JP2001224630A - 折畳式緊急用搬送具 - Google Patents

折畳式緊急用搬送具

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JP2001224630A
JP2001224630A JP2000041614A JP2000041614A JP2001224630A JP 2001224630 A JP2001224630 A JP 2001224630A JP 2000041614 A JP2000041614 A JP 2000041614A JP 2000041614 A JP2000041614 A JP 2000041614A JP 2001224630 A JP2001224630 A JP 2001224630A
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Yoshihiro Yamada
由博 山田
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61GTRANSPORT, PERSONAL CONVEYANCES, OR ACCOMMODATION SPECIALLY ADAPTED FOR PATIENTS OR DISABLED PERSONS; OPERATING TABLES OR CHAIRS; CHAIRS FOR DENTISTRY; FUNERAL DEVICES
    • A61G1/00Stretchers
    • A61G1/013Stretchers foldable or collapsible

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  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
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  • Emergency Lowering Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 災害等の緊急時には、1人でも災害現場から
被害者を救出でき、かつ、限られた収納空間内に無理な
く保管できること。 【解決手段】 長さ方向に複数本並べた棒状体12aを
可撓性のシート材12bにより所定の間隔で接合して搬
送手段を構成し、搬送手段に被救助者Mを載せて巻き込
んだ状態で、固定手段により搬送手段に対して相対移動
を拘束し、引張手段を引くことで、被救助者Mを搬送す
る。このとき、被救助者Mを2人で持ち上げる必要がな
い。特に、搬送手段は、被救助者Mの体形に従って密着
させて巻いて固定できるため、被救助者Mの周囲への突
出部分が極力少なくなり、瓦礫等の散乱が予想される足
場の悪い被災現場であっても被救助者Mを保護した状態
で無理なく搬送できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、折畳式緊急用搬送
具に関するものであり、特に、災害等の緊急時に災害現
場から被害者を救出する折畳式緊急用搬送具に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、台風、地震等の自然災害による家
屋倒壊等の緊急時には、レスキュー隊員が、被害者、疾
病者等を災害現場から救出し、担架等により安全な場所
まで一旦運び出し、その後、救急車により医療施設まで
搬送し、必要な処置をしている。このとき使用される担
架は、レスキュー隊の所属部署等に格納保管され、緊急
時にレスキュー隊員等が現場まで持参して、救出作業に
使用している。
【0003】特に、大地震、大型台風の直撃等による広
域大規模災害時には、広範囲わたって家屋が倒壊するこ
とにより、広範囲に救出を要する被害者がでる可能性が
ある。その一方で、被害による交通マヒにより、レスキ
ュー隊の災害現場への到着が遅れ、被害者救出の初動的
レスキュー活動が円滑に進まない可能性がある。このよ
うな場合は、災害現場における個々の緊急救出能力を向
上することが非常に有効である。即ち、町内会、集合住
宅等のエリア単位で、災害現場における個々の緊急救出
作業を行うことが非常に有効である。そのため、各エリ
アには所定の避難場所が指定されており、各避難場所に
は、非常食の他、各種緊急救出器具が常備してある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、町内会、集合
住宅等の各エリアの非常品備蓄施設の限られた空間に常
備できる各種緊急救出器具の種類及び数には限りがあ
り、特に、担架等の大きな空間を必要とする器具を常備
できる数にも当然のことながら限界があった。そのた
め、災害規模によっては、被害者を運ぶ器具が大幅に不
足することが予想され円滑な救助活動を行えないことが
想定される。
【0005】また、通常の担架では最低でも2人の人手
が必要であり、災害の人手不足では通常の担架を使いこ
なせない場合も想定される。
【0006】そこで、本発明は、災害等の緊急時には、
一人でも災害現場から被害者を救出でき、かつ、限られ
た収納空間内に無理なく保管できる折畳式緊急用搬送具
の提供を課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明にかかる
折畳式緊急用搬送具は、被救助者を載せて巻き込んで搬
送自在で、その長さ方向に沿って複数本並べた棒状体及
び前記棒状体を所定の間隔で接合した可撓性のシート材
からなる搬送手段と、前記被救助者を前記搬送手段に対
して相対移動を拘束する固定手段と、前記搬送手段の長
さ方向の端部に取付けられ、前記搬送手段の取手となる
引張手段と、前記搬送手段の長さ方向の端部に取付けら
れ、前記被救助者の頭部を支持する衝撃吸収材からなる
頭部支持部とを具備するものである。
【0008】ここで、搬送手段の棒状体は、ABS、P
BT、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(P
P)、ナイロン6、11等の合成樹脂材料からなり、搬
送手段のシート材は、ナイロンエラストマ、ポリエステ
ルエラストマ、ポリウレタン系エラストマ、オレフィン
系エラストマ等の合成樹脂材料からなる。また、棒状体
の端面の形状は、シート材との接合面積が確保できる台
形、半円が好ましいが、これに近い他の形状としても良
い。
【0009】この構成によれば、長さ方向に沿って複数
本並べた棒状体が、可撓性のシート材により所定の間隔
で接合されて搬送手段が構成されており、隣り合う棒状
体は、接合部分を界に折曲げが自在であり、搬送手段を
巻くことができる。そのため、搬送手段は、被救助者の
体形に沿って密着させて巻いて固定できる。また、非使
用時には、搬送手段を巻いて全体の大きさを小さくした
状態で収納できる。
【0010】請求項2の発明にかかる折畳式緊急用搬送
具の前記搬送手段の棒状体は、請求項1の構成におい
て、強度の高い繊維を混入して成形したものである。
【0011】ここで、棒状体に混入する繊維には、グラ
スファイバー、カーボンファイバー等がある。本発明を
実施する場合には、必ずしも、棒状体に繊維を混入する
必要性はないが、棒状体にグラスファイバー、カーボン
ファイバーに限らず繊維を入れることにより、その機械
的強度と耐摩耗性を高めることができる。
【0012】この構成によれば、被救助者を搬送する際
に、棒状体が地面等に摺接して磨耗する率が少なくな
り、長さ方向に対する切断力を大きくできる。棒状体の
磨耗を減少させることができる。
【0013】請求項3の発明にかかる折畳式緊急用搬送
具の前記搬送手段のシート材は、請求項1または請求項
2の構成において、主材料より強度の高い繊維を混入し
て成形したものである。
【0014】ここで、シート材に混入する繊維には、グ
ラスファイバー、カーボンファイバー等がある。本発明
を実施する場合には、必ずしも、シート材に繊維を混入
する必要性はないが、シート材にグラスファイバー、カ
ーボンファイバーに限らず繊維を入れることにより、そ
の機械的強度を高めることができる。
【0015】この構成によれば、シート材が破れにく
く、各棒状体の結合状態も強く各棒状体は磨耗、破損し
難くなる。
【0016】請求項4の発明にかかる折畳式緊急用搬送
具の前記搬送手段の棒状体は、請求項1乃至請求項3の
いずれか1つの構成において、内部が中空であるもので
ある。
【0017】この構成によれば、同じ材質なら中実であ
る場合に比べて棒状体の単位重量当たりの曲強度が増大
し、軽量である。
【0018】請求項5の発明にかかる折畳式緊急用搬送
具は、請求項1乃至請求項4のいずれか1つの構成にお
いて、前記頭部支持部を配設した他端に外方向に突出
し、下肢を保護する可撓性を有する補助シート材を搬送
手段が具備するものである。
【0019】ここで、前記補助シート材を搬送手段の一
部分とした前記固定手段には、被救助者を補助シート材
に固定する部分も含まれる。
【0020】この構成によれば、被救助者を搬送する際
に、搬送手段の補助シート材を除く部分が被救助者の身
長より短くて、被救助者の下肢の一部分が搬送手段の補
助シート材を除く部分の外部へと突出する場合であって
も、この下肢の突出部分を補助シート材によって保護で
きる。
【0021】請求項6の発明にかかる折畳式緊急用搬送
具の前記頭部支持部は、請求項1乃至請求項5のいずれ
か1つの構成において、両側に折曲げ自在に設けた略帯
状板の衝撃吸収材からなるものである。
【0022】この構成によれば、搬送手段に被救助者を
載せて巻き込む際に、被救助者に密着する搬送手段に案
内されて、頭部支持部が被救助者の頭部を側方より挟む
状態となる。また、非使用時には、頭部支持部は、折畳
むことにより全体の大きさを小さくできる。
【0023】請求項7の発明にかかる折畳式緊急用搬送
具は、請求項1乃至請求項6のいずれか1つの構成にお
いて、前記搬送手段の長さ方向の端部に配設し、前記搬
送手段の端部相互間の間隔を覆う可撓性の身体保護シー
トを具備するものである。
【0024】ここで、身体保護シートは、被救助者の頭
部周辺を覆う部分と他の部分を覆う部分とに独立してい
ても良い。特に、被救助者の頭部周辺を覆う部分は、被
救助者の容態の確認を容易にするために透明であること
が好ましい。
【0025】この構成によれば、搬送手段に横たえた被
救助者を身体保護シートにより上方を覆うことができ
る。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各実施の形態につ
いて説明する。
【0027】実施の形態1 図1は本発明の実施の形態1にかかる折畳式緊急用搬送
具を示す正面図、図2は本発明の実施の形態1にかかる
折畳式緊急用搬送具の取手側から見た端部の説明図、図
3は本発明の実施の形態1にかかる折畳式緊急用搬送具
を示す斜視図、図4は本発明の実施の形態1にかかる折
畳式緊急用搬送具の使用方法を示す斜視図、図5は図4
のX−X断面を示す拡大断面図である。
【0028】図1乃至図5に示すように、実施の形態1
にかかる折畳式緊急用搬送具10は、災害時の傷病者等
の救助を要する被救助者Mを載せて搬送自在な搬送手段
11と、被救助者Mを搬送手段11に固定する固定手段
としての肩部締付部21、胸部締付部31、胴部締付部
41、及び下肢締付部51と、搬送手段11の取手とな
る引張手段としての引手パイプ18と、被救助者Mの頭
部を支持する頭部支持部19とを備えている。
【0029】搬送手段11は、長さ方向に沿って複数本
並べた棒状体12a及び前記棒状体12aを所定の間隔
で接合した可撓性のシート材12bからなる主部12
と、前記主部12の端部に外方向に突出して設けられた
可撓性の補助シート材13とからなる。主部12は、端
面形状が略台形で真直ぐな角棒状の所定の弾性を有する
棒状体12aを長さ方向に所定の間隔で複数本並べて端
面形状である略台形の下底辺の端部に相当する部分にて
可撓性を有するシート材12bの片面に固着させたもの
であり、全体が略長方形の板状をしている。そのため、
隣り合う棒状体12aは結合部分を界に折曲げ自在であ
る。即ち、主部12は、ロール状に巻くことができる。
なお、棒状体12aは、ABS、PBT、ポリカーボネ
ート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン6、
11等の合成樹脂材料からなり、シート材12bは、ナ
イロンエラストマ、ポリエステルエラストマ、ポリウレ
タン系エラストマ、オレフィン系エラストマ等の合成樹
脂材料からなる。このような主部12は、シート材12
bの棒状体12aを固着させた面を外側にして被救助者
Mを載せて巻き込んで使用する。なお、主部12は、相
当の重量の被救助者Mを載せて引張っても壊れない強度
を有している。
【0030】補助シート材13は、幅が主部12により
若干短く、長さが主部12の長さの略1/5〜1/3の
合成樹脂材料からなる可撓性を有するシート材であり、
主部12の長さ方向の他端側に、大部分を外方向へと突
出させた状態で、リベット、縫い付けまたは貼付け等に
より固定されている。補助シート材13は、下肢先端部
分のように被救助者Mの身体のうち主部12の長さ方向
の他端より突出する部分を支持及び保護する。即ち、補
助シート材13は、主部12による被救助者Mを保護す
る領域を主部12の他端側に簡易に延設する部分であ
る。
【0031】なお、下肢は、被救助者Mの身体のうち搬
送時に伴う衝撃に対して、それ程気にしなくてよいこと
から、このように下肢を受ける部分を簡易に構成しても
良い。むしろ、下肢を受ける部分を簡易に構成する補助
シート材13は、折畳式緊急用搬送具10全体の軽量化
及び非使用時に必要な収納空間の低減を図ることができ
好ましい。即ち、補助シート材13は、可撓性を有し、
主部12に比べて薄く軽量であるために、搬送手段11
を軽量化できるとともに、非使用時には、主部12の内
面側に折畳んで、主部12と一緒にロール状に巻くこと
ができる。そのため、搬送手段11全体の長さを短くす
ることができ、収納空間の低減を図ることができる。な
お、この補助シート材13は、主部12の長さによって
は省略することができる。
【0032】主部12の幅方向略中央で長さ方向一端よ
り他端に向かって長さ全体の略2/3までの領域の内面
には、合成樹脂材料等からなる可撓性を有するシート材
である背面補強部14が、リベット、縫い付け、または
貼付け等により固定されている。背面補強部14は、主
部12の内面のうち被救助者Mの体重の大半を占める上
半身部分を主に支持する部分を補強するものである。
【0033】主部12と背面補強部14との間には、合
成樹脂材料からなる長さが主部12の幅に略等しい可撓
性を有するシート材である頭囲補強部15及び胸囲補強
部16が、主部12の幅方向に沿って取り付けられてい
る。
【0034】頭囲補強部15の主部12長さ方向に対す
る配置は、主部12に被救助者Mを載せたときに頭部が
位置するあたりである。また、胸囲補強部16の主部1
2の長さ方向に対する配置は、主部12に被救助者Mを
載せたときに胸が位置するあたりである。これら頭囲補
強部15及び胸囲補強部16は、主部12のうち特に大
きなストレスを受けることが予想される被救助者Mの頭
周り及び胸周り近傍を支持する部分を幅方向に補強する
ためのものである。
【0035】引手パイプ18は、金属製のパイプを略長
方形のループ状としたものであり、被救助者Mを載せた
搬送手段11を1人で引くときに、容易に変形しない程
度の所定の剛性及び強度を有する。主部12の長さ方向
の一端部には、蝶番の受け部分と略同様の支持具17が
取り付けられている。この支持具17により、引手パイ
プ18は、主部12の幅方向を向く軸を中心に回動自在
に支持されている。なお、引手パイプ18の全体の大き
さ及び各部の太さは、手で持って引くのに最適な値であ
る。
【0036】頭部支持部19は、略帯状板を呈してお
り、全体が発泡性合成樹脂製の衝撃吸収材からなり、中
央に位置する基部19aと、その両端に折曲げ自在に延
設された側部19b,19cとを備える。頭部支持部1
9は、基部19aを主部12の長さ方向の一端近傍のう
ち主部12の他端側に向かって支持具17に並んで主部
12の幅方向の略中央に固着されており、側部19b,
19cが主部12の幅方向両側へと向かって折曲げ自在
である。被救助者Mの頭部のうち後側は、基部19aに
保護され、側方は、側部19b,19cに保護され、救
出時の頭部への衝撃は、極力低減される。なお、頭部支
持部19の形態には、弾力性及び緩衝機能を有するよう
発泡合成樹脂材料からなるものが好ましく、他に、綿入
りの布団等とすることができる。
【0037】肩部締付部21、胸部締付部31及び胴部
締付部41は、被救助者Mを搬送手段11のうち主部1
2に締付け固定するものであり、下肢締付部51は、被
救助者Mを搬送手段11のうち補助シート材13に締付
け固定するものである。
【0038】肩部締付部21は、被救助者Mの肩周りを
主部12に固定するためのもので、肩を側方より締付け
固定する肩側部締付部と、肩を上方から締付け固定する
肩上部締付部とからなる。前記肩側部締付部は、主部1
2の長さ方向一端から他端に向かって頭部支持部19か
ら略200mmの位置で幅方向に対称に所定の間隔をあけ
て一端を固着されたベルトからなる肩側部締付帯22,
23と、肩側部締付帯22の他端に設けられた雌バック
ル22aと、肩側部締付帯23の他端に設けられ雌バッ
クル22aに着脱自在に結合される構造を有する雄バッ
クル23aとから構成される。なお、雌バックル22a
及び雄バックル23aは、バックルによって結合及び分
離が自在であり、雌バックル22a及び雄バックル23
aの結合力は、肩側部締付部の紐体部分が破断する程度
までの引張応力に対して結合が解除されることがない大
きさである。
【0039】肩上部締付部は、主部12の長さ方向一端
から他端に向かって頭部支持部19に隣接して並ぶ位置
に、幅方向に対称に150mm乃至200mmの間隔で一端
を固着されたベルトからなる肩上部締付帯24,25
と、肩上部締付帯24の他端に設けられた肩側部締付帯
22を挿通自在な挿通孔24aと、肩上部締付帯25の
他端に設けられた肩側部締付帯23を挿通自在な挿通孔
25aとから構成される。即ち、肩上部締付帯24,2
5の各他端は、挿通孔24a,25aに肩側部締付帯2
2,23を挿通することにより肩側部締付帯22,23
と一体となって被救助者Mの正面へと案内され、肩上部
締付帯24,25は、肩を締付けて被救助者Mの主部1
2長さ方向への相対移動を拘束する。
【0040】胸部締付部31は、主部12を被救助者M
の主に胸周りに締付けるものであり、主部12の長さ方
向に略三等分する境界位置のうちの主部12の一端側の
幅方向両端に一端を固着されたベルトからなる胸部締付
帯32,33と、胸部締付帯32の他端に設けられた雌
バックル32aと、胸部締付帯33の他端に設けられ雌
バックル32aに着脱自在に結合される構造を有する雄
バックル33aとから構成される。
【0041】胴部締付部41は、主部12を被救助者M
の主に胴周りを締付けるものであり、主部12の長さ方
向に略三等分する境界位置のうちの主部12の他端側の
幅方向両端に一端を固着されたベルトからなる胴部締付
帯42,43と、胴部締付帯42の他端に設けられた雌
バックル42aと、胴部締付帯43の他端に設けられ雌
バックル42aに着脱自在に結合される構造を有する雄
バックル43aとから構成される。
【0042】下肢締付部51は、補助シート材13を被
救助者Mの主部12他端から突出する部分(主に下肢先
端部分)の周りに締付けるものであり、補助シート材1
3の幅方向両端に一端を固着されたベルトからなる下肢
締付帯52,53と、下肢締付帯52の他端に設けられ
た雌バックル52aと、下肢締付帯53の他端に設けら
れ雌バックル52aに着脱自在に結合される構造を有す
る雄バックル53aとから構成される。
【0043】なお、胸部締付部31における雌バックル
32a及び雄バックル33a、胴部締付部41における
雌バックル42a及び雄バックル43a、並びに下肢締
付部51における雌バックル52a及び雄バックル53
aについても、バックルによって結合及び分離が自在で
あり、各締付部の紐体部分が破断する程度までの引張応
力に対して結合が解除されることがない。このように、
上記各締付部21,31,41,51は、搬送手段11
の主部12或いは補助シート材13を被救助者Mの身体
の所望の場所に締付け固定する固定手段である。
【0044】また、各締付部21,31,41,51に
は、被救助者Mの体形によって締付け箇所の長さを調節
する部分が図示されていないが、通常各締付部には、締
付け箇所の長さを調節する部分を備えている。また、各
締付部が備える締付帯を通常考え得る被救助者Mの体格
の差異の範囲内で、たるまない程度の長さを有するゴム
紐等により構成したり、前記締付帯の連結形態を結ぶ構
造により構成する等、各締付部の構成を他の任意の構成
としても良い。
【0045】実施の形態1にかかる折畳式緊急用搬送具
10は、搬送手段11の長さ方向の端部に配設され、搬
送手段11の端部相互間の間隔を覆う可撓性の身体保護
シート61を備える。身体保護シート61は、被救助者
Mの頭部周囲を覆う頭部保護シート62と、被救助者M
の他の部分を覆う下部保護シート63との2つの独立し
た部分からなる。頭部保護シート62は、透明で可撓性
を有する合成樹脂である。下部保護シート63は、透明
で可撓性を有する合成樹脂またはテント生地等からなり
可撓性を有する。
【0046】なお、前記頭部保護シート62及び下部保
護シート63は、異なる素材からなるが、同じ素材から
なっても良い。即ち、頭部保護シート62の素材は、被
救助者Mを搬送中にも被救助者Mの容態を確認しなけれ
ばならない等の見地から、透明であることが好ましい
が、下部保護シート63の素材は、必ずしも、透明であ
る必要はない。しかし、下部保護シート63の素材は、
頭部保護シート62と同じ透明な素材で構成しても良
い。頭部保護シート62、下部保護シート63を同じ素
材で構成する場合、これらを一体で形成しても良い。し
かし、身体保護シート61は、2つに独立していた方が
目的に応じて、どちらか一方のみを解放でき用途範囲が
拡大する。特に、頭部保護シート62は、被救助者Mの
頭部周辺を覆うことになり、被救助者Mの容態の確認及
び容態に応じた処置のために下部保護シート63に比べ
て開閉する頻度が高く、下部保護シート63と独立して
いることが極めて望ましい。
【0047】次に、上記のように構成される実施の形態
1の折畳式緊急用搬送具10の使用方法並びに作用及び
効果について説明する。
【0048】まず、被救助者Mを被災現場等から搬送す
るには、図4に示すように、頭部支持部19の基部19
aに頭部を載せて被救助者Mを搬送手段11の上に横た
える。続いて、肩部締付部21の肩側部締付帯22,2
3を肩上部締付帯24,25の挿通孔24a,25aへ
と挿通するとともに、肩上部締付帯24,25の間に被
救助者Mの頚部を位置させた状態で、肩側部締付帯2
2,23を被救助者Mの両肩を覆うように手前へと案内
し、雌バックル22a、雄バックル23aにより肩側部
締付帯22,23を連結する。このとき、肩上部締付帯
24,25は、挿通孔24a,25a側の端部が肩側部
締付帯22,23と一体であるため、肩側部締付帯2
2,23と一緒に手前へと案内される。そのため、被救
助者Mの肩周囲は、側方からは肩側部締付帯22,23
により、上方からは肩上部締付帯24,25により、各
々に締付けられ、主部12に固定される。
【0049】続いて、身体保護シート61の頭部保護シ
ート62及び下部保護シート63で被救助者Mを覆いな
がら、主部12及び補助シート材13で被救助者Mの周
囲を包み込む。そのまま、胸部締付部31、胴部締付部
41及び下肢締付部51の各雄バックル33a,43
a,53aを対応する雌バックル32a,42a,52
aに結合させる。これにより、胸部締付部31の胸部締
付帯32,33の解放側の端部、胴部締付部41の胴部
締付帯42,43の解放側の端部、並びに下肢締付部5
1の下肢締付帯52,53の解放側の端部が各々に連結
された状態になる。そして、主部12は、被救助者Mの
下肢先端部分を除く部分に巻き付けられたまま固定され
た状態となり、補助シート材13は、被救助者Mの下肢
先端部分に巻き付けられたまま固定された状態となる。
【0050】このとき、主部12は、上記説明までの構
成のように、巻回できることができるから、図5に示す
ように、被救助者Mの体形に従って変形して被救助者M
の周囲に密着する。同様に、補助シート材13は、可撓
性で折曲げ自在であるため、被救助者Mの主部12他端
からの突出部分(下肢先端部分)の周囲に沿って変形し
て密着する。その結果、被救助者Mの搬送手段11(主
部12及び補助シート材13)への支持状態は、安定す
るとともに、被救助者Mの周囲の瓦礫等からの保護状態
もよくなる。このとき、頭部支持部19の側部19b,
19cは、被救助者Mに密着する主部12に案内され
て、被救助者Mの頭部を側方より挟む状態となり、被救
助者Mの頭部の頭部支持部19による支持状態は、安定
したものとなる。
【0051】この状態で、主部12の一端に設けられた
引手パイプ18に手をかけて引くことにより、被救助者
Mを被災現場から搬送することができる。このとき、被
救助者Mを2人で持ち上げる必要はなく、地面を滑らせ
て移動すればいいので、被救助者Mの搬送を1人でも十
分に行うことができ、被救助者Mの救命率が増大する。
また、このとき、被救助者Mの後方から側方にかけての
部分は、搬送手段11の主部12及び補助シート材13
により覆われた状態にあり、被災現場に散乱する瓦礫等
から、被救助者Mは保護される。これに加えて、搬送手
段11の被救助者Mの周囲への密着により、被救助者M
の周囲への突出部分が極力少なくなり、瓦礫等の散乱が
予想される足場の悪い被災現場であっても、被救助者M
を無理なく搬送することができる。しかも、被救助者M
の上方は、頭部保護シート62、下部保護シート63か
らなる身体保護シート61により覆われるため、上方よ
り落下する瓦礫片や粉塵等からも被救助者Mを保護でき
る。特に、被救助者Mの頭部周辺を保護する頭部保護シ
ート62が透明であるため、被救助者Mを搬送中にも被
救助者Mの容態を確認することができ、早期に被救助者
Mの容態に応じた処置を施すことができる。また、頭部
保護シート62は、下部保護シート63から独立して開
閉できるため、被救助者Mの容態の確認及び容態に応じ
た処置が極めて容易である。
【0052】次に、実施の形態1にかかる折畳式緊急用
搬送具10の収納方法について説明する。図6は本発明
の実施の形態1にかかる折畳式緊急用搬送具の収納方法
を示す斜視図、図7は図6に続く、本発明の実施の形態
1にかかる折畳式緊急用搬送具の収納方法を示す斜視図
である。
【0053】
【0054】まず、図6に示すように、補助シート材1
3の主部12の他端より外部への突出部分を主部12の
内側へと折曲げる。また、頭部支持部19の側部19
b,19cは、基部19aに対して折り重ねて畳む。頭
部支持部19の側部19b,19cを折畳むことに続い
て、引手パイプ18を主部12の内面へと重なるように
倒す。なお、補助シート材13、頭部支持部19につい
ては、どちらを最初に折畳んでも良い。
【0055】続いて、身体保護シート61の頭部保護シ
ート62及び下部保護シート63を主部12の内面へと
重ねる。さらに、肩部締付部21、胸部締付部31、胴
部締付部41、及び下肢締付部51についても、主部1
2の周囲への突出部分がないように主部12の内面へと
折り重ねる。この状態で、主部12の外周端縁より外部
へと突出する部分は全てなくなり、そのまま、主部12
を内面側に巻くと、図7に示すように、主部12は、ロ
ール状に巻かれた状態となる。この状態では、ロール状
に巻かれた主部12の中に、主部12以外の全ての部分
が略隠蔽された状態となる。
【0056】なお、このとき、頭部支持部19は、折畳
まれたコンパクトな状態にあり、補助シート材13及び
身体保護シート61は、いずれも可撓性を有するシート
材からなることから折曲げ自在であるとともに嵩張らな
い。そのため、主部12は、極めてコンパクトに巻くこ
とができる。したがって、実施の形態1の折畳式緊急用
搬送具10は、長さ方向にも幅方向にも極力コンパクト
にまとめられ、従来の担架等のような被救助者を運ぶ器
具(以下の説明では単に担架等と呼ぶことにする)に比
べ収納空間を大幅に低減できる。
【0057】例えば、町内や集合住宅等の各エリアの非
常品備蓄施設において、担架等の収容に割り当てる空間
が十分に取れない場合には、実施の形態1にかかる折畳
式緊急用搬送具10なら非常品備蓄施設内の限られた空
間内に無理なく収容させることができ、非常事態に備え
ることができる。また、非常品備蓄施設に担架等を収容
させる空間がある場合であっても、実施の形態1にかか
る折畳式緊急用搬送具10によれば、収容できる個数を
大幅に増大させることができる。そのため、災害等の規
模が予想以上に拡張し被救助者の数が増大する場合であ
っても、十分な対応ができる。
【0058】なお、上記説明では、実施の形態1の折畳
式緊急用搬送具10の搬送対象は、災害時の傷病者等の
救助を要する被救助者Mであるが、必ずしも、被救助者
Mに限定するものではなく、救急救命器具等の物資を搬
送するために用いても良い。
【0059】ところで、実施の形態1にかかる折畳式緊
急用搬送具10の主部12が備える棒状体12aは、内
部に空洞部分がない中実であっても良い。しかし、前記
主部12を、棒状体12aの代わりに、図8に示すよう
な、内部が中空の棒状体72を備えた主部71に替えて
も良い。図8は本発明の実施の形態1にかかる折畳式緊
急用搬送具の搬送手段の主部の第二例を示す部分拡大断
面図である。主部12を内部が中空の棒状体72を備え
た主部71に替えれば、同じ材質なら中実である場合に
比べて棒状体の単位重量当たりの曲強度が増大し、棒状
体の断面の外寸を若干増大させるだけで曲強度を犠牲に
することなく棒状体を軽量化できる。その結果、主部全
体を軽量化でき、扱い易くなる。
【0060】また、実施の形態1の折畳式緊急用搬送具
10の主部12を構成する棒状体12aの端面の形状
は、台形以外の他の形状としても良い。例えば、図9に
示す主部81の棒状体82の場合のように、棒状体の端
面の形状を半円状とする等、他にも対応できる様々な形
状としても良い。図9は本発明の実施の形態1にかかる
折畳式緊急用搬送具の搬送手段の主部の第三例を示す部
分拡大断面図である。前記主部81は、複数の棒状体8
2を端面半円の直線部分に相当する面で可撓性を有する
シート材12bに固着させ折曲げ自在に結合したもので
ある。なお、主部81においても、前記主部71の場合
と同様に、棒状体82の内部が中空となっており、曲強
度を犠牲にすることなく軽量化できる。しかし、主部8
1の棒状体82の内部についても、中実としても良い。
【0061】また、実施の形態1の折畳式緊急用搬送具
10の引張手段は、被救助者Mを載せた搬送手段11を
引くときに、容易に変形しない引手パイプ18である
が、本発明を実施する場合には、必ずしも、パイプであ
ることに限定されない。例えば、引張手段には、図10
に示す引手部91のように、紐体からなる紐部92と、
人力により容易に変形しない所定の強度及び剛性を有し
前記紐部92を挿通した補強パイプ93とを備えたもの
としても良い。この場合には、格納時の体積を小さくす
ることができる。しかし、実施の形態1の折畳式緊急用
搬送具10の引張手段のように、被救助者Mを載せた搬
送手段11を引くときに、容易に変形しない引手パイプ
18を用いた場合では、若干の斜面等においても搬送手
段11のコントロールが可能である。
【0062】図10は本発明の実施の形態1にかかる折
畳式緊急用搬送具の引張手段の第二例を示す斜視図であ
る。
【0063】図10の引手部91は、補強パイプ93に
挿通した紐部92の両端を、主部12の長さ方向の一端
部において、補強パイプ93の長さに略等しい間隔で、
主部12の幅方向に対称に固着させて使用する。このよ
うな引手部91によれば、補強パイプ93を握って主部
12を引くが、このとき、補強パイプ93の長さ方向が
主部12を引く力に対して略直行する向きとなり、紐部
92の両端の間隔が補強パイプ93の長さに保たれる。
そのため、紐部92の両端を主部12に固着させる部分
において、補強部材を特に設けなくても、補強パイプ9
3を引く際に、紐部92の両端が近付こうとする力が発
生せず、主部12を変形させることを防止できる。紐部
92の両端の主部12への固着部分に補強部材を備える
必要がないので、主部12の一端側の引手部91を備え
る部分である幅方向中央の所定の範囲の折曲げに対する
制約がなくなる。
【0064】これに加えて、前記引手部91の紐部92
は、折曲げ自在であり、補強パイプ93は、折曲げ自在
な紐部92を挿通されているだけで自由に向きを替える
ことができる。そのため、主部12は、よりコンパクト
に折畳むことができる。なお、引張手段は、引手パイプ
18及び引手部91以外にも折畳式緊急用搬送具10に
被救助者Mを載せて引くことができるものである限り、
他の任意の形態とすることができる。
【0065】なお、上記説明では、主部12の他端に
は、被救助者Mの下肢先端部分を保護する補助シート材
13が設けられているが、主部12の他端には、必ずし
も、補助シート材13を設けなくても良い。例えば、主
部12の長さを2000mm程度にする等、通常の常識で
考え得る範囲の様々に身長の異なる被救助者Mでも下肢
先端が突出しない大きさにすれば、補助シート材13を
備えることなく、被救助者Mの身体の全てを支持できる
とともに瓦礫等との接触から保護できる。
【0066】実施の形態2 続いて、本発明の実施の形態2について説明する。
【0067】図11は本発明の実施の形態2にかかる折
畳式緊急用搬送具の搬送手段の主部の一部分を示す斜視
図、図12は図11のY−Y断面を示す拡大断面図、図
13は図11のZ−Z断面を示す拡大断面図である。な
お、図中、実施の形態1と同一符号及び記号は実施の形
態1の構成部分と同一または相当する構成部分を示すも
のであるから、ここでは重複する説明を省略する。
【0068】実施の形態2にかかる折畳式緊急用搬送具
の搬送手段が備える主部101は、所定の剛性を有する
棒状体102を長さ方向に沿って所定の間隔で複数本並
べて可撓性を有するシート材103の片面に固着させて
折曲げ自在に結合したものである。
【0069】棒状体102は、ABS、PBT、ポリカ
ーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ナイロ
ン6、11等を主材料により成形された端面が略台形で
内部が中空の棒材であり、所定の剛性を有する。棒状体
102の端面形状である台形の下底辺の端部に相当する
部分には、外部へと延設されて突出するフランジ102
a,102bが形成されている。このフランジ102
a,102bは、棒状体102をシート材103に固着
させるための足となる部分である。棒状体102には、
成形時にグラスファイバー、カーボンファイバー等の主
材料に比べて引張強度の高い繊維を混入されており、地
面等との摺接に対して耐摩耗性を有する。
【0070】シート材103は、ナイロンエラストマ、
ポリエステルエラストマ、ポリウレタン系エラストマ、
オレフィン系エラストマ等の熱可塑性弾性体からなる合
成樹脂とし、主材料より引張強度の高いグラスファイバ
ー、カーボンファイバー等の繊維を混入してシート材に
成形したものであり、可撓性を有するとともに、引張強
度が強化されており、容易に分裂することがない。
【0071】そして、長さ方向沿って並ぶ複数本の棒状
体102は、図12に示すように、端面形状の台形の下
底辺に相当する側の面をシート材103の片面に当接さ
せた状態で、フランジ102a,102bをシート材1
03に溶着されている。なお、図中、融合部104は、
棒状体102のフランジ102a,102bの一部分
と、シート材103の一部分とが融解して混じり合った
部分である。即ち、隣り合う棒状体102は、可撓性を
有するシート材103により結合された状態にあり、主
部101は、棒状体102の結合の境界で折曲げ自在で
あり、巻回することができる。このとき、主部101の
片面は、繊維の混入により耐摩耗性を有する棒状体10
2で覆われ、この面が被救助者Mを保護する外側の面と
なる。なお、棒状体102は、シート材103へと溶着
により固着されているが、棒状体102のシート材10
3への固着形態は、接着、熱溶着等他の任意のものとす
ることができる。この溶着は、他の結合形態に比べ結合
強度が高くすることができる。
【0072】このような構成からなる実施の形態2にか
かる折畳式緊急用搬送具の搬送手段が備える主部101
によれば、複数本の棒状体102を折曲げ自在に結合す
るシート材103の引張強度が、それを形成する主材料
より引張強度の高い繊維の混入により強化されており、
隣り合う棒状体102の結合力が高められている。ま
た、被救助者Mを保護する主部101の外側の面は、引
張強度の高い繊維の混入により耐摩耗性を有する棒状体
102で覆われ、地面等との摺接に対して耐久性が高く
なっている。即ち、実施の形態2にかかる折畳式緊急用
搬送具の搬送手段が備える主部101は、棒状体102
の結合力と耐摩耗性の両方を高めることにより、被救助
者Mを搬送時に破損しにくくなっており、安全に対する
信頼性が高くなる。
【0073】したがって、実施の形態1の折畳式緊急用
搬送具10によれば、長さ方向に沿って複数本並べた棒
状体12aが、可撓性のシート材12bにより所定の間
隔で接合されて搬送手段11が構成されており、隣り合
う棒状体12aは、接合部分を界に折曲げ自在であり、
搬送手段11を巻回することができる。そのため、頭部
支持部19に頭部を支持させ搬送手段11に被救助者M
を載せて巻き込んだ状態で、固定手段である肩部締付部
21、胸部締付部31、胴部締付部41及び下肢締付部
51により搬送手段11に対して相対移動を拘束し、引
張手段である引手パイプ18を引くことで、被救助者M
を搬送することができる。このとき、被救助者Mを2人
で持ち上げる必要がないから、1人で搬送できる。ま
た、搬送手段11は、被救助者Mの体形に従って密着さ
せて巻いて固定できるため、被救助者Mの周囲への突出
部分が極力少なくなり、瓦礫等の散乱が予想される足場
の悪い被災現場であっても被救助者Mを無理なく搬送で
きる。しかも、搬送手段11の被救助者Mへの密着及び
被覆により被救助者Mの搬送手段11への結合状態が強
化され被救助者Mが搬送途中に搬送手段11から離脱す
ることも防止できるとともに、被災現場に散乱する瓦礫
等への接触から被救助者Mを略完全に保護できる。
【0074】また、実施の形態1の折畳式緊急用搬送具
10は、搬送手段11を巻回して全体の大きさを小さく
した状態で収納できるため、従来の担架等の被救助者M
を運ぶ器具に比べ収納に占有される空間を大幅に低減で
きる。そのため、限られた収納空間内に常備できる個数
を増大でき、救出できる被救助者Mの数及び救出処理速
度を向上させることができる。例えば、町内や集合住宅
等の各エリアの非常品備蓄施設内の限られた空間内で
も、実施の形態1の折畳式緊急用搬送具10は、常備で
きる個数を増大できるため、民間による災害救出活動に
貢献することができる。
【0075】実施の形態2の折畳式緊急用搬送具の搬送
手段によれば、搬送手段の棒状体102が引張強度の高
い繊維を混入して成形したものであるから、被救助者M
を搬送する際に、棒状体102が地面等に摺接して磨耗
することが防止される。例えば、棒状体102には、引
張強度の高い繊維としてグラスファイバーまたはカーボ
ンファイバーが混入されている。その結果、被救助者M
を搬送途中に、棒状体102が破損して被救助者Mが搬
送手段から離脱することを防止できる。
【0076】実施の形態2の折畳式緊急用搬送具の搬送
手段によれば、搬送手段のシート材103が主材料より
引張強度の高い繊維を混入して成形したものであるか
ら、シート材103が破れにくくなっており、各棒状体
102の結合状態が強化されている。例えば、シート材
103には引張強度の高い繊維としてグラスファイバー
またはカーボンファイバーが混入されている。その結
果、被救助者Mを搬送途中に棒状体102がシート材1
03で亀裂が入り被救助者Mが搬送手段から離脱するこ
とを防止できる。
【0077】実施の形態1の折畳式緊急用搬送具10の
搬送手段11の第二例及び第三例或いは実施の形態2の
折畳式緊急用搬送具の搬送手段によれば、搬送手段の棒
状体72,82,102の内部が中空であるから、同じ
材質なら中実である場合に比べて棒状体72,82,1
02の単位重量当たりの曲強度が増大し、棒状体72,
82,102の断面の外寸を若干増大させるだけで曲強
度を犠牲にすることなく棒状体72,82,102を軽
量化できる。そのため、搬送手段全体を軽量化でき、扱
い易くなる。
【0078】実施の形態1の折畳式緊急用搬送具10に
よれば、頭部支持部19を配設した他端に外方向に突出
し、下肢を保護する可撓性を有する補助シート材13を
搬送手段11が具備するものであるから、被救助者Mを
搬送する際に、搬送手段11の補助シート材13を除く
部分(主部12)が被救助者Mの身長より短くて、被救
助者Mの下肢の一部分が搬送手段11の補助シート材1
3を除く部分(主部12)の外部へと突出する場合であ
っても、この下肢の突出部分を補助シート材13によっ
て保護できる。即ち、搬送手段11全体のうち被救助者
Mの下肢の一部分を保護する部分を他の部分(主部1
2)に比べて軽微な補助シート材13で構成するため、
被救助者Mの瓦礫等からの保護性能を十分に維持したま
ま軽量化が可能である。また、非使用時には、補助シー
ト材13が可撓性を有するため搬送手段11の内部へと
折畳んで巻き込むことができ、実施の形態1の折畳式緊
急用搬送具10は、収納に必要な占有空間を極力低減で
きる。
【0079】実施の形態1の折畳式緊急用搬送具10に
よれば、頭部支持部19が両側に折曲げ自在に設けた略
帯状板の衝撃吸収材からなるものであるから、搬送手段
11に被救助者Mを載せて巻き込む際に、被救助者Mに
密着する搬送手段11に案内されて、頭部支持部19が
被救助者Mの頭部を側方より挟む状態となる。そのた
め、被救助者Mの頭部の支持状態が安定したものとな
る。また、非使用時には、頭部支持部19は、折畳むこ
とにより全体の大きさを小さくでき、搬送手段11を極
力小さく折畳むことができる。そのため、実施の形態1
の折畳式緊急用搬送具10は、収納に必要な占有空間を
極力低減できる。
【0080】実施の形態1の折畳式緊急用搬送具10に
よれば、搬送手段11の長さ方向の端部に配設し、搬送
手段11の端部相互間の間隔を覆う可撓性の身体保護シ
ート61を具備するものであるから、搬送手段11に横
たえた被救助者Mを身体保護シート61により上方より
覆うことができるので、上方より落下する瓦礫片や粉塵
等からも被救助者Mを保護できる。また、身体保護シー
ト61は、可撓性を有するシート材からなり、折曲げ自
在であるとともに嵩張らず、非使用時には、搬送手段1
1に重ねて巻き込み収納できるので、搬送手段11を十
分に小さく折畳むことができる。
【0081】
【発明の効果】以上のように、請求項1の折畳式緊急用
搬送具は、長さ方向に沿って複数本並べた棒状体が、可
撓性のシート材により所定の間隔で接合されて搬送手段
が構成されており、隣り合う棒状体は、接合部分を界に
折曲げ自在であり、搬送手段を巻き込むことができる。
そのため、頭部支持部に頭部を支持させ搬送手段に被救
助者を載せて巻き込んだ状態で、固定手段により搬送手
段に対して相対移動を拘束し、引張手段を引くことで、
被救助者を搬送することができる。このとき、被救助者
を2人で持ち上げる必要がないから、1人で搬送でき
る。また、搬送手段は、被救助者の体形に従って密着さ
せて巻いて固定できるため、被救助者の周囲への突出部
分が極力少なくなり、瓦礫等の散乱が予想される足場の
悪い被災現場であっても被救助者を無理なく搬送でき
る。しかも、搬送手段の被救助者への密着及び被覆によ
り被救助者の搬送手段への結合状態が強化され被救助者
が搬送途中に搬送手段から離脱することも防止できると
ともに、被災現場に散乱する瓦礫等への接触から被救助
者を保護できる。特に、隣り合う棒状体は、接合部分を
界に折曲げ自在であるが、その長さ方向には折り曲げが
不可能であるから、地面の凹凸は搬送手段がシート材の
みのものに比較して、被救助者にそれを伝えることがな
い。故に、被救助者の乗り心地がよくなる。
【0082】また、請求項1の折畳式緊急用搬送具は、
搬送手段をロール状に巻いて全体の大きさを小さくした
状態で収納できるため、従来の担架等の被救助者を運ぶ
器具に比べ収納に占有される空間を大幅に低減できる。
そのため、限られた収納空間内に常備できる個数を増大
でき、救出できる被救助者の数及び救出処理速度を向上
させることができる。
【0083】請求項2の発明の折畳式緊急用搬送具は、
搬送手段の棒状体が強度の高い繊維を混入して成形した
ものであるから、請求項1の折畳式緊急用搬送具の効果
に加えて、被救助者を搬送する際に、棒状体が地面等に
摺接して磨耗することが防止される。その結果、被救助
者を搬送途中に、棒状体が破損して被救助者が搬送手段
から離脱することを防止できる。また、棒状体の磨耗を
低減できる。
【0084】請求項3の発明の折畳式緊急用搬送具は、
搬送手段のシート材が主材料より強度の高い繊維を混入
して成形したものであるから、請求項1または請求項2
の折畳式緊急用搬送具の効果に加えて、シート材が破れ
にくくなっており、各棒状体の結合状態が強化されてい
る。その結果、被救助者を搬送途中に棒状体が分裂して
被救助者が搬送手段から離脱することを防止できる。
【0085】請求項4の発明の折畳式緊急用搬送具は、
搬送手段の棒状体の内部が中空であるから、請求項1乃
至請求項3のいずれか1つの折畳式緊急用搬送具の効果
に加えて、同じ材質なら中実である場合に比べて棒状体
の単位重量当たりの曲強度が増大し、棒状体の断面の外
寸を若干増大させるだけで曲強度を犠牲にすることなく
棒状体を軽量化できる。そのため、搬送手段全体を軽量
化でき、扱い易くなる。
【0086】請求項5の発明の折畳式緊急用搬送具は、
頭部支持部を配設した他端に外方向に突出し、下肢を保
護する可撓性を有する補助シート材を搬送手段が具備す
るものであるから、請求項1乃至請求項4のいずれか1
つの折畳式緊急用搬送具の効果に加えて、被救助者を搬
送する際に、搬送手段の補助シート材を除く部分が被救
助者の身長より短くて、被救助者の下肢の一部分が搬送
手段の補助シート材を除く部分の外部へと突出する場合
であっても、この下肢の突出部分を補助シート材によっ
て保護できる。即ち、搬送手段全体のうち被救助者の下
肢の一部分を保護する部分を他の部分に比べて軽微な補
助シート材で構成するため、被救助者の瓦礫等からの保
護性能を十分に維持したまま軽量化が可能である。ま
た、非使用時には、補助シート材が可撓性を有するため
搬送手段の内部へと折畳んで巻き込むことができ、本発
明の折畳式緊急用搬送具は収納に必要な占有空間を極力
低減できる。
【0087】請求項6の発明の折畳式緊急用搬送具は、
頭部支持部が両側に折曲げ自在に設けた略帯状板の衝撃
吸収材からなるものであるから、請求項1乃至請求項5
のいずれか1つの折畳式緊急用搬送具の効果に加えて、
搬送手段に被救助者を載せて巻き込む際に、被救助者に
密着する搬送手段に案内されて、頭部支持部が被救助者
の頭部を側方より挟む状態となる。そのため、被救助者
の頭部の支持状態が安定したものとなる。また、非使用
時には、頭部支持部は、折畳むことにより全体の大きさ
を小さくでき、搬送手段を極力小さく折畳むことができ
る。そのため、本発明の折畳式緊急用搬送具は、収納に
必要な占有空間を極力低減できる。
【0088】請求項7の発明の折畳式緊急用搬送具は、
前記搬送手段の長さ方向の端部に配設し、前記搬送手段
の端部相互間の間隔を覆う可撓性の身体保護シートを具
備するものであるから、請求項1乃至請求項6のいずれ
か1つの折畳式緊急用搬送具の効果に加えて、搬送手段
に横たえた被救助者を身体保護シートにより上方より覆
うことができるので、上方より落下する瓦礫片や粉塵等
からも被救助者を保護できる。また、身体保護シート
は、可撓性を有するシート材からなり、折曲げ自在であ
るとともに嵩張らず、非使用時には、搬送手段に重ねて
巻き込み収納できるので、搬送手段を十分に小さく折畳
むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施の形態1にかかる折畳式
緊急用搬送具を示す正面図である。
【図2】 図2は本発明の実施の形態1にかかる折畳式
緊急用搬送具の取手側から見た端部の説明図である。
【図3】 図3は本発明の実施の形態1にかかる折畳式
緊急用搬送具を示す斜視図である。
【図4】 図4は本発明の実施の形態1にかかる折畳式
緊急用搬送具の使用方法を示す斜視図である。
【図5】 図5は図4のX−X断面を示す拡大断面図で
ある。
【図6】 図6は本発明の実施の形態1にかかる折畳式
緊急用搬送具の収納方法を示す斜視図である。
【図7】 図7は本発明の実施の形態1にかかる折畳式
緊急用搬送具の他の収納方法を示す斜視図である。
【図8】 図8は本発明の実施の形態1にかかる折畳式
緊急用搬送具の搬送手段の主部の第二例を示す部分拡大
断面図である。
【図9】 図9は本発明の実施の形態1にかかる折畳式
緊急用搬送具の搬送手段の主部の第三例を示す部分拡大
断面図である。
【図10】 図10は本発明の実施の形態1にかかる折
畳式緊急用搬送具の引張手段の第二例を示す斜視図であ
る。
【図11】 図11は本発明の実施の形態2にかかる折
畳式緊急用搬送具の搬送手段の主部の一部分を示す斜視
図である。
【図12】 図12は図11のY−Y断面を示す拡大断
面図である。
【図13】 図13は図11のZ−Z断面を示す拡大断
面図である。
【符号の説明】
10 折畳式緊急用搬送具 11 搬送手段 12,71,81,101 主部 12a,72,82,102 棒状体 12b シート材 13 補助シート材 17 支持具 18 引手パイプ 19 頭部支持部 19a 基部 19b,19c 側部 22,23 肩側部締付帯 22a,32a,42a,52a 雌バックル 23a,33a,43a,53a 雄バックル 24,25 肩上部締付帯 32,33 胸部締付帯 42,43 胴部締付帯 52,53 下肢締付帯 61 身体保護シート 91 引手部 92 紐部 93 補強パイプ 103 シート材 M 被救助者

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被救助者を載せて巻き込んで搬送自在
    で、その長さ方向に沿って複数本並べた棒状体及び前記
    棒状体を所定の間隔で接合した可撓性のシート材からな
    る搬送手段と、 前記被救助者を前記搬送手段に対して相対移動するのを
    拘束する固定手段と、 前記搬送手段の長さ方向の端部に取付けられ、前記搬送
    手段の取手となる引張手段と、 前記搬送手段の長さ方向の端部に取付けられ、前記被救
    助者の頭部を支持する衝撃吸収材からなる頭部支持部と
    を具備することを特徴とする折畳式緊急用搬送具。
  2. 【請求項2】 前記搬送手段の棒状体は、主材料より強
    度の高い繊維を混入して成形されたことを特徴とする請
    求項1に記載の折畳式緊急用搬送具。
  3. 【請求項3】 前記搬送手段のシート材は、主材料より
    強度の高い繊維を混入して成形したことを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載の折畳式緊急用搬送具。
  4. 【請求項4】 前記搬送手段の棒状体は、内部が中空で
    あることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか
    1つに記載の折畳式緊急用搬送具。
  5. 【請求項5】 前記搬送手段には、前記頭部支持部を配
    設した他端に外方向に突出し、下肢を保護する可撓性を
    有する補助シート材を具備することを特徴とする請求項
    1乃至請求項4のいずれか1つに記載の折畳式緊急用搬
    送具。
  6. 【請求項6】 前記頭部支持部は、両側に折曲げ自在に
    設けた略帯状板の衝撃吸収材からなることを特徴とする
    請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の折畳式緊
    急用搬送具。
  7. 【請求項7】 前記搬送手段の長さ方向の端部に配設
    し、前記搬送手段の端部相互間の間隔を覆う可撓性の身
    体保護シートを具備することを特徴とする請求項1乃至
    請求項6のいずれか1つに記載の折畳式緊急用搬送具。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008113773A (ja) * 2006-11-02 2008-05-22 Chieko Sakurai ストレッチャー
JP2010193927A (ja) * 2009-02-23 2010-09-09 Nippon Kyumei Kigu Kk 脱出用保護具
JP2020031796A (ja) * 2018-08-28 2020-03-05 日東工器株式会社 体位固定具

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