JP2001264313A - 樹脂管評価方法 - Google Patents

樹脂管評価方法

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JP2001264313A
JP2001264313A JP2000073340A JP2000073340A JP2001264313A JP 2001264313 A JP2001264313 A JP 2001264313A JP 2000073340 A JP2000073340 A JP 2000073340A JP 2000073340 A JP2000073340 A JP 2000073340A JP 2001264313 A JP2001264313 A JP 2001264313A
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JP2000073340A
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Inventor
Hiroshi Higuchi
裕思 樋口
Kazuhisa Igawa
一久 井川
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Osaka Gas Co Ltd
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】短時間で熱可塑性樹脂管の他物質との接触によ
る劣化の程度を評価する。 【解決手段】評価対象樹脂と前記他物質とを基準接触時
間接触させて、評価用樹脂サンプルを採取し、その評価
用樹脂サンプルの酸化誘導時間を求める操作を行い、そ
の基準接触時間における酸化誘導時間をもとに熱可塑性
樹脂管の他物質との接触による劣化の程度を評価する評
価工程と、前記評価対象樹脂と基準設定用の基準設定用
他物質とを接触させて、接触時間が異なる複数の基準設
定用樹脂サンプルを採取し、それらの基準設定用樹脂サ
ンプルについて夫々酸化誘導時間を求め、前記各接触時
間に対する酸化誘導時間の経時変化を求める操作を2種
以上の前記基準設定用他物質について行い、前記各基準
設定用他物質どうしの前記酸化誘導時間の経時変化を比
較して、前記評価工程における基準接触時間とそのとき
の酸化誘導時間の基準値を設定する基準設定工程とを備
えている樹脂管評価方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂管の
他物質との接触による劣化の程度を熱分析方法により評
価する樹脂管評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂管(例えば、架橋ポリエチ
レン管、ポリエチレン管、ポリブテン管など)は成型が
容易で利便なことなどから、給水管や給湯管として導入
され、風呂場や台所、流し台などの一過性水の配管とし
て使用されるほか、温水の循環を利用した床暖房やファ
ンコンベクター、エアコンなどの用途に利用されてい
る。熱可塑性樹脂管は、このように温水用配管としても
利用されるので、熱又は酸素などによる酸化剤によって
酸化劣化が進行することから、その管自体の耐久性が8
0℃程度の水道水環境下で実用上問題ないことは検査に
より確認されている。ところが、実際の配管システムで
は、管の表面に接触部材(パテ部材、粘着テープ部材な
ど)などの他物質が接触していることが多く、このよう
な場合は、管の劣化が促進され耐久性が低下することが
知られている。ただし、その原因は複雑なため明確に解
明されておらず、接触している他物質中に含まれている
可塑剤が熱可塑性樹脂管中に移行拡散することなどによ
り管の劣化が促進され耐久性が低下するのではないかと
推定されている。このため、管自体の耐久性だけでな
く、実際の環境に近い状況下で管の耐久性を確認する必
要があり、熱可塑性樹脂管が他物質と接触した状態にお
ける管の耐久性、すなわち、他物質との接触による劣化
の程度を評価する樹脂管評価方法が求められている。そ
こで、近年、熱可塑性樹脂管を他物質と少なくとも10
00時間以上接触させて、劣化が十分進行し安定した後
に、熱分析方法によりその酸化誘導時間を求めて、その
樹脂管の酸化誘導時間と、他物質との接触前の樹脂管の
酸化誘導時間との比から、他物質との接触による熱可塑
性樹脂管の劣化程度を評価する方法が提案されている。
なお、酸化誘導時間とは、JIS K 6774 附属
書2図2にも記されているように、示差熱分析(DT
A)や熱走査分析(DSC)などの熱分析方法を用い
て、試験試料を酸化雰囲気下に保ち、試験開始から酸化
発熱ピークが計測されるまでの時間のことである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記方法を採
用しても、熱可塑性樹脂管の劣化を十分進行させるため
に、少なくとも他物質と1000時間以上接触させる必
要があり、評価するにあたって1000時間以上もの長
時間を要するという問題がある。このため、種々の他物
質について接触による熱可塑性樹脂管の劣化を評価する
には、膨大な時間が必要となり、能率良く評価を行うこ
とが困難である。そこで、本発明は、上記実情に鑑みて
なされたものであって、短時間で熱可塑性樹脂管の他物
質との接触による劣化の程度を評価することができる樹
脂管評価方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】〔構成〕請求項1記載の
発明の特徴構成は、熱可塑性樹脂管の他物質との接触に
よる劣化の程度を熱分析方法により評価する樹脂管評価
方法であって、評価対象となる評価対象樹脂と前記他物
質とを基準接触時間接触させて、評価用樹脂サンプルを
採取し、その評価用樹脂サンプルの酸化誘導時間を求め
る操作を行い、その基準接触時間における酸化誘導時間
をもとに熱可塑性樹脂管の他物質との接触による劣化の
程度を評価する評価工程と、前記評価工程に先立って、
予め、前記評価対象樹脂と基準設定用の基準設定用他物
質とを接触させて、接触時間が異なる複数の基準設定用
樹脂サンプルを採取し、それらの基準設定用樹脂サンプ
ルについて夫々酸化誘導時間を求め、前記各接触時間に
対する酸化誘導時間の経時変化を求める操作を2種以上
の前記基準設定用他物質について行い、前記各基準設定
用他物質どうしの前記酸化誘導時間の経時変化を比較し
て、前記評価工程における基準接触時間とそのときの酸
化誘導時間の基準値を設定する基準設定工程とを備えて
いるところにある。
【0005】請求項2記載の発明の特徴構成は、熱可塑
性樹脂管の他物質との接触による劣化の程度を熱分析方
法により評価する樹脂管評価方法であって、評価対象と
なる評価対象樹脂と前記他物質とを複数の基準接触時間
接触させて、評価用樹脂サンプルを採取し、各基準接触
時間における評価用樹脂サンプルについて酸化誘導時間
を求める操作を行い、その接触時間の増分に対する酸化
誘導時間の変化量をもとに熱可塑性樹脂管の他物質との
接触による劣化の程度を評価する評価工程と、前記評価
工程に先立って、予め、前記評価対象樹脂と基準設定用
の基準設定用他物質とを接触させて、接触時間が異なる
複数の基準設定用樹脂サンプルを採取し、それらの基準
設定用樹脂サンプルについて夫々酸化誘導時間を求め、
前記各接触時間に対する酸化誘導時間の経時変化を求め
る操作を2種以上の前記基準設定用他物質について行
い、前記各基準設定用他物質どうしの前記酸化誘導時間
の経時変化を比較して、前記評価工程における複数の基
準接触時間とその接触時間の増分に対する酸化誘導時間
の変化量の基準値とを設定する基準設定工程とを備えて
いるところにある。
【0006】請求項3記載の発明の特徴構成は、前記基
準設定工程において、前記評価対象樹脂と2種以上の前
記基準設定用他物質について、前記基準設定用他物質に
接触させた状態での前記評価対象樹脂の機械的な強度の
耐久性試験を、JIS K6769に規格される試験に
もとづいて行う検査段階を備えているところにある。
【0007】〔作用効果〕本発明に係る樹脂管評価方法
の特徴構成によれば、殊に、評価工程に先立って、予
め、評価対象樹脂と基準設定用の基準設定用他物質とを
接触させて、接触時間が異なる複数の基準設定用樹脂サ
ンプルを採取し、それらの基準設定用樹脂サンプルにつ
いて夫々酸化誘導時間を求め、各接触時間に対する酸化
誘導時間の経時変化を求める操作を2種以上の基準設定
用他物質について行い、各基準設定用他物質どうしの酸
化誘導時間の経時変化を比較して、評価工程における基
準接触時間と酸化誘導時間(又はその変化量)の基準値
を設定するので、基準接触時間を評価にあたって必要十
分な短時間に設定することができる。例えば、評価対象
樹脂(架橋ポリエチレン管)と2種の基準設定用他物質
(パテ部材A,B)について基準設定工程を行い求めた
各基準設定用他物質についての酸化誘導時間の経時変化
(酸化誘導時間の接触時間に対する変化)を、図1に示
す。この酸化誘導時間の経時変化から、接触時間が10
0時間以内において、パテ部材Aの場合とパテ部材Bの
場合との酸化誘導時間の間に明確な大きな差が確認でき
る。したがって、このように酸化誘導時間の経時変化を
比較することにより、劣化の進行途中においても熱可塑
性樹脂管の他物質との接触による劣化の程度の差を明確
に確認することができる接触時間を判断し、基準接触時
間を評価するにあたって必要十分な短時間に設定するこ
とができる。故に、劣化の程度を評価することができる
限り、できるだけ基準接触時間を短い時間に設定して、
評価工程における評価を短時間で行い、能率良く行うこ
とができるようにすることができる。また、同様に2種
以上の各基準設定用他物質どうしの酸化誘導時間の経時
変化を比較して、評価工程における酸化誘導時間(又は
その変化量)の基準値を設定するので、より信頼性の高
い基準値を設けることができるから、より正確に劣化の
程度の評価を行えるようにすることもできる。
【0008】そして、請求項1に記載の発明に係る樹脂
管評価方法の特徴構成によれば、評価対象樹脂と他物質
とを基準接触時間接触させて、評価用樹脂サンプルを採
取し、その評価用樹脂サンプルの酸化誘導時間を求める
操作を行い、その基準接触時間における酸化誘導時間を
もとに熱可塑性樹脂管の他物質との接触による劣化の程
度を評価するので、複数の評価を行う際に、簡便に劣化
の程度を評価することができる。
【0009】請求項2に記載の発明に係る樹脂管評価方
法の特徴構成によれば、評価対象樹脂と前記他物質とを
複数の基準接触時間接触させて、評価用樹脂サンプルを
採取し、各基準接触時間における評価用樹脂サンプルに
ついて酸化誘導時間を求める操作を行い、その接触時間
の増分に対する酸化誘導時間の変化量をもとに熱可塑性
樹脂管の他物質との接触による劣化の程度を評価するの
で、接触時間の増分に対する酸化誘導時間の変化量によ
り判断するから、劣化の進行途中においてもより正確に
評価を行うことができ、より短い時間に基準接触時間を
設定して劣化の程度を評価することができる。
【0010】請求項3に記載の発明に係る樹脂管評価方
法の特徴構成によれば、基準設定工程において、前記評
価対象樹脂と2種以上の前記基準設定用他物質につい
て、前記基準設定用他物質に接触させた状態での前記評
価対象樹脂の機械的な強度の耐久性試験を、JIS K
6769に規格される試験にもとづいて行う検査段階
を備えているので、別の方法により機械的な強度の耐久
性も確認して、酸化誘導時間(又はその変化量)の基準
値を設定することができるため、より信頼性の高い劣化
の程度の評価をすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】〔第1実施形態〕本発明に係る樹
脂管評価方法を用いて、架橋ポリエチレン管(熱可塑性
樹脂の一例)を暖房配管として使用する際に配管工事な
どに用いるパテ部材C(新日鐵化学製、他物質の一例)
の評価を行った。
【0012】まず、評価対象となる評価対象樹脂とパテ
部材Cとを基準接触時間接触させて、評価用樹脂サンプ
ルを採取し、その評価用樹脂サンプルの酸化誘導時間を
求める操作を行い、その基準接触時間における酸化誘導
時間をもとに熱可塑性樹脂管の他物質との接触による劣
化の程度を評価する評価工程に先立って、予め、評価対
象樹脂と基準設定用の基準設定用他物質とを接触させ
て、接触時間が異なる複数の基準設定用樹脂サンプルを
採取し、それらの基準設定用樹脂サンプルについて夫々
酸化誘導時間を求め、各接触時間に対する酸化誘導時間
の経時変化を求める操作を2種以上の基準設定用他物質
(パテ部材A,B、基準設定用他物質の一例)について
行い、各基準設定用他物質どうしの酸化誘導時間の経時
変化を比較して、評価工程における基準接触時間とその
ときの酸化誘導時間の基準値を設定する基準設定工程を
以下のように行った。
【0013】前記架橋ポリエチレン管(古河電工製)か
ら径10A、長さ1mの管状の評価対象樹脂を準備し、
評価対象樹脂の外周面にパテ部材A(日東電工製)を接
触させ、その内周面側には80℃の温水を通湯して評価
対象樹脂を一定温度に保った。そして、パテ部材Aとの
接触時間が、0,25,50,100,200,500
時間後の基準設定用樹脂サンプルを評価対象樹脂の内周
面側から採取し、各基準設定用樹脂サンプルについてD
SCにより酸化誘導時間を測定した。
【0014】なお、酸化誘導時間は次のように測定し
た。測定試料は、前記基準設定用樹脂サンプルから、5
mg、約3×3mm角に調製した。そして、測定試料を
DSC装置に導入後、窒素雰囲気下20℃/minで昇
温し、210℃に達したら、210℃でホールドし、温
度が安定してから5分後に窒素雰囲気下から酸素雰囲気
下に切換えて、測定を開始した。酸化発熱が起こり、最
大ピークが観測されるまで測定を続け、酸化誘導時間を
求めた。酸化誘導時間は、酸素雰囲気下にした時点か
ら、ベースラインの延長線と発熱曲線の最大傾斜点で引
いた接線の交点までの時間(min)とした(図2参
照)。
【0015】このようにして、図1に示すパテ部材Aを
接触させたときの評価対象樹脂の酸化誘導時間について
の経時変化を求めた(図1曲線A)。なお、酸化誘導時
間は、本例示の場合接触前の酸化誘導時間がいずれも1
種の評価対象樹脂のものであり、同一となるので、便宜
上、接触時間が0時間のときの酸化誘導時間を100と
して換算してある。パテ部材B(日東化成製)について
も同様にして、接触させたときの評価対象樹脂の酸化誘
導時間についての経時変化を求めた(図1曲線B)。な
お、図1には、参考までに、何も他物質と接触させず
に、管内周面に温水を通湯させた評価対象樹脂の酸化誘
導時間の経時変化も示す(図1曲線C、この場合接触時
間は温水通湯時間に相当)。
【0016】また、別途、評価対象樹脂とパテ部材A,
Bについて、パテ部材A,Bに接触させた状態での評価
対象樹脂の機械的な強度の耐久性試験を、JIS K
6769に規格される試験にもとづいて行う検査段階を
行った。前記耐久性試験は、ISO1167に基づくJ
IS K 6769に従って行った。つまり、評価対象
樹脂から径10A 長さ3mの試験管を準備して、管外
周面にパテ部材を接触させた状態で、管内周面側に温水
を充填し、管端を封印して、管を110℃に保ち、円周
応力2.4MPaで加圧し、試験管が破壊するまでの時
間を測定し、8760時間以上経っても破壊が生じなけ
れば合格と判断する試験である(詳細はJIS K 6
769参照)。その結果、パテ部材Aを接触させた管は
10000時間以上経過しても破壊は確認されずこの耐
久性試験に合格したが、一方、パテ部材Bを接触させた
管は6481時間で破壊が確認され、耐久性試験に不合
格となった。
【0017】そして、以上から次のように基準接触時間
とそのときの酸化誘導時間の基準値を設定した。
【0018】図1に示した曲線Cから、評価対象樹脂
は、他物質との接触がない場合においても、温水による
酸化劣化のため酸化誘導時間が徐々に低下することが分
かる。曲線Aより、パテAと接触させた場合は、他物質
と接触していない場合に比べて少し酸化誘導時間の低下
が大きい。また、曲線Bより、パテBと接触させた場合
は、激しく酸化誘導時間が低下することが確認できる。
そして、接触時間が50時間の時点でパテ部材AとBの
場合の酸化誘導時間(曲線A,B)に明らかな差が認め
られ、100時間の時点ではパテ部材Aと他物質との接
触がない場合(曲線A、C)とにも明らかな差が認めら
れるから、評価工程において劣化の程度を評価すること
ができる基準接触時間を100時間に設定した。また、
上述のようにパテBは酸化誘導時間の低下が著しく、前
記検査段階の結果からも、パテ部材Bを接触させた評価
対象樹脂は耐久性試験に不合格であることから、パテ部
材Bを接触させたときの酸化誘導時間から、基準接触時
間100時間のときの酸化誘導時間の基準値を30に設
定し、これより短い酸化誘導時間のときは、熱可塑性樹
脂管の他物質との接触による劣化の程度が大きく、耐久
性がないものと判断することとした。
【0019】次に、以上のように設定した基準接触時間
とそのときの酸化誘導時間の基準値をもとに、熱可塑性
樹脂管の他物質との接触による劣化の程度を評価する評
価工程を行った。
【0020】上記基準設定工程と同様の方法にて、評価
対象樹脂とパテ部材Cとを基準接触時間の100時間接
触させて、評価用樹脂サンプルを採取し、その評価用樹
脂サンプルの酸化誘導時間を求めたところ、10であっ
た。この値は、基準値30よりも短いので、パテ部材C
を用いると、接触による樹脂管の劣化が大きく、耐久性
がないものと判断できた。このように本発明の樹脂管評
価方法を用いることにより、パテ部材などの接触部材の
導入判断の指針を設けて、熱可塑性樹脂管を利用した配
管システムの信頼性を向上させることもできる。
【0021】〔第2実施形態〕評価対象樹脂と前記他物
質とを複数の基準接触時間接触させて、評価用樹脂サン
プルを採取し、各基準接触時間における評価用樹脂サン
プルについて酸化誘導時間を求める操作を行い、その接
触時間の増分に対する酸化誘導時間の変化量をもとに熱
可塑性樹脂管の他物質との接触による劣化の程度を評価
する場合について説明する。
【0022】例えば、図1に示す酸化誘導時間の経時変
化から、各接触時間の増分に対する酸化誘導時間の変化
量(図1の各グラフの各ポイント間での傾きを表す)を
求めると、表1に示すような値となった。接触時間の増
分に対する酸化誘導時間の変化量が大きいほど、劣化の
進行がすすんでいることとなるので、表1から、他物質
と接触させてから短い時間の間に激しく劣化が進行する
ことが分かる。接触時間が0から25時間のとき、その
接触時間の増分に対する酸化誘導時間の変化量に明らか
な差が認められるので、評価工程における複数の基準接
触時間を0時間と25時間に設定した。そして、第1実
施形態と同様に、前記検査段階の結果から、パテ部材B
を接触させたときの酸化誘導時間をもとに酸化誘導時間
の変化量の基準値を設定した。すなわち、0時間と25
時間の2つの基準接触時間の酸化誘導時間から求まる接
触時間の増分に対する酸化誘導時間の変化量の基準値を
1.2に設定し、これより大きい変化量のときは、熱可
塑性樹脂管の他物質との接触による劣化の程度が大き
く、耐久性がないものと判断することとした。
【0023】
【表1】
【0024】次に、評価対象樹脂とパテ部材Cとを基準
接触時間の0時間、25時間接触させて、評価用樹脂サ
ンプルを採取し、各基準接触時間における評価用樹脂サ
ンプルの酸化誘導時間を求めたところ、各々、100,
50であった。そして、その接触時間の増分に対する酸
化誘導時間の変化量を求めると、2.0となり、基準値
1.2より大きいので、パテ部材Cを用いると、接触に
よる樹脂管の劣化が大きく、耐久性がないものと判断で
きた。このように、接触時間の増分に対する酸化誘導時
間の変化量をもとに劣化の程度を評価することにより、
劣化途中においても判断が可能となり、基準設定時間を
短時間に設定して短時間で能率良く評価を行うことがで
きる。
【0025】なお、上記以外の実施形態は第1実施形態
と同様である。
【0026】〔別実施形態〕以下に他の実施形態を説明
する。 〈1〉先の実施形態では、基準設定工程で、接触時間を
0,25,50,100,200,500時間に設定し
て各接触時間において酸化誘導時間を求めることによ
り、酸化誘導時間の経時変化を求めたが、設定する複数
の接触時間は上記接触時間に限るものではなく、各基準
他物質どうしの酸化誘導時間の経時変化を比較して評価
工程で十分評価することができる基準接触時間を設定で
きれば、如何なる接触時間に設定しても良い。 〈2〉先の実施形態では、評価対象樹脂を他物質若しく
は基準設定用他物質と接触させた状態で約80℃に保っ
たが、温度は80℃に限るものではなく、一定温度に保
てば如何なる温度でも良い。なお、先の実施形態では、
より短時間に管の劣化を進行させ、評価を早く行えるよ
うに高温で保持した。そして、温水用配管として実際に
使用される際には、約80℃の温水が熱可塑性樹脂管内
を循環するので、実施形態においても評価対象樹脂の内
周面側を通湯させる温水の温度を約80℃に設定した。 〈3〉評価対象樹脂を高温に保持する方法は、先の実施
形態で説明した内周面側に温水を通湯させるものに限る
ものではなく、例えば、恒温漕を用いて一定温度に保持
しても良い(この場合、管内周面に水を入れ、管端を封
印しておけばより効率良く温度を保持することができ
る。) 〈4〉本発明に係る樹脂管評価方法は先の実施形態で説
明したように、1種の熱可塑性樹脂管について複数種の
他物質との接触による劣化の程度を評価する場合に限る
ものではなく、例えば、1種の他物質について複数種の
熱可塑性樹脂管の接触による劣化の程度を評価する場合
にも利用することができる。 〈5〉評価工程における基準接触時間や基準値は先の実
施形態で示した値に限るものではなく、適宜、必要に応
じた値を設定すれば良い。 〈6〉酸化誘導時間は先の実施形態で説明したようにD
SCに限らず、DTAなどの熱分析方法により求めても
良い。 〈7〉評価対象樹脂は、口径の大きい管(例えば13A
など)を用いるなどして他物質との接触面積を大きくす
れば、より短い時間で評価を行うことができる。 〈8〉酸化誘導時間を求める条件(DSCの測定条件や
測定試料の作製条件など)は、先の実施形態で説明した
ものに限るものではなく、例えば、JIS K6774
に記載されている試験条件など、常に一定条件下で酸化
誘導時間を求めることができるものであれば良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸化誘導時間の接触時間に対する経時変化を示
すグラフ
【図2】酸化誘導時間測定図

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂管の他物質との接触による
    劣化の程度を熱分析方法により評価する樹脂管評価方法
    であって、 評価対象となる評価対象樹脂と前記他物質とを基準接触
    時間接触させて、評価用樹脂サンプルを採取し、その評
    価用樹脂サンプルの酸化誘導時間を求める操作を行い、
    その基準接触時間における酸化誘導時間をもとに熱可塑
    性樹脂管の他物質との接触による劣化の程度を評価する
    評価工程と、 前記評価工程に先立って、予め、前記評価対象樹脂と基
    準設定用の基準設定用他物質とを接触させて、接触時間
    が異なる複数の基準設定用樹脂サンプルを採取し、それ
    らの基準設定用樹脂サンプルについて夫々酸化誘導時間
    を求め、前記各接触時間に対する酸化誘導時間の経時変
    化を求める操作を2種以上の前記基準設定用他物質につ
    いて行い、前記各基準設定用他物質どうしの前記酸化誘
    導時間の経時変化を比較して、前記評価工程における基
    準接触時間とそのときの酸化誘導時間の基準値を設定す
    る基準設定工程とを備えている樹脂管評価方法。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂管の他物質との接触による
    劣化の程度を熱分析方法により評価する樹脂管評価方法
    であって、 評価対象となる評価対象樹脂と前記他物質とを複数の基
    準接触時間接触させて、評価用樹脂サンプルを採取し、
    各基準接触時間における評価用樹脂サンプルについて酸
    化誘導時間を求める操作を行い、その接触時間の増分に
    対する酸化誘導時間の変化量をもとに熱可塑性樹脂管の
    他物質との接触による劣化の程度を評価する評価工程
    と、 前記評価工程に先立って、予め、前記評価対象樹脂と基
    準設定用の基準設定用他物質とを接触させて、接触時間
    が異なる複数の基準設定用樹脂サンプルを採取し、それ
    らの基準設定用樹脂サンプルについて夫々酸化誘導時間
    を求め、前記各接触時間に対する酸化誘導時間の経時変
    化を求める操作を2種以上の前記基準設定用他物質につ
    いて行い、前記各基準設定用他物質どうしの前記酸化誘
    導時間の経時変化を比較して、前記評価工程における複
    数の基準接触時間とその接触時間の増分に対する酸化誘
    導時間の変化量の基準値とを設定する基準設定工程とを
    備えている樹脂管評価方法。
  3. 【請求項3】 前記基準設定工程において、前記評価対
    象樹脂と2種以上の前記基準設定用他物質について、前
    記基準設定用他物質に接触させた状態での前記評価対象
    樹脂の機械的な強度の耐久性試験を、JIS K 67
    69に規格される試験にもとづいて行う検査段階を備え
    ている請求項1又は2記載の樹脂管評価方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017015623A (ja) * 2015-07-03 2017-01-19 トヨタ車体株式会社 樹脂成形品の劣化評価試験方法
KR20220021944A (ko) * 2020-08-13 2022-02-23 주식회사 삼양사 블로우 몰딩용 열가소성 폴리에스테르계 엘라스토머 수지의 내구성 평가 방법

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