JP2001227508A - 流体圧シリンダ - Google Patents

流体圧シリンダ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空気軸受使用の流体圧シリンダであって、本
体ブロックに対してピストンとロッドが回転することが
ない流体圧シリンダを安価で製造容易なものとして提供
する。 【解決手段】 本体ブロック１に、ピストン１２を支承
する第１空気軸受６と、断面が角形のロッド１３を支承
する第２空気軸受９とを設け、別体に形成したピストン
１２とロッド１３を、本体ブロック１の空気軸受６，９
により支承させた状態において、接着剤２５により固定
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気軸受によって
本体ブロックに非回転のロッドを出没自在に支承するよ
うにした流体圧シリンダに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】シリンダブロックに設けた空気軸受によ
ってピストンとロッドを浮遊状態で支承するようにした
シリンダシステムは、例えば特開平８−１１７９１２号
公報によって、既に知られている。この既提案のシリン
ダシステムは、ピストンとロッドを空気軸受によって支
承するために、これらの部材の摺動抵抗を小さくするこ
とができるが、ピストンとロッドの外形がいずれも円形
のために、これらの部材がストローク時等に回転するお
それがある。しかしながら、ワークによっては、ピスト
ンとロッドが回転すると支障が生ずることがあるので、
ストローク時におけるこれらの部材の回転を防止できる
ようにすることの要求がある。
【０００３】ピストンとロッドの回転を防止するために
は、単純に回転防止のための手段を設ければよいことに
なるが、上述したように空気軸受によってピストンとロ
ッドとを浮遊状態で支承させている場合には、その浮遊
状態での支承機能が損なわれないような機構であること
が必要になる。そのためには、ピストンに比べて断面積
が小さいロッドの断面を角形にするのが適切であると考
えられるが、その場合に、ピストンとロッド及びそれら
の空気軸受をそれぞれ同心に形成しようとしても、それ
らを容易に正確に同心に形成することができず、精度の
よい製造を行って浮遊状態での支承を安定的に行わせる
には、製造工程が複雑になり、安価且つ容易に製造する
ことは困難である。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、基本的には、空気軸受使用の流体圧シリン
ダであって、本体ブロックに対してピストンとロッドが
回転することがない流体圧シリンダを安価で製造容易な
ものとして提供することにある。本発明の更に具体的な
課題は、断面円形のピストンと断面非円形のロッドとの
組み付けを、実際に加工されたピストンとロッドの空気
軸受に適合させた状態で行い、それによって、ピストン
とロッド及びそれらの空気軸受をそれぞれ同心に形成す
る必要をなくし、それらの製造を安価且つ容易に行える
ようにした流体圧シリンダを提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の流体圧シリンダは、ピストンとロッドの空気
軸受をほぼ同一軸線上に設けた本体ブロックと、該本体
ブロックに組み付けられて上記空気軸受に供給される圧
縮空気により支承されるピストンとロッドとを備え、上
記ピストンとそれを支承する空気軸受の軸受面が断面円
形状をなし、上記ロッドとそれを支承する空気軸受の軸
受面が、上記ピストンとほぼ同一軸線上で回転が不能な
形状を有するものとし、上記ピストンとロッドを別部材
で形成して、それらを本体ブロックの空気軸受により支
承させた状態において接着剤により固定したことを特徴
とするものである。
【０００６】上記流体圧シリンダにおいては、ピストン
とロッドの固定を、本体ブロック内の空気軸受への圧縮
空気の供給状態において、ボルトの螺挿及び該ボルトと
ピストン内面間への接着剤の塗着により行うのが有効で
ある。また、上記流体圧シリンダにおいては、本体ブロ
ックを通してロッドの先端部に流体圧または真空圧を作
用させるための空気通路を設けることができる。
【０００７】上記構成を有する流体圧シリンダにおいて
は、ピストンとロッドを支承する空気軸受に圧縮空気を
供給するとともに、ピストンで区画されたシリンダ室に
圧縮空気を給排すると、ピストンとロッドが所定の方向
にストロークする。この場合に、ピストンとロッドは、
空気軸受によって浮遊状態に支承されているので、スト
ローク時等の摺動抵抗を殆どなくすことができる。しか
も、ロッドの外周面及びそれを支承する空気軸受の軸受
面を非円形としたので、空気軸受で支承されるピストン
とロッドが浮遊状態でストロークする際にも、これらの
部材の回転を防止することができる。
【０００８】特に、上記流体圧シリンダにおいては、ピ
ストンと非円形断面のロッドを別部材で形成して、それ
らを本体ブロックの空気軸受により支承させた状態にお
いて接着剤により固定し、更には、その固定を、それら
の部材を支承するための空気軸受に供給される圧縮空気
によって浮遊状態に支承した状態で行うので、ピストン
とロッドの空気軸受が同心に形成されていない場合で
も、浮遊状態での支承機能が損なわれることない状態
に、容易に組み付けることができる。さらに、本体ブロ
ックを通してロッドの先端部に空気圧や真空圧を作用さ
せるための空気通路を設けたので、真空圧によってワー
クを吸着したり、吸着したワークを空気圧によって解放
したりすることができる。
【０００９】
【発明の実施の形態】図は本発明の実施例を示し、この
流体圧シリンダにおける本体ブロック１は直方体をな
し、円形の第１空気軸受孔２とこれとほぼ同径の第２空
気軸受孔３が、その上下から同一軸線上に対向して開設
されており、これらの空気軸受孔２，３は、本体ブロッ
ク１に形成したこれらの軸受孔より小径のロッド挿通孔
４によって相互に連通させている。そして、第１空気軸
受孔２には円筒状の第１空気軸受６を嵌着して、該空気
軸受孔２の口部側に気密に嵌着したキャップ７と止め輪
８によって固定し、また、第２空気軸受孔３には外形が
円形の第２空気軸受９を嵌着して、止め輪１０によって
固定している。
【００１０】軸受面の断面が円形である上記第１空気軸
受６には、図１において上方が開口する有底円筒体のピ
ストン１２が摺動可能に挿入されている。また、軸受面
の断面を正方形とした第２空気軸受９（図６参照）に
は、断面をこれと相似の正方形としたロッド１３が摺動
可能に挿入されている。上記空気軸受６及び９は、多孔
の通気性素材により外周が円筒状に形成され、そして、
第１空気軸受６の内面の円形軸受面はリーマ加工によっ
て、第２空気軸受９の内側の正方形の軸受面は放電加工
によって、それぞれの形状に仕上げられている。これら
の空気軸受６，９の軸受面は、相互に同心であることを
目指して加工されるが、特に正確に同心にする必要はな
い。なお、ロッド１３の断面は、加工が比較的容易なこ
とや偏荷重の作用がないこと等によって、正方形が最も
好ましいが、これに限定されるものではなく、長方形や
正多角形等の非円形断面とすることもできる。
【００１１】上記多孔性の空気軸受６，９は、本体ブロ
ック１に設けた軸受空気供給ポート１６から（図２及び
図５参照）、本体ブロック１の軸線に平行な通孔１６
ａ、それと直交する方向に形成した上下二つの通孔１６
ｂ（図１参照）、及び空気軸受６及び９の外周略中央部
の開口する通孔１６ｃを経て供給される圧縮空気を、そ
の多孔の内部を通してピストン１２とロッド１３の外周
面にほぼ均一に噴出させることにより、ピストン１２と
ロッド１３を軸受面に殆ど接触しない浮遊状態に支承す
るものである。また、空気軸受６及び９から外部に排出
される空気は、本体ブロック１における上記通孔１６の
上下両側に設けた周溝１８ａ，１９ａ、それらと連通
し、本体ブロック１の軸線に平行に開設した通孔１８
ｂ，１９ｂを通して、本体ブロック１に開設した軸受空
気排出ポート１８と１９から外部に排出される（図１及
び図３参照）。なお、空気軸受６及び９における上記周
溝１８ａ，１９ａの設置位置に対応する内周軸受面に
は、集気溝６ａ，９ａを設けている。
【００１２】上記ロッド１３には、図１及び図６に示す
ように、軸線方向の２個の空気通路２０ａ，２０ｂと、
４個の肉抜き穴２１が、ロッド１３の軸心に対して対称
に形成されている。そして、本体ブロック１には、上記
空気通路２０ａに圧縮空気を供給するための空気供給ポ
ート２４ａ、及び空気通路２０ｂに真空圧を作用させる
ための真空圧ポート２４ｂとが開設され、上記ポート２
４ａ，２４ｂの開口と対向する第２空気軸受９の軸受面
には、ロッド１３のストロークより軸方向長さが長い溝
２２，２２が個別に形成されている。したがって、ロッ
ド１３のストロークに拘わらず、ポート２４ａ，２４ｂ
と空気通路２０ａ，２０ｂが常に連通し、本体ブロック
１を通してロッド１３の先端部に流体圧または真空圧を
作用させることができる。
【００１３】また、上記ロッド１３に複数の肉抜き孔２
１を設けたことと、ピストン１２を有底円筒体としたこ
ととにより、これらの部材を充実体としたものに比べて
軽量にすることができ、それらの駆動を容易にすること
ができる。なお、空気通路２０ａ，２０ｂと肉抜き穴２
１は、いずれも２個と４個に限定されるものではない
が、ロッド１３に偏荷重が作用しないように、ロッド１
３の軸心に対して対称であることが好ましい。
【００１４】図１及び図２に示すように、上記本体ブロ
ック１には、ピストン１２で区画された一対のシリンダ
室１２ａ，１２ｂに圧縮空気を給排するための下降用空
気の給排ポート２３ａ及び上昇用空気の給排ポート２３
ｂを開設している。そのため、これらのポート２３ａ，
２３ｂからの圧縮空気の給排により、ピストンを昇降さ
せることができる。また、本体ブロック１には、前記ロ
ッド挿通孔４にシール部材を設けることによってロッド
１３に摺動抵抗が生じるのを抑止するため、該ロッド挿
通孔４の下方に、前記通孔１８ｂに通じる排気溝１８ｃ
を開設している。この排気溝１８ｃは、上記ポート２４
ａ，２４ｂの開口と対向して設けた溝２２，２２の流体
がシリンダ室１２ｂに流出入してピストン１２の駆動に
影響を与えることをも防止するものである。
【００１５】上記流体圧シリンダにおいては、軸受面が
円筒面の空気軸受６と、それが回転不能な非円筒面の空
気軸受９に、それぞれピストン１２とロッド１３を挿入
しているが、上記空気軸受６，９の軸受面を相互に同心
に形成しようとしても、それらを正確に同心に形成する
ことには困難性があり、精度のよい加工を行ってピスト
ン１２とロッド１３の浮遊状態での支承を安定的に行わ
せるには、製造工程が複雑になり、安価且つ容易に製造
することができない。そのため、空気軸受６，９の軸受
面は、同心にすることに格別の配慮を払うことなくそれ
ぞれ個別的に加工し、上記ピストン１２とロッド１３
は、それらを別部材で形成して、本体ブロック１の空気
軸受６，９により支承させた状態において、接着剤２５
により固定するという連結手段を用いている。
【００１６】この接着剤２５によるピストン１２とロッ
ド１３の固定は、本体ブロック１内に装着した空気軸受
６，９が相互に同心でなくても、それらの軸心のずれに
適合するようにしてピストン１２とロッド１３を連結す
るもので、有底円筒体状をなすピストン１２内に接着剤
２５を注入して、ピストン１２の底部に設けた孔を通し
てピストン１２とロッド１３の任意部分間を接着するこ
とができるが、空気軸受６，９へ空気供給ポート１６か
ら圧縮空気を供給して、ピストン１２及びロッド１３を
浮遊状態に支承した状態において、ピストン１２側から
ロッド１３にボルト１４を螺挿することにより、両者を
その状態に一応固定し、しかる後に、ボルト１４の頭と
ピストン１２の内面間や、ボルト１４とロッド１３の間
等への接着剤２５の塗着によって、ピストン１２とロッ
ド１３とを接着するのが、より望ましい。なお、上記ボ
ルト１４は、空気軸受６，９によって支承されたピスト
ン１２とロッド１３の軸心の相対的な位置関係を仮止め
するものであって、その状態での両者の固定は接着剤２
５によって行われるものである。
【００１７】このようにしてピストン１２とロッド１３
を固定すると、空気軸受６及び９が同心に形成されてい
ない場合でも、それに適合するように両者が連結され、
ピストン１２及びロッド１３を浮遊状態での支承機能が
損なわれることない状態に容易に組み付けることができ
る。なお、図１における符号２７は、キャップ７に取付
けたダンパ、図４及び図５における符号２８及び２９
は、本体ブロック１を適宜の部材に取付けるための取付
け用ねじ孔である。
【００１８】上記構成を有する流体圧シリンダは、給排
ポート２３ａ，２３ｂからシリンダ室１２ａ，１２ｂに
圧縮空気を給排するとともに、軸受空気供給ポート１６
から空気軸受６，９に圧縮空気を供給すると、ピストン
１２とロッド１３が浮遊状態で支承されながら、図にお
いて上下動する。この場合に、ピストン１２を有底円筒
体とし、ロッド１３に複数個の肉抜き孔２１を設けるな
どの手段によって、それらを軽量化すると、ロッド１３
を高頻度で作動させることが可能となる。
【００１９】また、本体ブロック１に設けた加圧空気供
給ポート２４ａを圧縮空気源に、真空圧ポート２４ｂを
真空源にそれぞれ接続すると、ロッド１３に設けた空気
通路２０ａ，２０ｂによって、ロッド１３の先端から圧
縮空気を排出したり、ロッド１３によって所望のワーク
を吸着したりすることができる。
【００２０】
【発明の効果】以上に詳述した本発明によれば、空気軸
受使用の流体圧シリンダであって、本体ブロックに対し
てピストンとロッドが回転することがない流体圧シリン
ダを安価で製造容易なものとして提供することができ
る。また、断面円形のピストンと断面非円形のロッドと
の組み付けを、実際に加工されたピストンとロッドの空
気軸受に適合させた状態で行い、それによって、ピスト
ンとロッド及びそれらの空気軸受をそれぞれ同心に形成
する必要をなくしているので、それらの製造を安価且つ
容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る流体圧シリンダの実施例の拡大縦
断正面図である。
【図２】図１の実施例の右側面図である。
【図３】同じく左側面図である。
【図４】同じく背面図である。
【図５】同じく平面図である。
【図６】同じく底面図である。
【符号の説明】
１ 本体ブロック ６，９ 空気軸受 １２ ピストン １３ ロッド １４ ボルト ２０ａ，２０ｂ 空気通路 ２５ 接着剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴 木 智 茨城県筑波郡谷和原村絹の台４−２−２ エスエムシー株式会社筑波技術センター内 Ｆターム(参考） 3H081 AA03 BB01 CC05 CC26 DD13 EE27

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】ピストンとロッドの空気軸受をほぼ同一軸
    線上に設けた本体ブロックと、該本体ブロックに組み付
    けられて上記空気軸受に供給される圧縮空気により支承
    されるピストンとロッドとを備え、 上記ピストンとそれを支承する空気軸受の軸受面が断面
    円形状をなし、上記ロッドとそれを支承する空気軸受の
    軸受面が、上記ピストンとほぼ同一軸線上で回転が不能
    な形状を有するものとし、 上記ピストンとロッドを別部材で形成して、それらを本
    体ブロックの空気軸受により支承させた状態において接
    着剤により固定した、ことを特徴とする流体圧シリン
    ダ。
  2. 【請求項２】ピストンとロッドの固定を、本体ブロック
    内の空気軸受への圧縮空気の供給状態において、ボルト
    の螺挿及び該ボルトとピストン内面間への接着剤の塗着
    により行った、ことを特徴とする請求項１に記載した流
    体圧シリンダ。
  3. 【請求項３】本体ブロックを通してロッドの先端部に流
    体圧または真空圧を作用させるための空気通路を設け
    た、ことを特徴とする請求項１または２に記載した流体
    圧シリンダ。
JP2000040987A 2000-02-18 2000-02-18 流体圧シリンダ及びそのピストンとロッドの固定方法 Expired - Lifetime JP4207176B2 (ja)

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