JP3837529B2 - 放射線検出器 - Google Patents

放射線検出器 Download PDF

Info

Publication number
JP3837529B2
JP3837529B2 JP2002371771A JP2002371771A JP3837529B2 JP 3837529 B2 JP3837529 B2 JP 3837529B2 JP 2002371771 A JP2002371771 A JP 2002371771A JP 2002371771 A JP2002371771 A JP 2002371771A JP 3837529 B2 JP3837529 B2 JP 3837529B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scintillator
neutrons
container
glass
liquid scintillator
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2002371771A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003232863A (ja
Inventor
洋一 佐久間
博夫 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Inter University Research Institute Corp National Institute of Natural Sciences
Original Assignee
Inter University Research Institute Corp National Institute of Natural Sciences
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Inter University Research Institute Corp National Institute of Natural Sciences filed Critical Inter University Research Institute Corp National Institute of Natural Sciences
Priority to JP2002371771A priority Critical patent/JP3837529B2/ja
Publication of JP2003232863A publication Critical patent/JP2003232863A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3837529B2 publication Critical patent/JP3837529B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Landscapes

  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)
  • Measurement Of Radiation (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中性子の計測器に関するものであり、中性子の放射を伴う事故を未然に防ぐとともに安全管理のための確実で容易な測定を行うもので、中性子を取り扱う核融合、原子力、工業利用、医学等の分野で環境レベルから高線束までの中性子を、X線やγ線が混在していても1台の検出器で分離測定可能に用いられる放射線検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の中性子漏洩事故により中性子の計測の重要性が認識された。一方、中性子は核融合や原子力の技術分野においては不可分なものであるほか、加速器や工業,医学等の分野で広く利用されている。これらに伴って、高線束はもとより環境レベルの中性子束を安全管理の上からも測定できなければならない。しかし、中性子は電荷を有していないことと、安全管理面から、エネルギーが0.025MeVと低い熱中性子から20MeVの速中性子までの広いエネルギー範囲、すなわち9デカードに亙って、1台の装置で確実に測定できることが望ましい。 そのために従来から図1に示すレムカウンタ(商品名)方式の装置が専ら使用されてきたが、この装置は商品化されてから現在に至るまで装置構成はほとんど変わらないものである。
【0003】
このレムカウンタは、図2に示すような、国際放射線防護委員会(ICRP)勧告21(1971年)のレム値換算曲線に則った近似評価を可能とするよう開発されたものである。レムカウンタは、図1に示すように、中性子検出に、熱中性子に高感度なBF3(またはHe-3)カウンタ1を用いている。測定中性子はすべて熱中性子化して測定する。熱中性子化はBF3カウンタ1の周囲に中性子減速材であるポリエチレン(水素を多く含む物質)2を6〜8cmの厚さで配置している。したがって、重量は減速材だけでも数kg以上に及び、重くなる欠点がある。
【0004】
減速材による熱中性子化はエネルギーによって異なることと、図2に示すレム値換算曲線(横軸:中性子エネルギーeV,縦軸:検出感度cpm/n・cm-2・s-1)におけるICRP−21レムレスポンス曲線のエネルギー対応をする必要がある。
【0005】
そこで、熱中性子の検出器への入射を調整するもので、BF3カウンタ1から約2cmの周囲、すなわちポリエチレン減速材2の内部に熱中性子吸収材である10Bを含むゴム(1〜2mm厚)3を円筒状に配置し、かつ、吸収材3には熱中性子を適度に透過させる篩い穴4を設けてある。これらにより図2に示す横軸のエネルギーに対応したレム近似換算値で中性子測定を可能にするものである。
【0006】
しかしレムカウンタは全ての中性子を熱中性子化して測定するので、エネルギー情報は得られない。エネルギーに対する計数率感度は速中性子を1とすると、熱および中速中性子の大部分をレム値に換算するため1/50と感度を激減させていることが図2からも明らかである。そして検出器の重量は上記減速材も含め7〜10kgになっているので、携帯使用には負担となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
今後の中性子計測は、等価線量で評価するというICRP勧告60(1990年)により法令改正の準備も進められていることから、この勧告に沿って行われることが望まれる。等価線量は、中性子の吸収線量に放射線荷重係数(図3に示す)を乗じるものである。放射線荷重係数は中性子の場合、一定の値ではなく、エネルギーごとに定められており、その値は、図3の実線グラフA(横軸:中性子エネルギーMeV,縦軸:放射線荷重係数)で示す各エネルギーについての放射線荷重係数である。図3における点線グラフBは近似的に扱われる曲線である。
【0008】
したがって、従来方式のようにエネルギー情報の無い方式では対応困難であり、このためエネルギーごとの吸収線量を測定可能とし、エネルギーに対応する放射線荷重係数を乗じて等価線量が得られる必要がある。
【0009】
本発明は、上述の諸事情に鑑みて、環境レベルからの測定を可能とするように、従来装置より感度を大幅に向上させるとともに、携帯使用の利便性を高めるため軽量化を図った放射線検出器を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、本発明の放射線検出器は、速中性子の測定と中速中性子の熱化とに用いられる液体シンチレータと、同液体シンチレータにより熱化された中速中性子を測定するためのガラスシンチレータとをそなえ、同ガラスシンチレータが上記液体シンチレータを脱気封入したガラスシンチレータ容器として構成され、同ガラスシンチレータ容器に、同容器が上記液体シンチレータの温度変化に伴う体積変動により破損するのを防止すべく、体積緩衝封止構造体が設けられていることを特徴としている。
【0011】
また本発明の放射線検出器は、上記体積緩衝封止構造体が、真空ボトル部を備えるようにして上記ガラスシンチレーター容器に接続されていることを特徴としている。
【0012】
さらに、本発明の放射線検出器は、速中性子の測定と中速中性子の熱化とに用いるべく容器に収容された液体シンチレータと、上記容器の外周に配置された2層構造の電離箱とをそなえ、これらの電離箱にそれぞれ 3Heが封入されており、同電離箱を透過した中速中性子が上記液体シンチレータで熱化され熱中性子となって上記電離箱に戻ってきたものを測定すべく、同電離箱の箱部が陰極とされるとともに、同電離箱内に集電極が設置されていることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態としての放射線検出器について説明すると、図4は本発明の放射線検出器の構成を概略的に示す説明図、図5は図4の放射線検出器の一部を模式的に示す斜視図、図6は温度歪み緩衝クラインボットル・チップオフ構造体の断面の概略図、図7は本発明の放射線検出器の変形例として管状ガラスシンチレータを付加した中性子用検出器の概略図、図8は2層構造 3He加圧封入パルス電離箱(比例計数管)の説明図である。
【0014】
図4に示す本発明の放射線検出器において、速中性子を検出する液体シンチレータ(商品名NE−213またはBC−501A)11は100ml以上とし、速中性子が液体シンチレータ11の水素原子に作用し、反挑陽子を発生するようになっている。この反挑陽子によって240n秒程度のデケイタイム(回路によってはライズタイム)の発光パルスを生じる。
【0015】
液体シンチレータ11は、速中性子以外のγ線でも発光を生じるので、γ線との分離を必要とする。液体シンチレータ11中でのγ線による発光は、光電効果、コンプトン効果あるいは電子対創生により発生する電子によるものである。この電子による発光は3〜15n秒のデケイタイムの発光パルスになる。中性子とγ線とは、パルスのデケイタイムの時間差を用いて分離される。
【0016】
中速中性子は、液体シンチレータ11に入射しても計測可能な発光パルスはほとんど生じない。しかし、中速中性子は液体シンチレータ11中の水素と散乱を繰返し、熱中性子化するうちに液体シンチレータ11の容器に入射する。この容器を熱中性子に特に有感な 6Liガラスシンチレータ容器12として構成することで中速中性子を測定可能とする。
【0017】
熱化した中速中性子は 6Liと核反応し、α線とトリトンを生じる。α線とトリトンはシンチレータ中で発光パルスを生じる。このパルスのデケイタイムは20〜80n秒であるため、液体シンチレータ11のパルスとも分離でき、中速中性子の測定も可能になる。
【0018】
一方、γ線に対しても、液体シンチレータ11と同様に有感であるが、ガラスシンチレータ容器12の厚さを1〜1.5mmと薄くすることで、発光パルス波高を低下させ、波高的には中速中性子とγ線とを分離し、γ線を不感にすることができる。
【0019】
これらシンチレータ11, 12からの発光パルスは、ライトガイド13を用いて光電子増倍管14に導出され、約107 倍に増幅される。さらに容器としてのガラスシンチレータ12には、液体シンチレータ11の温度変化に伴う体積変動による破損を防ぐため、体積緩衝封止構造体15が設けられている。
【0020】
熱中性子に対しては、ガラスシンチレータ容器12の外周に、さらにガラスシンチレータ16を配置し、ライトガイドや光電子増倍管を用いて、熱中性子を99%以上で計測する一方、γ線に対しては、中速中性子同様にパルス波高的に除去することができる。また速中性子および中速中性子はガラスシンチレータ12を透過し、液体シンチレータ11へ入射するので、これらのシンチレータ11, 12, 16によって速中性子から熱中性子までを分離検出することができる。
【0021】
このように各種パルスが混在していても、パルスの特徴をとらえて、各中性子やγ線の分離ができることから、ここまでの発光パルスの測定は、単一光電子増倍管で可能となり、簡素な装置構成で確実な測定を行える大きな利点を有している。
【0022】
図5に、上述の検出部の構造概念を斜視図として模式的に示すと、同図において、検出器の形状は説明の関係で直方体としているが、形状は直方体に限定されない。また各構造体は分解されているが、液体シンチレータ11を中心に接合し使用する。
液体シンチレータ11は液体であるので温度差による体積変動が大きい。したがって緩衝構造体としての体積緩衝封止構造体15が不可欠である。
【0023】
液体シンチレータ11での発光パルスのライズタイムを数 n秒とするには液体シンチレータ11の脱気封入が鍵であるとともに、容器内に空所があると携帯移動において位置変動を生じ計測変動を起こす原因となるので、空所の排除が肝要である。そのためにベロー・チップオフ構造体あるいはエンドレス・クラインボトル・チップオフ構造体としての体積緩衝封止構造体 15、図6に示すようにガラスシンチレータ容器12に接続する。
【0024】
また、液体シンチレータ11からの発光を導出するライトガイド13は、光電子増倍管14側からの熱中性子の入射を阻止するため、熱中性子を特異的に吸収する例えば 10Bを用いたガラスとし、かつ、光電子増倍管14の感度領域の波長帯域の発光がないようにする。
【0025】
ガラスシンチレータ容器12に設けられるクラインボトル・チップオフ構造体の断面は図6に示すようになっており、液体シンチレータ11およびガラスシンチレータ容器12に光学的には遮光し合着され、細管20の管内に液体シンチレータ11の液体が連通して注入される。注入部位は室温において、液体シンチレータ容器壁の連通孔12aから真空ボトル部21の入り口21a付近までの中間部とする。
【0026】
このようにして、温度変化による体積変動に合わせ管内液部が移動し、シンチレータ容器としてのガラスシンチレータ容器12への圧力を緩衝するものである。さらに、真空容器部にはチップオフ構造を設け、液体シンチレータ11の注入と容器の真空化を行うようにする。
【0027】
この機能は水銀温度計やアルコール温度計にたとえると、水銀溜が液体シンチレータ部で、温度を示す水銀柱が細管部であり、温度計の水銀の存在しない真空空間は細管部の一部と真空ボトル部とが対応する。これらの機構によって、水銀溜に空所が生じないように、液体シンチレータ11にもその位置状態に拘わらず空間が発生しないのである。
【0028】
さらに、ボトル部21の他の機能はチップオフにある。すなわち、液体シンチレータ検出部全体を使用温度上限より高い温度に設定し、液体シンチレータ11でボトル部21まで十分に満たし、かつ、液体シンチレータ11の脱気を行い、空間のない状態にする。この状態でチップ部の圧延切断と封止が行われる。その後、ボトル部21を最上部にして使用温度に戻せば、ボトル部21および細管20の一部が真空になる。なお、液体シンチレータ11は蒸気圧が高いので、真空ボトル部21は蒸気圧まで液体シンチレータ蒸気で満たされる。この状態でも、真空空間部としての機能は失われない。このようにして、液体シンチレータ11の良好な機能が発揮される。
【0029】
図5に示す熱中性子用ガラスシンチレータ容器12に用いられるライトガイド13は、光電子増倍管14との中間にシリコングリース等を用い、気泡等が入らないようにして密着し、中速中性子用ガラスシンチレータの端部側面と一致する寸法で設置されるもので、薄いシンチレータの隅々からの発光を光電子増倍管へ導出するとともに、光電子増倍管側より飛来入射する熱中性子の吸収体になるように配置する。
【0030】
図7は前述の実施形態の変形例を示すもので、液体シンチレータ11の内部中央でガラスシンチレータ容器12の光取出しガラスシンチレータ容器面に、管状ガラスシンチレータ22の一端が取り付けられている。管状ガラスシンチレータ22の管壁の厚さは1〜1.5mm、管直径はガラスシンチレータ容器12の1辺の長さの1/3程度とし、長さは上記1辺の長さの2/3程度とする。管状ガラスシンチレータ22からの発光の導出およびγ線に不感にする手法は前述と同様であるので省略する。この管状ガラスシンチレータ22は、中速中性子が液体シンチレータ11の中央部で熱化し、ガラスシンチレータ容器12に入射しない中速中性子成分を計測するものである。このようにして、この管状ガラスシンチレータ22が設けられることにより、中速中性子の検出効率が著しく向上するようになる。
【0031】
次に本発明の装置の回路ブロックについて説明する。
図4に示すように、液体シンチレータ11からの速中性子とγ線による発光と、ガラスシンチレータ容器12からの中速中性子とγ線による発光とは、光電子増倍管14でそれぞれ電気パルスとなり、前置増幅器17を経てパターン認識器18と波高選別器19とに並列に入力する。パターン認識器18では液体シンチレータ11からの速中性子とγ線とをパルスデケイタイムあるいはライズタイム的に分離する。すなわち、速中性子については200n秒以上、γ線に対しては30n秒以下で分離し、かつ、波高分析器19からの信号が速中性子は低くγ線は高いことから、波形的パラメータと波高的パラメータとの両パラメータを駆使して分離測定する。
【0032】
一方、中速中性子については、パターン認識的にはデケイタイムが100n秒以下であり、γ線とほとんど同じなので分離できないが、液体シンチレータ11からの信号との分離に用いる。さらに、ガラスシンチレータの発光効率が液体シンチレータの約1/3と低いことから、液体シンチレータでのγ線の波高値と大幅に異なるとともに、波高値は、中速中性子の熱化された中性子とγ線とでも異なるため、波高選別器19で分離測定する。これにより、速中性子と中速中性子のそれぞれの分離測定を可能にする。
【0033】
さらに、速中性子の波高値は、速中性子のエネルギー情報も含んでいるので、等価線量評価に有効である。
熱中性子については、同様に他の前置増幅器17を経た信号について波高選別器19で波高的に分離し、熱中性子のみの測定を可能にする。
【0034】
このようにして本実施形態の放射線検出器では、速中性子、中速中性子および熱中性子に分離して測定することが行われ、速、中速中性子、熱中性子計数(率)がそれぞれ計数率表示器30, 31, 32で実時間表示される。
また、速中性子、中速中性子、熱中性子の計数率として分離測定された各信号は、時間対応で記録解析装置23にそれぞれメモリされる。
【0035】
さらに上述のように記録された速中性子、中速中性子および熱中性子の各計数率信号をもとに、等価線量が以下のようにして求められる。
すなわち図4に示すように、記録されている各計数率を記録解析装置23に内蔵するマイクロモジュールあるいは外付きの計算機24を用い、10-2MeV以下、10-2〜10-1MeV、10-1〜1.5×100MeV、1.5×20MeVの4エネルギー範囲の計数率に分配し、エネルギーごとの吸収線量に換算する。このエネルギー範囲は、ICRP勧告60の等価線量評価にほぼ対応させたものである。
【0036】
本検出器では、等価線量を上述のように求めた4エネルギー範囲の各吸収線量に、図3に示すように、ICRPが勧告する放射線荷重係数5,10,20,10の各放射線荷重計数をエネルギー範囲に合わせて乗じて算出することが行われる。
【0037】
また図8に示す本発明の他の実施形態では、前述のガラスシンチレータ容器12および熱中性子用ガラスシンチレータ16に代え、2層構造からなる 3He電離箱(同様の効果が得られる比例計数管でもよい。)41 42が、図4に示す速中性子用液体シンチレータ11を入れた通常の容器の外周に配置される。
【0038】
この2層構造の電離箱は図8において符号41, 42で示すものであり、1層の電離箱(例えば4cm×10cm×10cm)の内部に 3Heを8気圧封入する。電極は箱部を陰極とし、0.1〜2mmφの例えばタングステン線を集電極43として1本あるいは2本程度を陰極内部に設置する。
【0039】
この電離箱に熱中性子44を入射させると99%以上が 3Heと核反応し、トリトンとプロトンとを発生する。この荷電粒子による電離電荷を集電し、パルス電離箱として動作測定する測定手段が設けられる。γ線の入射で生じるパルスは電子による電離電荷なので、核反応による電離電荷に比し1/10以下となり、γ線に対しては不感である。
図8(b)に示すように、2層構造の電離箱41,42を透過した中速中性子45が、外側の液体シンチレータ11で熱化されて、熱中性子44となって戻ってきたものを、電離箱41,42に導いて、その箱部としての陰極と箱内の集電極43とにより測定する作用が行われる。
【0040】
なお、上述した核反応の確率について、3Heの封入気圧をpとして計算し、[表1]に示した。核反応しないで透過する割合はexp(−0.6p)である。核反応する割合は{1−exp(−0.6p)}であって、電離箱への封入圧が8気圧の場合は99.3%であり、9気圧での核反応の割合は99.45%である。
【表1】
Figure 0003837529
【0041】
図8に示すように、速中性子、中速中性子45は、ほとんど電離箱を透過するのみであるので不感である。したがって、熱中性子用ガラスシンチレータと同様の測定ができる。すなわち、図8(a)は熱中性子用ガラスシンチレータ機能と同様の状態を示し、図8(b)は液体シンチレータ容器のガラスシンチレータの機能と同様であることを示している。これらのことから、置き換えが可能になる。
【0042】
上述のように検出器としては、上記構成のうち1つでも欠けると、その機能は得られないのであり、この適切な構成それぞれが、組合わせ検出器ではなく総合的単一検出器ということである。
【0043】
また、本発明の検出器の総合的重さは液体シンチレータから推定される。すなわち、検出器の外形を7.5cmの立方体とすると420gであり、回路系を含めても4kg以下に軽量化される。また、γ線には不感であるから、環境レベルからの測定を可能とする。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の放射線検出器によれば、液体シンチレータと、ガラスシンチレータとを採用し、各シンチレータによる検出機能の相互補完が行われるようになっている。すなわち、液体シンチレータは速中性子を測定する以外に、中速中性子を熱化し、ガラスシンチレータに入射させる機能を持ち、このガラスシンチレータは液体シンチレータからの熱化した中速中性子を測定する以外に液体シンチレータの容器としての機能を有する。また、熱中性子を99%以上(約100%)計数することから検出効率が高く、かつ、液体シンチレータからの熱中性子を外部に放射させない吸収体の働きもしている。さらに光電子増倍管も単一で賄える。
熱中性子検出器は計数効率が約100%で非常に高く、しかも熱中性子の他検出器への入射を阻止できることから相互関係は密であり、いずれも欠かせない構成で、単一検出器と見なせるものになっている。
20MeV以下0.025eVまでの9デカードにわたる広範囲の中性子を速中性子、中速中性子および熱中性子に分割し、実時間計数率表示ができる。これはエネルギー情報が得られることによるもので、計数情報を記録することにより、吸収線量を算出し、ICRP勧告60の荷重計数を乗じて等価線量評価が得られるようになるという、従来装置ではほとんど得られない効果を奏するものである。
このように本発明の放射線検出器によれば、感度が高く、環境レベルからの測定を可能とするまでに性能が向上するようになり、またガラスシンチレータ容器によりγ線に不感になしうるほか、ガラスシンチレータが液体シンチレータの容器を兼ねることにより、従来のポリエチレン等の厚い層としての重い減速材を特に用いないことから従来の検出器の重量の約1/2以下にまで軽量化することができるという効果が得られる。
また、電離箱方式の場合もγ線に対して不感になしうるほか、速中性子や中速中性子も電離箱を透過するのみで、これらに対し不感となり、したがって、熱中性子用ガラスシンチレータと同様の測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来から使用されてきたレムカウンタの概略図である。
【図2】 ICRP勧告21(1971)のレム換算曲線を示すグラフである。
【図3】 ICRP勧告60(1990)の等価線量の評価のための放射線荷重係数を示すグラフである。
【図4】 本発明の一実施形態としての放射線検出器の構成を概略的に示す説明図である。
【図5】 図4の放射線検出器の一部を模式的に示す斜視図である。
【図6】 温度歪み緩衝クラインボトル・チップオフ構造の断面の概略図である。
【図7】 管状ガラスシンチレータを付加した中性子用検出器の概略図である。
【図8】 2層構造 3He加圧封入パルス電離箱(比例計数管)の説明図である。
【符号の説明】
11 液体シンチレータ
12 ガラスシンチレータ容器
12a 連通孔
13 ライトガイド
14 光電子増倍管
15 体積緩衝封止構造体
16 ガラスシンチレータ
17 前置増幅器
18 パターン認識器
19 波高選別器
20 細管
21 真空ボトル部
21a 真空ボトル部の入口
23 記録解析装置
24 計算機
30,31,32 計数率表示器
41,42 電離箱
43 集電極
44 熱中性子
45 中速中性子

Claims (3)

  1. 速中性子の測定と中速中性子の熱化とに用いられる液体シンチレータと、同液体シンチレータにより熱化された中速中性子を測定するためのガラスシンチレータとをそなえ、同ガラスシンチレータが上記液体シンチレータを脱気封入したガラスシンチレータ容器として構成され、同ガラスシンチレータ容器に、同容器が上記液体シンチレータの温度変化に伴う体積変動により破損するのを防止すべく、体積緩衝封止構造体が設けられていることを特徴とする、放射線検出器。
  2. 請求項1に記載の放射線検出器において、上記体積緩衝封止構造体が、真空ボトル部を備えるようにして上記ガラスシンチレーター容器に接続されていることを特徴とする、放射線検出器。
  3. 速中性子の測定と中速中性子の熱化とに用いるべく容器に収容された液体シンチレータと、上記容器の外周に配置された2層構造の電離箱とをそなえ、これらの電離箱にそれぞれ 3Heが封入されており、同電離箱を透過した中速中性子が上記液体シンチレータで熱化され熱中性子となって上記電離箱に戻ってきたものを測定すべく、同電離箱の箱部が陰極とされるとともに、同電離箱内に集電極が設置されていることを特徴とする、放射線検出器。
JP2002371771A 2002-12-24 2002-12-24 放射線検出器 Expired - Lifetime JP3837529B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002371771A JP3837529B2 (ja) 2002-12-24 2002-12-24 放射線検出器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002371771A JP3837529B2 (ja) 2002-12-24 2002-12-24 放射線検出器

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000068983A Division JP3407032B2 (ja) 2000-03-13 2000-03-13 放射線検出器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003232863A JP2003232863A (ja) 2003-08-22
JP3837529B2 true JP3837529B2 (ja) 2006-10-25

Family

ID=27785663

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002371771A Expired - Lifetime JP3837529B2 (ja) 2002-12-24 2002-12-24 放射線検出器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3837529B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006147554A (ja) * 2004-11-15 2006-06-08 General Electric Co <Ge> 放射線検出のための楕円形ガス封入式検出器
JP4548732B2 (ja) * 2006-02-15 2010-09-22 富士電機システムズ株式会社 中性子検出器および中性子線量計
CN104678425B (zh) * 2015-02-02 2017-03-22 中国原子能科学研究院 一种基于液体闪烁探测器的快中子多重性测量分析方法
JP6991501B2 (ja) * 2017-05-26 2022-01-12 株式会社八神製作所 中性子検出器及び中性子測定装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS532715B2 (ja) * 1973-06-30 1978-01-31
JP2909260B2 (ja) * 1991-06-28 1999-06-23 アロカ株式会社 中性子吸収線量検出器
FR2679042B1 (fr) * 1991-07-08 1996-10-18 Commissariat Energie Atomique Procede et appareil de detection simultanee et selective de neutrons et de photons x ou gamma.
JP2957439B2 (ja) * 1995-04-27 1999-10-04 核燃料サイクル開発機構 中性子検出器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003232863A (ja) 2003-08-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6876711B2 (en) Neutron detector utilizing sol-gel absorber and activation disk
US6011266A (en) Apparatus and method for the simultaneous detection of neutrons and ionizing electromagnetic radiation
EP3014302B1 (en) Detector arrangement for the detection of ionizing radiation and method for operating such a detector arrangement
JP2010008083A (ja) 中性子線量計
US10670739B2 (en) Gamma radiation and neutron radiation detector
CN112526584A (zh) 一种中子能谱测量装置及其测量方法
CN105496432A (zh) 一种用于内照射测量的反宇宙射线系统及反符合方法
US4071764A (en) Gamma and alpha compensated fission chamber
JP3837529B2 (ja) 放射線検出器
RU2189057C2 (ru) Сцинтилляционный детектор нейтронного и гамма-излучения
WO2005003816A2 (en) A solid state neutron detector
JP3407032B2 (ja) 放射線検出器
CN111175805A (zh) 辐射探测装置、伽马中子测量仪及图像定位系统
JPH068859B2 (ja) 食品中β放射性核種含有量測定装置
CN114942468A (zh) 一种非接触式快速检测特殊核材料的方法及装置
JPH11109036A (ja) α放射能測定方法およびその装置
RU2259573C1 (ru) Сцинтилляционный детектор быстрых и тепловых нейтронов
JP2012242369A (ja) 放射線検出器
JP2552414B2 (ja) 中性子測定装置
CN113504559B (zh) 一种强流脉冲宽能谱中子剂量率监测装置
RU2143711C1 (ru) Детектор для регистрации ионизирующих излучений
JPH01100493A (ja) 核分裂型中性子検出器
Prasad et al. Uranium‐233 fission detectors for neutron flux measurement in reactors
RU79683U1 (ru) Сцинтилляционный детектор
RU79681U1 (ru) Экспресс-детектор

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20040528

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040811

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050223

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050308

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050428

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050428

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20050428

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060426

R155 Notification before disposition of declining of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R155

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3837529

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

EXPY Cancellation because of completion of term