JP2001257503A - Temモード誘電体共振器を用いたバンドパスフィルタ - Google Patents

Temモード誘電体共振器を用いたバンドパスフィルタ

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 フィルタの性能が良好で、小型化できるTE
Mモード誘電体共振器を用いたバンドパスフィルタを提
供する。 【解決手段】 本件バンドパスフィルタは、各々が、上
平面、下平面及び4つの側面を有する誘電体ブロック4
00,410を含む誘電体共振器40,41と、エバネ
セントなEモードの導波管結合部42とを備えている。
誘電体共振器40,41の各々は、上平面及び下平面に
それぞれコーティングされた金属層401,411;4
02,412と、4つの側面のうちの1つの側面にコー
ティングされた金属層403,413とを有し、金属層
403及び413によりコーティングした側面を短絡
面、残りの3つの側面を開放面とすることによりλ/4
誘電体共振器として動作しかつ電磁界の独立したTEM
モードを維持するように構成されている。導波管結合部
42は誘電体共振器40,41の両者をTEMモードで
結合するが、これらの各々より高い遮断周波数を有して
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い無負荷Q値を
有しており、低背型TEMモード(主モード)の1/4
波長平面型誘電体共振器を用いた2段バンドパスフィル
タに関する。2つの共振器間の結合はエバネセントなE
モードの導波管で行われ、これら共振器の短絡面に対向
する開放面を結合することによって行われる。本発明の
フィルタは、広帯域CDMA(Code Divisi
on Multiple Access、符号分割多
重)等のセルラーフォンシステムにおいて、無線LAN
(Local Area Network)において、
及びフィルタリングが必要な他の通信システムにおいて
使用され得る。
【0002】
【従来の技術】公知の文献として、(1)アルン・チャ
ンドラ・クンデュ及びイクオ・アワイ、「矩形誘電体デ
ィスク共振器を用いた低背デュアルモードBPF」、平
成9年度電気・情報関連学会中国支部連合大会予稿集、
第272頁、(2)ヨシヒロ・コニシ、「新しい誘電体
導波管部品−新しいセラミック材料のマイクロ波への応
用」、IEEE会報、Vol.79、No.6、第72
6頁〜第740頁、1991年6月が存在する。
【0003】また、公知ではないが既に提出した特許出
願として、(3)特願2000−012939及び
(4)特願2000−012940が存在する。
【0004】本願の発明者の1人であるアルン・チャン
ドラ・クンデュは、文献(1)において、以下のごとき
構成を有する新しいタイプのTEMデュアルモード誘電
体ディスク共振器及びその共振器を用いたデュアルモー
ドバンドパスフィルタを提案している。
【0005】この誘電体共振器は、5mm×5mmの正
方形の平面形状を有するデュアルモード共振器であり、
その上面及び下面は、銀層によってコーティングされて
いる。上面側の銀層はフローティングされており、下面
側の銀層は接地されている。これら2つの銀層に挟まれ
る内側には、比誘電率ε=93の誘電体材料が充填さ
れている。ディスク共振器の全ての側面は、空中に露出
する開放面となっている。従って、これら開放面を通っ
て放射が容易に発生し、このディスク共振器は半波長共
振器として動作する。電界は共振器の磁気的壁において
最大となり、共振器の対称面において最小となる。それ
ゆえ、この種の共振器は、半波長(λ/2)誘電体ディ
スク共振器と呼ばれる。
【0006】図1は、このディスク共振器に関してその
厚さtと無負荷Q値との関係を理論的及び実験的に確認
した結果を示す特性図であり、同様のものが文献(1)
に記載されている。同図から明らかのように、このディ
スク共振器は、比誘電率ε=93の誘電体材料を用い
て、長さ及び幅が5mm×5mmの場合、その厚さtが
1mmのときに無負荷Q値が最大(≒250(実験
値))となる。
【0007】このような共振器を用いて2GHzのバン
ドパスフィルタを形成すると、共振器及びフィルタの寸
法は8.5mm×8.5mm×1mmとなり、無負荷Q
値は約260となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、移動端
末の最近の構造は、非常に小型化されかつより高性能の
共振器をフィルタに用いることを要求している。この目
的を達成するため、本発明者等は、2GHz用の非常に
小型化された誘電体共振器を前述の特許出願(3)で提
案している。この誘電体共振器の寸法は3mm×4.2
5mm×1mmであり、無負荷Q値は約240である。
【0009】なお、前述の特許出願(4)において、本
発明者等は、2つのλ/4共振器を用いて2段のバンド
パスフィルタを形成することを提案している。
【0010】即ち、この特許出願においてバンドパスフ
ィルタは、各々が、上平面、下平面及び4つの側面を有
する誘電体ブロックを含んでいる第1及び第2の誘電体
共振器と、エバネセントなモードの導波管結合部とを備
えている。第1及び第2の誘電体共振器の各々は、上平
面及び下平面にそれぞれコーティングされた第1及び第
2の金属層と、4つの側面のうちの1つの側面にコーテ
ィングされた第3の金属層とを有し、第3の金属層をコ
ーティングした側面を短絡面、4つの側面のうちの残り
の3つの側面を開放面とすることによりλ/4誘電体共
振器として動作しかつ電磁界の独立したTEMモードを
維持するように構成されている。エバネセントなモード
の導波管結合部は、第1及び第2の誘電体共振器の短絡
面を互いに接続して第1及び第2の誘電体共振器のTE
Mモードの結合を提供しており、第1及び第2の誘電体
共振器の各々の共振周波数より高い遮断周波数を有する
エバネセントなモードで動作するように構成されてい
る。
【0011】本発明は、この特許出願(4)と同様に、
前述した非常に小型化された誘電体共振器を用いて小型
のバンドパスフィルタを実現しようとするものであり、
その目的は、フィルタの性能を良好に維持しつつより小
型化を図ることができる、TEMモード誘電体共振器を
用いたバンドパスフィルタを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、TEM
モード誘電体共振器を用いたバンドパスフィルタは、各
々が、上平面、下平面及び4つの側面を有する誘電体ブ
ロックを含んでいる第1及び第2の誘電体共振器と、エ
バネセントなEモードの導波管結合部とを備えている。
第1及び第2の誘電体共振器の各々は、上平面及び下平
面にそれぞれコーティングされた第1及び第2の金属層
と、4つの側面のうちの1つの側面にコーティングされ
た第3の金属層とを有し、第3の金属層をコーティング
した側面を短絡面、4つの側面のうちの残りの3つの側
面を開放面とすることによりλ/4誘電体共振器として
動作しかつ電磁界の独立したTEMモードを維持するよ
うに構成されている。エバネセントなEモードの導波管
結合部は、第1及び第2の誘電体共振器の短絡面に対向
する開放面を互いに接続して第1及び第2の誘電体共振
器のTEMモードの結合を提供しており、第1及び第2
の誘電体共振器の各々の共振周波数より高い遮断周波数
を有するエバネセントなEモードで動作するように構成
されている。
【0013】前にも述べたように、デュアルモードフィ
ルタを形成すべくTEMデュアルモード半波長構造を用
いると、2GHz用のフィルタの寸法は8.5mm×
8.5mm×1mmとなる。前述した特許出願(3)で
は、この共振器をTEMモードλ/4誘電体共振器とす
ることにより、その寸法を3mm×4.25mm×1m
m、無負荷Q値を240と最適化している。
【0014】以下、前述した特許出願(3)におけるT
EMモードλ/4誘電体共振器について説明する。
【0015】図2は、一般的なλ/2誘電体共振器の構
成を示しており、図3は、前述した特許出願におけるλ
/4誘電体共振器の基本的構成を示す斜視図である。
【0016】図2において、20は矩形の平面形状を有
する誘電体ブロック、21は誘電体ブロック20の上面
上にコーティングされた金属層、22は誘電体ブロック
20の下面上にコーティングされた金属層をそれぞれ示
している。上面の金属層21はフローティングされてお
り、下面の金属層22は接地されている。誘電体ブロッ
ク20の4つの側面は、全て開放面となっている。図2
においては、λ/2誘電体共振器の長さがa、厚さがt
で示されている。
【0017】このλ/2誘電体共振器において、z軸方
向のTEMモードを想定すると、同図の矢印23で示す
ように、負の最大電界はz=0の平面にあり、正の最大
電界はz=aの平面にある。最小(ゼロ)電界は、明ら
かに、共振器の対称面であるz=a/2の平面24内に
ある。
【0018】このようなλ/2誘電体共振器をこの対称
面24に沿って分割して検討すれば、2つのλ/4誘電
体共振器を得ることができ、この各λ/4誘電体共振器
ではz=a/2の平面は完全な電気導体(PEC)とし
て動作する。
【0019】図3はこのようにして得たλ/4誘電体共
振器であり、同図において、30は矩形の平面形状を有
する誘電体ブロック、31は誘電体ブロック30の上面
上にコーティングされた金属層、32は誘電体ブロック
30の下面上にコーティングされた金属層をそれぞれ示
している。下面の金属層32は接地されている。1つの
側面の金属層34は、λ/2共振器の完全な電気導体
(PEC)に相当し、上面の金属層31と下面の金属層
32とを短絡しており、他の3つの側面は開放面となっ
ている。なお、同図において、矢印33は電界、矢印3
5は電流をそれぞれ示している。
【0020】図3のλ/4誘電体共振器及び図2のλ/
2誘電体共振器は、原理的には同じ共振周波数を有して
いる。誘電体がε=93という比較的高い比誘電率を
有しているために、電磁界閉じ込め特性は十分に強く、
しかも、λ/4誘電体共振器の電磁界分布は、λ/2誘
電体共振器の対称面24に沿って分割して考えたλ/2
誘電体共振器の電磁界分布とほぼ同じである。図2及び
図3に示すように、λ/4誘電体共振器の容積はλ/2
誘電体共振器の半分である。その結果、λ/4誘電体共
振器の総エネルギ量もλ/2誘電体共振器の半分とな
る。それにもかかわらず、エネルギ損失がλ/2誘電体
共振器の約50%に減少するため、λ/4誘電体共振器
の無負荷Q値は、λ/2誘電体共振器の場合の半分とな
る。即ち、λ/4誘電体共振器は、共振周波数及び無負
荷Q値を変えることなく、寸法を大幅に小型化すること
ができる。
【0021】公知文献(1)によるデュアルモード誘電
体共振器を用いて2GHzのフィルタを形成すると、フ
ィルタの寸法は8.5mm×8.5mm×1mmとな
る。しかしながら、寸法が3mm×4.25mm×1m
mであり無負荷Q値が約240である上述した特許出願
(3)によるλ/4誘電体共振器を2つ用いて2段バン
ドパスフィルタを構成すると、フィルタの寸法は、3m
m×8.8mm×1mmとなる。
【0022】即ち、本発明によるフィルタの容積は、従
来のものに比して1/3となる。しかも、本発明のフィ
ルタの性能は、十分に良好なものである。2つの共振器
間の結合は、開放前面間にエバネセントなEモードの導
波管を設けることによってなされている。
【0023】電子及び通信の分野における多目的使用さ
れる点から、誘電体共振器を用いたフィルタは周知であ
る。特に、導波管型フィルタは、基地局や移動局におい
て用いられている。
【0024】λ/4導波管共振器を用いた2段及び多段
フィルタについては、前述した文献(2)に記載されて
いるように、小西氏によって研究がなされている。この
フィルタは、TEモード誘電体導波管共振器型フィルタ
であり、直接結合のキャビティフィルタに比しては、そ
の性能、寸法及び容積の点で優れている。
【0025】しかしながら、最近の移動端末は、小型か
つ軽量の携帯端末とするべく、非常に小型化されかつよ
り高性能のフィルタを要求していることから、本発明で
は、TEMモードλ/4誘電体共振器を用いて2段バン
ドパスフィルタを形成しているのである。TEモード
(最低次モード)共振器の共振周波数がその長さ及び厚
さ又は幅に依存して変化してしまうのに対して、TEM
モード共振器の共振周波数は共振器の長さのみにほぼ依
存する。従って、共振周波数を考慮に入れずに、共振器
の厚さ及び幅の関数として無負荷Q値を最適化すること
ができる。この方法により、従来技術のものよりもさら
に小型化かつ高性能化されたバンドパスフィルタを提供
できるのである。
【0026】エバネセントなEモードの導波管結合部
は、開放面である上平面及び4つの側面と、金属がコー
ティングされた下平面とを有していることが好ましい。
【0027】通過帯域の両側に減衰極を有するように構
成されていることが非常に好ましい。本発明のバンドパ
スフィルタは、その通過帯域の両側に予期しなかった減
衰極を有しており、これによって通過帯域の外側の帯域
の特性が向上している。即ち、前述した特許出願(4)
に記載したバンドパスフィルタは、通過帯域の両側に減
衰極を有していなかったが、本発明のこのバンドパスフ
ィルタは、通過帯域の両側に減衰極を有しており、これ
によってフィルタのすそ部分の特性をより向上できるの
である。具体的には、エバネセントなEモードの導波管
結合部を介する第1及び第2の誘電体共振器間の直接結
合と内部結合とが、キャパシティブ結合及びインダクテ
ィブ結合のうちの互いに異なる結合となるように構成さ
れている。
【0028】第1及び第2の誘電体共振器が、同一の誘
電体材料から構成されていることが好ましい。これら第
1及び第2の誘電体共振器が、高誘電率のセラミック誘
電体材料で構成されているがより好ましい。エバネセン
トなEモードの導波管結合部も、第1及び第2の誘電体
共振器と同じ誘電体材料を用いていることがより好まし
い。
【0029】第1及び第2の誘電体共振器が、ほぼ同一
の寸法を有していることが好ましい。
【0030】エバネセントなEモードの導波管結合部
が、第1及び第2の誘電体共振器の各々の長さ及び断面
より短い長さ及び小さい断面を有していることが好まし
い。第1及び第2の誘電体共振器間の結合が所望の値と
なるように、このエバネセントなEモードの導波管結合
部の寸法が選択されていることがより好ましい。
【0031】エバネセントなEモードの導波管結合部
が、矩形の断面を有していることも好ましい。
【0032】エバネセントなEモードの導波管結合部
が、第1及び第2の誘電体共振器間に直列のキャパシタ
ンス及び一対のシャントキャパシタンスを提供するよう
に構成されていることが好ましい。
【0033】第1及び第2の誘電体共振器の各々の前記
下平面の第2の金属層が、接地面として用いられること
が好ましい。エバネセントなEモードの導波管結合部の
金属のコーティングされている面も、接地面として用い
られることが好ましい。
【0034】第1及び第2の誘電体共振器の各々の短絡
面と直交する1つの側面がキャパシティブな励振に用い
られることが好ましい。このキャパシティブな励振は、
この側面に設けた電気的入出力ポートで行われるであろ
う。
【0035】この電気的入出力ポートが、この側面に矩
形、正方形、台形又は円形の金属パターンを設けること
により形成されていることが好ましい。
【0036】この金属パターンが、上平面の第1の金属
層及び下平面の第2の金属層から離隔していることが好
ましい。
【0037】外部回路との結合の強さが所望の値となる
ようにこの金属パターンの寸法が選択されていることが
より好ましい。
【0038】第1及び第2の誘電体共振器の少なくとも
一方の上平面の第1の金属層に、周波数調整用の狭いス
リットが設けられていることが好ましい。
【0039】
【発明の実施の形態】図4は本発明の一実施形態として
2つの誘電体共振器を有する高周波誘電体共振器型バン
ドパスフィルタの構成を概略的に示す斜視図であり、図
5はこのバンドパスフィルタの分解斜視図、図6は各誘
電体共振器の構成を概略的に示す斜視図である。
【0040】これらの図において、40は第1のλ/4
誘電体共振器、41は第2のλ/4誘電体共振器をそれ
ぞれ示している。これら2つのλ/4誘電体共振器40
及び41は、エバネセントなEモードの誘電体導波管
(遮断導波管)42を介して互いに接続されている。
【0041】λ/4誘電体共振器40及び41の各々
は、図6により明確に示されているように、矩形の平面
形状を有する誘電体ブロック400(410)と、誘電
体ブロック400(410)の上面上にコーティングさ
れた金属層401(411)と、誘電体ブロック400
(410)の下面上にコーティングされた金属層402
(412)とを備えている。この下面の金属層402
(412)は接地されている。
【0042】図6には示されていないが、1つの側面の
金属層403(413)は、λ/2共振器の電界が最小
となる完全な電気導体(PEC)に相当し、上面の金属
層401(411)と下面の金属層402(412)と
を短絡しており、他の3つの側面は開放面となってい
る。誘電体ブロック400(410)の、金属層403
(413)と直交する1つの側面には、矩形の金属パタ
ーンからなり、共振器にキャパシティブな励振を与える
ための励振電極404(414)が形成されている。な
お、接地されている下面の金属層402(412)の一
部には、励振電極404(414)と金属層402(4
12)とを離隔するための切り欠き402a(412
a)が設けられている。
【0043】本実施形態において、エバネセントなEモ
ードの誘電体導波管42は、矩形の平面形状を有する誘
電体ブロックで構成されており、その下平面のみが金属
層421でコーティングされて、接地されている。誘電
体導波管42の上平面及び4つの側面は全て開放面とな
っている。
【0044】エバネセントなEモードの誘電体導波管4
2の2つの開放側面が、2つのλ/4誘電体共振器40
及び41の短絡面に対向する開放側面間に接続されてい
る。λ/4誘電体共振器40及び41において、この短
絡面に対向する開放面で電界は最大となる。従って、こ
の開放面では、キャパシティブな結合が最も有効であ
る。
【0045】前述したように、誘電体ブロック400及
び410の下面に形成された金属層402及び412は
接地されている。
【0046】本実施形態において、励振電極404及び
414は、誘電体ブロック400及び410の短絡面と
直交しかつ同方向に面する側面上にそれぞれ形成されて
いる。
【0047】なお、誘電体ブロック400及び410並
びに誘電体導波管42はε=93という比較的高い比
誘電率の誘電体材料で形成されており、金属層401、
411、402、412、403、413及び421並
びに励振電極404及び414は銀で形成されている。
【0048】TEMモードλ/4誘電体共振器を用いる
ことが本発明の重要な部分である。これによりフィルタ
の容積の本質的な低減が可能となるからである。
【0049】しかも、高い誘電率の誘電体材料を用いる
ことにより、本実施形態におけるλ/4誘電体共振器の
厚さは、文献(1)に記載されているように1mmに最
適化することができ、最新の技術革新に容易に対応でき
る厚さ1mmのフィルタを形成することに成功したので
ある。
【0050】共振器の性能又は質を評価するための数値
はQ値である。無負荷Q値Qは以下のように定義され
る。
【0051】Q=ω×(共振回路に蓄えられたエネ
ルギ)/(共振回路での電力損失) ただし、ωは共振角周波数である。
【0052】図2に示すλ/2誘電体共振器は、3つの
損失係数を有している。それらは、金属コーティングに
よる導体損、誘電体材料による誘電体損、誘電体材料が
空気に開放されていることによる輻射損である。
【0053】λ/2誘電体共振器の無負荷Q値Qは以
下の式を用いて算出できる。
【0054】1/Q=1/Q+1/Q+1/Q ここで、Qは導体損に基づくQ値、Qは誘電体損に
基づくQ値、Qは輻射損に基づくQ値である。
【0055】Q値が損失に反比例するので、このQ値が
大きければ大きいほど電力損失が小さくなる。
【0056】誘電体損に基づくQ値Q×共振周波数
(GHz)=A(定数)である。ただし、Aは誘電体材
料の損失係数であり、ある範囲の周波数帯域において周
波数に依存しない。2GHz〜10GHzの周波数帯域
においてかつ比誘電率がε=93の誘電体材料におい
て、本出願人の測定によれば、A=7500(GHz)
である。
【0057】λ/4共振器の共振周波数がλ/2誘電体
共振器の共振周波数よりもやや低いので、誘電体損に基
づくQ値Qはやや大きくなる。
【0058】図3及び図2からも明らかのように、λ/
4誘電体共振器は、その開放面の面積がλ/2誘電体共
振器の場合の半分であるため、輻射損も半分となる。
【0059】λ/4誘電体共振器では、さらに、金属で
コーティングされている部分(完全な電気導体の平面を
除く)の面積も半分となるので、導体損も半分となる。
【0060】λ/4誘電体共振器における付加的な損失
源は、完全な電気導体平面のみである。しかしながら、
この平面は小さく、かつ誘電体損によって一部補償され
る。
【0061】λ/4誘電体共振器の容積がλ/2誘電体
共振器の場合の半分でありかつ全体の損失係数がほぼ半
分であるため、無負荷Q値は、λ/4誘電体共振器及び
λ/2誘電体共振器の両方においてほぼ等しい。
【0062】8.5mm×8.5mm×1mmのλ/2
誘電体共振器の実験的に得られた無負荷Q値は260で
あり、8.5mm×4.25mm×1mmのλ/4誘電
体共振器の場合は250である。この劣化の原因は、短
絡面における導体損によるものである。
【0063】以上述べたように、λ/4誘電体共振器の
容積がλ/2誘電体共振器の場合の半分であるが、共振
器の2つの重要なパラメータである無負荷Q値はほぼ同
じであるということができる。また、共振周波数もほぼ
同じである。
【0064】λ/4誘電体共振器の最も低いモード(T
EMモード)における共振周波数は、共振器の長さにほ
ぼ依存し(a<λg/2、ただしλgは管内波長)、そ
の幅aにはほとんど依存しない。1.945GHzの共
振周波数の場合、λ/4誘電体共振器の長さは4.25
mmであり、これは一定である。本実施形態におけるλ
/4誘電体共振器の厚さは、文献(1)に記載されてい
るように1mmに最適化されている。
【0065】従って、λ/4誘電体共振器の寸法を最適
化するための残された1つのパラメータは、この共振器
の幅aである。
【0066】図7は、λ/4誘電体共振器の幅aに対す
る無負荷Q値Qの特性図である。
【0067】同図より、無負荷Q値は、a=3mmまで
急激に増大し、その後はほぼ一定値となっていることが
分かる。従って、a=3mm、即ち、3mm×4.25
mm×1mmが、無負荷Q値Q≒240を有するλ/
4TEMモード誘電体共振器の最適化寸法となる。a>
3mmの場合、共振器の内部エネルギがこの共振器の損
失にほぼ比例して無負荷Q値は増大しない。
【0068】共振器の幅の減少によって電気導体(PE
C)の面積が減少し、付加される磁界リーケージが減少
する。よって直列インダクタが減少して共振周波数が上
昇する。
【0069】実験結果より、λ/4誘電体共振器の幅が
a=8.5mmから3mmまで減少した場合(共振器の
長さ及び厚さはそれぞれ4.25mm及び1mmに維
持)、TEMモードの共振周波数は1.945GHzか
ら2.133GHzに上昇した。
【0070】共振器の外部回路に対する結合の強さを表
す外部Q値Qは、この結合の強さの逆数である。外部
Q値Qは、励振電極404及び414の寸法、即ち高
さ及び幅を変えることで制御可能である。励振電極の高
さを0.8mmと一定に保ち、その幅bを変えた場合の
外部Q値Qを測定した結果が図8に示されている。同
図より、励振電極404及び414の幅を1mmから3
mmに増大させると、外部Q値Qが35から22へ減
少することが分かる。
【0071】2つのλ/4誘電体共振器40及び41間
の結合の強さは、これら誘電体共振器と同じ誘電体材料
からなるエバネセントなEモードの導波管42の寸法、
例えば厚さhを変えることによって制御可能である。
【0072】図9は、エバネセントなEモードの導波管
42の幅を0.3mmと一定に保ち、その厚さhの変化
に対する結合係数kを表す特性図である。同図より、導
波管厚さhが増大するに従って結合係数は曲線的に増大
することが分かる。例えば、厚さhが0.4mmから
0.9mmに増大すると、結合係数kは0.007から
0.106に増大する。
【0073】適切に結合された2段バンドパスフィルタ
を得るためには、外部Q値Qは2つの共振器間の結合
の強さの逆数であるべきである。図8より、励振電極の
幅bが3mmのとき、外部Q値Qは約22となる。従
って、要求される内部結合係数は約0.045となる。
これは、図9より、Eモードの導波管42の厚さhを
0.7mmとすれば得られるであろうと推測できる。
【0074】以上の結果、図4に示した構成を有するバ
ンドパスフィルタを得ることができる。即ち、励振電極
404及び414の高さ×幅が0.8mm×3mmであ
り、エバネセントなEモードの導波管42の長さ×幅×
厚さが0.3mm×3mm×0.7mmである。
【0075】図10は、このバンドパスフィルタの反射
損失及び通過損失の周波数特性を実際に測定した特性図
である。
【0076】同図より、このフィルタが、広帯域CDM
Aに利用できる高性能かつ低損失のバンドパスフィルタ
であることが分かる。さらに、このフィルタは、通過帯
域の両側に予期しない2つの減衰極を有しており、これ
ら減衰極の存在により、通過帯域のすその部分で非常に
シャープに落ち込んだ特性が得られている。このフィル
タの挿入損失は1.3dBであり、反射損失は19dB
であり、3dB通過帯域幅は128MHzであり、フィ
ルタ周波数は2015MHzであった。
【0077】設計したフィルタは、マキシマリフラット
型である。このフィルタの結合係数kは次式から求めら
れる: k=(1/√(g))(B/f) ここで、Bは3dB通過帯域幅、fはフィルタ周波
数、g及びgはマキシマリフラット型フィルタの場
合1.414である。上式から求めた結合係数kはk=
0.0449であった。これは、設計値とほぼ一致して
いる。
【0078】主としてキャパシティブなエネルギをもつ
エバネセントなEモードの導波管42は、キャパシティ
ブな結合及び接地される一対のシャントキャパシタンス
を提供する。図11は、本実施形態におけるバンドパス
フィルタの等価回路を示している。
【0079】同図において、2つのλ/4誘電体共振器
40及び41は、2つのL−C並列回路110及び11
1でそれぞれ表されている。Gは損失係数によるもので
ある。電気的入出力ポートは2つのキャパシタCで表
されている。Lは電気的入出力ポート間の直接結合イ
ンダクタンスを表している。エバネセントなEモードの
導波管42は、2つの誘電体共振器40及び41間に直
列の結合キャパシタンス(内部結合キャパシタンス)C
12を与え、さらに、電気的概略図において接地されて
いる1対のシャントキャパシタンスC11を与える。
【0080】2つのλ/4誘電体共振器40及び41
は、同一の共振周波数を有するために同じ寸法であるべ
きである。2つの共振周波数間にわずかな相違が存在す
る場合、これは共振器の上平面に非常に狭いスリット4
3を設けることによって調整可能である。励振は共振器
の横方向の側面でなされるが、主TEMモードの電流は
共振器の長さ方向に沿って流れる。従って、このスリッ
ト43は、その電流を妨げるように設けられる。このス
リット43は、共振器のインダクタンス成分にさらにイ
ンダクタンス成分を付加することとなり、その共振周波
数を低減させる。
【0081】なお、この周波数調整用スリットは、誘電
体共振器40及び41の両方に設けられていても良い
し、本実施形態のようにどちらか一方のみに設けられて
いても良い。また、上面の金属層上の中央部及び縁端部
を含むどの位置にあっても良いし、また、その伸長方向
は主TEMモードの電流を妨げる方向であればどの方向
であっても良い。さらに、スリットの数は1つに限定さ
れるものではなく複数であっても良い。
【0082】本実施形態のバンドパスフィルタにおい
て、入出力ポートである励振電極404及び414が互
いに非常に接近しているので、これらの間で直接結合が
発生する。一般に、直接結合の性質(キャパシティブ又
はインダクティブ)は、励振の性質(キャパシティブ又
はインダクティブ)に従う。前述したように、本実施形
態のバンドパスフィルタについて測定した特性は、その
通過帯域の両側に2つの有限減衰極を有している。この
ように、バンドパスフィルタが通過帯域の両側に2つの
有限減衰極を有するためには、その直接結合と内部結合
とが互いに異なる性質を有する(即ち、一方がキャパシ
ティブであり他方がインダクティブである)必要がある
とされている(例えば、小西 良弘他、「通信用フィル
タ回路の設計とその応用」、総合電子出版社、第31頁
〜第41頁、1994年2月1日、以下、公知文献
(5)と称する)。本実施形態のバンドパスフィルタに
おいて、2つの共振器間の内部結合は、電界が最大の開
放面を通して得られ、エバネセントなEモード導波管は
主にキャパシティブなエネルギを保持している。従っ
て、インダクティブな内部結合は、決して起こり得な
い。即ち、内部結合はキャパシティブである。
【0083】キャパシティブ内部結合の場合、偶数モー
ド共振周波数fevenは、奇数モード共振周波数f
oddより高くなり、そして、図12に示すように、内
部結合キャパシタンスC12と並列にキャパシタンスC
を接続すると、奇数モード共振周波数foddは低下
し、偶数モード共振周波数fevenは変化しないであ
ろう。これは、偶数モード共振の場合、図13に示すよ
うにフィルタの対称面は開放回路として動作するので偶
数モード共振周波数fevenは、 feven=1/2π√(L(C+C11)) で与えられ、奇数モード共振の場合、図14に示すよう
に対称面は短絡されるので奇数モード共振周波数f
oddは、 fodd=1/2π√(L(C+C11+2C12+2
)) で与えられるためである。
【0084】この理論的概念を実証するため、図15に
示すように、エバネセントなEモードの誘電体導波管1
52を介して互いに接続されている2つのλ/4誘電体
共振器150及び151の上平面に形成された金属層1
501及び1511間にキャパシタンスCを接続しな
い場合及び接続した場合についてフィルタの入出力を疎
結合にして偶数及び奇数モード共振周波数を実際に測定
した。図16はC=0の場合の測定結果、図17はC
=1pFの場合の測定結果をそれぞれ示している。図
16及び図17を比較して、キャパシタンスCが増大
すると、奇数モード共振周波数foddは低下している
が、偶数モード共振周波数fevenはほとんど変化し
ていないことが分かる。
【0085】従って、内部結合がキャパシティブな性質
を有していることが実証された。
【0086】一方、入出力ポート間の直接結合がキャパ
シティブな性質であれば、このキャパシタンスが増大す
ると減衰極の周波数がフィルタの中心周波数に近づき、
逆に、直接結合がインダクティブであれば、このインダ
クタンスが増大すると減衰極の周波数がフィルタの中心
周波数から遠ざかる。さらに、直接結合がキャパシティ
ブとインダクティブとを並列に組み合わせた場合にはキ
ャパシタンスの増減に従って減衰極の周波数がフィルタ
の中心周波数に遠ざかるか又は近づくことが知られてい
る(公知文献(5))。
【0087】入出力ポート間の直接結合の性質を実証す
るために、入出力ポート間にキャパシタンスCのキャ
パシタを接続しない場合及び接続した場合について、フ
ィルタの周波数特性を実際に測定した。図18はC
0の場合の測定結果、図19はC=0.5pFの場合
の測定結果をそれぞれ示している。図18及び図19を
比較して、入出力ポート間の直接結合キャパシタンスC
が増大すると、減衰極の周波数がフィルタの中心周波
数から遠ざかることが分かる。
【0088】従って、直接結合がインダクティブな性質
を有していることが実証された。
【0089】入出力ポート間に追加されたキャパシタン
スCは、励振キャパシタンスと直列に働くので、等価
外部回路キャパシタンスを低下させる。図18に比較し
て図19に示すように、フィルタにおいては、結合の不
均衡が発生する。追加されたキャパシタンスCと外部
回路のキャパシタンスとはその性質が逆であり、互いに
部分的に打ち消すように働く。実効的な励振キャパシタ
ンスの低下に伴って、減衰極の周波数がフィルタの中心
周波数に近づくこととなる。
【0090】本実施形態における非常に薄い誘電体フィ
ルタは、従来の誘電体導波管型フィルタに置き換えて、
その性能を良好に維持しつつ寸法の大幅な小型化を図る
ことができる。このTEMモード誘電体共振器フィルタ
は、広帯域CDMAシステムの移動端末、無線LAN及
び信号処理が必要な他の種々の用途に適用できる能力を
有している。
【0091】本実施形態におけるフィルタは、励振及び
2つの共振器間の内部結合が共にキャパシティブであ
り、これによりフィルタの共振周波数を低減させフィル
タ自体の寸法をより小さくすることが可能となる。
【0092】図20は、本発明の他の実施形態として、
2つの誘電体共振器を有する高周波誘電体共振器型バン
ドパスフィルタの構成を概略的に示している。
【0093】同図において、200は第1のλ/4誘電
体共振器、201は第2のλ/4誘電体共振器をそれぞ
れ示している。これら2つのλ/4誘電体共振器200
及び201は、エバネセントなEモードの誘電体導波管
(遮断導波管)202を介して互いに接続されている。
【0094】本実施形態においては、λ/4誘電体共振
器200の励振電極2004が短絡面からその共振器方
向を見て右側の側面に、λ/4誘電体共振器201の励
振電極が短絡面からその共振器方向を見て左側の側面に
それぞれ形成されている。
【0095】本実施形態のその他の構成、及び作用効果
は図4の実施形態の場合と全く同様である。
【0096】図21は、本発明のさらに他の実施形態と
して、2つの誘電体共振器を有する高周波誘電体共振器
型バンドパスフィルタの構成を概略的に示している。
【0097】同図において、210は第1のλ/4誘電
体共振器、211は第2のλ/4誘電体共振器をそれぞ
れ示している。これら2つのλ/4誘電体共振器210
及び211は、エバネセントなEモードの誘電体導波管
(遮断導波管)212を介して互いに接続されている。
【0098】本実施形態においては、λ/4誘電体共振
器210の励振電極が短絡面からその共振器方向を見て
左側の側面に、λ/4誘電体共振器211の励振電極2
114が短絡面からその共振器方向を見て右側の側面に
それぞれ形成されている。
【0099】本実施形態のその他の構成、及び作用効果
は図4の実施形態の場合と全く同様である。
【0100】図22は、本発明のまたさらに他の実施形
態として、2つの誘電体共振器を有する高周波誘電体共
振器型バンドパスフィルタの構成を概略的に示してい
る。
【0101】同図において、220は第1のλ/4誘電
体共振器、221は第2のλ/4誘電体共振器をそれぞ
れ示している。これら2つのλ/4誘電体共振器220
及び221は、エバネセントなEモードの誘電体導波管
(遮断導波管)222を介して互いに接続されている。
【0102】本実施形態において、エバネセントなEモ
ードの誘電体導波管222は、矩形の断面形状を有する
誘電体ブロックで構成されており、誘電体共振器と結合
されていない2つの側面のみが金属層2221でコーテ
ィングされている。この金属層2221は、λ/4誘電
体共振器220及び221の短絡面と反対側の側面に設
けられた導体2215及び2205(図では隠れてい
る)を介して接地されている。λ/4誘電体共振器22
0及び221の図では隠れている、短絡面からその共振
器方向を見て反対側の部分も同じ構成となっている。誘
電体導波管222の上平面、下平面及び結合されている
2つの側面は全て開放面となっている。
【0103】なお、λ/4誘電体共振器220及び22
1の励振電極2204及び2214は、導波管222の
金属層2221に接触しない位置にずらして形成されて
いる。
【0104】本実施形態のその他の構成、及び作用効果
は図4の実施形態の場合と全く同様である。
【0105】図23は、本発明の他の実施形態として、
2つの誘電体共振器を有する高周波誘電体共振器型バン
ドパスフィルタの構成を概略的に示している。
【0106】同図において、230は第1のλ/4誘電
体共振器、231は第2のλ/4誘電体共振器をそれぞ
れ示している。これら2つのλ/4誘電体共振器230
及び231は、エバネセントなEモードの誘電体導波管
(遮断導波管)232を介して互いに接続されている。
【0107】本実施形態においては、λ/4誘電体共振
器230の励振電極2304が短絡面からその共振器方
向を見て右側の側面に、λ/4誘電体共振器231の励
振電極が短絡面からその共振器方向を見て左側の側面に
それぞれ形成されている。
【0108】本実施形態のその他の構成、及び作用効果
は図22の実施形態の場合と全く同様である。
【0109】図24は、本発明のさらに他の実施形態と
して、2つの誘電体共振器を有する高周波誘電体共振器
型バンドパスフィルタの構成を概略的に示している。
【0110】同図において、240は第1のλ/4誘電
体共振器、241は第2のλ/4誘電体共振器をそれぞ
れ示している。これら2つのλ/4誘電体共振器240
及び241は、エバネセントなEモードの誘電体導波管
(遮断導波管)242を介して互いに接続されている。
【0111】本実施形態においては、λ/4誘電体共振
器240の励振電極が短絡面からその共振器方向を見て
左側の側面に、λ/4誘電体共振器241の励振電極2
414が短絡面からその共振器方向を見て右側の側面に
それぞれ形成されている。
【0112】本実施形態のその他の構成、及び作用効果
は図22の実施形態の場合と全く同様である。
【0113】上述した各実施形態における誘電体ブロッ
ク、エバネセントなEモードの導波管及び金属層の構成
材料は単なる一例であり、これに限定されるものでない
ことは明らかである。また、励振電極の形状も、矩形に
限定されるものではなく、例えば正方形、台形又は円形
等のいかなるパターン形状であってもよいことも明らか
である。
【0114】以上述べた実施形態は全て本発明を例示的
に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明
は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することがで
きる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均
等範囲によってのみ規定されるものである。
【0115】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれ
ば、TEMモードλ/4誘電体共振器を用いて2段バン
ドパスフィルタを形成しているため、さらに小型化かつ
高性能化されたバンドパスフィルタを提供できる。
【0116】通過帯域の両側に減衰極を有するように構
成すること、即ち、エバネセントなEモードの導波管結
合部を介する第1及び第2の誘電体共振器間の直接結合
と内部結合とが、キャパシティブ結合及びインダクティ
ブ結合のうちの互いに異なる結合となるように構成する
ことにより、通過帯域の外側の帯域の特性をより向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】公知文献に記載されたディスク共振器に関して
その厚さtと無負荷Q値との関係を理論的及び実験的に
確認した結果を示す特性図である。
【図2】一般的なλ/2誘電体共振器の構成を示す斜視
図である。
【図3】本発明のバンドパスフィルタに用いられるλ/
4誘電体共振器の基本的構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態として、2つの誘電体共振
器を有する高周波誘電体共振器型バンドパスフィルタの
構成を概略的に示す斜視図である。
【図5】図4の実施形態におけるバンドパスフィルタの
分解斜視図である。
【図6】図4の実施形態におけるλ/4誘電体共振器の
構成を概略的に示す斜視図である。
【図7】共振器の幅aに対する無負荷Q値Qの特性図
である。
【図8】励振電極の幅bに対する外部Q値Qの変化を
表す特性図である。
【図9】エバネセントなモードの導波管の厚さhに対す
る結合係数kの変化を表す特性図である。
【図10】本実施形態におけるバンドパスフィルタの反
射損失及び通過損失の周波数特性を実際に測定した特性
図である。
【図11】本実施形態におけるバンドパスフィルタの等
価回路を示す回路図である。
【図12】並列にキャパシタンスCを接続した場合の
バンドパスフィルタの内部結合を説明するための等価回
路を示す回路図である。
【図13】偶数モード共振の場合の等価回路を示す回路
図である。
【図14】奇数モード共振の場合の等価回路を示す回路
図である。
【図15】キャパシティブ内部結合を実証するための構
成を説明するための図である。
【図16】キャパシティブ内部結合を実証するための測
定結果を表す特性図である。
【図17】キャパシティブ内部結合を実証するための測
定結果を表す特性図である。
【図18】インダクティブ直接結合を実証するための測
定結果を表す特性図である。
【図19】インダクティブ直接結合を実証するための測
定結果を表す特性図である。
【図20】本発明の他の実施形態として、2つの誘電体
共振器を有する高周波誘電体共振器型バンドパスフィル
タの構成を概略的に示している。
【図21】本発明のさらに他の実施形態として、2つの
誘電体共振器を有する高周波誘電体共振器型バンドパス
フィルタの構成を概略的に示している。
【図22】本発明のまたさらに他の実施形態として、2
つの誘電体共振器を有する高周波誘電体共振器型バンド
パスフィルタの構成を概略的に示している。
【図23】本発明の他の実施形態として、2つの誘電体
共振器を有する高周波誘電体共振器型バンドパスフィル
タの構成を概略的に示している。
【図24】本発明のさらに他の実施形態として、2つの
誘電体共振器を有する高周波誘電体共振器型バンドパス
フィルタの構成を概略的に示している。
【符号の説明】
20、30、400、410 誘電体ブロック 21、22、31、32、34、401、402、40
3、411、412、413、421、2221 金属
層 23、33 電界 24 対称面 35 電流 40、41、150、151、200、201、21
0、211、220、221、230、231、24
0、241 λ/4誘電体共振器 42、152、202、212、222、232、24
2 エバネセントなEモードの誘電体導波管 43 スリット 402a、412a 切り欠き 404、414、2004、2104、2114、22
14、2304、2414 励振電極 2205、2215 導体

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各々が、上平面、下平面及び4つの側面
    を有する誘電体ブロックを含んでいる第1及び第2の誘
    電体共振器と、エバネセントなEモードの導波管結合部
    とを備えており、 前記第1及び第2の誘電体共振器の各々は、前記上平面
    及び前記下平面にそれぞれコーティングされた第1及び
    第2の金属層と、前記4つの側面のうちの1つの側面に
    コーティングされた第3の金属層とを有し、該第3の金
    属層をコーティングした側面を短絡面、前記4つの側面
    のうちの残りの3つの側面を開放面とすることによりλ
    /4誘電体共振器として動作しかつ電磁界の独立したT
    EMモードを維持するように構成されており、 前記エバネセントなEモードの導波管結合部は、前記第
    1及び第2の誘電体共振器の前記短絡面に対向する前記
    開放面を互いに接続して該第1及び第2の誘電体共振器
    のTEMモードの結合を提供しており、該第1及び第2
    の誘電体共振器の各々の共振周波数より高い遮断周波数
    を有するエバネセントなEモードで動作するように構成
    されていることを特徴とするTEMモード誘電体共振器
    を用いたバンドパスフィルタ。
  2. 【請求項2】 前記エバネセントなEモードの導波管結
    合部は、開放面である上平面及び4つの側面と、金属が
    コーティングされた下平面とを有していることを特徴と
    する請求項1に記載のバンドパスフィルタ。
  3. 【請求項3】 通過帯域の両側に減衰極を有するように
    構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載
    のバンドパスフィルタ。
  4. 【請求項4】 前記エバネセントなEモードの導波管結
    合部を介する前記第1及び第2の誘電体共振器間の直接
    結合と内部結合とが、キャパシティブ結合及びインダク
    ティブ結合のうちの互いに異なる結合となるように構成
    されていることを特徴とする請求項3に記載のバンドパ
    スフィルタ。
  5. 【請求項5】 前記第1及び第2の誘電体共振器が、同
    一の誘電体材料から構成されていることを特徴とする請
    求項1から4のいずれか1項に記載のバンドパスフィル
    タ。
  6. 【請求項6】 前記第1及び第2の誘電体共振器が、高
    誘電率のセラミック誘電体材料で構成されていることを
    特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のバン
    ドパスフィルタ。
  7. 【請求項7】 前記第1及び第2の誘電体共振器が、ほ
    ぼ同一の寸法を有していることを特徴とする請求項1か
    ら6のいずれか1項に記載のバンドパスフィルタ。
  8. 【請求項8】 前記エバネセントなEモードの導波管結
    合部が、前記第1及び第2の誘電体共振器の各々の長さ
    及び断面より短い長さ及び小さい断面を有していること
    を特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のバ
    ンドパスフィルタ。
  9. 【請求項9】 前記第1及び第2の誘電体共振器間の結
    合が所望の値となるように前記エバネセントなEモード
    の導波管結合部の寸法が選択されていることを特徴とす
    る請求項8に記載のバンドパスフィルタ。
  10. 【請求項10】 前記エバネセントなEモードの導波管
    結合部が、矩形の断面を有していることを特徴とする請
    求項1から9のいずれか1項に記載のバンドパスフィル
    タ。
  11. 【請求項11】 前記エバネセントなEモードの導波管
    結合部が、前記第1及び第2の誘電体共振器と同じ誘電
    体材料を用いていることを特徴とする請求項1から10
    のいずれか1項に記載のバンドパスフィルタ。
  12. 【請求項12】 前記エバネセントなEモードの導波管
    結合部が、前記第1及び第2の誘電体共振器間に直列の
    キャパシタンス及び一対のシャントキャパシタンスを提
    供するように構成されていることを特徴とする請求項1
    から11のいずれか1項に記載のバンドパスフィルタ。
  13. 【請求項13】 前記第1及び第2の誘電体共振器の各
    々の前記下平面の前記第2の金属層が、接地面として用
    いられることを特徴とする請求項1から12のいずれか
    1項に記載のバンドパスフィルタ。
  14. 【請求項14】 前記エバネセントなEモードの導波管
    結合部の前記金属層のコーティングされている面が、接
    地面として用いられることを特徴とする請求項1から1
    3のいずれか1項に記載のバンドパスフィルタ。
  15. 【請求項15】 前記第1及び第2の誘電体共振器の各
    々の前記短絡面と直交する1つの側面がキャパシティブ
    な励振に用いられることを特徴とする請求項1から14
    のいずれか1項に記載のバンドパスフィルタ。
  16. 【請求項16】 前記第1及び第2の誘電体共振器の各
    々の前記短絡面と直交する1つの側面に電気的入出力ポ
    ートが設けられていることを特徴とする請求項1から1
    5のいずれか1項に記載のバンドパスフィルタ。
  17. 【請求項17】 前記電気的入出力ポートが、該側面に
    矩形、正方形、台形又は円形の金属パターンを設けるこ
    とにより形成されていることを特徴とする請求項16に
    記載のバンドパスフィルタ。
  18. 【請求項18】 前記金属パターンが、前記上平面の前
    記第1の金属層及び前記下平面の前記第2の金属層から
    離隔していることを特徴とする請求項17に記載のバン
    ドパスフィルタ。
  19. 【請求項19】 外部回路との結合の強さが所望の値と
    なるように前記金属パターンの寸法が選択されているこ
    とを特徴とする請求項17又は18に記載のバンドパス
    フィルタ。
  20. 【請求項20】 前記第1及び第2の誘電体共振器の少
    なくとも一方の上平面の前記第1の金属層に、周波数調
    整用の狭いスリットが設けられていることを特徴とする
    請求項1から19のいずれか1項に記載のバンドパスフ
    ィルタ。
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