JP2001226258A

JP2001226258A - 粉末エアゾール組成物

Info

Publication number: JP2001226258A
Application number: JP2000369823A
Authority: JP
Inventors: Takeshi Uchiyama; 剛内山; Shigemi Suzuki; 惠巳鈴木
Original assignee: Taisho Pharmaceutical Co Ltd
Current assignee: Taisho Pharmaceutical Co Ltd
Priority date: 1999-12-06
Filing date: 2000-12-05
Publication date: 2001-08-21

Abstract

(57)【要約】【課題】粉末エアゾール剤の特徴である乾燥作用など
を有効に発現させ、粉末の展着性を維持しつつ、かつ、
累積使用を行っても高い安全性を有する人体用粉末エア
ゾール組成物を提供する。【解決手段】以下の〜の成分および噴射剤を配合
したことを特徴とする粉末エアゾール組成物。植物性デンプンを含有する粉末成分、分子量５００
以上の高級脂肪酸エステル、炭素原子数１〜３のアル
コール

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、粉末成分を含有し
たエアゾール組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、すり傷などの消毒乾燥、みずむし
の治療、制汗などに使用するために種々の粉末エアゾー
ル剤が開発されている。これらの粉末エアゾール組成物
は、使用目的に応じた粉末成分、噴射剤、および油脂成
分が最低限必要である。ここで油脂成分は粉末の分散
性、展着性、溶解性の向上および有効成分の経皮吸収の
コントロールなどのために必要である。

【０００３】特開平８−１２９６４号、特開平３−９５
２８９号などにはエアゾール組成物が開示されており、
粉末成分としてタルク、油脂成分としてミリスチン酸イ
ソプロピルが使われており、粉末の展着性や、使用性向
上に効果を上げている。

【０００４】一方、粉末エアゾールの粉末成分として、
従来主に使われているタルクは、皮膚刺激が生じる可能
性があることが知られている（薬学雑誌102(1)89-98(19
82)）。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、粉末成
分として、タルクと比較してより皮膚刺激が少ない植物
性デンプンを用いた粉末エアゾールの提供を試みた。

【０００６】しかしながら、油脂成分として汎用される
ミリスチン酸イソプロピルを、粉末成分として植物性デ
ンプンを用いたエアゾール剤の油脂成分として用いる
と、累積使用により皮膚刺激が生じるなど安全性に懸念
があることが判明した。

【０００７】本発明の目的は、粉末エアゾール剤の特徴
である乾燥作用などを有効に発現させ、粉末の展着性を
維持しつつ、かつ、累積使用を行っても高い安全性を有
する人体用粉末エアゾール組成物を提供することにあ
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決るために種々研究を行った結果、植物性デンプンを
含有する粉末成分配合エアゾール剤において、油脂成分
として分子量５００以上の高級脂肪酸エステルを用いる
ことにより、粉末による乾燥作用、粉末の展着性を維持
しつつ、累積使用しても安全性が高い粉末エアゾール組
成物が得られることを見出し、本発明を完成した。

【０００９】すなわち、本発明は、以下の〜の成分
および噴射剤を配合したことを特徴とする粉末エアゾー
ル組成物である。植物性デンプンを含有する粉末成分、分子量５００
以上の高級脂肪酸エステル、炭素原子数１〜３のアル
コール

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明に用いられるデンプンとし
ては、ジャガイモ、サツマイモ、タピオカ、コメ、コム
ギ、トウモロコシなどの植物由来のデンプンを用いるこ
とができるが、入手の容易さや人体への使用実績から、
トウモロコシデンプン、バレイショデンプンおよびコム
ギデンプンが好ましい。これらのデンプンの配合量は粉
末成分中に８０質量％以上配合する事が好ましい。

【００１１】その他に、さらに有効成分の皮膚への付着
性を高め、湿潤部の乾燥性を高め、滑り、潤沢性などを
高めることにより使用感を向上させる効果、または、粉
末エアゾール剤の製造適性を考慮するなどの目的で他の
粉末成分を配合することもできる。他の粉末成分として
は、たとえば、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、カオ
リン、アエロジル、マイカ、酸化チタン、酸化マグネシ
ウム、炭酸マグネシウム、カラミン、メタケイ酸アルミ
ン酸マグネシウムなどの無機粉末、またはナイロンパウ
ダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、
セルロースパウダーなどの有機粉末などがあげられる。

【００１２】粉末成分の分散性や展着性の向上、滑り特
性の向上を目的に配合する油脂成分としては、累積使用
に伴う皮膚安全性の点から分子量５００以上の高級脂肪
酸エステルを用いる必要がある。分子量５００以上の高
級脂肪酸エステルとしては、例えば、オレイン酸オレイ
ル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソ
ステアリル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸オク
チルドデシル、リシノール酸オクチルドデシル、ジオレ
イン酸エチレングリコール、ジオレイン酸プロピレング
リコール、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソ
ステアリン酸グリセリル、トリ２−エチルへキシル酸ト
リメチロールプロパン、テトラ２−エチルへキサン酸ペ
ンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエ
リスリトール、イソステアリン酸イソセチル、イソステ
アリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルド
デシル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリイソセチ
ル、クエン酸トリオクチルドデシル、リンゴ酸ジイソス
テアリルなどがあげられる。

【００１３】それらの中でも、さっぱりした使用感があ
ることからオレイン酸オレイル、ミリスチン酸オクチル
ドデシル、パルミチン酸イソステアリル、イソステアリ
ン酸イソセチルまたはイソステアリン酸ヘキサデシルが
特に好ましい。

【００１４】その他に、さらに、噴射時における粉末の
皮膚への展着性の向上、使用感の向上、有効成分の溶解
性向上などの点で、炭素原子数１〜３のアルコールの配
合が必要である。炭素原子数１〜３のアルコールとして
は、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが
あげられるが、使用感、安全性などの点から特にエタノ
ール（変性エタノール含む）およびイソプロパノールが
好ましい。

【００１５】その他、有効成分の吸収、浸透性の向上、
エアゾール組成物中での粉末の分散安定性の向上、使用
感の向上などの目的でシリコーンオイル（メチルポリシ
ロキサンなど）、炭化水素（流動パラフィン、スクワラ
ンなど）、植物油（オリーブ油、ヒマシ油など）、動物
油（ミツロウ、スクワレンなど）、非イオン性界面活性
剤（セスキオレイン酸ソルビタン、ポリグリセリン脂肪
酸エステルなど）などを配合することができる。それら
の成分は単独または２種以上を混合して用いられ、液成
分中１０質量％以下の配合量が好ましい。

【００１６】本発明においては外用剤として噴射塗布し
たときに治療効果が期待できる有効成分を配合すること
ができる。有効成分としては、たとえば抗真菌剤（硝酸
ミコナゾール、クロトリマゾール、酸化亜鉛、トルナフ
テートなど）、制汗剤（アルミニウムクロロハイドレー
ト）、消炎鎮痛剤（インドメタシン、サリチル酸メチ
ル、ケトプロフェンなど）、鎮痒剤（イクタモール、ク
ロタミトン、塩酸イソチペンジル、マレイン酸クロルフ
ェニラミンなど）、殺菌剤（ヨウ化カリウム、アクリノ
ール、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、
塩化デカリニウムなど）、抗化膿性疾患薬（塩酸テトラ
サイクリン、カナマイシンなど）、局所麻酔薬（リドカ
イン、塩酸ジブカインなど）、清涼薬（ｌ−メントー
ル、ｄｌ−カンフルなど）などがあげられる。

【００１７】噴射剤としては一般的にプロパン、ｉ−ブ
タン、ｎ−ブタン、ｎ−ペンタン、ｉ−ペンタン、ネオ
ペンタン、ジメチルエーテルまたはそれらの混合物（液
化石油ガスなど）などの液化ガスを用いることができ
る。その際、噴射剤は粉末成分の噴出を良好に行うため
に３５℃での圧力が０．２〜０．８ＭＰａとなるように
調整されることが好ましい。

【００１８】本発明のエアゾール組成物中の粉末成分、
液成分及び噴射剤の比率は、組成物を好適に噴出させる
点から、粉末成分０．５〜２０質量％、液成分０．５〜
２０質量％、噴射剤６０〜９９質量％、の配合量であ
り、好ましくは粉末成分０．５〜１０質量％、液成分
０．５〜１５質量％、噴射剤７５〜９９質量％である。

【００１９】本発明のエアゾール組成物は粉末エアゾー
ルを製造する通常の方法で製造することができる。

【００２０】

【発明の効果】本発明の粉末エアゾール組成物により、
粉末エアゾール剤の特徴である乾燥作用や粉末の展着性
を維持しつつ、累積使用しても高い皮膚安全性をはかる
ことができた。

【００２１】

【実施例】以下、実施例および試験例により本発明を詳
細に説明する。実施例１，２，比較例１〜３表１の原液成分（有効成分，粉末成分，液成分）を調製
し、噴射剤とともにエアゾール缶に充填し、その特性を
評価した。なお、表中配合量は質量％で示した。

【００２２】試験例皮膚安全性試験ウサギの背部被毛を電気バリカンで除毛後、１インチ
（２．５４cm）平方に原液が100μＬ塗布されるように
各サンプルを塗布した。塗布２４時間後、水を含ませた
脱脂綿にて薬剤を拭き取り、３日間同様の作業を繰り返
した。動物は１群３羽で行い、以下に示すDraizeの基準
に従い３日目の判定結果の平均値を表１に示した。紅斑及び痂皮形成０：紅斑なし１：ごく軽度な紅斑（やっと認められる程度）２：明らかな紅斑３：中程度から強い紅斑４：深い紅色の強い紅斑に軽い痂皮（障害は深部に達す
る浮腫形成０：浮腫なし１：ごく軽度な浮腫（やっと認められる程度）２：明らかな浮腫（周囲と明らかに区別可能）３：中程度の浮腫（１mm程度、盛り上がっている）４：強い浮腫（１mm以上、盛り上がり周囲にも広がる）

【００２３】粉末展着性試験各資料を前腕上に１０cmの距離から３秒間噴射し、粉末
の展着量を以下の評価基準で判定した。 ○：粉末が多く展着しており、すぐに落ちない。 ×：粉末の展着量が少なく、落ちやすい。

【００２４】結果を表１に示した。

【００２５】

【表１】比較例１，２では、粉末の展着性は良いものの、皮膚刺
激スコアが２以上と高かった。比較例３は粉末の展着性
が良くなかった。一方、実施例１，２は、ともに粉末の
展着性が良く、皮膚刺激スコアも０．３と低かった。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】以下の〜の成分および噴射剤を配合
したことを特徴とする粉末エアゾール組成物。植物性デンプンを含有する粉末成分、分子量５００
以上の高級脂肪酸エステル、炭素原子数１〜３のアル
コール
【請求項２】分子量５００以上の高級脂肪酸エステルが
オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オクチルドデシル、
パルミチン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソセ
チルおよびイソステアリン酸ヘキサデシルからなる群か
ら選ばれる少なくとも１種である請求項１記載の粉末エ
アゾール組成物。
【請求項３】炭素原子数１〜３のアルコールが、エタノ
ール（変性エタノール含む）およびイソプロパノールか
ら選ばれる少なくとも１種である請求項１記載の粉末エ
アゾール組成物。
【請求項４】植物性デンプンがトウモロコシデンプン、
バレイショデンプンおよびコムギデンプンから選ばれる
少なくとも１種である請求項１記載の粉末エアゾール組
成物。