃圧が上昇する。
一方、各短絡用スイッチ42がオフすると、各対の短絡
用ブラシ41間が遮断されて、全てのコイル25に通電
される。これにより、モータ全体の通電コイルのターン
数zが増加し、燃料ポンプ10の回転速度(モータ回転
速度N)が減少するようになる。
【0034】本実施形態(2)では、短絡用スイッチ4
2のオン/オフは、燃料ポンプ10の運転を制御するエ
ンジン制御用コンピュータ(図示せず)によって例えば
図7の短絡用スイッチ制御プログラムに従って制御され
る。本プログラムは、イグニッションスイッチ(図示せ
ず)のオン後に所定時間毎又は所定クランク角毎に実行
される。本プログラムが起動されると、まずステップ1
01で、エンジン始動から所定時間以内か否かを判定
し、所定時間以内であれば、ステップ104に進み、各
短絡用スイッチ42をオンして各対の短絡用ブラシ41
間を短絡し、モータ全体の通電コイルのターン数zを減
少させて、エンジン始動時の燃料ポンプ10の回転速度
(モータ回転速度N)を速やかに立ち上げ、早期に燃圧
を上昇させて、エンジン始動性を向上させる。
【0035】一方、エンジン始動から所定時間経過後
は、ステップ101からステップ102に進み、燃圧セ
ンサ(図示せず)で検出した燃圧が目標燃圧よりも低い
か否かを判定し、燃圧が目標燃圧よりも低ければ、ステ
ップ104に進み、各短絡用スイッチ42をオンして各
対の短絡用ブラシ41間を短絡し、燃料ポンプ10の回
転速度(モータ回転速度N)を上昇させて、燃圧を目標
燃圧に上昇させる。
【0036】一方、燃圧が目標燃圧以上であれば、ステ
ップ103に進み、エンジン回転速度(又は負荷)が所
定値以上か否かを判定し、所定値以上であれば、エンジ
ンの燃料消費量が多いため、ステップ104に進み、各
短絡用スイッチ42をオンして各対の短絡用ブラシ41
間を短絡し、燃料ポンプ10の回転速度(モータ回転速
度N)を上昇させて、燃圧低下を防ぐ。
【0037】これに対し、ステップ101〜103で全
て「No」と判定された時は、ステップ105に進み、
各短絡用スイッチ42をオフして各対の短絡用ブラシ4
1間を遮断し、全てのコイル25に通電する。これによ
り、モータ全体の通電コイルのターン数zが増加して、
燃料ポンプ10の回転速度(モータ回転速度N)が減少
するようになる。この結果、必要以上の燃料を燃料噴射
弁側に送らずに済み、その分、電力消費量を低減するこ
とができる。
【0038】以上説明した本実施形態(2)では、短絡
用ブラシ41を一定位置に固定すれば良いため、短絡用
ブラシ41の取付構造が簡単になると共に、短絡用スイ
ッチ42のオン/オフによって通電コイル数の切換タイ
ミングを任意に設定することができ、制御性を向上でき
る利点がある。
【0039】尚、図7のステップ101〜103で判定
する3つの短絡用スイッチ42のオン条件のうちの1つ
又は2つを省略しても良く、或は、他の条件(例えばモ
ータ回転速度が所定値以下か否かで短絡用スイッチ42
のオン/オフを切り換える)を用いても良い。或は、短
絡用スイッチ42のオン/オフを燃圧を駆動力として機
械的に切り換えるようにしても良い。
【0040】本実施形態(2)においても、コイル25
の数や整流子片29の数は適宜変更しても良く、また、
短絡用ブラシ41の数も、1対のみ、又は、3対以上設
けるようにしても良い。また、コイル25の数や整流子
片29の数が多い場合は、1対の短絡用ブラシ41で3
個以上のコイル25を短絡するようにしても良い。
【0041】[実施形態(3)]次に、図8に基づいて
本発明を蓄圧式燃料供給装置に適用した実施形態(3)
を説明する。本実施形態(3)では、上記実施形態
(2)と同様の短絡用ブラシ41と短絡用スイッチ42
を持つ燃料ポンプ10を用い、この燃料ポンプ10の燃
料吐出口19に連結された燃料配管45に蓄圧装置46
を接続し、この蓄圧装置46内にダイアフラム47で容
積変化可能に仕切形成された蓄圧室48内に燃料を一旦
貯溜し、スプリング49によって蓄圧室48内の燃圧を
維持しながら、該蓄圧室48から燃料を燃料噴射弁(図
示せず)側に供給するようにしている。そして、ダイア
フラム47の位置(蓄圧室48の容積)をセンサ50で
検出し、このセンサ50の検出値によって蓄圧室48内
の燃料貯溜量が下限値まで減ったことが検出された時
に、直流モータ13を起動して燃料ポンプ10を起動す
る。起動時は、各短絡用スイッチ42をオンして各対の
短絡用ブラシ41間を短絡し、モータ全体の通電コイル
のターン数zを減少させて、燃料ポンプ10の回転速度
(モータ回転速度N)を速やかに立ち上げ、早期に蓄圧
室48内に燃料を供給して燃圧を速やかに上昇させる。
【0042】この短絡用スイッチ42のオン状態は、例
えば、次の〜のいずれか1つの条件が満たされてい
る期間、継続すれば良い。 モータ起動から所定時間以内 蓄圧室48の容積が所定値以下 燃圧が所定燃圧以下 エンジン回転速度(又は負荷)が所定値以上
【0043】尚、これら4つの条件〜のうちの1〜
3つの条件を省略しても良く、或は、他の条件(例えば
モータ回転速度が所定値以下か否かで短絡用スイッチ4
2のオン/オフを切り換える)を用いても良い。
【0044】その後、上記オン条件が不成立になった時
に、各短絡用スイッチ42をオフして各対の短絡用ブラ
シ41間を遮断し、全てのコイル25に通電する。これ
により、モータ全体の通電コイルのターン数zが増加し
て、燃料ポンプ10の回転速度(モータ回転速度N)が
減少するようになる。
【0045】その後、センサ50の検出値によって蓄圧
室48内の燃料貯溜量が上限値まで増加したことが検出
された時に、直流モータ13を停止し、燃料ポンプ10
を停止させる。以後、上述した動作を繰り返す。
【0046】尚、上記各実施形態では、整流子片29を
回転軸23の周囲に放射状に平面的に配列したが、整流
子片を回転軸23の周囲に円筒状に配列して、その外周
囲に通電用ブラシと短絡用ブラシとを配置するようにし
ても良い。
【0047】その他、本発明は、燃料ポンプや蓄圧式燃
料供給装置に限定されず、ブラシ付きの直流モータを駆
動源とする装置に広く適用して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態(1)を示す燃料ポンプの縦
断面図
【図2】(a)は燃圧が高い時の短絡用ブラシの位置を
示す拡大断面図、(b)は燃圧が低い時の短絡用ブラシ
の位置を示す拡大断面図、
【図3】実施形態(1)における燃圧が目標燃圧よりも
低い時のコイル通電状態(コイル短絡状態)を説明する
【図4】実施形態(1)における燃圧が目標燃圧以上の
時のコイル通電状態を説明する図
【図5】コイル短絡の有無とモータ回転速度、電流、ト
ルクの関係を示す特性図
【図6】本発明の実施形態(2)における燃圧が目標燃
圧よりも低い時のコイル通電状態を説明する図
【図7】実施形態(2)で用いる短絡用スイッチ制御プ
ログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図8】本発明の実施形態(3)を示す蓄圧式燃料供給
装置の概略構成図
【符号の説明】 10…燃料ポンプ、12…ポンプ部、13…直流モー
タ、16…インペラ、17…燃料吸入口、18…燃料通
路、19…燃料吐出口、21…磁石、22…電機子、2
3…回転軸、24…電機子鉄心、25…コイル、29…
整流子片、30…通電用ブラシ、31…短絡用ブラシ
(短絡手段)、33…ボールプランジャ、34…スプリ
ング、41…短絡用ブラシ(短絡手段)、42…短絡用
スイッチ(短絡手段)、46…蓄圧装置、47…ダイア
フラム、48…蓄圧室、49…スプリング、50…セン
サ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H02K 13/00 H02K 13/00 W 23/66 23/66 Z H02P 5/06 H02P 5/06 H P Fターム(参考) 5H571 AA03 AA07 BB04 BB05 EE03 FF01 GG01 GG02 HA04 JJ03 LL01 LL33 5H613 BB04 BB07 BB14 GA15 PP02 PP03 PP04 PP05 PP06 PP07 PP08 TT01 TT06 5H623 AA01 AA03 BB07 GG11

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直列に接続された複数のコイルを電機子
    に装着し、該電機子に設けられた整流子片にブラシを摺
    接させることで、直流電源から前記複数のコイルに通電
    して該電機子を駆動する直流モータにおいて、 前記複数のコイルのうちの一部のコイルを短絡させる状
    態とその短絡を解除する状態とを切り換える短絡手段を
    設け、モータ全体の通電コイルの数を、前記短絡手段の
    切換動作によって増減させることで、モータ回転速度を
    変化させることを特徴とする直流モータ。
  2. 【請求項2】 前記短絡手段は、2つ以上の整流子片に
    跨がって摺接する位置と該整流子片から離れた位置との
    間を移動する短絡用ブラシによって構成されていること
    を特徴とする請求項1に記載の直流モータ。
  3. 【請求項3】 燃料を吐出する燃料ポンプを駆動する直
    流モータであって、前記短絡用ブラシは、前記燃料ポン
    プから吐出される燃料の圧力によって駆動されることを
    特徴とする請求項2に記載の直流モータ。
  4. 【請求項4】 前記短絡用ブラシを駆動する駆動手段を
    備えていることを特徴とする請求項2に記載の直流モー
    タ。
  5. 【請求項5】 前記短絡手段は、異なる整流子片に摺接
    する少なくとも一対の短絡用ブラシと、各短絡用ブラシ
    間を短絡/遮断する短絡用スイッチとから構成されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の直流モータ。
  6. 【請求項6】 エンジンに燃料を供給する燃料ポンプを
    駆動する直流モータであって、 エンジン回転速度、負荷、モータ回転速度の少なくとも
    1つに基づいて前記短絡用スイッチのオン/オフを制御
    するように構成したことを特徴とする請求項5に記載の
    直流モータ。
  7. 【請求項7】 エンジンに燃料を供給する燃料ポンプを
    駆動する直流モータであって、 エンジン始動から所定時間が経過するまで前記短絡用ス
    イッチをオン状態に維持するように構成したことを特徴
    とする請求項5又は6に記載の直流モータ。
  8. 【請求項8】 エンジンに燃料を供給する燃料ポンプを
    駆動する直流モータであって、 前記燃料ポンプから吐出される燃料の圧力に基づいて前
    記短絡用スイッチのオン/オフを制御するように構成し
    たことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の
    直流モータ。
  9. 【請求項9】 前記短絡用ブラシは、モータの回転中心
    に対して対称な位置に配置されていることを特徴とする
    請求項2乃至8のいずれかに記載の直流モータ。
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