JP2001247039A - 酸素ボンベ用カート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素ボンベの積み下ろしを安全に行うことを
可能にした酸素ボンベ用カートを提供する。 【解決手段】 酸素ボンベＯを起立状態で搭載する面状
の底部１と、該底部１の前端部及び左右両端部から上方
へ延長する面状の囲い部２とからカート本体３を形成
し、囲い部２に酸素ボンベＯの胴部を保持する固定具と
して締付バンド４を設けると共に、底部１の前方側に左
右一対の車輪６を設け、底部１の後方側に支持脚７を設
け、囲い部２に牽引用の把手１０を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、在宅医療等で用い
る酸素ボンベを搬送するためのカートに関し、更に詳し
くは、酸素ボンベの積み下ろしを安全に行うことを可能
にした酸素ボンベ用カートに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、肺機能の疾患等により通常の空気
呼吸では必要量の酸素を摂取できず、常時、酸素発生手
段から酸素を吸入する必要がある患者の在宅医療を可能
にするために、家庭用の酸素供給装置や携帯用の酸素ボ
ンベが種々開発されている。そのため、患者は自宅では
酸素供給装置から酸素を吸入し、自宅と病院との往復や
短時間の外出では酸素ボンベから酸素を吸入することが
できる。

【０００３】上述のような携帯用の酸素ボンベは軽量化
が図られているものの、カバン等に収納して長時間携帯
することは困難である。そのため、酸素ボンベを搬送す
るための専用カートが提供されている。従来、この種の
酸素ボンベ用カートとしては、スチール製のパイプ材を
組み立てたカート本体に、酸素ボンベを保持する固定具
を設けると共に、車輪や支持脚や把手を設けたものが一
般的である。

【０００４】しかしながら、スチール製のパイプ材を用
いたカートの場合、パイプ材が隙間を開けて並ぶ底部に
円筒状の酸素ボンベを起立状態で搭載したときの安定性
が悪く、しかも酸素ボンベの周囲には実質的に囲いが無
いため、積み下ろしを行う際に酸素ボンベが倒れ易いと
いう問題があった。この酸素ボンベが倒れると、体力の
ない患者にとって立て直し作業が大変な重労働になり、
また倒れた際のショックで、チューブが外れた場合には
患者が酸素を吸入できなくなったり、或いは酸素ボンベ
や付属機器が故障するという重大な事故を引き起こす恐
れがある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、酸素
ボンベの積み下ろしを安全に行うことを可能にした酸素
ボンベ用カートを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の酸素ボンベ用カートは、酸素ボンベを起立状
態で搭載する面状の底部と、該底部の前端部及び左右両
端部から上方へ延長する面状の囲い部とからカート本体
を形成し、前記囲い部に前記酸素ボンベの胴部を保持す
る固定具を設けると共に、前記底部の前方側に左右一対
の車輪を設け、前記底部の後方側に支持脚を設け、前記
囲い部に牽引用の把手を設けたことを特徴とするもので
ある。

【０００７】このようにカート本体の構成部材として面
状の底部と面状の囲い部を設けたことにより、底部に酸
素ボンベを起立状態で搭載したときの安定性が良好にな
り、しかも囲い部が酸素ボンベの転倒を防止するので、
酸素ボンベの積み下ろしを安全に行うことができる。そ
の結果、酸素ボンベの転倒により、チューブが外れて患
者が酸素を吸入できなくなったり、酸素ボンベや付属機
器が故障するという重大な事故を回避することができ
る。

【０００８】本発明において、カート本体は樹脂から成
形することが好ましい。このようにカート本体を樹脂か
ら成形することにより、患者が使用する酸素ボンベ用カ
ートを軽量化することが可能になる。特に、カート本体
及び／又は把手は補強繊維を埋設した繊維強化樹脂から
構成することが好ましい。補強繊維としては、炭素繊維
又はガラス繊維を用いることが好ましい。また、繊維強
化樹脂のマトリックス樹脂を熱可塑性樹脂とし、そのマ
トリックス樹脂中に補強繊維として短繊維を混入させる
と良い。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について添付
の図面を参照して具体的に説明する。

【００１０】図１〜図５は本発明の実施形態からなる酸
素ボンベ用カートを示すものである。図において、本実
施形態の酸素ボンベ用カートは、酸素ボンベＯを起立状
態で搭載する面状の底部１と、該底部１の前端部及び左
右両端部から上方へ酸素ボンベＯに沿って延長する面状
の囲い部２とが一体的に組み立てられてカート本体３を
形成している。

【００１１】底部１は下方を開口する箱体からなり、酸
素ボンベ搭載面が面状に成形されている。この酸素ボン
ベ搭載面にはボンベ底面の形状に略一致する窪み１ａが
設けられ、酸素ボンベＯの座りを良くしている。底部１
の後部には後述する支持脚を補強するためのブラケット
１ｂが設けられている。一方、囲い部２は酸素ボンベＯ
を三方向から取り囲む面状の板材から成形されている。
この囲い部２の縁部には補強材２ａが取り付けられてい
る。

【００１２】上記カート本体３は軽量化のために樹脂か
ら成形すると良く、更に好ましくは補強繊維を埋設した
繊維強化樹脂から成形すると良い。このような合成樹脂
としては、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリカーボネート、ＡＢＳ樹脂等の熱可塑性樹脂、又
は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化
性樹脂を用いることができる。また、繊維強化樹脂の補
強繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、芳香族ポリア
ミド繊維等を用いることができる。これら補強繊維は短
繊維又は長繊維として樹脂に直接混合したものでも良
く、或いは織物、編物等のシート状にして挿入したもの
でも良い。

【００１３】囲い部２の上部には、酸素ボンベＯの胴部
を固縛する固定具として、締付バンド４が取り付けられ
ている。この締付バンド４は一方の端部に折返し用リン
グ４ａを備え、他方の端部をリング４ａを介して折返し
て面ファスナー等で係止することで酸素ボンベＯを強固
に保持するようになっている。上記固定具の構造は、特
に限定されるものではなく、締付バンド４の他にゴムバ
ンドや締付金具等を用いることができる。

【００１４】底部１の前方側には、底部１を貫通して左
右に延長する車軸５が軸支されている。かかる車軸５
は、軽量化と耐久性の向上のために炭素繊維強化樹脂を
使用することが好ましい。この車軸５の両端部にはそれ
ぞれ車輪６，６が取り付けられている。一方、底部１の
後方側には、支持脚７が取り付けられている。この支持
脚７はブラケット１ｂに設けた開口部に挿入され、スペ
ーサ８を挟んで底部１の後壁面にネジ止めされている。
支持脚７の長さは底部１の酸素ボンベ搭載面を略水平に
維持するように車輪６の大きさに応じて適宜選択すれば
良いが、より好ましくは酸素ボンベ搭載面を水平状態に
する長さよりもやや短くして該搭載面を後ろに傾斜させ
ることにより、カートを使用する患者が把手を持って立
ち上がる際に、支持脚７が地面に強く押し付けられて両
者間に大きな摩擦力を生じるようになるので、カートが
後ろに移動して患者が不安定になることを抑制すること
ができる。この支持脚７の長さをネジ等により調節自在
にすれば、使用者が支持脚７の長さを任意に選択するこ
とができる。また、支持脚７は底部１の後方側に少なく
とも１本必要があるが、２本以上設けても良く、或いは
底部１と一体的に成形したものであっても良い。

【００１５】囲い部２の前方側（囲いの外側）には、囲
い部２から上方に延長する伸縮自在の把手１０が牽引用
手段として取り付けられている。この把手１０は、握り
部１１に連結された支柱１２をパイプ１３内に摺動自在
に挿入し、該パイプ１３を複数の取付部１３ａを介して
囲い部２に取り付けた構成になっている。また、パイプ
１３の上端にはスクリュー式の長さ調整装置１４が取り
付けられている。この長さ調整装置１４は、図９に示す
ように、切り欠きを有する雄ねじ部１５をパイプ１３の
上端に固定する一方で、雄ねじ部１５に螺合する雌ネジ
部１６を支柱１２に外装し、雌ネジ部１６を雄ねじ部１
５に対して締め付けることで支柱１２を圧迫し、その動
きを拘束するようになっている。そのため、支柱１２を
パイプ１３に対して摺動させて長さ調整装置１４により
所望の位置で固定することにより、把手１０の長さを任
意に変更することができる。なお、把手１０は囲い部２
の後方側（囲いの内側）に配置しても良い。また、把手
１０は炭素繊維強化樹脂を用いることにより、軽量化を
図ることが好ましい。

【００１６】次に、上述した酸素ボンベ用カートの使用
方法について説明する。この酸素ボンベ用カートは、酸
素を常時必要とする患者が自宅と病院との往復や短時間
の外出において酸素ボンベから酸素を吸入する場合に、
その酸素ボンベを搬送するために使用するものである。

【００１７】本実施形態の酸素ボンベ用カートに酸素ボ
ンベＯを搭載する場合、カート本体３を面状の底部１が
略水平になるように配置し、その底部１の上に酸素ボン
ベＯを起立状態で置き、この状態から囲い部２の締付バ
ンド４で酸素ボンベＯの胴部をしっかりと固縛する。患
者は、自分に最適な長さに調整した把手１０を持ってカ
ートを引っ張り、チューブ等を介して酸素ボンベＯから
酸素を吸入しながら移動することができる。また、酸素
ボンベＯをカートから下ろす場合は、カート本体３を面
状の底部１が略水平になるように配置し、この状態から
囲い部２の締付バンド４を弛めて酸素ボンベＯを取り外
せば良い。

【００１８】本発明によれば、カート本体３を面状の底
部１と面状の囲い部２とから構成したことにより、底部
１に酸素ボンベＯを起立状態で搭載したときの安定性が
良好になり、しかも囲い部２が酸素ボンベＯの転倒を防
止するので、酸素ボンベＯの積み下ろしを安全に行うこ
とができ、この積み下ろし時における酸素ボンベＯの転
倒を防止することができる。そのため、チューブが外れ
て患者が酸素を吸入できなくなったり、酸素ボンベＯや
付属機器が故障するという重大な事故を回避することが
できる。

【００１９】また、カート本体３を合成樹脂又は繊維強
化樹脂から成形した場合、従来のようにスチールパイプ
から構成する場合に比べて酸素ボンベ用カートを軽量化
し、患者に対する負担を軽減することができる。なお、
上記軽量化を図ると、酸素ボンベ用カートが不安定にな
り易くなるので、酸素ボンベＯの重心を車軸５よりも後
方側に配置することが好ましい。

【００２０】本発明において、カート本体に設ける牽引
用の把手及びその長さ調整装置は、上記実施形態に限定
されるものではなく、種々異なる構造にすることができ
る。例えば、把手の握り部については、上記実施形態の
ようにフック状とする以外に、図６に示すように環状の
握り部２１を設けても良い。把手の支柱については、上
記実施形態のように円筒状とする以外に、図７に示すよ
うに板状の支柱２２を設けても良い。或いは、図８に示
すように握り部と支柱とを一体的に逆Ｕ字状に成形した
把手２０をカート本体３に取り付けるようにしても良
い。

【００２１】把手の長さ調整装置については、上記実施
形態のようにスクリュー式（図９）とする以外に、図１
０（ａ），（ｂ）に示すレバー式の長さ調整装置２４や
図１１に示すネジ式の長さ調整装置３４を設けても良
い。図１０（ａ），（ｂ）において、長さ調整装置２４
は開口部２５及び一対のブラケット２６，２６を備えた
リング２７をパイプ１３の上端に固定すると共に、該リ
ング２７のブラケット２６，２６間にＬ字板２８を揺動
自在に取り付けた構成になっている。この長さ調整装置
２４は、図示のようにＬ字板２８の一端を下方に下ろし
たとき、Ｌ字板２８の他端が開口部２５の内側に突出
し、これが支柱１２に設けた溝２９に係合するようにな
っている。一方、図１１において、長さ調整装置３４は
ネジ穴を有するリング３５をパイプ１３の上端に固定
し、そのネジ穴に締付ネジ３６を取り付けた構成になっ
ている。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、カ
ート本体の構成部材として、酸素ボンベを起立状態で搭
載する面状の底部と、該底部の前端部及び左右両端部か
ら上方へ延長する面状の囲い部とを設けたことにより、
底部に酸素ボンベを起立状態で搭載したときの安定性が
良好になり、しかも囲い部が酸素ボンベの転倒を防止す
るので、酸素ボンベの積み下ろしを安全に行うことがで
きる。従って、酸素ボンベの転倒により、チューブが外
れて患者が酸素を吸入できなくなったり、酸素ボンベや
付属機器が故障するという重大な事故を回避することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態からなる酸素ボンベ用カート
を示す正面図である。

【図２】図１の酸素ボンベ用カートを示す側面図であ
る。

【図３】図１のＡ−Ａ矢視断面図である。

【図４】図１の酸素ボンベ用カートを示す前方斜視図で
ある。

【図５】図１の酸素ボンベ用カートを示す後方斜視図で
ある。

【図６】酸素ボンベ用カートの把手を構成する握り部の
変形例を示す正面図である。

【図７】酸素ボンベ用カートの把手を構成する支柱の変
形例を示す正面図である。

【図８】酸素ボンベ用カートの把手の変形例を示す正面
図である。

【図９】酸素ボンベ用カートの把手を構成する長さ調整
装置を示す正面図である。

【図１０】酸素ボンベ用カートの把手を構成する長さ調
整装置の変形例を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）はその
Ｂ−Ｂ矢視断面図である。

【図１１】酸素ボンベ用カートの把手を構成する長さ調
整装置の他の変形例を示す正面図である。

【符号の説明】

１ 底部 ２ 囲い部 ３ カート本体 ４ 締付バンド（固定具） ５ 車軸 ６ 車輪 ７ 支持脚 １０ 把手 Ｏ 酸素ボンベ

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 酸素ボンベを起立状態で搭載する面状の
   底部と、該底部の前端部及び左右両端部から上方へ延長
   する面状の囲い部とからカート本体を形成し、前記囲い
   部に前記酸素ボンベの胴部を保持する固定具を設けると
   共に、前記底部の前方側に左右一対の車輪を設け、前記
   底部の後方側に支持脚を設け、前記囲い部に牽引用の把
   手を設けた酸素ボンベ用カート。
2. 【請求項２】 前記カート本体を樹脂から成形した請求
   項１に記載の酸素ボンベ用カート。
3. 【請求項３】 前記カート本体及び／又は前記把手が補
   強繊維を埋設した繊維強化樹脂からなる請求項１又は請
   求項２に記載の酸素ボンベ用カート。
4. 【請求項４】 前記補強繊維が炭素繊維又はガラス繊維
   である請求項３に記載の酸素ボンベ用カート。
5. 【請求項５】 前記補強繊維が短繊維であり、かつ樹脂
   が熱可塑性樹脂である請求項４に記載の酸素ボンベ用カ
   ート。
6. 【請求項６】 前記支持脚の長さを前記底部の酸素ボン
   ベ搭載面を水平状態にする長さよりも短くした請求項１
   乃至請求項５のいずれかに記載の酸素ボンベ用カート。
7. 【請求項７】 前記支持脚の長さを調節自在にした請求
   項１乃至請求項５のいずれかに記載の酸素ボンベ用カー
   ト。