JP2001262862A - 耐震構造体 - Google Patents

耐震構造体

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JP2001262862A
JP2001262862A JP2000075159A JP2000075159A JP2001262862A JP 2001262862 A JP2001262862 A JP 2001262862A JP 2000075159 A JP2000075159 A JP 2000075159A JP 2000075159 A JP2000075159 A JP 2000075159A JP 2001262862 A JP2001262862 A JP 2001262862A
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JP2000075159A
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Kyoji Noguchi
恭司 野口
Tetsuya Yamada
哲也 山田
Kunio Watanabe
邦夫 渡辺
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Mitsui Construction Co Ltd
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Mitsui Construction Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 設計上最適な水平剛性の調整が容易で、細長
い正面形状を有する高層の耐震構造体を構築するのに好
適であり、耐震性能、経済性に富み、建築設計の自由度
を向上させることができる耐震構造体を提供する。 【解決手段】 基礎構造部1と、基礎構造部2の上に立
設された、複数階を有する連層耐震壁部3とからなり、
基礎構造部2は、所定スパン長さをおいて構築された、
相対向する基礎21と、その基礎を連結する基礎梁23
を備える。基礎21に立設された柱と、相対向する柱1
1の間に基礎梁23から階数方向に連層的に配置された
壁体31とで構成された耐震壁により連層耐震壁部3を
構成する。耐震壁を、上下階の壁体相互間に横方向に横
スリット33が形成され、横スリットと連続して、壁体
の上方又は下方に向かって所定の長さだけ縦スリット3
5が形成された可変剛性耐震壁30で構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば集合住宅建
築に適用される、水平剛性の調整が容易な耐震構造体に
関する。
【0002】
【従来の技術】複数階を有する集合住宅建築などに適用
される耐震構造は、従来、耐震壁を連層配置したものが
一般的である。図31はそのような耐震壁構造による集
合住宅の基準階の例を示す平面図、図32は、はり間方
向断面図(正面図)である。
【0003】図31,32において、符号Aは所要の間
隔をおいて直立する柱、Bは柱によって囲まれる住戸空
間、Cは住戸空間Bの一側に設けられる共用廊下、Dは
住戸空間の他側に設けられるバルコニーである。片側廊
下方式のこれらの建築物は、住戸空間Bの連設された方
向となる桁行方向(長手方向)には、住戸空間Bと共用
廊下CもしくはバルコニーDとの境界面にラーメン骨組
が互いに対向するように配置される。また、桁行方向に
直交するはり間方向(短手方向)には、各住戸の戸境壁
を耐震壁Eとすることによって上階から最下階まで鉄筋
コンクリート造の耐震壁が連層配置された、連層耐震壁
構造体Fを構成する。耐震壁Eは対向する柱Aに壁体E
が完全に一体化されたもので、連層耐震壁構造体Fは、
ラーメン骨組に比較して高い水平剛性と水平耐力を有す
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】建物が高層化すると、
はり間方向の連層耐震壁構造体Fは、細長い正面形状に
なる。したがって、細長い正面形状の連層耐震壁構造体
Fでは地震時の基礎の引抜力が極めて大きくなる。
【0005】連層耐震壁構造体Fは、地震時には階数方
向(上下方向)に細長い、基礎部に固定支持された片持
ち構造としての構造的特徴を示す。連層耐震壁構造体F
は、水平剛性が高いので短い固有周期(短周期)とな
り、動的解析方法(振動解析法) を行うと高い応答値を
示す。連層耐震壁構造体Fが同一方向(桁行方向)に並
列している場合では、基礎に過大な転倒モーメント、鉛
直力(引抜力又は圧縮力)が発生する。
【0006】また、耐震壁構造体と柱、梁による純ラー
メン構造体が、建物の同一階で平面的に混在する骨組、
または、同一架構面で、耐震壁構造体と純ラーメン構造
体が連結されている骨組において、耐震壁構造体は水平
剛性が高いので、地震力の大部分を負担し、耐震壁構造
体の基礎に生じる引抜き力が極めて大きくなることがあ
る。
【0007】このような引抜力に抵抗するために、連層
耐震壁構造体Fの基礎及び杭を大規模なものとすること
は、経済上不利である。したがって、細長い正面形状を
有する連層耐震壁構造体により構造物の高層化を図るこ
とには困難が伴う。
【0008】また、免震構造体による高層建物では、地
震時の基礎の引抜力が重要な課題となる。免震構造体
は、柱の直下の基礎と下部基礎構造体との間に、水平方
向にせん断変形可能な鉛入りの積層ゴム等で構成される
免震装置を介在させて設置して構成される。この免震装
置によって骨組の固有周期を長くし、骨組に入力する地
震動を軽減し、骨組に生じる変形、応力を抑制する。と
ころが、免震装置と下部基礎構造体との間の上下方向の
拘束が少ない構造になっているので、免震構造体では、
積層ゴムに発生する引抜力はできるだけ抑制することが
望ましい。しかし、この引抜力に抵抗するのは当該柱に
生じている長期柱軸力(常時柱軸力)であるので、桁行
方向外縁部近傍の連層耐震壁構造体の外柱に大きな引抜
力が発生すると、免震装置が機能することができなくな
る。免震構造体では、最適な固有周期を有する骨組構造
体を構成しうる耐震壁が必要となる。
【0009】したがって、連層耐震壁構造体Fの水平剛
性を低下させて基礎の引抜力を軽減し、建物の高層化を
図ることが必要となる。しかし、連層耐震壁構造体Fは
柱と壁とが一体となって抵抗するので、各階の骨組全体
の水平剛性を調整して、連層耐震壁構造体Fが負担する
地震力を設計上軽減することは難しい。
【0010】そこで、高層集合住宅等の骨組構造体を構
成し得る、水平剛性の調整が設計上容易な新規な耐震構
造体を提供すべく、鋭意検討した。
【0011】本発明の目的は、設計上最適な水平剛性の
調整が容易で、細長い正面形状を有する高層の耐震構造
体を構築するのに好適であり、耐震性能、経済性に富
み、建築設計の自由度を向上させることができる耐震構
造体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】〔請求項1に係る発明〕
基礎構造部と、基礎構造部の上に立設された、複数階を
有する連層耐震壁部とからなり、基礎構造部は、所定ス
パン長さをおいて構築された、相対向する基礎と、その
基礎を連結する基礎梁を備え、連層耐震壁部は、基礎に
立設された柱と、相対向する柱の間に、基礎梁から階数
方向に連層的に配置された壁体とで構成された耐震壁を
備え、耐震壁は、上下階の壁体相互間に横方向に横スリ
ットが形成され、横スリットと連続して、壁体の上方又
は下方に向かって所定の長さだけ縦スリットが形成され
た可変剛性耐震壁である階を有する耐震構造体である。
【0013】〔請求項2に係る発明〕前記連層耐震壁部
は、基礎構造部に固定支持された、階数方向に細長い正
面形状をなす片持ち構造を構成する、ことを特徴とする
請求項1に記載の耐震構造体である。
【0014】〔請求項3に係る発明〕前記可変剛性耐震
壁の縦スリットの縦長さを、階数方向で変化させて設定
した、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の耐震構
造体である。
【0015】〔請求項4に係る発明〕前記可変剛性耐震
壁の縦スリットの縦長さを、上階よりも下階の方を長く
設定した、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
記載の耐震構造体である。
【0016】〔請求項5に係る発明〕前記可変剛性耐震
壁の壁体は、ほぼ階高に相当する梁成を有して面的構造
部材の外形をなし、空間を区画する仕切壁としての機能
を有しており、かつ構造力学的モデルにおいて、壁体の
剛接合部の縦長さの中心を通る材軸線を、1本の線材に
置換することが可能である、ことを特徴とする請求項1
〜4のいずれかに記載の耐震構造体である。
【0017】〔請求項6に係る発明〕前記連層耐震壁部
は、前記柱の部材断面の中心を通る縦方向の材軸線と、
前記壁体の剛接合部の縦長さの中心を通る横方向の材軸
線とを、それぞれ1本の線材に置換したラーメン骨組に
よって、梯子状の構造力学的モデルを構成する、ことを
特徴とする請求項5に記載の耐震構造体である。
【0018】〔請求項7に係る発明〕免震構造部を備え
た、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の
耐震構造体である。 〔請求項8に係る発明〕前記連層耐震壁部の上階にラー
メン構造体を接合した、ことを特徴とする請求項1〜7
のいずれかに記載の耐震構造体である。
【0019】
【発明の実施の形態】〔本発明に係る耐震構造体の特
徴〕先ず、本発明に係る耐震構造体の構造的特徴を、図
1,2を参照して説明する。本発明において、「耐震
壁」とは、可変剛性耐震壁又は一体型耐震壁をいう。2
本の柱11と、横スリット33及び縦スリット35が設
けられている壁体31とからなる耐震壁の1ユニット
を、可変剛性耐震壁30という。柱と壁体とからなり、
横スリット及び縦スリットが設けられていない1ユニッ
トを、一体型耐震壁60という。図1に示すように、構
造物本体1は、22階、1スパンで構成され、1 階から
22階は可変剛性耐震壁30を連層配置した連層耐震壁
部3によって形成されている。図2は、この構造物本体
1の1階から6階に相当する範囲を示す。連層耐震壁部
3は、横スリット33、縦スリット35を有する壁体3
1によって構成された可変剛性耐震壁30を階数方向に
連層的に重ねた、22階、1スパンに相当する連層の耐
震壁構造を構成する。2階〜最上階の可変剛性耐震壁3
0は、横スリット33、縦スリット35が形成された同
一構造の耐震壁である。2階の床位置(1階の壁体31
の上辺)では、2本の柱11の間に、直線状の枠梁32
が略水平に架設されている。枠梁32は、壁体31と互
いに一体的に接合され、壁体31の補強梁として機能す
る。この場合でも、枠梁32と壁体31が一体となって
1個の大きな壁梁として形成される。なお、枠梁32は
設けなくてもよい。
【0020】連層耐震壁部3の柱11は、最上階から基
礎21まで縦方向に直線状に立設された、柱部材を形成
する。この柱部材を、所定のスパン長さをおいて2本対
向して鉛直方向に、基礎21上に立設している。2本の
柱部材の間に、所定の階高で、最下階から上階に向かっ
て順に、壁体31(1階〜22階)が架設され、両側の
柱部材と一体的に剛接合されている。壁体31は、ほぼ
階高に相当する梁成を有する変断面材である。梁部材で
ある基礎梁23は、所定スパン長さをおいて構築され
た、相対向する基礎21を連結している。
【0021】地震時における構造物本体1の構造性能を
検討する方法として、フレーム解析モデルに静的水平力
を各階の床位置に作用させて応力解析をする静的解析方
法と、質点系モデルで地震波を入力させて地震応答解析
をする動的解析方法がある。
【0022】先ず、静的解析方法について説明する。こ
の構造物本体1を、地震時の応力解析に使用される構造
力学的モデルに置換する。応力解析とは、構造力学的モ
デル(解析モデル)に静的水平力を各階の床位置に作用
させて、変形、部材の応力を求める静的解析方法であ
る。柱部材(柱11)、基礎梁23の部材断面の中心を
通る、部材の長さ方向の材軸線を、一本の線材に置換す
る。壁体31は両側端の剛接合部の縦長さ(図2のh
r)を有効断面とする変断面部材(壁梁:梁部材)とし
て扱い、剛接合部の縦長さの中心を通る横方向の材軸線
を一本の線材に置換する。図2に示すように、構造物本
体1は、このように線材に置換された仮想ラーメン軸線
からなる平面(二次元)骨組に置換され、1スパン22
階の梯子状(格子状)の構造力学的モデルとして表され
る(複数スパンに亘る場合は、梯子を横に並べたような
格子状のモデルとなる)。この構造力学的モデルは、柱
部材の材軸線が、所定のスパン長さをおいて2本対向し
て縦方向に立設され、2本の柱部材の間に複数の梁部材
の材軸線が、最下階から最上階に向かって所定の構造階
高を置いて、横方向に架設され、両側の柱部材と剛接合
されている正面形状を形成する。
【0023】本発明の耐震構造体では、本来、水平剛
性、水平耐力が極めて高い面的構造部材である壁体31
が、変断面を有する1本の線材として置換することがで
きる壁梁に変化されている。可変剛性耐震壁30が連層
された連層耐震壁部3は、縦スリット35が形成する可
撓部を備えた柱11と、変断面の壁梁として形成された
壁体31によって、全体として一種のラーメン骨組に構
造力学的機構が変化している。したがって、構造物本体
1は、全階を通して1スパン22階のラーメン骨組を構
成している。外形上は面的構造部材である壁体31(可
変剛性耐震壁30)が、実質上は、線材からなるラーメ
ン骨組に変化しているのである。
【0024】図2に示す構造力学的モデルでは、各階の
水平方向の梁部材(基礎梁23、壁体31)は、その部
材断面の中心を通る横方向の材軸線で表されているの
で、構造力学的な階高は、上下階の梁部材の部材断面の
中心間距離として算定され、図2に右側に示すH1〜H6と
して表される。したがって、連層耐震壁部3の最下階
(図4では1階)の構造力学的な階高(H1)は、壁体3
1(1階)の剛接合部の縦長さ(図2のhr)の中心を
通る材軸線と、1階の基礎梁23の材軸線との間の距離
であるので、2階以上の階高(H2〜H6)より小さくなっ
ている。
【0025】本発明によると、連層耐震壁部3の水平剛
性を容易に低下することができ、階数方向の水平変形、
水平剛性の変化分布形を任意に設定することができる。
各階の水平変形は、縦スリットの縦長さによってせん断
変形を調節し、横スリットによって曲げ変形を増大させ
ることができる。しかし、横スリットを設置することに
よる水平変形の増大は微小の範囲内にあるが、縦スリッ
トの縦長さの長短は、せん断変形に直接的に影響する。
【0026】本発明によると、連層耐震壁部3の水平剛
性は、壁体31の縦スリット35の縦長さを調整するこ
とによって自由に調整することができる。そして、連層
耐震壁部3からなる構造物本体1では、連層耐震壁部3
がラーメン骨組に構造力学的機構が変化しているので、
連層耐震壁部3の水平剛性を容易に低下させることがで
きるばかりでなく、階数方向(上下方向)の水平変形、
水平剛性の変化分布形が緩やかになる。したがって、構
造物本体1の全体の水平剛性を自由に調整することがで
き、最適な骨組構造体を形成し、耐震性能を飛躍的に向
上させることができる。各階の水平剛性、階数方向の水
平剛性の変化分布形を容易かつ適切に設定することによ
って、構造物本体1の静的な構造的性状のみならず、固
有周期、固有振動形等の動的構造的性状を向上すること
ができる。
【0027】次に、動的解析方法(振動解析法) につい
て説明する。動的解析方法によると、構造物本体1の振
動的構造性能を検証することができる。動的解析方法の
一例として、各階を重量、水平剛性を有する「くし団子
型」の質点に置換する方法がある。この質点系モデルの
基礎部(最下階の固定点)に所定の地震波を入力させ
て、各階の応答値(せん断力、加速度など)を計算す
る。骨組は、固有周期が長い程(長周期)、各階の応答
値が小さくなることは理論的に認められている。骨組が
全体として同一の固有周期であれば、基礎部の応答値
(せん断力、転倒モーメントなど)は略同一になること
が多い。さらに、骨組が全体として同一の固有周期であ
っても、階数方向の水平剛性の分布を変えると、各階の
固有振動形は変化し、各階の応答値(せん断力、加速度
など)は変化することがある。
【0028】連層耐震壁部3を構成する耐震壁に、横ス
リット33と縦スリット35を形成した可変剛性耐震壁
30を適用することによって、構造物本体1の各階の水
平剛性を低下し、固有周期を長く(長周期化)すること
ができる。長周期化する効果は下記の通りである。第一
に、基礎部の応答値(せん断力、転倒モーメント)は低
減され、建物を転倒させようとする曲げモーメントによ
って、基礎、杭に生じる鉛直力(引抜力又は圧縮力)は
小さくなる。杭、基礎の構造は簡易化し、建物の高層化
が促進される。第二に、水平変位(基礎の固定点からの
相対水平変位)が上階ほど「鞭がしなるように急増する
現象」は抑制される。建物の最上階近傍であっても加速
度を減少させることができるので、建物の全階にわたっ
て、什器の転倒、損傷のおそれは格段に低くなる。第三
に、各階の応答値は小さくなる。応答値は、速度、加速
度、せん断力、転倒モーメントなどがある。各階の加速
度が減少すれば、建物の室内に配設されている、家具、
備品などの什器の転倒、損傷のおそれが低くなり、居住
者に生じる不快な人体感覚は緩和される。
【0029】次に、可変剛性耐震壁30の縦スリット3
5の縦長さを階数方向で変更することによって、各階の
水平剛性分布、固有振動形を調整することができる。固
有振動形を調節する効果は下記の通りである。第一に、
建物の最上階近傍であっても加速度を減少させることが
できるので、建物の全階にわたって、什器の転倒、損傷
のおそれは格段に低くなる。第二に、層間水平変位の分
布形を調整することができるので、層間水平変位の階数
方向のバラツキを緩和することができる。一部の階で、
層間水平変位が急増する現象を抑制することができる。
第三に、同一の固有周期であっても、各階の応答値(せ
ん断力、加速度など)は変化する。
【0030】上記のように、本発明によると、連層耐震
壁部3では、各階の水平剛性を低下させ、固有周期を長
期化することにより、各階の応答値が小さくなる。ま
た、地震時に構造物本体1の基礎に生じる、転倒モーメ
ント、引抜き力が減少する。そして、水平剛性の階数方
向のバランスが飛躍的に向上されるので、水平変位(基
礎の固定点からの相対水平変位)が上階ほど「鞭がしな
るように急増する現象」が抑制される。したがって、細
長い正面形状を有する構造物本体1の高層化を図ること
ができる。
【0031】連層耐震壁構造体は、階数方向に細長い正
面形状をなし、基礎構造部で固定支持された、全体とし
て1つの片持ち構造を構成する。その正面形状は、横方
向はスパン長さ、縦方向は最高高さで形成された略矩形
状をなす。片持ち構造とは、一端が固定支持され、他端
が自由な構造部材(一種の梁状部材)の構造をいう。連
層耐震壁構造体は、地震時には、基礎構造部で固定支持
され、1階から最上階までが、片持ち構造部材状に水平
変形する。
【0032】構造物本体の塔状比とは、構造物本体の最
高高さ/転倒有効スパン長さ、で示される。連層耐震壁
構造体の最高高さは、図1で、最下階(1階)の柱11
の柱脚位置から、最上階(22階)の梁部材(壁体3
1)の上面までの高さHをいう。転倒有効スパン長さ
は、地震時に構造物本体を転倒させようとする曲げモー
メントに対して有効に働く基礎構造部の最大スパン長さ
をいい、図1では、連層耐震壁構造体の両端部に配置さ
れている最下階(1階)の柱11の縦方向材軸間の距離
Lである。図1以外の他の図にも適宜、転倒有効スパン
長さLを示す。
【0033】階数方向(上下方向)に細長いとは、構造
物本体の最高高さが転倒有効スパン長さより大きな正面
形状をなすことをいい、構造物本体の塔状比が1以上に
なる。細長い正面形状をなす連層耐震壁構造体では、地
震時に基礎構造部に生じる転倒モーメントによって、基
礎、杭に生じる鉛直力(引抜力又は圧縮力)は大きくな
り、杭、基礎の構造設計上の重要な要素となる。本発明
は、低層(構造物本体の最高高さが20m以下)、高層
(20m〜60m)、超高層(60m以上)まで幅広く
適用し得るが、地震時の杭、基礎の構造設計という観点
からは、高層以上の階数を有する構造物本体に好適であ
る。
【0034】以下、本発明の具体的な実施の形態を例示
して詳説する。 〔実施形態1〕図1,3は、前記した従来技術と同様な
集合住宅のはり間方向の構造物に本発明を適用した実施
形態を示すもので、図1は正面図、図3は平面図であ
る。
【0035】この集合住宅の各階(基準階)の平面形状
は、図3に示すとおり、はり間方向に狭く桁行方向に細
長い板状をなしているが、その全体平面形状は矩形状
(直線状)に形成されている。基準階の平面形式は片廊
下方式が用いられ、1つの共用廊下Cに接して複数の住
戸空間Bを連設し、各住戸空間Bを戸境壁(壁体)31
で区画し、さらに各住戸にバルコニーDを付設する。ス
パン数は、X方向は8スパン、Y方向は1スパンであ
る。なお、「スパン」とは対向配置される2本の柱間の
単位で、1スパンとはそれが1単位、つまり柱が2本の
場合のことである。また、スパン長さとは柱間の直線状
の距離、スパン数とはスパンの数をそれぞれ意味する。
この集合住宅は、22階建てで、最上階から1階までが
住居階に割り当てられている。構造物の階数は任意の複
数階に設定し得るのはいうまでもない。
【0036】この平面形式の骨組構造体は、桁行方向に
は、住戸空間Bと共用廊下C又はバルコニーDとの境界
面に2つのラーメン骨組(桁行ラーメン構造体)が対向
して配設され、はり間方向には、各住戸間の戸境壁(壁
体)31を利用した耐震壁30が配設されている。桁行
ラーメン構造体は、所定のスパン長さで立設された複数
の柱11と、所定の階高で架設された梁とによって構成
されている。
【0037】図1に示すとおり、はり間方向の耐震構造
体は、22階建ての構造物本体1とそれを支持する基礎
構造部2からなる。基礎構造部2は所定の間隔をおいて
構築された、相対向する複数の基礎21と、その基礎2
1を支持するために地盤中に打設する複数の杭22と、
基礎21を水平に連結する基礎梁23よりなる。
【0038】はり間方向の構造物本体1は、1スパンで
構成され、1階から22階は可変剛性耐震壁30を連層
配置した連層耐震壁部3によって構成されている。構造
物本体1の塔状比(=構造物の最高高さ/転倒有効スパ
ン長さ)が大きく、その正面形状は細長い矩形である。
【0039】連層耐震壁部3は、1階から22階にわた
って可変剛性耐震壁30を階数方向に連層的に配設した
構造体である。2階から22階の各可変剛性耐震壁30
は、横スリット33と縦スリット35が形成された同一
構造の耐震壁であり、縦スリット35の長さ(図1のh
s)は各階とも同一になっている。2階の床位置(1階
の壁体31の上辺)では、2本の柱11の間に、直線状
の枠梁32が略水平に架設されている。枠梁32は、壁
体31と互いに一体的に接合され、壁体31の補強梁と
して機能する。この場合でも、枠梁32と壁体31が一
体となって1個の大きな壁梁として形成される。
【0040】可変剛性耐震壁30は、所定の間隔をおい
て対向配置された2本の柱11と、各階において同一架
構面で柱11,11と一体化された壁体31、壁体31
に形成された横スリット33と縦スリット35とよりな
る。各階の2本の柱11と、1個の壁体31が、可変剛
性耐震壁30の1ユニットとなる。1ユニットとしての
可変剛性耐震壁30は1階1スパンに相当するもので、
その正面形状は高さが1階分の階高(図1のh)、横幅
が壁体31と柱11の合計長さを有する矩形をなしてい
る。
【0041】柱11は、壁体31の両側端にあって最上
階から1階床位置まで鉛直方向に真っ直ぐに延びてい
る。柱11は、縦スリット35が形成された範囲では壁
体31と分離されたラーメン柱としての可撓部を、階高
の残余の範囲では、壁体と一体化した剛接合部hrを形
成する(図2参照)。したがって、柱11は、縦スリッ
ト35が設置されている可撓部hsでラーメン柱として
水平変形することができる。
【0042】柱11の横断面形状は、矩形、長方形、円
形等がよく用いられるが、柱として機能を発揮すること
ができればどのような形状でもよい。柱11の構造種別
は、鉄筋コンクリート造(以下「RC造」という。)と
して説明するが、鉄骨鉄筋コンクリート造(以下「SR
C造」という。)、鉄骨造、鋼管コンクリート造等でも
よい。
【0043】柱11は所定の間隔をおいて2本対向して
鉛直方向に配設され、その脚部は基礎21上に固定され
ている。2階の床位置で、2本の柱11の間に、直線状
の枠梁32が略水平に架設され、柱11と枠梁32は曲
げモーメントを伝達する剛接合となっている。一階の可
変剛性耐震壁30は、枠梁32を設けずに、2階〜最上
階と同じように構成してもよいのは勿論である。
【0044】壁体31は任意の壁厚を有する面状の構造
部材で、空間を区画する仕切り壁としての機能と、構造
部材としての壁梁としての機能を有する。壁体31は各
住戸間の境界を区画するために戸境壁として建築計画上
配置されることが多いが、その他に構造計画上から配置
されることがある。壁体31は、柱11とは剛接合部で
一体的に接合されているが、縦スリット33及び横スリ
ット35の形成されている範囲では柱11又は上下階の
壁体31とは分離した構造となっている。したがって、
壁体31は両側端の剛接合部の縦長さ(図2のhr)
が、スパン中間部の縦長さより小さい正面視で変断面の
壁梁(細長い横断面の梁)として構成されている。壁梁
(wall girder)とは、鉄筋コンクリート造
の壁体を梁として扱い、梁形式の配筋(主筋、せん断補
強筋)を行ったものをいう。
【0045】壁体31はラーメン骨組を構成する壁梁と
して機能するので、地震時には、曲げモーメント、せん
断力が生じる。壁体31の地震時曲げモーメントは、ス
パン両端部で正負の最大曲げモーメントになり、スパン
中間部は直線状に分布する。壁体31を剛接合部の縦長
さ(hr)を断面算定上有効な梁成とする曲げ部材とし
て扱い、鉄筋(主筋、せん断補強筋)、コンクリートの
断面設計を行う。従来型の一体化した耐震壁が、面部材
としてせん断耐力を設計するのと異なる。
【0046】壁体31の壁厚は、梁形式の配筋(主筋、
せん断補強筋)、コンクリートのせん断耐力という構造
部材の観点の他に、隣接する住戸間の遮音性能等によっ
て決められる。梁形式の配筋をするためには壁厚は少な
くとも180mm以上が必要で、230mm〜400m
m程度が一般的である。
【0047】図1では壁体31の面内に開口部が無い場
合を示しているが、壁体31として成立し得る範囲で任
意の形状の開口部が有ってもよい。壁体31の構造種別
はRC造が一般的であるが、その壁体内部に鉄骨ブレー
スを内蔵することもある。また、RC造とする場合、現
場打ちコンクリート製、プレキャストコンクリート製い
ずれでもよい。さらに、壁体を鉄骨造としてもよい。
【0048】2階〜最上階の壁体31の上下辺には枠梁
が無いので、壁面から梁型が突出せず、型枠工事が簡素
化し、完成後の居室内の美観に優れ、家具の収納の障害
物が無くなる。
【0049】横スリット33は、図4にも明らかなとお
り、床スラブ37の上辺の位置で、上下階の壁体31,
31相互間に壁体31の全長に亘って横方向に形成され
ている。縦スリット35は、柱11と壁体31間(柱1
1と壁体31との境界面)に縦方向に所定の長さだけ上
方に向かって立ち上がり形成されている。両側端部の縦
スリットの長さ(図1のhs)は同一になっている。
【0050】横スリット33と縦スリット35は、図
1,4に示すとおり、壁体31の隅部で屈曲し連続して
形成され、正面視略横置きコの字状に形成されている。
また、図4に示すとおり、横スリット31と縦スリット
35は完全スリットの構造になっている。完全スリット
とは、切欠き部で相対向する構造部材が完全に切り欠か
れて構造的に分離され、力の伝達が行われないものをい
う。切欠き部には図示しないが、遮音のために剛性の弱
いシール材が挿入される。
【0051】縦スリット35の横幅は、連層耐震壁部3
の終局耐力時まで柱11と壁体31が接触しないように
設定されている。例えば、縦スリット35の縦長さを5
00mm、終局耐力時の水平変形部材角を1/50と仮
定すると、必要とされる縦スリット35の横幅は10m
mとなるが、これにシール材、コンクリート打設等の施
工性を加味して設定する。
【0052】なお、図1の図中、符号C,Dは連層耐震
壁部3の両側に張り出し形成した手摺付きの片持ちスラ
ブで、Cは共用廊下として、Dはバルコニーとして利用
される。
【0053】(可変剛性耐震壁30の特徴)連層配置し
た可変剛性耐震壁30に地震力が作用した場合の構造的
な特徴について、図5〜7を参照して説明する。図5
に、説明の便宜上、3階1スパンに相当する連層耐震壁
部3を示す。各階の対向する柱11,11と壁体31を
一体化させたものであるが、上下階の壁体31,31相
互間に、横スリット33が壁体31の全長に亘って横方
向に形成され、柱11,11と壁体31間に、縦スリッ
ト35が縦方向に所定の長さだけ上方に向かって形成さ
れている。横スリット33と縦スリット35は連続して
形成された正面視略横置きコの字状に形成されている。
各スリットは所定の幅を有する帯状に形成されている。
壁体31はその中央部で階高に相当する大きな梁成(縦
方向の断面高さ)を有する壁梁(wall girde
r)に形成され、梁形式の配筋(主筋、せん断補強筋)
を行うことができる。
【0054】図6は、図5に示す連層耐震壁部3に地震
力が作用した場合の構造力学的特徴を説明するものであ
る。横スリット33によって上下階の壁体31,31相
互間は構造力学的に分離されているので、地震時には上
階の壁体31のせん断力(水平力)は、両側の柱11を
介して下階の壁体31に伝達する機構となる。したがっ
て、耐震壁全体の水平耐力は、両側の柱11の水平耐力
の和となり、壁体31の水平耐力は耐震壁全体の水平耐
力に加算されない。柱と壁体が完全に一体化した従来型
耐震壁(一体型耐震壁)において、横スリットのみ設け
ても、耐震壁の水平耐力は低下するが、水平剛性の低下
は少ない。横スリット33と縦スリット35が連続して
形成されることによって水平剛性が低下する。
【0055】しかして、図6に示すとおり、柱11,1
1は、縦スリット35が形成された範囲では壁体31と
分離されたラーメン柱としての可撓部(図5のhs)
を、階高の残余の範囲では、壁体31と一体化した剛接
合部(図5のhr)を形成する。壁体31は両側端の剛
接合部の縦長さ(図5のhr)が、スパン中間部の縦長
さ(図5の階高hから横スリット33の幅を控除した長
さ)より小さい正面視で変断面の壁梁(横断面が縦細
長)として構成されている。
【0056】従来の耐震壁(一体型耐震壁)は柱11と
壁体31が完全に一体化し、壁体31は面的構造部材と
して水平剛性、耐力が極めて高い構造になっているが、
本発明における可変剛性耐震壁30は、縦スリット35
が形成された範囲の可撓部を備えた柱11と、変断面の
壁梁として形成された壁体31によって、全体として一
種のラーメン骨組に構造力学的機構が変化している。横
スリット33が設置されている上下階の壁体31,31
相互間は、水平力Pに対して自由に水平変形することが
でき、柱11と壁体相互間31は、柱11に縦スリット
35が設置されている可撓部でラーメン柱として水平変
形することができる。壁体31は構造部材としての壁梁
としての機能を有し、柱とラーメン骨組を構成する一
方、仕切壁(戸境壁)としての機能も発揮することがで
きる。しかも、縦スリット35の横幅を、耐震構造体の
終局耐力時まで柱11と壁体31が接触しないように設
定することにより、耐震壁全体は弾性時から終局耐力時
に至る範囲で、ラーメン骨組としての機構を安定的に保
持する。それゆえ、耐震壁全体の水平剛性が安定してお
り、激変するようなことがない。
【0057】これに対し、耐震壁に漸増的に増加する水
平力(地震力)を加えた場合に、縦スリット35の横幅
が小さく、柱11と壁体31が可撓部の範囲で接触する
場合について説明する。この場合、柱11は、可撓部の
範囲でラーメン柱として水平変形せずに、壁体31と一
体的に挙動するので、実質上、縦スリットが無くなった
状態になる。耐震壁は、ラーメン構造体から、横スリッ
トのみが設けられている不完全耐震壁構造に機構が変化
する。この不完全耐震壁の壁体31は、縦スリットの範
囲でも水平剛性の高い面部材として機能するので、当初
のラーメン構造体としての水平剛性に比較すると、不完
全耐震壁の水平剛性が急増し、不安定な性状を示すこと
になる。
【0058】前記のとおり、耐震壁全体の水平耐力は、
両側の柱11の水平耐力の和として求められる。柱11
の水平耐力は、可撓部のラーメン柱としての部材断面耐
力(曲げ耐力、せん断耐力のいずれか小さい方で算定)
より算定される。したがって、縦スリットの縦長さは、
耐震壁全体の水平剛性と柱11の水平耐力に直接的に関
係する。縦スリット35によって柱11の可撓部を形成
するので、この縦スリット35の縦方向長さ(hs)を
長くすれば、耐震壁の水平剛性を容易に小さくすること
ができる。縦スリット35の縦長さ(hs)を調整する
ことによって、設計上、水平剛性の調整が可能となり、
水平剛性の調整が容易かつ確実な耐震壁が提供される。
【0059】図7は、縦軸にせん断力を,横軸に水平変
形を採った荷重変形曲線(復元力曲線)を示す。実線が
可変剛性耐震壁30、点線が従来の一体型耐震壁、一点
鎖線が、柱、梁からなる純ラーメン骨組を示す。可変剛
性耐震壁30は、従来の一体型耐震壁と、純ラーメン骨
組の中間的性質を示し、縦スリットの縦長さを調整する
ことによって、可変剛性耐震壁30は、従来の一体型耐
震壁と純ラーメン骨組の水平剛性の範囲内で自由に調整
することができる。可変剛性耐震壁の縦スリットの所定
の長さは、必要とされる水平剛性を有するように設定さ
れるので、可変剛性耐震壁の水平剛性を、それが配設さ
れる耐震構造体との関係において、自由に選択すること
ができ、融通性に富む。
【0060】(可変剛性耐震壁30の水平剛性)上記の
ような可変剛性耐震壁30に関し、縦スリット35の縦
長さ(図5,図6に示す、hs)が可変剛性耐震壁30
の水平剛性に与える影響を検討した。図8から図10に
おいては、可変剛性耐震壁30を連層した連層耐震壁部
3を3層、1スパンの解析モデルに置換して有限要素法
によって静的弾性解析したものである。地震力は解析モ
デルの左側から3階床位置に集中荷重として加えた。図
8は、解析モデルの形状、部材断面を示し、柱間のスパ
ン長さは14000mm、階高(図8に示すh)は、各
階共2850mm、柱の断面形状は柱幅(奥行)、柱成
(正面の横長さ、図8のDc)は共に1000mm、壁
体の壁厚は230mmである。図8の解析モデルの支点
は、解析モデルにおける1階の両側端柱の柱脚部をピン
支点、3階の両側端柱の柱頭部を水平方向ローラー支点
(鉛直変形は拘束)としている。
【0061】縦スリット35の縦長さ(hs)は、次の
4ケースを想定した。ケース1は、500mm、ケース
2は750mm、ケース3は1000mm、ケース4は
1250mmである。縦長さと階高との比(hs/ h)
で表すと、ケース1〜4はそれぞれ、0.175,0.
263,0.351,0.439となる。さらに、縦長
さと柱成との比(hs/ Dc)で表すと、ケース1〜4
はそれぞれ、0.50,0.75,1.00,1.25
となる。
【0062】図9は、ケース1の500mmの場合の変
形図を示す。図10は、縦軸は、ケース1の水平剛性を
1.0とした時の各ケースの水平剛性比(Kh)を示
し、横軸は縦スリットの縦長さと階高との比(hs/
h)を示す。hs/ h=0は従来の一体型耐震壁の場合
を示し、その水平剛性比(Kh)は8.45である。ケ
ース2、3、4の水平剛性比(Kh)はそれぞれ、0.
80,0.65,0.50である。
【0063】従来の一体型耐震壁の水平剛性比を1.0
として表現した、各ケースの水平剛性低下率(β)は、
ケース1、2、3、4でそれぞれ、0.118、0.0
94、0.076、0.059となる。したがって、縦
スリットがケース1の500mmであっても、その水平
剛性は従来型耐震壁の0.118倍に低下し、縦スリッ
ト、すなわち、柱のラーメン柱としての可撓部の有効性
が分かる。
【0064】図10から、縦スリットの縦長さと階高と
の比(hs/ h)の適用範囲を推測する。水平剛性低下
率(β)は、hs/ h=0.05(hs=142mm)
では0.20、hs/ h=0.8(hs=2280m
m)では0.01である。
【0065】図11に示すように、hs/ h=0.8の
場合は、可変剛性耐震壁30の剛接合部の縦長さ(h
r)は、570mmであり、これは純ラーメン骨組の梁
として大きさに相当し、縦スリットの縦長さの最大値
(hsmax)を示す。
【0066】以上のことから、縦スリットの縦長さと階
高との比(hs/ h)の適用範囲は、0.01から0.
80(β=0.01)の間で自由に選択することができ
る。実用的には、hs/ h=0.05〜0.60(β=
0.20〜0.03)が好ましい。さらには、hs/ h
=0.10〜0.04(β=0.16〜0.06)が好
ましい。縦スリット35の縦長さは、必要とされる耐震
構造体の水平剛性、柱の部材水平耐力を考慮して設定す
る。
【0067】(動的構造性状)図1に示す、はり間方向
の構造物本体1は、1階から22階にわたって可変剛性
耐震壁30を階数方向に連層的に配設した連層耐震壁部
3からなる骨組構造体である。地震波を入力させる動的
解析方法(地震応答解析法)を行って、構造物本体1の
動的(振動的) 構造的特徴を検証した。
【0068】(解析ケース)解析対象は、次の3ケース
を想定した。ケースaは、図32に示す従来技術によ
る、一体型耐震壁を連層配置してなる連層耐震壁構造体
(以下「一体型連層耐震壁構造体」という。)である。
ケースbは、図1に示す、実施形態1の構造物本体1
(各階の縦スリットの縦長さが同一の場合)である。ケ
ースcは、構造物本体1で各階の縦スリットの縦長さを
違えた場合である。ケースcは、縦スリットの縦長さを
調整して、ケースbと略同一の固有周期になるようにし
たもので、固有振動形を変化させた場合の影響を検討す
るためのものである。
【0069】(縦スリット35の縦長さ)ケースaでは
縦スリットが無く、ケースbでは縦スリット35の長さ
(hs)は全階に亘って500mmである。ケースcで
は、縦スリットの縦長さを下階ほど長くなるように変化
させたもので、1 階〜13階は1050mm〜50mm
で漸増的に変化させ、1 4階〜22階は30mmであ
る。
【0070】(構造体の概要)図2に示す、建物の全体
(桁行方向は8スパン分) について、各階の重量、水平
剛性を算定し、解析を行った。上記3ケース共、構造物
本体の形状、寸法などの諸元は同一である。柱間のスパ
ン長さは14000mm、階高は、1階は4200m
m、2階〜22階は2850mm、柱の断面形状は1階
〜22階で柱幅(奥行)、柱成(正面の横長さ)は共に
1000mmとした。壁体は1階〜22階を通して、壁
厚は230mmである。柱、梁、壁体を線材に置換し、
最下階の柱11の柱脚部をピン支点に拘束した構造力学
的モデル(解析モデル)について、静的水平力を作用さ
せて弾性応力解析を行ない、構造物本体の曲げ水平変
形、せん断変形を含んだ水平剛性(等価せん断剛性)を
算定した。
【0071】(振動解析モデル)各階を重量、水平剛性
を有する「くし団子型」の22質点系モデルに置換す
る。各階の水平剛性(等価せん断剛性)は弾性領域で、
基礎部(1階)支持条件は基礎固定である。入力した地
震動は、日本建築センターの模擬波(最大速度は55k
ine、最大加速度は355gal)である。減衰常数
は3%である。ケースa〜ケースcは、各階の水平剛性
が異なるのみで、その他の計算上の諸データは同一であ
る。
【0072】(解析結果)1次固有周期(T1 )は、ケ
ースaは0. 75sec、ケースbは1. 11sec、
ケースcは1. 13secで、ケースbとケースcは略
同一である。以下、図12〜図17に各種の振動解析結
果を示す。これらの図において、縦軸は階数を示す。図
14〜図16の応答値は最大値を示す。図12は、水平
剛性(t/ cm=9. 8*KN/ cm)を示す。1階の
水平剛性は、ケースaを1. 0とすると、ケースbは
0. 233、ケースcは0. 152である。図13は、
固有振動形(1次、2次)を示す。1次固有振動形(右
側に表示)では、ケースaは、中間階(階数を表示して
いる縦軸中央域)で凸部を形成し山なり形状を呈し、曲
げ水平変形が卓越するタイプを示し、水平変位が上階ほ
ど「鞭がしなるように急増する傾向」を示している。ケ
ースb、ケースcは、下階ほどせん断変形が増加し、ラ
ーメン構造に変化した影響が表われ、「鞭がしなるよう
に急増する現象」が抑制されていることがわかる。図1
4は、水平変位(基礎の固定点からの相対水平変位、c
m)を示す。水平変位の階数方向の変化分布形は1次固
有振動形に近似する。最上階(22階)の水平変位は、
ケースaを1. 0とすると、ケースbは1. 50、ケー
スcは1.48である。図15は、層せん断力係数(せ
ん断力/ 重量)を示す。1階の層せん断力係数(ベース
シアー係数)は、ケースaを1. 0とすると、ケースb
は0. 842、ケースcは0. 814である。図16
は、転倒モーメント(tm=9. 8*KN. m)を示
す。1階の転倒モーメントは、ケースaを1. 0とする
と、ケースbは0. 762、ケースcは0. 753であ
る。図17は、加速度(gal)を示す。1階の加速度
は、3ケースとも略同一であるが、最上階(22階)で
は、ケースaを1. 0とすると、ケースbは0. 77
3、ケースcは0. 597である。
【0073】(耐震壁30の変形例)以上説明した本発
明における連層耐震壁部3を構成する可変剛性耐震壁3
0の変形例について説明する。図18に示す可変剛性耐
震壁30が、図1のものと異なるのは、壁体31の上辺
に枠梁32を設けたこと、縦スリット35の配設形態で
ある。枠梁32は、壁体31と互いに一体的に接合さ
れ、壁体31の補強梁として機能する。補強梁としての
効果を高めるために枠梁32の梁幅(断面横幅)を壁体
31の壁厚よりも大きくすることが多い。この場合で
も、枠梁32と壁体31が一体となって1個の大きな壁
梁として形成される。
【0074】図18の下階に示すとおり、縦スリット3
5は、同一階の壁体31の両側で、その縦長さを変える
ことができる(hs1とhs2)。また、図18の中央
階に示すとおり、縦スリット35を壁体の一側に設け、
他側には設けないこともできる。
【0075】図19に示す可変剛性耐震壁30が、図1
のものと異なるのは、横スリット33、縦スリット35
に、完全スリットと代わりに、又は、併用して部分スリ
ットを採用していることである。部分スリットとは、切
欠き部で切り欠かれているが、切欠き部に弱い連結部を
有するもので、切欠き部は力が作用したとき早期に破損
し、それ以後は力の伝達が行われない構造をいう。
【0076】図19の下階の可変剛性耐震壁30では、
横スリット33、縦スリット35ともすべて部分スリッ
トとし、その上階の耐震壁30で、縦スリット35は完
全スリットとし、横スリット33は、完全スリットの間
に、断続的に部分スリットLs1を2箇所配設してい
る。
【0077】可変剛性耐震壁30をスパン長さが大きい
はり間方向に適用した場合に、横スリット33に部分ス
リットを使用すると、壁体のコンクリート打設時の鉛直
方向の垂れ下がりを防止して、横スリットの必要とされ
る上下方向の幅を確保するのに好適である。しかも、部
分スリットは、水平力が加わると早期に破損し、実質的
に完全スリットに変化する。
【0078】図20,図21は、部分スリットを例示す
る斜視図で、図20の部分スリットは、切欠き部の断面
方向に、相対向する壁体31の壁厚(T)の1/2以
下、且つ、7cm以下程度の残部(T1)を有するもの
である。図21の部分スリットは、相対向する壁体31
のコンクリートは切り欠かれているが、鉄筋で連結され
ている態様を示す。
【0079】図22に示す耐震壁30が、図1のものと
異なるのは、縦スリット35を柱11と壁体31の境界
面に設けるのではなく、柱11から所定の距離(a)を
おいて、壁体31内に設けたことである。
【0080】柱11と縦スリット35間の壁体(図22
のaの範囲)は、柱11と一体化した袖壁となるが、こ
の袖壁付き柱11は、可撓部の範囲では水平断面積が袖
壁の分だけ増加したラーメン柱として水平変形をする。
縦スリットの位置を住戸空間の間取との関係で自由に変
更することができる。
【0081】なお、以上説明した本発明における可変剛
性耐震壁30については、いずれも横スリット33を各
階の壁体31の下辺に設け、縦スリット35を立ち上が
り形成した場合を説明したが、横スリット33を壁体3
1の下辺ではなく、上辺に設けてもよい。この場合、壁
体31の上辺は地震時に水平変形するので、床スラブの
支持方法を工夫する必要があるが、壁体31の上辺近傍
(縦スリット35が設けられている範囲)は、壁梁とし
ての地震時の応力が少ないので、床下に設備配管の貫通
孔を壁体31に自由に設けることができる。
【0082】〔実施形態2〕図23は、実施形態2を示
す。実施形態1と異なるのは、構造物本体1の階数が異
なることの他、連層耐震壁部3が可変剛性耐震壁30と
一体型耐震壁60とを組合せて構成され、1階から12
階に横スリット33と縦スリット35が形成された壁体
31による可変剛性耐震壁30を連層配置し、その上階
である13階、14階にはスリットが無い一体型耐震壁
60を配置していることである。そして、連層耐震壁部
3は、上下階において縦スリット35の縦長さを変えた
可変剛性耐震壁30a,30b,30c、30dを具備
する。耐震壁30a,30b,30c、30dの縦スリ
ット35の縦長さは、上階よりも下階の方を長く設定し
てある。さらに、連層耐震壁部3を、縦スリット35の
縦長さが異なる複数(図23では、4個)のブロック階
3−1,3−2,3−3、3−4に分け、下階程、縦ス
リット35の縦長さを大きくしている。すなわち、縦ス
リット35の縦長さは、第1ブロック3−1(1階〜2
階)>第2ブロック3−2(3階〜4階)>第3ブロッ
ク3−3(5階〜8階)>第4ブロック3−4(9階〜
12階)の順となる。
【0083】縦スリット35の縦長さを下階程大きくす
ると、可変剛性耐震壁のせん断剛性が下階程低くなる。
せん断剛性と曲げ剛性の合計で決まる、可変剛性耐震壁
の水平剛性(等価せん断剛性)を低くするとともに、構
造物本体1の階数方向における水平剛性のバランスをさ
らに、円滑化することができる。
【0084】各階の水平剛性分布、固有振動形を容易に
調整することができるので、従来技術による一体型連層
耐震壁構造体(全階すべて一体型耐震壁によって構成さ
れた連層耐震壁)の場合に比べて、下記の顕著な効果を
発揮する。縦長さを下階程大きくすることによって、建
物の最上階の近傍で最大加速度を減少させることができ
るので、建物の全階にわたって、什器の転倒、損傷のお
それは格段に低くなる。建物の下階程、せん断剛性を低
下させているので、下階の層間水平変位は、一体型連層
耐震壁より大きくなるが、層間水平変位は、階数方向で
バラツキが少なくなる。したがって、下階で層間水平変
位は増大するが、最上階の近傍階の最大加速度を減少さ
せる、一種の制振効果を発揮する。
【0085】1個のブロックは、縦スリット35の縦長
さを同一にする、1又は複数の階を任意に選定する。ブ
ロックの数も任意である。なお、最上階の近傍では曲げ
変形が卓越するので、スリットを設ける効果が顕著でな
い場合には、図示のように一体型耐震壁60としてもよ
い。このように、構造物本体1において、可変剛性耐震
壁と一体型耐震壁とを混在して構成することができる。
【0086】〔実施形態3〕図24は、実施形態3を示
す。この例では、地下構造体7を設けている。この集合
住宅は、最上階から1階までが住居階に割り当てられ、
地下構造体7は地下駐車場、機械室、倉庫等に使用され
る複合用途とすることができる。連層耐震壁部3の地下
階では、一体型耐震壁60を配設している。連層耐震壁
部3の地下階に耐震壁を配設すれば、柱11の耐力を更
に増強することができる。もっとも、地下階では、内部
の間仕切り壁、外周部の地下壁など、壁厚の厚い耐震壁
が十分に配置されることが多いので、耐震壁を配設しな
くてもよい。
【0087】〔実施形態4〕図25は、実施形態4を示
す。構造物全体において複数のスパンを配置し、構造物
本体1の一部に一体型耐震壁60が配置されている。
【0088】図25において、構造物本体1は、14階
2スパンであり、連層耐震壁部3(1階〜14階)にラ
ーメン構造体4(1階)を含む複合構造体が形成されて
いる。複合構造体は、1階では、第1スパン(図左側)
に一体型耐震壁60が配設され、第2スパンには、耐震
壁が配設させず、独立柱11aと梁から成るラーメン構
造体4が配設されている。2階から12階では本発明に
おける可変剛性耐震壁30が2スパンにわたって配設さ
れ、13階、14階では一体型耐震壁60が2スパンに
わたって配設されている。
【0089】連層耐震壁部3では、2階〜12階の壁体
31は2スパン配設されているが、1階では1スパンし
か耐震壁を配設していないので、階数方向の配置個所数
が異なる影響を緩和するために、1階では水平剛性の高
い一体型耐震壁60を配置したものである。13階、1
4階で一体型耐震壁60を配置したのは、最上階の近傍
では、せん断変形よりも曲げ水平変形が卓越するので、
せん断剛性を低下させるために可変剛性耐震壁30を配
置する効果は薄い場合があるからである。
【0090】本発明は、連層耐震壁部3とラーメン構造
体4とを階数方向において混在させた場合にも、それら
の階数方向おける水平剛性の差を緩和するのに効果的で
ある。また、連層耐震壁部3を複数スパンに(連らなる
ように又は間をおいて)形成することが可能である。
【0091】〔実施形態5〕図26は、実施形態5を示
す。構造物全体において複数のスパンを配置し、連層耐
震壁部3とラーメン構造体4とを、同一架構内で横方向
に連結して複合構造体を構成している。
【0092】図26において、構造物本体1は、14階
6スパンであり、連層耐震壁部3(1階〜14階)、ラ
ーメン構造体4(1階〜14階)からなる。構造物本体
1は、左側から第1スパンと第2スパンで、連層の第1
のラーメン構造体4が形成され、第5スパンと第6スパ
ンで、連層の第2のラーメン構造体4が形成されてい
る。連層耐震壁部3は、第3スパンと第4スパンで2ス
パンに跨って構成されている。連層耐震壁部3には、1
階から14階に可変剛性耐震壁30が連層配置されてい
る。第1のラーメン構造体4、第2のラーメン構造体4
は、耐震壁が配置されていない、純ラーメン骨組であ
る。もっとも、ラーメン構造体4は、ラーメン構造を有
する骨組として把握し得るものであれば、可変剛性耐震
壁、一体型耐震壁が配置されていない、純ラーメン骨組
に限定されないのは勿論である。
【0093】本発明は、連層耐震壁部3とラーメン構造
体4とを同一架構内で連結した複合構造体で、同一架構
内おける連層耐震壁部3の水平剛性、負担せん断力の差
を緩和するのに効果的である。複数のスパンを配置した
構造物全体でみれば、本発明における連層耐震壁部3
と、この連層耐震壁部3を具備しない骨組とを組み合わ
せて構造物を構築することができるものである。
【0094】〔実施形態6〕図27は、実施形態6を示
す。2個の連層耐震壁部3を所定のスパン長さを離して
配置し、各階の床位置における梁で連結した、同一架構
内の複合構造体を構成している。
【0095】構造物本体1は、左側から第1スパンに第
1の連層耐震壁部3を、第3スパンに第2の連層耐震壁
部3を配置している。第2スパンでは、両端の柱11の
間に、基礎梁23、中間梁43(2階から最上階)を架
設している。第1の連層耐震壁部3、第2の連層耐震壁
部3は、1階〜14階に亘って可変剛性耐震壁30が配
置されている。このように、本発明の耐震構造体を複数
スパンに(間隔をおいて)形成することが可能である。
【0096】〔実施形態7〕図28は、実施形態7を示
す。1階にスリットが無い一体型耐震壁60を配置し、
2階から12階に横スリット33と縦スリット35が形
成された壁体31による可変剛性耐震壁30を配置し、
13階、14階には耐震壁30の無いラーメン構造体4
を配置した、階数方向に複合された構造体である。
【0097】連層耐震壁部3は、上下階において縦スリ
ット35の縦長さを変えた耐震壁300a,300b,
300cを具備する。耐震壁300a,300b,30
0cの縦スリット35の縦長さは、上階よりも下階の方
を短く設定してある。さらに、連層耐震壁部3を、縦ス
リット35の縦長さが異なる複数(図28では、3個)
のブロック階300−1(2階〜4階),300−2
(5階〜8階),300−3(9階〜12階)を構成
し、下階程、縦スリット35の縦長さを短くしている。
【0098】本実施形態7では、縦スリット35の縦長
さを下階程短くして、下階ほど可変剛性耐震壁のせん断
剛性を高くしている。縦スリット35の縦長さを変える
ことによって、上階にラーメン構造体4を配置した複合
された構造体であっても、最適な固有周期、固有振動形
を選定することができる。
【0099】〔実施形態9〕図29は、実施形態8を示
す。構造物本体1の下部の免震構造部5を配設してい
る。構造物本体1は実施形態1とほぼ同一の構成であ
り、可変剛性耐震壁30を連層した連層耐震壁部3を1
階から14階に配置した、14階、1スパンの規模であ
る。免震構造部5は、上部基礎21aの直下に配置され
た免震装置52と、免震装置52の下に配置された下部
基礎51と、下部基礎51を支持する杭22と、下部基
礎51の上面の床面を形成する基礎スラブ54からな
る。免震装置52は、水平方向にせん断変形可能な鉛入
りの積層ゴム等で構成される。連層耐震壁部3の柱1
1、上部基礎21a、下部基礎51を結ぶ材軸線は、真
直ぐに直線を形成する。
【0100】本発明は、連層耐震壁部3の水平剛性を調
整することによって、免震装置52に対する構造物本体
1の水平剛性の調整を容易かつ適正に行うことができる
ものである。したがって、連層耐震壁部3の水平剛性の
低下、階数方向の水平剛性の分布形の調整により、最適
な固有振動形が得られることを担保する。その上で、構
造物本体1と免震装置52とを含む構造体全体の固有周
期を長期化し、入力する地震動を軽減する最適な固有周
期を容易に選択し得る。これにより、地震時に構造物本
体1の基礎に生じる、転倒モーメントが減少し、免震装
置に生じる引抜き力が小さくなる。よって、細長い正面
形状を有する構造物本体1を免震構造とした場合でも、
建物の高層化を図ることができる。
【0101】本発明が適用される集合住宅等の構造物の
平面形状は、矩形状(直線状)に限定されるものではな
い。本発明は、不整形な平面形状、例えば、図30に示
すように、L型に屈曲形成された平面形状にも適用し得
る。この集合住宅の各階(基準階)の平面形状は、はり
間方向に狭く桁行方向に細長い板状をなしているが、そ
の全体平面形状はL型に屈曲形成された形成され、平面
の外縁部が離隔した解放断面形をなし、建物全体の平面
形が閉鎖断面形になっていない。
【0102】しかも、柱、梁による純ラーメン構造体
(桁行方向)と連層耐震壁部3(はり間方向)が平面的
に混在する骨組では、連層耐震壁部3は水平剛性が高い
ので純ラーメン構造体に比較して過大な水平力を負担
し、地震時に建物を転倒させようとする曲げモーメント
によって、基礎に生じる鉛直力(引抜力又は圧縮力)が
大きくなる。
【0103】このような建物では、各階において重心
(G)と剛心(S)とが大幅にずれているので、重心と
剛心との距離(偏心距離ey)に地震力(Q)を乗じた
大きな捻り曲げモーメント(Mt)が加わるため、水平
面で捻れ大きく振られることになる。この横振れ現象
は、各階平面上の桁行方向外縁部(妻面部)に行く程顕
著に現れ、外縁部近傍の連層耐震壁部3は過大の地震力
を負担し、基礎の引抜力が大きくなる。
【0104】本発明によると、連層耐震壁部3の水平剛
性を低下させ、各階における水平剛性の平面的分布のバ
ランスを調整し、地震時のねじれ現象を軽減することが
できる。建物の重心と剛心との距離(偏心距離)を小さ
くし水平面の捻れを軽減することによって、連層耐震壁
部3の基礎の引抜力を小さくすることができる。連層耐
震壁部3の基礎及び杭が簡単になり、建物の、例えば、
への字型、C型、コの字型、雁行型、折れ線状の屈曲
型、曲線状など、多種多様の平面外縁部が離隔した解放
断面形の建物に適用し得る。
【0105】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、
本発明の要旨の範囲で種々の変形、付加等が可能であ
る。
【0106】実施形態2では、耐震壁30の縦スリット
35の縦長さを、上階よりも下階の方を長く設定した例
を説明し、実施形態7では、縦スリット35の縦長さ
を、上階よりも下階の方を短く設定した例を説明した。
本発明はこれに限定されず、縦スリット35の縦長さを
階数方向で任意に変化させることができる。壁体の基本
的な外形、寸法、構成を変える必要がないので、建物に
最適な固有周期、固有振動形を得るように、縦スリット
35の縦長さを自由に変化、調整することができる。
【0107】本発明を集合住宅のはり間方向の構造物に
適用した例を示したが、本発明はこれに限定されるもの
ではなく、集合住宅のはり間方向以外の構造物にも適用
可能である。集合住宅の基準階の平面形式は片廊下方
式、中廊下方式に限定されず、中空コアー方式、雁行方
式等でもよい。また、建物の用途も集合住宅に限定され
ず、事務所、ホテル等の建物の構造物にも幅広く適用で
きる。さらに、建物の階数も、低層から高層、超高層に
至るまで適用できる。なお、耐震壁30の正面形状は矩
形のみならず、その他の形状、例えば、台形(壁体の左
右辺を傾斜する場合:柱が末広がりとなるような場合)
でもよい。
【0108】
【発明の効果】本発明は、次のような効果を奏する。 (1)複数階を有する耐震構造体において、階数方向
(上下方向)における水平剛性、水平耐力のバランスの
よい骨組を構成し、かつ設計上最適な水平剛性の調整が
容易である。地震時に基礎に生じる、転倒モーメント、
鉛直力(引抜力又は圧縮力)は減少し、基礎、杭の構造
が簡単になる。したがって、細長い正面形状を有し、連
層耐震壁からなる構造物本体の高層化を図ることができ
る。耐震性能、経済性に富み、建築設計の自由度を向上
させることができる。
【0109】(2)連層耐震壁部の水平剛性は、壁体の
縦スリットの縦長さを調整することによって自由に調整
することができるので、連層耐震壁部の水平剛性の低下
の調整が容易であるばかりでなく、階数方向の水平変
形、水平剛性の変化分布形を自由に設定することができ
る。したがって、耐震構造体の静的構造性能(水平耐
力、水平剛性、水平変位等)、動的構造性能(固有周
期、固有振動形等)を自由に調整することができ、最適
な骨組構造体を形成し、耐震性能を飛躍的に向上するこ
とができる。
【0110】(3)連層耐震壁部は、地震時には階数方
向に細長い、基礎部で固定支持された片持ち構造として
の構造的特徴を示し、本来、短い固有周期(短周期)で
ある。この連層耐震壁部の固有周期を容易に長く(長周
期化)することができる。長周期化する効果は下記の通
りである。第一に、基礎部の応答値(せん断力、転倒モ
ーメント)は低減され、建物を転倒させようとする曲げ
モーメントによって、基礎、杭に生じる鉛直力(引抜力
又は圧縮力)は小さくなる。杭、基礎の構造は簡易化
し、建物の高層化が促進される。第二に、水平変位(基
礎の固定点からの相対水平変位)が上階ほど「鞭がしな
るように急増する現象」は抑制される。建物の最上階近
傍であっても加速度を減少させることができるので、建
物の全階にわたって、什器の転倒、損傷のおそれは格段
に低くなる。第三に、各階の応答値は小さくなる。応答
値は、速度、加速度、せん断力、転倒モーメントなどが
ある。各階の加速度が減少すれば、建物の室内に配設さ
れている、家具、備品などの什器の転倒、損傷のおそれ
が低くなり、居住者に生じる不快な人体感覚は緩和され
る。
【0111】各階の水平剛性分布、固有振動形を調整す
る効果は下記の通りである。第一に、建物の最上階近傍
であっても加速度を減少させることができるので、建物
の全階にわたって、什器の転倒、損傷のおそれは格段に
低くなる。第二に、層間水平変位の分布形を調整するこ
とができるので、層間水平変位の階数方向のバラツキを
緩和することができる。一部の階で、層間水平変位が急
増する現象を抑制することができる。第三に、同一の固
有周期であっても、各階の応答値(せん断力、加速度な
ど)は変化する。
【0112】したがって、連層耐震壁部のみが同一方向
(はり間方向)に並列している場合でも、基礎に生じる
転倒モーメント、鉛直力(引抜力又は圧縮力)を減少さ
せ、基礎、杭の構造を簡易化することができる。
【0113】また、連層耐震壁部と柱、梁による純ラー
メン構造体が、建物の同一階で平面的に混在する骨組、
または、同一架構面で、連層耐震壁部と純ラーメン構造
体が連結されている骨組において、連層耐震壁部の水平
剛性を低下させることによって、耐震構造体が負担する
水平力を軽減し、基礎に生じる引抜き力を少なくするこ
とができる。
【0114】(4)不整形の平面形をなす建物に適用す
ることにより、各階における水平剛性の平面的分布のバ
ランスを調整し、地震時のねじれ現象を軽減することが
できる。不整形の平面形をなす建物では、柱、梁による
純ラーメン構造体と耐震壁構造体が平面的に混在する骨
組を構成することが多いが、連層耐震壁部の水平剛性を
簡易な方法で低下させることによって、同一階の水平剛
性の平面的分布をバランスがよくなるように調整するこ
とができる。建物の重心と剛心との距離(偏心距離)を
小さくし水平面の捻れを軽減することによって、耐震構
造体の基礎の引抜力を小さくすることができる。建物の
高層化を一層促進することができる。
【0115】(5)可変剛性耐震壁の縦スリットの縦長
さを調整することによって、設計上、水平剛性の調整が
極めて容易である。しかも、可変剛性耐震壁は、要求さ
れる水平剛性に応じて、縦スリットの縦長さを調整すれ
ば足り、壁体の基本的な外形、寸法、構成を変える必要
がないので、標準化が可能であり、コスト上も有利であ
る。
【0116】(6)可変剛性耐震壁は、各階の壁体に加
わる床等の鉛直荷重を各階毎に両側の柱に完全に伝達す
ることができる。可変剛性耐震壁は、横スリットによっ
て上下階の前記壁体相互間は構造的に分離され、1個の
大きな梁成(階高に相当する)を有する壁梁として形成
されている。したがって、床等の鉛直荷重は上下階の前
記壁体間を下階に向かって流れることがないので、下階
ほど鉛直荷重による壁体のせん断力が累積することが無
い。しかも、1個の大きな梁成を有する壁梁なので、は
り間方向のスパン長さが大きな場合にも容易に適用し得
る。建築設計の自由度を向上させることができるもので
ある。
【0117】〔請求項2に係る発明〕連層耐震壁部が、
基礎構造部に固定支持された、階数方向に細長い正面形
状をなす片持ち構造を構成する場合においても、地震時
に基礎に生じる転倒モーメント、鉛直力(引抜力又は圧
縮力)を軽減することによって、構造物本体のさらなる
高層化を図ることができる。
【0118】〔請求項3に係る発明〕構造物の階数方向
における水平剛性のバランスをさらに円滑化し、地震時
に構造物の基礎に生じる、転倒モーメント、引抜き力を
減少することができる。
【0119】〔請求項4に係る発明〕縦スリット35の
縦長さを下階程大きくすると、可変剛性耐震壁のせん断
剛性が下階程低くなる。建物の最上階の近傍で最大加速
度を減少させることができるので、建物の全階にわたっ
て、什器の転倒、損傷のおそれは格段に低くなる。建物
の下階程、せん断剛性を低下させているので、下階の層
間水平変位は、一体型連層耐震壁より大きくなるが、層
間水平変位は、階数方向でバラツキが少なくなる。した
がって、下階で層間水平変位は増大するが、最上階の近
傍階の最大加速度を減少させる、一種の制振効果を発揮
する。
【0120】〔請求項5,6に係る発明〕複数階を有す
る耐震壁を連層的に配置しながらも、設計上最適な水平
剛性の調整が容易で、得られる構造物は、耐震性能、経
済性に富む。耐震壁の縦スリットの縦長さの調整等、必
要とされる水平剛性の調整を極めて容易に行うことがで
き、建築設計の自由度を向上し、建築設計の効率化、低
コスト化を図ることができる。
【0121】〔請求項7に係る発明〕連層耐震壁部の水
平剛性を適宜調整することにより、構造物本体と免震装
置とを含む構造体全体が、入力する地震動を軽減する最
適な固有周期を容易に選択し得る。 これにより、地震
時に構造物本体1の基礎に生じる、転倒モーメントが減
少し、免震装置に生じる引抜き力が小さくなる。細長い
正面形状を有する構造物本体を免震構造とした場合で
も、建物の高層化を図ることができる。
【0122】〔請求項8に係る発明〕連層耐震壁部の上
階にラーメン構造体を接合した場合でも、それらの階数
方向おける水平剛性の差を緩和するのに効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る構造物のはり間方向
断面図(正面図)である。
【図2】本発明における構造物本体1を仮想ラーメン軸
線からなる骨組に置換して構造力学的モデルとして表し
た説明図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る集合住宅の基準階平
面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る、スリット部分の拡
大斜視図である。
【図5】連層耐震壁部3の正面図である。
【図6】連層耐震壁部3に地震力が作用した場合の構造
力学的特徴を説明するもので、連層耐震壁部3の正面図
である。
【図7】連層耐震壁部3におけるせん断力と水平変形の
関係を示す荷重変形曲線のグラフである。
【図8】縦スリット35の縦長さの影響を検討した解析
モデルの正面図である。
【図9】縦スリット35の縦長さの影響を検討した解析
結果を示す水平変形図である。
【図10】縦スリット35の縦長さの影響を検討した解
析結果を示すもので、水平剛性比(Kh)と縦スリット
の縦長さと階高との比(hs/ h)の関係を示すグラフ
である。
【図11】縦スリット35の縦長さの最大値と最小値を
示す連層耐震壁部3の正面図である。
【図12】本発明の実施形態1に係る構造物本体1の動
的構造性状の解析結果(水平剛性)を示すグラフであ
る。
【図13】本発明の実施形態1に係る構造物本体1の動
的構造性状の振動解析結果(固有振動形)を示すグラフ
である。
【図14】本発明の実施形態1に係る構造物本体1の振
動解析による応答値(水平変位(基礎の固定点からの相
対水平変位))を示すグラフである。
【図15】本発明の実施形態1に係る構造物本体1の振
動解析による応答値(層せん断力係数)を示すグラフで
ある。
【図16】本発明の実施形態1に係る構造物本体1の振
動解析による応答値(転倒モーメント)を示すグラフで
ある。
【図17】本発明の実施形態1に係る構造物本体1の振
動解析による応答値(加速度)である。
【図18】可変剛性耐震壁30の変形例を示す正面図で
ある。
【図19】可変剛性耐震壁30の変形例を示す正面図で
ある。
【図20】部分スリットを例示する斜視図である。
【図21】部分スリットを例示する斜視図である。
【図22】可変剛性耐震壁30の変形例を示す正面図で
ある。
【図23】本発明の実施形態2に係る構造物のはり間方
向断面図(正面図)である。
【図24】本発明の実施形態3に係る構造物のはり間方
向断面図(正面図)である。
【図25】本発明の実施形態4に係る構造物のはり間方
向断面図(正面図)である。
【図26】本発明の実施形態5に係る構造物のはり間方
向断面図(正面図)である。
【図27】本発明の実施形態6に係る構造物のはり間方
向断面図(正面図)である。
【図28】本発明の実施形態7に係る構造物のはり間方
向断面図(正面図)である。
【図29】本発明の実施形態8に係る構造物のはり間方
向断面図(正面図)である。
【図30】L字型の集合住宅の基準階平面図である。
【図31】従来例の構造物の基準階平面図である。
【図32】従来例の構造物のはり間方向断面図(正面
図)である。
【符号の説明】
1 構造物本体 2 基礎構造部 3 連層耐震壁部 5 免震構造部 7 地下構造体 11 柱 21基礎 22 杭 23 基礎梁 30 可変剛性耐震壁 31 壁体 32 枠梁 33 横スリット 35 縦スリット 52 免震装置 60 一体型耐震壁 61 一体型壁体 h 階高 hs 可撓部 hr 剛接合部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基礎構造部と、基礎構造部の上に立設さ
    れた、複数階を有する連層耐震壁部とからなり、 基礎構造部は、所定スパン長さをおいて構築された、相
    対向する基礎と、その基礎を連結する基礎梁を備え、 連層耐震壁部は、基礎に立設された柱と、相対向する柱
    の間に、基礎梁から階数方向に連層的に配置された壁体
    とで構成された耐震壁を備え、 耐震壁は、上下階の壁体相互間に横方向に横スリットが
    形成され、横スリットと連続して、壁体の上方又は下方
    に向かって所定の長さだけ縦スリットが形成された可変
    剛性耐震壁である階を有する耐震構造体。
  2. 【請求項2】 前記連層耐震壁部は、基礎構造部に固定
    支持された、階数方向に細長い正面形状をなす片持ち構
    造を構成する、ことを特徴とする請求項1に記載の耐震
    構造体。
  3. 【請求項3】 前記可変剛性耐震壁の縦スリットの縦長
    さを、階数方向で変化させて設定した、ことを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の耐震構造体。
  4. 【請求項4】 前記可変剛性耐震壁の縦スリットの縦長
    さを、上階よりも下階の方を長く設定した、ことを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐震構造体。
  5. 【請求項5】 前記可変剛性耐震壁の壁体は、ほぼ階高
    に相当する梁成を有して面的構造部材の外形をなし、空
    間を区画する仕切壁としての機能を有しており、かつ構
    造力学的モデルにおいて、壁体の剛接合部の縦長さの中
    心を通る材軸線を、1本の線材に置換することが可能で
    ある、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
    の耐震構造体。
  6. 【請求項6】 前記連層耐震壁部は、前記柱の部材断面
    の中心を通る縦方向の材軸線と、前記壁体の剛接合部の
    縦長さの中心を通る横方向の材軸線とを、それぞれ1本
    の線材に置換したラーメン骨組によって、梯子状の構造
    力学的モデルを構成する、ことを特徴とする請求項5に
    記載の耐震構造体。
  7. 【請求項7】 免震構造部を備えた、ことを特徴とする
    請求項1〜6のいずれかに記載の耐震構造体。
  8. 【請求項8】 前記連層耐震壁部の上階にラーメン構造
    体を接合した、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれ
    かに記載の耐震構造体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018035616A (ja) * 2016-09-01 2018-03-08 さくら構造株式会社 免震構造物

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