JP2001234918A - 回転軸部材および回転装置 - Google Patents

回転軸部材および回転装置

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宏之 川浦
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Mizuho Inagaki
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    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C2360/00Engines or pumps
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Abstract

(57)【要約】 【課題】軽量コンパクト化を維持しつつ高速化等を図れ
る回転軸部材および回転装置を提供することを目的とす
る。 【解決手段】鉄を主成分とするマトリックス相中に4A
族(チタン族)元素のホウ化物を主成分とする強化相が
分散しておりヤング率(縦弾性係数)が230GPa以
上で耐力(0.2%耐力)が450MPa以上である鉄
基複合材料からなる高剛性部をもつことを特徴とする回
転軸部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転軸部材および
回転装置に関するものである。さらに詳しくは、高剛性
の鉄基複合材料料を用いた設計自由度の大きな回転軸部
材および回転装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】多種多様な機械が存在するが、その中で
も回転運動を利用する機械は非常に多い。例えば、モー
タ、エンジン、タービン等の原動機を初め、これらを駆
動源とした送風機、車両、航空機、ロケット、工作機
械、コンプレッサ、ポンプ等がある。そして、回転装置
の種類により向上すべき性能も様々である。例えば、高
速回転化(高速化)による出力増大、損失低減による機
械効率の向上、応答性の向上等の他、装置全体としての
軽量化やコンパクト化等も、回転装置の種類によっては
向上すべき重要な性能となる。
【0003】以下では、これらの回転装置に不可欠な回
転軸部材(若しくは回転軸部)に着目し、その性能を向
上させる際に必要となる課題等について説明する。な
お、「回転軸部材」には、適宜、回転装置の「回転軸
部」も含まれるものとする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】先ず、回転装置の高速
化を図る場合を例に取ると、それにより低速回転域では
問題とならなかったような強度、変形、振動、装置の重
量増や大型化等、様々な課題が発生する。具体的にこれ
らの項目について検討してみると、次のようになる。
【0005】(1)強度 回転速度が2倍になれば作用する遠心力は4倍になる
し、高速高出力化により伝達されるトルクも増大する。
従って、それを支える回転軸部材の強度向上が必要にな
る場合が多い。しかし、回転軸部材の必要強度を形状面
から確保すれば、回転軸部材の大型化、重量増に繋が
る。従って、回転軸部材の軽量コンパクト化を維持しつ
つ(若しくは向上させつつ)高速化を図るためには、形
状面からではなく材料面から適切な強度が回転軸部材に
確保されることが望まれる。
【0006】この強度についてさらに具体的に検討す
る。通常、回転軸部材には曲げモーメントMやトルクT
(回転モーメント、ねじりモーメント)が作用し、さら
には圧縮・引張りを伴うこともある。曲げモーメントM
は、軸自体や軸上の回転体に作用する重力や遠心力等に
より生じる。トルクTは、動力伝達等により生じる。ま
た、圧縮・引張りは軸方向に作用する加重(例えば、プ
ロペラ軸等に作用する圧縮)等により生じる。これら
は、単独若しくは組合わさって作用するものであるが、
いずれにしても、回転軸部材には圧縮・引張り応力σ、
剪断応力τとして作用することになる。ここで、回転軸
部材を軸径dの中実棒としてσ、τの最大値を考える
と、σma x=M/Z=M/(πd3/32)、τmax=T
/ZP=T/(πd3/16)(Z:断面係数、ZP:極
断面係数)となるから、作用する応力はヤング率等には
関係なく形状のみによって決まる。つまり、軸径dを大
きくするとそれらの応力の低減を図れるが、それでは回
転軸部材の軽量コンパクト化を維持・向上できない。そ
こで、材料面から回転軸部材に適切な強度が確保される
ことが望まれる。
【0007】(2)変形(剛性) 回転装置の高速化に際して、回転軸部材の変形も考慮
しなければならない場合がある。回転軸部材の変形が大
きくなると、各部材の運動が不正確になり回転装置の性
能低下や各部材の干渉を招き高速化の妨げとなるからで
ある。また、回転軸部材の変形が大きくなると、回転軸
部材と軸受との間で片あたりが生じ(面圧分布が不均一
になり)、摺動抵抗が増すため高速化を図れないことも
ある。従って、回転軸部材の変形の低減を必要とする場
合もある。しかし、形状面からその変形を抑制しようと
すると、前述したように回転軸部材の軽量コンパクト化
が妨げられる。そこで、材料面から回転軸部材に適切な
剛性が確保されることが望まれる。
【0008】この変形(剛性)について、主に問題と
なる撓み(たわみ)と捻り(ねじり)を例にとり、具体
的に検討する。 (a)撓み 撓みは、加重が作用する回転軸部材(梁)に垂直な方向
に生じる略凹状の変形であり、例えば、両端支持される
回転軸部材であれば中央部付近でその撓み量δは最大と
なる。ここで、撓み量δは曲げ剛性EI(E:縦弾性係
数(ヤング率)、I:断面2次モーメント(=πd4
64))に反比例するから、曲げ剛性EIを増大させる
ことにより撓み量δを低減できる。つまり、断面2次モ
ーメントI若しくはヤング率Eを増大させれば良い。と
ころが、上述したように回転軸部材の形状面から曲げ剛
性EIの増大を図るためには軸径dを増大させることに
なり、回転軸部材等の軽量コンパクト化を維持できな
い。次に、材料面からヤング率Eを増大させることが考
えられるが、ヤング率Eは原子間の結合力に関与した物
質固有の値であり、同種の材料である限り、従来の合金
化や熱処理等によりヤング率Eを実質的に変化させるこ
とは困難であった。そこで、従来にない高ヤング率の材
料を新たに開発し、その材料を回転軸部材に用いてその
剛性を高めることが望まれる。
【0009】(b)捻り 捻りは、伝達トルクにより回転軸部材の軸方向に垂直な
断面に生じる相対回転であり、回転軸部材の長さおよび
作用するトルクが大きいほどその回転角(捻れ角ψ)は
大きくなる。回転装置によっては、この捻れ角ψが制限
されることも多い。例えば、回転軸部材の回転角(クラ
ンク角等)を用いて、それと連動する他部材(カム・シ
ャフト等)の運動を制御している場合、捻れ角ψが大き
くなることにより、その回転装置の性能の低下を招きか
ねないからである。ここで、捻れ角ψは捻り剛性GIP
(G:横弾性係数、IP:断面2次極モーメント(=π
4/32))に反比例するから、捻り剛性GIPを高め
ることにより捻れ角ψを低減できる。ところが、撓みの
場合と同様に、回転軸部材の形状面から捻り剛性GIP
の増大を図れば、軸径dが増大して、回転軸部材等の軽
量コンパクト化を維持・向上できない。次に、横弾性係
数Gを増大させることが考えられるが、一般に、横弾性
係数Gはヤング率Eと比例関係にある(G=E/2(1
+ν)、ν:ポアソン比)。従って、横弾性係数Gを増
加させることは、ヤング率Eを増加させることを意味す
る。そこで、撓みの場合と同様に高ヤング率の材料を用
いれば、回転軸部材の軽量コンパクト化を維持・向上さ
せつつ、その捻れ角ψの低減を図ることが可能となる。
【0010】(3)危険速度 回転する回転軸部材に撓みや捻りが生じると、弾性体
である回転軸部材は原形に復帰しようとして、回転軸部
材の原形(または釣合位置)を中心に周期的な振動(変
形)を繰返す。この振動数が回転軸部材の固有振動数に
近づくと、その振幅が次第に増大する。そして、回転軸
部材が弾性限界を超えて変形して回転軸部材が破損し得
ることはよく知られている。危険速度とは、その固有振
動数に一致し若しくはその固有振動数の数倍となる回転
軸部材の回転数をいう。回転装置の高速化に際して、こ
の危険速度を考慮しなければならない場合がある。そし
て、回転軸部材の回転数を高くするほど、回転軸部材の
危険速度を大きくすることが望まれる。
【0011】この危険速度について、具体的に検討す
る。危険速度を低めに設定しておき、その危険速度を越
えた回転領域で使用される回転装置もあるが(撓み
軸)、通常は、使用回転数よりも十分に余裕をみて、危
険速度は高めに設定される(剛性軸)。回転軸部材の回
転数が危険速度を通過する度に生じる大きな振動によっ
て、耐久性の低下や感性的な悪化(例えば、不快な振
動)等を招くことがないようにするためである。よっ
て、通常、危険速度が大きいことが望まれる。
【0012】(a)この危険速度にも2種類あり、回転
軸部材の撓み(横振動)に起因して生じる危険速度Nb
と回転軸部材の捻り(捻り振動)に起因して生じる危険
速度Ntとに分けることができる。そして、機械力学か
ら危険速度Nbは(EI)1/ 2 (EI:曲げ剛性)
に、危険速度Ntは(GIP1/2(GIP:捻り剛性)
に比例することが知られている。危険速度Nbや危険速
度Ntを高めることは、回転軸部材の変形を低減させる
場合と同様に、曲げ剛性EIや捻り剛性GIPを増大さ
せることを意味し、結局、回転軸部材の軽量コンパクト
化を維持・向上させつつ、危険速度の増大化を図るため
には、高ヤング率Eの材料からなる回転軸部材が望まれ
ることとなる。
【0013】(b)但し、ダンカーレ(Dunkerl
ey)の式にもあるように、全体的な危険速度を求める
場合には、回転軸部材自身の危険速度と回転軸部材上の
各回転体の危険速度との両方を考慮する必要がある。例
えば、全体の危険速度Nbを求める場合、1/Nb2
1/Nb0 2+1/Nb1 2+1/Nb2 2+・・・(N
0:回転軸部材自身の危険速度、Nbi:各回転体の危
険速度)となる。このように、全体の危険速度Nbは、
回転軸部材の危険速度Nb0と各回転体の危険速度Nbi
とから求められる。そこで、次に回転軸部材自身の危険
速度を考える。回転軸部材の自重ω(ω:回転軸部材の
単位長さあたりの重量(質量))とすると、回転軸部材
自身の(撓み)危険速度Nb0、(捻り)危険速度Nt0
は、それぞれ(EI/ω)1/2 、(GIP/ω)1/2に比
例することが知られている。ここで回転軸部材の軸径
d、密度ρとして変形すると、危険速度Nb0と危険速
度Nt0とはそれぞれd・(E/ρ)1/2 、d・(G/
ρ)1/2 に比例することが導かれる。
【0014】しかも、前述したように、横弾性係数Gと
縦弾性係数Eとは比例関係にあったから、危険速度Nb
0や危険速度Nt0を増大させるためには、結局、d・
(E/ρ)1/2 を増大させれば良いことになる。このよ
うに、回転軸部材の自重を考慮に入れて危険速度を考え
る場合、ヤング率Eのみならず、比ヤング率E/ρの増
大を図ることも有効であることが解る。但し、図1に示
すように、従来の金属材料ではこの比ヤング率E/ρに
殆ど相違がなく、従来の金属材料では、材料面から回転
軸部材の危険速度を増大させることは困難であった。
【0015】(4)その他 回転装置の軽量コンパクト化を図るために、回転軸部材
についても、その軽量コンパクト化が求められることは
当然である。しかし、回転軸部材の軽量コンパクト化は
それに留まるものではない。回転軸部材の軽量コンパク
ト化は、回転軸部材の応答性や高速化に役立つ。例え
ば、エンジンやターボ・チャージャ等を考えると、クラ
ンク・シャフトやタービン・シャフト等(回転軸部材)
の軽量コンパクト化は慣性重量の低減になり、応答性
(レスポンス)が向上し、さらには一層の高速化が図れ
る。従って、このような観点からも比強度や比ヤング率
の大きな材料からなる回転軸部材が望まれるところであ
る。
【0016】そこで、本発明者は、回転軸部材に最適な
材料、特に高剛性な材料を全く新規に開発することが、
回転装置の高性能化や軽量コンパクト化を図り、その設
計自由度を高める上で不可欠であると考えた。そして、
一般的な金属材料中でヤング率Eの最も大きい鉄系材料
をベース材料に使用することが好適であると考えて、さ
らに検討および研究開発を行うこととした。この研究開
発に先立ち、本発明者は鉄系材料をベースにした高剛性
材料について調査を行ったところ、数件の出願がされて
おり、例えば、特開平5−239504号公報、特開平
7−188874号公報等に関連する開示がされてい
た。前者の公報には、炭化物や窒化物等の強化粒子を鉄
系マトリックス中に分散させて高ヤング率化を図った鉄
基複合材料料が開示されている。しかし、その鉄基複合
材料は熱力学的安定性に欠ける強化粒子(Ti(C、
N)等)を用いているため、十分な高ヤング率を得るま
でには至っていない。また、シャルピー衝撃値の記載は
あるが、強度等の記載はなく、回転軸部材として実用的
な材料であるか否かは不明である。
【0017】後者の公報には、熱的安定性に優れる二ホ
ウ化チタン(TiB2)を強化粒子として高ヤング率化
を図った鉄基複合材料料が開示されている。しかし、そ
の公報には、ヤング率に関する記載しかなく、比ヤング
率や強度等については何ら触れられていない。本発明
は、このような事情に鑑みて為されたものある。つま
り、回転軸部材(または、回転軸部)として最適な高剛
性(高ヤング率)の鉄基複合材料を用いることにより回
転装置の高性能化、設計自由度の拡大等を図ることがで
きる回転軸部材および回転装置を提供することを目的と
する。特に、高速運転される場合に好ましい高速回転軸
部材および高速回転装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者は、この
課題を解決すべく鋭意研究し、各種系統的実験を重ねた
結果、回転軸部材に最適な高剛性の鉄基複合材料を新た
に開発・発見した。そして、この鉄基複合材料を用い
て、回転装置の高性能化、設計自由度の拡大等を図れる
回転軸部材(または回転軸部)および回転装置を開発す
るに至ったものである。
【0019】(回転軸部材)すなわち、本発明の回転軸
部材は、鉄を主成分とするマトリックス相中に4A族
(チタン族)元素のホウ化物を主成分とする強化相が分
散しており、ヤング率(縦弾性係数)が230GPa以
上で耐力(0.2%耐力)が450MPa以上である鉄
基複合材料からなる高剛性部をもつことを特徴とする。
【0020】本発明の回転軸部材は、耐力が450MP
a以上という強度をもちつつ、ヤング率が230GPa
以上という高剛性である高剛性部を備えるため、回転軸
部材の設計自由度が著しく拡大し、その回転軸部材を用
いた回転装置の性能向上を図ることが著しく容易になっ
た。例えば、高剛性部のヤング率が高いことにより、回
転軸部材の重量増や大型化を招くことなく、その変形の
低減や危険速度の向上を図ることができる。逆に、回転
軸部材の変形量や危険速度を従来と同程度に許容するな
ら、回転軸部材の一層の軽量コンパクト化を図ることが
できる。しかも、高剛性部の鉄基複合材料は実用的な強
度を有しているので、強度的に設計自由度が制限される
ことはない。
【0021】ここで、ヤング率は縦弾性係数を指し、こ
れが230GPa未満では、材料面から回転装置の高剛
性化を十分に図ることが困難となり、回転軸部材の設計
自由度等が制限されるので好ましくない。また、耐力
は、「永久歪みが0.2%となる応力」である0.2%
耐力を指す。これが450MPa未満だと、強度確保の
ために回転軸部材の重量増や大型化を避けられないの
で、設計自由度が制限されるので好ましくない。
【0022】(回転装置)また、本発明の回転装置は、
駆動部と被駆動部との間に介在して該駆動部から該被駆
動部に回転を伝達する回転軸部を備える回転装置におい
て、前記回転軸部は、鉄を主成分とするマトリックス相
中に4A族(チタン族)元素のホウ化物を主成分とする
強化相が分散しておりヤング率(縦弾性係数)が230
GPa以上で耐力(0.2%耐力)が450MPa以上
である鉄基複合材料からなる高剛性部をもつことを特徴
とする。
【0023】本発明の回転装置は、駆動部と被駆動部と
の間に介在して駆動部から被駆動部に回転を伝達する回
転軸部が、耐力が450MPa以上という強度を維持し
つつ、ヤング率が230GPa以上という高剛性部を備
えるため、回転軸部の設計自由度が著しく拡大し、さら
には、回転装置の設計自由度や性能の向上を図ることが
著しく容易となったものである。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に、回転軸部材および回転装
置の実施形態を挙げて、本発明を詳しく説明する。な
お、「回転軸部材」というときには、特に断らない限
り、回転装置の回転軸部も含めて考えるものとする。
【0025】(鉄基複合材料) (1)強化相 本発明の回転軸部材の高剛性部は、鉄を主成分とするマ
トリックス相中に、4A族(チタン族)元素のホウ化物
を主成分とする強化相を分散させた鉄基複合材料からな
る。これにより、高ヤング率と、実用的な高強度特性を
得ている。強化相の主成分である4A族元素のホウ化物
は、4A族元素とホウ素が規則的に配置された結晶構造
を有し、共有性結合によって構成原子が強固に結合して
いるものである。この構成原子の強固な結合力に影響を
受けて、そのホウ化物のヤング率は、300GPa以上
と非常に大きくなっている。
【0026】しかも、4A族元素のホウ化物は、鉄合金
中で熱力学的に極めて安定であるため、異種元素の侵入
・置換、あるいは他の複合化合物の形成など、マトリッ
クス相の構成元素と反応して、結晶学的および冶金学的
な変化を生じることが殆どない。従って、このホウ化物
粒子を複合化することにより、非常に高ヤング率な鉄基
複合材料が得られ、回転軸部材の高剛性化を材料面から
図ることができたと考えられる。
【0027】さらに、本発明の回転軸部材の高剛性部
は、全体を100体積%としたときに10〜50体積%
の強化相とこの強化相に対して60体積%以下の非マト
リックス相とからなると好適である。4A族元素のホウ
化物からなる強化相に対して非マトリックス相(マトリ
ックス相、強化相以外)を一定割合以下とすることによ
り、鉄基複合材料の靱性や延性を低下させることなく、
より高ヤング率の高い鉄基複合材料が得られたものであ
る。そして、靱性、延性、ヤング率に優れた鉄基複合材
料から高剛性部が構成されることにより、回転軸部材や
回転装置の設計自由度を一層拡大させることができた。
非マトリックス相は、具体的には、4A族元素のホウ化
物以外のホウ化物(例えば、(Fe、Cr)2B)や4
A族元素を含む金属間化合物(例えば、(Fe、Cr)
2Ti等のラーベス相)からなる。
【0028】ここで、強化相が、10体積%未満では高
剛性化の効果が得られず、50体積%を超えるとホウ化
物どうしの凝集や、合体が生じ、鉄基複合材料の機械的
特性が低下するので好ましくない。なお、強化相が20
〜50体積%であると、高剛性化の効果が大きいうえに
機械的特性とのバランスもよく、より好ましい。また、
非マトリックス相が強化相に対して60体積%を越える
と、鉄基複合材料中での4A族元素のホウ化物を主成分
とする強化相が相対的に減少し、鉄基複合材料のヤング
率が低下するとともに、マトリックス相が硬化若しくは
脆化して好ましくない。なお、非マトリックス相が強化
相に対して45体積%以下であると、さらに高い靱性を
有するため、より好ましい。
【0029】強化相の主成分である4A族元素のホウ化
物には、4A族元素である、チタン(Ti)、ジルコニ
ウム(Zr)、ハフニウム(Hf)のホウ化物の一種以
上が用いられる。ホウ化物は、単体としてのヤング率が
少なくとも300GPa以上であれば、強化相の分散に
より十分に高ヤング率な鉄基複合材料が得られる。4A
族元素のホウ化物中でも、二ホウ化チタン(TiB2
は特に、高ヤング率で熱的安定性に優れるので、強化相
の主成分として好適である。
【0030】つまり、強化相が二ホウ化チタン(TiB
2)を主成分とし、非マトリックス相はこの二ホウ化チ
タン(TiB2)以外のホウ化物および/またはチタン
化合物を主成分とするものであると、好適である。さら
に、強化相の主に構成する4A族元素のホウ化物の粒径
は、100μm以下、より好ましくは20μm以下であ
ると、好適である。高ヤング率と共に、靱性、延性等に
も優れた鉄基複合材料が得られるからである。
【0031】(2)マトリックス相 本発明の回転軸部材を構成する鉄基複合材料は、鉄を主
成分とするマトリックス相中に4A族(チタン族)元素
のホウ化物を主成分とする強化相が分散したものであ
る。このマトリックス相は、純鉄あるいは鉄合金をマト
リックス(母材)とする。鉄合金には、フェライト系、
オーステナイト系、あるいはマルテンサイト系などがあ
る。
【0032】マトリックス相は、マトリックス相全体
を100重量%としたときに炭素(C)の含有量が0.
5重量%以下であると、好適である。Cを0.5重量%
以下にすると、マトリックス相に分散される4A族元素
のホウ化物の熱力学的安定性がより保たれるようにな
る。すなわち、高温域でも、ホウ化物の4A族元素とC
とから炭化物や炭ホウ化物が形成されることが抑制さ
れ、4A族元素のホウ化物による高ヤング率化の効果を
最大限に引き出すことができるので、好ましい。逆に、
0.5重量%を越えると炭化物や炭ホウ化物の量が増
え、高剛性部が脆化して好ましくない。なお、Cの含有
量を0.35重量%以下とすると、より好ましい。
【0033】さらに、マトリックス相は、マトリック
ス相全体を100重量%としたとき、バナジウム
(V)、クロム(Cr)の1種以上を、その合計が2
5.0重量%以下含むと、好適である。これらの元素を
含むと、マトリックス相中においてより高ヤング率なB
CC構造のフェライトが安定化し、一層高ヤング率の鉄
基複合材料が得られ、回転軸部材の高剛性化を促進でき
るので、好ましい。但し、それらの元素が25.0重量
%を超えると、鉄との脆性化合物(シグマ相)が析出し
てマトリックス相を脆化させるので、好ましくない。な
お、その合計が20重量%以下であると、より好まし
い。
【0034】さらには、マトリックス相が、該マトリッ
クス相全体を100重量%としたときに炭素を0.5重
量%以下と、バナジウム(V)を0.1〜3重量%およ
び/またはクロム(Cr)を0.5〜20重量%含む
と、より好適である。σ相やバナジウムと鉄との化合物
相の生成が抑制され、熱間加工時の割れや脆化を抑制・
防止できる。さらに、耐摩耗性の点で回転軸部材として
重要な表面硬度を安価な窒化処理等によって確保し易
い。窒化処理には、タフトライド等がある。窒化処理等
により表面硬度を向上させることにより、回転軸部材の
フレティング摩耗等を防止できる。
【0035】また、マトリックス相は、マトリックス
相全体を100重量%としたときに、ニッケル(N
i)、コバルト(Co)の1種以上を、その合計が2
5.0重量%以下含むと、好適である。これらの元素を
含むと、マトリックス相にFCC構造のオーステナイト
を得ることができ、フェライトのみのマトリックス相に
比べ、靱性の向上が図れるので好ましい。但し、それら
の元素が25.0重量%を超えると、オーステナイト主
体のマトリックス相となり、フェライト主体のマトリッ
クス相に対しヤング率が低下するため、好ましくない。
なお、その合計を15重量%以下とすると、 ヤング率
を大きく低下させることなく高靱性化を図れるため、よ
り好ましい。
【0036】マトリックス相は、マトリックス相全体
を100重量%としたとき、銅(Cu)を0.2〜1
0.0重量%以下含むと、好適である。マトリックス相
がCuを含むと、マトリックス相の強度が向上するので
好ましい。ここで、マトリックス相がCuを含む状態に
は、Cuの固溶状態とε−Cu相の析出状態の両方があ
る。特に、熱処理によってε−Cu相を微細に整合析出
させると、強度が一層向上する。但し、Cuが0.2重
量%未満だと、Cuの析出量が少なく、十分な強度の向
上が望めないため好ましくない。また、Cuが10.0
重量%を超えると、マトリックス相のヤング率の大幅な
低下を招き、熱間加工時に液相割れなどを起こし易くな
り、好ましくない。ここで、Cuの含有量を5重量%以
下とすると、ヤング率の低下を抑制しつつ大幅な強度向
上を図れ、より好ましい。
【0037】マトリックス相は、マトリックス相全体
を100重量%としたときに、モリブデン(Mo)、ニ
オブ(Nb)、タンタル(Ta)、タングステン
(W)、ハフニウム(Hf)の1種以上の元素を、その
合計が10.0重量%以下含むことが好ましい。これら
の元素は、マトリックス相中で固溶、析出することによ
り、マトリックス相の強度を向上させるものであり、マ
トリックス相がそれらの元素を含むことにより、回転軸
部材の高剛性部の強度向上が図れるので好ましい。但
し、それらの元素量が10.0重量%を超えると多量の
析出物が生じてフェライト相が硬化し、マトリックス相
を脆化させるため好ましくない。なお、その合計を5重
量%以下とすると、 生成する析出物が適量かつ微細と
なるため、マトリックス相を脆化させることなく高強度
化できるため、より好ましい。
【0038】上述したように、マトリックス相は多種
多様な組成から構成することができるが、例えば、次の
ような組成からなるマトリックス相であると、回転軸部
材として特に好適である。つまり、マトリックス相が、
該マトリックス相全体を100重量%としたときに、
0.5重量%以下の炭素(C)と、0.2〜10重量%
の銅(Cu)と、モリブデン(Mo)とニオブ(Nb)
とタングステン(W)とタンタル(Ta)とからなる金
属群から合計で10重量%以下の1種類以上の金属元素
と、バナジウム(V)とクロム(Cr)とからなる金属
群から合計で25重量%以下の1種類以上の金属元素
と、ニッケル(Ni)とコバルト(Co)とからなる金
属群から合計で25重量%以下の1種類以上の金属元素
と、からなる元素群より選択された少なくとも1種類以
上の元素を含むと、好適である。
【0039】(回転軸部材または回転装置) (1)比ヤング率E/ρ 本発明の回転軸部材の高剛性部は、ヤング率をE(GP
a)、密度をρ(10 3×Kg/m3)としたときに比ヤ
ング率E/ρが30(×10-3GPa・m3/Kg)以
上であると、好適である。前述したように、比ヤング率
E/ρが高いことにより、回転軸部材自身の危険速度を
高めることができる。そして、回転軸部材自身の危険速
度を高めると、ダンカーレの式から回転軸部材上の回転
体を含めた全体の危険速度も高めることもできる。従っ
て、この回転軸部材を用いた回転装置の一層の高速化、
高性能化を図ることができて、格別好ましい。また、密
度ρが小さいと、回転軸部材、回転装置の軽量化を一層
向上させることができる。なお、本発明の回転装置の回
転軸部の少なくとも一部が、比ヤング率E/ρが30
(×10-3GPa・m3/Kg)以上であっても、同様
に好適である。
【0040】(2)回転軸部材または回転軸部 本発明の回転軸部材は、少なくとも一部が上述した高
剛性部で構成されているタービン・シャフトであると好
適である。タービンは、流体(液体、気体)を動翼にあ
て、流体の運動エネルギーを回転運動エネルギーに変換
する回転装置である。例えば、発電機、ジェット・エン
ジン、ターボ・チャージャ等に用いられる、水タービ
ン、蒸気タービン、ガス・タービン等や、自動車に用い
られるトルク・コンバータ(流体継手を含む)等があ
る。このようなタービンは、高速回転するものが多く、
そのシャフト部分に本発明の回転軸部材を用いると、変
形の低減、危険速度の高速化、応答性の向上等が図れ
る。
【0041】本発明の回転装置がターボ・チャージャ
であるときは、駆動部はタービン・ホイールであり、被
駆動部はコンプレッサ・ホイールであり、回転軸部はタ
ービン・シャフトであると、好適である。自動車用のタ
ーボ・チャージャを例にとれば、エンジンから排出され
る高温・高圧の排気ガスが駆動部であるタービン・ホイ
ールにあたりタービン・ホイールが高速回転をする。こ
の高速回転がタービン・シャフトを介して被駆動部であ
るコンプレッサ・ホイールに伝達される。そして、コン
プレッサ・ホイールは、エア・クリーナから吸引した空
気をインテーク・マニホールドに過給する。このような
タービン・シャフトは、毎分数万〜20数万回転もする
から、変形の低減や危険速度の増大が一層求められる。
そこで、タービン・シャフトに本発明の回転軸部材を用
いたり、本発明の回転装置をタービンとしてその回転軸
部をタービン・シャフトとすると、高剛性(高ヤング
率)化によりその変形の低減や危険速度の増大を容易に
図れるので、好ましい。
【0042】(3)具体的な回転装置および回転軸部材 ターボ・チャージャ以外に、本発明の回転装置を、モー
タ、エンジン、タービン等の原動機や、送風機、車両、
航空機、ロケット、工作機械、コンプレッサ、ポンプ等
に用いると良い。また、本発明の回転軸部材や回転装置
の回転軸部を、例えば、レシプロ・エンジンであればク
ランク・シャフト、カム・シャフト、ローター・エンジ
ンであればエキセントリック・シャフト、過給器であれ
ばルーツ・ブロワ(ルーツ式スーパー・チャージャ)の
ドライブ・シャフトやドリブン・シャフト、ミラーサイ
クル・エンジン等で用いられるリショルム・コンプレッ
サ(スクリュウ式スーパー・チャージャ)の雌雄ロータ
・シャフトやその入力軸、その他工作機械のスピンド
ル、自動車のプロペラ・シャフト等に用いると好まし
い。特に、軽量コンパクト化と高速化との両立が求めら
れる回転軸部材や回転装置の回転軸部に本発明を利用す
ると、好適である。
【0043】(4)鉄基複合材料の製造方法 本発明の回転軸部材の高剛性部や回転装置の回転軸部を
形成する鉄基複合材料は、次のように製造すると、好適
である。 すなわち、鉄基複合材料の製造方法は、4A族元素の
ホウ化物粉末、4A族元素を含む粉末およびホウ素を含
む粉末から選択され、4A族元素とボロンとの配合比率
が原子比で0.45〜0.80となるように調整された
強化相原料粉末と鉄を主成分とするマトリックス相原料
粉末とを混合する原料粉末混合工程と、この原料粉末混
合工程により混合された原料粉末から圧密成形体を得る
圧密成形工程と、この成形工程により得られた成形体を
焼結して焼結体を得る焼結工程とからなると、好適であ
る。
【0044】強化相は、強化相原料粉末に予め含まれる
4A族元素のホウ化物粉末により形成されても良いが、
混合された4A族元素を含む粉末とホウ素原料を含む粉
末とが焼結工程で反応し、そこで生成される4A族元素
のホウ化物により形成されても良い。4A族元素とボロ
ンとの配合比率が原子比で0.45〜0.80に調整さ
れることにより、ホウ化鉄や4A族元素の金属間化合物
からなる非マトリックス相の形成が抑制され、鉄基複合
材料の高ヤング率化を図り易い。強化相原料粉末は、市
販の粉末を用いることができるが、4A族元素のホウ化
物粉末はその平均粒径が数μm以下の粉末であると、好
ましい。その粒径が大きいときは、ボールミル、振動ミ
ル、アトライタ等の装置により粉砕しておくと良い。
【0045】マトリックス相原料粉末は、純鉄や鉄合金
の粉末であり、市販の粉末を用いることができる。例え
ば、アトマイズ法により作製された純鉄粉、ステンレス
粉末等を用いることができる。マトリックス相原料粉末
の平均粒径は、180μm以下、さらには45μm以下
であると、より好ましい。平均粒径を45μm以下とす
ると、焼結体の緻密化や強化相の分散均一性が著しく促
進される。
【0046】原料粉末混合工程は、マトリックス相原料
粉末と強化相原料粉末とを均一に混合する工程である
が、特殊な混合方法や前処理を行う必要はなく、通常の
粉末混粉装置を利用できる。例えば、V型、ダブルコー
ン型等の混粉機を利用すれば良い。なお、強化相原料粉
末として、4A族元素のホウ化物粉末を用いる場合に、
その粉末が二次粒子等を形成するときは、ボールミルや
振動ミルアトライタ等の高エネルギー混合装置を用いて
粉砕処理すると良い。
【0047】圧密成形工程には、例えば、金型成形、C
IP成形等を用いることができる。また、成形圧力を2
00MPaとすると、圧密成形体およびその焼結体の緻
密化が十分に行われるので、好ましい。焼結工程は、真
空中若しくは不活性ガスや還元性ガス雰囲気中でなされ
ると、好ましい。マトリックス相中の鉄の酸化を防止若
しくは抑制できるからである。焼結工程は、1100〜
1300℃の加熱温度で行うと、好ましい。1100℃
未満では十分な密度の焼結体が得られず、また、130
0℃を超えると形成されるホウ化物の種類によって多量
の液相を生じ、焼結体の形状を維持できない場合がある
からである。加熱時間は、0.2〜4時間であると、好
ましい。0.2時間未満では焼結体の密度が十分に向上
せず、4時間を超えると得られる密度に比してエネルギ
ー効率が良くないからである。
【0048】また、鉄基複合材料の製造方法は、鉄を
主成分とするマトリックス相原料と4A族元素とボロン
との配合比率が原子比で0.45〜0.80となる強化
相原料とを溶解させる溶解工程と、この溶解工程により
溶解した原料を鋳型に注湯して鋳塊を成形する鋳造工程
とからなると、好適である。強化相原料には、例えば、
フェロチタン、フェロジルコニウム、フェロボロン等が
ある。
【0049】溶解工程は、例えば、セラミックス製るつ
ぼを用いた高周波誘導真空溶解炉、アルゴンアーク溶解
炉、プラズマ溶解炉、水冷銅るつぼを用いた高周波誘導
真空溶解炉あるいは高周波誘導浮遊溶解炉等の従来から
ある溶融設備を用いることができる。 さらに、前記の焼結工程や鋳造工程後に、焼結体や鋳
塊に熱間加工を施す熱間加工工程を行うと、それらを真
密度まで緻密化することができるので、好適である。例
えば、鋼塊の場合、この熱間加工により内部に生成した
ポロシティを低減でき、さらには強化相のホウ化物(二
ホウ化チタン(TiB2)等)を微細化することができ
る。これにより、鉄基複合材料の強度、靱性、延性等の
向上を図ることができる。
【0050】熱間加工工程として、例えば、熱間鍛造、
熱間圧延、熱間押出し、熱間スェージング加工等があ
る。また、この熱間加工は、900〜1200℃の範囲
で行われると、好ましい。900℃未満では加工時の変
形抵抗が大きく、1200℃を超えると液相化を生じる
おそれがあるからである。また、焼結体を緻密化する場
合には、熱間加工工程に代り、焼結工程後にHIP(熱
間静水圧プレス)処理を施しても良い。例えば、このH
IP処理は、900〜1200℃、500〜2000気
圧、1〜10時間の条件で行うと、好ましい。このよう
に、本発明で用いた鉄基複合材料は、通常の粉末冶金、
溶融、鋳造方法を利用して製作することができ、また、
従来の設備を利用して製作できる。従って、生産性の向
上やコスト低減を図り易い材料でもある。
【0051】
【実施例】本発明の回転装置の実施例であるターボ・チ
ャージャ100を取上げて、本発明の回転軸部材および
回転装置について具体的に説明する。 (ターボ・チャージャ)ターボ・チャージャは、過給機
の一種で排気ガスのエネルギーを利用した排気タービン
駆動式過給機(ターボ・チャージャ)であり、クランク
・シャフトの回転力を利用した機械駆動式過給機(スー
パー・チャージャ)と区別される。いずれも、圧縮空気
を強制的にシリンダ内に供給し、充填効率の上昇による
エンジンの出力の増大を図ったものであるが、ターボ・
チャージャは排気ガスのエネルギーを利用するものであ
るため、スーパー・チャージャのような駆動損失がな
く、エネルギーの有効利用ができる点で優れる。また、
ターボ・チャージャは軽量コンパクトで、取付位置の自
由度も大きいので、自動車用エンジンの過給機として最
適である。図2および図3にそのターボ・チャージャ1
00の概略を示す。
【0052】ターボ・チャージャ100は、本発明の
回転装置の駆動部であるタービン・ホイール110と、
被駆動部であるコンプレッサ・ホイール120と、回転
軸部であるタービン・シャフト130と、排気ガス側に
設けられたタービン・ハウジング160と、吸入空気側
に設けられたコンプレッサ・ハウジング170と、ター
ビン・ハウジング160とコンプレッサ・ハウジング1
70との間に介在しタービン・シャフト130を支持す
るセンタ・ハウジング180とから基本的に構成され
る。なお、回転軸部であるタービン・シャフト130
は、本発明の回転軸部材でもあることを予め断ってお
く。
【0053】タービン・ハウジング160は、排気ガ
スの流速を高めて噴流とし、この噴流の速度エネルギを
有効にタービン・ホイール110に導くためのものであ
る。そのため、渦巻状(スクロール状)となっておりノ
ズル部161を備える。なお、タービン・ハウジング1
60は、高温に曝されるため、熱変形の少ない特殊耐熱
材製鋳物で製作されている。
【0054】コンプレッサ・ハウジング170は、吸
入口171から吸入した空気に速度エネルギを与えた
後、効率良く減速させて圧力を高めて吐出口172から
インテーク・マニホールドに圧送するものである。その
ため、コンプレッサ・ハウジング170には、渦巻状を
しており圧力を高めるディフューザー173が形成され
ている。なお、コンプレッサ・ハウジング170は、比
較的低温であるため、アルミニウム合金製鋳物からな
る。
【0055】タービン・ホイール110は、複数の放
射状のブレード111を備える円盤状部材である。そし
て、タービン・ハウジング160のノズル部161から
導かれた排気ガスの噴流をそのブレード111で受ける
ことにより、高速回転する。排気ガスはタービン・ホイ
ール110に回転力を与えた後、タービン・ハウジング
160の排出口162から排出される。この排気ガスの
流出がスムーズに行われるように、ブレード111には
エキスデューサー角が与えてある。なお、タービン・ホ
イール110は、900℃以上もの高温の排気ガスに連
続的に曝されるため、ニッケル基超耐熱合金(インコネ
ル713C)からなる。なお、耐熱性と慣性重量の低減
とを考慮してセラミック製としても良い。
【0056】コンプレッサ・ホイール120も、複数
の放射状のブレード121を備える円盤状部材である
が、ブレード121は、タービン・ホイール110のブ
レード111とは異なり回転方向反対側に湾曲したバッ
クワード型となっている。これにより、吸入空気に遠心
力による速度エネルギを効率良く与える。但し、空気の
流入がスムーズに行われるようにするために、コンプレ
ッサ・ハウジング170の吸入口171付近にあるブレ
ード121は、回転方向に捻られ、インデュース角が与
えられている。なお、コンプレッサ・ホイール120
は、比較的低温であると共に軽量化(慣性重量の低減)
を考慮してアルミニウム合金(AC4D)からなる。
【0057】タービン・シャフト130は、その両端
にタービン・ホイール110とコンプレッサ・ホイール
120とが取付けられ、タービン・ホイール110の回
転をコンプレッサ・ホイール120に伝達するものであ
る。ここで、タービン・シャフト130とタービン・ホ
イール110とは電子ビーム溶接により接合した。但
し、ろう付け、摩擦溶接等により接合しても良い。図3
に示すように、タービン・シャフト130は、タービン
・ホイール110側からコンプレッサ・ホイール120
側にかけて順次細径となる段付軸部材である。タービン
・シャフト130のタービン・ホイール110側にはシ
ール部131が、コンプレッサ・ホイール120側には
シール部132がそれぞれ設けられている。シール部1
31ではオイルシールと排気ガスシールがなされ、シー
ル部132では、オイルシールがなされる。
【0058】さらに、ターボ・チャージャ100に
は、過給圧を制御するためにウェスト・ゲート・バルブ
およびその開閉を行うウェスト・ゲート・バルブ・アク
チュエータ190が設けてある。この作動を簡単に説明
しておく。エンジンが高回転になり排気ガス量が増加す
ると、タービン・ホイール110の回転速度も増大し、
コンプレッサ・ハウジング170の吐出口172から吐
出される圧縮空気圧(過給圧)も高くなる。そして、過
給圧が高くなりすぎるとノッキングが発生し易くなる。
そこで、ノッキングの発生を防止するため、過給圧が規
定圧以上となると、過給圧によりウェスト・ゲート・バ
ルブ・アクチュエータ190のダイヤフラムがスプリン
グの付勢力に抗して変形・移動して、ウェスト・ゲート
・バルブ・アクチュエータ190のレバーを作動させ、
ウェスト・ゲート・バルブを開く。その結果、排気ガス
はタービン・ホイール110をバイパスして流れるよう
になり、タービン・ホイール110およびコンプレッサ
・ホイール120の回転速度が低下し、過給圧が規定値
を越えないようになる。
【0059】エンジン本体から分流したエンジン・オ
イルがセンタ・ハウジング180の給油口181から供
給されて、ターボ・チャージャ100の潤滑が行われ
る。供給されたオイルは、軸受部などを潤滑、冷却し、
センタ・ハウジング180の下部に設けた排油口182
からエンジンのオイル・パンに戻される。また、エンジ
ン本体の冷却水路から冷却水がセンタ・ハウジング18
0に導かれ、センタ・ハウジング180およびオイル通
路の冷却が行われる。導かれた冷却水は、エンジン本体
の冷却水路に戻され、エンジン本体のウォータープンプ
によりその循環がなされる。
【0060】センタ・ハウジング180の略中央を貫
通するタービン・シャフト130は、2つのフル・フロ
ーティング・ベアリング150により支持されている。
フル・フローティング・ベアリング150は、センタ・
ハウジング180に導入されたオイルによりセンタ・ハ
ウジング180の軸受部とタービン・シャフト130と
の間で完全に浮いている。フル・フローティング・ベア
リング150は、自由に回転できるので、その周速はタ
ービン・シャフト130の周速の約半分ぐらいになり、
耐久性に優れる。また、完全に浮いているから、タービ
ン・シャフト130の僅かなアンバランスにより発生す
る高速回転時の振動も吸収でき、さらには、潤滑性、冷
却性にも優れる。センタ・ハウジング180の軸受部の
摩耗低減、小型化等の観点から、セミ・フローティング
・ベアリングを使用しても良いし、タービン・シャフト
130の回転の立上がりを向上させる観点から、摩擦抵
抗のより少ないボール・ベアリングを使用しても良い。
【0061】(タービン・シャフト)前述のタービン・
シャフト130を本発明の鉄基複合材料(第1〜4実施
例)と従来の鉄鋼材料(比較例)とを用いて製造すると
共に、そのヤング率等を測定した。 (1)製造 第1実施例 ステンレス鋼粉末(SUS430:−#330)、フェ
ロチタン粉末(−#330)、フェロボロン粉末(−#
250)、フェロクロム粉末(−#250)、フェロバ
ナジウム粉末(−#250)、黒鉛粉末(−#400)
を配合して均一に混合した(原料粉末混合工程)。これ
により、表1に示す組成をもつ鉄基複合材料(Fe−
8.7Ti−4.0B−11.2Cr−1.0V−0.
2C )を得た。
【0062】なお、本実施例ではFe−Cr合金マトリ
ックス相中に20体積%(全体を100体積%として)
のチタンホウ化物粒子を主成分とする強化相を分散させ
て鉄基複合材料を形成することを意図した(表1)。原
料粉末混合工程後、均一に混合した原料粉末を用いて油
圧プレスにより金型成形し、直径25mm、高さ35m
mの圧密成形体を得た(圧密成形工程)。この圧密成形
体を0.01Pa以下の真空雰囲気で1250℃×1時
間の焼結を行って焼結体を得た(焼結工程)。
【0063】この焼結体を高周波誘導加熱装置で110
0℃に加熱した後、ナックル・ジョイント・プレスによ
り金型押出しを行い、直径11mmの押出材を成形した
(熱間加工工程)。さらに、この押出材に切削、研削、
研磨等の機械加工を施して、表2の諸元をもつタービン
・シャフト130(図3)を得た。
【0064】第2実施例 Fe−Cr合金マトリックス相中に30体積%(全体を
100体積%として)のチタンホウ化物粒子を主成分と
する強化相を分散させることを意図して、表1に示す組
成をもつ鉄基複合材料(Fe−13.7Ti−6.2B
−13.0Cr−0.1C−1.2Mo)を得た。この
とき、Mo源としてフェロモリブデン粉末(−#25
0)を用いた他は、第1実施例と基本的に同様である。
【0065】第3実施例 Fe−Cr合金マトリックス相中に45体積%(全体を
100体積%として)のチタンホウ化物粒子を主成分と
する強化相を分散させることを意図して、表1に示す組
成をもつ鉄基複合材料(Fe−22.6Ti−10.2
B−1.1Cr−0.6V−1.0Cu)を得た。この
とき、Cu源として電解銅粉末(−#400)を用いた
他は、第1実施例と基本的に同様である。
【0066】第4実施例 Fe−Cr合金マトリックス相中に30体積%(全体を
100体積%として)のチタンホウ化物粒子を主成分と
する強化相を分散させることを意図して、表1に示す組
成をもつ鉄基複合材料(Fe−13.7Ti−6.0B
−18.0Cr−0.8V−0.1C−2.7Cu−
5.0Ni)を得た。Ni源として、SUS304粉末
(−#330)を用いた他は、第1実施例と基本的に同
様である。なお、第2実施例に対してマトリックス相の
組成を変更した。
【0067】比較例 Fe−0.15C−0.25Si−0.7Mn−1.1
Crの組成をもつ市販の一般構造用鋼材(SCr41
5)を素材として用いて、上述の実施例と同様に機械加
工を施した。その後、熱処理(浸炭焼入れ・焼戻し)を
行い所望の表面硬度とした後、表面研磨を行って、図3
に示すタービン・シャフト130を得た。
【0068】
【表1】 (2)材料特性の測定 上述の第1〜4実施例で製作した押出材と比較例で使用
した一般構造用鋼(SCr415)について、ヤング
率、密度、耐力を表1に併せて示した。なお、各実施例
のヤング率、密度、耐力は次のようにして求めた。
【0069】(a)ヤング率 ヤング率を複合振動子法を用いて測定した。複合振動子
法とは、試験片(第1〜4実施例と比較例との高剛性
部)に水晶振動子を接着した複合振動子を製作し、この
複合振動子と水晶振動子との共振周波数の差から試験片
の固有振動数を求めて、ヤング率を評価する方法であ
る。 (b)耐力 インストロン試験機を用いて測定した荷重−伸び線図か
ら0.2%耐力を求めた。インストロン試験機とは、イ
ンストロン(メーカ名)製の万能引張試験機であり、駆
動方式は電気モータ制御である。 (c)密度 密度は、乾燥重量と水中重量との差から体積を求めて密
度を計算する水浸法(アルキメデス法)により求めた。
【0070】(3)危険速度 計算値 表2に示す諸元の回転軸部材(タービン・シャフト、タ
ービン・ホイール、コンプレッサ・ホイールを含む)に
ついて、第1〜4実施例および比較例で用いた材料でタ
ービン・シャフトを構成した場合の危険速度を計算によ
り求めた。これを表1に合わせて示す。ヤング率等は表
1に示した値を用いた。なお、この危険速度の計算は、
ターボ・チャージャの振動解析として一般的な手法をタ
ービン・シャフトに適用して行い、その曲げ1次固有振
動数を求めたものである。
【0071】
【表2】
【0072】実測値 前述の第1〜4実施例および比較例の各タービン・シャ
フト130にインコネル713C製タービン・ホイール
110とアルミニウム合金AC4D製コンプレッサ・ホ
イール120とを組み付け、これらそれぞれについて、
ターボ単体回転試験機にて、ターボ単体回転試験を行っ
た。このときの試験条件は、タービン入口温度を600
℃とし、8万rpmから23万rpmまでを約3分で上
昇させる設定とした。そして、ターボ単体回転試験機の
センタ・ハウジング上に設けた加速度ピックアップにて
振動を計測して、最初のピーク値を危険速度とした。こ
の振動の様子を図4に示す。縦軸の加速度は、最大の加
速度(共振時の加速度)に対する比で示した。
【0073】(4)表面硬度 回転軸部材は耐摩耗性が要求されることが多いため、そ
の表面硬度が高いことが望ましく、様々な表面処理がな
される。ここでは、回転軸部材の表面処理として一般的
な窒化処理(タフト窒化処理)を例に取り、本発明に係
る鉄基複合材料が回転軸部材の表面硬度を向上させる上
でも適しているかを検討した。特に、マトリックス相の
相違による表面硬度の影響を検討した。
【0074】本発明に係る回転軸部材の供試材を、Fe
−Cr−V−Mo−Cu合金のマトリックス相中に30
体積%(全体を100体積%として)のチタンホウ化物
粒子を主成分とする強化相を分散させた鉄基複合材料を
用いて、第1実施例等と同様に製作した。この鉄基複合
材料の組成は、Fe−6.14B−13.6Ti−1.
1Cr−0.12V−0.13Mo−2.41Cu(数
値は重量%)であった。これに対する比較例として、純
鉄のマトリックス相中に30体積%(全体を100体積
%として)のチタンホウ化物粒子を主成分とする強化相
を分散させた鉄基複合材料を用いて、第1実施例等と同
様に製作した。この鉄基複合材料の組成は、Fe−6.
16B−13.6Ti(数値は重量%)であった。窒化
処理は、580°×90分の溶融塩浴窒化とした。こう
して窒化処理した両供試材を切断し、表面からの硬度を
それぞれ測定してグラフに表したものを図5に示す。
【0075】(5)評価 ヤング率および比ヤング率 表1から解るように、本発明の実施例では、比較例に対
してヤング率が約10〜65%大きくなっている。そし
て、強化相が密度の小さな二ホウ化チタン(TiB2)
からなるので、二ホウ化チタン(TiB2)の体積率に
応じて、全体の密度が約10〜20%小さくなってい
る。その結果、比ヤング率E/ρで対比すると、実施例
は比較例に対して比ヤング率E/ρが約1.3〜2.1
倍と格別に向上している。
【0076】危険速度 表1および図4から、本発明の実施例では、比較例に対
して危険速度が約14〜40%も上昇していることが解
る。これらから、ターボ・チャージャの危険速度上昇に
よる高速化や軽量化を著しく向上させ得ることが解る。
【0077】表面硬度 図5から、本発明の回転軸部材は窒化処理によりその表
面硬度が十分に向上することが確認できた。つまり、窒
化処理等を施すことにより回転軸部材として求められる
耐摩耗性の向上も図れることが解った。特に、マトリッ
クス相がCrやVを含有すると、窒化処理により表面硬
度の向上に有効であると考えられる。
【0078】
【発明の効果】本発明の回転軸部材および回転装置の回
転軸部は、高ヤング率であると共に高強度である鉄基複
合材料からなるため、回転軸部材や回転装置の設計自由
度を著しく拡大させることができ、回転装置の多様な要
求性能に応えられ、また、その性能を向上させることが
容易となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種金属材料の比ヤング率(E/ρ)1/2
比較した図である。
【図2】本発明の実施例であるターボ・チャージャの断
面を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施例であるターボ・チャージャの断
面を示す平面図である。
【図4】本発明の各実施例と比較例とのタービン・シャ
フトの危険速度を示すグラフである。
【図5】鉄基複合材料のマトリックス相の相違が、窒化
処理後の表面硬度に及す影響を示したグラフである。
【符号の説明】
100 ターボ・チャージャ(回転装置) 110 タービン・ホイール(駆動部) 120 コンプレッサ・ホイール(被駆動部) 130 タービン・シャフト(回転軸部、回転軸部
材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/00 301 C22C 38/00 301Z 302 302Z 304 304 38/16 38/16 38/52 38/52 F01D 5/28 F01D 5/28 25/00 25/00 F L F02B 39/00 F02B 39/00 Q R U (72)発明者 西野 和彰 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 川浦 宏之 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 斎藤 卓 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 稲垣 瑞穂 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 3G002 BA01 BA06 BA10 BB04 BB05 3G005 FA12 FA13 GB73 GB79 KA00 KA07 3J033 AA01 AB03 4K018 AA29 AB04 AC01 BA03 BA11 BA17 BA19 BA20 CA11 DA11 DA13 JA03 KA02 KA12 4K020 AA22 AC07 BB29 BB30

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄を主成分とするマトリックス相中に4A
    族(チタン族)元素のホウ化物を主成分とする強化相が
    分散しており、ヤング率(縦弾性係数)が230GPa
    以上で耐力(0.2%耐力)が450MPa以上である
    鉄基複合材料からなる高剛性部をもつことを特徴とする
    回転軸部材。
  2. 【請求項2】前記高剛性部は、ヤング率をE(GP
    a)、密度をρ(103×Kg/m3)としたときに比ヤ
    ング率E/ρが30(×10-3GPa・m3/Kg)以
    上である請求項1記載の回転軸部材。
  3. 【請求項3】前記高剛性部は、全体を100体積%とし
    たときに10〜50体積%の前記強化相と該強化相に対
    して60体積%以下の非マトリックス相とからなる請求
    項1記載の回転軸部材。
  4. 【請求項4】前記強化相は二ホウ化チタン(TiB2
    を主成分とし、前記非マトリックス相は該二ホウ化チタ
    ン(TiB2)以外のホウ化物および/またはチタン化
    合物を主成分とする請求項3記載の回転軸部材。
  5. 【請求項5】前記マトリックス相は、該マトリックス相
    全体を100重量%としたときに、0.5重量%以下の
    炭素(C)と、0.2〜10重量%の銅(Cu)と、モ
    リブデン(Mo)とニオブ(Nb)とタングステン
    (W)とタンタル(Ta)とからなる金属群から合計で
    10重量%以下の1種類以上の金属元素と、バナジウム
    (V)とクロム(Cr)とからなる金属群から合計で2
    5重量%以下の1種類以上の金属元素と、ニッケル(N
    i)とコバルト(Co)とからなる金属群から合計で2
    5重量%以下の1種類以上の金属元素と、からなる元素
    群より選択された少なくとも1種類以上の元素を含む請
    求項1記載の回転軸部材。
  6. 【請求項6】前記マトリックス相は、該マトリックス相
    全体を100重量%としたときに炭素を0.5重量%以
    下と、バナジウム(V)を0.1〜3重量%および/ま
    たはクロム(Cr)を0.5〜20重量%含む請求項5
    記載の回転軸部材。
  7. 【請求項7】前記回転軸部材は、少なくとも一部が前記
    高剛性部で構成されているタービン・シャフトである請
    求項1記載の回転軸部材。
  8. 【請求項8】駆動部と被駆動部との間に介在して該駆動
    部から該被駆動部に回転を伝達する回転軸部を備える回
    転装置において、 前記回転軸部は、鉄を主成分とするマトリックス相中に
    4A族(チタン族)元素のホウ化物を主成分とする強化
    相が分散しておりヤング率(縦弾性係数)が230GP
    a以上で耐力(0.2%耐力)が 450MPa以上で
    ある鉄基複合材料からなる高剛性部をもつことを特徴と
    する回転装置。
  9. 【請求項9】前記駆動部はタービン・ホイールであり、
    前記被駆動部はコンプレッサ・ホイールであり、前記回
    転軸部はタービン・シャフトであり、前記回転装置はタ
    ーボ・チャージャである請求項6記載の回転装置。
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