JP2001252985A - 複合材料接合継手および接合と補修方法 - Google Patents

複合材料接合継手および接合と補修方法

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JP2001252985A
JP2001252985A JP2000115921A JP2000115921A JP2001252985A JP 2001252985 A JP2001252985 A JP 2001252985A JP 2000115921 A JP2000115921 A JP 2000115921A JP 2000115921 A JP2000115921 A JP 2000115921A JP 2001252985 A JP2001252985 A JP 2001252985A
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fibers
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resin
fiber
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Akira Todoroki
章 轟
Goichi Hen
吾一 邉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱可塑性および熱硬化性高分子材料を母材とす
る複合材料構造において、複雑構造を低コストであるい
は構造建設現場で建造や製造する際に必然的な複合材料
接合技術に関するものであり、接合部に母材と同等の機
能を有する強化材の繊維を混合させ、接合部を複合材料
化して継手特性を向上させることが課題である。 【解決手段】上記課題を解決するため、本発明では、母
材を焼却あるいは融点以上で融解させるか有機溶媒で溶
解させるか機械的の除去することによって接合部分の繊
維を露出させ、これらの繊維を互いに絡めあわせた後に
母材を含浸させて再度複合化させて継手を作成すること
で継手特性の向上を図る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子を母材とす
る炭素繊維強化プラスチックやガラス繊維強化プラスチ
ックやセラミック繊維プラスチックや高分子繊維強化プ
ラスチックや金属繊維強化プラスチックの少なくとも2
つの複合材料部品を接合する際に、接合部分に強化材の
繊維を混合させて入れることで接合特性向上を図る複合
材料の接合継手に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複合材料の構造物を接合する技術
としては、例えば管状構造の接合ではフランジを設けて
ボルト接合する手法が実用化されている。また、平板構
造では重ね合わせる部分を設けて接着材を用いて接着構
造としている。フランジ構造を作成する場合には、管状
構造自体は引き抜きなどの量産型の製造工程で行われる
ため、フランジ自体を管構造に接合する技術が必要であ
り、一体成形するためには複雑な構造となって製造コス
トが上昇する問題点があった。接着構造では、接合部が
接着剤だけで負荷を負担するため、接着面積を広く設け
て接着面の応力を小さくする必要があった。また、この
場合でも接合面は接着剤であり、複合材料構造と弾性率
が異なるため、異材接合となって応力集中が接合端部に
発生するため、疲労荷重負荷による端部のはく離などの
問題点を抱えていた。
【0003】特開平11−210117号公報では、複
合材の接合構造及びその接合方法において、発泡ポリス
チレン又は発泡ポリウレタン等の樹脂発泡体等からなる
断熱パネルの接合に際し、パネル材の表面に接着剤など
を含浸させて樹脂化した上にアラミド繊維や炭素繊維や
ガラス繊維やビニロン繊維等の連続繊維を帯状にしてな
る繊維帯を張着させることによって各複合材パネル構造
同士を接合する技術が提案されている。
【0004】特開平11−034198号公報では、シ
ート状複合材、複合管及び建造物の補強・補修方法にお
いて、熱可塑性複合材料あるいは熱硬化性複合材料の接
合に際し、シート状炭素繊維複合材の間に金属繊維の電
気伝導性繊維を構成する電極を積層してニードリングに
より接合する技術が提案されている。
【0005】特開平09−229043号公報では、繊
維強化プラスチック部材の接合方法において、ボルト締
結の接合において、繊維を切断しないでボルト締結用の
孔を空けて強度低下を防止する接合技術が提案されてい
る。
【0006】特開平07−060852号公報では、繊
維強化樹脂製管継手及びその製造方法において、繊維強
化樹脂製の管継手において、少なくとも一個の受口内面
に受口入口から奥側にわたり短管状樹脂成形体が固着さ
れ、該成形体の奥側端部外面に臨む繊維強化樹脂部分の
材質が他の繊維強化樹脂部分よりも、未硬化状態での樹
脂だれを生じ難い材質とされていることを特徴とする繊
維強化樹脂製管継手が提案されている。
【0007】特開平07−040879号公報では、熱
可塑性樹脂複合材料の接合構造において、連続繊維にて
補強された熱可塑性樹脂複合材料同士の端部を重ね合わ
せて接合する熱可塑性樹脂複合材料の接合構造におい
て、前記熱可塑性樹脂複合材料同士の重ね合わせ部に、
前記熱可塑性樹脂複合材料同士の端部の重ね合わせのた
め設ける段部を平滑にする手段を設けたことを特徴とす
る熱可塑性樹脂複合材料の接合構造が提案されている。
【0008】特開平06−017487号公報では、繊
維強化樹脂部材の接合方法において、板状の繊維強化樹
脂部材と金属製接合具を高力ボルトを用いて摩擦接合
し、前記繊維強化樹脂部材の接合部分に、樹脂部材の幅
と、ボルト穴径と、ボルトピッチと、部材端から最も近
いボルト穴中心までの距離と、部材側端から最も近いボ
ルト穴中心までの距離と、ボルト列の数との条件を特徴
とする繊維強化樹脂部材の接合方法が提案されている。
【0009】特開平05−164115号公報では、繊
維強化プラスチックパイプの継手構造では、繊維強化プ
ラスチックパイプの少なくとも一方端部分に外開きテー
パ状継手部を構成し、該テーパとほぼ同一傾斜内面を有
する金属製の分割外継手と、該外継手に固定し、前記テ
ーパとほぼ同一傾斜外面を有する金属製の内継手とのそ
れぞれの内周面および外周面で形成する間隙に、前記繊
維強化プラスチックパイプの継手部のテーパ部を挿入し
て内外両継手で挟持し、かつ外継手先端部分を緊締リン
グで支持したことを特徴とする繊維強化プラスチックパ
イプの継手構造が提案されている。
【0010】特開平11−342544号公報では、連
結材の製造方法において、予め繊維を露出させた強化プ
ラスキックの補強材を現場で連結し、繊維部分を絡めて
樹脂で硬化させる方法を提案している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、軽量性、耐
薬品性、耐腐食性の優れた熱可塑性および熱硬化性高分
子材料を母材とする複合材料構造において、複雑構造を
低コストであるいは構造建設現場で建造や製造する際に
必然的な複合材料接合技術に関するものであり、従来の
金属材料構造おける溶接技術に相当するものである。当
然の要求として、継手部から破壊することの無いよう
に、接合すべき複合材料構造と少なくとも同等の強度を
有し、構造建設現場での建造や製造では、必然的に作業
が容易であることと、量的に多量の部品が必要であるた
め、複雑構造で成形性が低下することのない低製造コス
トの部材を用いることが、要求されている。
【0012】前述の従来技術においては、静的強度では
複合材料程度の強度を達成可能であるが、構造が複雑
で、高コストであるか、接合面が母材樹脂あるいは接着
剤だけとなり、複合材料部分と弾性率が異なることに起
因して、接合端面で応力集中が発生し、端部でき裂が発
生しやすくなること、繊維によるき裂停止効果が接合面
で期待できないこと、母材樹脂や接着剤が負荷を受け持
つため、疲労やクリープなどの時間依存の破壊挙動に対
して樹脂の特性しか期待できないことなどの欠点があげ
られる。
【0013】これらの問題点を解決するためには接合部
に複合材料部と同等の機能を有する強化材の繊維を混合
させ、接合部を複合材料化すれば良いのであるが、単に
接合用の母材や接着剤を複合材料化するだけでは、その
接合面と接合対象の複合材料の界面において、繊維が界
面のある面上で完全に切断されており、繊維によるき裂
ブリッジングに起因するき裂停留効果や繊維による応力
分担は期待できない。このため、接合対象の複合材料の
繊維を互いに混合して接合面で繊維の切断が生じていな
いようにすることが望まれる。また、繊維を予め露出さ
せた構造では、パイプなどの大量生産品の接合や複雑構
造の接合には予め全ての接合面に繊維を露出させて成形
することが技術的に困難であり、不向きであるため既存
の市販量産品の接合部分の繊維を露出させて接合させる
方法が望まれる。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑樹脂お
よび熱硬化性樹脂の樹脂材料を母材とする繊維強化複合
材料構造物を接合する構造に関するものであり、接合す
る少なくとも2つの複合材料の接合部分の繊維を特定の
方法で露出させ、当該露出させた繊維を互いに混合させ
て、当該接合部分に母材樹脂と結合性のある樹脂を含浸
させて当該接合部分を強化繊維の切断面が無い複合材料
とすることで、接合特性を向上させた継手である。
【0015】前記の継手において、接合対象の複合材料
構造の繊維を露出させる手段として、接合部分を母材樹
脂材料の発火点温度以上に加熱して母材樹脂材料を焼却
して除去することで繊維を露出させ、繊維を互いに混合
させることで接合部にも繊維を含有させた複合材料継手
製造方法が提案される。
【0016】前記の継手において、接合対象の複合材料
構造の繊維を露出させる手段として、接合する樹脂材料
の接合部分を融点以上発火点以下に加熱して母材樹脂を
融解させて除去することで繊維を露出させ、繊維を互い
に混合させることで接合部にも繊維を含有させた複合材
料継手製造方法が提案される。
【0017】前記の継手において、接合対象の複合材料
構造の繊維を露出させる手段として、接合する樹脂材料
の接合部分を母材が融解する有機溶媒にて洗浄し、母材
樹脂を洗浄除去することで繊維を露出させ、繊維を互い
に混合することで接合部にも繊維を含有させた複合材料
継手製造方法が提案される。
【0018】前記の継手において、接合対象の複合材料
構造の繊維を露出させる手段として、接合する樹脂材料
の接合部分の母材樹脂を機械的に除去して繊維を露出さ
せ、繊維を互いに混合することで接合部にも繊維を含有
させた複合材料継手製造方法が提案される。
【0019】前記の継手において、接合部分に前記の方
法で繊維を露出させた複合材料製接合用部品を利用し
て、前記の方法で繊維を露出させた接合対象複合材料の
接合部分の繊維と当該複合材料製接合用部品の露出した
繊維とを互いに混合することで複合材料製接合部品と接
合対象複合材料との接合部にも繊維を含有させた複合材
料継手製造方法が提案される。なお、本手法はそのまま
複合材料の補修にも適用可能である。当該方法を用い
て、複合材料損傷部分削除後に、複合材料製接合用部品
を補修用パッチとして用いて本体を補修する方法がその
まま適用できる。
【0020】前記の継手において、向上させる接合特性
として剛性と静的破壊強度と疲労破壊強度とクリープ破
壊強度と、の少なくとも1つの特性向上を有する複合材
料継手が含まれる。前記記載の手段によって接合対象の
複合材料構造の強化繊維を互いに混合させるか、あるい
は接合パッチなどの接合用部品を用いてその繊維と接合
対象複合材料の繊維を混合させることによって、接合面
における強化繊維の切断が生じていない複合材料接合継
手が利用できる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
用いて説明する。なお、ここでは例として、平板2枚を
接合するが、本発明は平板構造の接合に限定されない。
【0022】[繊維露出の方法] (1)母材焼却による繊維露出法 母材を母材の発火点以上に加熱することで焼却すること
によって強化繊維だけを接合する部分で露出させる方法
について解説する。この手法は炭素繊維やガラス繊維や
セラミック繊維強化の熱硬化性樹脂に適している。例え
ばエポキシ樹脂ではアルコールランプやストーブなどの
火にかけることで容易に発火する。しかし、このような
比較的低温の発火のさせ方では、不完全燃焼し、燃焼し
た複合材料部分に燃焼残の炭化した樹脂が残留し、繊維
を互いに混合することができないばかりか再度樹脂を含
浸させても接着性が悪くなってしまう。そこで、燃焼に
は、溶接用レーザーやはんだ付け用光ビームやガス溶接
などの800℃〜1300℃程度の高温燃焼装置を使用
する。市販(例えば日本パルス技術研究所製LP815
0)のはんだ付け用光ビーム装置を用いた場合の燃焼時
の装置手順を図1に示す。
【0022】卓上光ビーム式はんだ付け装置の光ビーム
(150Wハロゲンランプ)集光部(ランプから30m
m程度)にターゲット(直径ほぼ10mm)となる接合
対象の複合材料平板を設置する。焼却部分の長さを適切
に決定し、その端部から光ビームを最大出力、複合材料
平板に焦点を合わせて照射して樹脂を焼却する。このと
き、不完全燃焼によるすすが発生しないことを確認す
る。光ビームが照射されるのは表面近傍の1mm程度だ
けであるので、露出した表面繊維をピンセットやラジオ
ペンチなどで適切に避けて内部樹脂をも焼却する。な
お、前述の150Wのハロゲンランプを用いた光ビーム
式はんだ付け装置の場合、厚さ1.4mmの炭素繊維エ
ポキシ複合材料板の反対側表面まで燃焼の影響が観察さ
れた。このようにすることで容易に図2に示すように繊
維が部分的に露出した複合材料平板が加工される。
【0023】ガスバーナーによる母材焼却も基本的には
同じであるが、ガスバーナーでは光ビーム式と異なり、
加熱部分面積が広いため、ガスバーナー火炎周辺で不完
全燃焼を生じやすい。このため、試験片端部では不完全
燃焼が発生しやすい欠点があるが、現場で使用しやすい
利点を有している。
【0024】なお、燃焼させたくない部分にはアルミテ
ープなどの熱伝導の良いテープまたは鋼などの治具では
さむことによって温度上昇を抑制し、局部的に燃焼させ
ることが可能となる。アルミテープによるマスキング法
を図3に示す。ただし、ガスバーナーではアルミテープ
を融解してしまう危険があるので、十分な注意が必要で
ある。
【0025】(2)融解除去法 熱可塑性高分子では、局部的に高温に加熱すると融点を
超えた部分で母材が融解し、繊維が露出する。熱可塑の
場合も前記の焼却法も利用できるが、金属熱処理炉など
の既存の設備を利用するかあるいは半田ごてとはんだ吸
い取り装置や、高温ガスの吹き付けなどの利用により、
局所的に融点以上発火点以下の一定の温度まで昇温させ
ることで母材を溶融させ、繊維を露出させることができ
る。例として、はんだごてとはんだ吸い取り装置を用い
た手順を図4に紹介する。
【0026】はんだごてを目的とする場所に押し当て
て、その部分にはんだ吸い取り装置を設置し、樹脂が融
解したら吸い取る。このようにすることで、樹脂だけを
除去することができる。
【0027】(3)溶解法 エポキシ樹脂などでは、アセトンなどの有機溶媒に容易
に溶解する。このため、接合対象部分を有機溶媒につけ
て、母材の樹脂を溶解させて繊維だけを露出させること
ができる。この方法は、母材に対して適切な有機溶媒が
必要であることと、長時間を要するため実用上の問題は
あるが、繊維に傷がつかないという利点を有している。
樹脂に依存するが、通常の市販のエポキシ系接着剤を母
材とする複合材料では、アセトン溶媒中で数日で母材が
除去される。
【0028】(4)機械的除去法 機械的に除去する方法には、引張や曲げや疲労荷重を負
荷して破断させ、破断面に露出した繊維を利用する方法
と、研磨剤を用いて樹脂だけを除去する方法がある。機
械的に引張や曲げや疲労荷重などで破断させれば、破断
面に繊維が露出することは周知の事実であり、この部分
を利用することで繊維を露出させることができる。これ
を図5に示す。図5では、楕円形の切欠きを導入して曲
げ破壊をし、破断面の引き抜き繊維を露出させた例であ
る。ただし、破断部分を特定する必要があるため、切欠
きの導入や局部焼却などで傷を導入しておく必要がある
こと、大きな構造では破断させるために巨大な負荷が必
要であること、十分な切欠きや局部焼却を導入しないと
負荷に起因して健全部分が損傷を受けるなどの欠点を有
している。また、切欠き部分には繊維が無いため、継手
性能的にも十分には改善されない。利点としては、操作
が簡単であることがあげられる。研磨による方法は、例
えばセラミック繊維強化複合材料で、繊維より硬度の低
い研磨剤を用いて研磨することで、樹脂部が選択的に研
磨されて繊維が露出する方法であるが、数十μm以上の
繊維露出は技術的に困難であるという欠点を有してい
る。
【0029】(6)接合用部品利用法 接合用部品利用とは、図6に示すように予め前述のどれ
かの方法または複数の方法で繊維を露出させた複合材料
を直接繊維を互いに混ぜ合わせるのではなく、繊維を混
ぜ合わせるための専用部品を用いる方法である。これは
この接合専用部品を予め繊維を露出させて作成するなど
によって繊維を傷めることなく工場で作成可能であり、
現場作業では接合面の両面の繊維が傷んでしまうことが
避けられないが、この方法では片側だけが痛むだけです
むという利点がある。ただし、コスト的には特殊な部品
を必要としているのでややコスト高になる点が不利益に
なる。なお、この方法は複合材料が損傷を受けたときに
その部分を機械的に削除し、その削除部分を埋める複合
材料パッチとして当該接合専用部品を位置付けるだけで
複合材料の補修に適用可能である。
【0030】[繊維混合方法] (1)単純繊維混合法 繊維を接合面で混ぜ合わせるには、最も簡単な方法とし
て、単純に接合面を突き合わせてしまう方法である。燃
焼法では、完全に樹脂が燃焼していれば特に問題はない
が、通常は若干の燃え残りが生じているため、アセトン
などの溶媒で数分間洗浄した後に混合を行う方がよい。
また、燃え残りで若干繊維同士が接着している場合に
は、力学的に曲げなどの外力をくわえて繊維を完全に分
離させる。
【0031】(2)プライ交互混合法 多層積層板では、層ごとに繊維方位が異なるため、繊維
を単純繊維混合できない。このため多層積層板では、層
ごとに1プライずつ交互に繊維を混ぜ合わせていく。こ
れを模式的に図7に示す。プライ交互に混ぜ合わせるこ
とで、接合部の単純な断面積は通常の複合材料平板部分
より増加するため、接合部分の巨視的応力が低下する利
点を有している。
【0032】(3)厚さ方位強化法 前記の方法で混ぜ合わせた後に、厚さ方位に繊維を縫い
合わせるかあるいは接合部を繊維束で巻き上げるかクロ
ス材を使用して巻き上げることによって、繊維を締め付
ける力を負荷し、繊維の引き抜きに対する抵抗力を増加
させることができる。これを図8に示す。
【0033】[接合部複合化方法]前記の方法により、
繊維を混合させた接合部に常温硬化エポキシ樹脂を含浸
させて硬化させたり、高温硬樹脂を含浸させて炉中で硬
化させるか電熱器で高温にして硬化させるか、高温で溶
融した熱可塑性樹脂中に漬けるか、注入することで繊維
混合部分を再び複合材料化させる。必要がある場合に
は、繊維界面を界面処理剤で処理した後に樹脂を含浸さ
せることも可能である。この際、硬化前樹脂や溶融熱可
塑樹脂が漏洩しないように裏当てなどの樹脂漏洩防止策
を行う必要があることは周知の溶接技術の場合と全く同
様であるのでここでは詳細には記載しない。小規模であ
れば粘土を利用して容易に漏洩防止が可能である。
【0034】[接合方法と接合継手]本発明の手順とし
ては、焼却や溶融や融解や機械的除去の少なくとも一つ
の方法によって接合部分の母材を除去して繊維を露出さ
せ、繊維を単純突合せか交互混合か圧さ方位強化の少な
くとも一つの方法で絡めて混合し、母材と同等あるいは
母材と接着性の良好な樹脂を用いて接合部分を現場ある
いは工場で複合化することになる。本発明の繊維露出方
法は、形状に依存しないため、接合可能な部品は板材に
とどまらず、パイプや容器とパイプやT継手やIビーム
継手など多種に及ぶ。平板に補強用のハット型ストリン
ガーを接合するような場合でも、接合面を光ビームなど
の前記の方法で焼却することで繊維を露出させることが
可能であり、露出させた繊維同士を縫うように繊維を導
入することで層間せん断強度を向上させた補強構造が作
成可能である。この例を図10に示す。
【0035】
【実施例】ここでは実施例として炭素繊維複合材料(C
FRP:母材エポキシ樹脂)の2枚の平板接合例を示
す。ここでは、焼却によって母材熱硬化樹脂を除去し、
接合して、引張強度を従来のJISの接着継手と比較検
討している。
【0036】図11に本試験で用いた接合継手を示す。
使用したCFRPプリプレグ(半硬化させた炭素繊維強
化エポキシ樹脂のシート)は三菱レイヨン製TR330
E−150SMで、成形温度130℃64分成形圧力
1。67MPaでホットプレス成形を行った。タイプ1
はJIS K6850(接着剤の引張せん断試験方法)
準拠のシングルラップ方式(単純重ね合わせ)の継手
(長さ188mm、幅25mm、ラップ部長さ12m
m、つかみ部長さ38mm)である。タイプ2〜5は日
本パルス技術研究所製LP−8150MKII光ビーム
式はんだ付け装置(150Wハロゲンランプ方式)を用
いて、接合部分の10〜20mmの部分の樹脂を焼却に
よって除去し、繊維を露出させている。焼却時は装置の
最大出力で実施した。目視によって約30mmの焦点を
合わせ、照射部分を移動させながら樹脂を焼却させて除
去した。タイプ2は接合部の板厚を予め半分にして接合
部の繊維を絡ませることなく積層接合したものであり、
タイプ3は接合部の樹脂を除去した後にシングルラップ
継手にした。タイプ4は接合部の繊維を除去した後に板
厚方位に繊維を2等分し、図のように互い違いに積層接
合した継手である。タイプ1〜4までは積層構成は0゜
層8層積層(板厚1mm)である。タイプ5では0゜と
90゜層を交互に対象積層で16層積層した(板厚2m
m)。接合部長さはJIS試験基準値12mmである
が、タイプ3は20mm、タイプ4では10mmとして
いる。試験片幅は全て25mmである。タイプ4では繊
維を絡めた後に炭素繊維を巻きつけている。
【0037】繊維を絡めた後に再複合化に使用した接着
剤はタイプ1は2液混合型EP−008セメダイン社製
であり、タイプ2〜5では母材として用いられる3液混
合常温硬化ビニルエステル系樹脂RIPOXY R−8
02(昭和高分子製)を用いた。常温硬化後に120℃
でポストキュアを実施した。
【0038】試験片作成後に継手の引張せん断試験を実
施した。試験機には島津製作所製サーボパルサーを用い
た。試験結果を図12に示す。破壊個所は全ての場合で
接合部であった。図11に示されているように、タイプ
4と5の引張せん断強度は従来型のタイプ1シングルラ
ップ継手に比較して60%の強度増加が得られた。タイ
プ2と3では従来型よりも低い結果となった。これはタ
イプ2と3では繊維が十分に混合されていないためであ
る。つまり、本発明の手法によって接合部の繊維を混合
することで従来の継手に比較して少なくとも60%以上
の引張せん断強度上昇が得られることがわかる。
【0039】
【発明の効果】本発明では、接合部に繊維切断面を避け
るための強化繊維を導入する手段として、接合部複合材
料の繊維を露出させるため、母材を焼却する方法、溶融
する方法、融解する方法、機械的除去法を提案し、それ
らを絡め合わせ、繊維で補強することで既存の量産品の
複合材料構造部品の接合にも適用可能であり、また従来
のシングルラップ継手方式よりも接合強度の高い複合材
料継手が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ビーム式はんだ付け装置による母材樹脂焼却
法例
【図2】母材除去による繊維露出複合材料例
【図3】マスクテープ利用ガスバーナーによる母材焼却
法例
【図4】溶融による母材樹脂除去例
【図5】機械的方法による繊維露出例
【図6】繊維露出接合部品を利用した接合例
【図7】プライ交互混合による繊維混合法例
【図8】厚さ方位繊維補強例
【図9】樹脂注入方法例
【図10】補強版の接合方法例
【図11】実施例の平板継手実験試験片タイプ
【図12】実施例の試験片強度試験結果
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F211 AD04 AD16 AD19 AD27 AD33 TA03 TC08 TD07 TD13 TH02 TH06 TH16 TH18 TH23 TN44 TN46

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑樹脂及び熱硬化樹脂を母材とする繊
    維強化複合材料継手において、接合する少なくとも2つ
    の複合材料の接合部分の繊維を特定の方法で露出させ、
    当該複合材料継手の露出させられた繊維を互いに混合さ
    せ、当該接合部分に母材樹脂と結合性のある樹脂を含浸
    させて当該継手接合部分を繊維切断面の無い複合材料と
    することで、接合特性を向上させた継手。
  2. 【請求項2】請求請1記載の継手において、接合部分を
    母材樹脂材料の発火点温度以上に加熱して母材樹脂材料
    を焼却して除去することで繊維を露出させ、繊維を互い
    に混合させることで接合部にも繊維を含有させた複合材
    料継手製造方法。
  3. 【請求項3】請求請1記載の継手において、接合する樹
    脂材料の接合部分を融点以上発火点以下に加熱して母材
    樹脂を融解させて除去することで繊維を露出させ、繊維
    を互いに混合させることで接合部にも繊維を含有させた
    複合材料継手製造方法。
  4. 【請求項4】請求請1記載の継手において、接合する樹
    脂材料の接合部分を有機溶媒にて融解洗浄し、母材樹脂
    を洗浄除去することで繊維を露出させ、繊維を互いに混
    合することで接合部にも繊維を含有させた複合材料継手
    製造方法。
  5. 【請求項5】請求請1記載の継手において、接合する樹
    脂材料の接合部分の母材樹脂を機械的に除去して繊維を
    露出させ、繊維を互いに混合することで接合部にも繊維
    を含有させた複合材料継手製造方法。
  6. 【請求項6】請求請1記載の継手において、接合部分に
    請求請2から5記載の方法で繊維を露出させた複合材料
    製接合用部品を利用して、請求請2から5記載の方法で
    繊維を露出させた接合対象複合材料の接合部分の繊維と
    当該複合材料製接合用部品の露出した繊維とを互いに混
    合することで複合材料製接合部品と接合対象複合材料と
    の接合部にも繊維を含有させた複合材料継手製造方法。
  7. 【請求項7】請求項6記載の方法を用いて、複合材料損
    傷部分削除後に、複合材料製接合用部品を補修用パッチ
    として用いて本体を補修する方法。
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