JP2001253397A - 航空機用環境制御装置 - Google Patents
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Abstract
も簡易な構成で所用の冷却能力を発揮し得るようにした
環境制御装置を提供すること。 【解決手段】キャビン2内の空気を取り出して、この取
り出した空気のうち酸素及び水分子のみを選択透過膜2
1で分離して、再びキャビン2に供給できるようにし、
残った窒素を燃料タンクアレジ41に防爆のために供給
するようにしたので、搭乗者の呼吸のため及び防爆のた
めにエンジン1から取り込んでいた抽気量を大巾に低減
できるようになる。
Description
度、圧力、酸素分圧等を制御する省エネルギ型の環境制
御装置に関する。
いる。この環境制御装置は、エンジンまたは補助動力部
から高温高圧の圧縮空気を抽出し、これを空調部で調
温、調圧した後、キャビンやコックピット等の予圧室に
供給するものであり、予圧室の圧力を制御する役割と、
予圧室に人間が快適に過ごすに充分な酸素を供給する役
割と、予圧室の湿度調整及び冷暖房制御の役割等、様々
な役割を有している。
は、取り込んだエンジン抽気を、コンプレッサとタービ
ンとを単軸結合したエアサイクルマシンを用いて、調温
調圧して予圧室に供給するものや、エアサイクルマシン
を用いずに、エンジン抽気を熱交換機で予冷却した上で
予圧室に供給し、予圧室内の空気を冷媒循環回路を主体
とするベーパサイクルマシンを用いて更に冷却し、最大
冷房負荷まで対応できる能力を与えるようにしたもの等
が知られている。
御装置におけるエンジン抽気の消費量は、通常エンジン
空気流量の約3%を占め、大きなペナルティーとして認
識されていた。具体的には、最大冷房負荷時には、10
0人乗りの旅客機で約100(lb/min)という、
最大の抽気を必要としていた。また、燃料タンク等の引
火性のある部位に、燃料蒸気が存在しても落雷やショー
トによる誘爆を防止できるように、エンジン空気流量の
約1%を占める抽気が別途抜き取られている。このよう
な抽気ペナルティーは、エンジン推力や燃費の悪化に直
結するものである。
予圧室に充分な湿度を提供することが難しく、喉が乾く
等、乗客が快適に過ごすことができないきらいがあっ
た。
ンジンの高バイパス化が進み抽気空気を多く採りにくく
なってきている。
れたものであって、抽気量を抑え、それにより燃費を向
上し、しかも簡易な構成で所要の冷却能力を発揮し得る
ようにした環境制御装置を提供することを目的としてい
る。
機用環境制御装置は、航空機のエンジンまたは補助動力
部から高温高圧の抽気を得、これを空調部で調温、調圧
した後、予圧室に供給するようにしたものにおいて、予
圧室から排出された空気または予圧室内から取り出した
空気を、窒素富化空気と酸素富化空気とに分離し、この
酸素富化空気を予圧室に再び供給するとともに、窒素富
化空気を燃料タンク等の引火性のある部位に供給するよ
うにしたことを特徴とする。
される空気または予圧室内から取り出した空気のうち酸
素のみを再び予圧室に供給する分、新鮮空気供給のため
の抽気の取り込みを最大30%程度減少させても、予圧
室において、乗客等が快適に過ごし得る充分な酸素濃度
を保持できるようになる。また、空調に必要な量を越え
た抽気を必要とせずに、すなわち推力や燃費を低下させ
ずに燃料タンク等の引火性のある部位の誘爆防止を図れ
るようになる。以上の結果、航空機の信頼性、乗客に与
える快適性を低下させることなく、抽気量を大巾に減ら
すことができるようになり、燃費や推力の向上を図れる
ようになる。
空気を利用することは、高温高圧の抽気を一から空調す
る場合に比べると、空調部に掛かる負荷は遙かに軽くで
きるようになる。
排出された空気または予圧室内から取り出した空気を、
圧縮することにより、分子を選択して透過する膜を用い
て窒素富化空気と酸素及び水蒸気富化空気とに分離する
ようにしたものを挙げることができ、この場合、予圧室
内の湿度を好適に保てるようになり、乗客等に、喉が乾
くといった不快感を与えることを防止できるようにな
る。
から排出された空気または予圧室内から取り出した空気
を、分子を選択して吸着できる材料を用いて、窒素富化
空気と酸素富化空気とに分離するようにしたものが挙げ
られる。
明する。
ンジン1から高温高圧の抽気を得、これを予冷した後、
予圧室たるキャビン2に供給する空調部3と、このキャ
ビン2内の空気を取り込んで更に冷却することが可能な
補助空調部31とを具備している。前記空調部3と補助
空調部31について詳述すると、空調部3は、エンジン
1から取り込んだ抽気を、先ず調圧弁7で調圧し、続い
て、熱交換器5で外気と熱交換して予冷却し、この冷却
した高圧空気を、タービンで8断熱膨張させて低温に
し、キャビン2に供給するものである。なお、水蒸気の
多い夏場の低高度であれば、熱交換機により予冷却した
際に、凝結して水が出るので、図示しないウォーターセ
パレータにより、水を分離する。
により循環ライン15に取り込んだキャビン2内空気を
ベーパサイクルシステム6により冷却し、循環ライン1
5により再びキャビン2内に供給することができるもの
である。具体的には、前記ベーパサイクルシステム6
は、遠心コンプレッサ9、凝縮器10、膨張弁11及び
蒸発器12を順次通過するように構成された冷媒循環回
路13を主体とするものであり、この冷媒循環回路13
には、相変化を用いた熱サイクルが可能な代替フロンが
冷媒16として封入されている。そして、循環ライン1
5によってキャビン内空気が前記蒸発器12に導入さ
れ、冷媒16がキャビン2内空気の保有する熱を奪って
蒸発することによりキャビン2内空気を冷却する。蒸発
器12を出た冷媒16は、タービン8に磁気カップリン
グ17を介して連結された冷媒16用の遠心コンプレッ
サ9により、高温高圧となる。この高温高圧の冷媒16
は、凝縮器10に導かれ、外気と熱交換し、放熱して自
ら液体になる。液体となった冷媒16は、膨張弁11を
介して、再び蒸発器12に導かれ、膨張し周囲から熱を
奪って気化する。なお、前記遠心コンプレッサ9は、タ
ービン8において抽気が膨張する時に発生するエネルギ
が軸の駆動エネルギとして伝達されることにより駆動す
る。
置は、キャビン2内空気の一部を取り出して、この取り
出した空気のうち酸素及び水分子のみを、再びキャビン
2内に供給することができる酸素抽出部19を具備して
いる。
空気の一部を取り出して、圧縮比3.5程度に電動圧縮
機20で圧縮することにより、酸素及び水分子を透過す
る分子選択透過膜21を用いて、窒素富化空気(N2r
ich)と酸素及び水蒸気富化空気(O2・H2Oric
h)とに分離し、この酸素及び水蒸気富化空気を、前記
循環ラインを15利用して、再びキャビン2内に供給す
るものである。具体的には、循環ライン15に導入され
た酸素及び水蒸気富化空気は、循環ファン14により該
循環ライン15に導入されたキャビン2内空気と混合さ
れ、蒸発器12により冷却される。一方、前記選択透過
膜21を通過しない窒素等は、窒素富化空気として、燃
料タンクアレジ41に導入され、オーバーフローしたも
のは、機外に排出される。
あると、キャビン2内から取り出した空気のうち酸素の
みを再びキャビン2に供給する分、新鮮空気供給のため
の抽気の取り込みを最大30%程度減少させても、キャ
ビン2において、乗客等が快適に過ごし得る充分な酸素
濃度を維持できるようになる。また、空調に必要な量を
越えた抽気を必要とせずに、すなわち推力や燃費を低下
させずに燃料タンク41の誘爆防止を図れるようにな
る。このように、引火性のある部位に、窒素富化空気を
供給することは、航空機の安全性をより向上できること
につながる。以上の結果、航空機の信頼性、乗客に与え
る快適性を低下させることなく、抽気量を大巾に減らす
ことができるようになり、燃費や推力の向上を図れるよ
うになる。
内の空気を利用することは、高温高圧の抽気を一から空
調する場合に比べると、空調部3に掛かる負荷は遙かに
軽くできるようになる。
ャビン2内の空気を冷却するための、循環ライン15を
利用したものであるので、酸素及び水蒸気富化空気をキ
ャビン2に供給するための別段の構成を不要とすること
ができ、スペース的、コスト的に有利なものとなる。さ
らには、複雑な作業を必要とせずに、既存の空調部に備
えることもできる。
度が高くなり、乗客や電子機器による発熱があることか
ら、極めて低い周囲温度(マイナス60℃程度)であっ
ても、僅かに冷却モードとなる。この場合、ベーパサイ
クルシステム6による冷却は必要なく、熱交換器5で冷
却した空気と、図1において二点鎖線で示すようにバイ
パスさせて温度制御弁23で温度制御した抽気とを混合
して、キャビン2内に供給することになるが、この場合
にも上述した効果を同等に奏するのは言うまでもない。
施例に限られるものではない。例えば、酸素抽出部の変
形例としては、ゼオラオト等の分子を選択して吸着でき
る材料を用いて、窒素富化空気と酸素富化空気とに分離
するようにしたものが挙げられる。具体的には、ゼオラ
イトを複数用意しておき、一のゼオライトを用いて、取
り込んだ空気から酸素分子のみを吸着し、このゼオライ
トが酸素分子で飽和状態になれば、待機させていた他の
ゼオライトを用いて、取り込んだ空気から酸素分子のみ
を吸着するとともに、飽和状態にある一のゼオライトか
ら酸素分子を取り出してキャビンに供給し、この一のゼ
オライトを他のゼオライトが酸素分子で飽和状態になる
まで待機させておくように構成したものが挙げられる。
このように、複数のゼオライトを交互に使用するように
したものにおても、上述した効果を同等に奏するだけで
なく、キャビン内空気を、窒素富化空気と酸素富化空気
とに分離する前に、電動圧縮機により圧縮する手間を省
くことができるようになり、構成的に有利なものとする
ことができる。
酸素及び水蒸気富化空気を製造してもよいし、さらに言
えば、補助動力部から抽気を得てもよいし、予圧室とし
てはキャビン以外には電子機器室やコックピット等が挙
げられる。
するものとしてもよく、例えば、エンジン抽気を熱交換
器により冷却した後、エアサイクルマシンのコンプレッ
サで圧縮し、再度冷却した上で、前記エアサイクルマシ
ンのタービンで膨張することで、冷却空気を得、この冷
却空気を予圧室に供給するようにしたものが挙げられ
る。この場合においても、上述した効果を同等に奏させ
ることができる。
ず、炭化水素やアンモニア等の物質を使用してもよい。
脱しない範囲で種々変更可能である。
室に充分な酸素を供給しつつ、新鮮空気供給のための抽
気の取り込みを従来に比べ大巾に減少できるとともに、
最低減必要な量以上の抽気をしないで、引火性のある部
位の落雷等による誘爆を防止できるようになる。このよ
うに、航空機の信頼性、搭乗者に与える快適性を低下さ
せることなく、抽気量を減らすことができるとともに、
一旦空調されている予圧室内の空気を利用して空調部に
かかる負担軽減を図ることができるので、燃費や推力の
向上に直結するだけでなく、航空機の性能を飛躍的に向
上できるようになる。
や、もともとの必要換気量が少なくてもよいビジネスジ
ェット等では、ベーパサイクルシステムとの併用によ
り、大巾なエンジン抽気の削減を期待できるようにな
る。
予圧室内から取り出した空気を、圧縮することにより、
分子を選択して透過する膜を用いて窒素富化空気と酸素
及び水蒸気富化空気とに分離するようにしたものであれ
ば、上述した効果に加えて、予圧室内に乗客が快適に過
ごし得る湿度を与えることができるようになる。
から取り出した空気を、分子を選択して吸着できる材料
を用いて、窒素富化空気と酸素富化空気とに分離するよ
うにしたものであれば、圧縮機が不要であるため、上述
した効果を奏する環境制御装置の提供を簡単な構成かつ
省スペースで実現できるようになる。
膜) 41・・・引火性のある部位(燃料タンク)
Claims (3)
- 【請求項1】航空機のエンジンまたは補助動力部から高
温高圧の抽気を得、これを空調部で調温、調圧した後、
予圧室に供給するようにしたものにおいて、 予圧室から排出された空気または予圧室内から取り出し
た空気を、窒素富化空気と酸素富化空気とに分離し、こ
の酸素富化空気を予圧室に再び供給するとともに、窒素
富化空気を燃料タンク等の引火性のある部位に供給する
ようにしたことを特徴とする航空機用環境制御装置。 - 【請求項2】予圧室から排出された空気または予圧室内
から取り出した空気を、圧縮することにより、分子を選
択して透過する膜を用いて窒素富化空気と酸素及び水蒸
気富化空気とに分離するようにしたことを特徴とする請
求項1記載の航空機用環境制御装置。 - 【請求項3】予圧室から排出された空気または予圧室内
から取り出した空気を、分子を選択して吸着できる材料
を用いて、窒素富化空気と酸素富化空気とに分離するよ
うにしたことを特徴とする請求項1記載の航空機用環境
制御装置。
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