JP2001257375A - 薄膜太陽電池及び薄膜太陽電池モジュール群 - Google Patents

薄膜太陽電池及び薄膜太陽電池モジュール群

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JP2001257375A
JP2001257375A JP2000067266A JP2000067266A JP2001257375A JP 2001257375 A JP2001257375 A JP 2001257375A JP 2000067266 A JP2000067266 A JP 2000067266A JP 2000067266 A JP2000067266 A JP 2000067266A JP 2001257375 A JP2001257375 A JP 2001257375A
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thin
film solar
haze ratio
transparent conductive
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JP2000067266A
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Shinsuke Tachibana
伸介 立花
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透光性の絶縁基板と透明導電膜との少なくと
も一方のヘイズ率を変えて、光電変換層での光吸収量を
変えることにより、発電領域の面積を実質的に減少させ
ずに、薄膜太陽電池に模様を表示する。 【解決手段】 透光性の絶縁基板上に、透明導電膜、光
電変換層、裏面電極層を順次積層した薄膜太陽電池にお
いて、透光性の絶縁基板と透明導電膜との少なくとも一
方のヘイズ率を、表示したい模様の実領域とそれ以外の
領域とで、表示したい模様が浮かび上がるに十分な程度
に変えた構造とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、薄膜太陽電池及び
薄膜太陽電池モジュール群に関し、さらに詳しくは、模
様入りの薄膜太陽電池及び薄膜太陽電池モジュール群に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より太陽光エネルギーを有効利用し
た、図8に示すような薄膜太陽電池が知られている。こ
の薄膜太陽電池は、一般に集積型薄膜太陽電池と呼ば
れ、ガラス等の透明な絶縁基板21上にZnO、IT
O、SnO2 等の透明導電膜22が形成され、その上に
非晶質半導体のp層、i層、n層が順次積層された光電
変換層23が形成され、その上に裏面電極層24(例え
ばZnO/Ag)が積層され、この積層体が直列、並列
又は直並列に接続された構成となっている。
【0003】そして現在では、この薄膜太陽電池の需要
や用途の拡大につれて、太陽電池自体のファッション性
や付加価値が求められるようになってきている。そこ
で、実開平1−71453号公報に示されているような
文字、記号や模様等のパターンを有する模様入り薄膜太
陽電池が提案されている。
【0004】この模様入り薄膜太陽電池は、図9に示す
ような構成となっている。すなわち透明な絶縁基板21
上に透明導電膜22が形成され、その透明導電膜22の
一部が模様用として除去されて模様用除去部25が形成
され、その模様用除去部25を含む透明導電膜22上に
光電変換層23が形成され、その上に裏面電極層24が
積層され、この積層体が直列、並列又は直並列に接続さ
れた構成となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図9に
示したような模様入り薄膜太陽電池では、模様用除去部
25の形成のために透明導電膜22の一部が除去されて
いるため、発電領域の面積が実質的に少なくなり、太陽
電池のエネルギー変換効率を落とす原因となる。そのた
め、同じ発電能力を持たせようとすると、設置面積を増
大しなければならない。
【0006】また、文字などを描くために透明導電膜2
2が除去されると、電気的に孤立する領域が生じること
もあり、孤立する領域をなくそうとすると配線が複雑に
なるし、薄膜太陽電池の作製段階で孤立領域がないよう
にしようとすると、工程の複雑さを招く結果となる。
【0007】本発明は、このような事情を考慮してなさ
れたもので、透光性の絶縁基板と透明導電膜との少なく
とも一方のヘイズ率を、表示したい模様の実領域とそれ
以外の領域とで変えて、光電変換層での光吸収量を変え
ることにより、発電領域の面積を実質的に減少させず、
太陽電池のエネルギー変換効率の減少を最小限にして、
容易な方法で、電気的に不連続な領域のない、模様入り
の薄膜太陽電池及び薄膜太陽電池モジュール群を提供す
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、透光性の絶縁
基板上に、透明導電膜、光電変換層、裏面電極層が順次
積層され、透光性の絶縁基板と透明導電膜との少なくと
も一方のヘイズ率が、表示したい模様の実領域とそれ以
外の領域とで、表示したい模様が浮かび上がるに十分な
程度に変えられてなる薄膜太陽電池である。
【0009】本発明において、ヘイズ率とは、くもりの
度合いを表す指標であり、530nmの波長の光を試料
に対して垂直に入射させ、試料を平行に透過した光を平
行光透過量Tnとし、拡散した光を拡散光透過量Tdと
したときに、次式で表される値である。ヘイズ率H=
{Td/(Tn+Td)}×100
【0010】したがって、ヘイズ率0%とは拡散光の透
過率が“0”、つまり全ての光が平行に透過することを
意味し、ヘイズ率100%とは平行光の透過率が
“0”、つまり全ての光が拡散することを意味する。
【0011】本発明において、透光性の絶縁基板として
は、光を透過させる絶縁基板であればどのようなものを
用いてもよいが、通常はガラス基板がよく用いられる。
【0012】透明導電膜は、当該分野で公知の材料と公
知の方法をいずれも用いて形成することができる。透明
導電膜の材料としては、例えば、ZnO、ITO、Sn
2等を用いることができる。透明導電膜の成膜方法と
しては、スパッタ又はCDV法などを用いることができ
る。
【0013】光電変換層とは、IV族の非晶質半導体の
p層、i層、n層を順次積層した積層体を意味し、具体
的には、例えば、p層としてp型のアモルファスシリコ
ンカーバイド、i層としてi型のアモルファスシリコ
ン、n層としてn型のアモルファスシリコンを積層した
水素化非晶質シリコン膜などを適用することができる。
この水素化非晶質シリコン膜は、例えばプラズマCVD
法により、上記p層、i層、n層を、合計の厚みが10
0〜600nm程度に成膜することにより形成すること
ができる。
【0014】裏面電極層は、当該分野で公知の材料と公
知の方法をいずれも用いて形成することができる。裏面
電極層の材料としては、例えば、ZnO、ITO、Sn
2、Ag、Al、あるいはこれらを組み合わせたもの
を用いることができる。裏面電極層の形成方法として
は、スパッタ法や電子ビーム蒸着法などを用いることが
できる。具体的には、この裏面電極層は、例えば、Zn
O/Agをマグネトロンスパッタ法により、400nm
〜1μm程度の膜厚で成膜することにより形成すること
ができる。この場合、ZnOに代えて、ITOやSnO
2 などの透光性の高い材料を用いてもよいし、Agに代
えて、Alなどの反射率の高い金属を用いてもよい。
【0015】ヘイズ率は3段階以上で変化させてもよ
く、それによって階調表示が可能となる。
【0016】ヘイズ率は、化学的にエッチングする方法
や、機械的に研磨する方法を用いることによって変える
ことができる。
【0017】透光性の絶縁基板や透明導電膜の化学的な
エッチング方法としては、例えば、絶縁基板や透明導電
膜にマスクを形成し、エッチング液に浸して所定時間静
置し、その後流水に浸してエッチング反応を停止させ
る、いわゆる当該分野で公知のエッチング方法を適用す
ることができる。
【0018】この場合、マスクとしては、酸やアルカリ
に対して耐久性のあるマスキングテープやテフロン(登
録商標)テープなどを用いることができる。また、フォ
トリソグラフ用のレジスト膜を用いることもできる。
【0019】エッチング液としては、酸系の溶液やアル
カリ系の溶液、あるいはそれらの混合溶液を用いること
ができる。酸系の溶液としては、例えば酢酸水溶液、塩
酸水溶液などが挙げられる。アルカリ系の溶液とてい
は、例えば水酸化ナトリウム水溶液などが挙げられる。
【0020】具体的には、透光性の絶縁基板や透明導電
膜のエッチングは、例えば、透光性の絶縁基板や、透明
導電膜の形成された絶縁基板を、マスク形成後、25℃
に液温を保持した1重量%の酢酸水溶液に浸して180
秒間静置した後、流水に浸してエッチング反応を停止さ
せることにより行うことができる。
【0021】透光性の絶縁基板や透明導電膜の機械的な
研磨方法としては、金属等のマスクを用いた、サンドブ
ラスト処理などを適用することができる。
【0022】表示したい模様の実領域とそれ以外の領域
とのヘイズ率の差は、表示したい模様を人間の目で視覚
的に捉えるためには、ヘイズ率で3%程度あればよい。
しかしながら、文字などを明瞭に浮かび上がらせるため
には6%以上あることが望ましい。
【0023】ヘイズ率は、エネルギー変換効率の落ち幅
を最小限にするためには、好ましくは22%以下、より
好ましくは7〜20%の範囲、最も好ましくは10〜2
0%の範囲で変えることが望ましい。したがって、エネ
ルギー変換効率の低下を抑えるためには、ヘイズ率7〜
20%の領域の占める面積が最も広いことが望ましい。
【0024】上記した化学的なエッチング方法又は機械
的な研磨方法で、透光性の絶縁基板と透明導電膜との少
なくとも一方のヘイズ率を、表示したい模様の実領域と
それ以外の領域とで変えることにより、絶縁基板側から
入射した光の光路長が変わり、光を閉じ込めるという効
果に違いが現れるので、光電変換層での光吸収量が変化
して、光電変換層の色が赤褐色から黒褐色まで呈し、こ
れにより表示すべき模様を浮かび上がらせることができ
る。
【0025】上記した薄膜太陽電池は、1つの素子とし
ては、1辺が小さいもので5mm前後、大きいもので1
m前後の大きさの矩形状である。一般に、薄膜太陽電池
は、使用目的に応じて必要電圧が得られるように多数の
素子を接続して器に収めたものが用いられる。このよう
な使用上の1つの単位をモジュールというが、このモジ
ュールを複数組み合わせて薄膜太陽電池モジュール群を
形成してもよい。この場合、透光性の絶縁基板と透明導
電膜との少なくとも一方のヘイズ率が異なる複数の太陽
電池モジュールを組み合わせることにより、表示すべき
模様を浮かび上がらせることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本発明を詳
細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定され
るものではない。
【0027】<実施例1>図1は本発明の薄膜太陽電池
の実施例1の構成を示す説明図である。この図におい
て、1は透光性の絶縁基板、2は透明導電膜、3は光電
変換層、4は裏面電極層、5は透明導電膜2と光電変換
層3との間の境界面、6は境界面5に形成されたヘイズ
率の異なる領域である。
【0028】以下、本実施例の薄膜太陽電池の構成を製
造工程に沿って説明する。本実施例の薄膜太陽電池は、
透光性の絶縁基板1として、厚さ4.0mm程度のガラ
ス基板を使用し、このガラス基板上に、透明導電膜2と
して、Ga原子を不純物としてドープしたZnOをマグ
ネトロンスパッタ装置により、膜厚700nm程度で成
膜した。透明導電膜2にZnOを用いたのは、化学的に
異方性エッチングを行うことが可能であるという理由に
よる。透明導電膜2としては、この他にITOやSnO
2 などを成膜してもよい。また、ZnO、ITO、Sn
2等を組み合わせて成膜してもよい。
【0029】次に、模様部6となるヘイズ率の異なる領
域を形成するためのマスクを行う。マスクは、図2に示
すように、成膜した透明導電膜2上に、マスク7として
マスキングテープを用い、このマスク7を文字“B”の
逆文字になるように貼り付けてることにより行った。こ
の際、マスクする方法として、マスキングテープを用い
たが、酸やアルカリに対して耐久性のあるテフロンテー
プ等のテープを用いてもよいし、フォトリソグラフ用の
レジスト膜をマスクとしてもよい。
【0030】次に、マスクした基板1を、25℃に液温
を保持した1重量%の酢酸水溶液に浸し、水溶液中に1
80秒間静置して異方性エッチングを行った。その後、
基板1を流水に浸し、エッチング反応を停止させ、これ
により透明導電膜2のマスク7の領域とマスク7以外の
領域とのヘイズ率を異ならせた。この際、エッチング液
として、酢酸以外に塩酸等の酸系の溶液、水酸化ナトリ
ウム等のアルカリ系の溶液や、それらを混合した溶液を
用いてもよい。
【0031】上記においては、ヘイズ率の異なる領域を
エッチングで形成するように説明したが、金属等のマス
クを用いて、サンドブラスト処理等の機械的研磨により
形成してもよい。
【0032】また、ヘイズ率の異なる領域を透明導電膜
2に形成するように説明したが、ヘイズ率の異なる領域
は、透光性の絶縁基板1に形成するようにしてもよい
し、透光性の絶縁基板1と透明導電膜2との両方に形成
するようにしてもよい。
【0033】透光性の絶縁基板1にヘイズ率の異なる領
域を形成する場合には、透明導電膜2の成膜前に、透光
性の絶縁基板1にエッチングによってヘイズ率の異なる
領域を形成するか、あるいは金属等のマスクを用いて、
サンドブラスト処理等の機械的研磨によってヘイズ率の
異なる領域を形成しておき、その後、そのヘイズ率の異
なる領域が形成された絶縁基板1の全面に、スパッタ法
等により、透明導電膜2としてZnOを成膜する。この
場合も上記と同様に、透明導電膜2として、ITOやS
nO2 などを成膜してもよい。また、ZnO、ITO、
SnO2 等を組み合わせて成膜してもよい。
【0034】次に、マスク7を除去し、アセトン中で超
音波洗浄を行った。これにより、図3に示すように、透
明導電膜2に、ヘイズ率を有する領域(文字“B”以外
の領域)5とヘイズ率を有しない(ヘイズ率0%)領域
(文字“B”の領域)6を形成することができた。この
際、ヘイズ率の差として、人間の目で視覚的に捉えるた
めには、3%程度あれば良いが、文字などを明瞭に浮か
び上がらせるためには、6%以上が好ましい。
【0035】本実施例では、文字“B”以外の領域をヘ
イズ率を有する領域5とし、文字“B”の領域をヘイズ
率を有しない領域6とした。そして、ヘイズ率を有する
領域5のヘイズ率を12%とした。また、ヘイズ率を有
する領域5とヘイズ率を有しない領域6との面積比は、
8:2とした。
【0036】次に、IRレーザーを用いて短冊状に分離
するように透明導電膜2のパターニングを行った。この
後、絶縁基板1を純水で洗浄し、プラズマCVD法によ
り、光電変換層3である水素化非晶質シリコン膜を形成
した。この光電変換層3は、p型のアモルファスシリコ
ンカーバイド、i型のアモルファスシリコン、n型のア
モルファスシリコンからなり、合計の厚みは100nm
から600nm程度である。
【0037】次に、レーザーを用いて光電変換層3のパ
ターニングを行った。この際、レーザーによる透明導電
膜2へのダメージを避けるため、レーザーには、透明導
電膜2に対して透過性のよいSHG YAGレーザー等
を使用する。
【0038】次に、マグネトロンスパッタ法により、裏
面電極層4であるZnO/Agを成膜した。この際、裏
面電極層4の厚みは、400nmから1μm程度とす
る。裏面電極層4としては、ZnOのかわりに、ITO
やSnO2 等の光透過性の高い膜を用いてもよいし、A
gのかわりに、Al等の反射率の高い金属を用いても良
い。裏面電極層4の形成は、電子ビーム蒸着法等で行っ
てもよい。
【0039】その後、レーザーを用いて裏面電極層4の
パターニングを行った。この際、光電変換層3のパター
ニングと同様に、レーザーによる透明導電膜2へのダメ
ージを避けるため、レーザーには、透明導電膜2に対し
て透過性のよいSHG YAGレーザー等を使用する。
【0040】最後に、純水中で超音波洗浄を行った。図
4に示したように、得られた薄膜太陽電池8は、透光性
の絶縁基板1側からみて、ヘイズ率を有しない領域6が
“B”という文字を表した。
【0041】得られた薄膜太陽電池をAM1.5(標準
太陽光スペクトル)のもとで、その電流−電圧特性を測
定して、太陽電池としての特性を評価した。得られた各
特性の結果は、実施例1の値を基準として、表1に示し
た。
【0042】<比較例1>本比較例では、比較のため、
実施例1と同じ“B”という文字を表すのに、実施例1
のヘイズ率を有する領域(文字“B”以外の領域)の透
明導電膜2を除去した。すなわち、図9に示したような
模様用除去部25を設けて、実施例1と同じ“B”とい
う文字を描いた。この際、模様用除去部(文字“B”以
外の領域)5とヘイズ率を有しない領域(文字“B”の
領域)6との面積比は、実施例1と同じく8:2とし、
電気的に孤立する部分をなくした。その他の作製条件
は、実施例1と同じで、薄膜太陽電池を作製した。
【0043】得られた薄膜太陽電池をAM1.5のもと
で、その電流−電圧特性を測定して、太陽電池としての
特性を評価した。得られた各特性の結果は、実施例1の
値を基準として、表1に示した。
【0044】<比較例2>本比較例では、比較のため、
ヘイズ率を有する領域5とヘイズ率を有しない領域6と
の面積比を、実施例1とは逆にした薄膜太陽電池を作製
した。すなわち、図5に示すように、ヘイズ率を有する
領域(文字“B”の領域)5とヘイズ率を有しない領域
(文字“B”以外の領域)6の面積比は、実施例1とは
逆に2:8とした。その他の作製条件は、実施例1と同
じで、薄膜太陽電池を作製した。
【0045】得られた薄膜太陽電池をAM1.5のもと
で、その電流−電圧特性を測定して、太陽電池としての
特性を評価した。得られた各特性の結果を、実施例1の
値を基準として、表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】この表に示すように、透明導電膜のヘイズ
率を異ならせた実施例1の薄膜太陽電池ほうが、透明導
電膜を除去した比較例1の薄膜太陽電池よりも、エネル
ギー変換効率が良好であった。また、ヘイズ率を12%
とした場合には、ヘイズ率を有する領域とヘイズ率を有
しない領域の面積比が2:8の比較例2の薄膜太陽電池
は、面積比が8:2の実施例1の薄膜太陽電池よりもエ
ネルギー変換効率が劣っていた。しかし、このようにエ
ネルギー変換効率が劣る比較例2の薄膜太陽電池であっ
ても、透明導電膜を除去した比較例1の薄膜太陽電池と
比べた場合には、エネルギー変換効率が良好であった。
【0048】このように、透明導電膜を、ヘイズ率を有
する領域とヘイズ率を有しない領域とで構成することに
より、太陽電池のエネルギー変換効率をできるだけ低下
させず、かつ電気的に不連続な領域をつくらずに、文
字、記号等の模様を表示することができる。また、境界
線が明確になるので、文字や記号等の模様を明瞭に浮か
び上がらせることができる。なお、この場合、ヘイズ率
を3段階以上に変化させることで、グラデーションのき
いた階調的な模様を浮かび上がらせることができる。
【0049】<実施例2>実施例1と同様に、透光性の
絶縁基板1上に、透明導電膜2としてZnO膜を成膜
し、得られたZnO膜を、ヘイズ率が0%、2%、5
%、7%、11%、15%、20%、22%、25%に
なるように、25℃に液温を保持した1重量%の酢酸水
溶液でのエッチング時間を変えた。その後、レーザーパ
ターニング、光電変換層3と裏面電極層4の成膜を実施
例1と同じ方法で行った。
【0050】得られた薄膜太陽電池をAM1.5のもと
で、その電流−電圧特性を測定して、太陽電池としての
特性を評価した。透明導電膜2のヘイズ率が0%の薄膜
太陽電池のエネルギー変換効率を1(基準)とし、ヘイ
ズ率に対してエネルギー変換効率の相対値をプロットし
たものを図6に示す。このグラフに示すように、エネル
ギー変換効率の落ち幅を最小限にするためには、ヘイズ
率は、好ましくは22%以下、より好ましくは7〜20
%、最も好ましくは10〜20%の範囲に設定する。
【0051】したがって、エネルギー変換効率の低下を
抑えるためには、ヘイズ率が好ましくは22%以下、よ
り好ましくは7〜20%の範囲、最も好ましくは10〜
20%の範囲の領域の占める面積が最も広くなるように
することが望ましい。
【0052】具体的には、例えば、透明導電膜の模様の
部分のヘイズ率を20%とし、模様以外の部分のヘイズ
率を11%とするか、あるいはその逆に、模様の部分の
ヘイズ率を11%とし、模様以外の部分のヘイズ率を2
0%として、模様の部分と模様以外の部分とのヘイズ率
の差を9%にするというように、透明導電膜全体のヘイ
ズ率を10〜20%の範囲に設定する。
【0053】このように、エネルギー変換効率の点から
は、ヘイズ率0%の領域を設けず、透明導電膜の全ての
面にヘイズ率を持たせることが望ましいが、製造コスト
の点からは、ヘイズ率0%の領域を設ければ工程数の削
減となるので、使用目的とコストとのバランスを考慮し
た上で透明導電膜のヘイズ率を設定する。
【0054】<実施例3>本実施例においては、ヘイズ
率を有する領域が全くない通常の薄膜太陽電池モジュー
ルと、全面にヘイズ率を有する領域が形成された薄膜太
陽電池モジュールとを組み合わせて、模様入りの薄膜太
陽電池モジュール群を作製する。
【0055】ここで薄膜太陽電池モジュールとは以下の
ようなものを意味する。すなわち、実施例1及び2の薄
膜太陽電池は、1つの素子としては、1辺が小さいもの
で5mm前後、大きいもので1m前後の大きさの矩形状
である。この薄膜太陽電池は、使用目的に応じて必要電
圧が得られるように多数の素子を接続して器に収めたも
のが用いられるが、このような使用上の1つの単位をモ
ジュールという。
【0056】まず、透光性の絶縁基板21として、図8
に示したような、厚さ4.0mm程度のガラス基板を使
用し、このガラス基板上に、透明導電膜2として、Ga
原子を不純物としてドープしたZnOをマグネトロンス
パッタ装置により、膜厚700nm程度で成膜すること
により、ヘイズ率0%の(ヘイズ率を有しない)ZnO
基板を複数枚作製した。
【0057】一方、同様のガラス基板上に、透明導電膜
2として、SnO2 を熱CVDで成膜することにより、
ヘイズ率10%の(ヘイズ率を有する)SnO2 基板を
複数枚作製した。
【0058】これらのZnO基板とSnO2 基板に対
し、それぞれ実施例1と同様に、レーザースクライブ、
光電変換層3及び裏面電極層4の成膜を行い、ヘイズ率
0%の複数枚の薄膜太陽電池モジュールと、ヘイズ率1
0%の複数枚の薄膜太陽電池モジュールとを作製した。
この際、化学的なエッチング方法などでZnOのヘイズ
率を変えた基板を用いたり、スパッタ法でITOなどを
成膜した基板を組み合わせても良い。
【0059】これらの2種の薄膜太陽電池モジュール
を、図7に示すように配置して、薄膜太陽電池モジュー
ル群を作製した。図7では、模様の部分に、透明導電膜
2としてZnOを用いたヘイズ率0%の薄膜太陽電池モ
ジュール9を配置し、模様以外の部分に、透明導電膜2
としてSnO2 を用いたヘイズ率10%の薄膜太陽電池
モジュール10を配置している。
【0060】したがって、ヘイズ率を有しない領域
(“郵便マーク”の領域)9とヘイズ率を有する領域
(“郵便マーク”以外の領域)10の面積比は、ほぼ2
(14/81):8(67/81)となる。
【0061】得られた薄膜太陽電池モジュール群の特性
を測定した。実施例2のエネルギー変換効率を基準とし
て、結果を表2に示す。
【0062】<比較例3>本比較例では、実施例3と同
じ2種類の薄膜太陽電池モジュールを用い、模様の部分
と模様以外の部分とを入れ替えて、薄膜太陽電池モジュ
ール群を作製した。
【0063】すなわち、図7で示した配置とは逆に、模
様の部分に、透明導電膜2としてSnO2 を用いたヘイ
ズ率10%の薄膜太陽電池モジュールを配置し、模様以
外の部分に、透明導電膜2としてZnOを用いたヘイズ
率0%の薄膜太陽電池モジュールを配置した。
【0064】したがって、ヘイズ率を有しない領域
(“郵便マーク”以外の領域)とヘイズ率を有する領域
(“郵便マーク”の領域)の面積比は、実施例3とは逆
に、ほぼ8(67/81):2(14/81)となる。
【0065】得られた薄膜太陽電池モジュール群の出力
を測定した。実施例3のエネルギー変換効率を基準とし
て、結果を表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】この表に示すように、ヘイズ率を10%と
した場合には、ヘイズ率を有しない領域とヘイズ率を有
する領域の面積比が2:8の実施例3の薄膜太陽電池の
ほうが、面積比が8:2の比較例3の薄膜太陽電池より
も、エネルギー変換効率が良好であった。
【0068】このように、薄膜太陽電池モジュール群
を、ヘイズ率を有する薄膜太陽電池モジュールと、ヘイ
ズ率を有しない薄膜太陽電池モジュールとで構成するこ
とより、太陽電池のエネルギー変換効率をできるだけ低
下させず、かつ電気的に不連続な領域をつくらずに、薄
膜太陽電池モジュール群として文字や記号等の模様を浮
かび上がらせることができる。なお、この場合、薄膜太
陽電池モジュール群を、3段階以上のヘイズ率の複数の
薄膜太陽電池モジュールで構成すれば、グラデーション
のきいた階調的な模様を浮かび上がらせることができ
る。
【0069】以上述べたように、薄膜太陽電池の透明導
電膜のヘイズ率を異ならせることにより、容易な方法
で、文字や記号のような模様を薄膜太陽電池及び薄膜太
陽電池モジュール群上に浮かび上がらせることができ
た。また、ヘイズ率の値を制御し、その値の範囲を考慮
することにより、エネルギー変換効率の低下を最小限に
することができた。
【0070】以上に説明した実施例では、比較しやすい
ように簡単な文字や記号で実施したが、ビルの壁などに
会社名や都市のシンボルマークなどを浮かび上がらせた
り、また、携帯電話のバッテリー充電器に搭載されてい
る太陽電池などに適用して、所有者の名前や好みの模様
などを浮かび上がらせることが可能となり、本発明の利
用価値は大きい。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、透光性の絶縁基板と透
明導電膜との少なくとも一方のヘイズ率を、表示したい
模様の実領域とそれ以外の領域とで変えた構造としたの
で、絶縁基板側から入射した光の光路長が変わり、光を
閉じ込めるという効果に違いが現れ、これにより、光電
変換層での光吸収量が変化し、表示すべき模様を浮かび
上がらせることができる。また、透明導電膜を除去しな
いので、透明導電膜を除去するタイプのものと比較し
て、エネルギー変換効率の低下を抑えることができると
ともに、配線の複雑さや、製造工程における工程の複雑
化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜太陽電池の実施例1の構成を示す
説明図である。
【図2】実施例1の透明導電膜上にマスキングテープを
文字“B”の逆文字になるように貼り付けた状態を示す
説明図である。
【図3】実施例1の透明導電膜上にヘイズ率を有する領
域とヘイズ率を有しない領域を形成した状態を示す説明
図である。
【図4】実施例1の薄膜太陽電池を透光性の絶縁基板側
からみた状態を示す説明図である。
【図5】実施例1とは逆にヘイズ率を有する領域とヘイ
ズ率を有しない領域の面積比を2:8とした場合の比較
例2を示す説明図である。
【図6】実施例2で作製した薄膜太陽電池のヘイズ率と
エネルギー変換効率の相対値との関係を示すグラフであ
る。
【図7】ヘイズ率を有する薄膜太陽電池モジュールとヘ
イズ率を有しない薄膜太陽電池モジュールとを組み合わ
せた薄膜太陽電池モジュール群を示す説明図である。
【図8】従来の薄膜太陽電池の構成を示す説明図であ
る。
【図9】従来の模様入り薄膜太陽電池の構成を示す説明
図である。
【符号の説明】
1 透光性の絶縁基板 2 透明導電膜 3 光電変換層 4 裏面電極層 5 境界面 6 ヘイズ率の異なる領域 7 マスク 8 薄膜太陽電池 9 ヘイズ率0%の薄膜太陽電池モジュール 10 ヘイズ率10%の薄膜太陽電池モジュール

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透光性の絶縁基板上に、透明導電膜、光
    電変換層、裏面電極層が順次積層され、透光性の絶縁基
    板と透明導電膜との少なくとも一方のヘイズ率が、表示
    したい模様の実領域とそれ以外の領域とで、表示したい
    模様が浮かび上がるに十分な程度に変えられてなる薄膜
    太陽電池。
  2. 【請求項2】 ヘイズ率の変化が3段階以上あり、それ
    によって階調表示が行われる請求項1記載の薄膜太陽電
    池。
  3. 【請求項3】 ヘイズ率が、化学的なエッチングを施す
    ことにより変えられてなる請求項1記載の薄膜太陽電
    池。
  4. 【請求項4】 ヘイズ率が、機械的研磨を施すことによ
    り変えられてなる請求項1記載の薄膜太陽電池。
  5. 【請求項5】 透明導電膜がZnO、ITO又はSnO
    2 の薄膜からなる請求項1記載の薄膜太陽電池。
  6. 【請求項6】 表示したい模様の実領域とそれ以外の領
    域とのヘイズ率の差が3%以上である請求項1記載の薄
    膜太陽電池。
  7. 【請求項7】 ヘイズ率が7〜20%の範囲で変えられ
    てなる請求項1記載の薄膜太陽電池。
  8. 【請求項8】 ヘイズ率7〜20%の領域の占める面積
    が最も広い請求項1記載の薄膜太陽電池。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8記載の薄膜太陽電池を必要
    な電圧に応じて複数接続して1つのモジュールとし、こ
    のモジュールを複数組み合わせてなる薄膜太陽電池モジ
    ュール群。
  10. 【請求項10】 透光性の絶縁基板と透明導電膜との少
    なくとも一方のヘイズ率が異なる複数の太陽電池モジュ
    ールを組み合わせて、表示すべき模様を浮かび上がらせ
    ることを特徴とする請求項9記載の薄膜太陽電池モジュ
    ール群。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102299188A (zh) * 2010-06-22 2011-12-28 明道大学 可显现图像的薄膜太阳能电池及工艺
WO2012145929A1 (zh) * 2011-04-29 2012-11-01 Lien Shui-Yang 可显现图像的薄膜太阳能电池及制造方法
JP2016066757A (ja) * 2014-09-25 2016-04-28 積水ハウス株式会社 太陽電池モジュール、壁面構造、及び住宅

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