JP2001255378A - 放射線検出器 - Google Patents

放射線検出器

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JP2001255378A JP2000068983A JP2000068983A JP2001255378A JP 2001255378 A JP2001255378 A JP 2001255378A JP 2000068983 A JP2000068983 A JP 2000068983A JP 2000068983 A JP2000068983 A JP 2000068983A JP 2001255378 A JP2001255378 A JP 2001255378A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、環境レベルからの測定を可能とす
るように、従来装置より感度を大幅に向上させるととも
に、携帯使用の利便性を高めるため軽量化を図った放射
線検出器を提供することを課題とする。 【解決手段】 速中性子の測定と中速中性子の熱化とに
用いられる液体シンチレータ11と、同液体シンチレータ
11により熱化された中速中性子を測定するためのガラス
シンチレータ12とをそなえ、同ガラスシンチレータ12が
6Liで形成されて、液体シンチレータ11の容器を兼ね
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中性子の計測器に
関するものであり、中性子の放射を伴う事故を未然に防
ぐとともに安全管理のための確実で容易な測定を行うも
ので、中性子を取り扱う核融合、原子力、工業利用、医
学等の分野で環境レベルから高線束までの中性子を、X
線やγ線が混在していても1台の検出器で分離測定可能
に用いられる放射線検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の中性子漏洩事故により中性子の計
測の重要性が認識された。一方、中性子は核融合や原子
力の技術分野においては不可分なものであるほか、加速
器や工業,医学等の分野で広く利用されている。これら
に伴って、高線束はもとより環境レベルの中性子束を安
全管理の上からも測定できなければならない。しかし、
中性子は電荷を有していないことと、安全管理面から、
エネルギーが0.025MeVと低い熱中性子から20
MeVの速中性子までの広いエネルギー範囲、すなわち
9デカードに亙って、1台の装置で確実に測定できるこ
とが望ましい。そのために従来から図1に示すレムカウ
ンタ(商品名)方式の装置が専ら使用されてきたが、こ
の装置は商品化されてから現在に至るまで装置構成はほ
とんど変わらないものである。
【0003】このレムカウンタは、図2に示すような、
国際放射線防護委員会(ICRP)勧告21(1971年)
のレム値換算曲線に則った近似評価を可能とするよう開
発されたものである。レムカウンタは、図1に示すよう
に、中性子検出に、熱中性子に高感度なBF3(または
He-3)カウンタ1を用いている。測定中性子はすべ
て熱中性子化して測定する。熱中性子化はBF3カウン
タ1の周囲に中性子減速材であるポリエチレン(水素を
多く含む物質)2を6〜8cmの厚さで配置している。
したがって、重量は減速材だけでも数kg以上に及び、
重くなる欠点がある。
【0004】減速材による熱中性子化はエネルギーによ
って異なることと、図2に示すレム値換算曲線(横軸:
中性子エネルギーeV,縦軸:検出感度cpm/n・c
-2・s-1)におけるICRP−21レムレスポンス曲
線のエネルギー対応をする必要がある。
【0005】そこで、熱中性子の検出器への入射を調整
するもので、BF3カウンタ1から約2cmの周囲、す
なわちポリエチレン減速材2の内部に熱中性子吸収材で
ある 10Bを含むゴム(1〜2mm厚)3を円筒状に配置
し、かつ、吸収材3には熱中性子を適度に透過させる篩
い穴4を設けてある。これらにより図2に示す横軸のエ
ネルギーに対応したレム近似換算値で中性子測定を可能
にするものである。
【0006】しかしレムカウンタは全ての中性子を熱中
性子化して測定するので、エネルギー情報は得られな
い。エネルギーに対する計数率感度は速中性子を1とす
ると、熱および中速中性子の大部分をレム値に換算する
ため1/50と感度を激減させていることが図2からも
明らかである。そして検出器の重量は上記減速材も含め
7〜10kgになっているので、携帯使用には負担とな
っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】今後の中性子計測は、
等価線量で評価するというICRP勧告60(1990年)
により法令改正の準備も進められていることから、この
勧告に沿って行われることが望まれる。等価線量は、中
性子の吸収線量に放射線荷重係数(図3に示す)を乗じ
るものである。放射線荷重係数は中性子の場合、一定の
値ではなく、エネルギーごとに定められており、その値
は、図3の実線グラフA(横軸:中性子エネルギーMe
V,縦軸:放射線荷重係数)で示す各エネルギーについ
ての放射線荷重係数である。図3における点線グラフB
は近似的に扱われる曲線である。
【0008】したがって、従来方式のようにエネルギー
情報の無い方式では対応困難であり、このためエネルギ
ーごとの吸収線量を測定可能とし、エネルギーに対応す
る放射線荷重係数を乗じて等価線量が得られる必要があ
る。
【0009】本発明は、上述の諸事情に鑑みて、環境レ
ベルからの測定を可能とするように、従来装置より感度
を大幅に向上させるとともに、携帯使用の利便性を高め
るため軽量化を図った放射線検出器を提供することを課
題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
め、本発明の放射線検出器は、速中性子の測定と中速中
性子の熱化とに用いられる液体シンチレータと、同液体
シンチレータにより熱化された中速中性子を測定するた
めのガラスシンチレータとをそなえ、同ガラスシンチレ
ータが上記液体シンチレータの容器を兼ねていることを
特徴としている。
【0011】また本発明の放射線検出器は、上記容器が
1〜1.5mm厚さの 6Liガラスシンチレータで形成
されていることを特徴としている。
【0012】さらに本発明の放射線検出器は、上記容器
の内部の液体シンチレータの温度差による体積変動に対
応すべく、同容器に体積緩衝封止構造体が設けられてい
ることを特徴としている。
【0013】また、本発明の放射線検出器は、上記液体
シンチレータの中心部に1〜1.5mm厚さの 6Liガ
ラスシンチレータからなる管状構造体が配設されて、同
管状構造体の一端が、上記液体シンチレータを収容する
容器の光り取り出し部の内面に取り付けられていること
を特徴としている。
【0014】さらに、本発明の放射線検出器は、上記液
体シンチレータを収容する容器としてのガラスシンチレ
ータの外周に、さらに付加的ガラスシンチレータが設け
られ、上記液体シンチレータおよび上記容器としてのガ
ラスシンチレータならびに上記付加的ガラスシンチレー
タからの各信号についてγ成分の分離を行うパターン認
識手段および波高選別手段(波高分析手段を含む。)
と、γ成分を分離された上記各信号に基づき速中性子お
よび中速中性子ならびに熱中性子の各中性子束に係る計
数(率)または線束数(率)として実時間表示する手段
とが設けられたことを特徴としている。 また本発明の
放射線検出器は、γ成分を分離された上記各信号を時間
対応でメモリする手段が設けられたことを特徴としてい
る。
【0015】さらに本発明の放射線検出器は、γ成分を
分離された上記各信号を、マイクロモジュールあるいは
計算機により、10-2MeV以下、10-2〜10-1Me
V、10-1〜1.5×100MeV、1.5〜20MeV
の4エネルギー範囲に分配して、エネルギー範囲ごとの
吸収線量に換算する手段と、さらに上記4エネルギー範
囲に対し放射線荷重係数を乗じて等価線量を算出する手
段とが設けられたことを特徴としている。
【0016】また、本発明の放射線検出器は、速中性子
の測定と中速中性子の熱化とに用いるべく容器に収容さ
れた液体シンチレータと、上記容器の外周に配置された
2層構造の熱中性子測定用電離箱とをそなえ、各電離箱
(比例計数管を含む。)に 3Heが封入されていること
を特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態としての放射線
検出器について説明すると、図4は本発明の放射線検出
器の構成を概略的に示す説明図、図5は図4の放射線検
出器の一部を模式的に示す斜視図、図6は温度歪み緩衝
クラインボットル・チップオフ構造体の断面の概略図、
図7は本発明の放射線検出器の変形例として管状ガラス
シンチレータを付加した中性子用検出器の概略図、図8
は2層構造 3He加圧封入パルス電離箱(比例計数管)
の説明図である。
【0018】図4に示す本発明の放射線検出器におい
て、速中性子を検出する液体シンチレータ(商品名NE
−213またはBC−501A)11は100ml以上と
し、速中性子が液体シンチレータ11の水素原子に作用
し、反挑陽子を発生するようになっている。この反挑陽
子によって240n秒程度のデケイタイム(回路によっ
てはライズタイム)の発光パルスを生じる。
【0019】液体シンチレータ11は、速中性子以外のγ
線でも発光を生じるので、γ線との分離を必要とする。
液体シンチレータ11中でのγ線による発光は、光電効
果、コンプトン効果あるいは電子対創生により発生する
電子によるものである。この電子による発光は3〜15
n秒のデケイタイムの発光パルスになる。中性子とγ線
とは、パルスのデケイタイムの時間差を用いて分離され
る。
【0020】中速中性子は、液体シンチレータ11に入射
しても計測可能な発光パルスはほとんど生じない。しか
し、中速中性子は液体シンチレータ11中の水素と散乱を
繰返し、熱中性子化するうちに液体シンチレータ11の容
器に入射する。この容器を熱中性子に特に有感な 6Li
ガラスシンチレータ容器12として構成することで中速中
性子を測定可能とする。
【0021】熱化した中速中性子は 6Liと核反応し、
α線とトリトンを生じる。α線とトリトンはシンチレー
タ中で発光パルスを生じる。このパルスのデケイタイム
は20〜80n秒であるため、液体シンチレータ11のパ
スルとも分離でき、中速中性子の測定も可能になる。
【0022】一方、γ線に対しても、液体シンチレータ
11と同様に有感であるが、ガラスシンチレータ容器12の
厚さを1〜1.5mmと薄くすることで、発光パルス波
高を低下させ、波高的には中速中性子とγ線とを分離
し、γ線を不感にすることができる。
【0023】これらシンチレータ11, 12からの発光パル
スは、ライトガイド13を用いて光電子増倍管14に導出さ
れ、約107 倍に増幅される。さらに容器としてのガラ
スシンチレータ12には、液体シンチレータ11の温度変化
に伴う体積変動による破損を防ぐため、体積緩衝封止構
造体15が設けられている。
【0024】熱中性子に対しては、ガラスシンチレータ
容器12の外周に、さらにガラスシンチレータ16を配置
し、ライトガイドや光電子増倍管を用いて、熱中性子を
99%以上で計測する一方、γ線に対しては、中速中性
子同様にパルス波高的に除去することができる。また速
中性子および中速中性子はガラスシンチレータ12を透過
し、液体シンチレータ11へ入射するので、これらのシン
チレータ11, 12, 16によって速中性子から熱中性子まで
を分離検出することができる。
【0025】このように各種パルスが混在していても、
パルスの特徴をとらえて、各中性子やγ線の分離ができ
ることから、ここまでの発光パルスの測定は、単一光電
子増倍管で可能となり、簡素な装置構成で確実な測定を
行える大きな利点を有している。
【0026】図5に、上述の検出部の構造概念を斜視図
として模式的に示すと、同図において、検出器の形状は
説明の関係で直方体としているが、形状は直方体に限定
されない。また各構造体は分解されているが、液体シン
チレータ11を中心に接合し使用する。液体シンチレータ
11は液体であるので温度差による体積変動が大きい。し
たがって緩衝構造体としての体積緩衝封止構造体15が不
可欠である。
【0027】液体シンチレータ11での発光パルスのライ
ズタイムを数 n秒とするには液体シンチレータ11の脱
気封入が鍵であるとともに、容器内に空所があると携帯
移動において位置変動を生じ計測変動を起こす原因とな
るので、空所の排除が肝要である。そのためにベロー・
チップオフ構造体あるいはエンドレス・クラインボトル
・チップオフ構造体をガラスシンチレータ容器12に設け
る。
【0028】また、液体シンチレータ11からの発光を導
出するライトガイド13は、光電子増倍管14側からの熱中
性子の入射を阻止するため、熱中性子を特異的に吸収す
る例えば 10Bを用いたガラスとし、かつ、光電子増倍
管14の感度領域の波長帯域の発光がないようにする。
【0029】ガラスシンチレータ容器12に設けられるク
ラインボトル・チップオフ構造体の断面は図6に示すよ
うになっており、液体シンチレータ11およびガラスシン
チレータ容器12に光学的には遮光し合着され、細管20の
管内に液体シンチレータ11の液体が連通して注入され
る。注入部位は室温において、液体シンチレータ容器壁
の連通孔12aから真空ボトル部21の入り口21a付近まで
の中間部とする。
【0030】このようにして、温度変化による体積変動
に合わせ管内液部が移動し、シンチレータ容器としての
ガラスシンチレータ容器12への圧力を緩衝するものであ
る。さらに、真空容器部にはチップオフ構造を設け、液
体シンチレータ11の注入と容器の真空化を行うようにす
る。
【0031】この機能は水銀温度計やアルコール温度計
にたとえると、水銀溜が液体シンチレータ部で、温度を
示す水銀柱が細管部であり、温度計の水銀の存在しない
真空空間は細管部の一部と真空ボトル部とが対応する。
これらの機構によって、水銀溜に空所が生じないよう
に、液体シンチレータ11にもその位置状態に拘わらず空
間が発生しないのである。
【0032】さらに、ボトル部21の他の機能はチップオ
フにある。すなわち、液体シンチレータ検出部全体を使
用温度上限より高い温度に設定し、液体シンチレータ11
でボトル部21まで十分に満たし、かつ、液体シンチレー
タ11の脱気を行い、空間のない状態にする。この状態で
チップ部の圧延切断と封止が行われる。その後、ボトル
部21を最上部にして使用温度に戻せば、ボトル部21およ
び細管20の一部が真空になる。なお、液体シンチレータ
11は蒸気圧が高いので、真空ボトル部21は蒸気圧まで液
体シンチレータ蒸気で満たされる。この状態でも、真空
空間部としての機能は失われない。このようにして、液
体シンチレータ11の良好な機能が発揮される。
【0033】図5に示す熱中性子用ガラスシンチレータ
容器12に用いられるライトガイド13は、光電子増倍管14
との中間にシリコングリース等を用い、気泡等が入らな
いようにして密着し、中速中性子用ガラスシンチレータ
の端部側面と一致する寸法で設置されるもので、薄いシ
ンチレータの隅々からの発光を光電子増倍管へ導出する
とともに、光電子増倍管側より飛来入射する熱中性子の
吸収体になるように配置する。
【0034】図7は前述の実施形態の変形例を示すもの
で、液体シンチレータ11の内部中央でガラスシンチレー
タ容器12の光取出しガラスシンチレータ容器面に、管状
ガラスシンチレータ22の一端が取り付けられている。管
状ガラスシンチレータ22の管壁の厚さは1〜1.5m
m、管直径はガラスシンチレータ容器12の1辺の長さの
1/3程度とし、長さは上記1辺の長さの2/3程度と
する。管状ガラスシンチレータ22からの発光の導出およ
びγ線に不感にする手法は前述と同様であるので省略す
る。この管状ガラスシンチレータ22は、中速中性子が液
体シンチレータ11の中央部で熱化し、ガラスシンチレー
タ容器12に入射しない中速中性子成分を計測するもので
ある。このようにして、この管状ガラスシンチレータ22
が設けられることにより、中速中性子の検出効率が著し
く向上するようになる。
【0035】次に本発明の装置の回路ブロックについて
説明する。図4に示すように、液体シンチレータ11から
の速中性子とγ線による発光と、ガラスシンチレータ容
器12からの中速中性子とγ線による発光とは、光電子増
倍管14でそれぞれ電気パルスとなり、前置増幅器17を経
てパターン認識器18と波高選別器19とに並列に入力す
る。パターン認識器18では液体シンチレータ11からの速
中性子とγ線とをパルスデケイタイムあるいはライズタ
イム的に分離する。すなわち、速中性子については20
0n秒以上、γ線に対しては30n秒以下で分離し、か
つ、波高分析器19からの信号が速中性子は低くγ線は高
いことから、波形的パラメータと波高的パラメータとの
両パラメータを駆使して分離測定する。
【0036】一方、中速中性子については、パターン認
識的にはデケイタイムが100n秒以下であり、γ線と
ほとんど同じなので分離できないが、液体シンチレータ
11からの信号との分離に用いる。さらに、ガラスシンチ
レータの発光効率が液体シンチレータの約1/3と低い
ことから、液体シンチレータでのγ線の波高値と大幅に
異なるとともに、波高値は、中速中性子の熱化された中
性子とγ線とでも異なるため、波高選別器19で分離測定
する。これにより、速中性子と中速中性子のそれぞれの
分離測定を可能にする。
【0037】さらに、速中性子の波高値は、速中性子の
エネルギー情報も含んでいるので、等価線量評価に有効
である。熱中性子については、同様に他の前置増幅器17
を経た信号について波高選別器19で波高的に分離し、熱
中性子のみの測定を可能にする。
【0038】このようにして本実施形態の放射線検出器
では、速中性子、中速中性子および熱中性子に分離して
測定することが行われ、速、中速中性子、熱中性子計数
(率)がそれぞれ計数率表示器30, 31, 32で実時間表示
される。また、速中性子、中速中性子、熱中性子の計数
率として分離測定された各信号は、時間対応で記録解析
装置23にそれぞれメモリされる。
【0039】さらに上述のように記録された速中性子、
中速中性子および熱中性子の各計数率信号をもとに、等
価線量が以下のようにして求められる。すなわち図4に
示すように、記録されている各計数率を記録解析装置23
に内蔵するマイクロモジュールあるいは外付きの計算機
24を用い、10-2MeV以下、10-2〜10-1MeV、
10-1〜1.5×100MeV、1.5×20MeVの4
エネルギー範囲の計数率に分配し、エネルギーごとの吸
収線量に換算する。このエネルギー範囲は、ICRP勧
告60の等価線量評価にほぼ対応させたものである。
【0040】本検出器では、等価線量を上述のように求
めた4エネルギー範囲の各吸収線量に、図3に示すよう
に、ICRPが勧告する放射線荷重係数5,10,2
0,10の各放射線荷重計数をエネルギー範囲に合わせ
て乗じて算出することが行われる。
【0041】また図8に示す本発明の他の実施形態で
は、前述のガラスシンチレータ容器12および熱中性子用
ガラスシンチレータ16に代え、2層構造からなる 3He
電離箱(同様の効果が得られる比例計数管でもよい。)
が、図4に示す速中性子用液体シンチレータ11を入れた
通常の容器の外周に配置される。
【0042】この2層構造の電離箱は図8において符号
41, 42で示すものであり、1層の電離箱(例えば4cm
×10cm×10cm)の内部に 3Heを8気圧封入す
る。電極は箱部を陰極とし、0.1〜2mmφの例えば
タングステン線を集電極43として1本あるいは2本程度
を陰極内部に設置する。
【0043】この電離箱に熱中性子44を入射させると9
9%以上が 3Heと核反応し、トリトンとプロトンとを
発生する。この荷電粒子による電離電荷を集電し、パル
ス電離箱として動作測定する。γ線の入射で生じるパル
スは電子による電離電荷なので、核反応による電離電荷
に比し1/10以下となり、γ線に対しては不感であ
る。
【0044】なお、上述した核反応の確率について、3
Heの封入気圧をpとして計算し、[表1]に示した。
核反応しないで透過する割合はexp(−0.6p)で
ある。核反応する割合は{1−exp(−0.6p)}で
あって、電離箱への封入圧が8気圧の場合は99.3%
であり、9気圧での核反応の割合は99.45%であ
る。
【表1】
【0045】図8に示すように、速中性子、中速中性子
45は、ほとんど電離箱を透過するのみであるので不感で
ある。したがって、熱中性子用ガラスシンチレータと同
様の測定ができる。すなわち、図8(a)は熱中性子用
ガラスシンチレータ機能と同様の状態を示し、図8
(b)は液体シンチレータ容器のガラスシンチレータの
機能と同様であることを示している。これらのことか
ら、置き換えが可能になる。
【0046】上述のように検出器としては、上記構成の
うち1つでも欠けると、その機能は得られないのであ
り、この適切な構成それぞれが、組合わせ検出器ではな
く総合的単一検出器ということである。
【0047】また、本発明の検出器の総合的重さは液体
シンチレータから推定される。すなわち、検出器の外形
を7.5cmの立方体とすると420gであり、回路系
を含めても4kg以下に軽量化される。また、γ線には
不感であるから、環境レベルからの測定を可能とする。
【0048】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の放射線検
出器によれば、液体シンチレータと、ガラスシンチレー
タとを採用し、各シンチレータによる検出機能の相互補
完が行われるようになっている。すなわち、液体シンチ
レータは速中性子を測定する以外に、中速中性子を熱化
し、ガラスシンチレータに入射させる機能を持ち、この
ガラスシンチレータは液体シンチレータからの熱化した
中速中性子を測定する以外に液体シンチレータの容器と
しての機能を有する。また、熱中性子を99%以上(約
100%)計数することから検出効率が高く、かつ、液
体シンチレータからの熱中性子を外部に放射させない吸
収体の働きもしている。さらに光電子増倍管も単一で賄
える。熱中性子検出器は計数効率が約100%で非常に
高く、しかも熱中性子の他検出器への入射を阻止できる
ことから相互関係は密であり、いずれも欠かせない構成
で、単一検出器と見なせるものになっている。20Me
V以下0.025eVまでの9デカードにわたる広範囲
の中性子を速中性子、中速中性子および熱中性子に分割
し、実時間計数率表示ができる。これはエネルギー情報
が得られることによるもので、計数情報を記録すること
により、吸収線量を算出し、ICRP勧告60の荷重計
数を乗じて等価線量評価が得られるようになるという、
従来装置ではほとんど得られない効果を奏するものであ
る。このように本発明の放射線検出器によれば、感度が
高く、環境レベルからの測定を可能とするまでに性能が
向上するようになり、またγ線に不感とするほか、減速
材を特に用いないことから従来の検出器の重量の約1/
2以下にまで軽量化することができるという効果が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来から使用されてきたレムカウンタの概略図
である。
【図2】ICRP勧告21(1971)のレム換算曲線を示
すグラフである。
【図3】ICRP勧告60(1990)の等価線量の評価の
ための放射線荷重係数を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施形態としての放射線検出器の構
成を概略的に示す説明図である。
【図5】図4の放射線検出器の一部を模式的に示す斜視
図である。
【図6】温度歪み緩衝クラインボトル・チップオフ構造
の断面の概略図である。
【図7】管状ガラスシンチレータを付加した中性子用検
出器の概略図である。
【図8】2層構造 3He加圧封入パルス電離箱(比例計
数管)の説明図である。
【符号の説明】
11 液体シンチレータ 12 ガラスシンチレータ容器 12a 連通孔 13 ライトガイド 14 光電子増倍管 15 体積緩衝封止構造体 16 ガラスシンチレータ 17 前置増幅器 18 パターン認識器 19 波高選別器 20 細管 21 真空ボトル部 21a 真空ボトル部の入口 23 記録解析装置 24 計算機 30,31,32 計数率表示器 41,42 電離箱 43 集電極 44 熱中性子 45 中速中性子
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年5月10日(2000.5.1
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 速中性子の測定と中速中性子の熱化とに
    用いられる液体シンチレータと、同液体シンチレータに
    より熱化された中速中性子を測定するためのガラスシン
    チレータとをそなえ、同ガラスシンチレータが上記液体
    シンチレータの容器を兼ねていることを特徴とする、放
    射線検出器。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の放射線検出器におい
    て、上記容器が1〜1.5mm厚さの 6Liガラスシン
    チレータで形成されていることを特徴とする、放射線検
    出器。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の放射線検出器
    において、上記容器の内部の液体シンチレータの温度差
    による体積変動に対応すべく、同容器に体積緩衝封止構
    造体が設けられていることを特徴とする、放射線検出
    器。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1つに記載の放
    射線検出器において、上記液体シンチレータの中心部に
    1〜1.5mm厚さの 6Liガラスシンチレータからな
    る管状構造体が配設されて、同管状構造体の一端が、上
    記液体シンチレータを収容する容器の光り取り出し部の
    内面に取り付けられていることを特徴とする、放射線検
    出器。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1つに記載の放
    射線検出器において、上記液体シンチレータを収容する
    容器としてのガラスシンチレータの外周に、さらに付加
    的ガラスシンチレータが設けられ、上記液体シンチレー
    タおよび上記容器としてのガラスシンチレータならびに
    上記付加的ガラスシンチレータからの各信号についてγ
    成分の分離を行うパターン認識手段および波高選別手段
    と、γ成分を分離された上記各信号に基づき速中性子お
    よび中速中性子ならびに熱中性子の各中性子束に係る計
    数(率)または線束数(率)として実時間表示する手段
    とが設けられたことを特徴とする、放射線検出器。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の放射線検出器におい
    て、γ成分を分離された上記各信号を時間対応でメモリ
    する手段が設けられたことを特徴とする、放射線検出
    器。
  7. 【請求項7】 請求項5または6に記載の放射線検出器
    において、γ成分を分離された上記各信号を、マイクロ
    モジュールあるいは計算機により、10-2MeV以下、
    10-2〜10-1MeV、10-1〜1.5×100MeV、
    1.5〜20MeVの4エネルギー範囲に分配して、エ
    ネルギー範囲ごとの吸収線量に換算する手段と、さらに
    上記4エネルギー範囲に対し放射線荷重係数を乗じて等
    価線量を算出する手段とが設けられたことを特徴とす
    る、放射線検出器。
  8. 【請求項8】 速中性子の測定と中速中性子の熱化とに
    用いるべく容器に収容された液体シンチレータと、上記
    容器の外周に配置された2層構造の熱中性子測定用電離
    箱とをそなえ、各電離箱に 3Heが封入されていること
    を特徴とする、放射線検出器。
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