JP2001254034A - インク組成物、その製造方法及び画像記録方法 - Google Patents

インク組成物、その製造方法及び画像記録方法

Info

Publication number
JP2001254034A
JP2001254034A JP2000066643A JP2000066643A JP2001254034A JP 2001254034 A JP2001254034 A JP 2001254034A JP 2000066643 A JP2000066643 A JP 2000066643A JP 2000066643 A JP2000066643 A JP 2000066643A JP 2001254034 A JP2001254034 A JP 2001254034A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
fine particles
image
resin fine
pigment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000066643A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuzuru Fukuda
譲 福田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2000066643A priority Critical patent/JP2001254034A/ja
Publication of JP2001254034A publication Critical patent/JP2001254034A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録紙上でのインクの滲みや浸透がなく、極
めて高い画像濃度で耐水性のある高画質画像を得ること
が可能で、かつ目詰まりすることなく継続的、安定的に
吐出できるインク組成物、その製造方法及びそのような
インクを用いた画像記録方法を提供する。 【解決手段】 ビヒクルと、顔料と、脂質とを含有する
ことを特徴とするインク組成物、ビヒクルと、顔料と、
脂質を分散させることを特徴とするインク組成物の製造
方法、及びインクの液滴を記録ヘッドから吐出させて記
録体上に画像を記録する画像記録方法において、該イン
クとして上記インク組成物を用いることを特徴とする画
像記録方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインク組成物、その
製造方法及び画像記録方法に関する。さらに詳細には、
ビヒクルと、顔料と、脂質とを含有するインク組成物、
その製造方法及びそれを使用した画像記録方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】コンピューター等の情報機器の出力装置
として、最近、ランニングコストが安く、カラー化が容
易な、インクジェット方式や特公平6−102378号
報等に開示されている音響インクプリンタ方式などのイ
ンクプリンタ方式が注目されている。これらの方式に用
いられるインクとしては、従来主に、水と染料を主成分
とする染料水溶液が使用されてきた。しかし、このよう
なインクでは、ノズルから飛ばされたインクが記録紙に
付着したとき、インクが記録紙上で滲み、このため飛翔
時に形成したインク滴粒よりも著しく大きなドットにな
ってしまったり、記録された画像の濃度が低く、従って
画質が低いという問題があった。また記録された画像の
耐水性が低いため、水により容易に画像が滲んだり、画
像が流れるという問題があった。さらに耐光性が低いの
で、太陽光等の光の照射により容易に画像が退色すると
いう問題があった。
【0003】染料水溶液のこれらの問題を解決するため
に、造膜性の樹脂微粒子を含むインクが開示されてい
る。例えば、樹脂微粒子としてラテックスを含むインク
が特公昭60−32663号公報に、カルボキシル基と
ノニオン親水性基を有する樹脂が水に分散されたインク
が特開平5−239392号公報に、非架橋構造のビニ
ル系高分子を含むインクが特開平5−255628号公
報に、イオン性基を有するポリエステル粒子を含むイン
クが特開平6−340835号公報に、染色した樹脂微
粒子を含むインクが特開平5−255567号公報にそ
れぞれ開示されている。またポリエステル等の樹脂微粒
子と架橋剤とを含有し、記録体上で樹脂が架橋されるイ
ンクが特公平7−47355号公報に開示されている。
さらに、先に本発明者らは、着色剤と複数の樹脂微粒子
を含有するインクを特開平10−88045号公報およ
び特開平10−88056号公報に開示した。さらにま
た、特開平9−176546号公報に、染料とリポソー
ムを含有するインク組成物が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の特公昭
60−32663号公報、特開平5−239392号公
報、特開平5−255628号公報、特開平6−340
835号公報、特開平5−255567号公報、および
特公平7−47355号公報に開示されているインクで
は、いずれも、記録ヘッドの吐出口部分において、空気
との接触によるインク中の水分の蒸発に伴い樹脂微粒子
の造膜作用が開始されるため、吐出口での目詰まりが発
生し、インクを安定して吐出することは不可能であっ
た。また、記録紙繊維への毛細管現象によるインクの滲
みを完全に防ぐことはできず、高画質の画像を得ること
は不可能であった。さらに、記録紙内部へのインクの浸
透を完全に防ぐことができず、画像の高濃度化と高画質
化に限界があった。耐水性についても同様に限界があっ
た。また、これらのインクを、吐出口での目詰まり回避
のため、水で希釈すると、相対的にインクの同一体積の
液滴中に含まれる樹脂微粒子の含有量すなわち画像形成
に寄与する樹脂固形分含有量が減少し、このため画像濃
度が著しく低下し、高画質な画像を得ることは不可能で
あった。すなわち、上記インクでは、樹脂微粒子の高含
有量化(樹脂固形分高含有化)による画像の高濃度化お
よびそれによる高画質化の達成と吐出口での目詰まり回
避の両立は不可能であった。
【0005】また、特開平10−88045号公報およ
び特開平10−88056号公報に開示されているイン
クでは、樹脂微粒子の高含有量化(樹脂固形分高含有
化)による高画像濃度化およびそれによる高画質化の達
成と吐出口での目詰まり回避の両立は可能となったが、
実際に使用されるインクプリンタを用いて多数枚を印刷
する場合には、吐出安定性に改善の余地があった。
【0006】さらに、特開平9−176546号公報に
開示されているインク組成物では染料を使用しているた
め、目詰まりの問題はないが、耐水性、耐光性に限界が
あった。
【0007】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、本発明の目的は、記録紙上でのインク
の滲みや浸透がなく、極めて高い画像濃度で耐水性のあ
る高画質画像を得ることが可能で、かつ目詰まりするこ
となく継続的、安定的に吐出できるインク組成物、及び
そのようなインク組成物の製造方法を提供することにあ
る。さらに本発明の他の目的は、該インク組成物を用い
た画像記録方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様は、
ビヒクルと、顔料と、脂質とを含有することを特徴とす
るインク組成物である。
【0009】本発明の第2の態様は、ビヒクルと、顔料
と、脂質とを分散させることを特徴とするインク組成物
の製造方法である。
【0010】さらに、本発明の第3の態様は、インクの
液滴を記録ヘッドから吐出させて記録体上に画像を記録
する画像記録方法において、該インクとして上記インク
組成物を用いることを特徴とする画像記録方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明において、ビヒクルは主として水を
含有し、必要に応じて水溶性有機溶媒、例えば、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル等を含む。
【0013】顔料としては、主溶媒である水との親和性
がよいもの、均一に分散できるものであれば使用でき、
有機顔料及び無機顔料等が使用できる。具体的には、白
黒用としては、ファーネスブラック、チャンネルブラッ
クなどのカーボンブラック(C.I.ピグメントブラッ
ク7)類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラ
ック1)等の有機顔料が挙げられる。更にカラー用とし
ては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、1
3、14、17、24、34、35、37、42、5
3、55、81、83、95、97、98、100、1
01、104、108、109、110、117、12
0、138、153、C.I.ピグメントバイオレット
1、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピ
グメントブルー1、2、15、15:1、15:2、1
5:3、15:4、15:6、16、等の顔料がある。
【0014】インク全量に対する顔料(固形分)の含有
率は、1〜50wt%が好ましいが、さらには、1.5
〜40wt%が好ましい。これらの顔料を均一に水に分
散するためには、超音波やボールミル等を使用すること
ができる。
【0015】脂質はインク飛翔安定性向上のため主に保
湿剤あるいは湿潤剤としての目的で用いられ、リン脂
質、糖脂質、中性脂肪、ステロイド、カロチノイド及び
テルペン類等が挙げられる。これらのうち、ノズル等の
インク吐出口先端部での自己水分吸収性に優れる点及び
後述するリポソーム形成能に優れる点で、リン脂質が好
ましい。リン脂質としては、レシチンやホスファチジル
セリンやホスファチジン酸等のグリセロリン脂質、スフ
ィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質、グリセロホス
ホノ脂質、及びスフィンゴホスホノ脂質が挙げられる。
リン脂質は小胞体を形成していることが好ましく、この
ようなものとしてはリポソームが挙げられる。本発明に
は上記リン脂質と、膜補強剤としてのコレステロール
と、リポソーム同士の凝集を防止するための荷電物質あ
るいは荷電修飾剤等とを含むアニオン型又はカチオン型
リポソーム製剤、特に、エンプティ・リポソーム製剤と
呼ばれる、小胞の中に物質が導入されていないリポソー
ム製剤を好適に使用できる。
【0016】インク全量に対する脂質の含有率は、0.
5〜50wt%が好ましいが、さらには、1〜20wt
%が好ましい。脂質の含有率が0.5wt%未満だと、
目詰まり防止に対する改善効果が得られず、50wt%
を超えると、画像の定着性が損なわれる。
【0017】本発明のインク組成物は、顔料を均一に分
散するために界面活性剤を含有することができる。界面
活性剤としては、アニオン型のもの、カチオン型のも
の、ノニオン型のもの、両性型のもののいずれも使用で
きる。
【0018】また、本発明のインク組成物は、2種類以
上の樹脂微粒子を含むことができる。樹脂微粒子とは、
一般的にエマルジョンと呼ばれるものの分散質としての
樹脂微粒子のことを意味する。樹脂微粒子としては、自
己架橋性の樹脂微粒子と、架橋剤の作用により架橋する
非自己架橋型架橋性樹脂微粒子と、非架橋性樹脂微粒子
がある。自己架橋性の樹脂微粒子として、アクリルシリ
コーン系樹脂微粒子、アクリルアミド系樹脂微粒子等を
挙げることができ、この中では、高速画像形成に適する
高速造膜性及び形成された膜の強さの観点から、着色剤
を閉じ込めた強固なシロキサン架橋膜を迅速に形成可能
なアルコキシシリル基含有アクリルシリコーン系樹脂微
粒子が好ましい。アルコキシシリル基含有アクリルシリ
コーン系樹脂微粒子のアルコキシシリル基のアルキル
は、好ましくは炭素数が1個〜3個のアルキルであり、
より好ましくは炭素数が1個〜2個のアルキルである。
アクリル骨格としては、例えば、スチレン、ビニルトル
エン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタク
リル酸2−エチルヘキシル、酢酸ビニル、アクリロニト
リル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタク
リル酸、アクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−
ヒドロキシエチル、アクリルアミド、N−メチロールア
クリルアミド、メタクリル酸グリシジル等をモノマーと
する重合体及び共重合体を挙げることができる。
【0019】非架橋性の樹脂微粒子及び非自己架橋型架
橋性樹脂微粒子としては、フッ素系樹脂微粒子、アクリ
ル系樹脂微粒子、ポリエステル系樹脂微粒子、酢酸ビニ
ル系樹脂微粒子、塩化ビニル系樹脂微粒子、スチレン−
ブタジエン重合体系樹脂微粒子、ポリウレタン系樹脂系
樹脂微粒子、ポリスチレン系樹脂微粒子、酢酸ビニル−
アクリル共重合体系樹脂微粒子、酢酸ビニル−アクリル
アミド共重合体系樹脂微粒子、エチレン−酢酸ビニル共
重合体樹脂、エポキシ樹脂系樹脂微粒子、ポリアミド樹
脂系樹脂微粒子、及びシリコーン系樹脂微粒子等を挙げ
ることができる。上記のうち、非架橋性の樹脂微粒子と
しては、特に、フッ素系樹脂微粒子が、造膜性すなわち
画像形成性に優れ、かつ高撥水性、高耐水性、高耐候性
を備えているため、有用である。特に、フルオロオレフ
ィン単位を有するフッ素系樹脂微粒子などが有用であ
る。より具体的には、フルオロオレフィン単位およびビ
ニルエーテル単位から構成される含フッ素ビニルエーテ
ル系樹脂微粒子が効果的に使用できる。ここでフルオロ
オレフィン単位は、−CF2CF2−、−CF2CF(C
3)−、−CF2CFCl−から選ばれた化合物であ
る。またビニルエーテル単位は、−CH2CH(OC
3)−、−CH2CH(OC25)−、−CH2CH
(OC37)−、−CH2CH(OC49)−、−CH2
CH(OC511)−、−CH2CH(OCH2OH)
−、−CH2CH(OC24OH)−、−CH2CH(O
36OH)−、−CH2CH(OC48OH)−、−
CH2CH(OC51 0OH)−、−CH2CH(OCH2
COOH)−、−CH2CH(OC24COOH)−、
−CH2CH(OC36COOH)−、−CH2CH(O
48COOH)−、−CH2CH(OC510COO
H)−、−CHCH3CH(OCH3)−、−CHCH3
CH(OC25)−、−CHCH3CH(OC37
−、−CHCH 3CH(OC49)−、−CHCH3CH
(OC511)−、−CHCH3CH(OCH2OH)
−、−CHCH3CH(OC24OH)−、−CHCH3
CH(OC36OH)−、−CHCH3CH(OC48
OH)−、−CHCH3CH(OC5 10OH)−、−C
HCH3CH(OCH2COOH)−、−CHCH3CH
(OC24COOH)−、−CHCH3CH(OC36
COOH)−、−CHCH3CH(OC48COOH)
−、−CHCH3CH(OC510COOH)−等であ
る。
【0020】フルオロオレフィン単位とビニルエーテル
単位を完全に交互に組合せた交互共重合体が好ましい。
【0021】本発明のインクが樹脂微粒子を含有してい
る場合でも、高画像濃度の達成と記録ヘッドの吐出口あ
るいは吐出開口部での目詰まり回避の両立が可能になる
理由は次のとおりであると考えられる。
【0022】インク中に、顔料と2種類以上の異なる樹
脂微粒子と脂質を含有することにより、インク中で、あ
る種類の樹脂微粒子の周囲すなわち最近接配位位置に同
種類の樹脂微粒子の存在する確立が減少すると共に、脂
質(特に脂質分子から構成される小胞)が樹脂微粒子や
顔料を取りこみ、あるいは脂質による樹脂微粒子同士の
接近抑制作用が生じる。これらにより、樹脂微粒子同
士、樹脂微粒子と顔料微粒子との接近および衝突確率が
減少する。従って、インク中での樹脂微粒子の接近、衝
突、融着、膜化(造膜)からなる記録ヘッド吐出口での
目詰まり発生の一連のプロセスが阻害される。また、前
記プロセスを阻害することができるため、本発明のイン
クは樹脂微粒子を高濃度で含有することができ、これに
より画像の高濃度化ひいては高画質化が可能となる。
【0023】2種類以上の樹脂微粒子の組み合わせは任
意であるが、少なくとも1種類が自己架橋性の樹脂微粒
子であることが好ましく、記録ヘッド吐出口部での膜化
(造膜)のプロセスに時間的、構造的な乱れ、不均一を
生じさせ得、これにより一層、効果的に目詰まりの発生
を防止する観点からは自己架橋性樹脂微粒子と非架橋性
樹脂の組み合わせがより好ましい。
【0024】さらに、自己架橋性樹脂微粒子の高速造膜
性により、記録紙の上に一層速やかに画像が形成され
る。すなわち、記録ヘッドから飛翔したインクの液滴が
記録紙に付着した直後から、インク中の水分の蒸発と紙
への浸透に伴い、自己架橋性樹脂微粒子の架橋反応が高
速に進行し、顔料を樹脂の中に閉じ込めた強固な画像膜
が急速に形成される。さらに共存する他の架橋性樹脂微
粒子や非架橋性樹脂微粒子の膜化も合わせて進行し、こ
れらにより、インクの滲みや浸透が防止され、樹脂とそ
の中に分散し閉じ込められた顔料とからなる高濃度でか
つ高い耐水性のある画像を、紙などの記録体上に形成す
ることが可能になる。
【0025】インク中に含有する異なる樹脂微粒子の種
類数は2以上とすることにより、本発明の効果である樹
脂固形分高含有化による画像の高濃度化、高画質化と目
詰まり回避の両立は十分に達成し得るものであるが、特
に3種類以上とすることにより、前述した最近接配位位
置に同種樹脂微粒子の存在する確率が一層減少し(配位
効果の促進)、また粒子間引力が一層働きにくくなるな
どのため、目詰まりの発生をより効果的に防止できる。
樹脂微粒子を球形と仮定した場合、粒子を最密充填した
時の、ある粒子の回りに近接し等距離に存在する粒子の
数いわゆる最近接粒子数(配位数)は12となる。従っ
て、樹脂微粒子種類数の上限の最適値は12と考えら
れ、さらに確率的な振れの幅を考慮して、樹脂微粒子種
類数の上限は12種類プラス6種類の18種類までとす
ることが好ましい。従って、本発明におけるインク中に
含有される異なる種類の樹脂微粒子の合計数は、基本的
に2種類以上で上限は特にないものであるが、より好適
には、配位効果による同種樹脂微粒子同志の接近および
衝突確率減少の観点から2種類以上18種類以下が好ま
しく、一層さらに好適には3種類以上12種類以下が望
ましい。この場合、樹脂微粒子の種類数として、同じ系
であっても変性の仕方などの違いにより樹脂微粒子の特
性、すなわち最低成膜温度、ガラス転移点、イオン性、
pH、及び重量平均分子量などのいずれか一つ以上の特
性が異なれば別の種類として考えてよい。
【0026】本発明に用いるそれぞれの樹脂微粒子の平
均粒子径は、0.01μm以上5μm以下であることが
好ましいが、0.05μm以上3μm以下であることが
より好ましい。樹脂微粒子の平均粒子径が0.01μm
未満だと造膜性が悪く、また5μmを超えると光学濃度
(画像濃度)が低下する。
【0027】さらに本発明のインクが樹脂微粒子を含有
する場合、樹脂微粒子の合計含有量(樹脂微粒子固形分
の合計含有量)は、インクの全量に対して10〜70w
t%であることが好ましく、15〜60wt%の範囲で
あることがより好ましく、20〜50wt%の範囲であ
ることがさらに好ましい。10wt%未満になると画像
の光学濃度が低くなり、また70wt%を超えると吐出
安定性が低下する懸念がある。
【0028】本発明のインクには、その他必要に応じ
て、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム等
のpH調節剤、防カビ、防腐、防錆等の目的で安息香
酸、ジクロフェン、ヘキサクロロフェン、ソルビンン酸
等をインクに添加することができる。さらに必要に応じ
て、ジエチレングリコール、グリセリンなどの湿潤剤等
の各種一般添加剤をインクに加えても良い。
【0029】本発明のインクは、ビヒクルと、顔料と、
脂質と、必要に応じて2種類以上の樹脂微粒子と、界面
活性剤等とを分散することにより、得られる。分散に
は、超音波、ボールミル、ロールミル、アトライタ等を
使用することができる。
【0030】上記成分は同時に添加してもよいが、予め
顔料の水分散液、樹脂微粒子の水分散液を製造し、これ
らを混合した後に、混合液に脂質(例えば、リポソーム
製剤)等を添加し、攪拌して本発明のインクを製造して
もよい。
【0031】樹脂微粒子の分散液が極性を有する場合、
その極性はアニオンでもカチオンでもよい。また、極性
を有するリポソーム製剤を使用する場合、樹脂微粒子の
分散液の極性とリポソーム製剤の極性は同じでも異なっ
ていてもよい。樹脂微粒子の分散液の極性とリポソーム
製剤の極性が同じである場合には、インクの全域で、同
極性同士の電気的相互反発が生じ、樹脂微粒子同士の接
近が防止され、目詰まりが抑制される。また、樹脂微粒
子の分散液の極性とリポソーム製剤の極性が異なる場合
には、リポソーム中に樹脂微粒子が導入され、樹脂微粒
子の隔離と、樹脂微粒子同士の反発により目詰まりが防
止される。
【0032】本発明のインクは、インクの液滴をヘッド
から吐出させて紙(例えば、普通紙)などの記録体上に
画像を記録する画像記録方法に使用することができる。
また、本発明のインクは、インクジェット記録や音響イ
ンクプリンタ等のインクプリンタのみならず、静電吸引
方式の画像記録等に適宜使用可能である。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。 (実施例1)ジメチルキナクリドン系顔料(ピグメント
レッド−122)水分散液(大日精化工業製、商品名E
P−1000、固形分31%)35重量部と、水及びメ
トキシシリル基を有するアクリルシリコーン樹脂微粒子
(平均粒子径0.1〜0.2μm)を含む樹脂分散液
(三洋化成工業製、商品名SW−131、固形分31
%)40重量部と、水及びフルオロオレフィンとビニル
エーテルの乳化重合により作製された含フッ素ビニルエ
ーテル系樹脂微粒子(平均粒子径0.15μm)を含む
樹脂分散液(旭硝子社製、商品名FE−3000、固形
分50%)25重量部とを攪拌しながら均一に混合し
た。この混合液を孔径10μmのメンブランフィルター
にてろ過して、粗大粒子を除去し、続いて、ろ液に対
し、L−α−ジパルミトイルホスファチジルコンとコレ
ステロールとステアリルアミンを52:40:8のモル
比で含有する正荷電を有するリポソーム製剤(日本油脂
社製、商品名EL−C−01)3重量%を添加して、イ
ンク中顔料濃度(顔料固形分×100/インク全量)が
11重量%、固形分中顔料濃度(顔料固形分×100/
(顔料固形分+樹脂微粒子固形分+リポソーム製剤重
量))が28重量%、インク中樹脂微粒子全固形分濃度
(樹脂微粒子固形分合計×100/インク全量)が24
重量%のインクを作製した。
【0034】このようにして作製したインクをバーコー
ターを用いて、複写機用普通紙上に塗布し、室温にて乾
燥させることにより、普通紙上にベタ画像を得た。そし
て得られた画像の光学濃度を画像が形成された表面側か
ら測定した。その結果、画像面積1cm2あたり0.9
mgという少量のインク量で塗布したベタ画像の光学濃
度は1.6という高い値であった。また、この普通紙上
のベタ画像の縦断面を光学顕微鏡により観察したとこ
ろ、ベタ画像は普通紙の上に主として形成されていて、
インクの普通紙中への浸透はほとんど認められなかっ
た。
【0035】一方、記録ヘッドと吐出口でのインクの目
詰まり性を次のように評価した。内径15mmの注射器
の先に内径420μmの標準注射針(岩下エンジニアリ
ング製)をセットし、この注射器の中にインクを10m
l吸入した。次いで、注射器の上部を密閉し、注射針か
らのインクの滴下を停止させた状態にして、放置した。
所定時間経過後、上部を開放し、インクが継続して注射
針から滴下できるかどうかを調べた。この操作を放置時
間を少しずつ延長しながら繰り返し、注射針からインク
が滴下できた最長の放置時間を目詰まり発生までの余裕
時間とした。このようにして測定した余裕時間は14分
と長かった。
【0036】また市販のインクジェットプリンターに水
で希釈しない本実施例のインクを装填したところ、この
インク(原液)を安定に吐出することができた。さら
に、このようにして印字された画像の印字ドットを拡大
ルーペ及び光学顕微鏡により観察したところ、周辺部で
滲みのない鮮明なドットであることが確認された。
【0037】また、上記バーコーターによるベタ画像及
びインクジェットプリンターにより印字された画像に故
意に水をこぼしたところ、水による画像の滲み、顔料の
広かりは認められず、本実施例のインクが耐水性の高い
ものであることが確認された。 (実施例2)銅フタロシアニン系顔料(ピグメントブル
ー15:3)水分散液(大日精化工業製、商品名EP−
700、固形分35%)27重量部と、水及びメトキシ
シリル基を有するアクリルシリコーン樹脂微粒子(平均
粒子径0.1〜0.2μm)を含む樹脂分散液(三洋化
成工業製、商品名SW−131、固形分31%)36重
量部と、水及び側鎖にカルボキシル基が付加された変性
ポリエステル樹脂微粒子(平均粒子径0.1〜0.2μ
m)を含む樹脂分散液(高松油脂社製、商品名A−21
5G、固形分30%)37重量部とを攪拌しながら均一
に混合した。この混合液を孔径10μmのメンブランフ
ィルターにてろ過して、粗大粒子を除去し、続いて、ろ
液に対し、L−α−ジパルミトイルホスファチジルコン
とコレステロールとL−α−ジパルミトイルホスファチ
ジルグリセロールを30:40:30のモル比で含有す
る負荷電を有するリポソーム製剤(日本油脂社製、商品
名EL−A−01)4重量%を添加して、インク中顔料
濃度(顔料固形分×100/インク全量)が9重量%、
固形分中顔料濃度(顔料固形分×100/(顔料固形分
+樹脂微粒子固形分+リポソーム製剤重量))が26重
量%、インク中樹脂微粒子全固形分濃度(樹脂微粒子固
形分合計×100/インク全量)が21重量%のインク
を作製した。
【0038】このようにして作製したインクをバーコー
ターを用いて、複写機用普通紙上に塗布し、室温にて乾
燥させることにより、普通紙上にベタ画像を得た。そし
て得られた画像の光学濃度を画像が形成された表面側か
ら測定した。その結果、画像面積1cm2あたり0.9
mgという少量のインク量で塗布したベタ画像の光学濃
度は1.4という高い値であった。また、この普通紙上
のベタ画像の縦断面を光学顕微鏡により観察したとこ
ろ、ベタ画像は普通紙の上に主として形成されていて、
インクの普通紙中への浸透はほとんど認められなかっ
た。
【0039】次に、実施例1と同様の方式にてインクの
目詰まり性を評価した。その結果、余裕時間は20分と
長かった。
【0040】また市販のインクジェットプリンターに水
で希釈しない本実施例のインクを装填したところ、この
インク(原液)を安定に吐出することができた。さら
に、このようにして印字された画像の印字ドットを拡大
ルーペ及び光学顕微鏡により観察したところ、周辺部で
滲みのない鮮明なドットであることが確認された。
【0041】また、上記バーコーターによるベタ画像及
びインクジェットプリンターにより印字された画像に故
意に水をこぼしたところ、水による画像の滲み、顔料の
広かりは認められず、本実施例のインクが耐水性の高い
ものであることが確認された。 (比較例1)正荷電を有するリポソーム製剤を添加しな
かった以外は実施例1と同様にしてインクを製造した。
このようにして製造したインクについて、実施例1と同
様に光学濃度及び余裕時間を測定し、市販のインクジェ
ットプリンターによる普通紙上への印字を実施した。そ
の結果、画像面積1cm2あたり0.9mgという少量
のインク量で塗布したベタ画像の光学濃度は1.7であ
ったが、余裕時間は3分10秒と短かった。また市販の
インクジェットプリンターでは、初期には印字できた
が、印字枚数の増加とともに文字のかすれの発生が一部
認められた。 (比較例2)負荷電を有するリポソーム製剤を添加しな
かった以外は実施例2と同様にしてインクを製造した。
このようにして製造したインクについて、実施例1と同
様に光学濃度及び余裕時間を測定し、市販のインクジェ
ットプリンターによる普通紙上への印字を実施した。そ
の結果、画像面積1cm2あたり0.9mgという少量
のインク量で塗布したベタ画像の光学濃度は1.6であ
ったが、余裕時間は3分20秒と短かった。また市販の
インクジェットプリンターでは、初期には印字できた
が、印字枚数の増加とともに文字のかすれの発生が一部
認められた。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、記録紙上でのインクの
滲みや浸透がなく、極めて高い画像濃度で耐水性のある
高画質画像を得ることが可能で、かつ目詰まりすること
なく継続的、安定的に吐出できるインク組成物、その製
造方法及びそのようなインクを用いた画像記録方法を提
供することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビヒクルと、顔料と、脂質とを含有する
    ことを特徴とするインク組成物。
  2. 【請求項2】 前記脂質がリン脂質であることを特徴と
    する請求項1に記載のインク組成物。
  3. 【請求項3】 前記脂質がリポソームであることを特徴
    とする請求項2に記載のインク組成物。
  4. 【請求項4】 2種類以上の樹脂微粒子をさらに含有す
    ることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記
    載のインク組成物。
  5. 【請求項5】 ビヒクルと、顔料と、脂質とを分散させ
    ることを特徴とするインク組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 インクの液滴を記録ヘッドから吐出させ
    て記録体上に画像を記録する画像記録方法において、該
    インクとして請求項1から4のいずれか1項に記載のイ
    ンク組成物を用いることを特徴とする画像記録方法。
JP2000066643A 2000-03-10 2000-03-10 インク組成物、その製造方法及び画像記録方法 Pending JP2001254034A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000066643A JP2001254034A (ja) 2000-03-10 2000-03-10 インク組成物、その製造方法及び画像記録方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000066643A JP2001254034A (ja) 2000-03-10 2000-03-10 インク組成物、その製造方法及び画像記録方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001254034A true JP2001254034A (ja) 2001-09-18

Family

ID=18585972

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000066643A Pending JP2001254034A (ja) 2000-03-10 2000-03-10 インク組成物、その製造方法及び画像記録方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001254034A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010531977A (ja) * 2007-06-20 2010-09-30 ノースウエスタン ユニバーシティ 脂質を含む組成物を用いたパターニング

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010531977A (ja) * 2007-06-20 2010-09-30 ノースウエスタン ユニバーシティ 脂質を含む組成物を用いたパターニング

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0778322B1 (en) Ink compositions containing liposomes
KR100552027B1 (ko) 잉크, 잉크 카트리지, 기록 유닛, 잉크 제트 기록 방법 및 잉크 제트 기록 장치
JP3033093B2 (ja) 画像記録用インク及び画像記録方法
CA2252154C (en) Ink, ink container, ink set, ink jet printing apparatus, and ink jet printing method
JP3453399B2 (ja) サーマルインクジェット記録方法
US5139574A (en) Ink compositions
JP2001081366A (ja) インクプリンタ用記録液、その製造方法及び画像記録方法
DE60006766T2 (de) Tintensatz, Tintenstrahl-Aufzeichnungsverfahren, Aufzeichnungseinheit, Tintenpatrone, Tintenstrahl-Aufzeichnungsgerät und Reduzierung von Farbvermischung mit diesem Tintensatz
JPH03160068A (ja) 画像記録用インク
JPH07145336A (ja) 印刷要素のブリードの軽減及び色の改良のための方法
JP7056272B2 (ja) インクジェット記録液セット及びインクジェット記録方法
JP2002155225A (ja) 水性顔料インクセット
JPH1046075A (ja) インクジェット記録用水性インク
JP2004122574A (ja) インクジェット記録方法
US6773102B2 (en) Inkjet printing method for an ink/receiver combination
JP3089639B2 (ja) 画像記録用インク
JP2002080761A (ja) インクプリンタ用記録液、その製造方法及び画像記録方法
JP3897128B2 (ja) 着色微粒子水分散体
JP3011107B2 (ja) 記録液及び画像記録方法
JP2001254034A (ja) インク組成物、その製造方法及び画像記録方法
US6075085A (en) Recording liquid and image recording method
US7097295B1 (en) Recording liquid for ink printers and method for recording images
JP2003026962A (ja) インクジェットインク、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP3319308B2 (ja) 記録液及び画像記録方法
JP3897129B2 (ja) インクジェット記録用インク