JP2001254165A - 高けい素鋼板の製造方法 - Google Patents
高けい素鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JP2001254165A JP2001254165A JP2000064260A JP2000064260A JP2001254165A JP 2001254165 A JP2001254165 A JP 2001254165A JP 2000064260 A JP2000064260 A JP 2000064260A JP 2000064260 A JP2000064260 A JP 2000064260A JP 2001254165 A JP2001254165 A JP 2001254165A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- steel sheet
- siliconizing
- zone
- gas
- base material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Soft Magnetic Materials (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 浸珪・拡散処理を短時間で行いかつ圧延負荷
のかからない高けい素鋼板の製造方法を提供する。 【解決手段】 入側から加熱帯、浸珪帯、拡散均熱帯及
び冷却帯を順に備えた浸珪処理設備において母材鋼板を
浸珪処理することにより高けい素鋼板を製造する方法に
おいて、浸珪帯及び拡散均熱帯においてα単相域となる
鋼板を母材鋼板として用いる製造方法である。
のかからない高けい素鋼板の製造方法を提供する。 【解決手段】 入側から加熱帯、浸珪帯、拡散均熱帯及
び冷却帯を順に備えた浸珪処理設備において母材鋼板を
浸珪処理することにより高けい素鋼板を製造する方法に
おいて、浸珪帯及び拡散均熱帯においてα単相域となる
鋼板を母材鋼板として用いる製造方法である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浸珪処理法による
高けい素鋼板の製造方法に関する。
高けい素鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】トランスやモ−タ等の電気機器用鉄心材
料として広く用いられるけい素鋼板には、通常、集合組
織制御および固有抵抗増大のためにSiが添加される。こ
のけい素鋼板の軟磁気特性はSiの添加量と共に向上し、
特に6.5wt%付近で最高の透磁率を示すことが知られて
いる。また、高けい素鋼板と呼ばれるSi含有量が約4wt
%超のけい素鋼板は、電気抵抗が高いため特に高周波領
域での磁気特性が優れる。
料として広く用いられるけい素鋼板には、通常、集合組
織制御および固有抵抗増大のためにSiが添加される。こ
のけい素鋼板の軟磁気特性はSiの添加量と共に向上し、
特に6.5wt%付近で最高の透磁率を示すことが知られて
いる。また、高けい素鋼板と呼ばれるSi含有量が約4wt
%超のけい素鋼板は、電気抵抗が高いため特に高周波領
域での磁気特性が優れる。
【0003】高けい素鋼板を工業的に製造する方法とし
て浸珪処理法が知られている。この製造方法(例えば、
特公平5-49745号公報等に示される製造技術)とは、工
業的プロセスで圧延が可能なSi:4wt%以下の薄鋼板と四
塩化けい素とを高温で反応させることによりSiを浸透さ
せ、浸透したSiを板厚方向に拡散させることにより高け
い素鋼板を得る方法であり、例えば特公平5-49745号公
報では、鋼板を四塩化けい素が5〜35vol%含まれる無酸
化性ガス雰囲気中において1023〜1200℃の温度で連続的
に浸珪処理し、コイル状の高けい素鋼板を得ている。通
常、この浸珪処理ではSi供給用の原料ガスとして四塩化
けい素が使用され、この四塩化けい素は以下に示す浸珪
反応式により鋼板と反応してSi富化層が鋼板表層に生成
する。 SiCl4 + 5Fe → Fe3Si + 2FeCl2
て浸珪処理法が知られている。この製造方法(例えば、
特公平5-49745号公報等に示される製造技術)とは、工
業的プロセスで圧延が可能なSi:4wt%以下の薄鋼板と四
塩化けい素とを高温で反応させることによりSiを浸透さ
せ、浸透したSiを板厚方向に拡散させることにより高け
い素鋼板を得る方法であり、例えば特公平5-49745号公
報では、鋼板を四塩化けい素が5〜35vol%含まれる無酸
化性ガス雰囲気中において1023〜1200℃の温度で連続的
に浸珪処理し、コイル状の高けい素鋼板を得ている。通
常、この浸珪処理ではSi供給用の原料ガスとして四塩化
けい素が使用され、この四塩化けい素は以下に示す浸珪
反応式により鋼板と反応してSi富化層が鋼板表層に生成
する。 SiCl4 + 5Fe → Fe3Si + 2FeCl2
【0004】このようにして鋼板表層に生成したSi富化
層中のSiは、四塩化けい素を含まない無酸化性雰囲気中
で鋼板を均熱処理することにより板厚方向に拡散され
る。
層中のSiは、四塩化けい素を含まない無酸化性雰囲気中
で鋼板を均熱処理することにより板厚方向に拡散され
る。
【0005】一方、最近では、高けい素鋼板は機器の小
型・高効率化ニーズから高周波での用途が増え、これに
伴い高周波でのさらなる鉄損低減の観点から、材料の板
厚はより薄くなる傾向にある。
型・高効率化ニーズから高周波での用途が増え、これに
伴い高周波でのさらなる鉄損低減の観点から、材料の板
厚はより薄くなる傾向にある。
【0006】このような現状の中で、浸珪処理法におい
てより効率よく生産するためには、浸珪・拡散処理時間
の短縮という観点から、母材Si量をできるだけ高くし、
添加するSi量を少なくすべきである。しかし、板厚が薄
い高けい素鋼板を製造しようとする場合、母材製造時の
圧延負荷からむやみに母材Si量を上げることはできず、
むしろ圧延の容易さの観点から母材Si量を下げている。
てより効率よく生産するためには、浸珪・拡散処理時間
の短縮という観点から、母材Si量をできるだけ高くし、
添加するSi量を少なくすべきである。しかし、板厚が薄
い高けい素鋼板を製造しようとする場合、母材製造時の
圧延負荷からむやみに母材Si量を上げることはできず、
むしろ圧延の容易さの観点から母材Si量を下げている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記方法では、母材Si
量が低いために、添加すべきSiを浸珪・拡散するのに時
間がかかり、コストアップにつながってしまう。また、
Si量が4wt%超の母材を用いようとすると、タンデム圧
延のみで、板厚を薄く(例えば0.2mm以下まで)製造す
ることは困難であり、結局、タンデム圧延で中間厚まで
圧延し、その後、小径ロールを有するリバース圧延機を
用いて、0.2mm以下の素材を製造することになる。よっ
てこの方法では、リバース圧延工程が増える分、コスト
アップとなってしまう。以上のように、板厚の薄い高け
い素鋼板を製造しようとする場合、いずれの方法でも、
コストアップになっている。
量が低いために、添加すべきSiを浸珪・拡散するのに時
間がかかり、コストアップにつながってしまう。また、
Si量が4wt%超の母材を用いようとすると、タンデム圧
延のみで、板厚を薄く(例えば0.2mm以下まで)製造す
ることは困難であり、結局、タンデム圧延で中間厚まで
圧延し、その後、小径ロールを有するリバース圧延機を
用いて、0.2mm以下の素材を製造することになる。よっ
てこの方法では、リバース圧延工程が増える分、コスト
アップとなってしまう。以上のように、板厚の薄い高け
い素鋼板を製造しようとする場合、いずれの方法でも、
コストアップになっている。
【0008】本発明は、上記問題に鑑みなされたもの
で、浸珪・拡散処理を短時間で行いかつ圧延負荷のかか
らない高けい素鋼板の製造方法を提供することを目的と
する。
で、浸珪・拡散処理を短時間で行いかつ圧延負荷のかか
らない高けい素鋼板の製造方法を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決すべく検討した結果、母材鋼板として浸珪・拡
散均熱処理帯で、α単相となるような成分の鋼板を用い
ることが有効であることを見出した。すなわち、γ相中
のSiの拡散速度がα単相中のSiの拡散速度と比較して極
端に遅いため、γ相が現れる母材条件で浸径・拡散均熱
処理を行った場合には浸珪・拡散処理に長時間を要する
が、α単相域で処理すれば浸珪・拡散処理時間が短縮で
きることを見出した。そして、さらに検討を進めた結
果、 母材鋼板を上記処理帯域でα単相域とするためには母
材Si量、母材C量が関与していること Si量とC量の適度な組み合わせにより、母材に上記処
理帯域でα単相域が形成され、浸珪・拡散処理時間が短
縮できること を見出した。
点を解決すべく検討した結果、母材鋼板として浸珪・拡
散均熱処理帯で、α単相となるような成分の鋼板を用い
ることが有効であることを見出した。すなわち、γ相中
のSiの拡散速度がα単相中のSiの拡散速度と比較して極
端に遅いため、γ相が現れる母材条件で浸径・拡散均熱
処理を行った場合には浸珪・拡散処理に長時間を要する
が、α単相域で処理すれば浸珪・拡散処理時間が短縮で
きることを見出した。そして、さらに検討を進めた結
果、 母材鋼板を上記処理帯域でα単相域とするためには母
材Si量、母材C量が関与していること Si量とC量の適度な組み合わせにより、母材に上記処
理帯域でα単相域が形成され、浸珪・拡散処理時間が短
縮できること を見出した。
【0010】本発明はかかる知見に基づきなされたもの
で、以下のような構成を有する。 [1]入側から加熱帯、浸珪帯、拡散均熱帯及び冷却帯を
順に備えた浸珪処理設備において母材鋼板を浸珪処理す
ることにより高けい素鋼板を製造する方法において、浸
珪帯及び拡散均熱帯においてα単相域となる鋼板を母材
鋼板として用いることを特徴とする高けい素鋼板の製造
方法。
で、以下のような構成を有する。 [1]入側から加熱帯、浸珪帯、拡散均熱帯及び冷却帯を
順に備えた浸珪処理設備において母材鋼板を浸珪処理す
ることにより高けい素鋼板を製造する方法において、浸
珪帯及び拡散均熱帯においてα単相域となる鋼板を母材
鋼板として用いることを特徴とする高けい素鋼板の製造
方法。
【0011】[2]上記[1]において、浸珪帯において、反
応ガスであるSiCl4と、希釈ガスである窒素とを含む浸
珪処理用ガスを、ガスノズルを用いて母材鋼板表裏へ供
給することを特徴とする高けい素鋼板の製造方法。
応ガスであるSiCl4と、希釈ガスである窒素とを含む浸
珪処理用ガスを、ガスノズルを用いて母材鋼板表裏へ供
給することを特徴とする高けい素鋼板の製造方法。
【0012】[3]上記[2]において、母材鋼板面に対して
斜め方向から浸珪処理用ガスを吹き付ける特徴とする高
けい素鋼板の製造方法。
斜め方向から浸珪処理用ガスを吹き付ける特徴とする高
けい素鋼板の製造方法。
【0013】[4] 上記[2]または[3]において、母材鋼板
幅方向に沿って配置されるスリットノズルを、母材鋼板
の通板方向に複数設け、各スリットノズルには、母材鋼
板幅方向における一方の端部から浸珪処理用ガスを供給
するとともに、母材鋼板通板方向で隣接するスリットノ
ズルに対して母材鋼板幅方向の異なる端部から浸珪処理
用ガスを供給することを特徴とする高けい素鋼板の製造
方法。なお、本明細書において、鋼の成分を示す%はす
べてwt%である。
幅方向に沿って配置されるスリットノズルを、母材鋼板
の通板方向に複数設け、各スリットノズルには、母材鋼
板幅方向における一方の端部から浸珪処理用ガスを供給
するとともに、母材鋼板通板方向で隣接するスリットノ
ズルに対して母材鋼板幅方向の異なる端部から浸珪処理
用ガスを供給することを特徴とする高けい素鋼板の製造
方法。なお、本明細書において、鋼の成分を示す%はす
べてwt%である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細をその限定理
由とともに説明する。本発明による高けい素鋼板の製造
方法は、圧延による製造が容易なSi量:4%未満の鋼板
を母材鋼板とし、この母材鋼板に対して加熱処理、浸珪
処理、拡散均熱処理及び冷却処理を順次実施することに
より高けい素鋼板を製造する。
由とともに説明する。本発明による高けい素鋼板の製造
方法は、圧延による製造が容易なSi量:4%未満の鋼板
を母材鋼板とし、この母材鋼板に対して加熱処理、浸珪
処理、拡散均熱処理及び冷却処理を順次実施することに
より高けい素鋼板を製造する。
【0015】以下、その一実施形態について説明する
と、まず、母材鋼板を無酸化性ガス雰囲気中で浸珪処理
温度またはその近傍まで加熱し、次いで、四塩化けい素
が含まれる無酸化性ガス雰囲気中において1023〜1250℃
の温度で連続的に母材鋼板に浸珪処理を施す。1023℃未
満では表層にFeCl2が付着し反応速度が劣るため好まし
くなく、1250℃超えでは浸珪処理過程で生じるFe3Siが
溶融し、炉内で材料が破断するため、好ましくない。
と、まず、母材鋼板を無酸化性ガス雰囲気中で浸珪処理
温度またはその近傍まで加熱し、次いで、四塩化けい素
が含まれる無酸化性ガス雰囲気中において1023〜1250℃
の温度で連続的に母材鋼板に浸珪処理を施す。1023℃未
満では表層にFeCl2が付着し反応速度が劣るため好まし
くなく、1250℃超えでは浸珪処理過程で生じるFe3Siが
溶融し、炉内で材料が破断するため、好ましくない。
【0016】次いで、この浸珪処理を施された鋼板に四
塩化けい素を含まない無酸化性ガス雰囲気中で拡散均熱
処理を施し、板表層に生成したSi富化層を板厚方向に拡
散させた後、常温ないし300℃まで冷却し、しかる後巻
き取り、高けい素鋼板を得る。通常、巻き取られる前に
絶縁皮膜コーティングを表裏面に施す。ただし、用途に
よっては、コーティングを行わない場合もある。
塩化けい素を含まない無酸化性ガス雰囲気中で拡散均熱
処理を施し、板表層に生成したSi富化層を板厚方向に拡
散させた後、常温ないし300℃まで冷却し、しかる後巻
き取り、高けい素鋼板を得る。通常、巻き取られる前に
絶縁皮膜コーティングを表裏面に施す。ただし、用途に
よっては、コーティングを行わない場合もある。
【0017】本発明では、このようにしてなされる浸珪
処理の母材鋼板として、前記浸珪帯及び拡散均熱帯にお
いて、α単相となる成分系を有する鋼板を用いるもので
ある。また、このような母材鋼板としては、母材鋼板の
製造(圧延)時に過剰な圧延負荷のかからない成分系の
ものが好ましい。母材鋼板を浸珪帯及び拡散均熱帯でα
単相域とするために、母材のα−γ状態とSi量、C量の2
成分の関係を調べた。母材のα−γ状態は温度によって
変化するため、一例として、一般的に浸珪・拡散処理が
行われる温度域: 1023〜1250℃の範囲について、母材
のα、α−γ、γ相の生成範囲をSi量,C量について整
理した。その結果を図1に示す。図1に示すように、γ相
が出ない範囲内即ちα単相範囲内の組み合わせで適宜Si
量とC量を決定することにより、母材をα単相域とする
ことが可能となることがわかる。
処理の母材鋼板として、前記浸珪帯及び拡散均熱帯にお
いて、α単相となる成分系を有する鋼板を用いるもので
ある。また、このような母材鋼板としては、母材鋼板の
製造(圧延)時に過剰な圧延負荷のかからない成分系の
ものが好ましい。母材鋼板を浸珪帯及び拡散均熱帯でα
単相域とするために、母材のα−γ状態とSi量、C量の2
成分の関係を調べた。母材のα−γ状態は温度によって
変化するため、一例として、一般的に浸珪・拡散処理が
行われる温度域: 1023〜1250℃の範囲について、母材
のα、α−γ、γ相の生成範囲をSi量,C量について整
理した。その結果を図1に示す。図1に示すように、γ相
が出ない範囲内即ちα単相範囲内の組み合わせで適宜Si
量とC量を決定することにより、母材をα単相域とする
ことが可能となることがわかる。
【0018】Si量は、C量との組み合わせにより適宜決
定される。例えば、図1においては、下限は約1.8%とな
る。また、上限については、母材がα単相域となる範囲
であれば良いが、母材製造時の圧延負荷の観点から4%
以下が好ましい。
定される。例えば、図1においては、下限は約1.8%とな
る。また、上限については、母材がα単相域となる範囲
であれば良いが、母材製造時の圧延負荷の観点から4%
以下が好ましい。
【0019】C量は通常、浸珪処理中の鋼板表層の酸化
を防止する目的で、鋼板母材に20〜150ppm程度添加して
おくことが有効であり好ましい。従って、C量を添加す
る場合、まず、使用する炉での酸化状況(脱炭量)を把
握した上で、適正な母材C量を決定し、このC量から浸珪
・拡散処理温度に応じてα単相となる母材Si量を決定す
る。
を防止する目的で、鋼板母材に20〜150ppm程度添加して
おくことが有効であり好ましい。従って、C量を添加す
る場合、まず、使用する炉での酸化状況(脱炭量)を把
握した上で、適正な母材C量を決定し、このC量から浸珪
・拡散処理温度に応じてα単相となる母材Si量を決定す
る。
【0020】例えば、母材C量が80〜90ppm、浸珪・
拡散処理温度が1200℃の場合、図1より、母材Si量は、
約2.4%以上とすることにより、浸珪・拡散処理時間を短
時間で行うことができ、また、母材鋼板の圧延も容易に
行うことができる。
拡散処理温度が1200℃の場合、図1より、母材Si量は、
約2.4%以上とすることにより、浸珪・拡散処理時間を短
時間で行うことができ、また、母材鋼板の圧延も容易に
行うことができる。
【0021】次に、本発明の高けい素鋼板の製造方法の
好ましい条件について説明する。まず、母材鋼板を加熱
帯にて浸珪処理温度またはその近傍まで無酸化加熱、次
いで、浸珪帯にて母材に対して浸珪処理が施される。こ
の時、反応ガスとしてはSiCl4を、希釈ガスとしては窒
素を用いた浸珪処理用ガスを鋼板表裏へ供給し浸珪処理
することが望ましい。また、反応ガスの母材界面への拡
散移動及び反応副生成物の界面表層からの離脱がスム−
ズに行われ、浸珪処理をより効率良く行う為に、また、
蒸着膜厚の均一化の為に、ガスノズルを用いて上記浸珪
処理用ガスを鋼板表裏へ供給することが望ましい。さら
に、反応生成ガスを反応界面からより速やかに離脱させ
る為には、母材鋼板面に対して斜め方向から浸珪処理用
ガスを吹き付けるのが最も望ましい。また、鋼板幅方向
で均一なSi濃度分布を持たせる為には、母材鋼板幅方向
に沿って配置されるスリットノズルを、母材鋼板の通板
方向に複数設け、各スリットノズルには、母材鋼板幅方
向における一方の端部から浸珪処理用ガスを供給すると
ともに、母材鋼板通板方向で隣接するスリットノズルに
対して母材鋼板幅方向の異なる端部から浸珪処理用ガス
を供給することが望ましい。
好ましい条件について説明する。まず、母材鋼板を加熱
帯にて浸珪処理温度またはその近傍まで無酸化加熱、次
いで、浸珪帯にて母材に対して浸珪処理が施される。こ
の時、反応ガスとしてはSiCl4を、希釈ガスとしては窒
素を用いた浸珪処理用ガスを鋼板表裏へ供給し浸珪処理
することが望ましい。また、反応ガスの母材界面への拡
散移動及び反応副生成物の界面表層からの離脱がスム−
ズに行われ、浸珪処理をより効率良く行う為に、また、
蒸着膜厚の均一化の為に、ガスノズルを用いて上記浸珪
処理用ガスを鋼板表裏へ供給することが望ましい。さら
に、反応生成ガスを反応界面からより速やかに離脱させ
る為には、母材鋼板面に対して斜め方向から浸珪処理用
ガスを吹き付けるのが最も望ましい。また、鋼板幅方向
で均一なSi濃度分布を持たせる為には、母材鋼板幅方向
に沿って配置されるスリットノズルを、母材鋼板の通板
方向に複数設け、各スリットノズルには、母材鋼板幅方
向における一方の端部から浸珪処理用ガスを供給すると
ともに、母材鋼板通板方向で隣接するスリットノズルに
対して母材鋼板幅方向の異なる端部から浸珪処理用ガス
を供給することが望ましい。
【0022】また、本発明の対象は方向性硅素鋼板であ
るか無方向性硅素鋼板であるかは問わない。また、通常
電磁鋼板の表面には絶縁を目的とした皮膜が形成される
が、本発明の効果はこのような皮膜の有無にも影響され
ない。
るか無方向性硅素鋼板であるかは問わない。また、通常
電磁鋼板の表面には絶縁を目的とした皮膜が形成される
が、本発明の効果はこのような皮膜の有無にも影響され
ない。
【0023】
【実施例】種々のSi量、C量を有する鋼を用いて板厚2.3
mmの熱延板を製造し、次いで、板厚0.16mmまでタンデム
圧延を行った。この冷延鋼板を母材鋼板として、入側か
ら加熱帯、浸珪帯、拡散均熱帯及び冷却帯を順に備えた
浸珪処理設備において浸珪処理を施し、高けい素鋼板を
製造した。得られた高けい素鋼板に対して、トータル処
理時間および鉄損を評価した。得られた評価結果を製造
条件と併せて表1に示す。
mmの熱延板を製造し、次いで、板厚0.16mmまでタンデム
圧延を行った。この冷延鋼板を母材鋼板として、入側か
ら加熱帯、浸珪帯、拡散均熱帯及び冷却帯を順に備えた
浸珪処理設備において浸珪処理を施し、高けい素鋼板を
製造した。得られた高けい素鋼板に対して、トータル処
理時間および鉄損を評価した。得られた評価結果を製造
条件と併せて表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】表1より、本発明例においては母材鋼板が
浸珪帯及び拡散均熱帯でα単相となるため、Si量が4%
以下と低いにも拘わらず、浸珪・拡散均熱処理を短時間
で行うことができる。また、母材鋼板のSi量が圧延可能
な範囲内であるため、リバ−ス圧延を行うことなしに、
タンデム圧延のみで製造され、得られた鋼板の鉄損特性
も優れている。特に本発明例:条件3では、スリットノ
ズルを鋼板表裏近傍に配置し、スリットノズルから浸珪
処理用反応ガスを供給することで、浸珪・拡散処理時間
をさらに短縮でき、能率改善による低コスト化が図れ
る。
浸珪帯及び拡散均熱帯でα単相となるため、Si量が4%
以下と低いにも拘わらず、浸珪・拡散均熱処理を短時間
で行うことができる。また、母材鋼板のSi量が圧延可能
な範囲内であるため、リバ−ス圧延を行うことなしに、
タンデム圧延のみで製造され、得られた鋼板の鉄損特性
も優れている。特に本発明例:条件3では、スリットノ
ズルを鋼板表裏近傍に配置し、スリットノズルから浸珪
処理用反応ガスを供給することで、浸珪・拡散処理時間
をさらに短縮でき、能率改善による低コスト化が図れ
る。
【0026】さらに、本発明例:条件4では、母材鋼板
面に対して斜め方向から浸珪処理用ガスを吹き付けるこ
とで、反応領域が増え、本発明例:条件3以上により反
応効率が高まり、処理時間がさらに短縮できる。一方、
比較例では、母材鋼板が浸珪帯及び拡散均熱帯でγ相を
有しているため、浸珪・拡散処理に時間がかかってい
る。
面に対して斜め方向から浸珪処理用ガスを吹き付けるこ
とで、反応領域が増え、本発明例:条件3以上により反
応効率が高まり、処理時間がさらに短縮できる。一方、
比較例では、母材鋼板が浸珪帯及び拡散均熱帯でγ相を
有しているため、浸珪・拡散処理に時間がかかってい
る。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、浸珪・処理時間の短縮
化がはかれ、かつ新たな工程を必要とせず、効率よく安
価に製造することができる。さらに、鉄損特性にも優れ
ており、トランスやモ−タ等の電気機器用鉄心材料とし
て好適である。
化がはかれ、かつ新たな工程を必要とせず、効率よく安
価に製造することができる。さらに、鉄損特性にも優れ
ており、トランスやモ−タ等の電気機器用鉄心材料とし
て好適である。
【図1】母材のα−γ状態とSi量、C量の2成分の関係を
調べた図である。
調べた図である。
フロントページの続き (72)発明者 藤田 耕一郎 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 笠井 勝司 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 5E041 AA02 CA02 CA04 HB00 HB11 HB15 HB19
Claims (4)
- 【請求項1】 入側から加熱帯、浸珪帯、拡散均熱帯及
び冷却帯を順に備えた浸珪処理設備において母材鋼板を
浸珪処理することにより高けい素鋼板を製造する方法に
おいて、浸珪帯及び拡散均熱帯においてα単相域となる
鋼板を母材鋼板として用いることを特徴とする高けい素
鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 浸珪帯において、反応ガスであるSiCl
4と、希釈ガスである窒素とを含む浸珪処理用ガスを、
ガスノズルを用いて母材鋼板表裏へ供給することを特徴
とする請求項1記載の高けい素鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 母材鋼板面に対して斜め方向から浸珪処
理用ガスを吹き付けることを特徴とする請求項2記載の
高けい素鋼板の製造方法。 - 【請求項4】 母材鋼板幅方向に沿って配置されるスリ
ットノズルを、母材鋼板の通板方向に複数設け、各スリ
ットノズルには、母材鋼板幅方向における一方の端部か
ら浸珪処理用ガスを供給するとともに、母材鋼板通板方
向で隣接するスリットノズルに対して母材鋼板幅方向の
異なる端部から浸珪処理用ガスを供給することを特徴と
する請求項2又は3記載の高けい素鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000064260A JP2001254165A (ja) | 2000-03-09 | 2000-03-09 | 高けい素鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000064260A JP2001254165A (ja) | 2000-03-09 | 2000-03-09 | 高けい素鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001254165A true JP2001254165A (ja) | 2001-09-18 |
Family
ID=18583983
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000064260A Pending JP2001254165A (ja) | 2000-03-09 | 2000-03-09 | 高けい素鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001254165A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012147922A1 (ja) * | 2011-04-27 | 2012-11-01 | 新日本製鐵株式会社 | Fe系金属板及びその製造方法 |
-
2000
- 2000-03-09 JP JP2000064260A patent/JP2001254165A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012147922A1 (ja) * | 2011-04-27 | 2012-11-01 | 新日本製鐵株式会社 | Fe系金属板及びその製造方法 |
JP5278626B2 (ja) * | 2011-04-27 | 2013-09-04 | 新日鐵住金株式会社 | Fe系金属板及びその製造方法 |
CN103492602A (zh) * | 2011-04-27 | 2014-01-01 | 新日铁住金株式会社 | Fe系金属板及其制造方法 |
US9267194B2 (en) | 2011-04-27 | 2016-02-23 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Fe-based metal sheet and manufacturing method thereof |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN106414780B (zh) | 取向性电磁钢板的制造方法 | |
WO2018074295A1 (ja) | Si含有熱延鋼板の熱延板焼鈍設備、熱延板焼鈍方法および脱スケール方法 | |
CN106460085B (zh) | 取向性电磁钢板的制造方法 | |
JP6721135B1 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法および冷間圧延設備 | |
JP2003096520A (ja) | 皮膜特性と高磁場鉄損に優れる高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
CN104451378B (zh) | 一种磁性能优良的取向硅钢及生产方法 | |
WO2013069259A1 (ja) | 極薄電磁鋼板 | |
EP3733895B1 (en) | Low-iron-loss grain-oriented electrical steel sheet and production method for same | |
JP7110642B2 (ja) | 一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
US7282102B2 (en) | Method for manufacturing high silicon grain-oriented electrical steel sheet with superior core loss property | |
JP2001254165A (ja) | 高けい素鋼板の製造方法 | |
JP3275712B2 (ja) | 加工性に優れた高珪素鋼板およびその製造方法 | |
JP5822077B2 (ja) | 鋼板の連続焼鈍方法 | |
JP4259061B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH06228645A (ja) | 小型静止器用電磁鋼板の製造方法 | |
JPH0643608B2 (ja) | 連続ラインにおける高珪素鋼帯の製造方法 | |
JP4258028B2 (ja) | 無方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH11158645A (ja) | 歪み感受性が低く磁気特性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法および方向性電磁鋼板 | |
JPH0643610B2 (ja) | 連続ラインにおける高珪素鋼帯の製造方法 | |
JPS6326329A (ja) | 化学気相蒸着処理方法 | |
JP7110641B2 (ja) | 一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2001192732A (ja) | 磁気特性が優れた一方向性電磁鋼板を得る冷間圧延方法 | |
JP2005187941A (ja) | 方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤、方向性電磁鋼板の焼鈍方法および方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3885257B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
KR20220044836A (ko) | 방향성 전자 강판의 제조 방법 |