JP2001239365A - パルスアーク溶接装置 - Google Patents

パルスアーク溶接装置

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JP2001239365A JP2000051395A JP2000051395A JP2001239365A JP 2001239365 A JP2001239365 A JP 2001239365A JP 2000051395 A JP2000051395 A JP 2000051395A JP 2000051395 A JP2000051395 A JP 2000051395A JP 2001239365 A JP2001239365 A JP 2001239365A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的小さな溶接電流で行われるアーク溶接
にも適合し得るパルスアーク溶接装置であって、安全性
が高くて而も安定した点孤と放電制御を行うことを可能
としたパルスアーク溶接装置を提供する。 【解決手段】 電極11と母材12間に直流パルス溶接
電流を供給するアーク溶接電源3と、アーク点弧用の高
電圧パルスを供給するアークスタート電源7とを並設
し、アーク溶接電源3とアークスタート電源7を予めC
PU1にプログラムされたシーケンスで駆動制御させる
と共に、アークスタート電源7が電極11と母材12間
に低周波高電圧インパルスを供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、TIG溶接法やプ
ラズマアーク溶接法などを用いてアーク放電させ、溶融
した電極で母材と溶接対象物を溶接するアーク溶接装置
であって、特に比較的小さな直流パルス溶接電流で行わ
れるアーク溶接にも適合し得るパルスアーク溶接装置に
関し、安全性が高くて而も安定した点孤と放電制御を行
うことが可能であり、例えば端子類などの被溶接部材に
対して耐熱性の絶縁被覆された電線端末を溶接する場合
など適用すると効果的である。
【0002】
【従来の技術】アーク溶接装置では、例えばTIG溶接
法の場合には、アーク溶接電源からタングステンなどの
高融点材料による電極と母材との間に、先ずアーク点孤
用の起動電圧を印加してアーク放電させた後に、アーク
溶接用の溶接電圧を印加して直流パルス溶接電流を流す
ことによって、加熱溶融した母材と溶接対象物となる溶
接金属を溶接している。
【0003】アーク点孤用の起動電圧としては、高周波
電圧を印加するもの、直流高電圧を印加するものなど各
種方式が採られているが、高周波電圧を印加する場合に
は、電極と母材間に存在する静電容量によってインピー
ダンスが低下し、直流高電圧を印加した場合に発生する
コロナに比べると、著しく大きなコロナ電流が流れてア
ーク点孤時に火炎状のトーチコロナが発生するなど、大
きな放電エネルギーになると共に、電磁波ノイズを発生
して装置に使用している電子部品を損傷させる恐れがあ
る。
【0004】このために、感電する恐れのある危険性が
大きくなったり、装置を大型化させたり、過大な電磁波
ノイズを発生して装置本体及び周辺装置の電子回路を誤
動作させたり損傷させる恐れがあると共に、極めて小さ
な放電エネルギー例えば1ミリジュール以下で使用する
用途の場合には、微細な放電制御を安定した状態で行う
ことが困難であり、母材の溶け過ぎやアーク切れなどを
発生して溶接不良を起こす恐れがある。
【0005】また、直流高電圧を印加する場合には、母
材と電極間の空間が等価的に高抵抗として作用して放電
電流が制限されることから、放電する場合にはエネルギ
ーが小さく押さえられるものの、人体が接触した場合に
は電圧及び電流の実効値が高くて感電によるショックは
大きく、その安全対策として電源に垂下特性を持たせた
り、電極と母材との間に高抵抗とコンデンサによる時定
数回路を設けたりするが、必ずしも十分な対策ではなか
った。
【0006】即ち、垂下特性を持たせても、トーチ側の
電極や母材に接触した手などの人体を離した瞬間に電位
が上昇して電極側と身体との間でコロナ放電やアーク放
電を生ずる恐れもあり、例え時定数回路を設けても、コ
ンデンサへの充電中には電極と母材間には高電圧が印加
されて感電の危険性は解消されず、コンデンサの放電時
におけるエネルギーの一部が重畳して放電エネルギーを
増大させる。
【0007】次に、電極と母材間に直流パルス溶接電流
を供給するアーク溶接用の溶接電圧として直流や交流或
いはパルスが使用されるが、この直流パルス溶接電流は
一般的な溶接では数10〜数100アンペアを数秒以上
と比較的長い時間供給させ、電極などの放電部分が白熱
状に加熱した熱陰極状態で放電が行われるので、印加す
る溶接電圧の種類がいずれでも比較的安定したアーク放
電が可能である。
【0008】しかし、直流パルス溶接電流が数アンペア
程度で溶接時間を数ミリ〜数十ミリ秒にした極小のアー
ク放電を行う場合には、電極などの放電部分が白熱化す
る以前にアーク放電が終了してしまうので、アーク切れ
がない状態で安定してアーク放電の繰り返しを行うのに
は改善を必要とする。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明によるパルスア
ーク溶接装置は、特に短時間小電流の条件下で行われる
アーク溶接に適合させたものであり、その目的の一つ
は、アークスタート時の高電圧放電によって作業者が受
ける恐れのある感電などの危険性を更に低減すると共
に、ノイズの発生による装置本体や周辺装置の誤操作及
び損傷防止を図り、より安全で良好な作業環境が確保で
きるようにすることである。
【0010】また、良質なアーク溶接を作業能率の良い
状態で行うことができるように、迅速且つ確実なアーク
点弧とアーク切れのない安定したアーク放電が可能であ
り、特に対象となる溶接金属の種類(材質や形状又はサ
イズなど)が変わっても対応し得るようにすることであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によるパルスアー
ク溶接装置は、電極と母材間に直流パルス溶接電流を供
給するアーク溶接電源と、アーク点弧用の高電圧パルス
を供給するアークスタート電源とを並設し、当該各電源
を予めCPUにプログラムされたシーケンスで駆動制御
させると共に、前記アークスタート電源が前記電極と母
材間に低周波の高電圧インパルスを供給する構成とし
た。(請求項1)
【0012】請求項1のパルスアーク溶接装置では、高
電圧インパルスを用いることによって放電形態がインパ
ルスコロナになり、電圧の急激な上昇によってイオンが
拡散する時間がないので、局部的な空間電荷として作用
してコロナが助長されて、特に出力が1ミリジュール以
下でも安定した放電を容易に行うことができる。
【0013】また、低周波の高電圧インパルスを用いる
ことによって、電極と母材間の静電容量の影響を受ける
ことがなく、従って電極と母材間のインピーダンスを低
下させることがないので、過大なコロナ電流を抑制して
放電エネルギーを小さくすることができると共に、感電
の危険性を少なくて安全性を高め、而も電磁波ノイズの
発生を軽減して装置本体及び周辺装置に使用している電
子回路の誤動作や損傷を少なくすることができる。
【0014】またアーク溶接電源は、断続する直流によ
るパルス状の溶接電流すなわち直流パルス溶接電流を供
給することによって、加熱期間(ONの状態)と冷却期
間(OFFの状態)を個別に設定できるので、溶接対象
物によって異なる溶接条件に適合させて両者の比率(デ
ューティ比)を所望に設定して微細な制御を行うことが
でき、直流パルス溶接電流はCPUのプログラムに従っ
て、例えば1〜数100回の範囲内で断続するパルスを
用いて設定される。
【0015】請求項1のパルスアーク溶接装置における
前記アーク溶接電源は、アーク安定化用としてアーク放
電中に常時一定レベルの直流放電基底電流を供給する補
助電源部と、前記CPUに指示されたパルス状の溶接電
流基準波形に基づいて、PWM制御された直流パルス溶
接電流をアーク発生時に前記直流放電基底電流に重畳さ
せて供給する主電源部とで構成する形態を採ることがで
きる。(請求項2)
【0016】請求項2のパルスアーク溶接装置では、変
動する直流パルス溶接電流を底上げする態様で、最低放
電電流値以下に設定した一定の直流放電基底電流上に重
畳して安定化させ、溶接電流を断続するパルス状にした
際におけるパルスの谷部での溶接電流値を、従来技術に
おける直流パルス電流の場合に比べて格段に低い例えば
1アンペア以下に抑えながら、アーク切れなどの発生を
なくして溶接不良を防止することができるが、特に本装
置では安定性の高い別電源を用いて基底電流を供給する
ことによって達成できる。
【0017】また、スポット溶接する場合には溶接電流
として直流パルス溶接電流を用いることによって、溶接
条件に適合させて加熱期間(ONの状態)と冷却期間
(OFFの状態)の比率(デューティ比)を所望に設定
することが容易であり、特に加熱期間中に母材を溶融さ
せて冷却期間に放熱を行うことによって母材の過大な温
度上昇を抑制すると共に、母材の溶融速度を所望に制御
することができる。
【0018】従って、例えばコイルのボビン端子に巻き
付けた被覆電線を溶接する際などに適用すると、絶縁被
覆を燃焼によって除去させながら端子が溶融する速度を
遅くすることが可能となり、断続する直流パルス溶接電
流によってアーク放電を繰り返し行っているうちに、端
子と接触している部分の絶縁被覆が除去された後に、露
出した素線に対してアーク放電が移行して端子との溶着
が行われるので、極めて効果的且つ良好な溶接を行うこ
とができる。
【0019】請求項1又は2のパルスアーク溶接装置に
おける前記アーク溶接電源の出力側には、複数の出力電
流に適合させて、個別にアーク溶接電源の出力電流と出
力電圧による電源特性を制御する切換え可能な出力制御
部を設け、当該出力制御部を前記CPUで制御して前記
電源特性を可変する形態を採ることができる。(請求項
3)
【0020】請求項3のパルスアーク溶接装置では、溶
接条件に適合させて出力制御部を切り換え制御すること
により、大きな直流パルス溶接電流領域から小さな直流
パルス溶接電流領域間での広い範囲に亘って、アーク長
の変化などの負荷変動に対する直流パルス溶接電流の変
化が少ない安定した定電流電源にすることができると共
に、これによって電磁波ノイズも減少させることがで
き、特に小電流領域では従来にない安定化が図れる。
【0021】請求項2又3のパルスアーク溶接装置にお
ける前記主電源部の入力側には、前記CPUから指示さ
れた溶接条件に適合する直流パルス溶接電流の設定を行
う切換え可能な入力部を有する主電源制御部を設け、前
記主電源部におけるPWM制御時のスイッチング周波数
を可変する形態を採ることができる。(請求項4)
【0022】請求項4のパルスアーク溶接装置では、溶
接条件に適合させて主電源制御部の切り換え制御でスイ
ッチング周波数を可変させ、熱陰極放電状態になって微
細な制御を必要としない大きな直流パルス溶接電流領域
では、スイッチング周波数を低くしてスイッチング素子
に対するストレス及び発熱量の軽減を図り、冷陰極状態
になりやすい小さな直流パルス溶接電流領域では、スイ
ッチング周波数を高くして微細な放電制御を安定した状
態で行うように設定することができる。
【0023】請求項1〜4のいずれかのパルスアーク溶
接装置における前記CPUには、予め設定した溶接時間
をサンプリング期間とし、当該サンプリング期間中にお
いて短い所定時間毎に前記直流パルス溶接電流の検出を
行い、検出値を積算表示して放電状態を監視するモニタ
ー機能を設けた形態を採ることができる。(請求項5)
【0024】請求項5のパルスアーク溶接装置では、溶
接時間中における直流パルス溶接電流を短い時間間隔で
常時監視して積算表示してるので、アークスタートの失
敗や途中で失火した場合はもちろん、途中で失火した後
に再度点火した場合のような不安定な放電状態も検出す
ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のパルスアーク溶
接装置に付いて、好適な実施形態を示す添付した図面を
参照して詳しく説明するが、図1は本発明によるパルス
アーク溶接装置の実施形態を示すブロック図、図2は各
工程のタイミングチャート、図3は設定される溶接条件
の相関図、図4はPWM制御された直流パルス溶接電流
の波形図、図5は溶接電源の電源特性図である。
【0026】図1のブロック図のように、CPU1は、
キーボードや外部記憶装置などの入力手段、ディスプレ
イやプリンタなどの出力手段、シーケンサーなどの外部
制御機器による外部入出力装置2に接続され、溶接に必
要な各種データの授受が可能であると共に、CPU1に
取り込んだパルス状の溶接電流基準波形は、予めプログ
ラムした溶接作業のシーケンスに基づきアーク溶接電源
3に送られる。
【0027】溶接電流基準波形は、アーク溶接電源3に
指令して電極11と母材12間に所望な溶接時間で所望
の直流パルス溶接電流が供給されるように制御するもの
であって、CPU1からは例えば1周期が20mS程度
の細かいパルスを連続させたパルス群としてアーク溶接
電源3に送られ、主電源制御部4をPWM制御する際の
基準波形として使用する。
【0028】溶接電流基準波形は、図2のタイミングチ
ャートで示す工程(3)のシーケンスのように、実際の
溶接時間となる1〜数100のパルスで構成されるピー
クタイムの領域の前後に、溶接開始時の予熱時間に相当
するプレヒート時間及び立ち上がり時間に相当するライ
ズタイムと、溶接終了時の立ち下がり時間に相当するフ
ォールタイムの領域が含まれており、概ね工程(6)の
ような形状となる。
【0029】アーク溶接電源3は、主電源制御部4と主
電源部5及び補助電源部6で構成され、主電源制御部4
には入力切換手段4Aと比較手段4Bとを設け、入力切
換手段4Aでは溶接条件に適合した溶接電流及び溶接時
間の設定が行われると共に、比較手段4Bでは実際に電
極11と母材12間に流れる実電流を測定する電流セン
サ10からフィードバックされる実測電流波形を、CP
U1から送られた溶接電流基準波形と比較する。
【0030】入力切換手段4Aは、主電源部5に設けた
電源素子Tr1をPWM制御する際におけるスイッチン
グ時定数回路を構成するものであり、CPU1からの指
示によって溶接条件に適合すべく切り換え制御してスイ
ッチング周波数を可変させ、これを制御信号としてPW
M制御された主電源部5からは溶接条件に適合した直流
パルス溶接電流による出力が得られる。
【0031】例えば、図3で示すように、溶接対象物に
よって大電流で長時間(100mS以上)が所望な場合
にはスイッチング周波数を低くしてに設定し、大電流
で短時間が所望な場合にはスイッチング周波数を高くし
てに設定し、小電流(10A程度)で短時間が所望な
場合にはスイッチング周波数を更に高くしてに設定す
ることで、最大出力電流から最小出力電流までの広い領
域に亘って安定した出力電流が得られるようにし、各種
の溶接条件に適合させることを可能にした。
【0032】このようにする別な理由は、直流パルス溶
接電流を微細に制御するのにはスイッチング周波数を高
くすることが望ましいが、スイッチング周波数を高くす
ると電源素子Tr1に加わるストレス及び発熱量が増大
するので、微細に制御をしなくても溶接結果に影響を及
ぼすことが少ないの場合は、周波数を低くすることで
装置の小型化を図り、またの場合は溶接時間が短い
ので、周波数を高くすることが可能であり、直流パルス
溶接電流を微細に制御することができる。
【0033】この実施形態による入力切換手段4Aは、
直列接続した複数の抵抗素子の間に中間タップを設ける
と共に、各中間タップにはそれぞれスイッチを接続させ
た抵抗アレイで構成し、各スイッチの切り換えをCPU
1からの制御信号で行って抵抗素子を短絡することで抵
抗値を段階的に可変させている。
【0034】主電源部5は、主電源制御部4側からのP
WM制御信号すなわち入力切換手段4Aで設定した時定
数に基づいて電源素子Tr1がON−OFF制御され、
図4(a)のようにスイッチングパルス成分を含む電流
波形P1に変換した後に、平滑回路によってスイッチン
グパルス成分を除去すると、図4(b)のような溶接電
流波形P2が得られる。
【0035】溶接電流波形P2は、そのパルス幅及びピ
ーク電流値が広範囲に亘って変化するので、入力切換手
段4Aにおける実際の切り換え制御では図3のように3
段階だけではなく、例えばデジタルポテンショメータな
どのように多段階に切り換え制御が可能な切換手段を用
いてスイッチング周波数を所望に設定することが望まし
く、これにより様々な溶接条件に適合させることができ
ると共に、比較手段4Bによる比較結果に基づいて自動
的に補正が行なわれる。
【0036】補助電源部6は、アーク放電を安定に維持
させるために、主電源部5と並列接続させてアークスタ
ート電源7と同時に起動させ、アーク放電中の電極11
と母材12間に対して、最低放電電流値以下に設定した
基底電流値による安定な直流放電基底電流Ibを常時供
給するものであり、補助電源部6の出力電圧は主電源部
5の出力電圧の約2倍程度にすると共に、出力抵抗SR
の抵抗値を大きくして主電源部5の出力垂下特性を大き
くすることによって、溶接電流が1アンペア以下の低電
流領域におけるアーク放電を飛躍的に安定化させること
ができる。
【0037】従って、図4(c)のように、アーク放電
中に逆流阻止用のダイオードD1を介して主電源部5か
らトーチ側へ送られる溶接電流P2は、起動時にアーク
スタート電源7からトーチ側へ送られるトリガーパルス
列P3によって点弧された直流放電基底電流Ib上に重
畳された状態で印加される。
【0038】また、電流センサ10で検出した出力信号
を溶接期間中に常時サンプリングしてCPU1に送り、
CPU1側では溶接期間に対して十分に短い時間間隔
(例えば100μS程度)毎のデータに分析して常時モ
ニタに表示させて常時監視すると共に、各データを積算
させながら溶接期間終了と同時に集計して前回の集計デ
ータを更新するようにしている。
【0039】これにより、溶接電流の最大値のみを表示
する従来のモニタ表示方式の場合と異なり、溶接電流の
最大値はもちろん溶接電流波形に応じた数値をエネルギ
ー値J(ジュール)として表示することができ、このデ
ータを溶接電流基準波形と比較することによって、アー
ク放電中に電極11と母材12間が接触する事故を生じ
た場合や、アークが失火して正常な溶接が行われない場
合を正確に監視することができると共に、この比較結果
を制御信号に使用してアラームの発生や溶接作業の一時
停止をさせるなどの対応を行うことができる。
【0040】アークスタート電源7は、主電源部5及び
補助電源部6と同様に電極11と母材12間に対して並
列に接続させ、起動時にアーク点弧用として例えば7K
V程度の高電圧パルスを供給するが、特に高電圧パルス
は例えば繰り返し周波数が数10ヘルツ程度の低周波で
出力が1ミリジュール以下と微少出力の高電圧インパル
スを使用する。
【0041】低周波高電圧インパルスを使用すると、電
極11と母材12間の静電容量の影響を受けないので、
放電エネルギーを小さく押さえることができ、また出力
が1ミリジュール以下の微少出力であるので、作業中に
誤って接触した場合でも人体が受ける電気エネルギーは
極めて小さくてダメージは少なく、而も電圧の零点が存
在して手を離した瞬間に電極11側との間でアーク放電
を生ずることがないなど、安全性の点で極めて有効であ
る。
【0042】低周波高電圧インパルスは、CPU1から
の制御によってシールドガスに対するプレパージが終了
する直前にアークスタート電源7を起動させ、一定期間
供給した後に供給を停止させるか、又はアーク発生と同
時に供給を停止させるようにしている。
【0043】アーク溶接電源3の出力側にはノイズフィ
ルタ8を設け、アークスタート電源7からの高電圧イン
パルス及び、アーク放電による電磁波ノイズがアーク溶
接電源3に侵入するのを阻止し、アーク溶接電源3を構
成する電子部品が破損したり誤動作することを防止して
いる。
【0044】この溶接装置では、特に短時間小電流の条
件下で行われるアーク溶接に適合させることを解決すべ
き重要な課題としているが、例えば数mSで数アンペア
程度の短時間小電流の溶接条件では、電極が十分に加熱
されないままの状態で溶接が終了しまうことになるの
で、例え陰極(トーチ電極)にタングステン電極を使用
した場合でも、一種の冷陰極放電状態になってしまう。
【0045】このために、アルゴンガスなどの不活性ガ
ス中に於ける冷陰極放電の場合と同様に、陰極点が陰極
表面(トーチ電極)上で激しく移動してアーク長も激し
く変化する恐れがあり、それに伴ってアーク電流も高周
波の領域で激しく変動するような場合には、負荷側の変
動が電源の応答速度を超えてしまうので、通常のフィー
ドバック制御だけでは電源が追従することができない。
【0046】そこで、このアーク溶接電源3では、主電
源部5及び補助電源部6に対して電流をフィードバック
制御させた定電流特性型にすると共に、フィードバック
ループ内において電源の出力側に垂下抵抗を挿入し、こ
の垂下抵抗を所望の溶接電流に対応させて適正なものに
可変調整できるように、切り換え可能な出力制御部9を
設けて電源特性の改善を図っている。
【0047】出力制御部9は、この実施形態では並列接
続した複数の垂下抵抗のそれぞれにスイッチを直列接続
させ、各スイッチの切り換えをCPU1からの制御信号
で行って所望の直流パルス溶接電流に適合する垂下抵抗
に設定するが、設定する出力電流の全範囲をいくつかの
領域に区分した状態で多段階に垂下抵抗の切り換えを行
い、直流パルス溶接電流が小さいものほど垂下抵抗値は
大きく設定する。
【0048】図6では、実線がアーク溶接電源の電源特
性を、破線がアーク特性すなわちアーク放電特有の電圧
・電流特性を示すが、例えば陰極点の移動によってアー
ク長がL1からL2に変化した場合に、動作点はS1か
らS2に移行することになるが、これに伴う電流の変動
は少ない安定動作領域である。
【0049】そして、溶接電流が小さいものほど垂下抵
抗値を大きく設定して、電源特性を例えば図6の−
1,−2,−3のように変化させることによって、
広範囲に亘って電流の変動の少ない安定動作領域を確保
することが可能となり、短時間小電流の溶接条件下でア
ーク長が激しく変動する冷陰極放電の領域でも、変動が
少ない安定した溶接電流を供給して良質な溶接を行うこ
とができる。
【0050】更に、アーク溶接電源3の出力側には直流
パルス溶接電流を検出する電流検出部10を設け、検出
した実測直流パルス溶接電流を主電源制御部4に設けた
比較手段4Bにフィードバックさせ、溶接電流基準波形
との比較を行うと共に、検出した実測直流パルス溶接電
流はCPU1に送って溶接状態監視用のデータとしても
使用する。
【0051】電極11と母材12は、複数組を(この実
施形態では電極11Aと母材12A及び電極11Bと母
材12Bの二組を)並設し、いずれかに切り換えて使用
することによって、並設した複数の母材に対して一つの
電極を移動させて使用していた従来構造に比べて作業性
を向上させている。
【0052】この実施形態における切り換え操作では、
各電極11Aと11Bは出力回路のマイナス側に並列接
続させておき、各電極のトーチに対してはCPU1から
の指令又は外部出力装置2(例えばキーボードからの入
力やシーケンサーからの指令)によって、電磁弁13
A,13Bで構成された流路切換手段13を切り換え
て、シールドガス供給源14からの流路をいずれかに選
択すると共に、母材12Aと12Bに対しても同様の制
御でいずれかを出力回路のプラス側に切り換え選択す
る。
【0053】次に、CPU1の指令によって行われる溶
接作業のシーケンスについて、図2のタイミングチャー
トに基づいて説明すると、工程(1)では溶接対象物に
適合する溶接条件に設定された溶接電流基準波形に対
し、最適な電源制御が行われるように、主電源制御部4
の入力切換手段4Aによるスイッチング周波数の選択
と、出力制御部9による垂下特性の選択が行われるが、
その切換制御信号a,bがそれぞれCPU1から送られ
る。
【0054】工程(2)では、工程(1)の完了するタ
イミングでCPU1からスタート入力信号cがシールド
ガス供給源14の制御回路に送られ、工程(3)ではシ
ールドガスの流路解放信号dがONになって溶接トーチ
ガスノズルからシールドガスの放出が開始される。
【0055】工程(4)(5)では、ガスのプレパージ
が終了する直前のタイミングで、安定化用の補助電源部
6とトリガー用のアークスタート電源7に対して、CP
U1から起動信号e,fがそれぞれ送られるが、起動信
号eはアーク終了まで継続され、起動信号fはガスのプ
レパージ終了と同時又はアーク点孤の検出によって立ち
下げられる。
【0056】工程(6)では、アーク点孤と同時にCP
U1からアーク溶接電源3の主電源部4に溶接電流基準
波形gが送られ、主電源部5からは工程(7)のように
PWM制御された直流パルス溶接電流hが、溶接電流基
準波形gで指示された溶接電流波形となって電極11と
母材12間に供給される。
【0057】アーク放電中はシールドガスの流路が解放
され続け、溶接トーチノズルから母材12に向けてガス
の放出が行われるが、アーク放電の終了後もCPU1か
ら指示された一定時間の間は、電極11及び母材12の
酸化を防ぐための、アフターパージ時間としてシールド
ガスの放出が継続され、アフターパージ時間が終了して
シールドガスの流路解放信号dがOFFになった時点で
アフターパージは完了する。
【0058】また溶接時間中には、工程(8)のように
電流センサ10の出力信号によって溶接状態監視用のデ
ータサンプリングが行われ、その積算結果を工程(9)
のタイミングで逐次更新し、モニター表示して監視され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるパルスアーク溶接装置の実施形態
を示すブロック図である。
【図2】図1の装置における各工程のタイミングチャー
トである。
【図3】図1の装置で設定される溶接条件の相関図であ
る。
【図4】図1の装置で使用されるPWM制御による直流
パルス溶接電流の波形図である。
【図5】図1の装置で設定される直流パルス溶接電流の
電源特性図である。
【符号の説明】
1 CPU 2 外部入出力装置 3 アーク溶接電源 4 主電源制御部 4A 入力切換手段 4B 比較手段 5 主電源部 6 補助電源部 7 アークスタート電源 8 ノイズフィルタ 9 出力制御部 10 電流検出部 11 電極 12 母材 13 流路切換手段 14 シールドガス供給源

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極と母材間に直流パルス溶接電流を供
    給するアーク溶接電源と、アーク点弧用の高電圧パルス
    を供給するアークスタート電源とを並設し、当該各電源
    を予めCPUにプログラムされたシーケンスで駆動制御
    させると共に、前記アークスタート電源が前記電極と母
    材間に低周波の高電圧インパルスを供給することを特徴
    としたパルスアーク溶接装置。
  2. 【請求項2】 前記アーク溶接電源は、アーク安定化用
    としてアーク放電中に常時一定レベルの直流放電基底電
    流を供給する補助電源部と、前記CPUに指示されたパ
    ルス状の溶接電流基準波形に基づいて、PWM制御され
    た直流パルス溶接電流をアーク発生時に前記直流放電基
    底電流に重畳させて供給する主電源部とで構成する請求
    項1に記載したパルスアーク溶接装置。
  3. 【請求項3】 前記アーク溶接電源の出力側には、複数
    の出力電流に適合させて、個別にアーク溶接電源の出力
    電流と出力電圧による電源特性を制御する切換え可能な
    出力制御部を設け、当該出力制御部を前記CPUで制御
    して前記電源特性を可変する請求項1又は2に記載した
    パルスアーク溶接装置。
  4. 【請求項4】 前記アーク溶接電源には、前記CPUか
    ら指示された溶接条件に適合する直流パルス溶接電流の
    設定を行う切換え可能な入力部を有する主電源制御部を
    設け、前記主電源部におけるPWM制御時のスイッチン
    グ周波数を可変する請求項2又は3に記載したパルスア
    ーク溶接装置。
  5. 【請求項5】 前記CPUには、予め設定した溶接時間
    をサンプリング期間とし、当該サンプリング期間中にお
    いて短い所定時間毎に前記直流パルス溶接電流の検出を
    行い、検出値を積算表示して放電状態を監視するモニタ
    ー機能を設けた請求項1〜5のいずれかに記載したパル
    スアーク溶接装置。
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