JP2001247483A - 尿失禁または膀胱尿管逆流現象を防止するための注入剤 - Google Patents

尿失禁または膀胱尿管逆流現象を防止するための注入剤

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JP2001247483A JP2000064760A JP2000064760A JP2001247483A JP 2001247483 A JP2001247483 A JP 2001247483A JP 2000064760 A JP2000064760 A JP 2000064760A JP 2000064760 A JP2000064760 A JP 2000064760A JP 2001247483 A JP2001247483 A JP 2001247483A
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Ryuichi Urakawa
隆一 浦川
Kenichi Shimura
賢一 志村
Akira Mochizuki
明 望月
Toshiyuki Akaike
俊幸 赤池
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Abstract

(57)【要約】 【課題】長期間埋入可能で、かつ、仮に他の臓器等に移
行したとしても副作用の心配のない尿失禁または膀胱尿
管逆流現象を治療するための注入剤の提供。 【解決手段】微粒子状のポリヒドロキシ酪酸やこれの共
重合体等の生体内分解吸収性を有する高分子化合物と、
水溶性有機化合物とからなる懸濁液を注入剤として使用
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は尿失禁の治療におけ
る患者の尿道括約筋に隣接する尿道周囲の組織内、ある
いは膀胱尿管逆流現象の患者の尿管口に隣接する組織内
に注入剤を注入し、尿失禁あるいは胱尿管逆流現象を治
療(防止)する際に用いられる注入剤に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】尿失禁は尿をためて、不随意的に排尿し
ないことが不可能となった状態であり、これは2組の筋
肉の相互作用によるとされている。一つ目は排尿筋であ
り、膀胱の外部筋肉皮膜と形成している縦方向の繊維複
合体であり、副交感神経によって活性化されている。二
つ目は膀胱括約筋の平滑筋あるいは横絞筋であり、排尿
行為は膀胱の排尿筋が収縮すると同時に括約筋が随意に
弛緩することが必要である。この様な筋肉の緊張が低下
したりすることで尿失禁が起こるようになるため、筋肉
を支えるものが必要となる。また一方で膀胱尿管逆流現
象の患者は、膀胱筋肉組織中の尿管経路が短く、尿管経
路での抵抗が少ないために尿を膀胱から尿管および腎臓
に逆流させてしまう。このため何らかの要因で膀胱内に
細菌が存在している場合は、その細菌が腎臓に到達して
回帰性腎孟腎症を引き起こすことがある。従って膀胱尿
管逆流現象を引き起こさないようにするためには尿管口
近傍に何らかを注入するなどして逆流を起こさないよう
にする必要がある。
【0003】上述したような尿失禁や膀胱尿管逆流現象
の患者に対する尿道周囲や尿管口近傍の組織内注入法と
して、注入剤を使用する方法が広く知られてくるように
なった。1973年にBergによって初めてテフロン
(Polytetrafluoroethylene)
からなる注入剤の効果が報告(Berg, S.,「P
olytef augmentation ureth
roplasty;correction of su
rgically incurable urinar
y incontinence by injecti
on technique」, Arch. Sur
g.,107,379−381(1973))されて以
来、多くの治療に用いられてきている。しかしながら、
このような注入剤はテフロンとグリセリンのペースト状
混合物で、生体内に注入後、ある程度時間が経過すると
グリセリンは体内に散逸し代謝されるが、テフロン微粒
子は体内で加水分解等を受けることなくそのままの形状
で残存し、肺、脳などの体の他の部位に移行したりして
肺塞栓などを引き起こすといった問題が懸念されてい
る。
【0004】Maliziaらは(Malizia,
A et al.,「Migration and G
ranulomatous Reaction Aft
erPeriurethral Injection
of Polytef(Teflon)」, JAM
A, Vol.251,No.24,3277(198
4))の動物研究において、肉芽腫の形成や、脳、肺、
リンパ節への移行を示した。この様な移行はヒトにおい
てもおこることが、Claesらの報告(Claes,
H. et al.,「Pulmonary Migr
ation Following Periureth
ral Polytetrafluoroethyle
ne Injection for Urinary
Incontinence」, J.Urol.,14
2,821(1989))で示された。さらにテフロン
粒子の発癌性についても論じられており、それはDew
anらの報告(Dewan. P.A.,「Is In
jected Polytetrafluoroeth
ylene(Polytef) Carcinogen
ic?」, Br.J.Urol. 69,29(19
92))で示された。このような問題が患者の安全に対
する懸念を引き起こしており、厚生省、FDAではその
使用を認可していない。
【0005】また注入療法としてヒドロゲル中に懸濁さ
せたシリコーンの利用も試みられた。しかしながら、該
シリコーン微粒子はマクロファージを介して他の臓器に
移行することによって非局在化している可能性があると
いわれており、これについてもFDAは使用を認めてい
ない。シリコーン微粒子においてもテフロン微粒子と同
様生体内で加水分解等を受けず、生体内の代謝経路に入
って分解吸収され得ない。したがって、仮に生体内で移
行が起こったとしても、移行した臓器等で分解吸収され
ないこととなり、これが問題となる。
【0006】上述したような生物学的問題点を改善する
ために、生体由来材料の検討が行われてきた。実際に
は、天然高分子であるコラーゲンの注入剤への利用であ
る。コラーゲン注入剤は生体内の組織反応が緩慢であり
馴染みが良く、上述した問題はかなり改善されている。
しかしながら、コラーゲンの吸収が速く治療の効果を維
持するのが困難である。また、注入剤に用いられている
コラーゲンは生体内での残存性を向上するため、グルタ
ルアルデヒドのような架橋剤を用いて架橋度を上げてい
るため残留グルタルアルデヒドの毒性の問題が懸念され
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記問題点を
改善し、生体内で異物性を与えずかつ分解吸収されうる
生体内分解吸収性高分子材料からなる尿失禁または膀胱
尿管逆流現象を治療(防止;以下同様)するための体内
注入剤を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】理想とされる体内注入剤
の性能としては、生体内への注入が簡便かつ、生体内に
注入された移植部位で異物反応や炎症反応が小さいこと
が望まれる。さらに長期体内埋入において、仮に摩耗し
たり他の臓器に移行したとしてもそのままの形状でとど
まって副作用を起こすというようなことがなく、生体内
に分解吸収されうることが求められる。本発明者らは、
この目的に対し鋭意研究の結果、以下の(1)〜(5)
によって所望の尿失禁および尿管逆流現象患者への注入
剤が得られることを発見し、本発明に到達した。
【0009】すなわち本発明は、 (1)生体内分解吸収性を有する脂肪族ポリエステルか
らなる微粒子と水溶性有機化合物を有することを特徴と
する、尿失禁または膀胱尿管逆流現象を防止するための
体内注入剤。 (2)前記微粒子の割合が、20〜80wt%の範囲に
あることを特徴とする(1)の体内注入剤。 (3)前記脂肪族ポリエステルがポリヒドロキシ酪酸、
ヒドロキシ酪酸−ヒロドキシバリレート共重合体または
これらの混合物であることを特徴とする(1)または
(2)の体内注入剤。 (4)前記脂肪族ポリエステルを37℃でリン酸緩衝溶
液に浸漬させたときの重量維持率が150日目で90%
以上であることを特徴とした(1)または(2)の体内
注入剤。 (5)前記微粒子の粒径が30〜400μmである
(1)の体内注入剤。によって達成される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の体内注入剤は、尿失禁ま
たは膀胱尿管逆流現象を治療(防止)するための注入剤
であって、生体内分解吸収性を有する合成高分子化合物
からなる微粒子と低分子水溶性有機化合物の注入可能な
懸濁液であることを特徴とする。すなわち生体内で分
解、吸収が可能な合成高分子材料を用いることで、仮に
注入部位より他の臓器に移行した場合でも分解吸収され
塞栓したりすることがない。また該微粒子と低分子水溶
性有機化合物と混合し、懸濁させることにより注入可能
である。微粒子の作製は、高分子ペレットまたは綿状固
体物の凍結粉砕、W/Oエマルジョン法、懸濁重合によ
る方法等公知の技術を用いて行うことができる。
【0011】前記微粒子の好ましい粒子の大きさ(粒
径)は30〜400μm、より好ましくは30〜200
μm、さらに好ましくは50〜150μmである。微粒
子の大きさ(粒径)が30μm以下と小さい場合は、テ
フロン製注入剤でも問題とされているような肉芽腫を誘
導する可能性がある。また400μm以上では微粒子が
大きすぎ、注入操作をするに当たり支障をきたす恐れが
ある。
【0012】最適な注入操作を促すためには注入剤の適
度な粘性と流動性が必要である。注入剤の適度な粘性と
流動性を実現するためには、懸濁液中に占める該生体内
分解吸収性を有する合成高分子化合物からなる微粒子の
割合は20〜80wt%であることが望ましい。20w
t%以下の場合、懸濁液は注入しやすいが、体内で低分
子水溶性有機化合物が散逸した後に残存する微粒子が少
なく治療の効果が薄れてしまう。一方、80wt%以上
の場合、懸濁液は注入に対し非常に大きな力が必要とな
り、術者の手技を煩雑にしてしまい患者に苦痛を与えた
り、さらに手術自体を失敗してしまう恐れがある。従っ
て、好ましい懸濁液中に占める生体内分解吸収性を有す
る合成高分子化合物からなる微粒子の割合は20〜80
wt%であり、さらに好ましくは30〜70wt%であ
る。
【0013】本発明の注入剤に用いられる水溶性有機化
合物は、それ自体が粘性を有しており、前記生体内分解
吸収性合成高分子材料の微粒子を懸濁させるものであれ
ばよい。この様な水溶性有機化合物としては、グリセリ
ン、グリセリン誘導体の様な生体内に存在し、代謝され
うる低分子量水溶性有機化合物が好ましい。またプロピ
レングリコール、ポリエチレングリコール、低分子化合
物ではないが、ゼラチン水溶液、ヒアルロン酸等の多糖
類の水溶液、ポリエチレングリコールの水溶液等を用い
てもよい。最も好ましい水溶性有機化合物はグリセリン
である。
【0014】一般に、人または動物由来の生体内分解吸
収性材料として知られている天然高分子には、コラーゲ
ン、ゼラチン、アルブミン、フィブリン、フィブリノー
ゲン、ヒアルロン酸等といったものがあげられるが、こ
れらはそれ自体の抗原性等の問題を除去しきれない。人
体に注入するための滅菌処理についても、主鎖に結合し
ている残基にアミノ基やカルボキシル基等が存在し、そ
の変性を避けるためにエチレンオキサイドガス滅菌がで
きない。その為、濾過滅菌後無菌的に処理せねばなら
ず、それによる設備導入などコスト高となってしまう。
また材料それ自体が非常に高価なものであり、大量に生
産するのは難しい。
【0015】一方、生体内分解吸収性を有する脂肪族ポ
リエステルは抗原性といった問題は生じないため、体内
埋入材料として適している。また、化学合成法によって
も製造できるため大量生産性に優れている。
【0016】生体内分解吸収性を有する合成高分子化合
物である脂肪族ポリエステルとしては、ポリヒドロキシ
酪酸、ヒドロキシ酪酸−ヒロドキシバリレート共重合
体、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(ε
−カプロラクトン)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、グ
リコール酸−乳酸共重合体、ポリジオキサノン、ポリジ
オキセパノン、ポリリンゴ酸、ポリマレイン酸、ポリ乳
酸またはポリグリコール酸とポリエチレングリコールの
共重合体等があげられる。またポリデプシペプチド、ポ
リ(γ−グルタミン酸)等、主鎖にペプチド結合を有す
るものであってもよい。中でもポリヒドロキシ酪酸、ヒ
ドロキシ酪酸−ヒドロキシバリレート共重合体が好まし
く、さらに好ましくはポリヒドロキシ酪酸である。
【0017】さらに、該生体内分解吸収性高分子化合物
は、37℃、リン酸緩衝溶液浸漬での重量維持率が15
0日目で90%以上であることを特徴とする。ここで重
量維持率は37℃、リン酸緩衝溶液に浸漬する前の乾燥
重量(Wi)に対する所定時間浸漬後の乾燥重量(W
f)の割合であり、重量維持率(%)=Wf/Wi×1
00で表される。重量維持率が150日目で90%以下
の材料では、分解が著しく、尿失禁や膀胱尿管逆流現象
の治療の効果を長期にわたって維持することが困難とな
る。治療の効果を最大限に維持するためには、37℃、
リン酸緩衝溶液浸漬での重量維持率が150日目で90
%以上とするのが好ましく、さらに好ましくは95%以
上である。
【0018】また前記ポリヒドロキシ酪酸は化学合成
法、または微生物による発酵合成法のうち何れかにより
合成される。化学合成法としては、β−ブチロラクトン
の開環重合法、3−ヒドロキシ酪酸の直接縮合法、3−
ヒドロキシ酪酸アルキルエステルのエステル交換による
重合法、または3−ヒドロキシ酪酸の環状オリゴマーを
開環重合法する方法のうち何れを用いてもよい。微生物
の発酵合成法では、水素細菌であるAlcaligen
es eutrophus、石油資化菌であるPseu
domonas oleovorans等といった微生
物の発酵合成法や、これら微生物が有しているポリヒド
ロキシ酪酸ポリメラーゼを発現する遺伝子がクローニン
グされたE.coliを用いることによっても得られ
る。
【0019】これらはまた実質的に水に不溶であり、生
体内にすぐさま溶出することはない。生体内長期埋入に
おいても生体組織に対して異物性を与ることなく残存す
ることができる。したがって、上記注入材は生体内長期
安定性と生体適合性を有し、尿失禁または膀胱尿管逆流
現象の治療の効果を維持することが可能である。
【0020】本発明の体内注入剤を作製するに当たり、
生体内分解吸収性を有する合成高分子化合物からなる微
粒子と低分子水溶性有機化合物の懸濁液を安定化させる
為に乳化剤、分散剤等が用いられても良い。この様な乳
化剤、分散剤としてはポリソルベート等のポリオキシエ
チレンソルビタンアルキルエステル、メチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導
体、ソルビタンモノ脂肪酸エステルモノステアリン酸グ
リセリン、ショ糖脂肪酸エステル等の多価アルコールア
ルキルエステル、ステアリン酸ポリオキシル等のポリオ
キシエチレンアルキルエステル、アルギン酸ナトリウ
ム、アルギン酸プロピレングリコール等のアルギン酸
塩、ペクチン、ペクチン酸ナトリウム等のペクチン誘導
体、ラノリン、コレステリン及びその誘導体である羊毛
由来物質、アラビアゴム、トラガント等のゴム類等を使
用することが可能である。
【0021】また、本発明の体内注入は体内注入時に患
者が痛みを訴える場合があり、その痛みを軽減あるいは
消失させるために局所麻酔剤を含んでいても良い。局所
麻酔剤としては、リドカイン、テトラカイン、キシロカ
イン、コカイン誘導体、プロカイン、オキシプロカイ
ン、メピバカイン、ブピバカイン、ジブカイン、アミノ
安息香酸エチル、ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エ
チル、プロピトカイン、オキセサゼインまたはこれらの
塩酸付加塩等から選ばれる。上記注入剤は、例えば2.
5ccのシリンジ等の容器に予め充填されており、術者
は尿道内視鏡等のデバイスを用いることによって、容易
に注入部に該注入剤を注入することが可能である。
【0022】
【実施例】本発明の実施例を以下に挙げ、さらに説明す
る。またin vitroでの加水分解実験には以下の
実施例に挙げる高分子化合物の綿状個体物、あるいは粉
末をホットプレス、あるいはキャスト法によってフィル
ムを作製し、重量維持率を測定し、耐加水分解性を確認
した(図1参照)。ここで重量維持率の測定方法(37
℃、リン酸緩衝溶液中での加水分解実験)について説明
する。in vitroでの耐加水分解性評価は、37
℃、リン酸緩衝溶液中に各ポリマーサンプルの100μ
mキャストフィルムを10mm×10mmに切り出し、
それを浸漬することによって行った。重量維持率は37
℃、リン酸緩衝溶液に浸漬する前のポリマー乾燥重量
(Wi)に対する所定時間浸漬後余分な水分をふき取っ
た後の乾燥重量(Wf)の割合であり、重量維持率
(%)=Wf/Wi×100で表される。
【0023】またin vivoでのSD系ラットを用
いた組織学的評価について説明する。ラットをネンブタ
ール麻酔下にラット背部皮下に該注入剤を埋入し、所定
時間後、ラットをエーテル下に屠殺し、剖検を行った。
その後、検体とその周辺組織を10%中性緩衝ホルマリ
ン溶液で固定し、パラフィン包埋処理を行って、マイク
ロトームにて薄切し、組織片を作製した。得られた薄切
切片をヘマトキシリン&エオジン染色により染色し、光
学顕微鏡下で観察した。
【0024】(実施例1)発酵合成法によって得られた
ポリヒドロキシ酪酸の細胞由来不純物を充分除去して得
られた綿状個体物を液体窒素雰囲気下に凍結粉砕した。
得られた微粉末を150μmのメッシュで数回篩い分け
し、次いで50μmのメッシュで数回篩い分けし、50
〜150μmの微粒子を作製した。次いでこの微粒子3
gをグリセリン3gに1時間混練し懸濁させ50wt%
の懸濁液を得た。この懸濁液を2.5ccのシリンジに
封入し、ラットの背部皮下に埋入した。埋入1ヶ月と6
ヶ月後の病理組織サンプルから、異物反応による炎症が
軽度であり、問題がないことが確かめられた。また、6
ヶ月間埋入してもラットの背部皮下にポリヒドロキシ酪
酸の微粒子が存在していることも確かめられた。
【0025】(実施例2)発酵合成法によって得られた
ヒドロキシ酪酸−ヒドロキシバリレート共重合体(バリ
レート含有量:5wt%)の細胞由来不純物を充分除去
して得られた綿状個体物を液体窒素雰囲気下に凍結粉砕
した。得られた微粉末を150μmのメッシュで数回篩
い分けし、次いで50μmのメッシュで数回篩い分け
し、50〜150μmの微粒子を作製した。次いでこの
微粒子3gをグリセリン3gに1時間混練し懸濁させ5
0wt%の懸濁液を得た。この懸濁液を2.5ccのシ
リンジに封入し、ラットの背部皮下に埋入した。埋入1
ヶ月と6ヶ月後の病理組織サンプルから、異物反応によ
る炎症が軽度であり、問題がないことが確かめられた。
また、6ヶ月間埋入してもラットの背部皮下にポリヒド
ロキシ酪酸−ヒドロキシバリレート共重合体の微粒子が
存在していることも確かめられた。
【0026】(実施例3)発酵合成法によって得られた
ヒドロキシ酪酸−ヒドロキシバリレート共重合体(バリ
レート含有量:12wt%)の細胞由来不純物を充分除
去して得られた綿状個体物を液体窒素雰囲気下に凍結粉
砕した。得られた微粉末を150μmのメッシュで数回
篩い分けし、次いで50μmのメッシュで数回篩い分け
し、50〜150μmの微粒子を作製した。次いでこの
微粒子3gをグリセリン3gに1時間混練し懸濁させ5
0wt%の懸濁液を得た。この懸濁液を2.5ccのシ
リンジに封入し、ラットの背部皮下に埋入した。埋入1
ヶ月と6ヶ月後の病理組織サンプルから、異物反応によ
る炎症が軽度であり、問題がないことが確かめられた。
また、6ヶ月間埋入してもラットの背部皮下にポリヒド
ロキシ酪酸−ヒドロキシバリレート共重合体の微粒子が
存在していることも確かめられた。
【0027】(実施例4)発酵合成法によって得られた
ポリヒドロキシ酪酸の綿状個体物を液体窒素雰囲気下に
凍結粉砕した。得られた微粉末を150μmのメッシュ
で数回篩い分けし、次いで50μmのメッシュで数回篩
い分けし、50〜150μmの微粒子を作製した。次い
でこの微粒子1gをグリセリン3gに1時間混練し懸濁
させ25wt%の懸濁液を得た。この懸濁液を2.5c
cのシリンジに封入し、ラットの背部皮下に埋入した。
埋入1ヶ月と6ヶ月後の病理組織サンプルから、異物反
応による炎症が軽度であり、問題がないことが確かめら
れた。また、6ヶ月間埋入してもラットの背部皮下にポ
リヒドロキシ酪酸の微粒子が存在していることも確かめ
られた。
【0028】(実施例5)発酵合成法によって得られた
ポリヒドロキシ酪酸の綿状個体物を液体窒素雰囲気下に
凍結粉砕した。得られた微粉末を150μmのメッシュ
で数回篩い分けし、次いで50μmのメッシュで数回篩
い分けし、50〜150μmの微粒子を作製した。次い
でこの微粒子3gをグリセリン1gに1時間混練し懸濁
させ75wt%の懸濁液を得た。この懸濁液を2.5c
cのシリンジに封入し、ラットの背部皮下に埋入した。
この時、注入剤の注入抵抗は大きくなく充分な操作性を
有するものであった。埋入1ヶ月と6ヶ月後の病理組織
サンプルから、異物反応による炎症が軽度であり、問題
がないことが確かめられた。また、6ヶ月間埋入しても
ラットの背部皮下にポリヒドロキシ酪酸の微粒子が存在
していることも確かめられた。
【0029】(比較例1)発酵合成法によって得られた
ポリヒドロキシ酪酸の綿状個体物を液体窒素雰囲気下に
凍結粉砕した。得られた微粉末を150μmのメッシュ
で数回篩い分けし、次いで50μmのメッシュで数回篩
い分けし、50〜150μmの微粒子を作製した。次い
でこの微粒子0.5gをグリセリン4.5gに1時間混
練し懸濁させ10wt%の懸濁液を得た。この懸濁液を
2.5ccのシリンジに封入し、ラットの背部皮下に埋
入した。この時、注入剤の注入抵抗は小さく充分な操作
性を有するものであったが、上記実施例のものと比べて
注入部の体積の減少が速く、注入量に対して十分な治療
効果が望めなかった。
【0030】(比較例2)発酵合成法によって得られた
ポリヒドロキシ酪酸の綿状個体物を液体窒素雰囲気下に
凍結粉砕した。得られた微粉末を150μmのメッシュ
で数回篩い分けし、次いで50μmのメッシュで数回篩
い分けし、50〜150μmの微粒子を作製した。次い
でこの微粒子4.5gをグリセリン0.5gに1時間混
練し懸濁させ10wt%の懸濁液を得た。この懸濁液を
2.5ccのシリンジに封入した。この時、注入剤の注
入抵抗は非常に大きく、安全な注入操作を実現しないも
のであった。
【0031】
【発明の効果】本発明の注入剤は、生体内への注入が簡
便かつ生体内に注入された移植部位で異物反応や炎症反
応が小さい。さらに長期体内埋入が可能で、仮に他の臓
器等に移行したとしても、そのままの形状でとどまって
肺塞栓等の副作用を起こすことがなく、生体内に分解吸
収され、テフロン粒子で問題となっているような多大な
副作用を起こさないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】in vitro加水分解実験による重量変化
を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤池 俊幸 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 Fターム(参考) 4C076 AA22 BB28 BB32 DD38F DD38G EE23F EE23G EE24 EE37F EE37G EE41 EE42F EE42G FF16 FF17 FF32 FF67

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生体内分解吸収性を有する脂肪族ポリエス
    テルからなる微粒子と水溶性有機化合物を有することを
    特徴とする、尿失禁または膀胱尿管逆流現象を防止する
    ための体内注入剤。
  2. 【請求項2】前記微粒子の割合が、20〜80wt%の
    範囲にあることを特徴とする請求項1記載の体内注入
    剤。
  3. 【請求項3】前記脂肪族ポリエステルがポリヒドロキシ
    酪酸、ヒドロキシ酪酸−ヒロドキシバリレート共重合体
    またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1
    または請求項2記載の体内注入剤。
  4. 【請求項4】前記脂肪族ポリエステルを37℃でリン酸
    緩衝溶液に浸漬させたときの重量維持率が150日目で
    90%以上であることを特徴とした請求項1または請求
    項2記載の体内注入剤。
  5. 【請求項5】前記微粒子の粒径が30〜400μmであ
    る請求項1記載の体内注入剤。
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