JP2001266671A - 導電性複合材料の性能向上方法および該導電性複合材料 - Google Patents

導電性複合材料の性能向上方法および該導電性複合材料

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JP2001266671A
JP2001266671A JP2000123331A JP2000123331A JP2001266671A JP 2001266671 A JP2001266671 A JP 2001266671A JP 2000123331 A JP2000123331 A JP 2000123331A JP 2000123331 A JP2000123331 A JP 2000123331A JP 2001266671 A JP2001266671 A JP 2001266671A
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Kazuaki Masago
和彰 眞砂
Yoshihisa Otsuka
宜寿 大塚
Kotaro Minoke
康太郎 蓑毛
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、熱可塑性樹脂と導電性充填材からな
る高性能の導電性複合材料を提供することを目的とす
る。 【解決手段】熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とし、導
電性充填材を分散させた複合材料を、マトリックス樹脂
が流動性を有している状態で電場中に置き、電界強度を
変化させることで、複合材料の導電性能を向上させる。
しかる後、流動性を失わせることで高性能の導電性複合
材料を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、電気絶縁性の熱可
塑性マトリックス樹脂に、カーボンブラックや金属など
の導電性充填材を分散させた複合材料を、マトリックス
樹脂が流動性を有している状態で電場中に置き、電界強
度を変化させることで導電性充填材を効果的に再配置さ
せて導電性能を向上させる方法、及び該方法により得ら
れる導電性複合材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂にカーボンブラックや金属
などの微粉末や繊維などを分散させた導電性複合材料
は、導電性シートや帯電防止容器、電磁波シールド材な
どとして広く用いられている。しかしながら、従来の方
法で十分な導電性能を有するには、多量(カーボンブラ
ックの場合、約15重量%以上)の導電性充填材を分散
させる必要がある。多量の充填材添加のためにマトリッ
クス樹脂そのものよりも機械的強度が低下し、脆くなる
ため、樹脂のしなやかさが損なわれるなどの問題があ
る。また、金や銀などの導電性充填材は非常に高価であ
るため、大量に使用するとコストが高くなるという問題
がある。
【0003】このような問題の解決法として、本発明者
は、電気絶縁性の熱可塑性マトリックス樹脂に、カーボ
ンブラックや金属などの導電性充填材を分散させた複合
材料において、マトリックス樹脂が溶融している状態、
すなわち流動性を有している状態で直流電圧を連続的に
印加し、しかる後に電圧の印加を停止して冷却固化さ
せ、導電性充填材を効果的に再配置させることにより、
導電性能を向上させる方法をすでに提案している(日本
化学会第76春季年会,2PB125(1999))。
電圧印加時のマトリックス樹脂の流動性が高い条件ほ
ど、誘電分極した導電性充填材がクーロン力によって容
易に配向し、得られる複合材料の導電性能が向上するこ
とを報告している。しかしながら連続的に一定の電圧を
印加するこの方法では、発生するジュール熱によってマ
トリックス樹脂が劣化を受けやすく、また、熱運動によ
って、再配置された導電性充填材が分散されてしまうと
いった問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明では、電
気絶縁性の熱可塑性マトリックス樹脂に、カーボンブラ
ックや金属などの導電性充填材を分散させた複合材料
を、マトリックス樹脂が溶融状態など流動性を有してい
る状態で電場中に置き、電界強度を変化させ、導電性充
填材を効果的に再配置させることにより、導電性能を向
上させる方法を提案する。
【0005】
【問題を解決するための手段】充填材に導電性のカーボ
ンブラックや金属を、マトリックスに熱可塑性樹脂を用
いた複合材料を、マトリックス樹脂の溶融状態など流動
性を有している状態で電場中に置き、誘電分極した導電
性充填材をクーロン力により電場方向に配列させること
で、少量の導電性充填材でも高い導電性能を有する複合
材料が得られる。このとき余分なジュール熱が発生しな
いように電界強度を制御する。
【0006】本発明において、導電性複合材料のマトリ
ックスである熱可塑性樹脂とは、例えば、高密度ポリエ
チレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン
樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリ
ロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル
−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、ポリアセタール
樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチ
レンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート
樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル酸エステ
ル樹脂などがあげられる。また、これらの混合物でもよ
い。
【0007】導電性付与のために分散される導電性充填
材には、金属系導電性充填材、非金属系導電性充填材、
カーボン系導電性充填材などがあげられる。金属系導電
性充填材は、金、銀、白金、パラジウム、銅、アルミニ
ウム、鉄、鉛、スズ、亜鉛、ニッケル、モリブデン、ク
ロムやそれらを組み合わせた合金の粉末、繊維、フレー
クなどである。非金属系導電性充填材とは、酸化亜鉛
系、硫酸バリウム系、ホウ酸アルミニウム系、酸化チタ
ン系、酸化スズ系、チタンブラック系、チタン酸カリウ
ム系などである。カーボン系導電性充填材とは、導電性
オイルファーネスブラック、アセチレンブラック、サー
マルブラックなどのカーボンブラックの類、天然黒鉛、
人造黒鉛のような黒鉛の類、ポリアクリロニトリル系カ
ーボン繊維、ピッチ系カーボン繊維のようなカーボン繊
維の類などである。その他、金属でコーティングしたカ
ーボンやガラスの繊維、粒子、フレークなどがある。ま
た、これらの混合物でもよい。
【0008】熱可塑性樹脂が流動性を有している状態と
は、例えば、マトリックス樹脂が融点以上まで加熱され
た状態のことである。
【0009】流動性を有した複合材料を電場に置く方法
として、例えば次のような装置などがあげられる。図1
のような押出機で、押出ダイ4を電極とし、溶融押出部
1で溶融され押出される複合材料2に、電圧を印加する
装置。このとき押出ダイの間で短絡しないように絶縁性
のスペーサー3を設置する。図2のようなカレンダで、
溶融押出部1で溶融された複合材料2に、ロール6間で
電圧を印加する装置。図3のような射出成形機で、ノズ
ル8から射出された複合材料2に、金型7を電極として
電圧を印加する装置。このとき金型間で短絡しないよう
に絶縁性のスペーサー3を設置する。
【0010】本発明において、導電性複合材料の導電性
能を向上させるため、マトリックス樹脂が流動性を有し
ている状態で電場中に置くが、以下、該方法について具
体的に述べる。
【0011】熱可塑性樹脂に導電性充填材を分散させ
る。充填材の割合は任意であるが、例えばマトリックス
樹脂にポリエチレン樹脂、導電性充填材にカーボンブラ
ックを用いた場合、10重量%以下で行うのが本発明の
目的からも望ましく、また大きな効果を期待できる。該
複合材料を流動性を有している状態で電場内に置くので
あるが、例えば次のような方法がある。該複合材料を板
状に加工し、金属などでできた電極で挟む。このときマ
トリックス樹脂の溶融時に電極同士が接触しないよう
に、電極間に高温でも変形せず電気絶縁性の高い物質
(ガラス、テフロン(登録商標)など)を設置するなど
して、電極を固定する。電極間の距離は任意である。電
極を装着した複合材料を恒温槽などの中でマトリックス
樹脂を溶融させる。このときの温度は任意であるが、マ
トリックス樹脂が溶融し、なおかつ熱分解を起こしにく
い程度とする。好ましくは成形温度である。マトリック
ス樹脂が溶融したところで直流電圧を印加する。印加す
る電圧は任意であるが、マトリックス樹脂が絶縁破壊を
起こさない程度とする。このとき、余分なジュール熱が
生じないように電圧を変化させる。連続的な電圧印加に
限らず、パルス波などの断続的な印加でもよい。しかる
後、冷却固化させることで高性能の導電性複合材料を得
る。
【0012】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0013】(実施例1)高密度ポリエチレン樹脂(三
井化学(株)製、Hizex−2100J、メルトイン
デックス:6.4g/10min(200℃、荷重:2
1.18N))にカーボンブラック粉(旭カーボン
(株)製、旭HS−500、平均粒子径:38nm、D
BP吸油量:500mg/g)を分散させ、カーボンブ
ラック粉含有率10重量%の複合材料を作成した。得ら
れた複合材料を縦20mm、横20mm、厚さ1mmの
板状小片に加工した。この板状複合材料の両面に銅箔製
の電極をそれぞれ接触させてテフロン板に挟んで固定
し、200℃の恒温槽に入れて板状複合材料が溶融した
状態で電圧を印加した。電圧の印加は、10Vの直流電
圧を1分間、0Vを1分間とし、この変化を繰り返し
た。電極間の距離は1mmに保った。
【0014】板状複合材料に電圧を印加すると、板状複
合材料に流れる電流値は増大し、操作開始から1分で
0.14A、3分で0.22A、5分で0.32A、7
分で0.42A、9分で0.54Aを示し、10.5分
で0.6Aに達した。電流値が0.6Aに達したところ
で電圧の印加を停止し、恒温槽から取り出して室温で放
冷固化させた。
【0015】得られた板状複合材料の電極間の抵抗値は
21Ω(電気伝導率:1.2×10−1S/m)であっ
た。電圧を印加せずに印加時間と同じ時間(10.5
分)恒温槽で加熱し放冷固化した、板状複合材料の電極
間の抵抗値は9.2kΩ(電気伝導率:2.7×10
−4S/m)であり、断続的に電圧印加処理をした板状
複合材料の抵抗値の約440倍であった。
【0016】以上から、高密度ポリエチレン樹脂にカー
ボンブラック粉を分散させた複合材料に、マトリックス
樹脂が溶融している状態で電圧を変化させながら印加す
ることで、複合材料の導電性能が向上し、冷却固化後も
その高い導電性能を維持することが確認された。
【0017】(比較例1)10Vの直流電圧を連続的に
印加する以外は実施例1と同様の操作を行った。
【0018】板状複合材料に電圧を印加すると、板状複
合材料を流れる電流値は電圧印加時間の経過とともに増
大し、操作開始0分で0.07A、1分で0.12A、
2分で0.16A、3分で0.21A、4分で0.27
A、5分で0.36A、6分で0.46Aを示し、7分
で0.6Aに達した。電流値が0.6Aに達したところ
で電圧の印加を停止し、恒温槽から取り出して室温で放
冷固化させた。
【0019】得られた板状複合材料の電極間の抵抗値は
148Ω(電気伝導率:2.0×10−2S/m)で、
実施例1で得られた板状複合材料の電極間の抵抗値(2
1Ω(電気伝導率:1.2×10−1S/m))より約
7倍大きい。
【0020】以上から、連続的に一定の電圧を印加する
よりも、印加電圧を変化させる方が、導電性能を向上さ
せることが確認された。
【0021】(実施例2)印加電圧の変化のさせ方を変
える以外は実施例1と同様の操作を行った。電圧の印加
は、10Vの直流電圧を30秒、0Vを1分30秒と
し、この変化を繰り返した。
【0022】板状複合材料に電圧を印加すると、板状複
合材料を流れる電流値は電圧印加時間の経過とともに増
大し、操作開始0.5分で0.11A、2.5分で0.
16A、4.5分で0.21A、6.5分で0.26
A、8.5分で0.36A、10.5分で0.43A、
12.5分で0.5A、14.5分で0.58Aを示
し、17.3分で0.6Aに達した。電流値が0.6A
に達したところで電圧の印加を停止し、恒温槽から取り
出して室温で放冷固化させた。
【0023】得られた板状複合材料の電極間の抵抗値は
21Ω(電気伝導率:1.2×10−1S/m)であっ
た。電圧を印加せずに印加時間と同じ時間(17.3
分)恒温槽で加熱し放冷固化した、板状複合材料の電極
間の抵抗値は7.2kΩ(電気伝導率:3.5×10
−4S/m)であり、断続的に電圧印加処理をした板状
複合材料の抵抗値の約340倍であった。
【0024】(実施例3)印加電圧の変化のさせ方を変
える以外は実施例1と同様の操作を行った。電圧の印加
は、10Vの直流電圧を10秒、0Vを50秒とし、こ
の変化を繰り返した。
【0025】板状複合材料に電圧を印加すると、板状複
合材料を流れる電流値は電圧印加時間の経過とともに増
大し、操作開始0分で0.04A、4分で0.07A、
8分で0.1A、12分で0.13A、16分で0.1
6A、20分で0.43A、24分で0.04A、28
分で0.07A、32分で0.1A、34分で0.13
Aを示し、35分で0.6Aに達した。電流値が0.6
Aに達したところで電圧の印加を停止し、恒温槽から取
り出して室温で放冷固化させた。
【0026】得られた板状複合材料の電極間の抵抗値は
17Ω(電気伝導率:1.5×10−1S/m)であっ
た。電圧を印加せずに印加時間と同じ時間(35分)恒
温槽で加熱し放冷固化した、板状複合材料の電極間の抵
抗値は3.7kΩ(電気伝導率:6.8×10−4S/
m)であり、断続的に電圧印加処理をした板状複合材料
の抵抗値の約220倍であった。
【0027】以上から、印加電圧の変化のさせ方が異な
っても、複合材料の導電性能が向上し、冷却固化後もそ
の高い導電性能を維持することが確認された。
【0028】(実施例4)カーボンブラック含有率が
7.5重量%、加熱温度を210℃にし、また、電圧の
印加方法を変える以外は実施例1と同様の操作を行っ
た。電圧の印加は、20Vの直流電圧を1分間、0Vを
1分間とし、この変化を繰り返した。この板状複合材料
はカーボンブラック含有率が10重量%のものよりしな
やかである。
【0029】板状複合材料に電圧を印加すると、板状複
合材料を流れる電流値は電圧印加時間の経過とともに増
大し、操作開始1分で0.002A、5分で0.007
A、9分で0.016A、13分で0.026A、17
分で0.04A、21分で0.06A、25分で0.0
8A、29分で0.11A、33分で0.14A、37
分で0.18A、41分で0.23A、45分で0.2
8A、49分で0.33A、53分で0.4A、57分
で0.47A、61分で0.55Aを示し、63分で
0.6Aに達した。電流値が0.6Aに達したところで
電圧の印加を停止し、恒温槽から取り出して室温で放冷
固化させた。
【0030】得られた板状複合材料の電極間の抵抗値は
1.6kΩ(電気伝導率:1.7×10−3S/m)ま
であった。電圧を印加せずに印加時間と同じ時間(63
分)恒温槽で加熱し放冷固化した、板状複合材料の電極
間の抵抗値は64kΩ(電気伝導率:3.9×10−5
S/m)であり、断続的に電圧印加処理をした板状複合
材料の抵抗値の約40倍であった。
【0031】以上から、カーボンブラック粉の含有率を
変化させた場合でも導電性能が向上し、冷却固化後もそ
の高い導電性能を維持することが確認された。また、板
状複合材料は電圧印加処理後もしなやかさを維持してい
た。
【0032】(比較例2)20Vの直流電圧を連続的に
印加する以外は実施例4と同様の操作を行った。
【0033】板状複合材料に電圧を印加すると、板状複
合材料を流れる電流値は電圧印加時間の経過とともに増
大し、操作開始0分で0.07A、4分で0.12A、
2分で0.16A、8分で0.21A、12分で0.2
7A、16分で0.36A、20分で0.46A、24
分で0.36A、28分で0.36A、32分で0.3
6A、34分で0.36Aを示し、34.5分で0.6
Aに達した。電流値が0.6Aに達したところで電圧の
印加を停止し、恒温槽から取り出して室温で放冷固化さ
せた。
【0034】得られた板状複合材料の電極間の抵抗値は
7.5kΩ(電気伝導率:3.3×10−4S/m)
で、実施例4で得られた板状複合材料の電極間の抵抗値
(1.6kΩ(電気伝導率:1.7×10−3S/
m))より約4.7倍大きい。
【0035】以上から、連続的に一定の電圧を印加する
よりも、印加電圧を変化させる方が、導電性能を向上さ
せることが確認された。
【0036】(実施例5)電圧印加時の温度が220
℃、マトリックス樹脂をポリプロピレン樹脂(エースポ
リマー(株)製、エースポリプロJ215、メルトイン
デックス:11g/10min(220℃、荷重:2
1.18N))とし、電圧の印加方法を変える以外は実
施例1と同様の操作を行った。電圧の印加は、15Vの
直流電圧を1分間、0Vを1分間とし、この変化を繰り
返した。
【0037】板状複合材料に電圧を印加すると、板状複
合材料に流れる電流値は増大し、操作開始から1分で
0.01A、3分で0.02A、5分で0.03A、7
分で0.04A、9分で0.07A、11分で0.09
A、13分で0.12A、15分で0.17A、17分
で0.22A、19分で0.29A、21分で0.38
A、23分で0.54Aを示し、24.8分で0.6A
に達した。電流値が0.6Aに達したところで電圧の印
加を停止し、恒温槽から取り出して室温で放冷固化させ
た。
【0038】得られた板状複合材料の電極間の抵抗値は
82Ω(電気伝導率:3.0×10−2S/m)であっ
た。電圧を印加せずに印加時間と同じ時間(24.8
分)恒温槽で加熱し放冷固化した、板状複合材料の電極
間の抵抗値は10.3kΩ(電気伝導率:2.4×10
−4S/m)であり、断続的に電圧印加処理をした板状
複合材料の抵抗値の約130倍であった。
【0039】以上から、高密度ポリエチレン樹脂以外の
マトリックス樹脂を用いた場合でも導電性能が向上し、
冷却固化後もその高い導電性能を維持することが確認さ
れた。
【0040】(比較例3)15Vの直流電圧を連続的に
印加する以外は実施例5と同様の操作を行った。
【0041】板状複合材料に電圧を印加すると、板状複
合材料を流れる電流値は、電圧印加時間の経過とともに
増大し、操作開始0分で0.005A、1分で0.01
A、2分で0.012A、3分で0.017A、4分で
0.02A、5分で0.03A、6分で0.05A、7
分で0.06A、8分で0.08A、9分で0.11
A、10分で0.15A、11分で0.21A、12分
で0.3A、13分で0.44Aを示し、13.6分で
0.6Aに達した。電流値が0.6Aに達したところで
電圧の印加を停止し、恒温槽から取り出して室温で放冷
固化させた。
【0042】得られた板状複合材料の電極間の抵抗値は
350Ω(電気伝導率:7.1×10−3S/m)で、
実施例5で得られた板状複合材料の電極間の抵抗値(8
2Ω(電気伝導率:3.0×10−2S/m))より約
4.3倍大きい。
【0043】以上から、連続的に一定の電圧を印加する
よりも、印加電圧を変化させる方が、導電性能を向上さ
せることが確認された。
【0044】(実施例6)板状複合材料を流れる電流値
が0.6Aに達してからも、電流値を0.6Aに保持し
たまま電圧を印加し続ける以外は比較例1と同様の操作
を行った。
【0045】電圧を印加すると比較例1と同様に板状複
合材料を流れる電流値が増加した。電流値が0.6Aに
達してから、電圧は1分後に8.5V、2分後に7.7
V、3分後に7.2V、4分後に6.8V、5分後に
6.5V、10分後に5.8V、15分後に5.5V、
20分後に5.3V、25分後に5.1V、30分後に
5.0Vを示した。30分経過したところで電圧の印加
を停止し、恒温槽から取り出して室温で放冷固化させ
た。
【0046】得られた板状複合材料の電極間の抵抗値は
12.8Ω(電気伝導率:2.0×10−1S/m)で
あり、比較例1で得られた電流値が0.6Aに達してか
ら即座に放置冷却する場合の電極間の抵抗値(148Ω
(電気伝導率:2.0×10−2S/m))の方が約1
2倍大きかった。
【0047】以上から、電圧印加によって導電性能を向
上させた後に、即座に冷却固化させるよりも、続けて、
電圧を減少させながら印加した後に、冷却固化させる方
が、導電性能がさらに向上することが分かった。
【0048】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により、熱
可塑性樹脂と導電性充填材からなり、高い導電性能を有
する導電性複合材料を得ることが可能となる。従来の単
に導電性充填材を混合させた場合に比べ、同程度の導電
性能を得るにも少量の充填材量で済むため、マトリック
ス樹脂の機械的強度やしなやかさを維持し、かつ原料費
の削減にもつながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】押出機のダイを電極とし、加熱部で溶融した複
合材料を押出しながら電圧を印加し、導電性能を向上さ
せる装置である。ダイの間で短絡しないように絶縁性の
スペーサーを設置する。
【図2】カレンダ加工で延伸する際に、複合材料が通過
するロール間で電圧を印加し、導電性能を向上させる装
置である。
【図3】射出成形をする際に金型を電極とし、電圧を印
加することで導電性能を向上させる装置である。金型間
で短絡しないように絶縁性のスペーサーを設置する。
【符号の説明】
1 溶融押出部 2 複合材料 3 絶縁スペーサー 4 ダイ 5 電源 6 ロール 7 金型 8 ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大塚 宜寿 埼玉県久喜市北1丁目12番27号県職員住宅 301 (72)発明者 蓑毛 康太郎 東京都府中市是政3−41−1 Fターム(参考) 4J002 BB031 BB121 BC031 BC061 BD041 BG051 BN151 CB001 CF061 CF071 CG001 CL001 CL061 DA016 DA026 DA036 DC006 DE096 DE106 DE136 DE186 DG046 DK006 DL006 FA016 FA046 FB076 FD116 5G301 DA18 DA44 DD05 DD06 DE10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とし、導
    電性充填材を分散させた複合材料を、マトリックス樹脂
    が流動性を有している状態で電場中に置き、電界強度を
    変化させることで、複合材料の導電性能を向上させる方
    法。
  2. 【請求項2】請求項1の操作の後、流動性を失わせるこ
    とで得られる、導電性充填材が均一に分散している複合
    材料より高い導電性を有する導電性複合材料。
  3. 【請求項3】熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とし、導
    電性充填材を分散させた複合材料を、マトリックス樹脂
    が流動性を有している状態で電場中に置き、電界強度を
    変化させることができる成形加工装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008274178A (ja) * 2007-05-07 2008-11-13 Tatsuhiro Takahashi 炭素繊維配向連接フィルムの製造方法及び該製造方法により製造される炭素繊維配向連接フィルム

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